説明

フレコンパック用グラップル

【課題】トラックと集積場所との間のフレコンパックの積み上げ、積み降ろしを行う際に、フレコンパックを密に搭載可能であり、かつ密な搭載状態からでもフレコンパックを容易に把持することが可能となると共に、小型化が図れるフレコンパック用グラップルを提供することを目的とする。
【解決手段】グラップル3は作業機のフロント2に取付けられ、複数の開閉式把持爪46を有する。把持爪46を上腕部46aと側腕部46bとにより構成する。側腕部46bをその側面視が直線状をなすように形成すると共に、グラップル3を開いた状態において、側腕部46bが鉛直姿勢を取り得る構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機のフロントに取付けられ、例えば産業廃棄物、粉体、食物、土砂等の内容物を収容したフレコンパック(フレキシブルコンテナパック)をトラックと集積場所との間で積み降ろし、積み込みを行うフレコンパック用グラップルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のグラップルは、作業機のフロントに取付けられ、主として分断された鉄筋、板材、木材等の建築廃材や家電等の産業廃棄物(スクラップ)等をそのままトラックに積み込んだり、トラックから降ろす荷役作業に用いられる。このようなグラップルは、例えば特許文献1に示されるように、側面視が円弧状をなす複数本の把持爪を油圧シリンダにより開閉可能に設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−214026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築廃材の内、コンクリートブロック等の産業廃棄物は、土壌改良剤等として再利用に供するため、可撓性のある合成樹脂製や縫製のフレコンパックに詰め込み、処理工場にトラック輸送する。この場合、グラップルを用いてトラックにフレコンパックを積み込んだり積み降ろしをすることもある。
【0005】
しかしながら、従来のグラップルは、把持爪が弧状をなすため、フレコンパックを把持爪にて把持してトラックに積み込む際に、把持爪の外面の弧状に突出した部分が邪魔になり、トラックの荷台上に複数のフレコンパックを密に詰め込むことが容易ではない。また、トラックの荷台上に密に詰め込まれたフレコンパックに把持爪を差し込んでフレコンパックを把持しようとしても、把持爪の外面の弧状に突出した部分が隣接するフレコンパックに干渉され、フレコンパックの中間部分以下の部分を把持することが困難である。このため、トラック上へのフレコンパックの密な積み込み、積み降ろしが困難であり、作業効率が悪くなるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、トラックと集積場所との間のフレコンパックの積み上げ、積み降ろしを行う際に、フレコンパックを密に搭載可能であり、かつ密な搭載状態からでもフレコンパックを容易に把持することが可能となると共に、小型化が図れるフレコンパック用グラップルを提供することを目的とする。また、本発明は、フレコンパックを破損することなく把持することができるグラップルを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のフレコンパック用グラップルは、作業機のフロントに取付けられ、複数の開閉式把持爪を有するフレコンパック用グラップルにおいて、
前記把持爪を上腕部と側腕部とにより構成し、
前記側腕部の内面をその側面視が直線状をなすように形成すると共に、グラップルを開いた状態において、前記側腕部が鉛直姿勢を取り得るフロントへの取付け構造を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2のフレコンパック用グラップルは、請求項1に記載のフレコンパック用グラップルにおいて、
前記上腕部の内面をその側面視が直線状をなすように形成すると共に、グラップルを開いて前記側腕部の内面が鉛直姿勢となった状態において、前記上腕部の内面が水平姿勢となるフロントへの取付け構造を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3のフレコンパック用グラップルは、請求項1または2に記載のフレコンパック用グラップルにおいて、
前記グラップルの下端の内面にフレコンパックに当接させるパッドを取付け、
前記パッドは、前記把持爪の下端部の幅より広く、かつその周囲を滑らかに形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4のフレコンパック用グラップルは、請求項3に記載のフレコンパック用グラップルにおいて、
