説明

フルオレン骨格を有するポリカルボン酸の製造方法

【課題】フルオレン骨格を有するポリカルボン酸[例えば、9,9−ビス(カルボキシC1−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]を簡便にかつ効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】塩基性化合物の存在下、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表されるカルボン酸又はその誘導体(例えば、エステル、アルカリ又はアルカリ土類金属塩)とを反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオレン骨格(詳細には、9,9−ビス(フェニル)フルオレン骨格)を有するポリカルボン酸の製造方法およびこの方法により得られる新規なポリカルボン酸に関する。
【背景技術】
【0002】
9,9−ビスフェニルフルオレン骨格などのフルオレン骨格を有する化合物は、屈折率、耐熱性などにおいて優れた機能を有しており、樹脂原料などとして用いることが知られている。このようなフルオレン骨格の優れた機能を樹脂に発現する方法としては、反応性基(ヒドロキシル基、アミノ基など)を有するフルオレン化合物、例えば、ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビスアミノフェニルフルオレン(BAFL)、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)などを樹脂の構成成分として利用し、樹脂の骨格構造の一部にフルオレン骨格を導入する方法が一般的である。例えば、このようなフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂として、特開2002−284864号公報(特許文献1)には、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂で構成された成形材料が開示されている。また、特開2004−339499号公報(特許文献2)には、ビスフェノールフルオレン、ビスアミノフェニルフルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンなどを重合成分とする樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール系樹脂、アニリン系樹脂など)と、添加剤とを含有する組成物が開示されている。
【0003】
このように、従来、樹脂原料などに用いるフルオレン骨格を有する化合物としては、反応性置換基としてヒドロキシル基(フェノール性ヒドロキシル基を含む)やアミノ基を有する化合物が一般的であったが、新たな機能や特性を有するフルオレン骨格を有する樹脂などを開発するうえで、カルボキシル基を有するフルオレン骨格含有化合物が求められつつある。
【0004】
このような反応性置換基としてのカルボキシル基を有するフルオレン骨格含有化合物としては、9,9−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレンのような芳香族系ジカルボン酸の他、脂肪族系ジカルボン酸(芳香脂肪族系ジカルボン酸)の開発が求められている。このようなフルオレン骨格を有する脂肪族系ジカルボン酸は、未だ開発途上であるが、Chem. Lett, 1998, 27, 1055-1056(非特許文献1)には、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどとともに、その一化合物として、9,9−ビス[4−(2−カルボキシエトキシ)フェニル]フルオレンが開示されている。この文献では、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンの典型的な合成方法として、フルオレノン0.25モルと、フェノキシエタノール1.00モルと、3−メルカプトプロピオン酸0.0015モルとの混合物に、濃硫酸0.22モルを添加して反応を行った(収率73.8%)ことが記載されており、9,9−ビス[4−(2−カルボキシエトキシ)フェニル]フルオレンの収率は70.5%であったことが記載されている。
【0005】
しかし、この文献の合成方法では、理論量の2倍程度という大量のフェノキシ化合物(フェノキシプロピオン酸)を用いる必要があり、また、収率も十分でない。しかも、触媒として濃硫酸を用いるため、硫酸除去およびその後処理が必要であり、工業的に有利な方法とはいえない。また、触媒として、硫酸に加えて臭気の強いメルカプトプロピオン酸を使用する必要もある。さらに、この文献の方法では、反応系が粘張になりやすく、反応制御が困難となる。さらにまた、硫酸が残存すると、品質が低下する虞もある。
【特許文献1】特開2002−284864号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2004−339499号公報(特許請求の範囲、段落番号[0032])
【非特許文献1】Chem. Lett, 1998, 27, 1055-1056
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、フルオレン骨格を有するポリカルボン酸[詳細には、9,9−ビス(4−カルボキシメトキシフェニル)フルオレンなどのフルオレン骨格を有する脂肪族系ポリカルボン酸]を、簡便にかつ効率よく製造する方法およびこの方法により得られる新規なフルオレン骨格を有するポリカルボン酸を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、比較的理論量に近い割合で反応させても、高収率でフルオレン骨格を有するポリカルボン酸を製造する方法およびこの方法により得られる新規なフルオレン骨格を有するポリカルボン酸を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、フルオレン骨格を有するポリカルボン酸を、簡便にかつ工業的に有利に製造する方法およびこの方法により得られる新規なフルオレン骨格を有するポリカルボン酸を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を達成するため、フルオレン骨格を有するポリカルボン酸の製造方法について鋭意検討した結果、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類と、ハロ脂肪酸(例えば、ハロ酢酸などのハロアルカン酸)又はその誘導体(例えば、C1−4アルキルエステル、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩)とを反応させるという簡便な方法により、対応するポリカルボン酸[例えば、9,9−ビス(カルボキシメトキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC1−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]が、高い収率で効率よく得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、塩基性化合物の存在下、下記式(1)
