説明

フリーアクセスフロア用パネル

【課題】パネル本体部のリブの先端部と補強板部材との接合に用いる摩擦撹拌接合手段による接合のための時間を短縮することができるとともに、接合不良が発生せず確実に接合することができるフリーアクセスフロア用パネルを提供する。
【解決手段】平板部4と、この平板部4の裏面側に一体的に形成される複数のリブ26とを有するパネル本体部22と、複数のリブ26の先端部に接合される補強板部材24とを備え、複数のリブ26の全部又はいずれかの先端部に突起部26bが形成され、補強板部材24と突起部26bとが摩擦撹拌接合手段により接合されるようにした
【効果】フリーアクセスフロア用パネルのパネル本体部のリブの先端部と補強板部材との接合に用いる摩擦撹拌接合手段による接合のための時間を短縮することができるとともに、接合不良が発生せず確実に接合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームや電算室等の部屋の床部に敷設されるフリーアクセスフロアの床面を形成するフリーアクセスフロア用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来のフリーアクセスフロア用パネル2(以下、パネル2と呼ぶこともある)を示す底面図であって、図12は、図11に示すパネル2のA−A線矢視断面図である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このパネル2は、図12に示す姿勢とは上下方向を逆向きにして使用され、不図示の支持脚により所定の高さで水平に支持された状態を保持し、クリーンルームや電算室等の部屋の床面を形成するように並べて敷設される。このことにより、このパネル2と、その下方のコンクリートの下地床面との間の空間に配管や配線を通すことができる、フリーアクセスフロアを形成するようになっている。
【0004】
この従来のパネル2は、図11及び図12に示すように、パネル本体部12と補強板部材14とを備えて構成されている。この従来のパネル2のパネル本体部12は、その材質がアルミニウム合金であるダイカスト製品であって、フリーアクセスフロアの床面を形成する平板部4と、この平板部4の裏面側(図11中においては紙面に垂直方向の手前側、図12中においては上側)に一体的に形成される複数のリブ6を備えて構成されている。複数のリブ6のそれぞれは、平板部4の平面形状に沿って伸びるように形成され、図11に示すように格子状に配置されている。
【0005】
また、この従来のパネル2の補強板部材14は、アルミニウム合金製の板状の素材から正方形に切取って形成したものであって、そのパネル本体部12側の面が、複数のリブ6のそれぞれの先端面に接触し、この複数のリブ6の先端面に接着又は溶接により接合されている。
【0006】
また、この従来のパネル2は、そのパネル本体部12の複数のリブ6と補強板部材14との接合は、後述するような、摩擦撹拌接合手段(Friction Stir Welding)により行なわれるようになっていてもよい。
【0007】
ここで、摩擦撹拌接合手段とは、例えば、特許文献2及び3に記載されているように、略円柱状の部分と、その先端面から軸線上に突出するネジ棒状の突起部(以下、プローブと呼ぶ)とを有する形状の工具を、その軸線回りに回転させながら接合部材同士の接合部分又はその近傍部にほぼ垂直に押し付けることにより、摩擦熱で接合部材を液状化手前まで軟化させると共に、この軟化した接合部材内に工具の前記プローブが入り込んで撹拌作用による塑性流動を生じさせ、接合部材同士の接合部分の金属組織を練り混ぜることにより一体化させて、温度降下により固化する接合手段をいう。
【0008】
従来のパネル2について、そのパネル本体部12の複数のリブ6と補強板部材14とを摩擦撹拌接合手段により接合する場合には、その接合作業の際に、パネル2は、図12に示すように、その表裏面の上下方向の向きが使用時のときとは逆向きの状態(パネル本体部12の上側に補強板部材14が配置された状態)にされ、摩擦撹拌接合を行なう不図示の装置の加工用テーブル上に固定される。
【0009】
そして、補強板部材14におけるパネル本体部12とは反対側の面における、その裏側(パネル本体部12側)に存在するリブ6に対応する位置に、摩擦撹拌接合を行なう不図示の装置の回転する工具のプローブが上方から押し当てられて、このプローブが補強板部材14を摩擦熱により軟化させてリブ6に向かって潜り込み、リブ6の先端部(高さ方向の先端部。以下同じ)に迄到達して境界部周辺を軟化させた後、このプローブがリブ6の水平に伸びる方向に相対移動していくことにより摩擦撹拌接合が行なわれる。
