説明

フロストシリアル食品及びその製造方法

【課題】カテキン類を高含有するにもかかわらず、良好な外観を有するフロストシリアル食品を提供する。
【解決手段】カテキン類をシリアル食品乾物質量に対して0.1質量%以上含有するフロストシリアル食品であって、該フロストシリアル食品の被覆素材中の糖類以外の固形分の割合が1質量%以上であり、かつ該糖類以外の固形分中のカテキン類の割合が40質量%以上であるフロストシリアル食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテキン類を含有するフロストシリアル食品(糖類で被覆したシリアル食品)とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カテキンには一般に広く知られている酸化防止剤としての機能の他に、α−アミラーゼ活性阻害作用、コレステロール吸収阻害作用等の生理作用があることが知られており(特許文献1、2参照)、種々の食品に配合することが近年検討さている。当該カテキンとしては、食品に添加するものであることから、茶、ブドウ、リンゴ、大豆等の植物由来のものが広く用いられている。
【0003】
カテキンを配合したシリアル食品としては、抹茶を用いたシリアル食品が販売されていた。また、シリアル食品ではないがカテキン製剤を配合したものとして、ビタミンA及びEと共にカテキンを微量配合したシリアルバーが知られている(特許文献3参照)。
このように従来、シリアル食品及びシリアル関連食品には茶フレーバー付与を目的として抹茶を使用するか、又は酸化防止を目的としてカテキン製剤を使用するものがあった。
なお、カテキンを酸化防止剤として使用する場合は、粗カテキン製剤であればシリアル食品に0.1〜0.2質量%添加することでその目的は達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−156614号公報
【特許文献2】特開平3−133928号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第1844664A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カテキン類を含有する食品の摂取により、カテキン類の持つ生理効果を有効に発揮させるためには、目的とする生理効果に応じて、食品の摂食量との関係から有効量に達する程度の濃度でカテキン類を食品へ含有させる必要がある。
その際、食品としてフロストシリアル食品を選択する場合、カテキン類を含有させる方法として二つの方法が考えられる。一つはシリアル食品を製造する際に、生地にカテキン類を練り込む方法、もう一つはフロストシリアルとするために用いる糖類溶液にカテキン類を配合し、これでシリアル食品を被覆する方法である。前者の方法がより簡便な方法であるが、カテキン類の原料として抹茶を用いると、抹茶のカテキン類含有量は約10質量%(以下、組成を表す「%」は特に断りのない限り質量%を意味する。)前後であるため、シリアル食品への抹茶の配合量は、所望するカテキン類の配合量の10倍にもなる。また、カテキン類の原料として茶葉より抽出して乾燥した市販のカテキン製剤を用いる場合でも、カテキン製剤中のカテキン類の濃度は30〜40%程度にすぎず、所望するカテキン類の配合量に対して数倍量の製剤を配合しなければならない。
本発明者は、シリアル食品の製造における焙焼の過程で、生地にカテキン製剤を多量に練り込んでも、カテキン類が高温・高圧に曝されることにより、その含有量が減少してしまうことを見い出した。
【0006】
一方、カテキン類を配合した糖類溶液により、成形したシリアル食品を被覆する方法を用いれば、この熱履歴を回避できる。ここで、前記従来技術の抹茶を配合したシリアル食品では、抹茶を糖液と混合しシリアル食品表面に付着させている。しかし、この商品における抹茶の配合は抹茶風味の付与が目的であり、カテキン類を高含有させるためのものではないため、抹茶の配合量はごく少量である。本発明者は、糖類溶液に抹茶を配合し、これを用いてシリアル食品を被覆することで生理効果を発現するのに有効な量のカテキン類の配合を試みた。しかし、生理効果を発現するのに有効な量のカテキン類を配合するには、その10倍量もの抹茶粉末を糖類溶液に配合せねばならず、結果として糖類溶液が懸濁液となり粘度が上昇し、シリアル食品を被覆するには困難な液性となった。また、被覆する糖類溶液とシリアル食品本体とのバランスが悪くなることも判明した。更に、抹茶は糖類溶液に溶解しにくい粉末であることからこの懸濁液で被覆すると、外観が悪化することがわかった。
上記のように、従来の抹茶を用いたフロストシリアル食品の製造法をカテキン類高含有フロストシリアル食品の製造にそのまま適用するには課題があることが判明した。
本発明の課題は、カテキン類を高含有するにもかかわらず、外観の良いフロストシリアル食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、フロストシリアル食品における被覆素材中のカテキン製剤含有量を種々検討したところ、被覆素材中の糖類に対して糖類以外の固形分が多いほど、フロストシリアル食品の外観が損なわれるが、一方で、糖類以外の固形分中に占める非重合体カテキン類の割合を多くすると、外観が損なわれにくいことを見い出した。本発明はこれらの知見に基づき完成するに至ったものである。
【0008】
本発明は、カテキン類をフロストシリアル食品乾物質量に対して0.1%以上含有するフロストシリアル食品であって、該フロストシリアル食品の被覆素材中の糖類以外の固形分の割合が1%以上であり、かつ該糖類以外の固形分中のカテキン類の割合が40%以上であるフロストシリアル食品に関する。
また、本発明は、シリアル食品を成形後、該シリアル食品を、固形分中のカテキン類の割合が40質量%以上であるカテキン類含有植物抽出物の精製物を含有する糖類溶液で被覆する、前記フロストシリアル食品の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフロストシリアル食品は、被覆素材中にカテキン類を高含有するにもかかわらず、シリアル食品としての外観を良好に維持する。
