説明

フリーアクセスフロア用パネル

【課題】溶接を行わなくても表板部と補強部材とを確実に接合することができるフリーアクセスフロア用パネルを提供する。
【解決手段】フリーアクセスフロアの床面を構成する表板部16と、前記表板部16と対向する底部14a,14bを有し、この底部14bから前記表板部16に向かって突出する複数の補強形状部8が形成されると共に、外周部にフランジ部14cが形成された補強部材4とを備え、前記表板部16と前記補強部材4との間を摩擦撹拌接合手段により接合した。
【効果】フリーアクセスフロア用パネルにおいて溶接を行わなくても表板部と補強部材とを確実に接合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームや電算室等の部屋の床部に敷設されるフリーアクセスフロアの床面を形成するフリーアクセスフロア用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフリーアクセスフロア用パネルとしては、例えば、図5及び図6に、符号2で示すようなものがある(特許文献1参照)。この従来のフリーアクセスフロア用パネル2(以下、単にフロア用パネル2と呼ぶこともある)は、同図に示すように、単なる平板上のトップシート6(表板部)と、外周部より内側に箱状の補強部14が形成されたボトムシート4(補強部材)により構成されている。ボトムシート4とトップシート6は共に鋼板材を用いて形成されている。
【0003】
このフロア用パネル2の、ボトムシート4の補強部14の内側には、その強度を向上させるために、その底面14a(底部)からトップシート6側に高さを有する段差面14b(底部)には、多数箇所に、トップシート6に向かって突出する補強形状部8が複数形成されている。
【0004】
この補強形状部8は、プレス絞り加工により、図6に示すように略半球状に形成され、その先端部には平端部10が形成されて、図5に示すような、補強部14の内側の段差面14bの、多数箇所に配置して設けられている。
【0005】
すなわち、図5に示すフロア用パネル2は、図6に示すフロア用パネル2を同図中下側から見た状態を示すものであるから、図5に示すフロア用パネル2における、多数箇所に形成されている補強形状部8のそれぞれは、図紙面手前側が最も大きな開口径となっており、図紙面裏側に向かって深さが深くなると共に開口径が徐々に小さくすぼまっていき、図紙面裏側の突当りの平端部10において開口径が最も小さくなっている。
【0006】
図6に示すように、ボトムシート4は、その外周部に形成されたフランジ部14cと、補強形状部8の先端の平端部10がトップシート6に当接し、これらの当接部分を、スポット溶接などの溶接をすることにより、ボトムシート4がトップシート6に一体的に固定されるようになっている。図5においては、黒い枠型の帯状部分や、黒い小円部分が、溶接をしてある部分である。
【特許文献1】特開2004−124552公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のフリーアクセスフロア用パネル2においては、共に鋼板材を用いて形成されている、ボトムシート4とトップシート6が溶接により一体的に固定されるようになっていて、鋼板材同士を溶接する場合には、溶接による変色等を隠すために塗装を行うのが一般的である。この場合には、パネル全体を塗装することになるが、時間が経って後で塗装が剥がれてきて、フロア用パネル2の外観が悪くなるおそれがある。
【0008】
また、フロア用パネル2の軽量化を図るため、そのボトムシート4とトップシート6に用いられていた鋼板材を、アルミニウムを主体とするアルミニウム板材に置き換えることが考えられるが、アルミニウム板材同士の溶接はその溶接部に欠陥が生じ易いという特性を有しているので、アルミニウム板材同士の溶接を行うことには問題があった。
【0009】
また、前記ボトムシート4は絞り加工等による補強構造が必要となるため、比較的加工が容易な鋼板材を使用し、前記トップシート6はアルミニウム板材とする組合せが良いと考えられるが、鋼板材とアルミニウム板材の溶接も容易ではないという問題があった。
【0010】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、溶接を行わなくても表板部と補強部材とを確実に接合することができるフリーアクセスフロア用パネルを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明によるフリーアクセスフロア用パネルは、
フリーアクセスフロアの床面を構成する表板部と、
前記表板部と対向する底部を有し、この底部から前記表板部に向かって突出する複数の補強形状部が形成されると共に、外周部にフランジ部が形成された補強部材とを備え、
