説明

フロアマット用フック

【課題】 装着されたフロアマットをズレを生じさせることなく係止すると共に、フロアマットの取り外しを簡単に行うことが可能なフロアマット用フックを提供すること。
【解決手段】 本発明のフロアマット用フックFは、基部1と、係止突部30と、突出部31と、を有する係止部3と、を備え、係止突部30がフロアマットMにもうけられた係止孔MHを貫通することでフロアマットMを係止し固定するフロアマット用フックFであって、突出部31は、その先端部が係止突部30より車両の前後方向において後方側でありかつフロアマットMの幅方向の中心側に位置することを特徴とする。本発明のフロアマット用フックは、フロアマットを走行中に外れることなく係止すると共に、取り外しを簡単に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアマット用フックに関し、詳しくは、車両の車室内の床面上に敷設されるフロアマットを固定するフロアマット用フックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の車室内のフロアには、フロアの汚れを防止するなどの機能面と内装材としての美観面とからフロアマットが敷設されている。フロアマットは汚れやすく、頻繁に取り外して車外へ出して清掃を行っている。このため、フロアマットをフロアに完全に固定することはできなかった。しかしながら、フロアマットをフロア上に載置するだけでは、フロアマットがずれる場合がある。フロアマットがずれると、ブレーキペダルとフロアとの間に挟まることがある。フロアマットがずれてブレーキペダルとフロアとの間に挟まると、ブレーキペダルを一杯まで踏み込めなくなり、車両の乗員が危険にさらされることとなる。このため、特に運転席に敷設するフロアマットには、フロアマットのズレを防止して固定することが求められている。
【0003】
フロアマットの固定は、フロアマットを係止する係止突部をもつフロアマット用フックを車両の車体側に装着し、フロアマットに係止孔を形成しておき、この係止孔にフロアマット用フックの係止突部を貫通して係止する方法が広く用いられている。
【0004】
フロアマット用フックには、走行時にフロアマットが外れないことが求められている。このため、従来のフロアマット用フックは、係止突部の先端部が係止孔の開口部より大きくなるように形成されている。このようなフロアマット用フックは、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1には、プレート部と、その表側から突出してフロアマットを係止するマット係止突部と、を備え、マット係止突部の先端部を後方側へ突出させたフロアマットの係止装置(フロアマット用フック)が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のフロアマット用フックは、係止突部の先端部に設けられた突出した部分が車両の後方に突出している。この突出によりフロアマットの取り外しに手間がかかるようになっていた。具体的には、フロアマットの端部をまくり上げることで係止孔をフロアから浮き上がらせ、その後、係止突部の先端の突出した部分に沿ってフロアマットを後方に変移させることで取り外しが行われていた。このように、フロアマットの取り外し時にフロアマットを大きく変移させなければならず、フロアマットの着脱性が低くなっていた。
【0007】
フロアマットの着脱性を向上させたフロアマット用フックが特許文献2に開示されている。
【0008】
特許文献2には、ブラケットに立設された支体(係止突部)と、支体の先端部に回転切替自在にもうけられた自動係合手段とをもつ自動車用マット取り付け装置(フロアマット用フック)が開示されている。このフロアマット用フックは、係止突部の先端部にもうけられた自動係合手段を、フロアマット着脱時には係止突部に沿って立設させ、フロアマット装着時には後方側に突出させる。
【0009】
特許文献2に記載のフロアマット用フックは、フロアマットを装着した後に自動係合手段を切替忘れると、走行中にフロアマットが外れるという問題があった。さらに、特許文献2に記載のフロアマット用フックは、部品点数が多いため製造コストが上昇するという問題があった。
【特許文献1】特開平10−129326号公報