前記パッドの周囲を滑らかな形状とする丸棒をパッドの板状部の周囲に溶接し、前記丸棒を板状部よりグラップルの内側に突出させて設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5のフレコンパック用グラップルは、請求項4に記載のフレコンパック用グラップルにおいて、
前記パッドの内面に滑り止め用のゴムを、前記丸棒よりグラップルの内側に突出させて設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、前記側腕部の内面の側面視を直線状に形成し、グラップルを開いた状態において、側腕部が鉛直姿勢を取り得る構造としたので、フレコンパックをトラックに積み込む際に、側腕部が搭載済みのフレコンパックやトラックの荷台の側部の枠に干渉されてフレコンパックの積み込み密度を低下させることが防止され、フレコンパックの密状態での搭載が可能となる。
【0013】
また、トラックの荷台上や集積場所にフレコンパックが密に搭載あるいは集積されていても、グラップルの側腕部が直線状をなして鉛直姿勢をとりうる構造としたので、フレコンパックの間の隙間に側腕部を容易に挿入することが可能となり、密に搭載あるいは集積されたフレコンパックの積み降ろしや移動を容易に行うことが可能となる。
【0014】
また、把持爪の側腕部が直線状をなし、グラップルを開いた状態において、側腕部の外面が外方に膨出しない構造であるため、グラップルの小型化が実現できる。
【0015】
請求項2の発明によれば、前記上腕部を直線状に形成し、グラップルを開いた状態において、前記上腕部が水平姿勢を取り得る構造としたので、グラップルを開いた状態において、グラップルの内部がフレコンパックの外形に対応した逆U字形となり、フレコンパックを把持する上で最小の形状が実現でき、グラップルのさらなる小型化が可能となる。
【0016】
請求項3の発明によれば、把持爪の下端部の幅より広く、かつ周囲を滑らかに形成したパッドを設けたので、把持爪をフレコンパック間に挿入する際、あるいはフレコンパックを把持する際に、把持爪によるフレコンパックの損傷を回避することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、パッドの周囲を滑らかな形状とする丸棒をパッドの板状部の周囲に溶接し、丸棒を板状部より内側に突出させたので、パッドの周囲の滑らかな部分の形成を、大がかりな鋳物製造装置を用いることなく、丸棒の折り曲げと溶接により比較的容易に製造することが可能となる。
【0018】
請求項5の発明によれば、パッドの内面に滑り止め用のゴムを、パッドより内側に突出させて設けたので、フレコンパックの把持の際に、ゴムがフレコンパックにパッドより先行して当接し、フレコンパックを滑り止めした状態で確実に把持する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のフレコンパック用グラップルの一実施の形態を示すフレコンパック処理作業機の側面図である。
【図2】図1のフレコンパック処理作業機の作業機本体を示す正面図である。
【図3】図1のフレコンパック処理作業機のグラップルを示す側面図である。
【図4】図3のグラップルの旋回装置以下の部分を示す平面図である。
【図5】図3のグラップルのパッドの一例を示す側面図である。
【図6】図4のパッドを示す正面図である。
【図7】この実施の形態のフレコンパック処理作業機によるフレコンパックの積み降ろし作業状態を示す側面図である。
【図8】この実施の形態のフレコンパック用グラップルを用いた場合のフレコンパックと把持爪との配置図である。
【図9】本発明のフレコンパック用グラップルの他の適用例を示すフレコンパック処理作業機の側面図である。
【図10】図9の作業機における揺動アームの下部走行体に対する取付け構造を示す側面図である。
【図11】図10の平面図である。
【図12】図9の作業機に備える切断装置の一例を示す側面図である。
【図13】図12の切断装置の平面図である。
【図14】図12の切断装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の一実施の形態のフレコンパック用グラップル3を備えたフレコンパック処理作業機を示す。図1に示すように、このフレコンパック処理作業機は、作業機本体1と、この作業機本体1に取付けられた多関節フロント2と、多関節フロント2の先端に取付けられたグラップル3とにより構成される。
【0021】
