説明

フロキュレータ

【課題】 撹拌羽根の強度を確保しつつ軽量化して軸受への荷重を低減することができるフロキュレータを提供する。
【解決手段】フロキュレータ1は、水中軸受4により回転可能に支持される回転軸10と、回転軸10から外方に延出した固定アーム5間に撹拌羽根3を横架して固定したパドル60とを備え、撹拌羽根3は、回転軸10による回転方向に面する水掻き面3dを有するフライト板3aと、フライト板3aの長手方向に沿って延び、水掻き面3dに交差する方向に突出するフランジ3bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロキュレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば浄水処理設備等では、河川水等の原水に凝集剤を加え濁質を凝集させてフロックを形成し、このフロックを含む原水をフロキュレータと呼ばれる緩速撹拌機で緩速撹拌することで当該フロックを成長させて粗大フロックとし、この粗大フロックを原水から例えば沈降分離等により分離することで原水の浄化を図っている。
【0003】
此処で、上記フロキュレータとしては、フロックを成長させるフロック形成槽内に、多数の撹拌羽根を備える回転軸を横向きで同一軸心上に複数並設し、これらの回転軸を連結機構で連結し回転させることで撹拌羽根により原水を緩速撹拌する構成のものが多用されている。このようなフロキュレータとして、特許文献1に記載されているものが開示されている。特許文献1で開示されているフロキュレータを含めて、一般的に、断面形状が矩形である撹拌羽根が使用されている。
【特許文献1】特開2002−336669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロキュレータは、建設費や維持管理費の面から回転軸を支持する軸受にかかる荷重が小さいことが望ましく、フロキュレータの自重を軽量化することが要請されている。しかしながら、上記のフロキュレータにあっては、撹拌羽根に対して一定の強度を確保する必要があるため、撹拌羽根の軽薄化には限界がある。このとき、合成木材製の撹拌羽根を利用して軸受にかかる荷重を低減する方法があるが、コストが上がるというデメリットがある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みて為されたものであり、撹拌羽根の強度を確保しつつ軽量化して軸受への荷重を低減することができるフロキュレータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフロキュレータは、水中にて軸受により回転可能に支持される回転軸と、回転軸から外方に延出した固定アーム間に撹拌羽根を横架して固定したパドルとを備えたフロキュレータであって、撹拌羽根は、回転軸による回転方向に面する水掻き面を有するフライト板と、フライト板の長手方向に沿って延び水掻き面に交差する方向に突出するフランジと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
これによれば、フランジによって撹拌羽根に関し長手方向の剛性が高められる。そのため、フランジのない従来の撹拌羽根に比べて薄い厚みで撹拌羽根を形成することができるので、従来に比べて撹拌羽根の軽量化が可能である。そして、薄板化により撹拌羽根が軽量化されると、浮力を考慮して材料選択をする必要がなく撹拌羽根の材料選定上の制約が緩和されるので、例えばSUS材などを用いることによって低コストで耐食性にすぐれた撹拌羽根を形成することも可能である。また、撹拌羽根の剛性が高められると、従来に比べて撹拌時における撹拌羽根のたわみが低減されるので、撹拌羽根を固定する固定アーム数が削減される。その結果、フロキュレータが全体として軽量化され、軸受への荷重を低減することが可能となる。また、撹拌羽根のたわみが低減されるので、従来の撹拌羽根に比べて撹拌羽根長を長く設定することも可能である。
【0008】
また本発明に係るフロキュレータの撹拌羽根は、フランジの端部を内側に折り返した折返部を有することが好ましい。このようにすれば、撹拌羽根の剛性を高めるのに有効なフランジが突出する高さを拡大することができる。それによって、上記の撹拌羽根に比べて撹拌時における撹拌羽根の強度がより向上される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフロキュレータによれば、撹拌羽根の強度を確保しつつ軽量化して軸受への荷重を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。第一実施形態では、本発明に係るフロキュレータを浄水処理設備のフロック形成槽に適用した場合について説明する。
【0011】