【特許文献2】特開平2−256534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、装着されたフロアマットをズレを生じさせることなく係止すると共に、フロアマットの取り外しを簡単に行うことが可能なフロアマット用フックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明者はフロアマット用フックについて検討を重ねた結果、本発明をなすに至った。
【0012】
本発明のフロアマット用フックは、板状の基部と、基部の表面から上方に突出した係止突部と、係止突部の上端部に基部の広がる方向と略平行な方向に突出した突出部と、を有する係止部と、を備え、係止突部がフロアマットにもうけられた係止孔を貫通することでフロアマットを係止し固定するフロアマット用フックであって、突出部は、その先端部が係止突部より車両の前後方向において後方側でありかつフロアマットの幅方向の中心側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフロアマット用フックは、係止突部から突出した突出部が車両の前後方向に対して傾斜してもうけられている。すなわち、係止突部から突出した突出部をもつことで、フロアマットを装着したときにフロアマットが浮き上がって外れることを防止できる。また、突出部が車両の前後方向に対して傾斜してもうけられたことで、フロアマットを取り外すときに、この突出部自身がガイドとなりフロアマットを案内する。このとき、突出部が傾斜してもうけられており、車両の前後方向での突出部の長さが短くなっており、車両の前後方向のフロアマットの変移量が短くなる。すなわち、フロアマットの取り外しに要する手間が低減する。この結果、本発明のフロアマット用フックは、フロアマットを走行中に外れることなく係止すると共に、取り外しを簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のフロアマット用フックは、板状の基部と、基部の表面から上方に突出した係止突部と、係止突部の上端部に基部の広がる方向と略平行な方向に突出した突出部と、を有する係止部と、を備え、係止突部がフロアマットにもうけられた係止孔を貫通することでフロアマットを係止し固定する。
【0015】
本発明のフロアマット用フックは、係止突部が係止孔を貫通した状態でフロアマットが固定される。係止突部の上端部には側方に突出した突出部があることから、走行時等においてフロアマットが浮き上がっても、係止孔の開口縁部が突出部とあたり、それ以上のフロアマットの浮きあがりが防止され、フロアマットがフロアマット用フックから外れることが抑えられる。
【0016】
本発明のフロアマット用フックにおいて、突出部は、その先端部が係止突部より車両の前後方向において後方側でありかつフロアマットの幅方向の中心側に位置する。
【0017】
突出部が斜め後方側に突出することで、フロアマットを取り外すときに係止孔の開口した部分およびフロアマットが車両の前後方向に変移する変移量が小さくなり、フロアマットの取り外しを簡単に行うことが可能となる。
【0018】
具体的には、フロアマットの係止孔は、フロアマットの周縁部の近傍に開口している。フロアマットの取り外しは、まず、フロアマットの係止孔が開口した周縁部をつまみ、フロアマット上のゴミ等がフロア上に落ちないように中心方向に向かって引き上げる。そして、フロアマットの係止孔の開口した部分もフロアから浮きあがり、係止孔が係止突部に案内されて係止孔の開口部の周縁部が突出部に当たり、これ以上のフロアマットの上昇が規制される。その後、係止突部と突出部の下方側の境界部を支点にして係止孔を回動し、係止孔の開口部を区画する一部分であって係止突部の突出部が突出した部分に背向した部分に対向した部分を係止突部より突出させ、係止孔に突出部が貫通した状態とする。そして、係止孔を突出部に沿って変移させ、係止孔から突出部を抜き去る。このとき、突出部が車両の前後方向に対して傾斜してもうけられていることから、係止孔の車両の前後方向の変移量は、(突出部の突出長さ)×(cos(突出部の傾斜角度))となることから、従来の突出部が車両後方に突出した場合に比べて短くなっている。すなわち、本発明のフロアマット用フックは、係止孔から突出部を抜き去るためにフロアマットが変移する変移量を短くすることができる。フロアマットの取り外し時にフロアマットの変移量が短くなることでフロアマットの取り外しに要する手間が低減される。
【0019】
