説明

フラップドア付収納什器

【課題】 フラップドアが、什器本体の前方に突出して開放された際に、その突出部により下方が暗くなるのを防止する。
【解決手段】 机等の後端部上方に設置された筐体(什器本体)5における前面開口部を閉塞する跳ね上げ式のフラップドア7を、筐体5の上部においてほぼ水平をなす開放位置としたとき、フラップドア7の前端部が筐体5の前方に突出して保持されるようになっているフラップドア付収納什器において、フラップドア7における少なくとも開放時において筐体5より前方に突出する突出部を、透光性とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば机やローパーティション等の上部に設置される跳ね上げ式のフラップドアを備える収納什器に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のフラップドアを備える収納什器は、例えば特開平10−192065号公報や特開平10−196209号公報等に開示されているように、什器本体の前面開口部に設けられたフラップドアは、これを、前面開口部を覆う閉扉位置から押し上げると、徐々に後傾しながら上向きに回動して跳ね上がり、上限位置において、什器本体の天板上に、フラップドアの前端部を前方に突出させた状態でほぼ水平に保持され、前面開口部が開放されるようになっているのが一般的である。
【0003】また、従来、上記フラップドアは、木製や板金製のものが殆どであり、透光性への配慮はなされていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、フラップドアが不透光性の材質により形成されていると、フラップドアを上限位置まで開いた際に、その前方への突出部が庇のようになって、天井の照明器具の光を遮ったり、机の天板上に影を落としたりし、天板面が暗くなるという問題がある。
【0005】また、見上げた際に不透光性の突出部が目立ち、見栄えが悪くなるとともに、圧迫感も大きい。
【0006】さらに、木製や板金製のフラップドアでは、開閉操作が重いという問題もある。
【0007】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、フラップドアが、什器本体の前方に突出して開かれた際に、その突出部の下方が暗くなるのを防止し、かつ圧迫感を小さくしうるとともに、開閉操作も軽快に行いうるようにした、フラップドア付収納什器を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 机等の後端部上方に設置された什器本体における前面開口部を閉塞する跳ね上げ式のフラップドアを、什器本体の上部においてほぼ水平をなす開放位置としたとき、フラップドアの前端部が什器本体の前方に突出して保持されるようになっているフラップドア付収納什器において、前記フラップドアにおける少なくとも開放時において什器本体より前方に突出する突出部を、透光性とする。
【0009】(2) 上記(1)項において、フラップドア全体を、透明もしくは半透明の合成樹脂材により形成することにより、突出部を含む全体を透光性とする。
【0010】(3) 上記(2)項において、フラップドアを薄肉の中空状とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明を適用したフラップドア付キャビネット(1)(1)を、机(2)における天板(3)の後端部に立設した左右1対の支柱(4)(4)の上端に、互いの側板同士を結合することにより、左右方向に2個並べて設けた例を示している。
【0012】図2に示すように、各キャビネット(1)は、前面が開口された方形箱状の筐体(5)の側端部下面の後方寄りを、支持板(6)を介して支柱(4)の上端に固着することにより、支柱(4)の中心より若干前方に偏倚させて支持されている。
【0013】筐体(5)の前面開口部には、これを覆いうる大きさの横長方形をなすフラップドア(7)が、後記するガイド機構に案内されて跳ね上げ可能に設けられている。
【0014】フラップドア(7)は、透明又は半透明の透光性を有する合成樹脂材により形成された、薄肉中空状のドア本体(7a)と、その左右両端に嵌着されたエンドキャップ(7b)(7b)とからなり、エンドキャップ(7b)は、不透光性の合成樹脂材により形成されている。
【0015】上記ドア本体(7a)は、その内部における前後の対向面間に接続された、左右方向を向く上下複数の平板状リブ(8)により補強されている。
【0016】ドア本体(7a)の前面は、前方になだらかに膨出する円弧面とされ、その下端部には、前方に突出する突条(9)が、左右方向全長に亘って形成され、この突条(9)は、図2の2点鎖線で示すように、上限位置まで開いたフラップドア(7)を閉じる際の指掛け部として機能する。
【0017】また、ドア本体(7a)の前面には、意匠的効果を高めるために、細溝状の上下複数の凹条(10)が、左右方向全長に亘って形成されている(図3参照)。ドア本体(7a)の後面の上端部には、後記する左右のガイドレール(17)間の隙間を塞ぐための後向きに突出する中空ダクト状の閉塞杆(11)が、左右方向全長に亘って一体的に連設されている。
【0018】なお、上記閉塞杆(11)と後記するガイドレール(17)の前後寸法は、ほぼ等しくしてある。
【0019】ドア本体(7a)の後面の下端部には、左右方向を向く凹溝(12)が形成され、この凹溝(12)は、フラップドア(7)を開く際の指掛け部として機能するとともに、フラップドア(7)を閉扉状態に保持する保持手段、例えばマグネットキャッチ(13)等を取付けるための取付部となっている。
【0020】上記エンドキャップ(7b)は、図3に示すように(左右対称につき、右方のみ図示する)、上下寸法と前後面の形状がドア本体(7a)とほぼ等しく形成され、その内側面には、ドア本体(7a)の側端部の中空孔内に嵌合しうるとともに、上下の各リブ(8)を上下より挟持しうる挟持片(14)を備える嵌合片(15)が、一体的に連設されている。
【0021】左右のエンドキャップ(7b)の嵌合片(15)を、ドア本体(7a)の両側端部の中空孔内に圧入することにより、フラップドア(7)が組立てられている。
【0022】フラップドア(7)の両側端部の後面、すなわち、左右のエンドキャップ(7b)の後面には、図1に示すように、上下方向を向くとともに、上端と下端部寄りにストッパ片(16)を有する後向きコ字形のガイドレール(17)が取付けられている。