図1は、第一実施形態に係るフロキュレータを示す平面図である。図2は、図1に示したフロキュレータの要部正面図である。図3は、図1に示したフロキュレータの側断面図である。図4は、回転軸が水中軸受に支持されている様子を示す側断面図である。図5は、図4に示した回転軸のV−V線に沿った断面を示す断面図である。図6は、図1に示したフロキュレータの要部側面図である。図7は、撹拌羽根が固定アームに固定されている様子を示す斜視図である。
【0012】
まず、第一実施形態にかかるフロキュレータ1の構成について説明する。図1乃至図3を参照すると、フロキュレータ1は、フロック形成槽2内に水中軸受4、支持台6、回転軸10およびパドル60を備えて構成されている。浄水処理施設では、フロック形成槽2の前段には被処理水を供給する流入渠20が設けられ、フロック形成槽2の後段には形成されたフロックの沈殿を促す沈殿槽21が設けられている。フロック形成槽2は、通常、流入渠20と沈殿槽21との間において複数併設され、それぞれのフロック形成槽が通水孔23(図3参照)を介して結ばれている。
【0013】
図2を参照すると、水中軸受4は、フロック形成槽2内の底部に立設された支持台6上に配置されている。ここで、図4を参照すると、水中軸受4は、いわゆる二つ割軸受であって軸受上部4aと軸受下部4bとから成り、両者を図示しないボルトによって結合するようになっている。この水中軸受4は、内部に配設されたオイルレスメタルなどによって回転軸10のシャフト部10fを包囲して、回転軸10を支持する。
【0014】
図1乃至図4を参照すると、回転軸10は、シャフト部10fを水中軸受4によって軸支され、フロック形成槽2内に横向きに配置されている。シャフト部10fの一方は、グランドパッキン式などの軸封水装置(不図示)を介してフロック形成槽2外に延出し、減速機11を介して駆動源13に連結されている。フロキュレータ1の動作時においては、回転軸10は、駆動源13の回転トルクを伝達して、回転軸10の軸径方向に固定されたパドル60を回転させる。
【0015】
図4および図5を参照すると、回転軸10は、ステンレス鋼等からなる筒状体であり、この筒状体の周壁は、必要な強度を維持できる範囲で可能な限り薄厚に形成されている。これによってフロキュレータ1の運用時においては、十分な浮力を生じさせて、浮力により軸受上部4aに荷重がかかるように構成されている。回転軸10の中空部内には、例えば溶接などによって水密隔壁10bが設けられている。図4では、2つの水密隔壁10bによって、中空部が長手方向に3つの区画10c、10d、10eに分けられている様子を示している。フロキュレータ1の運用時においては、水密隔壁10bで仕切られた中空部区画10d、10eに水などの液体が格納され、これら中空部区画10d、10eは、液体収容室として機能する。このとき、1個当たりの軸受上部4aにかかる荷重は、490N(50kgf)程度が好ましく、中空部区画10dおよび10eの容量によってグラムオーダーでの浮力調整が可能である。
【0016】
液体収容室は、回転軸10の両端部に近い領域に配置されることが好ましく、例えば、図4に示される中空部区画10dおよび10eに配置されるものである。中空部区画10dおよび10eの容積は、均等に近い大きさであるとよい。また、液体が収容される中空部区画10dおよび10eには、回転軸10の円周周壁を貫通する複数の開口部10aを形成することが好ましい。この開口部10aは、例えば、図5に示されるような回転軸10の軸径方向に対面して開口するものであってもよい。これによって、フロキュレータ1の運用時には、液体を収容する中空部区画10dおよび10eに水がスムーズに収容され、中空部区画10dおよび10eは通水可能になる。また、フロック形成槽2の水抜き時には、液体が収容されている中空部区画10dおよび10eから水がスムーズに排出される。回転軸10のシャフト部10fについては、回転軸10本体の軸線X方向に配置されてボルト締めや溶接などによって回転軸10に固定されている。
【0017】
パドル60は、一対の固定アーム5の間に多数の撹拌羽根3を横架して固定したものである。例えば、図1に示すように、2本の固定アーム5が並行に配置され、これら固定アーム5の一端面側に撹拌羽根3を一定間隔で簀の子状に配置したものである。また、図1に示すように、複数のパドルを同一平面上で軸線X方向に隣接して配置する場合には、隣り合うパドル間で、隣り合う撹拌羽根3の端部を互い違いにかみ合わせて配置し、固定アーム5を共有するように固定するとよい。これによって、固定アーム5の本数が削減され、水中軸受4に加わる荷重を低減することが可能である。撹拌羽根3の固定アーム5への固定方法としては、ボルト締めが好適である。
【0018】