また、本発明の製造方法によれば、シリアル食品の成形の過程で高温によるカテキン類の減少等が生じないため、シリアル食品にカテキン類を高含有させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明においてシリアル食品とは、一般的に朝食シリアル(Ready to eat,Breakfast cereal)と称される食品であって、とうもろこし、米、玄米、小麦、大麦、ライ麦、燕麦、蕎麦、粟、稗等の穀類から得られる穀類原料を圧扁、成型、膨張、焙焼等により加工したシリアル粒を主原料とする食品であり、一般に牛乳等の液状食品を加えてそのまま、又は加熱して食されることが多い。
本発明のフロストシリアル食品とは、シリアル食品に糖類を主成分とする素材を被覆したものである。本発明において、この被覆された素材をフロストシリアル食品の被覆素材という。「フロスト」とは糖類がシリアル食品表面で結晶化し霜(フロスト)状に見えることに由来している。フロストシリアル食品はシリアル食品に含まれるものである。
【0011】
本発明においてカテキン類とは、非重合体カテキン類を意味し、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート(GCg)等の非エピ体カテキン類;及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート(EGCg)等のエピ体カテキン類をあわせての総称である。
【0012】
本発明においては、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートをあわせて、非重合カテキン類ガレート体と総称する。本発明に用いる後述するカテキン精製物は、エピガロカテキンガレート及び/又はその異性体と、エピカテキンガレート及び/又はその異性体を含有するものが好ましい。またカテキン類中のガレート体率とは、これら4種の総和質量の非重合体カテキン類8種の総和質量に対する百分率で表した数値である。また本発明のエピガロカテキンガレートの異性体とはガロカテキンガレートであり、エピカテキンガレートの異性体とはカテキンガレートである。
【0013】
本発明においては、フロストシリアル食品中のカテキン類含有量は、フロストシリアル食品乾物質量に対して0.1%以上であるが、好ましくは0.2〜10%、より好ましくは0.21〜5%、さらに0.25〜2%、特に0.3〜1.7%とすることが、生理効果の点から好ましい。フロストシリアル食品乾物質量とは、シリアル食品を105℃に設定した定温乾燥器で2時間加熱し、デシケーター中で室温に戻るまで冷却した後のシリアル食品の質量を意味する。カテキン類はフロストシリアル食品の被覆素材中に存在することが好ましい。
【0014】
本発明のフロストシリアル食品は、その被覆素材中に占める糖類以外の固形分の割合が1%以上であり、かつ当該糖類以外の固形分中に占めるカテキン類の割合は40%以上である。前記被覆素材中に占める糖類以外の固形分の割合は、糖類が均一に結晶化し良好なフロスト状になる点、生理作用発現に必要な量のカテキン類を含有するシリアル食品が安定して得られる点から1〜25%であることが好ましく、更に5〜15%、特に7〜13%であることが好ましい。被覆素材中に占める糖類以外の固形分中に占めるカテキン類の割合は、同様の点から45〜80%であることが好ましく、更に50〜75%、特に60〜70%であることが好ましい。
【0015】
本発明のフロストシリアル食品とするためには、カテキン類を含有させるために、カテキン類含有植物抽出物の精製物(以下、「カテキン精製物」という)を使用し、これと糖類溶液とを混合したもの(カテキン類含有植物抽出物の精製物を含有する糖類溶液)をシリアル食品に被覆することが好ましい。カテキン精製物は、カテキン類を含有する植物から得た抽出物をさらに精製したものであり、前記カテキン類に加えて、その重合物や加水分解物、その他のフラボノイド類も含む、タンニンと称されるものを含有する。カテキン精製物中のタンニンの含有量は40%以上が好ましく、さらに40〜99%、特に45〜80%、殊更50〜70%であることが、シリアル中に生理作用発現に必要なカテキン類を、安定して含有させることができる点から好ましい。また、カテキン精製物中のカテキン類含有量は35%以上が好ましく、さらに40〜90%、特に45〜80%であることが、フロストシリアル食品中に生理作用発現に必要な量のカテキン類を、安定して含有させることができる点から好ましい。
【0016】
本発明においては、カテキン類の量は、実施例記載の条件における高速液体クロマトグラフィーにより測定することができ、タンニン量は、実施例記載の条件における酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸の換算量により測定することができる。
【0017】
本発明に用いる前記カテキン精製物は固体、粉末状又は液状である。本発明の態様において、前記カテキン精製物は、固形分0.5%水溶液としたときの濁度が40度(ホルマジン)以下、さらに35度以下、特に25度以下であることが、糖類溶液と混合して被覆したときに糖類が均一に結晶化し良好なフロスト状になる点、生理作用発現に必要な量のカテキン類を含有するフロストシリアル食品が安定して得られる点、糖類溶液の粘度が低く吐出性、被覆性を良好とする点から好ましい。
また、カテキン精製物は、固形分1.0%水溶液において、光路長10mmのセルを使用した場合の671.5nmにおける吸光度が0.4以下、さらに0.35以下、特に0.25以下であることが、糖類溶液と混合して被覆したときに糖類が均一に結晶化し良好なフロスト状になる点、生理作用発現に必要な量のカテキン類を含有するフロストシリアル食品が安定して得られる点、糖類溶液との混合用液の粘度が低く吐出性、被覆性を良好とする点から好ましい。
さらに、カテキン精製物は、固形分40%の水溶液としたときの粘度が温度20℃においてB型粘度計で160mPa・s以下であることが好ましく、さらに5〜70mPa・s、特に10〜50mPa・sであることが、生理作用発現に必要な量のカテキン類を含有するフロストシリアル食品が、安定して得られる点、糖類溶液との混合用液の粘度が低く、吐出性、被覆性を良好とする点から好ましい。
【0018】
前記カテキン精製物は、(A)ミリセチン、(B)ケルセチン及び(C)ケンフェロールの含有量の和((A)+(B)+(C)の含有量)が0.000001〜5%、さらに0.00001〜3%、特に0.001〜1.8%であるのが、糖類溶液と混合して被覆したときに糖類が均一に結晶化し良好なフロスト状になる点、糖類溶液との混合用液が低粘度となるため吐出性及び被覆性が良好となる点で好ましい。
