説明

フレーク充填設備

【課題】容器内に乱雑に投入した多量のフレークを隙間が無いように充填でき、しかも少ないエネルギーで稼働できるフレーク充填設備を提供する。
【解決手段】フレークを充填すべき容器Cを搬入する搬入ステーションIと、容器Cにフレークを投入し、投入量を計量する投入・計量ステーションIIと、容器Cに投入されたフレークを容器内で押込む押込みステーションIIIを有しており、押込みステーションIIIは、容器内のフレークを押込む押込み装置20を有しており、押込み装置20は、フレークを攪拌する攪拌体は、攪拌翼と、攪拌翼に連結されたロッドとからなり、昇降機構が、ロッドに連結されたエアーシリンダと、エアーシリンダを下降時には自由降下させ、上昇時にはエアー駆動させる操作回路とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーク充填設備に関する。さらに詳しくは、充填時に嵩密度が小さくなりやすいフレークを貯蔵や輸送に用いられる容器に隙間なく充填するためのフレーク充填設備に関する。本発明の取扱い対象となるフレークは、種々の木の葉状や燐片状であり、たとえば、五酸化バナジウム等の金属フレークや樹脂の破砕片などを例示できるが、これらに限られるものではない。
【背景技術】
【0002】
木の葉状や燐片状の形態を呈するフレークは、輸送や保管その他の目的のため適宜の大きさの容器に充填されることがあるが、多量のフレークを容器に充填するとき、各フレークがバラバラの方向に向いた乱雑な姿勢で充填されると、フレーク同士が互いにからみ合った、いわゆるブリッジを作りやすく、フレーク同士の間に隙間が多くできて、嵩密度の小さい状態となる。
このままでは輸送や保管上の容積効率が低くなり、また特に決められた容器に充填する場合など指定量を効率よくまたは安定して充填することが困難であり、できるだけ隙間の無い状態に充填することが要望されている。
【0003】
従来の充填装置として、特許文献1に記載のものがある。
特許文献の装置は、圧縮性物品を容器に充填する装置であり、集積チャンバに集められている原料物品を第1のピストンで容器側に押込み、容器内に入った原料物品を更に第2のピストンで圧縮して詰め込むというものである。
この従来例では、原料物品が圧縮性を有するため、単純にピストンで圧縮すれば、とくに問題なく詰め込みが行える。
なお、粉体も圧縮性物品と同様に圧縮したり振動を加えることにより嵩密度を大きくできることは、周知の事実である。
【0004】
しかるに、圧縮性がなくブリッジも形成している多量のフレークを特許文献1の従来技術で充填しようとすると、ピストンで加圧したとしてもフレーク同士の位置も姿勢も変らないままで押込まれるので、ブリッジが壊れることもなく、このため隙間を無くすことはできない。
また、加圧力を強くして強制圧下すると、フレークが割れて細々になったり、容器に無理な外圧をかけ、場合によっては変形を生じさせる等の不具合が生じるという問題がある。
【0005】
一方、嵩密度を上げるため振動モータ等で振動を加える方法が従来より用いられている。しかし、破断面が引っ掛かりやすいフレークが充填物であると、加える振動を相当大きくしなければならず、その場合は大きな振動エネルギーを要し、かつ大きな振動が計測器等の周辺機器に悪影響を及ぼし、また騒音の原因にもなるので、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−81317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、容器内に乱雑に投入した多量のフレークを隙間が無いように充填でき、しかも少ないエネルギーで稼働できるフレーク充填設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のフレーク充填設備は、フレークを充填すべき容器を搬入する搬入ステーションと、前記容器にフレークを投入し、投入量を計量する投入・計量ステーションと、前記容器に投入されたフレークを容器内で押込む押込みステーションと、フレークを所定量充填した容器を搬出する搬出ステーションとからなり、前記押込みステーションは、前記容器内のフレークを押込む押込み装置を有しており、該押込み装置は、フレークを攪拌する攪拌体と、該攪拌体を待機位置から容器内に自由降下させると共に動力で前記待機位置に復帰させる昇降機構と、前記攪拌体を回転させる回転機構とからなることを特徴とする。