【0023】なお、ガイドレール(17)を取付けると、両ガイドレール(17)間における筐体(5)の前端とドア本体(7a)の後面との間に隙間が形成されるが、この隙間は、ドア本体(7a)の後面の上端部に突設された上記閉塞杆(11)により塞がれる。
【0024】各ガイドレール(17)のコ字空間内には、筐体(5)の上板(5a)の前端部に固着したブラケット(18)に枢着された、左右方向を向く軸回りに回転するガイドローラ(19)が嵌挿されている。
【0025】ガイドローラ(19)は、フラップドア(7)が閉扉状態にあるとき、上方のストッパ片(16)と当接し、また、同じく2点鎖線のように、フラップドア(7)を上限の水平位置まで開いたとき、下方のストッパ片(16)と当接し、筐体(5)の前端より若干突出するようになっている。
【0026】筐体(5)における左右の側板(5a)の内側面には、例えば内部に渦巻ばね(図示略)が収容された公知の荷重バランス装置(20)が取付けられ、それより斜め下向きに延出する回動アーム(21)の先端は、ガイドレール(17)の下端部に枢着されている。
【0027】上記荷重バランス装置(20)は、フラップドア(7)を、その重量よりやや大きい上向きの付勢力により支持し、フラップドア(7)が軽快に開かれるようになっている。
【0028】上記実施形態のフラップドア付キャビネット(1)において、ドア本体(7a)は、透光性を有する材料により形成されているため、図2の2点鎖線で示すように、フラップドア(7)が上限位置まで開かれ、筐体(5)の前方に庇状に突出しても、その突出部が天井の照明器具の光を遮ったり、机(2)の天板(3)上に影を落としたりすることはなく、天板(3)の上面が暗くなるのが防止される。
【0029】また、見上げた際、突出部が目立ちにくくなるため、見栄えがよく、かつ圧迫感も小さくなる。フラップドア(7)の側端部のエンドキャップ(7b)は、不透明としてあるので、フラップドア(7)が閉じられているとき、後面に取付けたガイドレール(17)等が前方より透過されて見えることはなく、見栄えが向上する。
【0030】ドア本体(7a)は、合成樹脂材により中空状に形成されているため、軽く、フラップドア(7)の開閉操作が容易となる。
【0031】また、ドア本体(7a)の前面下部には、指掛け用の突条(9)が形成されているため、開いたフラップドア(7)を閉じる際の操作が容易となる。
【0032】さらに、ドア本体(7a)の裏面の上端部に閉塞杆(11)を設け、左右のガイドレール(17)間における筐体(5)とドア本体(7a)との間の隙間の上部を塞いでいるため、キャビネット内に塵埃等が侵入するのが防止される。また、閉塞杆(11)は、補強作用も有するので、ドア本体の(7a)の撓みも防止される。
【0033】上記実施形態では、ドア本体(7a)全体を透光性を有するものとしたが、フラップドア(7)を開いたときに筐体(5)より前方に突出する部分のみを透光性とし、他の部分は不透光性としてもよい。
【0034】この方法としては、例えばドア本体(7a)全体を透光性を有する材料により形成し、突出部を除いた部分を塗装等により着色するか、又は不透明な粘着テープ等を貼るなどすればよい。エンドキャップ(7b)も、ガイドレール(17)が透けて見えない程度に半透明とすることもある。上記ガイドローラ(19)の代わりに、左右方向を向くガイドピンとし、これをガイドレールに形成したガイド溝に摺動可能として係合させるようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、フラップドアの開放時において什器本体の前方に突出する突出部が、透光性を有しているので、天井よりの光が遮られたり、机等の天板上に影を落としたりすることはなく、突出部の下方の机の天板等が暗くなるのが防止される。また、見上げた際において、突出部が目立たなくなるので、見栄えがよく、かつ圧迫感も小さくなる。
【0036】請求項2記載の発明によれば、突出部のみを部分的に透光性とする手間が省けるとともに、フラップドアを合成樹脂により一体成形しうるので、コスト低減が図れる。
【0037】請求項3記載の発明によれば、フラップドアが軽量化するので、その開閉操作を軽快に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したフラップ付キャビネットの斜視図である。
【図2】図1のII−II線の拡大縦断側面図である。
【図3】フラップドアの分解斜視図である。
【符号の説明】
(1)キャビネット
(2)机
(3)天板
(4)支柱
(5)筐体(什器本体)
(6)支持板
(7)フラップドア
(7a)ドア本体
(7b)エンドキャップ
(8)リブ
(9)突条
(10)凹条
(11)閉塞杆
(12)凹溝
(13)マグネットキャッチ
(14)挟持片
(15)嵌合片
(16)ストッパ片
(17)ガイドレール
(18)ブラケット
(19)ガイドローラ
(20)荷重バランス装置
(21)回動アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】 机等の後端部上方に設置された什器本体における前面開口部を閉塞する跳ね上げ式のフラップドアを、什器本体の上部においてほぼ水平をなす開放位置としたとき、フラップドアの前端部が什器本体の前方に突出して保持されるようになっているフラップドア付収納什器において、前記フラップドアにおける少なくとも開放時において什器本体より前方に突出する突出部を、透光性としたことを特徴とするフラップドア付収納什器。
【請求項2】 フラップドア全体を、透明もしくは半透明の合成樹脂材により形成することにより、突出部を含む全体を透光性とした請求項1記載のフラップドア付収納什器。
【請求項3】 フラップドアを薄肉の中空状としてなる請求項2記載のフラップドア付収納什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2003−125853(P2003−125853A)
【公開日】平成15年5月7日(2003.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−326345(P2001−326345)
【出願日】平成13年10月24日(2001.10.24)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】