【0019】
また、前記カテキン精製物は、(D)エピガロカテキンガレート及び(E)ガロカテキンガレートの含有量の和((D)+(E)の含有量)が15〜95%、さらに18〜40%、特に20〜35%であるのが、糖類溶液と混合して被覆したときに糖類が均一に結晶化し良好なフロスト状になる点、糖類溶液との混合用液が低粘度となるため吐出性及び被覆性が良好となる点から好ましい。
【0020】
更に、前記カテキン精製物は、(A)ミリセチン、(B)ケルセチン及び(C)ケンフェロールの含有量の和と、(D)エピガロカテキンガレート及び(E)ガロカテキンガレートの含有量の和との比((A)+(B)+(C)の含有量)/((D)+(E)の含有量)が0.0001〜0.1(質量比)であるのが、糖類溶液と混合して被覆したときに糖類が均一に結晶化し良好なフロスト状になる点、糖類溶液との混合用液が低粘度となるため吐出性及び被覆性が良好となる点で好ましく、当該比がさらに0.001〜0.09、特に0.01〜0.09であるのが好ましい。なお、成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の含有量は、カテキン精製物を加水分解後、実施例記載の条件における高速液体クロマトグラフィーで測定することができる。
【0021】
本発明のフロストシリアル食品は、その被覆素材中に成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含み、成分(A)、(B)及び(C)の含有量の和と、成分(D)及び(E)の含有量の和との比((A)+(B)+(C)の含有量)/((D)+(E)の含有量)が0.0001〜0.1(質量比)、さらに0.001〜0.09、特に0.01〜0.09であることが、カテキン類を高含有するにもかかわらず、シリアル食品としての外観を良好に維持する点から好ましい。このような比率とするには、前記カテキン類含有植物抽出物の精製物を含有する糖類溶液をシリアル食品に被覆することにより得ることができる。
【0022】
また、前記カテキン精製物は、(F)ルチンの含有量が0.0001〜2%、さらに0.001〜1.2%、特に0.01〜1.0%であるのが、糖類溶液と混合して被覆したときに糖類が均一に結晶化し良好なフロスト状になる点、糖類溶液との混合溶液が低粘度となるため吐出性及び被覆性が良好となる点から好ましい。なお、成分(F)の含有量は、実施例記載の条件における高速液体クロマトグラフィーで測定することができる。ルチンとは、フラボノール配糖体の一種であり、ケルセチンの3位の酸素原子にβ−ルチノース(6−O−α−L−ラムノシル−D−β−グルコース)が結合したものである。
【0023】
前記カテキン精製物は、カフェインの含有量が0.0001〜10%、さらに0.001〜7%、特に0.01〜5%であることが、カフェインに起因する頻尿、不眠等を低減する点から好ましい。カフェインの含有量は、実施例記載の条件における高速液体クロマトグラフィーで測定することができる。
【0024】
前記カテキン精製物は、カテキン類含有植物抽出物(以下、単に「植物抽出物」と記載する)を精製したものであればよく、当該植物としては茶、ブドウ、リンゴ、大豆等が挙げられ、茶としては緑茶、烏龍茶、紅茶、等が挙げられるが、このうち緑茶が特に好ましい。ここで、例えば緑茶から抽出したものを「緑茶抽出物」という。
【0025】
緑茶抽出物としては、緑茶葉から得られた抽出液が挙げられる。茶葉としては、より具体的には、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica及びやぶきた種又はそれらの雑種等から得られる茶葉から製茶された茶葉が挙げられる。製茶された茶葉には、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶等の緑茶類がある。また、超臨界状態の二酸化炭素接触処理を施した茶葉を用いてもよい。茶を抽出する方法については、攪拌抽出、カラム法、ドリップ抽出など従来の方法により行う。また抽出時の水にあらかじめアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。また煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法も併用してもよい。このようにして得られた抽出液は、そのままでも、乾燥、濃縮しても本発明に用いるカテキン精製物の調製に使用できる。茶抽出物の形態としては、液体、スラリー、半固体、固体の状態が挙げられる。
緑茶抽出物として、茶葉から抽出した抽出液以外に、緑茶抽出物の濃縮物を水又は有機溶媒に溶解又は希釈したものを用いてもよいし、茶葉から抽出した抽出液と緑茶抽出物の濃縮物とを併用してもよい。
ここで、緑茶抽出物の濃縮物とは、緑茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものであり、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載されている方法により調製したものをいう。具体的には、市販の三井農林社製「ポリフェノン」、伊藤園社製「テアフラン」、太陽化学社製「サンフェノン」等の粗カテキン製剤を固体の緑茶抽出物の濃縮物として用いることもできる。
また、緑茶抽出物以外のカテキン含有植物抽出物は、通常の手段により抽出されたものが使用できる。
【0026】
前記カテキン精製物は、植物抽出物、例えば緑茶抽出物をそのまま、又は水若しくは有機溶媒水溶液に分散又は溶解した状態で、活性炭と、酸性白土及び/又は活性白土(以下、「酸性白土等」ともいう)、ろ過助剤等に接触させることにより製造することができる。
【0027】
植物抽出物を、活性炭、酸性白土等及び所望によりろ過助剤等と接触させる順序は特に限定されない。例えば、(1)植物抽出物を水又は有機溶媒水溶液に分散又は溶解させた後、これに活性炭、酸性白土等及び所望によりろ過助剤等を同時に加えて接触させる方法、(2)水又は有機溶媒水溶液に活性炭、酸性白土等及び所望によりろ過助剤等を分散させた後、これに植物抽出物を加えて接触させる方法、(3)植物抽出物と酸性白土等及び所望によりろ過助剤等とを水又は有機溶媒水溶液に溶解又は分散させて予め植物抽出物とを酸性白土等及びろ過助剤等とを接触させた後、これに活性炭を加える方法、等が挙げられる。なお、(1)〜(3)の方法の中では(1)又は(3)の方法が好ましい。(1)〜(3)の方法においては、次の工程に移行する前にろ過工程を入れるのが好ましい。