また、突出部がフロアマットの幅方向の中心側の斜め後方に向かって突出することで、フロアマットを取り外すときにフロアマットの幅方向の端部側からフロアマット用フックにむかってフロアマットをまくり上げることとなり、フロアマット上のゴミがフロアマットの中央部近傍に集められ、フロア上に落ちなくなる。
【0020】
突出部ののびる方向と車両の前後方向とのなす角が15〜30°であることが好ましい。突出部と車両の前後方向とが15〜30°の角をなすことで、フロアマットの取り外しの手間が低減する効果が得られる。両者のなす角が15°未満では、突出部が車両の後方を向くこととなり、フロアマットの取り外しの手間が低減する効果が低減する。また、両者のなす角が30°を超えると、突出部の車両の前後方向での突出量が短くなり、車両の走行中などにおいてフロアマットがフロアマット用フックから外れやすくなる。
【0021】
突出部は、係止突部から先端部に向かってその厚さが薄くなるテーパ状に形成されたことが好ましい。突出部がテーパ状に形成されたことで、フロアマットを取り外すときにこのテーパ面に沿って係止孔が案内されることとなり、フロアマットの取り外しを簡単に行うことが可能となる。フロアマットの取り外し時にはフロアマットには上方に変移する力もかかるため、フロアマットの取り外し時にフロアマットの変移を案内することができることから、突出部のフロアマットとの対向面が先端部が上方に位置するように傾斜していることがより好ましい。このとき、突出部のフロアマットとの対向面は湾曲していてもよい。
【0022】
本発明のフロアマット用フックにおいては、突出部は先端に向かってその幅が短くなるように形成されたことが好ましい。突出部が幅方向においてもテーパ状に形成されたことで、フロアマットを取り外すときにこの側面に沿って係止孔が案内されることとなり、フロアマットの取り外しを簡単に行うことが可能となる。
【0023】
基部は、床面に敷設されたフロアカーペットを挟持する挟持手段をその裏面に有することが好ましい。基部が挟持手段でフロアカーペットを厚さ方向で挟持することでフロアマット用フックの基部が厚さ方向に変移する(浮き上がる)ことが規制される。すなわち、フロアマットを係止している使用時にフロアマットがずれてフロア面から浮き上がろうとしても、基部がフロアマットの変移を係止部を介して規制される。また、基部の変移が抑えられることで、フロアマットを取り外すときにフロアマットの動きにしたがって係止部が動かなくなるため、フロアマットの取り外しを簡単に行うことが可能となる。挟持手段は、フロアカーペットを厚さ方向で挟持できる手段であれば限定されるものではない。挟持手段は、基部と一体に形成され、基部の裏面との間でフロアカーペットを厚さ方向で挟むクリップ形状をなすことが好ましい。
【0024】
本発明のフロアマット用フックは、基部と係止部とを備え、係止部の突出部が斜め後方に向かって突出していればその他の形状については特に限定されるものではない。
【0025】
本発明のフロアマット用フックは、車両に固定された状態でフロアマットを係止する。フロアマット用フックを車両に固定する方法としては、フロアマット用フックに係止ツメを、車体側に係止ツメが係止される係止穴をもうけておき、この係止穴に係止ツメを係止する方法を用いることができる。係止ツメと係合穴の係止の形態についても特に限定されるものではなく、従来公知の係止手段を用いることができる。また、係止ツメおよび係止穴の開口位置についても特に限定されるものではなく、基部の後方側の端部に上方にのびる起立部をもうけこの起立部の後背面に係止ツメを形成する方法を用いることが好ましい。
【0026】
フロアマット用フックが基部に挟持手段を有すると、フロアマット用フックがフロアカーペットにより固定される。フロアカーペットによりフロアマット用フックが固定されることで、フロアマット用フックを車両に固定する方法(手段)での固定が不十分であっても、フロアマット用フックを固定できる。この結果、フロアマット用フックを車両に固定する手段の設計の自由度が増加する効果を示す。
【0027】
本発明のフロアマット用フックは、その材質が限定されるものではないが、樹脂により一体に形成されたことが好ましい。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0029】
本発明の実施例として、フロアマット用フックを作製した。
【0030】
(実施例1)