前記表板部と前記補強部材との間を摩擦撹拌接合手段により接合したことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明によるフリーアクセスフロア用パネルは、
前記表板部の周部を前記補強部材に接合したことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明によるフリーアクセスフロア用パネルは、
前記表板部の周部より内側を前記補強部材に接合したことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明によるフリーアクセスフロア用パネルは、
前記表板部と前記補強部材との間の接合部をスポット状に接合したことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明によるフリーアクセスフロア用パネルは、
前記表板部をアルミニウム板材により形成したことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明によるフリーアクセスフロア用パネルは、
前記表板部と前記補強部材を共に鋼板材により形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
このような本発明に係るフリーアクセスフロア用パネルによれば、
フリーアクセスフロアの床面を構成する表板部と、
前記表板部と対向する底部を有し、この底部から前記表板部に向かって突出する複数の補強形状部が形成されると共に、外周部にフランジ部が形成された補強部材とを備え、
前記表板部と前記補強部材との間を摩擦撹拌接合手段により接合したことにより、
溶接を行わなくても表板部と補強部材とを確実に接合することができる。
【0018】
また、本発明に係るフリーアクセスフロア用パネルによれば、
前記表板部の周部を前記補強部材に接合したことにより、フロア用パネル全体の強度や剛性を大きくすることができる。
【0019】
また、本発明に係るフリーアクセスフロア用パネルによれば、
前記表板部の周部より内側を前記補強部材に接合したことにより、フロア用パネル全体の強度や剛性をさらに大きくすることができる。また、フロア用パネルの必要な箇所に対し部分的に強度や剛性を大きくすることができる。
【0020】
また、本発明に係るフリーアクセスフロア用パネルによれば、
前記表板部と前記補強部材との間の接合部をスポット状に接合したことにより、これら両部材間の接合面積を少なくすることができるため、両部材間を接合するための加工時間を短縮することができる。
【0021】
また、本発明に係るフリーアクセスフロア用パネルによれば、
前記表板部をアルミニウム板材により形成したことにより、表板部外周の辺部分の加工が可能となるため、その辺部分の寸法精度を出しやすくすることができる。
【0022】
また、本発明に係るフリーアクセスフロア用パネルによれば、
前記表板部と前記補強部材を共に鋼板材により形成した場合でも鋼板材同士を接合するための溶接が不要となる。したがって、従来のように溶接による変色等を隠すためにフロア用パネル全体を塗装することも不要となるので、後で塗装が剥がれて鋼板材同士のフロア用パネルの外観が悪くなるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るフリーアクセスフロア用パネルを実施するための最良の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1及び図2は、本発明の第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20について説明するために参照する図である。
【0024】
図1及び図2に示す、本実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20(以下、単にフロア用パネル20と呼ぶこともある)におけるボトムシート4(補強部材)は、前記従来のフロア用パネル2におけるボトムシート4と全く同じ形状や構造を有し、その材質も同じ鋼板材を用いて形成されているので、従来のボトムシート4における同様の部分には同じ符号を用いて図示するものとする。
【0025】
これに対して、本実施の形態に係るフロア用パネル20におけるトップシート16は、前記従来のフロア用パネル2におけるトップシート6と形状は同じ板状のものではあるが、そのトップシート16の材質には、アルミニウムを主体とする金属、すなわちアルミニウム合金の板材(アルミニウム板材)が用いられている。
【0026】
前記従来のフロア用パネル2におけるボトムシート4とトップシート6は、それらの外周部同士間や、ボトムシート4に形成されている略半球状の補強形状部8の頂部と、トップシート6の平面との間をスポット溶接などの溶接により接合されていたのに対して、本実施の形態に係るフロア用パネル20においては、ボトムシート4とトップシート16の間は、上記補強形状部8の頂部とトップシート16の平面との間と共に、上記シート4、16の外周部(図1に黒い太線を用いて示す枠状の領域部分)同士間が、摩擦撹拌接合手段(Friction Stir Welding)により接合するようになっている。