固定アーム5は、図6に示すように、回転軸10の軸線X方向から見て、例えば回転軸10の軸径方向に十字形で延出するように配置され、翼車50を介して回転軸10に固着されている。固着方法としては、ボルト締めや溶接などがよい。固定アーム5上には、回転軸10の軸線X方向を長手方向として多数の撹拌羽根3が配置されている。
【0019】
撹拌羽根3は、図7に示すように、フライト板3a、フランジ3bを備えて構成されており、例えば、長手方向に垂直な断面がアルファベットのCに類似したチャンネル形状(Cチャンネル形状)の部材である。撹拌羽根3の材質は、引っ張り強度が得られる素材であればよい。例えば、撹拌羽根3は、SUS(Stainless Used Steel)やアルミニウムなどの金属材料をプレス加工したものであってもよいし、FRP(FiberReinforced Plastics)やPVC(Poly-Vinyl Chloride)などの樹脂材料を押し出し成型したものであってもよい。
【0020】
フライト板3aは、回転軸10すなわち固定アーム5の回転方向Yに面する水掻き面3dを有する。水掻き面3dは、例えば固定アーム5の回転方向Yに法線を持つ面で構成される。フロキュレータ1の動作時おいて、水掻き面3dは、被処理水から反力を受けつつ、被処理水を撹拌する。フライト板3aは、水掻き面3dを貫通して設けられた締結孔3eを介して、ボルト締めによって固定アーム5へ固定される。
【0021】
フランジ3bは、フライト板3aの長手方向に沿って延び、水掻き面3dに交差する方向、例えば回転方向Y、に向かって突出する。各部の寸法は、例えば、フランジの高さL1=50mm、フライト板幅L2=100mm、撹拌羽根長L3=2400mm、撹拌羽根厚t=0.5mmである。
【0022】
また、撹拌羽根3は、フランジ3bの端部を内側に折り返した折返部3cを有することが好ましい。折返部3cは、例えば、図7に示すように、水掻き面3dに対して並行な面が形成された形状を有する。この折返部3cについても、前述のプレス加工や押し出し成型によって形成されてもよい。
【0023】
次に、図1乃至図3を参照して、第一実施形態にかかるフロキュレータ1の動作について説明する。
【0024】
フロキュレータ1の運用時には、流入渠20の開閉自在に設けられた流入口22を開き、被処理水をフロック形成槽2に流入させる。流入水位が回転軸10の高さ付近に到達すると、回転軸10の浮力によって、軸受上部4aには、上向き荷重が印加される。流入水位が回転軸10の設置高さを超えると、回転軸10の中空部区画10dおよび10eに被処理水が流入し、中空部区画10dおよび10eは通水可能になる。すなわち、水密隔壁10bの位置によって回転軸10の重量を変えずに浮力のみを変更することができるので、回転軸10に作用する荷重を容易に設定することができる。
【0025】
フロキュレータ1の動作時には、回転軸10は駆動源13の回転トルクを伝達して、回転軸10の軸径方向に固定されたパドル60を回転方向Yに回転させる。パドル60の回転に伴って、パドル60の固定アーム5に固定された撹拌羽根3の水掻き面3dが回転運動し、被処理水を撹拌する。その結果、フロック形成槽2内の被処理水が緩速撹拌されて、フロックの粗大化が図られる。この場合、撹拌羽根3のフライト板3aには、被処理水の抵抗によって回転方向Yとは逆方向に曲げ荷重が作用する。
【0026】
フロック形成槽2の水抜き時には、フロック形成槽2内に設けられた排水口(不図示)より被処理水が排水される。フロック形成槽2の水位が回転軸10の底部を下回ると、回転軸10の浮力が作用しなくなり、中空部区画10dおよび10eに格納された水は、開口部10aから排出される。
【0027】
次に、第一実施形態にかかるフロキュレータ1の作用及び効果について説明する。
【0028】
上記フロキュレータ1によれば、回転軸10の重量を変えずに浮力のみを変更することができるので、回転軸10に作用する荷重を容易に設定することができる。
【0029】
フロキュレータ1の動作時には、回転軸10は水中軸受4に軸支されて回転する。このとき、水を格納する中空部区画には、回転軸10に対して曲げ荷重が発生する。フロキュレータ1においては、水を格納する中空部区画10dおよび10eが回転軸10の端部に配設されている。この場合、水を格納する区画が中空部区画10cにあるような場合に比べて、中空部区画10dおよび10eが回転軸10の固定端に近い距離に配置されているので、回転軸10に対して加わる曲げ荷重の大きさを抑えることが可能である。
【0030】
また、フロキュレータ1の中空部区画10dおよび10eは、回転軸10の両端部にそれぞれ配設されている。そのため、フロキュレータ1の動作時において、回転軸10両端に設けられた水中軸受4の一方に偏った磨耗を発生することなくバランスよく回転させることができる。
【0031】
