説明

フレキシブルキーボードに用いる基板及びその製造方法

【課題】厚さが500マイクロメートル(mm)以下の、薄く、軽く、且つ高度なフレキシブル性を有するキーボードを提供する。
【解決手段】厚さtを有し、第1表面S及び第2表面Sを有し、前記第2表面Sが前記第1表面Sから前記厚さtをもって隔てられている、フレキシブル膜101と、前記フレキシブル膜101に位置し、それぞれにチャンバーを有し、前記チャンバーが前記第1表面Sから前記フレキシブル膜101に形成されてその1つのキーに対応する複数の浅井戸105と、それぞれが前記浅井戸105中の1つのチャンバーに設置される複数のセンサーと、前記フレキシブル膜101に位置するパターン化導電層103と、前記パターン化導電層103に位置する粘着膜104と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、微細製造(micro fabrication)に関し、具体的には、フレキシブルキーボードに用いる基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キーボードの携帯性に対する需要が日々に増長するに伴い、多数の電子製品のように、より薄く、より軽く、且つよりフレキシブルなキーボードを提供する傾向が生じた。あるキーボードがフレキシブル材料から設計されて成り、前記フレキシブル材料は、緊密度が適当な束に巻き上げることができる。外部材料は、一般に、シリコン又はポリウレタン(polyurethane)である。このようなキーボードは、一般に、厚さが1センチメートル又は更に厚くなる。このため、厚さが500マイクロメートル(mm)以下の、更に薄く、更に軽く、且つ高度なフレキシブル性を有するキーボードを提供することが期待されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの実施形態は、フレキシブルキーボードを提供することができる。前記キーボードは、厚さを有し、第1表面及び第2表面を有し、前記第2表面が前記第1表面から前記厚さをもって隔てるフレキシブル膜と、前記フレキシブル膜に位置し、それぞれにチャンバーを有し、前記チャンバーが前記第1表面から前記フレキシブル膜に形成されてその1つのキーに対応する複数の浅井戸と、それぞれが前記浅井戸中の1つのチャンバーに設置される複数のセンサーと、前記フレキシブル膜に位置するパターン化導電層と、前記パターン化導電層に位置する粘着膜と、を備えてよい。
【0004】
本発明の他の実施形態は、フレキシブルキーボードに用いる基板を提供することができる。前記基板は、厚さを有し、第1表面及び第2表面を有し、前記第2表面が前記第1表面から前記厚さをもって隔てるフレキシブル膜と、前記フレキシブル膜に位置し、それぞれにチャンバーを有し、前記チャンバーが前記第1表面から前記フレキシブル膜に形成されて前記キーボードの1つのキーに対応する複数の浅井戸と、を備えてよい。
【0005】
添付図面を見ながら以下の本発明の詳細な実施形態を参照することによって、本発明の他の目的、美点及び新規な特徴を知ることができる。
【0006】
添付図面を見ながら本発明の上記発明内容、及び以下の好適な実施形態に対する詳細な説明を参照することによって、前記内容を更に好適に理解するようになる。本発明を例示することの便宜上、添付図面に現在の好適な実施形態を示す。しかしながら、本発明が示される適切な装置及び手段に制限されないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態によるフレキシブルキーボードの横断面の模式図を示す。
【図2】一対のマイクロパンチングモールドの横断面の模式図を示す。
【図3】本発明の実施形態によるフレキシブルキーボードを製造するための方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示す実施形態を詳細に参照する。すべての添付図面では、できるだけ同一な参照番号を用いて同一又は類似な部分を示す。
【0009】
本発明は、微細製造技術を利用して浅井戸(shallow wells)を有するフレキシブル膜を形成する。具体的には、微細製造技術を利用して薄く且つフレキシブルなポリマー膜に微細構造を形成することになり、前記薄く且つフレキシブルなポリマー膜がフレキシブルキーボードの主体として用いられる。本発明による膜における微細構造とは、開口を有する構造を指し、前記開口が第1表面から正確に制御された深さで前記膜に打ち込まれ、しかし、前記膜を打ち抜かない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態によるフレキシブルキーボード100の断面図を示す。フレキシブルキーボード100は、フレキシブル膜101、複数のセンサー102、パターン化導電層103及び粘着膜104を備える。
【0011】
フレキシブル膜101の厚さtは、150マイクロメートル(mm)〜250マイクロメートルにあってよい。フレキシブル膜101は、第1表面S及び第2表面Sを有し、前記第1表面Sと前記第2表面Sとがフレキシブル膜101の厚さtをもって離隔されている。
【0012】
