説明

フルオロエーテル官能化芳香族ジエステル及びその誘導体

開示されているのは、フルオロビニルエーテル官能化芳香族ジエステルおよびその誘導体である。開示されている化合物は、ポリエステル類、ポリアミド類などの中で官能化モノマーおよびコモノマーとして有用である。ポリマー中にこれらモノマー類を取込むことにより、ポリマーから生成された造形品に対して改善された防汚性が付与されることが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロエーテル官能化芳香族ジエステルおよびその誘導体に関する。開示されている化合物は、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリオキサジアゾール類などの中で官能化モノマーおよびコモノマーとして有用である。ポリマー中にこれらモノマー類を取込むことにより、特に繊維内で改善された防汚性が付与されることが見出された。
【背景技術】
【0002】
フッ化材料には数多くの用途がある。詳細には、フッ化材料は、ポリマー関連産業において、そしてより詳細には繊維関連産業において使用されて、防汚性、耐水性および耐油性、ならびに改善された難燃性を付与する。一般に、これらの材料は、局所処理として塗布されるが、摩耗および流出を介した材料の喪失に起因してその有効性は経時的に低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改善された防汚性および耐油性を有するポリマー材料を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様において、本発明は、
構造(I)
【化1】

で表わされる化合物を含む組成物であって、式中、
− Arはベンゼンまたはナフタレン基を表わし;
− 各Rは独立してH、C1−C10アルキル、C5−C15アリール、C6−C20アリールアルキル;OHまたは
構造(II)
【化2】

により表わされる基であるが、但し1つのRのみがOHまたは構造(II)により表わされる基であり得ることを条件とし;
− 各R1は独立してOH、C1−C10アルコキシ、C5−C15アリールオキシ、C6−C20アリールアルコキシ;クロロ、ブロモ;またはアミノであり;
− XはOまたはCF2であり;
− ZはH、ClまたはBrであり;
− Qは、
構造(Ia)
【化3】

を表わし、ここで
a=0または1であり;
q=0〜10であり;
YはOまたはCF2であり;
Rf1は(CF2nであり、式中nは0〜10であり;
Rf2は(CF2pであり、式中pは0〜10であるが、但しpが0である場合YはCF2であることを条件とする、
組成物を提供する。
【0005】
別の形態において、本発明は、溶媒および触媒の存在下でヒドロキシ芳香族ジエステルを、
構造(III)
【化4】

[式中XはOまたはCF2であり、Qは、
構造(Ia)
【化5】

を表わし、ここで
a=0または1であり;
q=0〜10であり;
YはOまたはCF2であり;
Rf1は(CF2nであり、式中nは0〜10であり;
Rf2は(CF2pであり、式中pは0〜10であるが、但しpが0である場合YはCF2であることを条件とする]により表わされる化合物と組合せて第1の反応混合物を形成するステップと、約−70℃から反応混合物の還流温度までの範囲内の温度で第1の反応混合物を撹拌するステップと、冷却するステップとを含む方法を提供している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一範囲の数値が本明細書中で提供されている場合、別段の具体的記述のないかぎり、その範囲の端点を包含することが意図される。本明細書中で使用される数値は、ASTM E29−08第6項に概略的に記されている有効数字についての化学における標準的プロトコルにしたがって、提供された有効数字の数値精度を有する。例えば、40という数は35.0〜44.9の範囲を包含し、一方40.0という数は39.50〜40.49の範囲を包含する。
【0007】
本明細書中で使用する「フルオロビニルエーテル芳香族化合物」という用語は、構造(I)の化合物を意味する。「フルオロビニルエーテル芳香族ジエステル」という用語は、R1がC1−C10アルコキシ、C5−C15アリールオキシまたはC6−C20アリールアルコキシである構造(I)の化合物の下位分類を意味する。「フルオロビニルエーテル芳香族二酸」という用語は、R1が−OHである構造(I)の化合物の下位分類を意味するものとする。「フルオロビニルエーテル芳香族ジハロゲニド」という用語は、R1が−Clまたは−Brである、構造(I)の化合物の下位分類を意味する。「フルオロビニルエーテル芳香族ジアミン」という用語は、R1がアミンである、構造(I)の化合物の下位分類を意味する。「ペルフルオロビニル化合物」という用語は、構造(III)で表わされるオレフィン不飽和化合物を意味する。
【0008】
一態様において、本発明は、
構造(I)
【化6】

で表わされる化合物を含む組成物であって、式中、
− Arはベンゼンまたはナフタレン基を表わし;
− 各Rは独立してH、C1−C10アルキル、C5−C15アリール、C6−C20アリールアルキル;OHまたは
構造(II)
【化7】

により表わされる基であるが、但しここで1つのRのみがOHまたは構造(II)により表わされる基であり得ることを条件とし;
− 各R1は独立してOH、C1−C10アルコキシ、C5−C15アリールオキシ、C6−C20アリールアルコキシ;クロロ、ブロモ;またはアミノであり;
− XはOまたはCF2であり;
− ZはH、ClまたはBrであり;
− Qは、
構造(Ia)
【化8】

を表わし、ここで
a=0または1であり;
q=0〜10であり;
YはOまたはCF2であり;
Rf1は(CF2nであり、式中nは0〜10であり;
Rf2は(CF2pであり、式中pは0〜10であるが、但しpが0である場合YはCF2であることを条件とする、
組成物を提供する。
【0009】
一実施形態において、化合物は、
構造(IVa)
【化9】

によって表わされ、式中R、R1、Z、X、Qおよびaは上記の通りである。
【0010】
別の実施形態において、化合物は、
構造(IVb)
【化10】

によって表わされ、式中R、R1、Z、X、Qおよびaは上記の通りである。
【0011】
上述の構造中で指摘できるように、置換基は任意の点で芳香族環に付着され得、こうして以上で定義される通りオルト−、メタ−およびパラ−置換基を有することが可能となる。
【0012】
一実施形態において、1つのRはOHである。
【0013】
一実施形態において、各RはHである。
【0014】
一実施形態において、1つのRはOHであり、残りの2つのRは各々Hである。
【0015】
一実施形態において、1つのRは構造(II)により表わされ、残りの2つのRは各々Hである。
【0016】
一実施形態において、R1はC1−C10アルコキシである。さらなる実施形態において、R1はメトキシである。
【0017】
一実施形態において、R1はハロゲンである。さらなる実施形態において、R1はクロロである。
【0018】
一実施形態において、R1はヒドロキシである。
【0019】
一実施形態において、R1はアミノである。さらなる実施形態において、R1
【化11】