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Rは、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基、Rは、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基、Rは脂肪族炭化水素基を示す。kは0〜4の整数、mは0〜4の整数、nは1〜5の整数である。ただし、mおよびnの合計は5以下の整数である。)
で表されるカルボン酸を製造する方法であって、下記式(2)
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、R、R、k、m、およびnは前記と同じ。)
で表される化合物と、下記式(3)
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Rは前記と同じ。)
で表されるカルボン酸又はその誘導体とを反応させる工程を含む製造方法である。
【0017】
前記式(2)において、Rは、C1−4アルキル基およびC6−10アリール基から選択された基であってもよく、mは0〜2であってもよい。また、前記式(3)において、RはC1−4アルキレン基であってもよい。
【0018】
代表的には、本発明の方法では、前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表されるカルボン酸のエステル(例えば、C1−4アルキルエステルなどのアルキルエステル)および塩(例えば、アルカリ金属塩などの金属塩)から選択された化合物とを反応させてもよい。
【0019】
本発明の方法では、比較的理論量に近い使用割合であっても収率よく式(1)で表さされるカルボン酸が得られる。そのため、本発明の方法では、例えば、前記式(2)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、式(3)で表されるカルボン酸又はその誘導体1〜1.5モル程度を使用してもよい。
【0020】
前記方法において、前記式(2)で表される化合物と前記式(3)で表されるカルボン酸又はその誘導体との反応は、特に、極性有機溶媒(例えば、アルコール類およびスルホキシド類から選択された少なくとも1種の溶媒)の存在下で行ってもよい。
【0021】
本発明には、下記式(1A)で表されるカルボン酸も含まれる。このようなカルボン酸は、前記方法により得られるカルボン酸であってもよく、他の方法(例えば、前記非特許文献1の方法)により得られるカルボン酸であってもよい。
【0022】
【化4】

【0023】
(式中、R、R、R、k、m、nは前記と同じ。ただし、mが0であり、かつnが1であるとき、Rはエチレン基ではない。)
上記式(1A)において、代表的には、RがC1−4アルキル基およびC6−10アリール基から選択された基であり、mが0〜2であり、Rがメチレン基であり、nが1〜3であってもよい。このようなカルボン酸は、9,9−ビス[4−(2−カルボキシエトキシ)フェニル]フルオレンに比べて、耐熱性などの点で優れている。
【0024】
なお、本明細書において、化合物名などの「類」とは、「置換基を有さない」場合と「置換基を有する」場合とを含み、「置換基を有していてもよい」ことを意味する場合がある。
【発明の効果】
【0025】
本発明の方法では、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類と、ハロ脂肪酸又はその誘導体とを反応させることにより、濃硫酸、メルカプトプロピオン酸などの触媒を要することなく、フルオレン骨格を有するポリカルボン酸を簡便にかつ効率よく製造できる。特に、本発明の方法は、溶媒の種類などを選択することにより、比較的理論量に近い割合で反応させても、高収率でフルオレン骨格を有するポリカルボン酸が得られる。しかも、原料のカルボン酸又はその誘導体も安価に得られる場合が多い。そのため、本発明の方法は、工業的にも有利であり、実用性が極めて高い製造プロセスである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の製造方法は、下記式(1)
【0027】
【化5】

【0028】
(式中、Rは置換基、Rは置換基、Rは脂肪族炭化水素基を示す。kは0〜4の整数、mは0〜4の整数、nは1〜5の整数である。ただし、mおよびnの合計は5以下の整数である。)
で表されるカルボン酸を製造する方法であって、下記式(2)
【0029】
【化6】

【0030】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、R、R、R、k、m、およびnは前記と同じ。)
で表される化合物と、下記式(3)
【0031】
【化7】

【0032】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Rは前記と同じ。)
で表されるカルボン酸(ハロカルボン酸、ハロ脂肪酸)又はその誘導体とを反応させる工程を少なくとも含む製造方法である。
【0033】
[式(2)で表される化合物]
前記式(2)において、基Rで表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などが挙げられ、特に、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
【0034】
また、前記式(2)において、Rで表される置換基としては、カルボキシル基以外の置換基(特に、非反応性置換基)、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1−20アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(又はトリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基など)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ナフチル基などのC6−10アリール基、好ましくはC6−8アリール基、特にフェニル基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1−20アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、さらに好ましくはC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)などのエーテル基(置換ヒドロキシル基);アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1−20アルキルチオ基、好ましくはC1−8アルキルチオ基、さらに好ましくはC1−6アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(シクロへキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基)などのチオエーテル基(置換メルカプト基);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);ヒドロキシル基;ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
【0035】