【0028】
接触処理の際には、pHを4〜6の範囲に調整して行うことが、非重合体カテキン類を効率よく抽出したカテキン精製物を得るために好ましい。pHを調整するために、クエン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸を、有機酸と非重合体カテキン類の質量比率(有機酸/非重合体カテキン類)が0.01〜0.20の範囲で添加することができる。
【0029】
接触処理は、バッチ式、カラムによる連続処理等のいずれの方法で行ってもよく、例えば、植物抽出物と活性炭との接触方法は、活性炭カラムによる連続処理等の方法で行うことができる。一般には、粉末状の活性炭等を添加、撹拌し、不純物を選択的に吸着後、ろ過操作により不純物を除去したろ液を得る方法又は顆粒状の活性炭等を充填したカラムを用いて連続処理により不純物を吸着する方法等が採用される。
【0030】
植物抽出物の精製に使用する有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましく、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類が挙げられ、特に飲食品への使用を考慮すると、エタノールが好ましい。水としては、イオン交換水、水道水、天然水等が挙げられ、特に味の点からイオン交換水が好ましい。
有機溶媒と水との混合質量比(有機溶媒/水)は、好ましくは60/40〜97/3、さらに好ましくは60/40〜75/25、特に好ましくは85/15〜95/5とするのが、非重合体カテキン類の抽出効率、植物抽出物の精製効率等の点で好ましい。
植物抽出物と、水又は有機溶媒水溶液との割合は、水又は有機溶媒水溶液100質量部に対して、植物抽出物(乾燥質量換算)を10〜40質量部、さらに10〜30質量部、特に15〜30質量部添加して処理するのが、植物抽出物を効率よく処理できるので好ましい。
【0031】
接触処理には、10〜180分程度の熟成時間を設けることが好ましく、これらの処理は10〜60℃で行うことができ、特に10〜50℃、さらに10〜40℃で行うのが好ましい。
接触処理に用いる活性炭としては、一般に工業レベルで使用されているものであれば特に制限されず、例えば、ZN−50(北越炭素社製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D(クラレケミカル社製)、白鷲AW50、白鷲A、白鷲M、白鷲C(武田薬品工業社製)等の市販品(いずれも商品名)を用いることができる。
活性炭の細孔容積は0.01〜0.8mL/g、特に0.1〜0.8mL/gが好ましい。また、比表面積は800〜1600m/g、特に900〜1500m/gの範囲のものが好ましい。なお、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
活性炭は、水又は有機溶媒水溶液100質量部に対して0.5〜8質量部、特に0.5〜3質量部添加するのが、不純物の除去効率、ろ過工程におけるケーク抵抗が小さい点で好ましい。
【0032】
接触処理に用いる酸性白土又は活性白土は、ともに一般的な化学成分として、SiO、Al、Fe、CaO、MgO等を含有するものであるが、SiO/Al比がモル比で3〜12、特に4〜9であるものが好ましい。また、Feを2〜5%、CaOを0〜1.5%、MgOを1〜7%含有する組成のものが好ましい。
活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸等の鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。酸性白土をさらに、酸処理することにより比表面積が変化し、脱色能の改良及び物性が変化することが知られている。
酸性白土又は活性白土の比表面積は、酸処理の程度等により異なるが、50〜350m/gであるのが好ましく、pH(5%サスペンジョン)は2.5〜8、特に3.6〜7のものが好ましい。例えば、酸性白土としては、ミズカエース#600(商品名、水澤化学社製)等の市販品を用いることができる。また、活性白土としては、例えば、ガレオンアースV2(商品名、水澤化学社製)等の市販品を用いることができる。
また、活性炭と、酸性白土等との割合は、質量比で活性炭1に対して酸性白土等1〜10が好ましく、活性炭:酸性白土及び/又は活性白土=1:1〜1:6であるのが好ましい。
酸性白土等は、水又は有機溶媒水溶液100質量部に対して2.5〜25質量部、特に2.5〜15質量部添加するのが好ましい。酸性白土等の添加量が少なすぎると、カフェイン除去効率が低下する傾向にあり、また多すぎるとろ過工程におけるケーク抵抗が大きくなる傾向にある。
接触処理に用いるろ過助剤としては、珪藻土など一般に工業レベルで使用されているものであれば特に制限されず、例えば、ソルカフロック(商品名、今津薬品工業製))、シリカ100F−A(商品名、中央シリカ製)等の市販品を用いることができる。
水又は有機溶媒水溶液から活性炭等を分離するときの温度は、−15〜78℃、さらに5〜40℃であるのが好ましい。この温度の範囲外であると、分離性が劣り、また溶液の性状に変化が見られるような場合がある。
分離方法は公知の技術が応用でき、例えば、いわゆるフィルター分離や遠心分離等の手法のほか、活性炭等の粒状物質が詰まったカラムを通すことでの分離等でもよい。
【0033】
また、カテキン精製物を製造する際に合成吸着剤を使用することができる。合成吸着剤は、一般に不溶性の三次元架橋構造ポリマーでイオン交換基のような官能基を実質的に持たないものが好ましい。好ましくは、イオン交換能が1meq/g未満のものを用いることができる。本発明に用いる合成吸着剤としては、その母体がスチレン系、例えばアンバーライトXAD4、XAD16HP、XAD1180、XAD2000、(供給元:米国ローム&ハース社)、ダイヤイオンHP20、HP21(三菱化学社製)、セパビーズSP850、SP825、SP700、SP70(三菱化学社製)、VPOC1062(Bayer社製);臭素原子を核置換して吸着力を強めた修飾スチレン系、例えばセパビーズSP205、SP206、SP207(三菱化学社製);メタクリル系、例えばダイヤイオンHP1MG、HP2MG(三菱化学社製);フェノール系、例えばアンバーライトXAD761(ロームアンドハース社製);アクリル系、例えばアンバーライトXAD7HP(ロームアンドハース社製);ポリビニル系、例えばTOYOPEARL、HW−40C(東ソー社製);デキストラン系、例えばSEPHADEX、LH−20(ファルマシア社製)等(いずれも商品名)が使用できる。