【0027】
ここで、摩擦撹拌接合手段とは、例えば、特許第2712838号,第2792233号公報に記載されているように、略円柱形状の部分と、その部分の先端面から同一軸線上に突出するネジ棒状の突起部(以下、プローブと呼ぶ)とを有する工具を、その軸線回りに回転させながら接合部材同士の接合部分に対応する面、又はその近傍部の面にほぼ垂直に押し付ける。
【0028】
このときの、回転するプローブと接合部材との間の摩擦熱で、接合部材を液状化手前まで軟化させると共に、この軟化した接合部材の肉厚内に前記プローブがその先端部から入り込んで、接合部材同士間において回転するプローブの撹拌作用により塑性流動を生じさせ、接合部材同士の接合部分の金属組織を練り混ぜることにより一体化させた後、温度降下により固化するような接合手段をいう。
【0029】
本実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20における、ボトムシート4とトップシート16間の摩擦撹拌接合の作業は、まず、ボトムシート4外周部のフランジ部14c、又はトップシート16の外周部の上下いずれかのシートの表面に、その摩擦撹拌接合を行なう不図示の装置の回転する工具のプローブ先端部が押し当てられる。
【0030】
そして、このプローブがボトムシート4又はトップシート16の一方を熱により前記のように軟化させて、プローブがその他方に向かって進んで、その一方の肉厚を貫通し、プローブ先端部がその他方の肉厚の一部にも潜り込んで、それらの境界部分を液状化手前まで軟化させる。
【0031】
その後、前記プローブがボトムシート4及びトップシート16の外周部の、図1に黒い太線を用いて示す枠状の各辺の長さ方向に沿って移動していくことにより、ボトムシート4とトップシート16間の摩擦撹拌接合が行なわれる。
【0032】
このようなボトムシート4とトップシート16の外周部間の摩擦撹拌接合の他に、ボトムシート4の外周部より内側の段差面14b(底部)に多数形成されている、略半球状の補強形状部8の頂部の平端部10と、トップシート16の平面との間(図1中、黒い小円の部分)をスポット状に、上記のような摩擦撹拌接合が行なわれている。
【0033】
このような本発明の、第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20によれば、ボトムシート4とトップシート16の間を摩擦撹拌接合により接合しているために、溶接を行わなくてもボトムシート4とトップシート16とを確実に接合することができる。
【0034】
また、トップシート16の外周部をボトムシート4外周部のフランジ部14cに接合したことにより、フロア用パネル20全体の強度や剛性を大きくすることができる。
【0035】
また、トップシート16の外周部より内側における、補強形状部8の頂部とトップシート16の平面との間をも接合したことにより、フロア用パネル20全体の強度や剛性をさらに大きくすることができる。また、フロア用パネル20の必要な箇所に対し部分的に強度や剛性を大きくすることができる。
【0036】
また、トップシート16にアルミニウム板材を用いたことにより、その外周の辺部分の加工が可能となるため、トップシート16の辺部分の寸法精度を出しやすくすることができる。
【0037】
なお、この第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20においては、ボトムシート14とトップシート16の外周部間の摩擦撹拌接合を直線方向に連続して行なったが、直線方向に断続的に、或は直線方向に間隔をおいてスポット状に摩擦撹拌接合を行なってもよい。このようにした場合には、それら両部材間の接合面積を少なくすることができるため、両部材間を接合するための加工時間を短縮することができる。
【0038】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル30について説明するために参照する図である。
【0039】
前記第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20のボトムシート4は、図1に示すように、ボトムシート4の外周部より内側の段差面14b(底部)に、略半球状の補強形状部8が多数形成されていたのに対して、この第2の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル30(以下、単にフロア用パネル30と呼ぶこともある)のボトムシート24は、上記略半球状の補強形状部8の代わりに、図3に示すような、3種類の補強形状部28A、28B、28Cがそれぞれ複数形成されている点において、第1の実施の形態と異なるものである。