である。
【0020】
一実施形態において、XはOである。一変形実施形態において、XはCF2である。
【0021】
一実施形態において、YはOである。一変形形態においてYはCF2である。
【0022】
一実施形態において、ZはClまたはBrである。さらなる実施形態において、ZはClである。一変形実施形態において、1つのRは構造(II)により表わされ、1つのZはHである。さらなる実施形態において、1つのRは構造(II)により表わされ、1つのZはHであり、1つのZはClである。
【0023】
一実施形態において、Rf1はCF2である。
【0024】
一実施形態において、Rf2はCF2である。
【0025】
一実施形態において、Rf2は1つの結合であり(すなわちp=0)、YはCF2である。
【0026】
一実施形態において、各RはHであり、ZはClであり、R1はメトキシであり、XはOであり、YはOであり、Rf1はCF2であり、Rf2はペルフルオロプロペニルであり、q=1である。
【0027】
一実施形態において、a=0である。
【0028】
一実施形態において、a=1、q=0そしてn=0である。
【0029】
別の態様において、本発明は、溶媒および触媒の存在下でヒドロキシ芳香族ジエステルを、
構造(III)
【化12】

[式中XはOまたはCF2であり、Qは、
構造(Ia)
【化13】

を表わし、ここで
a=0または1であり;
q=0〜10であり;
YはOまたはCF2であり;
Rf1は(CF2nであり、式中nは0〜10であり;
Rf2は(CF2pであり、式中pは0〜10であるが、但しpが0である場合YはCF2であることを条件とする]
により表わされるペルフルオロビニル化合物と、約−70℃から反応混合物の還流温度までの範囲内の温度で接触させることによって第1の反応混合物を形成するステップを含む方法を提供している。
【0030】
一実施形態において、反応混合物は反応中撹拌される。一実施形態において、反応は、室温より高く反応混合物の還流温度よりは低い温度で発生し、反応混合物は反応後に冷却される。所望の反応収量が達成されるまで反応混合物を反応温度に保持することができる。
【0031】
一実施形態において、溶媒はハロゲン化されており、方法は、Zが対応するハロゲンであるフルオロビニルエーテル芳香族ジエステルを形成する。適切なハロゲン化溶媒には、テトラクロロメタン、テトラブロモメタン、ヘキサクロロエタンおよびヘキサブロモエタンが含まれるが、これに限定されない。一変形実施形態では、溶媒はハロゲン化されておらず、結果として得られるフルオロビニルエーテル芳香族ジエステル中でZはHである。適切な非ハロゲン化溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンおよびジメチルホルムアミド(DMF)が含まれるが、これに限定されない。こうして、本明細書中の方法における反応は、揮発性であり、溶媒および塩素化剤の両方として機能し得る塩素化試薬の存在下で実施することができる。非ハロゲン化溶媒は任意である。
【0032】
反応は、塩基により触媒される。さまざまな塩基性触媒、すなわち、フェノールを脱プロトン化することのできる任意の触媒を使用することができる。すなわち、適切な触媒はフェノールのpKa(基準として25℃の水を用いて、9.95)よりも大きいpKaを有するあらゆる触媒である。適切な触媒としては、ナトリウムメトキシド、水素化カルシウム、金属ナトリウム、カリウムメトキシドおよびカリウムt−ブトキシド、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムが含まれるがこれに限定されない。好適であるのは、カリウムt−ブトキシド、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムである。
【0033】
反応は、酸(例えば10%のHCl)を添加することによって任意の所望の点において終結させることができる。あるいは、炭酸塩触媒などの固体触媒を使用する場合、反応混合物を濾過して触媒を除去して、反応を終結させることができる。
【0034】
適切なヒドロキシ芳香族ジエステルとしては、1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート、1,4−ジエチル−2−5−ジヒドロキシテレフタレート、1,3−ジメチル4−ヒドロキシイソフタレート、1,3−ジメチル−5−ヒドロキシイソフタレート、1,3−ジメチル2−ヒドロキシイソフタレート、1,3−ジメチル2,5−ジヒドロキシイソフタレート、1,3−ジメチル2,4−ジヒドロキシイソフタレート、ジメチル3−ヒドロキシフタレート、ジメチル4−ヒドロキシフタレート、ジメチル3,4−ジヒドロキシフタレート、ジメチル4,5−ジヒドロキシフタレート、ジメチル3,6−ジヒドロキシフタレート、ジメチル4,8−ジヒドロキシナフタレン−1,5−ジカルボキシレート、ジメチル3,7−ジヒドロキシナフタレン−1,5−ジカルボキシレート、ジメチル2,6−ジヒドロキシナフタレン−1,5−ジカルボキシレートまたそれらの混合物が含まれるがこれに限定されない。
【0035】
一実施形態において、ヒドロキシ芳香族ジエステルは、1,4−ジエチル−2−5−ジヒドロキシテレフタレート、1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート、または1,3−ジメチル−5−ヒドロキシイソフタレートである。さらなる実施形態において、ヒドロキシ芳香族ジエステルは1,4−ジエチル−2−5−ジヒドロキシテレフタレートである。一変形実施形態において、ヒドロキシ芳香族ジエステルは1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレートである。一変形実施形態において、ヒドロキシ芳香族ジエステルは1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレートである。一変形実施形態において、ヒドロキシ芳香族ジエステルは、1,3−ジメチル−5−ヒドロキシイソフタレートである。
【0036】
適切なペルフルオロビニル化合物としては、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン、ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル、ペルフルオロペント−1−エン、ペルフルオロヘクス−1−エン、ペルフルオロヘプト−1−エン、ペルフルオロオクト−1−エン、ペルフルオロノン−1−エン、ペルフルオロデス−1−エンおよびそれらの混合物が含まれるが、これに限定されない。一実施形態において、ペルフルオロビニル化合物は、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパンである。一変形実施形態において、ペルフルオロビニル化合物は、ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルである。
【0037】
方法を実践するにあたっては、適切な溶媒および適切な触媒の存在下で、反応が所望の転換度に達するまで適切なヒドロキシ芳香族ジエステルと適切なペルフルオロビニル化合物を接触させる。一実施形態においては、予め選択された一定の時間スケールにわたりさらなる生成物が生成されなくなるまで反応を続ける。所望の転換度を達成するための所要反応時間は、反応温度、特定の反応混合物成分の化学反応性および反応混合物に適用される混合の度合いにより左右され、当業者であれば容易に決定可能である。反応の進行は、核磁気共鳴分光法、薄層クロマトグラフィおよびガスクロマトグラフィを含めた(ただしこれに限定されない)さまざまな立証済みの分析方法のいずれか1つを用いて監視可能である。所望の転換レベルが達成された時点で、反応混合物は上述のように急冷される。一実施形態において、このように急冷した反応混合物は真空下で濃縮され、溶媒で洗い流される。一実施形態では、構造(I)に包含される複数の化合物を単一の反応混合物の形で作ることができる。このような場合、こうして生成された生成物の分離は、例えば蒸留またはカラムクロマトグラフィなどの当業者にとって公知のあらゆる方法によって実施することができる。
【0038】
一実施形態において、この方法はさらに、以上で生成したフルオロビニルエーテル芳香族ジエステルを水溶液中で、水性塩基、好ましくはKOHまたはNaOHなどの強塩基と接触させて反応混合物を形成するステップと、反応混合物を加熱して還流させるステップと、次に混合物を室温まで冷却し、続いて、pHが0から2、好ましくはpHが1となるまで好ましくはHClまたはH2SO4などの強酸を用いて混合物を酸性化するステップとを含む。反応の所望の進行が達成されるまで、反応混合物を還流温度に保つことができる。このように実施された酸性化は、こうして生成されたフルオロビニルエーテル芳香族二酸の沈殿をひき起こす。こうして沈殿した二酸は次に、濾過および適切な溶媒(例えば酢酸エチル)からの再結晶を介して単離可能である。反応の進行は、薄層クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィおよびNMRを含めた(ただしこれに限定されない)任意の好ましい方法によって追跡可能である。
【0039】
さらなる実施形態において、この方法はさらに、このように調製したフルオロビニルエーテル芳香族二酸とSOCl2、PCl3、PCl5およびオキサリルクロリドから選択された塩化物とを接触させて、関連するペルフルオロビニルエーテル芳香族二酸クロリドを形成するステップを含む。一実施形態において、塩化物はSOCl2である。
【0040】
一変形実施形態において、この方法は、フルオロビニルエーテル芳香族ジエステルをアミンと接触させて第2の反応混合物を形成するステップと、この反応混合物を加熱して還流させるステップと、この反応混合物を冷却し次にそれを水に添加して、こうして生成されたフルオロビニルエーテル芳香族ジアミンを沈殿させるステップをさらに含む。反応混合物は、反応の所望の進行が達成されるまで還流温度に保つことができる。反応の進行は、薄層クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィおよびnmrを含めた(ただしこれに限定されない)任意の好ましい方法により追跡可能である。フルオロビニルエーテル芳香族ジアミンは、再結晶またはカラムクロマトグラフィあるいは当業者にとって公知の他の方法により精製可能である。一実施形態において、アミンはヒドラジンである。
【0041】
フルオロビニルエーテル芳香族化合物は、ひとたび調製された時点で表面保護組成物、医薬および農業用化学薬品用の中間体などの他の潜在的用途と共に、重合に適している。
【0042】
本発明は、以下の具体的実施形態においてさらに記述され説明されるが、これらの実施形態に限定されるわけではない。
【実施例】
【0043】
以下の実施例において、化学物質および試薬は受領したままの状態で使用した。
Sigma−Aldrich、Milwaukee、WI製;
− カリウムt−ブトキシド
− テトラヒドロフラン(THF)
− ジメチルホルムアミド(DMF)
− ジクロロメタン
− トリクロロメタン(クロロホルム)
− テトラクロロメタン(四塩化炭素)
− テトラブロモメタン(四臭化炭素)
− 塩酸(HCl)
− ヘキサン
− 酢酸
− 無水硫酸ナトリウム
− ジメチル5−ヒドロキシイソフタレート
− ジエチル2,5−ジヒドロキシテレフタレート
− 1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート
− 1,3−ジメチル−5−ヒドロキシイソフタレート
− 1,4−ジメチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート
− 水酸化カリウム(KOH)
− 酢酸エチル(EtOAc)
− 塩化チオニル
− ヒドラジン一水和物
【0044】
SynQuest Labs.Alachua、FL製:
− 1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン
− ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル
【0045】
実施例1:(ジエチル2,5−ビス(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート(A);(ジエチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)−5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート(B);ジエチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)−5−ヒドロキシテレフタレート(C)の調製
【化14】