フレキシブル膜101は、前記フレキシブル膜101に90%以上の透明度を持たせるポリマーを含む。例えば、前記ポリマーは、ポリエチレン・テレフタレート(PET,polyethylene terephthalate)、ポリカーボネート(PC,polycarbonate)及び光学ポリエチレンナフタレート(OPEN,optical polyethylene naphthalate)中の1つであってよい。
【0013】
OPENは、以下のような構造式を有する。
【0014】
【化1】

【0015】
複数の浅井戸105は、フレキシブル膜101に形成され、それぞれが第1表面Sに対して所定の深度Dを有する。所定の深さDは、おおよそフレキシブル膜101の厚さの半分であってよい。前記浅井戸105は、フレキシブルキーボード100の設計に応じてパターンで排列され、ぞれぞれの浅井戸105がキーボード100(例えば、QWERTYキーボード)における1つのキーに対応する。なお、各前記浅井戸105の横断面の形状及び寸法は、各前記浅井戸105の対応するキーにより異なってよい。
【0016】
各前記センサー102は、前記浅井戸105中の1つに設置されている。センサー102は、静電気を感知できる。ユーザーの指が第2表面Sの上方約1ミリメートル(mm)にて移動する場合に、第2表面Sの下に位置し、その上方に指が掛けているセンサー102は、前記ユーザーの指先の静電気を検出して、前記ユーザーが前記キーを既に選択したことを示す信号を送信することができる。
【0017】
パターン化導電層103は、前記センサー102に接続され、前記センサー102から信号を受信して前記受信した信号をプロセサー(図示せず)に伝送することができるようにパターン化されている。パターン化導電層103は、銅を含んでよく、且つ約1ミリインチ(即ち、25.4マイクロメートル)の厚さを有してよい。
【0018】
粘着膜104は、その1つの表面にポリマーコア(polymeric core)及び水接着剤(例えば、アクリルに基づく接着剤)を含んでよく、前記ポリマーコアがポリエチレン・テレフタレート、ポリカーボネート及び光学ポリエチレンナフタレート中の1つから選ばれる。粘着膜104は、厚さが100マイクロメートル〜125マイクロメートルであってよい。粘着膜104は、フレキシブル膜101の第1表面Sに付着される。
【0019】
本発明による浅井戸105を有するフレキシブル膜101は、極めて薄く且つ高度なフレキシブル性を有するキーボードを製造する手段を提供し、前記キーボードのフレキシブル性が少なくとも2巻き(720°)に巻き付ける程度に達することができる。
【0020】
図2は、フレキシブル膜101に浅井戸105を製造するための一対のマイクロパンチングモールド201、202の横断面の模式図を示す。
【0021】
前記一対のマイクロパンチングモールド201、202は、第1モールド201及び第2モールド202を含む。第1モールド201が複数の突出部201aを含み、第2モールド202が複数の浅井戸202aを含み、前記浅井戸202aが第1モールド201の複数の突出部201aに対応する。モールド201、202の寸法及び前記突出部と前記浅井戸の数は、膜の応用により異なってよく、且つ膜の応用によりカスタマイズすることができる。
【0022】
以下、図3を参照しながら、本発明の実施形態によるフレキシブルキーボード100を製造するための方法を説明する。
【0023】
まず、ステップ301では、ポリエチレン・テレフタレート、ポリカーボネート及び光学ポリエチレンナフタレート中の1つを含むひと巻きのフレキシブル膜101を広げて、前記一対のマイクロパンチングモールド201、202の間に置く。
【0024】
そして、ステップ302では、前記一対のマイクロパンチングモールド201、202で「キスタッチ(kiss−touch)」の方法によってフレキシブル膜101に対してパンチングする。具体的には、第1モールド201のフレキシブル膜101に対するパンチング力を制御することによって、第1モールド201がフレキシブル膜101を打ち抜かないようにし、フレキシブル膜101に所望の深さで複数の浅井戸105をパンチングする。
【0025】
ステップ303では、プレハブのバッキング層(back layer)を提供する。前記プレハブのバッキング層は、上記粘着膜104、パターン化導電層103及び前記センサー102を含む。
【0026】
そして、ステップ304では、前記バッキング層をパンチングされたフレキシブル膜101に付着する。
【0027】
他の実施形態では、前記センサー102、パターン化導電層103及び粘着膜104は、それぞれフレキシブル膜101に設置されている。
【0028】
なお、静電気を感知するためのセンサー102を備えるフレキシブルキーボード100の感度を向上させるために、フレキシブル薄膜101の第1表面S及び第2表面S中の1つに1層の金属膜を設置してよい。例えば、湿気の多い地域でフレキシブルキーボード100を販売しようとすれば、フレキシブル膜101の第2表面Sに1層の金属膜を塗装してよい。逆に、乾燥の地域でフレキシブルキーボード100を販売しようとすれば、フレキシブル膜101の第1表面Sに1層の金属膜を設置してよい。
【0029】