第2発明のフレーク充填設備は、第1発明において、前記投入・計量ステーションと前記押込みステーションは、前記容器を互いに往復動させるローラコンベアを備えていることを特徴とする。
第3発明のフレーク充填設備は、第1または第2発明において、前記押込み装置は、前記攪拌体が、攪拌翼と、該攪拌翼に連結されたロッドとからなり、前記昇降機構が、前記ロッドに連結されたエアーシリンダと、該エアーシリンダを下降時には自由降下させ、上昇時にはエアー駆動させる操作回路とからなることを特徴とする。
第4発明のフレーク充填設備は、第1、第2または第3発明において、前記押込み装置の前記回転機構は、前記攪拌体の前記ロッドに取付けられた、回転力伝達器と、該回転力伝達器に回転力を伝達するモータおよび動力伝達部材とからなり、前記回転力伝達器は、加えられた回転力を前記ロッドに伝えるが、前記ロッドの軸方向運動を自由に許容するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、攪拌体を自由降下させて容器内のフレークの上面に接触させることができ、攪拌開始後も攪拌体の自重によって押圧するので、フレークの投入量やブリッジの生成状況に影響されずフレークを容器内に押込むことができ、攪拌体を位置制御する必要がない。このように自重を利用したり、攪拌体を回転するだけでフレークの高密度充填ができるので少ないエネルギーで稼働できる。また、攪拌体の積算回転数でフレークの押込み量を把握でき、複雑な制御を要せず目標量の充填が行える。
第2発明によれば、投入・計量ステーションと押込みステーションの間で容器を何度でも往復させることができるので、フレークの投入と押込みを繰り返すことにより、フレークを容器に満量充填することができる。
第3発明によれば、操作回路によってエアーシリンダを自由降下させると、エアーシリンダに連結されたロッドと攪拌体が自重によって降下して容器内のフレークの上面に接触するので、フレークの投入量がどのように変化しても、フレークの攪拌が開始できる。また、攪拌中もロッドと攪拌体の重量でフレークを押圧するので、攪拌体を回転させるだけで、適正押圧力で攪拌を継続できる。しかも、エアー駆動によってエアーシリンダを上昇させると攪拌体を元の位置に上昇復帰させることができる。
第4発明によれば、回転力伝達器がロッドの軸方向運動を自由に許容しているので、攪拌体の上下方向位置の変動に拘らず、モータによって回転させることができる。このため、容器内のフレークの投入量に拘らず、攪拌体を降下させながら攪拌ができ、容器内へのフレークの押込みが継続して行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るフレーク充填設備の全体構成図である。
【図2】(A)は投入・計量ステーションIIの正面図、(B)は計量動作の説明図である。
【図3】押込みステーションIIIの正面図である。
【図4】(A)は押込み装置の要部説明図であり、(B)は攪拌翼の底面図、(C)は迎角付き攪拌翼の側面図である。
【図5】(A)は攪拌前の状態説明図、(B)は攪拌後の状態説明図である。
【図6】攪拌動作中の状態説明図である。
【図7】投入・計量ステーションIIと押込みステーションIIIの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に基づき、本発明の一実施形態であるフレーク充填設備の基本構造を説明する。
本設備は入側(図中左側)から出側(図中右側)に向けて、搬入ステーションI、投入・計量ステーションII、押込みステーションIII、搬出ステーションIVを、その順に配置して構成されている。図では各ステーションI〜IVは横一列に配置されているが、配置の仕方は任意であり、設置場所に合わせて様々なバリエーションをとってよい。
【0012】
搬入ステーションIは、充填に用いる容器Cを搬入する装置であり、容器Cの搬入さえできれば、どのような装置を用いてもよい。図ではコンベア1を示しているが、吊下げ搬送用のレールや台車なども利用可能である。