【0046】
ジエチル2,5−ジヒドロキシテレフタレート(1.27g、0.005mol)、カリウムt−ブトキシド(1.12g、0.01mol)、ジメチルホルムアミド(10mL)およびテトラクロロメタン(50mL)の入った反応フラスコ内にヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル(2.66g、0.01mol)を投入して反応混合物を形成した。室温で24時間撹拌した後、反応混合物を、酢酸(約2mL)を含む水−氷混合物(約200mL)中に注ぎ込んだ。結果として得られたこの混合物をジクロロメタン(3×100mL)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。硫酸ナトリウムを混合物から濾過し、分離した濾液を減圧下で濃縮し、次にカラムクロマトグラフィにより精製して、二置換材料、化合物A(ジエチル2,5−ビス(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート、以上で示した構造)を白色固体、1.95g(45.61%の収量)、Rf0.90(1:1ジクロロメタン/ヘキサン)として得た。化合物B(ジエチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)−5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート、以上で示した構造)を0.22gの数量(5.36%の収量)で得、化合物C(ジエチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)−5−ヒドロキシテレフタレート、以上で示した構造)を0.66gの数量(22.74%の収量)で得た。
【0047】
実施例2:ジエチル2,5−ビス(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート(A);(ジエチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)−5−(1,1,2−トリフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート(B)の調製
【化15】