これらのうち、基Rは、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基であるのが好ましく、特に、好ましい基Rは、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)などである。
【0036】
なお、同一のベンゼン環において、mが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、2つのベンゼン環において、基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。基Rの置換位置は、特に限定されず、例えば、フェニル基の2〜6位の適当な位置(例えば、3位、3,5位など)に置換していてもよい。また、好ましい置換数mは、0〜4、好ましくは0〜3、さらに好ましくは0〜2であってもよい。なお、2つのベンゼン環において、置換数mは、互いに同一又は異なっていてもよい。
【0037】
また、前記式(2)において、ヒドロキシル基の置換数nは、1〜5であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2であってもよい。なお、置換数nは、それぞれのベンゼン環において、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。なお、ヒドロキシル基の置換位置は、特に限定されず、ベンゼン環の適当な置換位置(例えば、フェニル基の3位、4位など)に置換していればよく、好ましくは少なくとも4位に置換していてもよい(nが1のとき4位;nが2のとき、3位および4位、2および4位など)。
【0038】
代表的な式(2)で表される化合物[9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類]としては、例えば、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレンなど]が含まれ、通常、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類又は9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、特に9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類を好適に使用できる。
【0039】
9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスフェノールフルオレン又は4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノール)など]、置換基を有する9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールフルオレン)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(シクロアルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C5−8シクロアルキル−モノヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−8アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アラルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ベンジルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−8アリールC1−2アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]など}などが挙げられる。
【0040】
9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、上記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン)、9,9−ビス(3,5−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、置換基を有する9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジC1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−8アリール−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]など}などが例示できる。
【0041】
式(2)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0042】
なお、ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、市販品を使用してもよく、種々の合成方法、例えば、(a)塩化水素ガス及びメルカプトカルボン酸の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(文献[J. Appl. Polym. Sci., 27(9), 3289, 1982]、特開平6−145087号公報、特開平8−217713号公報)、(b)酸触媒(及びアルキルメルカプタン)の存在下、9−フルオレノンとアルキルフェノール類とを反応させる方法(特開2000−26349号公報)、(c)塩酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(特開2002−47227号公報)、(d)硫酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させ、炭化水素類と極性溶媒とで構成された晶析溶媒で晶析させてビスフェノールフルオレンを製造する方法(特開2003−221352号公報)などを利用して製造したものを使用してもよい。
【0043】
また、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、市販品を使用してもよく、上記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法において、フェノール類の代わりに、対応する多価アルコール類(ジヒドロキシフェノール類、トリヒドロキシフェノール類)を使用することにより製造したものを使用してもよい。
【0044】
[式(3)で表されるカルボン酸又はその誘導体]
前記式(3)において、Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0045】
また、前記式(3)において、基Rで表される脂肪族炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基[例えば、アルキレン基(アルキリデン基を含む。例えば、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基、プロピリデン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのC1−10アルキレン基、好ましくはC1−6アルキレン基、さらに好ましくはC1−4アルキレン基)などの鎖状飽和脂肪族炭化水素基;シクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基などのC5−10シクロアルキレン基)などの脂環族飽和炭化水素基など]、不飽和脂肪族炭化水素基[例えば、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペン−1,3−ジイル基などのC2−6アルケニレン基など)などの鎖状不飽和脂肪族炭化水素基;シクロアルケニレン基(例えば、シクロヘキセン−1,4−ジイル基などのC5−10シクロアルケニレン基)などの脂環族不飽和炭化水素基など]などが含まれる。
