説明

フレームの階層化方法

【目的】 フレームシステムを1つのフレーム階層化にして多次元のフレーム表現を得る。
【構成】 インスタンスフレーム(I1〜I6)は複数のクラスフレーム(A1,B23)の属性を継承できる構造とすることにより、異次元フレームのクラスを並列定義した1つの階層化した多次元フレーム表現とし、フレーム参照には1つの階層化したフレーム参照ができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータによる知識表現のためのフレームの階層化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フレームは、知識(データも含む)の属性に関連を持たせた枠組みとして構造化し、その階層構造で知識を表現する。
【0003】電力系統の設備機器種別の知識をフレームで表現すると図3に示すようになる。図中、実線部は概念的知識を表現するクラスフレームを示し、このクラスフレームは抽象度の違いによって階層化され、上位クラスほど抽象度が高くなり、また下位クラスは上位クラスの属性を継承する。破線部は具体的対象を表現するインスタンスフレームを示す。これらクラスとインスタンスのリンクは双方向であり、また上位クラスと下位クラスのリンクも双方向になる。
【0004】図4は電力系統を電圧階級(154KV、66KV、33KV)別で階層化したフレーム表現を示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】エキスパートシステムやその他のアプリケーションプログラムはフレーム内のデータを利用して推論や問題解決を行っている。このフレーム参照において、参照する順序がフレームの階層構造と一致する場合には問題とならないが、一致しない場合にはその利用形態に合うようプログラム側で加工する必要があり、フレームシステムの利用効率が悪くなる。
【0006】例えば、図3及び図4に示すように、同じ電力系統に対しても設備機器種別で参照したり、電圧階級別で参照するには、何れか一方の階層化を行い、他方の階層化はプログラム側でグループ化する方法、又は図5に示すように2つの階層化を行う方法を採らなければならない。
【0007】前者の方法はグループ化数だけプログラムを作成する必要があるし、フレーム参照途中にプログラムが入るため参照時間が長くなる。
【0008】後者は階層化する数だけフレームを定義する必要があり、フレームの多元管理が発生してフレームの追加修正が困難になる。
【0009】本発明の目的は、1つのフレーム階層化にして多次元のフレーム表現を得るフレームの階層化方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題の解決を図るため、概念的知識を表現するクラスフレームと具体的対象を表現するインスタンスフレームとを階層化して知識表現するフレームシステムにおいて、前記クラスフレームは異次元のフレームを並列に定義し、前記インスタンスフレームは複数の異次元クラスフレームの属性を継承できるリンク構造とすることを特徴とする。
【0011】
【作用】インスタンスを複数のクラスの属性を継承できるようし、クラスフレームは異次元のものも並列定義することで多次元フレーム表現にも1つの階層化フレームとして表現できるようにする。
【0012】
【実施例】図1は本発明の一実施例を示すフレーム表現である。同図は、電力系統のフレーム表現を示し、クラス構成は、最上位に電圧Aと設備機器Bという異次元の種別を持ち、設備機器Bの下位クラスに機器B1と設備B2を持ち、最下位クラスには電圧Aには154KV級A1と66KV級A2等を持ち、機器B1にはしゃ断器B11と断路器B12等を持ち、設備B2には送電線B21と母線B22と変圧器B23等を持つ。インスタンスI1〜Inは電力系統の具体的対象(CB1,L1等)を表現する。
【0013】ここで、本実施例ではインスタンスは複数のクラスの属性を継承して具体化しており、異次元のクラスにまたがつて定義される。また、クラス構成も異次元の種別を持って階層化される。即ち、電圧階級別の階層化と設備機器種別の階層化を並列に定義したフレーム表現となり、各インスタンスが複数のクラスにリンクされる。
【0014】例えば、インスタンスI1は設備機器種別階層ではクラスB11の具体化であると共に電圧階級別階層ではクラスA1の具体化である。
【0015】本実施例によれば、1つのインスタンスを異なる関連を持った次元で階層化でき、エキスパートシステムやアプリケーションプログラム等のフレーム参照側ではその利用形態に合った1つの階層化したフレームとして取扱うことができる。
【0016】図2はフレームシステム構成を示し、キーボード等の入力部1と制御部2とCRT表示装置等の表示部3から構成され、制御部2にはクラスフレームとインスタンスフレームのオブジェクトを定義するオブジェクト定義部21と、それらのリンク関係等を管理するオブジェクト管理部22を設ける。
【0017】これらオブジェクト定義部21と管理部22によってフレームの多次元表現が構築され、フレーム変更等がなされる。
【0018】なお、実施例では電力系統の二次元階層化を示すが、本発明は電力系統に限らず任意分野のモデル化に有効であるし、二次元をそれ以上の多次元の階層化とすることができる。
【0019】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、知識表現手法であるフレームシステムにインスタンスフレームが複数のクラスの属性を継承できるようにし、異次元クラスフレームを並列定義したため、1つの階層化フレーム表現でかつ多次元のフレーム表現になり、フレーム参照に1つの階層化フレームに対するものと同じにしてプログラムの増設や参照時間の遅れが無くなり、さらにはフレームの追加修正を容易にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すフレーム表現。
【図2】本発明におけるシステム構成図。
【図3】設備機器種別のフレーム表現。
【図4】電圧階級別のフレーム表現。
【図5】異次元のフレーム表現。
【符号の説明】
A,B,A1,B11…クラスフレーム
1,I6…インスタンスフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】 概念的知識を表現するクラスフレームと具体的対象を表現するインスタンスフレームとを階層化して知識表現するフレームシステムにおいて、前記クラスフレームは異次元のフレームを並列に定義し、前記インスタンスフレームは複数の異次元クラスフレームの属性を継承できるリンク構造とすることを特徴とするフレームの階層化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平6−12257
【公開日】平成6年(1994)1月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−166509
【出願日】平成4年(1992)6月25日
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)