図2はフレコンパック処理作業機の作業機本体の正面である。図1、図2に示すように、作業機本体1は、下部走行体6と、下部走行体6を構成するトラックフレーム7のセンターフレーム7a上に旋回装置8を介して設置された上部旋回体9と、上部旋回体9上に設置されたパワーユニット10と、上部旋回体9に取付けられた運転室11とを備える。7bはセンターフレーム7aの左右に取付けたサイドフレームであり、このサイドフレーム7bの後端に走行モータ(図示せず)により駆動される駆動輪12を取付け、前端に従動輪13を取付け、駆動輪12と従動輪13に履帯14を掛け回し、サイドフレーム7bと履帯14との間にガイドローラ15を介在させて下部走行体6が構成される。なお下部走行体6としてはホイール式のものを用いることも可能である。
【0022】
図1、図2に示すように、この実施の形態においては、運転室11として上下位置を変更可能なリフトキャブを用いた場合について示す。このリフトキャブは、上部旋回体9に設置した支持フレーム25と運転室11とを平行リンク26,27により連結し、平行リンク26(27でもよい)と支持フレーム25または上部旋回体9との間に運転室11を上下動させるための油圧シリンダ28を取付けて構成される。このリフトキャブは作業中に油圧シリンダ28の作動により運転室11の位置を高所に持ち上げて作業対象物を見渡し易くする。なお、本発明は、運転室11が上部旋回体9に前後に変位可能に取付けられるものや、前後のみならず上下にも変位可能に取付けられるものや上部旋回体9上に固定式に据え付けられるものにも適用できる。さらに、本発明のグラップルは、自走式ではなく、据え付け式作業機のフロントに取付けて用いることもできる。
【0023】
多関節フロント2は、上部旋回体9にブームシリンダ30により起伏可能に取付けられたブーム31と、ブーム31の先端にアームシリンダ32により上下方向に回動可能に取付けられたアーム33とを備える。なお多関節フロントとして3本のアームをピン連結したものや伸縮アームを含むもの等も用いることができる。
【0024】
図1において、35は作業具の交換を迅速化するためにアーム33に取付けたアダプタである。36はこのアダプタ35介して作業具としてのグラップル3を回動させるための油圧シリンダである。この油圧シリンダ36は、一端をアーム33にピン付けし、他端をアームリンク37と作業具リンク38の各一端に連結する。アームリンク37の他端はアーム33にピン付けし、作業具リンク38の他端はアダプタ35にピン付けする。
【0025】
図3はグラップル3の側面図、図4はその平面図であり、これらの図に示すように、アダプタ35はグラップル3のブラケット40を連結する2本のピン41,42をそれぞれ係合させるための固定爪と可動爪とを有するものであるが、この構造は公知であるため、詳細な説明を省略する。なお、グラップル3はこのようなアダプタ35を用いず、アーム33に直付けされる場合もある。
【0026】
グラップル3のブラケット40の下部に旋回モータ(図示せず)付の旋回装置43を設け、この旋回装置43の被旋回側に下部フレーム44を取付ける。下部フレーム44にはピン45を中心に開閉可能に複数本(図示例は4本)の把持爪46を取付ける。47は各把持爪46をそれぞれ開閉させる油圧シリンダであり、この油圧シリンダ47は一端を下部フレーム44にピン48により連結し、他端を把持爪46にピン49により連結する。
【0027】
把持爪46は従来のグラップルの弧状爪と異なり、略L字形に構成されたものである。すなわち、この実施の形態の把持爪46は、内面が直線状をなす上腕部46aと内面が直線状をなす側腕部46bと、これらの間のR状のコーナー部46cとからなる。図3に示すようにフレコンパック91(図7参照)を把持する前の把持爪46を開いた状態においては、油圧シリンダ36の操作により、側腕部46bを鉛直姿勢とし、上腕部46aを水平姿勢とすることができる。また、トラック上に積まれたフレコンパック91間への側腕部46bの挿入を容易とするため、側腕部46bの下部の外面は下方になる程内面間との間が狭くなるような傾斜した形状とする。
【0028】
図5はこの実施の形態のパッドの一例を示す側面図、図6はその正面図であり、これらの図に示すように、側腕部46bの下端部の内面にはパッド50を取付けるための取付け板51を溶接する。パッド50は、その板状部50aと取付け板51とに設けたボルト挿通孔51aにパッド50の内面側(グラップル3の中心側)からボルト53を挿通し、取付け板51の外面に当てたナット54にボルト53を螺合し締結することにより、取付け板51に取付けられる。ここで、ボルト53の頭部は丸棒50bよりも内面側に突出しないように構成してフレコンパックによるボルト53の損傷を防ぐ。
【0029】