【特許文献1】実開昭63−94241号公報
【特許文献2】特許第2712838号公報
【特許文献3】特許第2792233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したような従来のフリーアクセスフロア用パネル2においては、そのパネル本体部12のリブ6と補強板部材14とを摩擦撹拌接合手段により接合しようとする場合には、補強板部材14がその厚さが大きいものである場合に、この補強板部材14における摩擦撹拌接合を行なう不図示の装置のプローブが押し当てられた位置から、摩擦熱による軟化が徐々に拡大していくのに時間を要するので、補強板部材14のプローブと反対側のリブ6の先端部が軟化し始めるまでの時間が長くなるため、摩擦撹拌接合手段による接合のための時間が長くなるという問題があり、また、その際に接合不良が発生しやすくなるという問題があった。
【0011】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、パネル本体部のリブの先端部と補強板部材との接合に用いる摩擦撹拌接合手段による接合のための時間を短縮することができるとともに、接合不良が発生せず確実に接合することができるフリーアクセスフロア用パネルを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明によるフリーアクセスフロア用パネルは、
平板部と、この平板部の裏面側に一体的に形成される複数のリブとを有するパネル本体部と、
前記複数のリブの先端部に接合される補強板部材とを備え、
前記複数のリブの全部又はいずれかの先端部に突起部が形成され、
前記補強板部材と前記突起部とが摩擦撹拌接合手段により接合されるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明によるフリーアクセスフロア用パネルは、前記突起部が、前記リブの厚さ方向の一方の端部に形成されたことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明によるフリーアクセスフロア用パネルは、前記突起部が、前記リブの厚さ方向の中央部に形成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明に係るフリーアクセスフロア用パネルによれば、
平板部と、この平板部の裏面側に一体的に形成される複数のリブとを有するパネル本体部と、
前記複数のリブの先端部に接合される補強板部材とを備え、
前記複数のリブの全部又はいずれかの先端部に突起部が形成され、
前記補強板部材と前記突起部とが摩擦撹拌接合手段により接合されるようにしたことにより、
リブの先端部と補強板部材との接合に用いる摩擦撹拌接合手段による接合のための時間を短縮することができるとともに、接合不良が発生せず確実に接合することができる。
【0016】
また、本発明に係るフリーアクセスフロア用パネルによれば、
前記突起部が、前記リブの厚さ方向の一方の端部に形成されたことにより、
このような突起部を上記補強板部材の縁部分に接合させる作業の際に、その接合のための時間が長くなってしまうことを防止することができる。
【0017】
また、本発明に係るフリーアクセスフロア用パネルによれば、
前記突起部が、前記リブの厚さ方向の中央部に形成されたことにより、
このような突起部を、上記補強板部材の縁部分以外の部分に接合させる作業の際に、その接合のための時間が長くなってしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るフリーアクセスフロア用パネルを実施するための最良の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1から図4は、本発明の第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20について説明するために参照する図である。従来と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、従来と同様の構成についての重複する説明はできるだけ省略するものとする。
【0019】
本実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20(以下、パネル20と呼ぶこともある)は、アルミニウム合金製で、図1及び図2に示すように、パネル本体部22と補強板部材24とを備えている。
【0020】