【0048】
ジエチル2,5−ジヒドロキシテレフタレート(1.27g、0.005mol)、カリウムt−ブトキシド(1.12g、0.01mol)、ジメチルホルムアミド(10mL)およびテトラクロロメタン(50mL)の入った反応フラスコ内にヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル(2.66g、0.01mol)を投入して反応混合物を形成した。室温で反応混合物を24時間撹拌した後、反応混合物を、酢酸(約2mL)を含む水−氷混合物(約200mL)中に注ぎ込んだ。結果として得られたこの混合物をジクロロメタン(3×100mL)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。硫酸ナトリウムを結果として得られた混合物から濾過によって分離した。分離した濾液を減圧下で濃縮し、次にカラムクロマトグラフィによって精製して、二置換材料、化合物A(ジエチル2,5−ビス(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート)を、(示差走査熱量測定、DSCにより示された)65℃の融点を有する白色固体、1.62g、Rf0.90(1:1ジクロロメタン/ヘキサン)として得た。化合物B(ジエチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)−5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート)をわずか数ミリグラムの数量、Rf0.80(1:1のジクロロメタン/へキサン)で得た。
【0049】
実施例3:(ジメチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートの調製
【化16】

【0050】
ドライボックス内で、撹拌子および均圧(PE)付加漏斗を備えオーブン乾燥された100mL入り反応フラスコに対し、1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート(1.05g、0.005mol)を添加した。その後、ジメチルホルムアミド(DMF、10.0mL)およびテトラクロロメタン(50mL)を反応フラスコに加え、次に、均質な溶液が結果として得られるまで反応混合物を撹拌した。反応フラスコにカリウムt−ブトキシド(0.154g、0.001375mol)を添加し、結果として不均質な混合物を得た。PE漏斗を介して、反応混合物に1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン(5.40g、0.0125mol)を添加した。室温(約25℃)で約24時間、反応混合物を撹拌した。10%のHClを2mL添加することにより反応を急冷した。結果として得た反応材料を減圧にて濃縮した。この材料を次にジクロロメタン(約150mL)中に溶解させ、その後、10%のHCl(2×25mL)でそして次に水(約25mL)で洗浄して、有機相と水相を形成した。分離した有機相を次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その後硫酸ナトリウムを濾過し、濾液を減圧にて濃縮して粗製材料を生成した。この粗製材料のNMRは、所望の材料、ジメチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートと少量のジメチルホルムアミドだけが存在することを示した。この粗製材料を次にカラムクロマトグラフィ(Rf0.50ジクロロメタン(1)/ヘキサン(1))で精製し、純粋材料ジメチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートを透明な油、2.60g(76.92%収量)として得た。
【0051】
実施例4:ジメチル2−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレートの調製
【化17】

【0052】
ドライボックス内で、撹拌子および均圧(PE)付加漏斗を備えオーブン乾燥された100mL入り反応フラスコに対し、1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート(1.05g、0.005mol)を添加した。その後、ジメチルホルムアミド(20.0mL)および四臭化炭素(12.5g)を反応フラスコに加え、均質な溶液が結果として得られるまで反応混合物を撹拌した。反応フラスコにカリウムt−ブトキシド(0.154g、0.001375mol)を添加し、結果として不均質な混合物を得た。PE漏斗を介して、ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル(3.325g、0.0125mol)を添加した。室温(約25℃)で約24時間、反応混合物を撹拌した。10%のHClを2mL添加することにより反応を急冷した。反応フラスコ内の結果として得た材料を減圧にて濃縮した。この材料を次にジクロロメタン(約150mL)中に溶解させ、その後、10%のHCl(2×25mL)でそして次に水(約25mL)で洗浄して、有機相と水相を形成した。分離した有機相を次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その後硫酸ナトリウムを濾過し、濾液を減圧にて濃縮して粗製材料を形成した。この粗製材料のNMRは、所望の材料ジメチル2−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレートと少量のジメチルホルムアミドおよび四臭化炭素だけが存在することを示した。この粗製材料を次にカラムクロマトグラフィで精製し、純粋材料ジメチル2−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレートを透明な油、2.280g(82.31%収量)として得た。
【0053】
実施例5:ジメチル2−(2−ブロモ−1,1,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘキサデカフルオロオクチルオキシ)テレフタレートの調製
【化18】

【0054】
ドライボックス内で、撹拌子および均圧(PE)付加漏斗を備えオーブン乾燥された100mL入り反応フラスコに対し、1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート(1.05g、0.005mol)を添加した。その後、ジメチルホルムアミド(DMF、20.0mL)および四臭化炭素(12.5g)を反応フラスコに加え、次に、均質な溶液が結果として得られるまで反応混合物を撹拌した。反応フラスコにカリウムt−ブトキシド(0.154g、0.001375mol)を添加し、結果として不均質な混合物を得た。PE漏斗を介して、反応フラスコに(3.325g、0.0125mol)を添加した。室温(約25℃)で約24時間、反応混合物を撹拌した。10%のHClを2mL添加することにより反応を急冷した。反応フラスコ内の結果として得た材料を減圧にて濃縮した。この材料を次にジクロロメタン(約150mL)中に溶解させ、その後、10%のHCl(2×25mL)で、そして次に水(約25mL)で洗浄して、有機相と水相を形成した。分離した有機相を次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その後硫酸ナトリウムを濾過し、濾液を減圧にて濃縮して粗製材料を形成した。この粗製材料を次にカラムクロマトグラフィで精製し、純粋材料ジメチル2−(2−ブロモ−1,1,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘキサデカフルオロオクチルオキシ)テレフタレートを油、2.22g(64.5%収量)として得た。
【0055】
実施例6:ジメチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレートの調製
【化19】

【0056】
ドライボックス内で、撹拌子および均圧(PE)付加漏斗を備えオーブン乾燥された丸底反応フラスコに対し、1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート(35.85g、0.185mol)を添加した。その後、ジメチルホルムアミド(DMF、170.70.0mL)およびテトラクロロメタン(約853mL)を反応フラスコに加え、均質な溶液が結果として得られるまで反応混合物を撹拌した。反応フラスコにカリウムt−ブトキシド(0.154g、0.001375mol)を添加し、結果として不均質な混合物を得た。PE漏斗を介して、ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル(113.51g、0.426mol)を添加した。室温(約25℃)で約24時間、結果として得た反応混合物を撹拌した。10%のHClを50mL添加することにより反応を急冷した。反応フラスコ内の結果として得た材料を減圧にて濃縮した。この材料を次にジクロロメタン中に溶解させ、その後、10%のHCl(2×)で、そして次に水で洗浄して、有機相と水相を形成した。分離した有機相を次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その後硫酸ナトリウムを濾過し、濾液を減圧にて濃縮して粗製材料を形成した。この粗製材料を次にカラムクロマトグラフィで精製し、純粋材料ジメチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレートを油、80.56g(92.49%収量)として得た。
【0057】
実施例7:ジメチル5−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートの調製
【化20】