なお、グラップル3によりフレコンパック91を把持した際にフレコンパック91が破断しないように、パッド50の幅は、側腕部46bの幅より大きくして接触部の広さを広くする。さらに、パッド50の板状部50aの周囲に丸棒50bを溶接することにより、フレコンパック91に対する接触面を滑らかとしてフレコンパック91にパッド50が圧接して移動する際のフレコンパック50の破断を回避しうるようにしている。また、フレコンパック91を把持した際にフレコンパック91,91間の隙間への挿入が容易となるようにパッド50の下部が次第に細くなるように形成している。
【0030】
55はフレコンパック91を滑り止めするために設けたゴムであり、このゴムは板状部50aに当て、ゴム55に設けた凹部55aの底部および板状部50aに設けたボルト挿通孔56にボルト57を挿通して取付け板51に設けたねじ孔51aに螺合することにより、板状部50aに取付ける。このゴム55は丸棒50aよりも内側(グラップル3の中心側)に突出させることにより、フレコンパックを把持する際にはフレコンパックに最先に当接させる構造とする。また、ボルト57の頭部は凹部55aから突出しないように収容することにより、ボルト57の損傷を防止する。
【0031】
図7はこのフレコンパック処理作業機を用いてトラック90上のフレコンパック91の積み込みまたは積み降ろし作業を行なっている状態を示す。フレコンパック91は例えば1t程度の産業廃棄物等の内容物を収容したものである。この積み込みまたは積み降ろしを行なう際には、グラップル3の把持爪46を開いて側腕部46bを縦向きとし、運転室11上のオペレータが多関節フロント2や作業機本体1の旋回装置8を操作してグラップル3の位置を把持対象となるフレコンパック91上に位置させ、多関節フロント2の操作によりグラップル3を下ろしてフレコンパック91の周囲に側腕部46bを位置させる。その後、油圧シリンダ47を伸長させて把持爪46によりフレコンパック91を把持する。積み降ろし作業の際には、一部の側腕部46bは隣接するフレコンパック91の間に挿入される。
【0032】
このように、この実施の形態のフレコンパック用グラップル3によれば、前記側腕部46bをその側面視が直線状をなすように形成し、グラップル3を開いた状態において、側腕部46bが鉛直姿勢を取り得る構造としたので、フレコンパック91をトラック90に積み込む際に、側腕部46bが搭載済みのフレコンパック91やトラック90の荷台の側部の枠に干渉されてフレコンパック91の積み込み密度を低下させることが防止され、フレコンパックの密状態での搭載が可能となる。
【0033】
また、フレコンパック91の積み降ろしの際に、トラック90の荷台上や集積場所にフレコンパック91が密に搭載あるいは集積されていても、グラップル3の側腕部46bが直線状をなして鉛直姿勢をとりうる構造としたので、フレコンパック91の間の隙間に側腕部46bを容易に挿入することが可能となり、密に搭載あるいは集積されたフレコンパックの積み降ろしや移動を容易に行うことが可能となる。
【0034】
また、把持爪46の側腕部46bが直線状をなし、グラップル3を開いた状態において、側腕部46bの外面が外方に膨出しない構造であるため、グラップルの小型化が実現できる。
【0035】
また上記実施の形態においては、上腕部46aも直線状に形成し、グラップル3を開いた状態において、上腕部46aが水平姿勢を取り得る構造としたので、グラップル3を開いた状態において、グラップル3の内部がフレコンパック91の外形に対応した逆U字形となり、フレコンパック91を把持する上で最小の形状が実現でき、グラップル3のさらなる小型化が可能となる。
【0036】
また上記実施の形態においては、把持爪46の下端部に、この下端部の幅より広く、かつ周囲を滑らかに形成したパッド50を設けたので、把持爪46をフレコンパック91,91間に挿入する際、あるいはフレコンパック91を把持する際に、把持爪46によるフレコンパック91の損傷を回避することができる。
【0037】
また上記実施の形態においては、パッド50の周囲を滑らかな形状とする丸棒50bをパッドの板状部の周囲に溶接し、丸棒50bを板状部50aより内側に突出させたので、パッド50の周囲の滑らかな部分の形成を、大がかりな鋳物製造装置を用いることなく、丸棒50bの折り曲げと溶接により比較的容易に製造することが可能となる。
【0038】
また上記実施の形態においては、パッド50の内面に滑り止め用のゴム55を、パッド50より内側に突出させて設けたので、フレコンパック91の把持の際に、ゴム55がフレコンパック91にパッド50より先行して当接し、フレコンパック91を滑り止めした状態で確実に把持することが可能となる。
【0039】