【0046】
また、基Rには、下記式(3A)で表される基なども含まれる。
【0047】
−R3a−R3b− (3A)
(式中、R3aはカルボキシル基に結合した脂肪族炭化水素基、R3bはR3aとは異なる脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基を示す。)
上記式(3A)において、R3aは、式(2)で表される化合物のカルボキシル基に結合又は隣接した脂肪族炭化水素基であり、脂肪族炭化水素基としては、前記例示の基(例えば、アルキレン基など)などが挙げられる。また、基R3bにおいて、脂肪族炭化水素基としては、通常基R3aと異なる前記例示の脂肪族炭化水素基が挙げられる。また、基R3bにおいて、芳香族炭化水素基としては、例えば、アリーレン基[例えば、フェニレン基(1,4−フェニレン基など)、ナフチレン基などのC6−10アリーレン基]などが挙げられる。代表的なR3aとR3bとの組み合わせとしては、例えば、(1)R3aがアルキレン基であり、R3bがアルキレン基でない脂肪族炭化水素基(例えば、シクロアルキレン基)である組み合わせ、(2)R3aがアルキレン基であり、R3bがアリーレン基である組み合わせなどが含まれる。
【0048】
なお、基Rで表される脂肪族炭化水素基は、式(2)で表される化合物と式(3)で表されるカルボン酸との反応を阻害しない範囲であれば、置換基(例えば、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基など)を有していてもよく、脂肪族炭化水素基には、このような置換基を有する基も含まれる。
【0049】
好ましい基Rは、鎖状脂肪族炭化水素基(例えば、C1−10アルキレン基など)であり、特にアルキレン基[例えば、メチレン基、エチレン基などの低級アルキレン基(例えば、C1−4アルキレン基)など]が好ましい。特にこれらの中でも、Rがメチレン基であるカルボン酸(又はその誘導体)は、副反応(ハロゲン化水素の発生など)が生じず、また、得られるポリカルボン酸の耐熱性向上効果なども期待できるため好ましい。
【0050】
代表的な式(3)で表されるカルボン酸には、ハロ脂肪酸、例えば、ハロ飽和脂肪酸[例えば、ハロアルカン酸(例えば、クロロ酢酸、2−クロロプロピオン酸、3−クロロプロピオン酸、α−クロロ酪酸、β−クロロ酪酸、γ−クロロ酪酸、これらのクロロアルカン酸に対応するブロモアルカン酸などのハロC2−10アルカン酸、好ましくはハロC2−6アルカン酸、さらに好ましくはハロC2−4アルカン酸)など]、ハロ不飽和脂肪酸[例えば、ハロアルケン酸(例えば、3−クロロアクリル酸、3−クロロクロトン酸、これらのクロロアルケン酸に対応するブロモアルケン酸などのハロC3−10アルケン酸、好ましくはハロC3−6アルケン酸)など]などが挙げられる。
【0051】
式(3)で表される化合物は、上記のような脂肪酸(遊離の脂肪酸)であってもよく、式(2)で表される化合物との反応(脱ハロゲン化水素反応)をより効率よく進行させるため、誘導体化されていてもよい。このようなカルボン酸の誘導体(又は反応性誘導体)としては、前記脂肪酸のカルボキシル基を保護(キャップ)し、式(2)で表される化合物との反応を阻害しない化合物であれば特に限定されず、例えば、カルボン酸のエステル[例えば、アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステルなどのC1−10アルキルエステル、好ましくはC1−6アルキルエステル、さらに好ましくはC1−4アルキルエステル)、シクロアルキルエステル(例えば、シクロヘキシルエステルなどのC5−10シクロアルキルエステル)、アリールエステル(例えば、フェニルエステルなどのC6−10アリールエステル)など]、カルボン酸の塩{例えば、金属塩[例えば、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩など)など]、アミン塩(例えば、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩などのモノ乃至トリアルキルアミン塩、ピリジン塩など)、アンモニウム塩など}などが挙げられる。
【0052】
好ましい前記誘導体には、カルボン酸のエステル{例えば、アルキルエステル[例えば、メチルエステル、エチルエステルなどの低級アルキルエステル(C1−4アルキルエステル)など]など}、カルボン酸の塩[特に、金属塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など)など]などが含まれる。
【0053】
式(3)で表されるカルボン酸又はその誘導体は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0054】
反応において、式(2)で表される化合物と、式(3)で表されるカルボン酸又はその誘導体との割合(使用割合)は、例えば、式(2)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、式(3)で表されるカルボン酸又はその誘導体1モル以上(例えば、1〜10モル)、好ましくは1〜8モル(例えば、1.01〜7モル)、さらに好ましくは1.05〜5モル(例えば、1.1〜3モル)程度であってもよい。特に、本発明では、理論量付近の割合、例えば、式(2)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、式(3)で表されるカルボン酸又はその誘導体1〜2モル(例えば、1〜1.5モル、好ましくは1〜1.3モル、さらに好ましくは1〜1.2モル)程度であっても、高収率で効率よく目的生成物を得ることができる。
【0055】