このパネル20のパネル本体部22は、フリーアクセスフロアの床面を形成する平板部4と、この平板部4の裏面側(図1中においては紙面に垂直方向の手前側、図2中においては上側)に高さを有して一体的に形成される、それぞれ複数の第1リブ26と第2リブ28を備えて構成されている。
【0021】
第1リブ26は、図1に示すように、平板部4の四辺のそれぞれに沿って伸びるように4本のものが形成され、このように形成された4本の外周が正方形を形成するようになっている。また、第2リブ28のそれぞれは、上記4本の第1リブ26の内側の範囲内において、縦横2方向に伸びて互いに交差するように形成され、図1に示すように格子状に配置されている。
【0022】
このような、パネル20におけるパネル本体部22の複数のリブ26,28の先端部と補強板部材24とは、前記摩擦撹拌接合手段により互いに接合されている。このようにパネル本体部22の複数のリブ26,28と補強板部材24とは、前記摩擦撹拌接合手段により互いに接合された後においては、そのような接合箇所において互いの金属組織が混ざり合うようになるため、実際には、互いの境界線を定めることができなくなるのかもしれないが、便宜上、図1から図4に示すように、これら複数のリブ26,28と補強板部材24との境界線が存在するものとして、このような境界線についても、他の通常の輪郭線と同様に、実線又は破線で示すこととする。
【0023】
パネル20におけるパネル本体部22の第1リブ26には、図3に示すように、その高さ方向(図3中、上下方向)の先端部に、補強板部材24における平板部4側(図3中、下側)の面24aと互いに接触する水平接触面26aと、この第1リブ26の高さ方向において水平接触面26aよりも平板部4と反対側に突出する突起部26bとが形成されている。
【0024】
第1リブ26の突起部26bは、第1リブ26の厚さ(図3中、寸法t1)よりも薄い厚さ(図3中、寸法t2)で補強板部材24の厚さと同じ寸法の高さだけ突出するように形成されている。また、この突起部26bは、図1に示すように、パネル本体部22の4辺の第1リブ26のそれぞれにおける長さ方向の範囲全体にわたって形成され、図3に示すように、第1リブ26それぞれの厚さ方向の外周側(図中右側)の端部に形成されている。
【0025】
パネル20の補強板部材24は、このような突起部26bのそれぞれにおける長さ方向の端部同士がつながって形成される四角枠の内側に嵌まり込んでいる。そして、この補強板部材24と第1リブ26との間の摩擦撹拌接合による接合は、図3に示すように、補強板部材24の周縁部と第1リブ26における突起部26bとの境界、又はその近傍の補強板部材24に、図3中上方から摩擦撹拌接合を行なう不図示の装置の回転する工具のプローブが図3中下方に押し当てられることにより行なわれる。
【0026】
また、パネル20には、図4に示すように、そのパネル本体部22の第2リブ28における高さ方向(図4中、上方向)の先端部に、補強板部材24における平板部4側(図4中、下側)の面24aと互いに接触する水平接触面28aと、この第2リブ28の高さ方向において水平接触面28aよりも平板部4と反対側に突出する突起部28bとが形成されている。
【0027】
第2リブ28の突起部28bは、この第2リブ28の長さ方向(図4中、紙面に垂直の方向)の範囲全体にわたり形成されると共に、第2リブ28の厚さ方向(図4中、左右方向)の中央部に、第2リブ28の厚さ(図4中、寸法t3)よりも薄い厚さ(図4中、寸法t4)に形成されている。
【0028】
また、このような突起部28bは、補強板部材24に形成されている溝24bに嵌合するようになっている。補強板部材24と第2リブ28との間の摩擦撹拌接合手段による接合は、補強板部材24の面24aとは反対側の面24cにおける、第2リブ28の突起部28bに対応する位置に、その上方から摩擦撹拌接合を行なう不図示の装置の回転する工具のプローブが下方に向かって押し当てられることにより行なわれる。
【0029】
このような第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20によれば、図3に示すように、そのパネル本体部22の第1リブ26と補強板部材24とを、摩擦撹拌接合手段により接合する際には、補強板部材24だけでなく、第1リブ26の突起部26bに対しても、摩擦撹拌接合を行なう不図示の装置の回転する工具のプローブを同時に押し当てることができるようになるので、第1リブ26の先端部が早期に軟化を開始するようになるため、パネル本体部22の第1リブ26の先端部と補強板部材24との接合に用いる摩擦撹拌接合手段による接合のための時間を短縮することができるとともに、接合不良が発生せず確実に接合することができる。