前記金属膜は、銀、白金、銅及びアルミニウムを含んでよく、且つフレキシブル膜101にスパッタリングされてよい。
【0030】
本発明の代表的な実施形態を説明する時に、本明細書では既に本発明の操作方法及び/又はプロセスを具体的な順序のステップに示した可能性がある。しかしながら、前記方法又はプロセスは、本文に記載のステップの具体的な順序に依存しないため、前記ステップの具体的な順序に制限されない。この技術における通常の知識を有する技術者は、他の順序のステップを採用してもよいことを理解すべきである。このため、本明細書に記載のステップの具体的な順序を特許請求の範囲に対する限制と見すべきではない。なお、本発明の方法及び/又はプロセスに関連する特許請求の範囲は、前記順序でその各ステップを実行するように限制されるべきではなく、且つこの技術を熟知する技術者は、前記順序が変化しても本発明の精神及び範囲内に属することを容易に理解できる。
【0031】
この技術を熟知する技術者は、上記実施形態の広い発明概念から逸脱しない条件下で、前記実施形態を変更してよいことを理解すべきである。このため、本発明は、開示した具体的な実施形態だけに制限されなく、添付の特許請求の範囲に限定された本発明の精神及び範囲に含まれる修飾のすべてをカバーする旨とする。
【符号の説明】
【0032】
100:フレキシブルキーボード
101:フレキシブル膜/フレキシブル薄膜
102:センサー
103:パターン化導電層
104:粘着膜
105:浅井戸
D:所定の深さ
:第1表面
:第2表面
t:厚さ
201:マイクロパンチングモールド/第1モールド
201a:突出部
202:マイクロパンチングモールド/第2モールド
202a:浅井戸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さを有し、第1表面及び第2表面を有し、前記第2表面が前記第1表面から前記厚さをもって隔てられている、フレキシブル膜と、
前記フレキシブル膜に位置し、それぞれにチャンバーを有し、前記チャンバーが前記第1表面から前記フレキシブル膜に形成されてその1つのキーに対応する複数の浅井戸と、
それぞれが前記浅井戸中の1つのチャンバーに設置される複数のセンサーと、
前記フレキシブル膜に位置するパターン化導電層と、
前記パターン化導電層に位置する粘着膜と、
を備えるフレキシブルキーボード。
【請求項2】
各浅井戸は、前記第1表面に対して所定の深さを有する、請求項1に記載のフレキシブルキーボード。
【請求項3】
各浅井戸の所定の深さは、前記フレキシブル膜の厚さの半分である、請求項2に記載のフレキシブルキーボード。
【請求項4】
前記フレキシブル膜の厚さは、0.15ミリメートル(mm)〜0.25ミリメートルである、請求項1に記載のフレキシブルキーボード。
【請求項5】
前記フレキシブル膜は、前記フレキシブル膜に90%以上の透明度を持たせるポリマーを含む、請求項1に記載のフレキシブルキーボード。
【請求項6】
前記ポリマーは、ポリエチレン・テレフタレート、ポリカーボネート及び光学ポリエチレンナフタレートの中の1つである、請求項5に記載のフレキシブルキーボード。
【請求項7】
前記粘着膜は、ポリエチレン・テレフタレート、ポリカーボネート及び光学ポリエチレンナフタレートの中の1つを含有するポリマーコアを含む、請求項1に記載のフレキシブルキーボード。
【請求項8】
当該フレキシブルキーボードは約0.5ミリメートルの厚さを有する、請求項1に記載のフレキシブルキーボード。
【請求項9】
前記パターン化導電層に電気的に接続されて前記センサーから信号を受信するためのプロセサーを更に備える、請求項1に記載のフレキシブルキーボード。
【請求項10】
前記フレキシブル膜の第1表面に、銀、白金、銅及びアルミニウムの少なくとも1つがスパッタリングされている、請求項1に記載のフレキシブルキーボード。
【請求項11】
前記フレキシブル膜の第2表面に、銀、白金、銅及びアルミニウムの少なくとも1つがスパッタリングされている、請求項1に記載のフレキシブルキーボード。
【請求項12】
厚さを有し、第1表面及び第2表面を有し、前記第2表面が前記第1表面から前記厚さをもって隔てられている、フレキシブル膜と、
前記フレキシブル膜に位置し、それぞれにチャンバーを有し、前記チャンバーが前記第1表面から前記フレキシブル膜に形成されてその1つのキーに対応する複数の浅井戸と、
を備えるフレキシブルキーボードに用いる基板。
【請求項13】
前記フレキシブル膜は、前記フレキシブル膜に90%以上の透明度を持たせるポリマーを含む、請求項12に記載の基板。
【請求項14】
前記ポリマーは、ポリエチレン・テレフタレート、ポリカーボネート及び光学ポリエチレンナフタレートの中の1つである、請求項13に記載の基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−47949(P2013−47949A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−178363(P2012−178363)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【出願人】(512207113)
【Fターム(参考)】