反応は、通常、塩基性化合物(塩基性触媒、塩基触媒)の存在下で行ってもよい。塩基性化合物としては、例えば、無機塩基{例えば、金属水酸化物[例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウムなど)など]、金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ又はアルカリ土類金属水素化物)、金属炭酸塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩)、金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなど)など}、有機塩基{例えば、脂肪族アミン[第1乃至3級脂肪族アミン、例えば、トリアルキルアミン(トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリブチルアミンなど)、トリシクロアルキルアミン(トリシクロヘキシルアミンなど)、メチルジシクロヘキシルアミンなどの脂肪族第3級アミン]、芳香族アミン(第1乃至3級芳香族アミン、例えば、N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン)、複素環式アミン(第1乃至3級複素環式アミン、例えば、ピコリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1−メチルイミダゾール、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−センなどの複素環式第3級アミン、ピペリジンなどの複素環式第2級アミンなど)など]などのアミン類;カルボン酸金属塩(酢酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの酢酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩など);第4級アンモニウム塩(塩化テトラエチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウムハライド;塩化ベンジルトリメチルアンモニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムハライドなど);第4級ホスホニウム塩(塩化ベンジルトリフェニルホスホニウムなど)など}などが例示できる。
【0056】
これらのうち、特に、金属水酸化物[例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウムなど)など]などの無機塩基が好ましい。
【0057】
これらの塩基性化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0058】
塩基性化合物の使用量は、その種類などにもよるが、例えば、前記式(2)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、例えば、0.1〜10モル当量、好ましくは0.5〜7モル当量、さらに好ましくは1〜6モル当量(例えば、1.2〜5モル当量)、特に1.3〜4モル当量(例えば、1.5〜3モル当量)程度であってもよい。
【0059】
式(2)で表される化合物と式(3)で表されるカルボン酸又はその誘導体との反応は、溶媒の非存在下で行ってもよく、溶媒の存在下(又は溶媒中)で行ってもよい。溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であれば限定されないが、例えば、アルコール類{例えば、アルカノール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどのC1−6アルカノール、好ましくはC1−4アルカノール、さらに好ましくはC1−3アルカノール)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(2−メトキシエタノールなどのC1−4アルコキシ−C2−4アルカノール)、シクロアルカノール(シクロヘキサノールなど)など]、グリセリンなど}、アミド類(例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのN−モノ又はジC1−4アルキルホルムアミド;N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのN−モノ又はジC1−4アルキルアセトアミドなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、硫黄化合物[スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、スルホン類(例えば、スルホランなどの環状スルホン)など]、エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類など)、炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)などの有機溶媒;水などの無機溶媒などが挙げられる。また、前記アミン類などを溶媒として用いてもよい。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0060】
好ましい溶媒には、極性有機溶媒(例えば、アルコール類、アミド類、スルホキシド類など)が挙げられ、特に、アルコール類[アルカノール(例えば、C1−4アルカノール)など]、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが好ましい。これらの中でも、イソプロパノールなどのアルカノール類は、安価であるにもかかわらず、目的生成物を高収率で生成できるため、極めて有用である。
【0061】
溶媒の割合は、例えば、式(2)で表される化合物と式(3)で表されるカルボン酸又はその誘導体との総量1重量部に対して、0.3〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、さらに好ましくは1〜30重量部程度であってもよい。
【0062】
反応温度は、例えば、0〜250℃(例えば、20〜220℃)、好ましくは30〜200℃(例えば、50〜180℃)、さらに好ましくは60〜150℃(例えば、70〜130℃)程度であってもよい。また、反応は、溶媒を還流させながら行ってもよい。
【0063】
反応時間は、特に限定されず、反応温度などに応じて適宜選択できるが、通常、1〜72時間、好ましくは2〜48時間、さらに好ましくは5〜36時間程度であってもよい。また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、減圧下、常圧下又は加圧下で行ってもよい。
【0064】
なお、生成した化合物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製してもよい。
【0065】
上記のようにして、式(1)で表されるカルボン酸(又はその誘導体)が得られる。なお、式(2)で表される化合物と、式(3)で表されるカルボン酸の誘導体とを反応させると、対応する式(2)で表される化合物の誘導体が得られる。例えば、式(3)で表されるカルボン酸のエステルを使用すると、式(1)で表されるカルボン酸のエステルが得られ、式(3)で表されるカルボン酸の金属塩を使用すると、式(1)で表されるカルボン酸の金属塩が得られる。なお、本発明には、このようなカルボン酸の誘導体も含まれる。このような場合には、式(2)で表される化合物と式(3)で表されるカルボン酸の誘導体との反応生成物に、加水分解処理や、中和処理などを行うことにより、目的生成物(式(1)で表されるカルボン酸)を得ることができる。
【0066】
本発明の方法では、濃硫酸などの触媒を使用することなく、簡便にかつ効率よく式(1)で表されるカルボン酸(フルオレン骨格を有するポリカルボン酸)を得ることができる。特に、本発明の方法は、高収率でフルオレン骨格を有するポリカルボン酸を得ることができ、大量合成も可能である。例えば、本発明の方法により得られる式(1)で表されるカルボン酸の収率は、前記式(2)で表される化合物基準で、50モル%以上(例えば、55〜100モル%)、好ましくは60モル%以上(例えば、65〜99.99モル%)、さらに好ましくは70モル%以上(例えば、75〜99.95モル%)であってもよく、90モル%以上[例えば、93モル%以上(例えば、94〜100モル%)、好ましくは95モル%以上(例えば、96〜99.99モル%)]とすることもできる。