【0040】
すなわち、補強形状部28Aは両端部が円形状になっていて、それらの円形状がその径より小さい幅の帯状部により連結された形状となっている。補強形状部28Bは、補強形状部28Aに比べてその帯状部の長さが短い形状となっている。そして補強形状部28Cは、略直角三角形となっていて、その3つの隅部が円形状の一部により形成されている形状となっている。
【0041】
この第2の実施の形態に係るフロア用パネル30を示す図3は、従来のフロア用パネル2の説明に用いた図5に相当する図であって、この図3に示すフロア用パネル30における、ボトムシート4の底部の多数箇所に形成されている複数の補強形状部28A、28B、28Cのそれぞれは、図5に示す略半球状の補強形状部8と同様に、図紙面手前側が最も大きな開口面積となっており、図紙面裏側に向かって深さが深くなると共に、開口面積が徐々に小さくすぼまっていき、図紙面裏側のトップシート6に突当たる頂部の平端部28a,28b,28cにおいて開口面積が最も小さくなっている。そして、それらの平端部28a,28b,28cの形状は、単なる帯状や、三角形状となっている。
【0042】
一方、この第2の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル30のボトムシート24は、その材質に、前記第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20のボトムシート4と同様の、鋼板材が用いられて形成されている
【0043】
また、この第2の実施の形態に係るフロア用パネル30のトップシート16は、前記第1の実施の形態に係るフロア用パネル20のトップシート16と同様に、板状に形成されていると共に、その材質も、前記第1の実施の形態におけるトップシート16と同じアルミニウム板材を用いて形成されているので、前記第1の実施の形態におけるトップシート16と同じ符号16を用いて説明するものとする。
【0044】
また、前記第1の実施の形態に係るフロア用パネル20においては、補強形状部18の頂部の平端部10とトップシート16との接合状態はスポット状態であったのに対して、この第2の実施の形態に係るフロア用パネル30においては、補強形状部28A、28B、28Cのそれぞれの平端部28a、28b、28cとトップシート16との接合形状は、図3中に黒い太線で示すような直線状や、三角形状となっている点において、前記第1の実施の形態と異なるものである。
【0045】
前記第1の実施の形態における略半球状の補強形状部8をプレス絞り加工により形成することは、補強形状部8の数が多いこともあって、なかなか容易ではないが、この第2の実施の形態における補強形状部28A、28B、28Cのような形状の場合は、それらの数を少なくできることにより金型の数も少なくできることもあって、補強形状部が成形し易くなるので、それだけ成形コストを低減できる可能性が出てくる。
【0046】
また、前記第1の実施の形態における略半球状の補強形状部8はトップシート16との接合状態はスポット状態であるのに対して、この第2の実施の形態における補強形状部28A、28B、28Cそれぞれの平端部28a、28b、28cとトップシート16との接合状態は直線状や、三角形状となっている。このため、ボトムシート24とトップシート16との接合強度を、前記第1の実施の形態の場合よりも向上させることができるので、ボトムシート24が薄い板でも強度を大きくできる可能性が出てくる。このため、フロア用パネル30の軽量化を図ったり、ボトムシート24の高さを高くすることも可能となる。
【0047】
このような、本発明の第2の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル30によれば、ボトムシート24とトップシート16の間を摩擦撹拌接合により接合しているために、溶接を行わなくてもボトムシート24とトップシート16とを確実に接合することができる。
【0048】
また、補強形状部28A等が成形し易くなるので、それだけ成形コストを低減できる可能性が出てくる。また、ボトムシート24とトップシート16との接合強度を、前記第1の実施の形態の場合よりも向上させることができるので、ボトムシート24が薄い板でも強度を大きくできると共に、フロア用パネル30の軽量化や、ボトムシート24の高さを高くできる可能性が出てくる。
【0049】
図4は、本発明の第3の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル40(以下、単にフロア用パネル40と呼ぶこともある)について説明するために参照する図である。
【0050】