【0030】
また、図4に示すように、パネル本体部22の第2リブ28の先端部と補強板部材24とを、摩擦撹拌接合手段により接合する際には、第2リブ28の突起部28bの先端部が、これに対応する補強板部材24が部分的に薄くなっていることにより、不図示の摩擦撹拌接合を行なう装置のプローブが押し当てられる側の面24cに接近しているので、第2リブ28の先端部が早期に軟化を開始するようになる。このため、パネル本体部22の第2リブ28の先端部と補強板部材24との接合に用いる摩擦撹拌接合手段による接合のための時間を短縮することができるとともに、接合不良が発生せず確実に接合することができる。
【0031】
次に、図5から図8は、本発明の第2の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル30(以下、パネル30と呼ぶこともある)について説明するために参照する図である。前記第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、同様の構成についての重複する説明はできるだけ省略するものとする。
【0032】
また、図6は、図5に示すパネル30のC−C線矢視断面図であるが、図5中のD−D線で切断した断面図も、図6に示すC−C線矢視断面図の形状と全く同じ形状として表されるので、D−D線矢視断面図は省略するものとする。
【0033】
本実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル30は、図5及び図6に示すように、パネル本体部32と補強板部材34とを備えている。このパネル30のパネル本体部32は、その平板部4の裏面側(図5中においては紙面に垂直方向の手前側、図6中においては上側)に、前記第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20の第1リブ26,第2リブ28のそれぞれに相当する、複数の第1リブ36,第2リブ38を備えて構成されている。
【0034】
複数の第2リブ38のそれぞれの先端部には、図7に示すように、水平接触面38aと、突起部38bが形成されている。この第2リブ38の突起部38bは、この第2リブ38の厚さ方向(図7中、左右方向)の中央部に形成され、第2リブ38の厚さ(図7中、寸法t5)よりも薄い厚さ(図7中、寸法t6)で、補強板部材34の厚さと同じ寸法の高さだけ突出するように形成されている。
【0035】
また、図5に示すように、複数の第2リブ38のそれぞれの突起部38bのうち、図5中において上下方向に伸びるように形成された第2リブ38のそれぞれの突起部38bは、その第2リブ38の長さ方向の範囲の全体にわたり連続的に形成され、同図中において左右方向に伸びるように形成された第2リブ38のそれぞれの突起部38bは、その第2リブ38の長さ方向の範囲内において、同図中の上下方向に伸びる複数の突起部38bのそれぞれにより分断され、断続的に形成されるようになっている。
【0036】
また、図8に示すように、パネル本体部32の第1リブ36のそれぞれの先端部には、上記した第2リブ38における水平接触面38aと突起部38bのそれぞれと同様の、水平接触面36aと突起部36bが形成されている。
【0037】
また、図5に示すように、この第1リブ36のそれぞれの突起部36bは、上記した第2リブ38の突起部38bと同様に、これらのうちの図5中の上下方向に伸びるように形成された第1リブ36のそれぞれの突起部36bが、その第1リブ36の長さ方向の範囲の全体にわたり連続的に形成され、左右方向に伸びるように形成された第1リブ36のそれぞれの突起部36bが、その第1リブ36の長さ方向の範囲内において、図中上下方向に伸びる第2リブ38の突起部38bのそれぞれにより分断され、断続的に形成されている。
【0038】
また、補強板部材34には、図5、図7及び図8に示すように、リブ36,38のそれぞれに形成された突起部36b,38bのそれぞれが嵌合する、複数の溝孔34bが形成されている。この複数の溝孔34bのそれぞれは、図7及び図8に示すように、その幅寸法が、突起部36bの厚さ(図7中の寸法t6)、及び突起部38bの厚さ(図8中の寸法t8)と同じ大きさの幅となるように形成されている。
【0039】
また、この複数の溝孔34bのそれぞれは、図5に示すように、突起部36b,38bのそれぞれに対応する位置に、これら突起部36b,38bのそれぞれの長さと同じ長さで形成されている。この溝孔34bのそれぞれは、補強板部材34の厚さ方向に貫通するように形成されている。
【0040】