【0067】
[式(1)で表されるカルボン酸]
以上のようにして、前記式(1)で表されるカルボン酸(フルオレン骨格を有するポリカルボン酸)が得られる。なお、前記式(1)において、R、R、R、k、m、nは前記と同じであり、好ましい態様なども前記と同じである。
【0068】
代表的な前記式(1)で表されるカルボン酸には、前記式(2)で表される化合物[9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類]に対応するカルボン酸、例えば、9,9−ビス(カルボキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(カルボキシメトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(1−カルボキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−カルボキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(1−カルボキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−カルボキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−カルボキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC1−4アルコキシフェニル)フルオレンなど}、9,9−ビス(アルキル−カルボキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(カルボキシメトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(カルボキシメトキシ)−2,6−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−カルボキシC1−4アルコキシフェニル)フルオレンなど}、9,9−ビス(アリール−カルボキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(カルボキシメトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−カルボキシC1−4アルコキシフェニル)フルオレンなど}、9,9−ビス[ジ又はトリ(カルボキシアルコキシ)フェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(カルボキシメトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(2−カルボキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(カルボキシC1−4アルコキシ)フェニル]フルオレン}などの9,9−ビス(カルボキシアルコキシフェニル)フルオレン類、これらの化合物に対応しアルコキシ基が他の脂肪族炭化水素基由来の基(例えば、シクロアルコキシ基)である化合物などが含まれる。
【0069】
特に、本発明では、前記式(1)で表されるカルボン酸の中でも、前記非特許文献1に記載の化合物、すなわち、9,9−ビス[4−(2−カルボキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどに比べて、耐熱性などの各種特性において優れた新規な化合物が得られる。
【0070】
このため、本発明には、下記式(1A)で表されるカルボン酸も含まれる。
【0071】
【化8】

【0072】
(式中、R、R、R、k、m、nは前記と同じ。ただし、mが0であり、かつnが1であるとき、Rはエチレン基ではない。)
上記式(1A)において、R、R、R、k、m、nは前記と同じであり、好ましい態様なども前記と同じである。
【0073】
前記式(1A)において、特に、好ましいRはメチレン基である。このようなカルボン酸は、Rがエチレン基である化合物などに比べて、耐熱性などの特性において優れている。
【0074】
代表的な式(1A)で表されるカルボン酸には、前記式(1)においてRがメチレン基である化合物、例えば、9,9−ビス(カルボキシメトキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(カルボキシメトキシ)フェニル]フルオレンなど}、9,9−ビス(アルキル−カルボキシメトキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(カルボキシメトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(カルボキシメトキシ)−2,6−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−カルボキシメトキシフェニル)フルオレンなど}、9,9−ビス(アリール−カルボキシメトキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(カルボキシメトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−カルボキシメトキシフェニル)フルオレンなど}などが含まれる。また、本発明には、このようなカルボン酸の誘導体(エステル、金属塩などの塩など)も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の方法では、フルオレン骨格を有するポリカルボン酸を簡便にかつ効率よく製造できる。特に、本発明の方法は、比較的理論量に近い割合で反応させても、高収率でフルオレン骨格を有するポリカルボン酸が得られるため、工業的に極めて有利である。
【0076】
このようなフルオレン骨格を有するポリカルボン酸は、高耐熱性、高屈折率、低線膨張性、高透明性などの優れた特性を有しており、これらの特性を付与又は向上させるための化合物として有用であり、例えば、樹脂原料{例えば、ポリエステル系樹脂、液晶性ポリマー、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリベンズイミダゾール、アクリル系樹脂などのポリカルボン酸又はその誘導体(低級アルキルエステルなど)を重合成分とする樹脂のポリカルボン酸原料}、機能性材料[例えば、添加剤(レジスト用添加剤など)、試薬(医薬、農薬など)の原料又は中間体など]などとして有用である。
【0077】