本実施例のフロアマット用フックFは、基部1と、起立部2と、係止部3と、取り付け部4と、が一体に形成されている。本実施例のフロアマット用フックFを図1〜3に示した。なお、図1にはフロアマット用フックFの斜視図を、図2には側面図を、図3には上面図を示した。
【0031】
本実施例のフロアマット用フックFにおいて、基部1は帯状を、起立部2は基部1の後方側の端部に起立してもうけられた帯状を有している。すなわち、基部1と起立部2とが、略L字状に曲製された帯状をなしている。なお、基部1と起立部2とがなす角は、取り付けられる車両により決めることができ、本実施例においては直角(90°)をなしている。また、基部1と起立部2とが形成した内角の内部には補強用のリブRがもうけられている。
【0032】
係止部3は、基部1の前方側の端部の近傍の表面から上方に突出した略柱状の係止突部30と、係止突部30の先端部にもうけられ係止突部30の径方向外方に突出した突出部31と、を備えている。本実施例のフロアマット用フックFにおいて、突出部31は、起立部2方向でありかつ基部1ののびる方向に対して30°の角度で傾斜した方向にのびている。
【0033】
係止突部30は、基部1側の基端から先端方向に向かって径が細くなる円錐台柱状に形成されている。係止突部30の基端はφ8mmであり、先端はφ6mmであった。
【0034】
突出部31は、上記した所定の方向に突出したツマミ形状を有している。ここで、ツマミ形状とは、係止突部30からその先端方向に向かって厚さおよび幅が短くなるとともに、基部1との対向面が湾曲した形状である。
【0035】
係止突部30の先端部の側面であり突出部31が突出する方向の外側面から突出部31の先端までの突出長さは、5.5mmであった。
【0036】
取り付け部4は、起立部2の後方側の表面から突出してもうけられた上部係止ツメ40および下部係止ツメ42とからなる。上部係止ツメ40および下部係止ツメ42は、それぞれ起立部から突出しその先端部にそれぞれ上下方向に突出したツメ部41,43がもうけられている。上部係止ツメ40は上方に突出したツメ部41を、下部係止ツメ42は下方に突出したツメ部43を、有している。また、上部係止ツメ40は上下方向に弾性的に変移可能な状態でもうけられ、下部係止ツメ42は弾性的な変移を生じないようにもうけられている。上部係止ツメ40のツメ部41の突出量は、下部係止ツメ42のツメ部43の突出量より大幅に短く形成されている。
【0037】
また、本実施例のフロアマット用フックFの別の形態として、図3において破線で示した突出部31’をもつフロアマット用フックF’を作製した。フロアマット用フックF’は、突出部31’が図3において斜め上方側に30°の角度で突出するように形成されている。
【0038】
本実施例のフロアマット用フックFの使用について以下に説明する。
【0039】
本実施例のフロアマット用フックFは、車両にもうけられた取り付け孔に取り付け部4を係止させることで取り付けられる。取り付け孔は、車両のシートレール下部のフロアに対して略垂直な壁面に開口している。車両の乗員が着席するシートにおいて説明すると、着座した乗員にとって右側のシートレールの下方に開口した取り付け孔にはフロアマット用フックFを、左側のシートレールの下方に開口した取り付け孔にはフロアマット用フックF’を、取り付ける。フロアマット用フックF,F’を取り付けた状態を図4に示した。
【0040】
フロアマット用フックF,F’へのフロアマットMの係止は、フロアマットMに開口した係止孔MHに係止部3,3を係止させることで行われた。フロアマットMに開口した係止孔MHは、フロアマットMを車両に敷設したときにフロアマット用フックF,F’の係止部3に対応した位置に開口し、その径がφ10mmであった。フロアマット用フックFへのフロアマットMの係止は、まず、係止部3の先端の突出部31を係止孔MHに挿入し、前方側にフロアマットMを変移させる。そして、係止孔MHが係止部3の突出部31を通過したら、そのまま、係止突部30にそって下方に変移させてフロアマットMを係止部3に係止させる。フロアマット用フックFのときと同様にしてフロアマット用フックF’にフロアマットを係止させた。その後、フロアマットMの後部以外の部分を所定の状態に広げることでフロアマットMを車両に敷設することができた。フロアマット用フックF,F’にフロアマットMを組み付けた状態の上面図を図5に示した。また、このときのフロアマット用フックFの帯状の幅方向の中心における断面を図6に示した。
【0041】