【0058】
ドライボックス内で、撹拌子および均圧(PE)付加漏斗を備えオーブン乾燥された多重口反応フラスコに対し、1,3−ジメチル−5−ヒドロキシイソフタレート(42.00g、0.20mol)を添加した。その後、ジメチルホルムアミド(DMF、500mL)および四臭化炭素(200g)を反応フラスコに加えて反応混合物を形成し、均質な溶液が結果として得られるまでを撹拌した。反応フラスコにカリウムt−ブトキシド(6.16g、0.055mol)を添加し、結果として不均質な混合物を得た。PE漏斗を介して、反応フラスコに1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン(216.0g、0.50mol)を添加した。室温(約25℃)で約24時間、結果として得た反応混合物を撹拌した。10%のHClを80mL添加することにより、反応を急冷し、結果として有機相と水相の2相を得た。底部水相を取り出し、10%のHCl(2×250mL)で洗浄した。分離した有機相をシリカゲル(100g)を通して濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。結果として得た材料を減圧にて濃縮し、次にカラムクロマトグラフィで精製した。その後、結果として得た材料を分別減圧蒸留して、0.46トルで140〜145℃の沸点を有する92.84g(64.38%)の生成物ジメチル5−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートを得た。
【0059】
実施例8:ジメチル5−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートの調製
【化21】

【0060】
ドライボックス内で、撹拌子および均圧(PE)付加漏斗を備えオーブン乾燥された多重口反応フラスコに対し、1,3−ジメチル−5−ヒドロキシイソフタレート(42.00g、0.20mol)を添加した。その後、ジメチルホルムアミド(DMF、200mL)およびテトラクロロメタン(1000mL)を反応フラスコに加え、均質な溶液が結果として得られるまで撹拌した。反応フラスコにカリウムt−ブトキシド(6.16g、0.055mol)を添加し、結果として不均質な混合物を得た。次にPE漏斗を介して、反応フラスコに1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン(216g、0.50mol)を添加した。室温(約25℃)で約24時間、反応混合物を撹拌した。10%のHClを80mL添加することにより反応を急冷した。反応フラスコ内の結果として得た材料を減圧にて濃縮した。この材料を次にジクロロメタン中に溶解させ、その後、10%のHCl(2×250mL)で、そして次に水(3×100mL)で洗浄して、有機相と水相を形成した。分離した有機相を次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その後硫酸ナトリウムを濾過し、濾液を減圧にて濃縮し、次にカラムクロマトグラフィで精製し、93.4g(69.08%)収量の所望の材料ジメチル5−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートを得た。
【0061】
実施例9:ジメチル5−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)イソフタレートの調製
【化22】

【0062】
ドライボックス内で、撹拌子および均圧(PE)付加漏斗を備えオーブン乾燥された多重口反応フラスコに対し、1,3−ジメチル−5−ヒドロキシイソフタレート(42.00g、0.20mol)を添加した。その後、ジメチルホルムアミド(DMF、200mL)およびテトラクロロメタン(1000mL)を反応フラスコに加え、次に、均質な溶液が結果として得られるまで反応混合物を撹拌した。反応フラスコにカリウムt−ブトキシド(6.16g、0.055mol)を添加し、結果として不均質な混合物を得た。PE漏斗を介して、反応フラスコにヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル(133.0g、0.506mol)を添加した。室温(約25℃)で約24時間、反応混合物を撹拌した。10%のHClを80mL添加することにより反応を急冷した。反応フラスコ内の結果として得た材料を減圧にて濃縮した。この材料を次にジクロロメタン中に溶解させ、その後、10%のHCl(2×100mL)で、そして次に水(1×100mL)で洗浄して、有機相と水相を形成した。分離した有機相を次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その後硫酸ナトリウムを濾過し、濾液を減圧にて濃縮して粗製材料を形成した。この粗製材料を次にカラムクロマトグラフィで精製し、純粋材料ジメチル5−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)イソフタレートを油、87.54g(85.72%収量)として得た。
【0063】
実施例10:(ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレート
【化23】

【0064】
ドライボックス内で、撹拌子および均圧(PE)付加漏斗を備えオーブン乾燥された500mL入りの多重口反応フラスコに対し、1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート(30.25g、0.144mol)を添加した。その後、テトラヒドロフラン(THF、288mL)を反応フラスコ内の1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレートに加え、均質な溶液が結果として得られるまで混合物を撹拌した。反応フラスコにカリウムt−ブトキシド(4.435g、0.040mol)を添加し、結果として不均質な混合物を得た。PE漏斗を介して、反応フラスコに1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン(155.52g、0.36mol)を添加した。室温で約40時間、反応混合物を撹拌した。次に10%のHClを5mL添加することにより反応を急冷した。反応フラスコ内の結果として得た反応材料を減圧にて濃縮した。この材料を次にジクロロメタン(約300mL)中に溶解させ、その後、10%のHCl(2×75mL)で、そして次に水(約75mL)で洗浄して、有機相と水相を形成し、次にこれらの相を分離した。分離した有機相を次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その後硫酸ナトリウムを濾過し、残留材料を減圧にて濃縮し、次に分別減圧蒸留した。1.4〜1.1トルで、134〜136℃の範囲内の沸点を有する画分(84.55g、91.4%収量)および1.1トルで136〜138℃の範囲内の沸点を有する画分(3.35g)(組合せ収量:95.04%)を収集した。これらの試料のNMRは、所望の材料ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートであることを示していた。
【0065】
実施例11:(ジエチル2,5−ビス(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート(二置換)およびジエチル2−ヒドロキシ−5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレート(一置換)の調製
【化24】