このようなフルオレン骨格を有するポリカルボン酸は、さまざまな用途に使用できる。具体的には、レジストなどの感光性樹脂、プリント配線基板、液晶配向膜、インク材料、発光材料(例えば、有機EL用発光材料など)、有機半導体、黒鉛化前駆体、ガス分離膜(例えば、COガス分離膜など)、コート剤(例えば、LED(発光ダイオード)用素子のコート剤などの光学用オーバーコート剤又はハードコート剤など)、レンズ[ピックアップレンズ(例えば、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)用ピックアップレンズなど)、マイクロレンズ(例えば、液晶プロジェクター用マイクロレンズなど)、眼鏡レンズなど]、偏光膜(例えば、液晶ディスプレイ用偏光膜など)、光学フィルム又は光学シート{例えば、タッチパネル用フィルム、有機EL用フィルム、フレキシブル基板用フィルム、ディスプレイ用フィルム[例えば、PDP(プラズマディスプレイ)、LCD(液晶ディスプレイ)、VFD(真空蛍光ディスプレイ)、SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)、FED(電界放出ディスプレイ)、NED(ナノ・エミッシブ・ディスプレイ)、ブラウン管、電子ペーパーなどのディスプレイ(特に薄型ディスプレイ)用フィルムなど]など}、反射防止フィルム(又は反射防止膜、例えば、表示デバイス用反射防止フィルムなど)、燃料電池用膜、光ファイバー、光導波路、ホログラムなどの材料として好適に使用できる。
【実施例】
【0078】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0079】
なお、HPLCは以下の機器および条件にて測定した。
使用機器:HITACHI L−71シリーズ
検出器:HITACHI L−7405 λ=254nm
カラム:ナカライテスク COSMOSIL 5C18−AR−11 150−4.6mm Monf. No. K52820
溶出液:THF(テトラヒドロフラン):水=50:50
流速:1mL/分。
【0080】
(実施例1)
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF、大阪ガスケミカル(株)製)10.00g(0.02857モル)、水酸化ナトリウム2.50g(0.0625モル)及びジメチルスルホキシド(DMSO)100mLを加え、100℃で1時間加熱した後、クロロ酢酸ナトリウム13.30g(0.144モル)を加えて、反応温度100℃で24時間反応させた。反応後の反応液を、水350mLに注ぎ、濃塩酸8mLを加え、析出物を濾取し、水洗後乾燥させることで、目的物を収量12.9g(収率96.9%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが0.14%、下記式で表されるジカルボン酸{9,9−ビス[4−(カルボキシメトキシ)フェニル]フルオレン}が99.86%であり、高収率および高純度で対応するジカルボン酸が得られた。
【0081】
【化9】



【0082】
H−NMR(270MHz、DMSO−d6):
δ4.61(s、4H、−O−CH−)、δ6.74−6.77(4H、Ar−H)、δ7.10−7.14(4H、Ar−H)、δ7.25−7.36(6H、Ar−H)
(実施例2)
アルゴン雰囲気下、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF、大阪ガスケミカル(株)製)10.00g(0.02857モル)、水酸化ナトリウム2.50g(0.0625モル)及びイソプロピルアルコール150mLを加え、1時間加熱還流した後、クロロ酢酸ナトリウム7.30g(0.063モル)を加えて、24時間加熱還流させた。反応後の反応液を、水350mLに注ぎ、濃塩酸8mLを加え、析出物を濾取し、水洗後乾燥させることで、目的物を収量12.6g(収率94.5%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが2.55%、ジカルボン酸{9,9−ビス[4−(カルボキシメトキシ)フェニル]フルオレン}が97.45%、その他が0.37%であり、高収率および高純度で対応するジカルボン酸が得られた。
【0083】
(実施例3)
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF、大阪ガスケミカル(株)製)20.00g(0.0586モル)、水酸化ナトリウム4.8g(0.120モル)及びジメチルスルホキシド100mLを加え、1時間加熱した後、ブロモ酢酸エチルエステル20g(0.123モル)を加えて、24時間加熱した。反応後の反応液を、氷水に注ぎ、析出物を濾取し、水洗後乾燥させることで、粗生成物を収率95%で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)の結果から、粗生成物の組成は、BPFが1.514%、モノカルボン酸エステルが13.038%、ジカルボン酸エステルが84.470%、その他が0.978%であり、ジカルボン酸に対応するエステルを高収率および高純度で得られた。
【0084】
そして、粗生成物を水酸化ナトリウム水溶液で加水分解し、目的物を得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)の結果から、反応物の組成は、対応するジカルボン酸83.406%であった(残りは未加水分解物及びBPFであった)。
【0085】
(実施例4)
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF、大阪ガスケミカル(株)製)10.00g(0.02857モル)、水酸化ナトリウム2.50g(0.0625モル)及び水100mLを加え、1時間加熱還流した後、クロロ酢酸ナトリウム13.30g(0.144モル)を加えて、24時間加熱還流させた。反応後の反応液を、水350mLに注ぎ、濃塩酸8mLを加え、析出物を濾取し、水洗後乾燥させることで、目的物を収量7.09g(収率53.2%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが6.62%、対応するモノカルボン酸が38.23%、対応するジカルボン酸が54.81%、その他が0.35%であった。
【0086】
(実施例5)
実施例4において、反応をアルゴン雰囲気下で行ったこと以外は、実施例4と同様にして目的物を収量6.84g(収率51.3%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが8.11%、対応するモノカルボン酸が38.59%、対応するジカルボン酸が52.84%、その他が0.46%であった。
【0087】
(実施例6)
実施例5において、水100mLに代えてジメチルホルムアミド100mLを使用するとともに、加熱還流に代えて反応を100℃で行ったこと以外は実施例5と同様にして目的物を収量8.91g(収率66.9%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが2.82%、対応するモノカルボン酸が28.24%、対応するジカルボン酸が68.94%であった。
【0088】
(実施例7)
実施例5において、水酸化ナトリウム2.50g(0.0625モル)に代えて、水酸化カリウム4.14g(0.0738モル)を使用したこと以外は、実施例5と同様にして目的物を収量7.00g(収率52.5%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが6.32%、対応するモノカルボン酸が39.28%、対応するジカルボン酸が54.16%、その他が0.25%であった。
【0089】
(実施例8)
実施例1において、クロロ酢酸ナトリウム13.30g(0.144モル)に代えて、クロロ酢酸ナトリウム7.30g(0.063モル)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして目的物を収量7.44g(収率55.8%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが6.17%、対応するモノカルボン酸が36.00%、対応するジカルボン酸が57.54%、その他が0.28%であった。