前記第2の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル30の、ボトムシート24においては、図3に示すような、3種類の補強形状部28A、28B、28Cがそれぞれ複数形成されていたが、この第3の実施の形態に係るフロア用パネル40は、2種類の補強形状部38A、38Bそれぞれが、1つ又は複数形成されている点において、前記第2の実施の形態と異なるものである。
【0051】
すなわち、補強形状部38Aは、X字状又は十字状の形状となっていて、補強形状部38Bは、略直角三角形の形状となっている。
【0052】
この第3の実施の形態に係るフロア用パネル40を示す図4は、従来のフロア用パネル2の説明に用いた図5に相当する図であって、この図4に示すフロア用パネル40における、ボトムシート34の中央部に1つ又は複数形成されている補強形状部38A、38Bのそれぞれは、図5に示す略半球状の補強形状部8と同様に、図紙面手前側が最も大きな開口面積となっており、図紙面裏側に向かって深さが深くなると共に、開口面積が徐々に小さくすぼまっていき、図紙面裏側のトップシート16に突当たる頂部の平端部38a,38bにおいて開口面積が最も小さくなっている。そして、それらの平端部38a,38bの形状は、X字状又は十字状とか、三角形状となっている。
【0053】
一方、この第3の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル40のボトムシート34は、その材質に、前記第1,第2の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20のボトムシート4,24と同様の、鋼板材が用いられて形成されている。
【0054】
また、この第3の実施の形態に係るフロア用パネル40のトップシート16は、前記第1,第2の実施の形態に係るフロア用パネル20,30のトップシート16と同様に、板状に形成されていると共に、その材質も、前記第1,第2の実施の形態におけるトップシート16と同じアルミニウム板材を用いて形成されているので、前記第1,第2の実施の形態におけるトップシート16と同じ符号16を用いて説明するものとする。
【0055】
また、前記第1の実施の形態に係るフロア用パネル20においては、補強形状部18の頂部の平端部10とトップシート16との接合状態はスポット状態であったのに対して、この第3の実施の形態に係るフロア用パネル40においては、補強形状部38A、38Bのそれぞれの平端部38a,38bとトップシート16との接合形状は、図4中に黒い太線で示すようなX字状又は十字状とか、三角形状となっている点において、前記第1の実施の形態と異なるものである。
【0056】
このような、本発明の第3の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル40によれば、ボトムシート34とトップシート16の間を摩擦撹拌接合により接合しているために、溶接を行わなくてもボトムシート24とトップシート16とを確実に接合することができる。
【0057】
また、このような第3の実施の形態に係るフロア用パネル40においても、前記第1の実施の形態における略半球状の複数の補強形状部8をプレス絞り加工するよりも、第3の実施の形態における補強形状部38A、38Bの方が、それらの数を少なくできることにより金型の数も少なくできることもあって、補強形状部が成形し易くなるので、それだけ成形コストを低減できる可能性が出てくる。
【0058】
また、このような第3の実施の形態に係るフロア用パネル40においても、補強形状部38A、38Bのそれぞれとトップシート16との接合状態は直線状や、三角形状となっているので、ボトムシート34とトップシート16との接合強度を、前記第1の実施の形態の場合よりも向上させることができるので、ボトムシート34が薄い板でも強度を大きくできる可能性が出てくる。このため、フロア用パネル40の軽量化を図ったり、ボトムシート34の高さを高くすることも可能となる。
【0059】
なお、前記第1,第2の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20,30においては、ボトムシート4,24に鋼板材を用い、トップシート16にアルミニウム板材を用いた場合について説明したが、ボトムシート4,24とトップシート16の両方に鋼板材を用いてもよく、又はそれらの部材の両方にアルミニウム板材を用いてもよく、或は、それらの部材の両方に、鋼板材やアルミニウム板材以外の材質で、互いに異なる材質、又は同じ材質を用いてもよい。
【0060】
また、ボトムシート4又は24とトップシート16の双方に鋼板材を使用した場合には、それらの間の溶接が不要となるため、従来のように溶接による変色等を隠すためにフロア用パネル全体を塗装することも不要となるので、後で塗装が剥がれて鋼板材同士のフロア用パネルの外観が悪くなるのを防止することができる。