このような第2の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル30によれば、図7及び図8に示すように、そのパネル本体部32のリブ36,38の先端部と補強板部材34とを、摩擦撹拌接合手段により接合する際には、補強板部材34だけでなく、リブ36,38の突起部36b,38bに対しても、摩擦撹拌接合を行なう不図示の装置の回転する工具のプローブを同時に押し当てることができるようになるので、リブ36,38の先端部が早期に軟化を開始するようになる。このため、パネル本体部32のリブ36,38の先端部と補強板部材34との接合に用いる摩擦撹拌接合手段による接合のための時間を短縮することができるとともに、接合不良が発生せず確実に接合することができる。
【0041】
次に、図9及び図10は、本発明の第3の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル40(以下、パネル40と呼ぶこともある)について説明するために参照する図である。本実施の形態は、前記第1の実施の形態と基本的に共通するので、前記第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、同様の構成についての重複する説明はできるだけ省略するものとする。
【0042】
本実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル40は、前記第1の実施の形態と同様に、図9及び図10に示すように、平板部4と複数のリブ26,28を有するパネル本体部42と、補強板部材44とを備えている。
【0043】
このパネル40のパネル本体部42においては、図9に示すように、同図中の上下方向に伸びるように形成されて、左右方向に互いに離れて平行に並ぶ複数の第2リブ28のうちの中央の第2リブ28の両隣りに形成された2本の第2リブ28と、左右方向に伸びるように形成されて上下方向に互いに離れて平行に並ぶ複数の第2リブ28のうちの中央の第2リブ28の両隣りに形成された2本の第2リブ28同士が、互いに対向する2本の第2リブ28同士により挟み込まれる正方形の範囲内において、前記第1の実施の形態における図4に示したのと同様の、補強板部材44を貫通しない突起部28bが形成されないようになっている。
【0044】
そして、このような正方形の上下方向及び左右方向のそれぞれの方向に伸びる2本ずつの第2リブ28のそれぞれにおける長さ範囲には、突起部28bに代わって、図10に示すように、補強板部材44を貫通する突起部28cが形成されている。図9において上下方向及び左右方向に2本ずつ形成されて計4本形成される突起部28cは、その両端部同士が繋がって四角枠状に形成されている。
【0045】
これら突起部28cのそれぞれは、この突起部28cが形成される第2リブ28のそれぞれにおける厚さ方向の内周側の端部に形成されている。また、突起部28cのそれぞれは、図10に示すように、その高さ方向に、補強板部材44の厚さと同じ高さ分だけ突出するように形成されている。
【0046】
また、パネル本体部42は、図9に示すように、この4本の突起部28cで形成される四角枠の内側において、第2リブ28の先端部に突起部28b,28cが形成されないようになっている。
【0047】
また、パネル40の補強板部材44には、その中央部に開口部44dが形成されている。この補強板部材44の開口部44dは、パネル本体部42の4本の突起部28cにより形成される四角枠の外周に嵌合するようになっている。
【0048】
また、この第3の実施の形態においても、第1リブ26の突起部26bが、第1リブ26の厚さ(図3中、寸法t1)よりも薄い厚さ(図3中、寸法t2)で補強板部材44の厚さと同じ寸法の高さだけ突出するように形成されている。そしてこの突起部26bは、図9に示すように、パネル本体部42の4辺の第1リブ26のそれぞれにおける長さ方向の範囲全体にわたって形成され、図10に示すように、第1リブ26それぞれの厚さ方向の外周側(図中左右両側)の端部に形成されている。
【0049】
このため、パネル40の補強板部材44も、このような突起部26bのそれぞれにおける長さ方向の端部同士がつながって形成される四角枠の内側に嵌まり込んでいる。
【0050】
このような第3の実施の形態に係るパネル40によれば、前記第1の実施の形態と同様に、そのパネル本体部42の第1リブ26と補強板部材44とを、摩擦撹拌接合手段により接合する際には、補強板部材44だけでなく、第1リブ26の突起部26bに対しても、摩擦撹拌接合を行なう不図示の装置の回転する工具のプローブを同時に押し当てることができるようになるので、第1リブ26の先端部が早期に軟化を開始するようになる。このため、パネル本体部42の第1リブ26の先端部と補強板部材44との接合に用いる摩擦撹拌接合手段による接合のための時間を短縮することができるとともに、接合不良が発生せず確実に接合することができる。