合成吸着剤としては、その母体がスチレン系、メタクリル系、アクリル系、ポリビニル系が好ましく、特にスチレン系がカテキンとカフェインの分離性の点から好ましい。
【0034】
植物抽出物を合成吸着剤に吸着させる手段としては、植物抽出物に合成吸着剤を添加、撹拌し吸着後、ろ過操作により合成吸着剤を回収するバッチ方法又は合成吸着剤を充填したカラムを用いて連続処理により吸着処理を行なうカラム方法が採用されるが、生産性の点からカラムによる連続処理方法が好ましい。合成吸着剤の使用量は、植物抽出物に対して、好ましくは10体積%、さらに好ましくは15体積%、特に好ましくは20体積%であることが、非重合体カテキン類の吸着効率等の点で好ましい。
合成吸着剤が充填されたカラムは、予めSV(空間速度)=0.5〜10[h−1]、合成吸着剤に対する通液倍数として2〜10[v/v]の通液条件で95vol%エタノール水溶液による洗浄を行い、合成吸着剤の原料モノマーやその他の不純物等を除去するのが好ましい。そして、その後SV=0.5〜10[h−1]、合成吸着剤に対する通液倍数として1〜60[v/v]の通液条件により水洗を行い、エタノールを除去して合成吸着剤の含液を水系に置換する方法により非重合体カテキン類の吸着能が向上する。
【0035】
カラムに植物抽出物を通液するときの条件としては、合成吸着剤に吸着させる場合、植物抽出物中の非重合体カテキン類の濃度は、好ましくは0.1〜22%、さらに好ましくは0.1〜15%、特に好ましくは0.5〜10%、殊更好ましくは0.5〜3%が、樹脂への吸着効率の点から好ましい。
植物抽出物を、合成吸着剤を充填したカラムに通液する条件としては、SV(空間速度)=0.5〜10[h−1]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍数として0.5〜20[v/v]で通液するのが好ましい。10[h−1]以下の通液速度や20[v/v]以下の通液量であると非重合体カテキン類の吸着が十分である。
【0036】
植物抽出物を吸着後、合成吸着剤は、水又は有機溶媒水溶液で洗浄するのが好ましい。合成吸着剤の洗浄に使用する水溶液としては、非重合体カテキン類の回収率の点からpH7以下の水が好ましく、水溶性有機溶媒との混合系においても使用することができる。水溶性有機溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノールなどが挙げられ、飲食品への使用の観点から、エタノールが好ましい。含有する有機溶媒の濃度は、0〜20%、好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜5%が非重合体カテキン類の回収率の点から好ましい。
【0037】
この洗浄工程においては、SV(空間速度)=0.5〜10[h−1]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍数として1〜10[v/v]で、合成吸着剤に付着した不純物を除去することが好ましい。さらにSV=0.5〜5[h−1]の通液速度で、通液倍数として1〜5[v/v]で洗浄することが夾雑物の除去効果及び非重合体カテキン類の回収率の点から好ましい。
【0038】
次いで、非重合体カテキン類を溶出させるが、溶出液としては有機溶媒水溶液又は塩基性水溶液が好ましい。
有機溶媒水溶液としては、水溶性有機溶媒と水との混合系が用いられ、水溶性有機溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノールなどが挙げられる。中でも、飲食品への使用の観点から、エタノールが好ましい。水溶性有機溶媒の濃度は、20〜70%、好ましくは30〜60%、より好ましくは30〜50%が非重合体カテキン類の回収率の点から好ましい。
非重合体カテキン類の溶出に用いる塩基性水溶液としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類のアルカリ水溶液、好ましくは、ナトリウム系のアルカリ性水溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等を好適に用いることができる。また、アルカリ性水溶液のpHは7〜14の範囲が好ましい。非重合体カテキン類回収率の点から9〜14、特に10〜13.5が好ましい。pH7〜14のナトリウム系水溶液としては、4%以下の水酸化ナトリウム水溶液、1N−炭酸ナトリウム水溶液等が挙げられる。塩基性水溶液に、水溶性有機溶媒を混合することができる。有機溶媒の濃度としては、カフェインとカテキンの分離性の点から0〜90%の範囲が好ましく、0〜50%がより好ましく、0〜20%がさらに好ましい。
【0039】
溶出工程においては、溶出に用いる塩基性水溶液として互いにpHが異なる2種以上の塩基性水溶液を用い、これら塩基性水溶液をpHが低い順に合成吸着剤に接触させることができる。それぞれのpH区分で異なる非重合体カテキン類や他の成分を脱着することができる。
SV(空間速度)=2〜10[h−1]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍数として1〜30[v/v]で、非重合体カテキン類を溶出することが好ましい。さらにSV=3〜7[h−1]の通液速度で、通液倍数として3〜15[v/v]で溶出することが生産性及び非重合体カテキン類の回収率の点から好ましい。
合成吸着剤は精製処理後に所定の方法を用いることにより再使用できる。具体的には、エタノールのような有機溶媒を通液し合成吸着剤上に吸着したカフェイン等の不要分を脱着させる。又は水酸化ナトリウムのようなアルカリ水溶液を通液・洗浄し、合成吸着剤上に残存する水溶性成分をすべて脱着できる。さらに水蒸気による洗浄を組み合わせても良い。
【0040】