本実施例のフロアマット用フックF,F’は、下部係止ツメ42のツメ部43の突出量が上部係止ツメ40のツメ部41の突出量より大きくなっていることで、下方に向かう大きな荷重を受けても取り付け孔からフロアマット用フックF,F’がはずれなくなっている。
【0042】
本実施例のフロアマット用フックFからのフロアマットMの取り外しは、以下のようにして行うことができる。
【0043】
まず、フロアマットMの係止孔MHが開口した周縁部をつまみ、フロアマット上のゴミ等がフロア上に落ちないようにフロアマットMの中心方向に向かって引き上げる。この周縁部の引き上げにより、フロアマットMの係止孔MHの開口した部分もフロアから浮きあがり、係止孔MHが係止突部30に案内されて係止孔MHの開口部の周縁部が突出部31に当たり、これ以上のフロアマットMの上昇が規制される。その後、係止突部30と突出部31の下方側の境界部32を支点にしてフロアマットMを回動し、係止孔MHの開口部を区画する一部分であって係止突部30の突出部31が突出した部分に背向した部分30aに対向した部分MHaを係止突部30より突出させ、係止孔MHに突出部31が貫通した状態とする。このときのフロアマット用フックFの帯状の幅方向の中心における断面を図7に示した。そして、係止孔MHを突出部31に沿って変移させ、係止孔MHから突出部31を抜き去る。このとき、突出部31が車両の前後方向に対して30°の角度で傾斜してもうけられていることから、係止孔MHの車両の前後方向の変移量は、(突出部の長さ)×(cos30°)となり、従来の突出部が車両後方に突出した場合に比べて短くなっている。すなわち、フロアマット用フックFは、係止孔MHから突出部31を抜き去るためにフロアマットMHが変移する変移量を短くすることができる。フロアマットMの取り外し時にフロアマットMの変移量が短くなることでフロアマットMの取り外しに要する手間が低減される。
【0044】
また、同様にフロアマット用フックF’からもフロアマットMを取り外すことができる。
【0045】
上記したように、本実施例のフロアマット用フックF,F’は、突出部31により、フロアマットMを装着したときにフロアマットMが浮き上がって外れることを防止できる。また、突出部31が車両の前後方向に対して傾斜してもうけられたことで、フロアマットMの取り外しに要する手間が低減できる。この結果、本実施例のフロアマット用フックF,F’は、フロアマットMを走行中に外れることなく係止すると共に、取り外しを簡単に行うことができる。
【0046】
(実施例2)
本実施例のフロアマット用フックFは、基部1と、起立部2と、係止部3と、取り付け部4と、挟持部5と、が一体に形成されている。本実施例のフロアマット用フックFを図8〜9に示した。なお、図8にはフロアマット用フックFの斜視図を、図9には側面図を示した。本実施例は、挟持部5が形成された以外は、実施例1のフロアマット用フックと同様なフロアマット用フックである。
【0047】
挟持部5は、基部1の裏面から略垂直方向に突出したのちに基部1の先端方向に向かって湾曲したクリップよりなる。挟持部5は、基部1の裏面との間で断面略⊃字状の湾曲した内周面をもち、この内部にフロアカーペットの端部を挿入し挟持する。挟持部5は、挟持したフロアカーペットを厚さ方向に圧縮するように押圧する。挟持部5は、基部1と一体にもうけられた基部1より幅の狭い帯状材が曲成された構成を有している。
【0048】
本実施例のフロアマット用フックFの使用について以下に説明する。なお、本実施例のフロアマット用フックの使用形態は、特に言及されていない部分に関しては上記実施例1のフロアマット用フックの使用方法と同様の方法で使用することができる。
【0049】
本実施例のフロアマット用フックFは、床面にフロアカーペットCが敷設された車両に取り付けられる。床面に敷設されたフロアカーペットCには、車両のボディの取り付け孔が開口した近傍に切れ目がいれられており、この切れ目に沿ってフロアカーペットCの取り付け孔近傍部C’をまくり上げることができる。
【0050】
そして、取り付け孔近傍部C’をまくり上げて取り付け孔を露出させ、この取り付け孔に取り付け部4を係止させて取り付ける。このとき、基部1の裏面にもうけられた挟持部5のクリップ上の内部にフロアカーペットCの端部を挿入し固定する。
【0051】