また、フロキュレータ1の中空部区画10dおよび10eは、回転軸10の円周壁部を貫通する複数の開口部10aを有している。フロキュレータの運用時には、中空部区画10dおよび10eに対して被処理水が開口部10aより自動的に流入して、中空部区画10dおよび10eは通水可能になる。この中空部区画10dおよび10eの容量によって、回転軸10に作用する浮力を容易に設定することができるので、軸受上部4aに作用する荷重を容易に設定することができる。また、フロック形成槽2の水抜き時には、中空部区画10dおよび10eは、中空になり回転軸10の重量が軽くなるので、軸受下部4bにかかる負荷を小さくすることができる。
【0032】
フロキュレータ1の動作時には、被処理水の抵抗によって回転方向Yとは逆方向に撹拌羽根3のフライト板3aに対して曲げ荷重が作用する。フロキュレータ1の撹拌羽根3は、回転方向Yに突出するフランジ3bを有するので、フランジ3bがないものに比べて、断面2次モーメントが増大して上記曲げ荷重に対する剛性が高められる。そのため、フランジのないものに比べて薄い厚みで撹拌羽根3を形成することができるので、従来に比べて撹拌羽根3の軽量化が可能である。そして、薄板化により撹拌羽根3が軽量化されると、浮力を考慮して材料選択をする必要がなく、撹拌羽根3の材料選定上の制約が緩和されるので、例えばSUS材などを用いることによって低コストで耐食性にすぐれた撹拌羽根3を形成することも可能である。また、撹拌羽根3の剛性が高められると、従来に比べて撹拌時における撹拌羽根3のたわみが低減されるので、撹拌羽根3を固定する固定アーム5の数が削減される。その結果、フロキュレータ1が全体として軽量化され、水中軸受4への荷重を低減することが可能となる。また、撹拌羽根3のたわみが低減されるので、従来の撹拌羽根に比べて撹拌羽根長L3を長く設定することも可能である。
【0033】
また、フロキュレータ1の動作時に加えられる曲げ荷重に対する剛性は、フランジの高さL1を拡大することによって増大される。フロキュレータ1の撹拌羽根3は、端部を内側に折り返した折返部3cを有する。この折返部3cにより、フランジ3bの局部曲げが防止できるため、フランジの高さL1を拡大することができる。それによって、フロキュレータ動作時における撹拌羽根3の剛性がより向上される。
【0034】
次に、第二実施形態に係るフロキュレータ101について説明する。フロキュレータ101と第一実施形態に示されたフロキュレータ1との構成上の相違点は、フロキュレータ101が回転軸の開口部において開口部を水密的に塞ぐ開閉栓を備えた点である。また、それらの動作上の相違点は、フロキュレータの運用時およびフロック形成槽の水抜き時の動作である。これら相違点以外に関しては、第一実施形態と同様なので詳細な説明を省略する。
【0035】
図8は、第二実施形態に係るフロキュレータ101の構成を示す側面断面図である。開閉栓14は、例えば、内周面に雌ネジを刻設された開口部10aに螺合する雄ネジを有している。フロキュレータの運用時には、開閉栓14を開いて、中空部区画10dおよび10eに対して水などの液体が注入され、その後、開閉栓14が閉じられる。このとき、注入された水量が回転軸の目標荷重に対して過大であった場合には、開閉栓14を開くことによって容易に格納された水量を減らすことが可能である。また、この操作によって、注入された水量が回転軸の目標荷重に対して過小になった場合においても、開閉栓14を開いて注水することによって容易に水量を増やすことが可能である。これらの操作によって、中空部区画10dおよび10eに格納される水量をグラムオーダーで微調整することができる。
【0036】
また、開閉栓14を閉じると開口部10aは水密に密閉される。そのため、被処理水がフロック形成槽2に流入されても、被処理水が中空部区画10dおよび10eに流入しないため、回転軸10に作用する重力は一定に保持される。
【0037】
フロック形成槽2の水抜き時には、開閉栓14を自動もしくは手動で開くことによって、中空部区画10dおよび10eに格納された水が開口部10aから排出される。水の排出によって回転軸10全体の重量が減少すると、軸受下部4bに対して印加されていた下向きの荷重が、回転軸10の重量減少分だけ減少する。したがって、浮力が得られない場合にも、回転軸10から軸受下部4bに作用する荷重を容易に軽減することができる。
【0038】
フロキュレータ101によれば、フロキュレータの運用時において、開閉栓14を開いて中空部区画10dおよび10eに被処理水を収容し、開閉栓14を閉じて回転軸10に作用する重力を保持することができる。中空部区画10dおよび10eに収容された被処理水によって、回転軸10に作用する重力をグラムオーダで調整することができるので、軸受に作用する荷重を容易に調整することができる。
【0039】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0040】