【0066】
ドライボックス内で、撹拌子および均圧(PE)付加漏斗を備えオーブン乾燥された250mL入り多重口反応フラスコに対し、1,4−ジエチル2,5−ジヒドロキシテレフタレート(1.27g、0.005mol)を添加した。その後、テトラヒドロフラン(THF、100mL)を反応フラスコ内の1,4−ジエチル2,5−ジヒドロキシテレフタレートに加え、均質な溶液が結果として得られるまで混合物を撹拌した。反応フラスコにカリウムt−ブトキシド(0.224g、0.002mol)を添加し、結果として不均質な混合物を得た。PE漏斗を介して、反応フラスコに1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン(8.64g、0.02mol)を添加した。室温で約2時間、反応混合物を撹拌した。次に10%のHClを2mL添加することにより反応を急冷した。反応フラスコ内の結果として得た材料を減圧にて濃縮した。この材料を次にジクロロメタン(約300mL)中に溶解させ、その後、10%のHCl(2×50mL)でそして次に水(約50mL)で洗浄して、有機相と水相を形成し、その後これらの相を分離した。分離した有機相を次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その後硫酸ナトリウムを濾過し、残留材料を減圧にて濃縮した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィで精製し、結果としてジエチル2,5−ビス(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート(二置換、2.10g)およびジエチル2−ヒドロキシ−5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレート(一置換、0.22g)生成物を得た。
【0067】
実施例12:(ジエチル2,5−ビス(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレートおよびジエチル2−ヒドロキシ−5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート)の調製
【化25】

【0068】
ジエチル2,5−ジヒドロキシテレフタレート(1.27g、0.005mol)、カリウムt−ブトキシド(0.616g、0.0055mol)およびジメチルホルムアミド(DMF、50mL)の入った反応フラスコ内にヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル(1.463g、0.0055mol)を投入して反応混合物を形成した。室温で反応混合物を24時間撹拌した後、反応混合物を、酢酸(約2mL)を含む水−氷混合物(約200mL)中に注ぎ込んだ。結果として得られたこの混合物を次にジクロロメタン(3×100mL)で洗浄し、その後無水硫酸ナトリウムと組合せてその上で乾燥させた。混合物を濾過して硫酸ナトリウムを除去し、分離した濾液を次に減圧にて濃縮した。NMR分析は、材料が大量のDMFを含むことを示した。したがって材料を次にジクロロメタンで希釈し、2%の酢酸溶液で洗浄し、こうして有機相と水相を形成した。結果として得た有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過により硫酸ナトリウムから分離し、減圧にて濃縮して粗製生成物を形成した。この粗製生成物をカラムクロマトグラフィで精製して生成物ジエチル2,5−ビス(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレートおよびジエチル2−ヒドロキシ−5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート)を得た。二置換材料を0.45というRf値で得、一置換材料を0.25のRfで得た(溶媒:1:1のジクロロメタン/ヘキサン)。
【0069】
実施例13:(ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2− ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート
【化26】

【0070】
ドライボックス内で、撹拌子および均圧(PE)付加漏斗を備えオーブン乾燥された100mL入り多重口反応フラスコに対し、1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート(1.05g、0.005mol)を添加した。その後、テトラヒドロフラン(THF、50mL)を加え、結果として得た反応混合物を、均質な溶液が結果として得られるまで撹拌した。反応混合物にカリウムt−ブトキシド(0.154g、0.0014mol)を添加し、結果として不均質な混合物を得た。PE漏斗を介して、反応フラスコにヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル(3.00g、0.0125mol)を添加した。室温で約24時間、反応を撹拌した。次に10%のHClを2mL添加することにより反応を急冷した。反応フラスコ内の結果として得た材料を減圧にて濃縮した。この材料を次にジクロロメタン(約150mL)中に溶解させ、その後、10%のHCl(2×75mL)でそして次に水(約75mL)で洗浄して、有機相と水相を形成した。分離した有機相を次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その後硫酸ナトリウムを濾過し、結果として得た材料を減圧にて濃縮し、その結果2.09gの粗製材料を得た。この材料のNMR分析は、それがほとんどジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレートであることを示した。この材料の減圧蒸留は、1.40gの精製されたジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレートを結果として生成し、これは0.3トルで95〜97℃の沸点を有していた。
【0071】
実施例14:(ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)イソフタレート)
【化27】

【0072】
ドライボックス内で、撹拌子および均圧(PE)付加漏斗を備えオーブン乾燥された多重口反応フラスコに対し、ジメチル5−ヒドロキシイソフタレート(63.0g、0.300mol)を添加した。その後、テトラヒドロフラン(THF、1500mL)を反応フラスコに加え、均質な溶液が結果として得られるまで反応混合物を撹拌した。反応混合物にカリウムt−ブトキシド(9.24g、0.0825mol)を添加し、結果として不均質な混合物を得た。PE漏斗を介して、反応フラスコにヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル(199.2g、0.075mol)を添加して、反応混合物を形成した。室温で約24時間、反応混合物を撹拌した。10%のHClを80mL反応フラスコに添加することにより、反応を急冷して反応材料を形成した。結果として得た材料を減圧にて濃縮した。この材料を次にジクロロメタン(約150mL)中に溶解させ、その後、10%のHCl(2×100mL)でそして次に水(約100mL)で洗浄して、有機相と水相を形成した。分離した有機相を次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その後硫酸ナトリウムを濾過し、粗製生成物を含む結果として得た材料を減圧にて濃縮した。この粗製生成物をカラムクロマトグラフィで精製し、100.87g(70.63%)の収量の所望の材料ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)イソフタレートを結果として得た。
【0073】
実施例15:(ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレート
【化28】

【0074】
ドライボックス内で、撹拌器を備えたオーブン乾燥の丸底反応フラスコに対してテトラヒドロフラン(THF、1000mL)およびジメチル5−ヒドロキシイソフタレート(42.00g、0.20mol)添加して、反応混合物を形成した。反応フラスコにカリウムt−ブトキシド(6.16g、0.055mol)を添加した。その後、付加漏斗を介して反応混合物に1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン(216g、0.50mol)を添加し、反応を室温で撹拌した。24時間後に、10%のHClを80mL添加することで反応を終結させた。反応混合物を減圧にて濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、10%のHCl(2×100mL)で、そして次に水(2×100mL)で洗浄して水相および有機相を形成した。分離した有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次に減圧にて濃縮して粗製生成物を形成した。この粗製生成物をカラムクロマトグラフィにより精製して、86.07g(67.32%)収量の所望の材料ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートを得た。
【0075】
実施例16−35:(ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートの調製(DOE実験)
【化29】