そして、上記実施例1のときと同様にフロアマットMを組み付ける。これにより、本実施例のフロアマット用フックFを用いてフロアマットを固定できた。フロアマットMが組み付けられた状態を図10に示した。このとき、フロアマット用フックFは、取り付け部4と挟持部5とにより固定されている。すなわち、フロアマット用フックFは、異なる部位で固定されたことで、使用時のズレが生じなくなっている。
【0052】
また、フロアマット用フックFからのフロアマットの取り外しについても上記実施例1のときと同様に行うことができる。
【0053】
本実施例のフロアマット用フックFは、挟持部5がフロアカーペットの端部を挟持したことで、フロアマットMを係止している時にフロアマットMがずれて変移や浮きあがりを生じても、係止部3がフロアマットMの変移を規制する。また、基部1がフロアカーペットを挟持することで基部1の変移がフロアカーペットに規制される。このため、フロアマットMを取り外すときにフロアマットMの動きにしたがって係止部3が動かなくなるため、フロアマットMの取り外しを簡単に行うことが可能となる。
【0054】
また、本実施例のフロアマット用フックFがフロアマットMを係止し固定した状態において、まくり上げられたフロアカーペットCの取り付け孔近傍部C’を下ろす。これにより、フロアマット用フックFがフロアカーペットCに覆われ、視認されなくなる。すなわち、フロアマット用フックFがフロアカーペットCに覆われることでフロアマット用フックFの取り付けられた部分にチリ等のゴミが落ちにくくなるだけでなく、フロアマット用フックFが視認されなくなることで車室内の美観が向上する。
【0055】
本実施例のフロアマット用フックFは、挟持部5がフロアカーペットを挟持したことでフロアカーペットCにより固定される。すなわち、取り付け部4によるフロアマット用フックFの車両のボディへの固定が不十分であっても、挟持部5での固定によりフロアマット用フックFがズレを生じることなく固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例1のフロアマット用フックの斜視図である。
【図2】実施例1のフロアマット用フックの断面図である。
【図3】実施例1のフロアマット用フックの上面図である。
【図4】実施例1のフロアマット用フックF,F’を車両に取り付けた状態を示した図である。
【図5】実施例1のフロアマット用フックF,F’にフロアマットを係止したときの上面図である。
【図6】実施例1のフロアマット用フックFおよびフロアマットMの断面図である。
【図7】実施例1のフロアマット用フックFおよびフロアマットMの断面図である。
【図8】実施例2のフロアマット用フックの斜視図である。
【図9】実施例2のフロアマット用フックの断面図である。
【図10】実施例2のフロアマット用フックFおよびフロアマットMの断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1…基部
2…起立部
3…係止部 30…係止突部
31…突出部
4…取り付け部 40…上部係止ツメ
42…下部係止ツメ 41、43…ツメ部
50…挟持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基部と、
該基部の表面から上方に突出した係止突部と、該係止突部の上端部に該基部の広がる方向と略平行な方向に突出した突出部と、を有する係止部と、
を備え、該係止突部がフロアマットにもうけられた係止孔を貫通することで該フロアマットを係止し固定するフロアマット用フックであって、
該突出部は、その先端部が該係止突部より車両の前後方向において後方側でありかつフロアマットの幅方向の中心側に位置することを特徴とするフロアマット用フック。
【請求項2】
前記突出部ののびる方向と前記車両の前後方向とのなす角が15〜30°である請求項1記載のフロアマット用フック。
【請求項3】
前記突出部は、前記係止突部から先端部に向かってその厚さが薄くなるテーパ状に形成された請求項1記載のフロアマット用フック。
【請求項4】
前記基部は、床面に敷設されたフロアカーペットを挟持する挟持手段をその裏面に有する請求項1記載のフロアマット用フック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−88909(P2006−88909A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277606(P2004−277606)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】