容器Cはフレークの充填、保管、輸送に使用可能であれば、どのような容器でも使用可能である。図示の実施形態では、円筒状の金属容器であり、上面が開口していて、蓋をできる公知のドラム缶を用いている。
【0013】
投入・計量ステーションIIは、昇降機構の付いたローラコンベア2を備えている。ローラコンベア2は図示しない駆動部により往復方向(図中左右方向)に容器Cを送ることが可能である。
昇降機構はローラコンベア2を上昇下降させるものであれば、どのような機構を用いてもよいが、本実施形態では油圧シリンダ11を用いている。
ローラコンベア2の下方には計量器12が設置されている。この計量器12による計量方法は後述する。
【0014】
ローラコンベア2に載せられた容器Cの上方には、原料(フレークを原料ということがある。以下同じ。)を投入するフィーダ13が配置され、その下方には中継ホッパー14が設けられている。これらの詳細は後述する。
【0015】
押込みステーションIIIは、ローラコンベア3を備えている。
このローラコンベア3も、図示しない駆動部により往復方向(図中左右方向)に容器Cを送ることが可能である。
ローラコンベア3に載せられた容器10の上方には押込み装置20が配置されている。この押込み装置20は容器C内に原料を詰め込んだ状態にする装置であり、その詳細は後述する。
【0016】
搬出ステーションIVは、充填完了した容器Cを搬出する装置であり、容器Cの搬出さえできれば、どのような装置を用いてもよい。
図ではコンベア4を示しているが、吊上げ用のクレーンや台車なども利用可能である。
【0017】
図2に基づき、投入・計量ステーションIIの詳細を説明する。
(A)図に示すように、フィーダ13の出側下方には中継ホッパー14が設けられており、この中継ホッパー14には原料投入の開始と終了を制御するシャッタ15が開閉自在に取付けられている。
中継ホッパー14は原料を一時保留できる容積をもつものであれば、どのような形態のものでもよい。シャッタ15は、中継ホッパー14の出口を開閉できればどのようなものを用いてもよいが、図示の実施形態ではシャッタ板15aをエアーシリンダ15bで開閉動作させるものを用いている。
【0018】
計量器12は、ストレンゲージやその他公知の重量計測部材を内蔵した計測部12aと、計測部12aから上方に突出した支持棒12bとからなる。この支持棒12bは容器Cを支えることができる。また、支持棒12bは、ローラコンベア2のローラ間の隙間に位置しており、ローラコンベア2の昇降動作を妨げることはない。
したがって、(A)図に示すように、ローラコンベア2を上昇させた状態では、容器Cは支持棒12bから離れ、ローラコンベア2で移送できる状態となっている。また、(B)図に示すようにローラコンベア2を下降させると、支持棒12bがローラコンベア2の上面に突出して、容器Cの重量を受けるようになっている。
そして、この状態では、容器Cの重量は支持棒12bを介して計測部12aに作用するので、容器Cの重量を計測することができる。
【0019】
図3に基づき、押込み装置20の詳細を説明する。
押込み装置20は、攪拌体21と特許請求の範囲にいう昇降機構と回転機構とからなる。
攪拌体21は、攪拌翼22とそれに接続されたロッド23とからなる。
この攪拌体21を自由降下させたり上昇させたりする昇降機構はエアーシリンダ31とその操作回路41から構成されている。エアーシリンダ31はエアーの給排で伸縮動作するピストンロッド32を有しており、ピストンロッド32の下端は攪拌体21のロッド23の上端とコネクタ33により結合されている。なお、エアーシリンダ31は下部架構25上に立設された上部架構26に立てた状態で取付けられている。
【0020】
操作回路41は、つぎのように構成されている。エアーシリンダ31のピストン側画室35とロッド側画室36にはエアー給排管42,43が接続されており、操作弁44、たとえば4ポート3位置切換弁により空圧源45と排気口46に選択的に接続されるようになっている。
【0021】
前記操作回路41の操作弁44をI位置にすると、エアーシリンダ31のロッド側画室36にエアーが供給され、ピストン側画室35のエアーが排気されるので、ピストンロッド32は上昇し、攪拌体21も上昇する。そして操作弁44をII位置にすると、ピストン側画室35にはエアーが供給されないが、ロッド側画室36内のエアーが排気される。このため、ピストンロッド32と攪拌体21の重量により、攪拌体21は自由降下する。