【0051】
また、本実施の形態に係るパネル40によれば、前記第1の実施の形態と同様に、パネル本体部42の第2リブ28と補強板部材44とを、摩擦撹拌接合手段により接合する際には、第2リブ28の突起部28bの先端部が、補強板部材44における不図示の摩擦撹拌接合を行なう装置のプローブが押し当てられる側の面44cに接近していることにより、第2リブ28の先端部が早期に軟化を開始するようになる。このため、パネル本体部42の第2リブ28の先端部と補強板部材44との接合に用いる摩擦撹拌接合手段による接合のための時間を短縮することができるとともに、接合不良が発生せず確実に接合することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係るパネル40によれば、その補強板部材44の開口部44dの縁部分と、このような開口部44dの縁部分に対応するパネル本体部42の第2リブ28とを、摩擦撹拌接合手段により接合する際には、補強板部材44だけでなく、第2リブ28の突起部28cに対しても、摩擦撹拌接合を行なう不図示の装置の回転する工具のプローブを同時に押し当てることができるようになるので、第2リブ28の先端部が早期に軟化を開始するようになる。このため、パネル本体部42の第2リブ28の先端部と補強板部材44との接合に用いる摩擦撹拌接合手段による接合のための時間を短縮することができるとともに、接合不良が発生せず確実に接合することができる。
【0053】
なお、前記第1から第3の実施の形態に係るパネル20,30,40においては、そのパネル本体部のリブ26,28,36,38の先端部と、補強板部材24,34,44とが、リブ26,28,36,38の長さ方向に沿って、摩擦撹拌接合手段により連続的に接合されるようになっていたが、断続的に接合されるようになっていてもよい。また、このように断続的に接合する場合には、接合箇所のそれぞれがスポット状になっていてもよい。
【0054】
また、前記第2の実施の形態に係るパネル30においては、図5に示すように、突起部36b,38bのうち同図中において左右方向に伸びるように形成されていたものが断続的に形成されるようになっていたが、上下方向に伸びるように形成されていた突起部36b,38bについても、これらが、その長さ方向に断続的に形成されるようになっていてもよい。
【0055】
さらに、このように断続的に形成される突起部36b,38bのそれぞれが、その長さ方向の長さが極端に短くなるように形成されることにより、図示しないが、パネル30の底面図上において、このような断続的に形成される突起部のそれぞれが、スポット状に視認できるようにされていてもよい。
【0056】
また、前記第1及び第3の実施の形態に係るパネル20,40においても、前記第2の実施の形態に係るパネル30の断続的に形成される突起部36b,38bと同様に、その突起部26b,28b,28cのそれぞれが、その長さ方向に断続的に形成されるようになっていてもよく、さらに、このように断続的に形成される突起部のそれぞれが、その長さ方向の長さが極端に短くなるように形成されることにより、図示しないが、パネル20,40の底面図上において、このような断続的に形成される突起部のそれぞれが、スポット状に視認できるようにされていてもよい。
【0057】
また、前記第1から第3の実施の形態に係るパネル20,30,40においては、そのパネル本体部のリブ26,28,36,38が格子状に配置されるように形成されていたが、格子状の配置とは異なる他の配置状態となるように形成されていてもよい。
【0058】
また、前記第1の実施の形態に係るパネル20においては、そのパネル本体部22の第1リブ26のそれぞれの長さ全体にわたり突起部26bが形成される場合と、第2リブ28のそれぞれの長さ全体にわたり突起部28bが形成される場合とを組合せて説明したが、突起部26b,28bのいずれか一方又は双方の任意の長さ範囲の部分だけが形成されるようになっていてもよい。他の実施の形態においても同様であってもよい。
【0059】
また、前記第1の実施の形態に係るパネル20においては、その突起部26bの突出高さが、補強板部材24の厚さ分となるように設定されていたが、補強板部材24の厚さ分よりも若干高くても良いし、又は若干低くてもよい。前記第2の実施の形態に係るパネル30の突起部36b,38b、及び前記第3の実施の形態に係るパネル40の突起部26b,28cも同様である。