【0076】
実験
ドライボックス内で、撹拌器を備えたオーブン乾燥の丸底反応フラスコに対してテトラヒドロフラン(THF、50mL)および1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート(1.05g、0.005mol)を添加して、反応混合物を形成した。反応混合物にカリウムt−ブトキシドを添加し、その後、反応を下表に示されている所望の温度に到達させた。付加漏斗を介して反応フラスコに1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパンを添加し、反応混合物を形成した。24時間後に、10%のHClを2mL添加することで反応を終結させた。反応混合物を減圧にて濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、10%のHCl(2×50mL)で、そして次に水(2×50mL)で洗浄して有機相および水相を形成した。分離した有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次に減圧にて濃縮し、その後真空下で乾燥させた。内部標準としてのクロロホルム(約0.60g)を添加し、プロトンNMRを介して反応混合物を分析したところ、ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートの生成が示された。
【0077】
表1

【0078】
実施例36:2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタル酸の調製
【化30】

【0079】
実施例11で調製したジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)−プロポキシ)エトキシ)テレフタレート(2.25g、0.035mol)を、反応フラスコ内の水(50mL)と水酸化カリウム(KOH、1.96g)の溶液に添加した。反応フラスコ内の結果として得た溶液を5時間加熱し、室温(約25℃)まで冷却し、その後、反応フラスコ内の沈殿物の形成により判定される約1というpHが達成されるまで反応フラスコに濃HClを添加することにより酸性化した。結果として得た沈殿物を濾過し、真空下で乾燥させた。この沈殿物のプロトンNMRは、所望の材料2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタル酸を示した。次にこの沈殿物を酢酸エチル(EtOAc、約1部分)およびヘキサン(約4部分)から結晶させた。濾過し真空下で乾燥させた後、結果として得た白色二酸である2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタル酸は、236〜239℃という融点を有していた。
【0080】
実施例37:2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタル酸の調製
【化31】

【0081】
実施例3で調製したジメチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレート(10.00g、0.0148mol)を、反応フラスコ内の水(100mL)と水酸化カリウム(KOH、8.0g)の溶液に添加した。反応フラスコ内の結果として得た溶液を一晩加熱して還流させ、室温(約25℃)まで冷却し、その後、反応フラスコ内の沈殿物の形成により判定される約1というpHを達成するために反応フラスコに濃HClを添加することにより酸性化した。結果として得た沈殿物を濾過し、真空下で乾燥させた。この沈殿物のNMRは、所望の材料2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタル酸を示した。
【0082】
実施例38:2−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタル酸の調製
【化32】

【0083】
実施例3のCCl4をCBr4で置換した点を除いて、実施例3の材料および手順を用いてジメチル2−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートを調製した。
【0084】
このように調製した10.9g(0.15mol)のジメチル2−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートを、反応フラスコ内の水(100mL)と水酸化カリウム(KOH、8.0g)の溶液に添加した。反応フラスコ内の結果として得た溶液を一晩加熱して還流させ、室温(約25℃)まで冷却し、その後、沈殿物の形成により判定される約1というpHが達成されるまで反応フラスコに濃HClを添加することにより酸性化した。結果として得た沈殿物を濾過し、真空下で乾燥させ10.90gの収量を得た。この材料のNMR(プロトンと炭素)は、所望の材料2−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタル酸を示した。
【0085】
実施例39:2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタル酸の調製
【化33】

【0086】
実施例6で調製したジメチル2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタレート(50.00g、0.35mol)を、反応フラスコ内の水(726mL)と水酸化カリウム(KOH、56.95g)の溶液に添加した。反応フラスコ内の結果として得た溶液を一晩加熱して還流させ、室温(約25℃)まで冷却し、その後、沈殿物が形成するまで濃HClを添加することにより約1のpHまで酸性化した。結果として得た沈殿物を濾過し、真空下で乾燥させた。この材料のプロトンNMRは、所望の材料2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタル酸を示した。
【0087】
実施例40:2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタロイルジクロリドの調製
【化34】

【0088】
実施例40で調製した2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)−プロポキシ)エトキシ)テレフタル酸(1.129g)を還流凝縮器、撹拌器を備えた丸底反応フラスコ内に入れ、窒素下に保った。塩化チオニル(5.8mL)を反応フラスコに添加し、反応溶液を一晩加熱して還流させた。結果として得た反応溶液を室温(約25℃)まで冷却し、余剰の塩化チオニルを真空によって除去し、NMRにより判定された所望の化合物2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタロイルジクロリドを油として得た。
【0089】
実施例41:2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタロイルジクロリドの調製
【化35】

【0090】
実施例43で調製した2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタル酸(50.99g、0.1056mol)を、撹拌器、還流凝縮器を備えたオーブン乾燥された丸底反応フラスコ内に入れ、窒素下に保って反応混合物を形成した。塩化チオニル(423mL)を反応フラスコに添加し、結果として得た反応混合物を一晩加熱して還流させた。反応混合物を室温まで冷却し、余剰の塩化チオニルを真空下で除去した。その後、結果として得た材料を減圧蒸留によって除去して、1.1トルで124〜126℃の沸点を有する、NMRにより判定された所望の材料2−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)テレフタロイルジクロリド、46.04g、74.5%収量を得た。
【0091】
実施例42:5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタロイルジクロリドの調製
【化36】

【0092】
ドライボックス内で、撹拌器を備えたオーブン乾燥の丸底反応フラスコに対してテトラヒドロフラン(THF、1000mL)およびジメチル5−ヒドロキシイソフタレート(42.00g、0.20mol)を添加して、反応混合物を形成した。反応フラスコにカリウムt−ブトキシド(6.16g、0.055mol)を添加した。その後、付加漏斗を介して反応混合物に1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン(216g、0.50mol)を添加し、反応を室温で撹拌した。24時間後に、10%のHClを80mL添加することで反応を終結させた。反応混合物を減圧にて濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、10%のHCl(2×100mL)で、そして次に水(2×100mL)で洗浄して水相および有機相を形成した。分離した有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次に減圧にて濃縮して粗製生成物を形成した。この粗製生成物をカラムクロマトグラフィにより精製して、86.07g(67.32%)収量の所望の材料ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートを得た。
【0093】
こうして調製したイソフタレートを次に、実施例36で記述されたテレフタレートからテレフタル酸への転換のための手順にしたがって対応するイソフタル酸へと加水分解し、これによりジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタル酸を調製した。
【0094】
こうして調製した5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタル酸46.63g(0.076mol)を、撹拌器、還流凝縮器を備えオーブン乾燥された丸底反応フラスコ内に入れ、窒素下に保って反応混合物を形成した。塩化チオニル(304mL)を反応フラスコに添加し、反応を一晩加熱して還流させた。反応混合物を室温(約25℃)まで冷却し、余剰の塩化チオニルを真空下で反応混合物から除去し、反応生成物を形成した。その後、結果として得た生成物を減圧蒸留して、0.60トルで116〜123℃の沸点を有する、所望の材料、5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタロイルジクロリド、38.96g、78.8%収量を得た。
【0095】
実施例43:2−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタロイルジクロリド((A)約87%)および2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタロイルジクロリド((B)約13%)の調製
【化37】