なお、降下時に低圧のエアーをピストン側画室35に供給し、降下しやすくしてもよい。
【0022】
上記構成の押込み装置20における攪拌体21の重量とエアーシリンダ31のピストンロッド36の重量は、自由降下させたとき容器C内のフレークfの積み山の上面に接触し若干押圧できる重量とされている。そして、この重量は後述するフレークfの攪拌時における押下げ力となるものである。
【0023】
図4(A)に示すように、攪拌体21を回転させる回転機構は、ロッド23に取付けられた回転力伝達器51とそれに回転動力を伝える減速機付モータ55等からなる。
回転力伝達器51は、ロッド23の軸方向の移動を自由に許容し、外部からの回転動力をロッド23に伝える公知の機器であり、伝達器本体52とプーリ部53を備えている。
このような回転力伝達器としては、THK社の商品名「ロータリーボールスプライン」などがある。この回転力伝達器51の伝達器本体52は下部架構25に取付けられている。
【0024】
一方、減速機付モータ55も下部架構25に取付けられており、そのプーリ56と回転力伝達器51のプーリ部53との間にはベルト57などの動力伝達部材が掛け回されている。
このような構成に基づき、減速機付モータ55を回転させると回転力伝達器51を介してロッド23を回転させることができ、しかもロッド23の上下移動は自由に許容することができる。このため、攪拌体21の上下位置の如何にかかわらず、また、上下動作中であっても、減速機付モータ55の駆動により攪拌体21を回転させることができる。
【0025】
攪拌翼22の側面視形状は図4(A)に示すように、翼の下縁が水平線に対して外端に向って上向きの傾斜を持つ上向き傾斜角θ1が付いていると、自重によって容器C内に投入したフレークfに接触したとき、フレークfの積み山の上面に若干にしろ埋没して回転に伴ってフレークを外側に押しやる機能が加わり好ましい。ただし、翼の下縁が水平線と平行のものであってもよい。
図4(B)に示すように、攪拌翼22の羽根22aの形状は、回転方向に対し先端側が傾斜角θ2で後傾した後退翼だと接触したフレークを外側に押しやって移動させ、フレーク同士の隙間の間に押し込み易いので攪拌効果が高くなり好ましい。
また、図4(C)に示すように、攪拌翼22の羽根22aは、羽根面が垂直線に対して傾斜角θ3で傾斜した迎角付き攪拌翼であると、回転中にフレークfを下方に押し付けながら外側に押し出すことができる。このため、フレークfを跳ね飛ばして乱雑な姿勢にすることなく、平たく積層した状態に整頓させやすい。
【0026】
図4(B)図に示すように、攪拌翼22は4枚の羽根22aを円板状のボスに結合したものである。羽根の枚数は任意であるが、少ないと攪拌効率が悪く、多すぎるとフレークが羽根の間に入りにくく、半径方向外側への排出を阻害することもあるため、4枚前後が好適である。
【0027】
攪拌翼22の直径は、図6を参酌すると分かるように、小さすぎるとフレークfの積み山の中に埋まってしまい、フレークfを均したり、それらの間の隙間を小さくすることができない。また、攪拌翼22の直径が大きすぎると、容器C内壁との間の寸法が小さくなってフレークfの移動を阻害するので、やはりフレークf同士の間の隙間を小さくすることはできない。
このため、攪拌翼22の直径は、容器Cの内壁の1/4〜1/2位が好ましく、約1/3位が最も好適である。
【0028】
もっとも、攪拌しやすい攪拌翼22の形状や寸法、重量は、フレークfの大きさや重量などの性状によって変わるので、対象となるフレークfに合わせて適切なものを選択すればよい。したがって、攪拌翼22の直径も上記寸法に制約されるものではない。
【0029】
つぎに、本発明のフレーク充填設備による原料充填の全体工程を図1に基づき説明する。
(1)まず、搬入ステーションIから投入・計量ステーションIIに、空の容器Cを搬入し、容器Cは計量位置で停止する。
(2)ローラコンベア2を下降させて、計量器12により空の容器Cの重量を測定する。その後、ローラコンベア2を上昇させ、原料を受入れる状態にする。
(3)中継ホッパー14のシャッタ15を開いて、原料を容器C内に投入する。
(4)所定時間後にシャッタ15が閉まり、ローラコンベア2が再び下降して、容器Cの重量を計測して、原料の投入重量を算出する。