【0090】
(実施例9)
実施例7において、反応時間を24時間から36時間に代えたこと以外は実施例7と同様にして、目的物を収量7.24g(収率54.3%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが5.90%、対応するモノカルボン酸が5.90%、対応するジカルボン酸が56.10%、その他が0.27%であった。
【0091】
(実施例10)
実施例7において、反応時間を24時間から48時間に代えたこと以外は実施例7と同様にして、目的物を収量7.28g(収率54.6%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが6.24%、対応するモノカルボン酸が37.14%、対応するジカルボン酸が56.31%、その他が0.31%であった。
【0092】
(実施例11)
実施例1において、クロロ酢酸ナトリウム13.30g(0.144モル)に代えて、クロロ酢酸ナトリウム8.65g(0.074モル)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして目的物を収量6.72g(収率50.4%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが7.29%、対応するモノカルボン酸が40.38%、対応するジカルボン酸が52.00%、その他が0.32%であった。
【0093】
(実施例12)
実施例1において、クロロ酢酸ナトリウム13.30g(0.144モル)に代えて、クロロ酢酸ナトリウム10.00g(0.086モル)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして目的物を収量7.02g(収率52.7%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが6.61%、対応するモノカルボン酸が38.37%、対応するジカルボン酸が54.34%、その他が0.32%であった。
【0094】
(実施例13)
実施例1において、クロロ酢酸ナトリウム13.30g(0.144モル)に代えて、クロロ酢酸ナトリウム9.06g(0.078モル)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして目的物を収量6.92g(収率51.9%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが6.90%、対応するモノカルボン酸が39.29%、対応するジカルボン酸が53.50%、その他が0.30%であった。
【0095】
(実施例14)
実施例1において、クロロ酢酸ナトリウム13.30g(0.144モル)に代えて、クロロ酢酸ナトリウム3.33g(0.026モル)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして目的物を収量1.55g(収率11.7%)で得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定された結果から、反応物の組成は、BPFが40.19%、対応するモノカルボン酸が46.96%、対応するジカルボン酸が12.02%、その他が0.83%であった。
【0096】
(実施例15)
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF、大阪ガスケミカル(株)製)19.50g(0.05714モル)、水酸化カリウム7.2g(0.1091モル)及びエタノール200mLを加え、1時間加熱した後、ブロモ酢酸エチルエステル20g(0.123モル)を加えて、24時間加熱した。反応後の反応液を、氷水に注ぎ、析出物を濾取し、水洗後乾燥させることで、粗生成物を得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)の結果から、粗生成物の組成は、BPFが29.899%、モノカルボン酸エステルが47.066%、ジカルボン酸エステルが19.590%、その他が3.544%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性化合物の存在下、下記式(1)
【化1】

(式中、Rは、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基、Rは、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基、Rは脂肪族炭化水素基を示す。kは0〜4の整数、mは0〜4の整数、nは1〜5の整数である。ただし、mおよびnの合計は5以下の整数である。)
で表されるカルボン酸を製造する方法であって、下記式(2)
【化2】

(式中、R、R、k、m、およびnは前記と同じ。)
で表される化合物と、下記式(3)
【化3】

(式中、Xはハロゲン原子を示し、Rは前記と同じ。)
で表されるカルボン酸又はその誘導体とを反応させる工程を含む製造方法。
【請求項2】
式(2)において、Rが、C1−4アルキル基およびC6−10アリール基から選択された基であり、mが0〜2である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
式(3)において、RがC1−4アルキレン基である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
式(2)で表される化合物と、式(3)で表されるカルボン酸のアルキルエステルおよび塩から選択された化合物とを反応させる請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
式(2)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、式(3)で表されるカルボン酸又はその誘導体1〜1.5モルを使用する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
極性有機溶媒の存在下で反応させる請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
アルコール類およびスルホキシド類から選択された少なくとも1種の溶媒の存在下で反応させる請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
下記式(1A)で表されるカルボン酸。
【化4】


(式中、R、R、R、k、m、nは前記と同じ。ただし、mが0であり、かつnが1であるとき、Rはエチレン基ではない。)
【請求項9】
式(1A)において、RがC1−4アルキル基およびC6−10アリール基から選択された基であり、mが0〜2であり、Rがメチレン基であり、nが1〜3である請求項8記載のカルボン酸。

【公開番号】特開2009−227603(P2009−227603A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73965(P2008−73965)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】