非重合体カテキン類を塩基性水溶液で溶出した溶出液は塩基性であるが、非重合カテキン類の安定性の観点から、通常、溶出液のpHを7以下に、より好ましくはpHを1〜6、さらに好ましくは1〜5、殊更好ましくは2〜4に調整することが望ましい。具体的には酸による中和、電気透析によるアルカリ金属イオンの除去、又はイオン交換樹脂によるアルカリ金属イオンの除去が利用できる。イオン交換樹脂としては特にH型のカチオン交換樹脂を用いるのが好ましい。プロセスの簡便性からイオン交換樹脂によるpH調整が好ましい。カチオン交換樹脂としては、具体的には、アンバーライト200CT、IR120B、IR124、IR118(供給元:米国ローム&ハース社)、ダイヤイオンSK1B、SK1BH、SK102、PK208、PK212(三菱化学社製)等を用いることができる。
非重合体カテキン類の溶出液は、濃縮し析出物を固液分離除去することが、味及び安定性向上のため好ましい。濃縮は、減圧蒸留、薄膜蒸留、膜濃縮等により実施することができる。濃縮倍率としては、味及び析出物の分離性の点から2〜500倍、さらに2〜250倍、特に2〜125倍が好ましい。濃縮後の非重合体カテキン類の濃度は、味及び析出物の分離性の点から0.1〜70%、さらに0.2〜50%、特に0.5〜25%が好ましい。固液分離の具体的な操作としては、ろ過及び/又は遠心分離処理等が挙げられる。
【0041】
固液分離の方法は、食品工業で使用できる方法が適用できる。例えば、固液分離を膜ろ過で行う場合の膜ろ過条件としては、温度が5〜70℃、さらに10〜40℃であるのが好ましい。膜孔径は、所定の濁度になるという点から、0.1〜10μmが好ましく、さらに0.1〜5μm、特に0.1〜2μmであるのがろ過に要する時間及び濁り成分の分離性の点から好ましい。膜孔径の測定方法は、水銀圧入法、バブルポイント試験、細菌ろ過法などを用いた一般的な測定方法が挙げられるが、バブルポイント試験で求めた値を用いるのが好ましい。膜ろ過で使用する膜の材質は、高分子膜、セラミック膜、ステンレス膜等が使用できる。
【0042】
また、遠心分離機は、分離板型、円筒型、デカンター型などの一般的な機器が好ましい。遠心分離条件としては、温度が5〜70℃、さらに10〜40℃であるのが好ましく、回転数と時間は、所定の濁度になるように調整された条件であることが望ましい。例えば分離板型の場合、3000〜10000rpm、さらに5000〜10000rpm、特に6000〜10000rpmで、0.2〜30分、さらに0.2〜20分、特に0.2〜15分であるのが好ましい。
また、色調安定の観点から、非重合体カテキン類の溶出液を脱色することが好ましい。具体的な脱色操作としては、カテキン精製物をそのまま、又は水若しくは有機溶媒水溶液に分散又は溶解し、活性炭、活性白土及び酸性白土から選ばれる少なくとも1種に接触させることにより、脱色することができる。
【0043】
植物抽出物は、さらに苦味を低減したい場合はタンナーゼ活性を有する酵素で処理することができる。呈味の点から合成吸着剤に吸着する前に酵素処理することが好ましい。その中でもタンナーゼが好ましい。例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属のタンナーゼ生産菌を培養して得られるタンナーゼが挙げられる。このうちアスペルギルス オリーゼ由来のものが好ましい。
具体的には、タンナーゼ活性を有する酵素として市販品では、ペクチナーゼPLアマノ(天野エンザイム社製)、ヘミセルラーゼアマノ90(天野エンザイム社製)、タンナーゼKTFH(キッコーマン社製)等(いずれも商品名)が利用できる。本発明で行うタンナーゼ活性を有する酵素処理、即ち酵素反応は、タンニンアシルヒドラーゼEC3.1.1.20などで行うことが好適である。市販品としては、商品名「タンナーゼ」(キッコーマン社製)及びタンナーゼ「三共」(三共社製)などが挙げられる。
【0044】
タンナーゼ活性を有する酵素は、500〜100,000U/gの酵素活性を有することが好ましく、500U/g以下であると工業的に限られた時間内で処理するためには多量の酵素が必要となり、100,000U/g以上であると酵素反応速度が速すぎる為、反応系を制御することが困難となる。ここで1Unitは30℃の水中においてタンニン酸に含まれるエステル結合を1マイクロモル加水分解する酵素量を示す。ここでタンナーゼ活性を有するとは、タンニンを分解する活性を有するものであり、本活性を有すれば任意の酵素が使用できる。
タンナーゼ活性を有する酵素で処理するときの非重合体カテキン類の濃度は、好ましくは0.1〜22%、さらに好ましくは0.1〜15%、特に好ましくは0.5〜10%、殊更好ましくは0.5〜3%である。
【0045】
植物抽出物中の非重合体カテキン類1gに対してタンナーゼ活性を有する酵素を、好ましくは1〜300Unit、さらに好ましくは3〜200Unit、特に好ましくは5〜150Unitになるように添加する。
酵素処理の温度は、最適な酵素活性が得られる0〜70℃が好ましく、さらに好ましくは0〜60℃、特に好ましくは5〜50℃である。
【0046】
酵素反応を終了させるには、酵素活性を失活させる。酵素失活の温度は70〜100℃が好ましく、また、その保持時間は10秒から20分が好ましい。失活温度が低すぎると酵素を短時間で充分に失活することが困難であるため反応が進行し、所望の非重合体カテキン類ガレート体率の範囲内で酵素反応を停止することができない。又、失活温度に到達してから保持時間が短すぎると酵素活性を充分に失活させることが困難であるため、酵素反応が進行する。また、保持時間が長すぎると非重合体カテキン類の非エピメリ化が起こる場合があり好ましくない。
酵素反応の失活方法は、バッチ式もしくはプレート型熱交換機のような連続式で加熱を行うことで停止することができる。又、タンナーゼ処理の失活終了後、遠心分離などの操作により植物抽出物を清浄化することができる。
【0047】
得られたカテキン精製物のフロストシリアル食品への配合は、カテキン精製物を含有した糖類溶液を成形されたシリアル食品に吐出したり、カテキン精製物を含有した糖類溶液中にシリアル食品を浸漬させたりして被覆することが、蒸煮や焙焼工程等の熱によるカテキン類含有量の低下を防止することができる点から好ましい。ここで、シリアル食品の成形は、穀類原料を蒸煮、冷却、圧扁、成形、膨張、乾燥及び焙焼する工程を含むが、カテキン精製物の添加は、上記の点から焙焼工程を終了した後がより好ましい。またカテキン精製物等のカテキン製剤の一部を予め、シリアル本体に配合しても構わない。
【0048】