【0060】
また、前記第1から第3の実施の形態に係るパネル20,30,40は、従来のパネル2と同様に、そのパネル本体部22,32,42がアルミニウム製のダイカスト製品であって、補強板部材24,34,44がアルミニウム製の板状の素材から切り取って形成したものであるため、パネル本体部22,32,42と補強板部材24,34,44とは互いの厳密な材質(金属組成)が異なることとなっているが、例えば、補強板部材24,34,44をダイカスト製品とすることにより、互いの材質を共通化するようにしてもよい。
【0061】
逆に、パネル本体部22,32,42と補強板部材24,34,44は、これらが摩擦撹拌接合手段により互いに接合可能なものである限り、互いに異なる材質で形成されるようになっていてもよい。
【0062】
また、前記第1から第3の実施の形態においては、本発明をそれらの実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20,30,40のそれぞれに適用した場合について説明したが、上記第1から第3の実施の形態パネル20,30,40以外の他のフリーアクセスフロア用パネルについても、そのパネル本体部と補強板部材とを摩擦撹拌接合手段により接合するような場合には、本発明を適用することができるということはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20を示す底面図である。
【図2】図1に示すフリーアクセスフロア用パネル20のB−B線矢視断面図である。
【図3】図2に示すフリーアクセスフロア用パネル20の右端部を示す部分拡大断面図である。
【図4】図2に示すフリーアクセスフロア用パネル20の第2リブ28の周辺部を示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル30を示す底面図である。
【図6】図5に示すフリーアクセスフロア用パネル30のC−C線矢視断面図である。
【図7】図6に示すフリーアクセスフロア用パネル30の第2リブ38の周辺部を示す部分拡大断面図である。
【図8】図6に示すフリーアクセスフロア用パネル30の第1リブ36の周辺部を示す部分拡大断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル40を示す底面図である。
【図10】図9に示すフリーアクセスフロア用パネル40のE−E線矢視断面図である。
【図11】従来のフリーアクセスフロア用パネル2を示す底面図である。
【図12】図11に示す従来のフリーアクセスフロア用パネル2のA−A線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0064】
2 フリーアクセスフロア用パネル
4 平板部
6 リブ
12 パネル本体部
14 補強板部材
20 フリーアクセスフロア用パネル
22 パネル本体部
24 補強板部材
24a 面
24b 溝
24c 面
26 第1リブ
26a 水平接触面
26b 突起部
28 第1リブ
28a 水平接触面
28b,28c 突起部
30 フリーアクセスフロア用パネル
32 パネル本体部
34 補強板部材
34b 溝孔
36 第1リブ
36a 水平接触面
36b 突起部
38 第2リブ
38a 水平接触面
38b 突起部
40 フリーアクセスフロア用パネル
42 パネル本体部
44 補強板部材
44c 面
44d 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板部と、この平板部の裏面側に一体的に形成される複数のリブとを有するパネル本体部と、
前記複数のリブの先端部に接合される補強板部材とを備え、
前記複数のリブの全部又はいずれかの先端部に突起部が形成され、
前記補強板部材と前記突起部とが摩擦撹拌接合手段により接合されるようにした
ことを特徴とするフリーアクセスフロア用パネル。
【請求項2】
前記突起部が、前記リブの厚さ方向の一方の端部に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のフリーアクセスフロア用パネル。
【請求項3】
前記突起部が、前記リブの厚さ方向の中央部に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のフリーアクセスフロア用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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