さらに上記実施の形態においては、グラップル3に旋回装置43を設けたので、把持爪46を旋回させることができる。このため、トラックへの積み込みあるいは集積場所への積み降ろしの際に、図8に示すように、把持爪46がフレコンパック91のコーナー部91a、すなわち隙間の発生する箇所に位置するようにグラップル3を旋回させることでより高い密度での積み込みや集積を行なうことが可能となる。この場合、把持爪46の本数は上記実施の形態で示したように4本とすることが、各フレコンパック91間の隙間に把持爪46を挿入しやすくなる上で好適である。
【0040】
図9は本発明のグラップルの他の適用例を示す作業機の側面図である。この例においては、下部走行体6のトラックフレームに上下揺動可能に揺動アーム4を設け、この揺動アーム4にフレコンパック91の切断装置5を取付けたものである。
【0041】
図10、図11はそれぞれ揺動アーム4のトラックフレーム7に対する取付け構造を示す側面図、平面図である。これらの図に示すように、トラックフレーム7を構成するセンターフレーム7a前端の左右にブラケット17を設け、このブラケット17に揺動アーム4の左右の基端部4aをピン18を中心として上下方向に揺動可能に取付ける。19は揺動アーム4を揺動させる油圧シリンダである。この油圧シリンダ19は、一端をセンターフレーム7aに設けたブラケット20にピン21により連結し、他端を揺動アーム4に設けたブラケット22にピン23により連結して取付ける。
【0042】
次に切断装置5について図12の側面図、図13の平面図、図14の正面図により説明する。60は駆動モータ61を収容したボックス状のハウジングである。このハウジング60は四角形の筒状をなし、揺動アーム4側端部に正方形のフランジ60aを有し、このフランジ60aは、揺動アーム4の先端に設けた正方形のフランジ4aと同形をなす。これらのフランジ4a、60aの4隅にはそれぞれ対応するボルト挿通孔62,63を有し、これらのボルト挿通孔62,63にボルト64を挿通し、ナット65に螺合して締結することにより、ハウジング60が揺動アーム4の先端に取付けられる。66は駆動モータ61を搭載したモータ取付け枠であり、このモータ取付け枠66は、ハウジング60の内部に前後方向に位置調整可能にボルト67,ナット68により取付けられる。69は駆動モータ61の出力軸に取付けた駆動プーリである。
【0043】
70は従動プーリ、71はこの従動プーリ70の軸72を回転可能に支持する軸受、73はこの軸受71をボルト74、ナット75により内部に収容し固定したボックス状のハウジングである。この軸受71用のハウジング73は、駆動モータ61用ハウジング60の前面にボルト76、ナット77により固定して取付けられる。78は駆動プーリ69と従動プーリ70に掛け回したベルトである。前述のように、駆動モータ61のモータ取付け枠66の前後位置を調整することにより、ベルト78の張り具合を調整することが可能である。
【0044】
80は軸72の上端にボルト81により固定したフレコンパック切断用の回転盤である。82,83は回転盤80を保護する固定カバー、可動カバーであり、固定カバー82は駆動モータ61用ハウジング60上にボルト84により固定される。この固定カバー82は回転盤80の後半部の下面を覆う平板部82aと、基端側側板部82bと、この側板部82bの前部に設けられ、回転盤80の側面部を覆う弧状側板部82cと、側板部82b,82c上に設けられ、回転盤80の後半部から前半部の途中部分までを覆う天板部82dとを有する。
【0045】
可動カバー83は、固定カバー82に摺動可能に外嵌された平盤筒状の基端部83aと、この基端部83aに蝶ボルト89、ナット96により取付けられた平盤筒状の先端部83bとからなる。可動カバー83の基端部83aの天板部83cの左右に前後に長い2本の長孔85を設け、この長孔85と固定カバー82の天板部82cのボルト挿通孔86にボルト87を挿通してナット88に螺合し、ボルト87とナット88とを締結することにより、固定カバー82に可動カバー83を固定することができ、緩めることにより、可動カバー83を固定カバー83に対して前後に移動させることができる。
【0046】
そしてフレコンパック91の切断作業の際には可動カバー83を後退させてボルト87、ナット88により固定カバー82に固定すると共に、蝶ボルト89を外して可動カバー83の先端部83bは取外し、回転盤80の前半部を露出させた状態として切断作業を行うことができる。また、作業機が休止状態の際には、可動カバー83を前方に移動させてボルト87、ナット88によって固定カバー82に固定すると共に、可動カバー83の先端部83bを基端部83aに蝶ボルト89によって固定しておくことによって、固定カバー82および可動カバー83により回転盤80の全面を覆う。これにより作業機の休止中に物が回転盤80に衝突して回転盤80が損傷することを防ぐことができる。