【0096】
実施例38で調製した2−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタル酸87%と実施例36で調製した2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタル酸13%を含む混合物を調製した。このように形成した混合物57.70gを、撹拌器、還流凝縮器を備えオーブン乾燥された丸底反応フラスコ内に入れ、窒素下に保って反応混合物を形成した。塩化チオニル(334mL)を反応フラスコに添加し、反応混合物を一晩加熱して還流させた。反応混合物を室温(約25℃)まで冷却し、余剰の塩化チオニルを真空下で反応混合物から除去し、反応生成物を形成した。その後、結果として得た生成物を減圧蒸留して、約0.30トルで150〜165℃の沸点を有する、所望の生成物38.96g、78.8%収量を得た。プロトンNMRは、この生成物が2−(2−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタロイルジクロリド(約87%)および2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタロイルジクロリドの混合物であることを示した。
【0097】
実施例44:2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタロヒドラジドの調製
【化38】

【0098】
実施例10で調製したジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)−プロポキシ)エトキシ)テレフタレート(4.5g、0.07mol)とヒドラジン一水和物(2.45g、0.49mol)を、メタノール(50mL)の入った丸底反応フラスコ内に入れ、反応混合物を形成した。反応フラスコは、撹拌器、還流凝縮器を備え、窒素雰囲気下に置かれた。反応混合物を一晩加熱して還流させた。その後、反応混合物を室温まで冷却し、その後水(約500mL)の中に注ぎ込み、ここから結果として沈殿物が得られた。沈殿した固体を濾過し、真空下で乾燥させ、その後、酢酸エチルから結晶化させて、2.51gの所望の材料を得た。NMR(炭素とプロトン)分析は、それが所望の材料2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタロヒドラジドであることを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(I)
【化1】

で表わされるフルオロビニルエーテル芳香族化合物を含む組成物であって、式中、
− Arはベンゼンまたはナフタレン基を表わし;
− 各Rは独立してH、C1−C10アルキル、C5−C15アリール、C6−C20アリールアルキル;OHまたは
構造(II)
【化2】

により表わされる基であるが、但し1つのRのみがOHまたは前記構造(II)により表わされる基であり得ることを条件とし;
− 各R1は独立してOH、C1−C10アルコキシ、C5−C15アリールオキシ、C6−C20アリールアルコキシ;クロロ、ブロモ;またはアミノであり;
− XはOまたはCF2であり;
− ZはH、ClまたはBrであり;
− Qは、
構造(Ia)
【化3】

を表わし、ここで
a=0または1であり;
q=0〜10であり;
YはOまたはCF2であり;
Rf1は(CF2nであり、式中nは0〜10であり;
Rf2は(CF2pであり、式中pは0〜10であるが、但しpが0である場合YはCF2であることを条件とする
組成物。
【請求項2】
Arがベンゼン基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
各Rが−−Hである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1つのRが構造(II)により表わされる基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1つのRがC1−C10アルキル、C5−C15アリール、C6−C20アリールアルキルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
1が−−OHである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
1がC1−C10アルコキシ、C5−C15アリールオキシ、C6−C20アリールアルコキシである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
1が−−Clまたは−−Brである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
R1がクロロである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
1がアミノである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
1
【化4】

である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
Zが−−Clまたは−−Brである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
各a=1、RがH、R1が−OCH3、Zが−−Cl、Xが−O−−、Yが−−CF2−−、n=1、p=0そしてq=1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
a=0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
a=1、q=0およびn=0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
溶媒および触媒の存在下でヒドロキシ芳香族ジエステルを、
構造(III)
【化5】

[式中XはOまたはCF2であり、Qは、
構造(Ia)
【化6】

を表わし、式中
a=0または1であり;
q=0〜10であり;
YはOまたはCF2であり;
Rf1は(CF2nであり、式中nは0〜10であり;
Rf2は(CF2pであり、式中pは0〜10であるが、但しpが0である場合YはCF2であることを条件とする]
により表わされるペルフルオロビニル化合物と組合せて、第1の反応混合物を形成するステップと、約−70℃から前記反応混合物の還流温度までの温度で前記第1の反応混合物を撹拌するステップと、冷却するステップとを含み、こうしてフルオロビニルエーテル芳香族ジエステルを形成する方法。
【請求項17】
前記溶媒がハロゲン化されていない、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記溶媒がハロゲン化されている、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記触媒が炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前述のように形成されたフルオロビニルエーテル芳香族ジエステルを水性塩基と組合せて第2の反応混合物を形成するステップと、前記第2の反応混合物を加熱して還流させるステップと、前記第2の反応混合物を冷却するステップと、前記第2の混合物に対し0から2のpHが達成されるまで酸を添加するステップとをさらに含み、こうしてフルオロビニルエーテル芳香族二酸を形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記フルオロビニルエーテル芳香族二酸をSOCl2、PCl3またはPCl5と組合わせて第3の反応混合物を形成するステップと、前記第3の反応混合物を加熱して還流させ、続いて冷却するステップとをさらに含み、こうしてフルオロビニルエーテル芳香族二酸クロリドを形成する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記フルオロビニルエーテル芳香族ジエステルをアミンと組合わせて第4の反応混合物を形成するステップと、前記第4の反応混合物を加熱して還流させるステップと、前記第4の反応混合物を冷却するステップと、それを水に添加して沈殿物を形成するステップとをさらに含み、こうしてフルオロビニルエーテル芳香族ジアミンを生成する、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記アミンがヒドラジンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ペルフルオロビニル化合物が1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパンまたはヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルである、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2013−503879(P2013−503879A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527997(P2012−527997)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/047473
【国際公開番号】WO2011/028767
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】