例えば、回転軸10の開口部10aについて、図4では、回転軸10の軸径方向にそれぞれ対面して開口するものが示されている。しかしながら、開口部10aは、対面して開口するものでなくてもよい。例えば、一対の開口部10aは、軸線Xを挟んで反対側の回転軸10の円周壁部に設けられ、軸線X方向の位置が互いにずれていてもよい。一対の開口部10aの軸線X方向の位置は、可能な限り離れていると好ましく、特に、一方の開口部10aが水密隔壁10bに隣接して設けられ、他方の開口部10aが回転軸10の端壁に隣接して設けられていると好ましい。図9には、水密隔壁10bと回転軸10の端壁とに隣接して一対の開口部10aを設けた回転軸10を示している。このようにすれば、フロック形成槽2の水抜き時において、回転軸10の軸線Xが地面に対して傾斜していた場合にも、中空部区画10dおよび10eに格納された水が、区画内部に貯留することなく容易に排水される。
【0041】
また、図9には示されていないが、開口部10aを回転軸10端部側の中空部区画10dおよび10eに設けずに、回転軸10中央部側の中空部区画10cに設けてもよい。この場合には、中空部区画10cが液体収容室として機能する。
【0042】
撹拌羽根3の長手方向の断面形状については、図7では、Cチャンネル形状のものが示されている。撹拌羽根3の断面形状は、図10(a)から(f)に示されたものであってもよい。すなわち、図10(a)は、折返部3cを有さない略コ字状の撹拌羽根を示す断面図である。この形状では、Cチャンネル形状のものに比べて、製造が容易になる利点がある。図10(b)は、フライト板3aの片側にのみフランジ3bを有するL字状の撹拌羽根を示す断面図である。この形状では、略コ字状のものに比べて、さらに製造が容易になる利点がある。図10(c)は、フランジ3bが水掻き面3dの反対側にも突出するI字状の撹拌羽根を示す断面図である。この形状では、Cチャンネル形状のものに比べて、撹拌時に加わる曲げ荷重に対してより高い剛性が得られる利点がある。図10(d)は、折返部3cが一続きに形成されたロ字状の撹拌羽根を示す断面図である。この形状では、I字状のものに比べて、さらに高い剛性が得られる利点がある。図10(e)は、フライト板3aが屈曲部を有する略M字状の撹拌羽根を示す断面図である。図10(f)は、フランジ3bがフライト板3aに対して鋭角θで突出するアリ溝状の撹拌羽根を示す断面図である。図10(g)は、フライト板3a両端のフランジ3bがそれぞれ逆方面に突出する略S字状の撹拌羽根を示す断面図である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第一実施形態に係るフロキュレータを示す平面図である。
【図2】図1に示したフロキュレータの要部正面図である。
【図3】図1に示したフロキュレータの側断面図である。
【図4】回転軸が水中軸受に支持されている様子を示す側断面図である。
【図5】図4に示した回転軸のV−V線に沿った断面を示す断面図である。
【図6】図1に示したフロキュレータの要部側面図である。
【図7】撹拌羽根が固定アームに固定されている様子を示す斜視図である。
【図8】第二実施形態に係るフロキュレータの回転軸を示す側断面図である。
【図9】回転軸の変形例を示す側断面図である。
【図10】撹拌羽根の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1、101…フロキュレータ、2…フロック形成槽、3…撹拌羽根、3a…フライト板、3b…フランジ、3c…折返部、3d…水掻き面、4…水中軸受、4a…軸受上部、4b…軸受下部、5…固定アーム、6…支持台、10…回転軸、10a…開口部、10b…水密隔壁、10c、10d、10e…中空部区画、11…減速機、13…駆動源、14…開閉栓、20…流入渠、21…沈殿槽、22…流入口、23…通水孔、50…翼車、60…パドル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中にて軸受により回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸から外方に延出した固定アーム間に撹拌羽根を横架して固定したパドルとを備えたフロキュレータにおいて、
前記撹拌羽根は、
前記回転軸による回転方向に面する水掻き面を有するフライト板と、
前記フライト板の長手方向に沿って延び、前記水掻き面に交差する方向に突出するフランジと、
を備えたことを特徴とするフロキュレータ。
【請求項2】
前記撹拌羽根は、前記フランジの端部を内側に折り返した折返部を有することを特徴とする請求項1に記載のフロキュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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