被覆処理する場合、カテキン精製物を水に溶解又は分散し、そこへ糖類を配合し加温装置にて糖類を撹拌溶解するか、糖類を加温溶解した溶液にカテキン精製物を溶解した後、通常の吐出装置を用いて成形後のシリアル食品表面を被覆すればよい。また、一度糖類および/または増粘剤を含有した溶液を成形後のシリアル食品へ噴霧し、更に粉末状または顆粒状のカテキン精製物および糖類を含有した溶液を付着させてもよい。具体的な被覆処理としては、例えば、コンベアベルト上に載ったシリアル食品へ吐出するコンベアベルト方式、回転ドラム内を移動するシリアル食品に吐出する回転ドラム方式等が挙げられる。ここで、カテキン精製物を含有した糖類溶液中のカテキン類濃度は0.01〜15%、さらに0.5〜11%、特に0.6〜9%とするのが、被覆後の乾燥の容易性、フロストシリアル食品中へカテキンを高含有させる点、糖類が均一に結晶化し良好なフロスト状になる点で好ましい。カテキン精製物を配合した糖類溶液の溶液中の糖類濃度は60〜86%、さらに70〜85%、特に75〜84%とするのが、被覆後の乾燥の容易性の点で好ましい。
また、カテキン精製物含有糖類溶液を成型後のシリアル食品へ付着させる量は、当該糖類溶液中の固形分がフロストシリアル食品中に3〜70%となるようにすることが好ましく、さらに5〜60%、特に10〜50%とすることが、フロストシリアル食品の食味(喫食時の甘味)食感、被覆後の乾燥の容易性、フロストシリアル食品中へカテキン類を高含有させる点から好ましい。
シリアル食品を被覆するのに使用できる糖類の形態としては、グラニュー糖、上白糖、三温糖、異性化液糖(ブドウ糖果糖液糖、砂糖混合異性化液糖、果糖ブドウ糖液糖)、ハチミツ、メイプルシュガー、水あめなどが挙げられる。
また、物質としては、単糖類、二糖類及び多糖類が挙げられ、より具体的には、ショ糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、キシロース、リボース、マンノース、ソルビトール、デキストリン、還元デキストリン等が挙げられる。
【0049】
本発明におけるフロストシリアル食品は、その形態は特に限定されず、例えば、フレークドシリアル、パフドシリアル、シュレッティドシリアル、エクストルードエクスパンドシリアル、グラノーラ及びグラノーラ様食品等が挙げられる。本発明のフロストシリアル食品の製造法は、カテキン類を含有させる場合以外は、上記シリアル食品の形態に合わせた製造法に従って製造することができる。すなわち、シリアル食品を製造するには、穀類原料を常法により、蒸煮、冷却、圧扁、成形、膨張、乾燥及び焙焼等を行えばよい。
【0050】
シリアル食品の主原料は各種穀類であるが、その形態は穀粒と、穀粉の2つがある。穀粒はそのまま用いる場合と、穀粉と混合して用いる場合とがある。穀粒と穀粉を混合する場合、又は穀粉のみを用いる場合は、クッキングエクストルーダーでペレット状(エクストルードペレット)に成型する。
【0051】
本発明に用いる原料の穀粒としては、とうもろこし、米、玄米、小麦、大麦、ライ麦、燕麦(オーツ)、ハト麦、裸麦、蕎麦(ソバ)、粟(アワ)、黍(キビ)稗(ヒエ)、こうりゃん(マイロ)、アマランスが挙げられる。また、大豆、小豆、グリーンピース、そら豆、いんげん豆等の豆類をも包含する。
【0052】
本発明におけるシリアル食品の原料としては上記穀粒等のみでもよいが、必要に応じて乳化剤、結着剤、糖類、天然又は人工甘味料、チョコレート、ココア、食塩、調味料、香辛料、油脂、着色料、乾燥野菜、乾燥果物、ナッツ類、ビタミン類、ミネラル添加剤、食物繊維、蛋白質などを添加することができる。これらの添加物の配合方法に特に制限はなく、生地に練りこんでも良いし、前記糖類溶液中に一緒に混合してもよく、また前記糖類溶液をコーテイングした後のものに付加しても良い。
【0053】
乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらの乳化剤は蒸熱処理の際にトウモロコシの粒どうしが付着するのを防止する作用を有する。
また押出機による造粒時に摩擦が減り過度に壊れにくくなり、造粒後に造粒物どうしの付着が防止できる。
【0054】
結着剤としては、でんぷん、ガム類、増粘剤を用いることができ、これらは少量添加すればよい。
油脂としては、コーン油、ゴマ油、大豆油、小麦胚芽油、やし油、なたね油、ひまわり油、綿実油等が挙げられる。
糖類には、単糖類、二糖類、及び多糖類、例えばブドウ糖、果糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖、キシロース、リボース、マンノース、ソルビトール、デキストリン、還元デキストリンなどが含まれ、これらは一種又は二種以上で使用される。又はハチミツ、メイプルシュガー、水あめなども同様に使用することができる。
天然又は人工甘味料には、例えばステビア、サッカリンのナトリウム塩又はカルシウム塩、シクラメート、アスパルテーム等も併用することができる。糖類はフレーク100部に対して10〜50部、好ましくは20〜40部の割合で使用される。この量は原料穀類の種類及び得ようとする最終製品の性質に応じて適宜増感せしめうるものである。
乾燥野菜としては、人参、ホウレンソウ等を使用することができる。
乾燥果物としては、リンゴ、レーズン、イチゴ、パパイヤ等が挙げられる。また、アーモンド、松の実、クルミ等のナッツ類、その他カカオマス、カカオバター等のカカオ類も用いることができる。
ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン等のビタミン類;無機鉄、ヘム鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、銅、セレン、マンガン、コバルト、ヨウ素、リン等のミネラル類;難消化性デキストリン、結晶セルロース、アップルファイバー、小麦ふすま、米糠、コーンブラン、木材繊維等の食物繊維が用いられる。また蛋白質としては、植物性蛋白質でも動物性蛋白質でもよいが、植物性蛋白質の中では特に大豆蛋白質、小麦蛋白質等の粉末が好ましく、動物性蛋白質の中では特に肉パウダー、ミルクカゼイン、卵白粉末が用いられる。
【実施例】
【0055】
<非重合体カテキン類の測定方法>
非重合体カテキン類の測定は、カテキン製剤(カテキン類含有植物抽出物又はその精製物)を蒸留水で希釈し、フィルター(孔径:0.8μm)でろ過後、島津製作所社製、高速液体クロマトグラフィー(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフィー用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃で、A液及びB液を用いたグラジエント法によって行った。移動相A液は酢酸0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液酢酸0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