(5)ローラコンベア2が再び上昇して、押込みステーションIIIへ容器Cを搬送する。
【0030】
(6)押込みステーションIIIで原料を容器C内に押し込むが、この詳細は後述する。
(7)押込み作業の終了後、容器Cは投入ステーションIIへ戻され、再び原料が投入される。
この後は、(6)の押込みと(7)の投入、計量が、充填量が規定値に達するまで繰り返されて、充填作業が終わる。
(8)満量充填した容器Cは、押込みステーションIIIから搬出ステーションIVへ送られ、そこで蓋を被せたり、その他出荷に必要な処置をして搬出ステーションIVから排出される。
【0031】
つぎに、図5および図6に基づき、押込み作用の詳細を説明する。
押込み作業中は、容器Cは押込みステーションIIIのローラコンベア3上に設置されている。このとき、図5(A)に示すように、投入されたフレークfの積み山は容器C内で点線で示すレベル(I)まで達しているとする。この状態では、フレークfは乱雑な状態で投入されているので、フレーク同士間に隙間の多い嵩高の状態となっている。
つぎに、図6に示すように、攪拌体21を自由降下させる。なお、同図において符号III以下は先に行われた攪拌作業で均らされたフレークfの積み山を示している。符号Iは図5の符号Iと同じく投入されたばかりのフレークfの積み山の上面位置を示している。符号I´は攪拌作業がある程度進んできて、均らされたフレークfと未だ均らされていないフレークfの境目を示している。
【0032】
上記のように攪拌体21を自由降下させるには既述のごとく操作回路41(図3参照)の操作レバー44を切り換えてエアーシリンダ31を自由降下状態とさせればよい。そうすれば、攪拌体21とエアーシリンダ31のピストンロッド32の重量によって降下し、フレークfの積み山上面に攪拌翼22が接触して、多少埋没した状態で自然と降下は止まる。
攪拌翼22は、この自由降下中に減速機付モータ55で回転させておくか、フレークfの積み山に接触してから回転させる。
【0033】
フレークfの積み山に接触してからは、図6に示すように攪拌翼22を回転させつつ、攪拌体21とピストンロッド32の重量によってフレークfの積み山を押圧しながら、攪拌作業を続ける(符号IからI´の状態)。
このときの押下げ力は、既述のごとく攪拌体21とピストンロッド32の重量であり、この重量によって適正な力で押下げられ攪拌が継続される。そして、攪拌動作中、攪拌翼22はフレークfを羽根で水平方向に押しやりながら積み山を崩しつつフレークfを均していくことができる。
【0034】
すなわち、攪拌翼22で横向きに押し出されるフレークfは、横向きの力を受けてブリッジが崩されていき、1枚1枚のフレークfは平たく積み重ねられていく。このため、フレークf同士の間の隙間はほとんど無くなり、嵩密度が高い状態となる。
符号IとI´の間は、そのような攪拌作業が進んでいる部分であり、符号I´とIIIの間は未だ攪拌されてない部分である。
もちろん、攪拌作業の進展に伴い全てのフレークfが均らされていき、先に攪拌を済ませている符号III位置まで攪拌作業が進むと攪拌作業は終了する。
そして、このようにして攪拌体21を押し込んでいく押込み量は、攪拌翼22の積算回転数、たとえば回転数×時間で把握することができ、攪拌翼22の位置を把握する位置フィードバック制御などを用いる必要はない。
【0035】
上記のようにして攪拌作業を終えると、攪拌体21を上昇させていくが、この操作は、既述したごとく操作弁44をII位置に切り換えてエアーシリンダ31のロッド32を上昇させればよい。
そして、この状態では、図5(B)に示すように、木の葉状や燐片状の形態を呈するフレークfは、ブリッジが壊されて、かつ平たく積み重ねられ、隙間のない高密度に充填された状態となっている。
【0036】
上記の説明から理解できるように、本発明の押込み装置20における攪拌作用は、攪拌体21の重量を利用しているので一度に容器C内全容積の原料を攪拌できるものではない。そのため、容器C内に部分的に原料を投入しつつ、そのつど攪拌することを繰り返す。
そのため、図7に示すように、投入・計量ステーションIIと押込みステーションIIIとの間で、容器Cは何度でも往復できるようになっている。したがって、投入・計量ステーションIIで原料を容器Cに投入した後、押込みステーションIIIで容器C内の原料を攪拌して押込み、再度、投入・計量ステーションIIに容器Cを移送して原料投入する。この動作を何度か繰り返して、容器C内に原料を満了充填する。