【0061】
また、前記第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20においては、ボトムシート4とトップシート16の外周部間とを枠状の4辺の各辺に沿って直線方向に連続して接合し、上記略半球状の補強形状部8とトップシート16の平面との間にスポット状に摩擦撹拌接合をした場合について説明したが、いずれか一方の組合せのみで摩擦撹拌接合をしてもよい。
【0062】
上記のように、ボトムシート4とトップシート16の外周部間とを枠状の4辺の各辺に沿って直線方向に連続して接合した組合せだけの場合は、摩擦撹拌接合手段による接合の作業性を向上させることができる。
【0063】
また上記のように、上記略半球状の補強形状部8とトップシート16の平面との間にスポット状に摩擦撹拌接合をした組合せだけの場合は、上記ボトムシート4とトップシート16の外周部間とを枠状の4辺の各辺に沿って直線方向に連続して接合した組合せだけの場合に比べて、摩擦撹拌接合手段による接合部分の分布領域を縮小させることができると共に、摩擦撹拌接合手段による接合部分の実質的な合計面積を縮小させることができる。
【0064】
また、前記第2,第3の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル30、40においては、補強形状部28A、28B、28Cとか、補強形状部38A、38Bのような形状の補強形状部を用いたが、プレス絞り加工を容易にできる形状であれば、それらのような形状に限定されず、他のどのような形状の補強形状部を用いてもよく、また、それら補強形状部の数も限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル20を示す底面図である。
【図2】図1におけるフリーアクセスフロア用パネル20のA−A線矢視断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル30を示す底面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るフリーアクセスフロア用パネル40を示す底面図である。
【図5】従来のフリーアクセスフロア用パネル2を示す底面図である。
【図6】図5におけるフリーアクセスフロア用パネル2のA−A線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0066】
2 フリーアクセスフロア用パネル
4 ボトムシート
6 トップシート
8 補強形状部
10 平端部
14 補強部
14a 底面
14b 段差面
14c フランジ部
16 トップシート
20 フリーアクセスフロア用パネル
24 ボトムシート
28A,28B,28C 補強形状部
28a,28b,28c 平端部
30 フリーアクセスフロア用パネル
34 ボトムシート
38A,38B 補強形状部
38a,38b 平端部
40 フリーアクセスフロア用パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーアクセスフロアの床面を構成する表板部と、
前記表板部と対向する底部を有し、この底部から前記表板部に向かって突出する複数の補強形状部が形成されると共に、外周部にフランジ部が形成された補強部材とを備え、
前記表板部と前記補強部材との間を摩擦撹拌接合手段により接合した
ことを特徴とするフリーアクセスフロア用パネル。
【請求項2】
前記表板部の周部を前記補強部材に接合したことを特徴とする請求項1に記載のフリーアクセスフロア用パネル。
【請求項3】
前記表板部の周部より内側を前記補強部材に接合したことを特徴とする請求項1又は2に記載のフリーアクセスフロア用パネル。
【請求項4】
前記表板部と前記補強部材との間の接合部をスポット状に接合したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフリーアクセスフロア用パネル。
【請求項5】
前記表板部をアルミニウム材により形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフリーアクセスフロア用パネル。
【請求項6】
前記表板部と前記補強部材を共に鋼板材により形成したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のフリーアクセスフロア用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−84346(P2010−84346A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251901(P2008−251901)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】