【0047】
このように、1台の作業機にグラップル3と切断装置5を備えれば、1人の作業員でトラックからの積み降ろしや切断作業を行うことができるという利点が得られる。なお、この場合、切断装置5として鏃状等の切断刃を用いることができる。
【0048】
なお上記実施の形態においては、側腕部46bを鉛直としたり、上腕部46aを水平とする手段として、グラップル3を回動させる油圧シリンダ36を用いたが、本発明は、グラップル3をフロント2から単にピンにより垂下して用いる構造とすることも可能である。また、上記実施の形態においては、フレコンパック91の内容物が産業廃棄物である場合について説明したが、本発明は、内容物が産業廃棄物以外の粉体、食物、土砂(土嚢)等である場合等、内容物の如何にかかわらず適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1:作業機本体、2:多関節フロント、3:グラップル、6:下部走行体、7:トラックフレーム、7a:センターフレーム、7b:サイドフレーム、8:旋回装置、9:上部旋回体、10:パワーユニット、11:運転室、12:駆動輪、13:従動輪、14:履帯、15:ガイドローラ、17:ブラケット、19:油圧シリンダ、25:支持フレーム、26,27:平行リンク、28:油圧シリンダ、30:ブームシリンダ、31:ブーム、32:アームシリンダ、33:アーム、35:アダプタ、36:油圧シリンダ、37:アームリンク、38:作業具リンク、40:ブラケット、41,42:ピン、43:旋回装置、44:下部フレーム、46:把持爪、47:油圧シリンダ,46a:上腕部、46b:側腕部、50:パッド、50a:板状部、50b:丸棒、51:取付け板、53:ボルト、54:ナット、55:ゴム、55a:凹部、57:ボルト、60:ハウジング、60a:フランジ、62,63:ボルト挿通孔、64:ボルト、65:ナット、67:ボルト、68:ナット、69:駆動プーリ、70:従動プーリ、71、軸受、72:軸、73:ハウジング、76:ボルト、77:ナット、78:ベルト、80:回転盤、82:固定カバー、83可動カバー、85:長孔、86:ボルト挿通孔、87:ボルト、88:ナット、89:蝶ボルト、90:トラック、91:フレコンパック、96:ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機のフロントに取付けられ、複数の開閉式把持爪を有するフレコンパック用グラップルにおいて、
前記把持爪を上腕部と側腕部とにより構成し、
前記側腕部の内面をその側面視が直線状をなすように形成すると共に、グラップルを開いた状態において、前記側腕部が鉛直姿勢を取り得るフロントへの取付け構造を有することを特徴とするフレコンパック用グラップル。
【請求項2】
請求項1に記載のフレコンパック用グラップルにおいて、
前記上腕部の内面をその側面視が直線状をなすように形成すると共に、グラップルを開いて前記側腕部の内面が鉛直姿勢となった状態において、前記上腕部の内面が水平姿勢となるフロントへの取付け構造を有することを特徴とするフレコンパック用グラップル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフレコンパック用グラップルにおいて、
前記グラップルの下端の内面にフレコンパックに当接させるパッドを取付け、
前記パッドは、前記把持爪の下端部の幅より広く、かつその周囲を滑らかに形成したことを特徴とするフレコンパック用グラップル。
【請求項4】
請求項3に記載のフレコンパック用グラップルにおいて、
前記パッドの周囲を滑らかな形状とする丸棒をパッドの板状部の周囲に溶接し、前記丸棒を前記板状部よりグラップルの内側に突出させて設けたことを特徴とするフレコンパック用グラップル。
【請求項5】
請求項4に記載のフレコンパック用グラップルにおいて、
前記パッドの内面に滑り止め用のゴムを、前記丸棒よりグラップルの内側に突出させて設けたことを特徴とするフレコンパック用グラップル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−73863(P2011−73863A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229581(P2009−229581)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(591059825)鹿島選鉱株式会社 (8)
【出願人】(509274348)三起工業株式会社 (2)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】