【0037】
投入・計量ステーションIIでの容器重量の計測は、規定量の原料を容器Cに充填できたかどうかを確認するために行う。したがって既述のごとく、原料の投入動作の度に計測して、投入量を規定値以下に制御してもよく、充填作業の最終近辺で何度か計測して規定充填量を確認してもよい。ともかく、このようにして1回当たりの投入量を規定量以下に制限しておくと、攪拌体21等の自重による攪拌作用が確実に行えることとなる。
【0038】
以上のように、本実施形態では、攪拌体21を自由降下させて容器C内のフレークfの上面に接触させて攪拌を開始し、攪拌中も攪拌体21の自重によって押圧するので、フレークfの投入量やブリッジの生成状況に影響されず容器C内でフレークfを押込むことができる。このため、攪拌体21を位置制御する必要がない。しかも、自重圧下方式であると、エアーシリンダ等で強制圧下する場合に生じやすい、イ)フレークfの飛び散りや、ロ)押付け力が過大な場合に容器自体が回転してしまうという不都合が生じない、という利点がある。
【0039】
また、本実施形態では押し退けられたフレークfの体積分だけ攪拌翼22が自重で降下するため、攪拌体21の積算回転数でフレークfの押込み量を把握でき、複雑な制御を要せず目標量の充填が行えるという利点がある。
このように自重を利用したり、攪拌体を回転するだけでフレークの押込みができるので少ないエネルギーで稼働できる。
【0040】
本発明は、攪拌体の自由降下と、その回転による攪拌を要旨とするものであり、これら要旨を逸脱しない限り、上記実施形態以外の種々の変更例を採用することは任意である。
【符号の説明】
【0041】
I 搬入ステーション
II 投入・計量ステーション
III 押込みステーション
IV 搬出ステーション
C 容器
12 計量器
13 フィーダ
20 押込み装置
21 攪拌体
22 攪拌翼
23 ロッド
31 エアーシリンダ
41 操作回路
51 回転力伝達器
55 減速機付モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレークを充填すべき容器を搬入する搬入ステーションと、
前記容器にフレークを投入し、投入量を計量する投入・計量ステーションと、
前記容器に投入されたフレークを容器内で押込む押込みステーションと、
フレークを所定量充填した容器を搬出する搬出ステーションとからなり、
前記押込みステーションは、前記容器内のフレークを押込む押込み装置を有しており、
該押込み装置は、フレークを攪拌する攪拌体と、
該攪拌体を待機位置から容器内に自由降下させると共に動力で前記待機位置に復帰させる昇降機構と、前記攪拌体を回転させる回転機構とからなる
ことを特徴とするフレーク充填設備。
【請求項2】
前記投入・計量ステーションと前記押込みステーションは、前記容器を互いに往復動させるローラコンベアを備えている
ことを特徴とする請求項1記載のフレーク充填設備。
【請求項3】
前記押込み装置は、
前記攪拌体が、攪拌翼と、該攪拌翼に連結されたロッドとからなり、
前記昇降機構が、前記ロッドに連結されたエアーシリンダと、該エアーシリンダを下降時には自由降下させ、上昇時にはエアー駆動させる操作回路とからなる
ことを特徴とする請求項1または2記載のフレーク充填設備。
【請求項4】
前記押込み装置の前記回転機構は、
前記攪拌体の前記ロッドに取付けられた、回転力伝達器と、該回転力伝達器に回転力を伝達するモータおよび動力伝達部材とからなり、
前記回転力伝達器は、加えられた回転力を前記ロッドに伝えるが、前記ロッドの軸方向運動を自由に許容するものである
ことを特徴とする請求項1,2または請求項3記載のフレーク充填設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−201383(P2012−201383A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66437(P2011−66437)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】