【0056】
<タンニンの測定方法>
タンニンの測定は酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸の換算量として求めた。(参考文献:「緑茶ポリフェノール」飲食料品用機能性素材有効利用技術シリーズNo.10)。試料5mLを酒石酸鉄標準液5mLで発色させ、リン酸緩衝液で25mLに定溶し、540nmで吸光度を測定し、没食子酸エチルによる検量線からタンニンを求めた。
酒石酸鉄標準液の調製:硫酸第一鉄・7水和物100mgと酒石酸ナトリウム・カリウム500mgを蒸留水で100mLとした。
リン酸緩衝液の調製:1/15mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液と1/15mol/Lリン酸二水素ナトリウム溶液を混合しpH7.5に調整した。
【0057】
<ルチンの測定方法>
試料溶液をフィルター(0.45μm)でろ過し、高速液体クロマトグラフ(型式Waters2695、WATERS製)を用い、カラム(Shimpach VP ODS、150×4.6mmI.D.)を装着し、カラム温度40℃でグラジエント法により分析した。移動相A液はリン酸を0.05%含有する蒸留水溶液、B液はメタノール溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は368nmの条件で行った。なお、グラジエントの条件は、以下のとおりである。
時間(分)
A液濃度(体積%) B液濃度(体積%)
0.0 95 5
20.0 80 20
40.0 30 70
41.0 0 100
46.0 0 100
47.0 95 5
60.0 95 5
【0058】
<フラボノール類の測定>
(1)試料の加水分解
試料溶液5mLにメルカプトエタノール200μL、2N塩酸500μLを添加した。
その後、ドライブロックバス(アズワン社製)にて120℃で40分間加熱し、冷却した。
(2)分析
加水分解後の試料溶液中に存在しているミリセチン、ケルセチン及びケンフェロールを、高速液体クロマトグラフィーにより定量した。なお、定量はグラジエント法により行ったが、その分析方法は上記「ルチンの測定」と同じである。
(3)フラボノール類の総量
上記分析により定量されたミリセチン量、ケルセチン量及びケンフェロール量の総和として求めた。
【0059】
<カフェインの測定方法>
下記の装置を使用した。
HPLC(日立製作所社製)
プロッター:D−2500,ディティクター:L−4200
ポンプ:L−7100,オートサンプラー:L−7200
カラム:lnertsil ODS−2、内径2.1mm×長さ250mm
【0060】
分析条件は下記の通りである。
サンプル注入量:10μL,流量:1.0mL/min
紫外線吸光光度計検出波長:280nm
溶離液A:0.1mol/L酢酸水溶液,溶離液B:0.1mol/L酢酸アセトニトリル溶液
濃度勾配条件(体積%)
時間(分) 溶離液A 溶離液B
0 97 3
5 97 3
37 80 20
43 80 20
43.5 0 100
48.5 0 100
49 97 3
62 97 3
【0061】
カフェインのリテンションタイムは27.2分であった。
ここで求めたエリア%から標準物質により質量%を求めた。
【0062】
<カテキン製剤水分率の測定方法>
カテキン製剤を2〜3g秤量し、105℃に設定した恒温槽に2時間入れた前後の質量差を水分量として、入れる前のカテキン製剤質量で水分量を割った値の百分率をカテキン製剤水分率とした。
【0063】
<固形分の測定方法>
試料約1gを秤量し、105℃で3時間以上乾燥させ、秤量し、下記式により算出した。
固形分=(乾燥後の質量/乾燥前の質量)×100
【0064】
<濁度の測定方法>
濁度の測定はJIS K0400−9−10(水質―濁度の測定)に従い行った。測定装置はヘーズ・透過率計(HM−150,積分球式,村上色彩技術研究所製)、吸収セル10mm、を用いた。ホルマジン標準液(400度)(関東化学社製)を希釈し[5〜100度(ホルマジン)]検量線を作成した。固形分0.5%水溶液に調整した試料の散乱光の強度(τd)と全透過光の強度(τt)を測定し、τd/τt×100を算出し、検量線から試料の積分球濁度[度(ホルマジン)]を求めた。
【0065】
<吸光度の測定方法>
日立分光光度計(U−3310)を用いて、サンプルの固形分1.0%水溶液試料の400〜900nmの吸光度を、光路長10mmのディスポセル(PMMA製)を使用して測定した。その時の671.5nmの値を吸光度(Abs)とした。
【0066】
<粘度の測定方法>
粘度測定はB型粘度計(20℃)を用い3回の平均値を測定値とした。測定サンプルは、予め回転式撹拌機にて数時間攪拌し、充分に溶解した。
【0067】
<カテキン製剤(i)の調製>
カフェイン含有カテキン類組成物(ポリフェノンHG、商品名、東京フードテクノ社製)100gを常温、250rpm攪拌条件下の95%エタノール水溶液490.9g中に懸濁させ、活性炭(クラレコールGLC、商品名、クラレケミカル社製)20gと酸性白土(ミズカエース#600、商品名、水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。そして40%エタノール水溶液409.1gを10分間かけて滴下したのち、室温のまま約30分間の攪拌処理を続けた。その後、2号ろ紙で活性炭及び沈殿物をろ過したのち、0.2μmメンブランフィルターによって再ろ過を行った。最後にイオン交換水200gをろ過液に添加し、40℃、25Torrでエタノールを留去し、これを凍結乾燥し、粉末状のカテキン製剤(i)を得た。
【0068】
また、カテキン製剤(v)と(vii)は、カフェイン含有カテキン類組成物としてそれぞれ三井農林社製のポリフェノン70A(赤褐色)とPOL−JK(淡緑色)を使用した。
【0069】
カテキン製剤(ii)〜(iv)はカテキン製剤(vii)と(i)をブレンドし調製した。
【0070】
(カテキン製剤(vi)の調製)
緑茶葉(大葉種)を熱水で抽出した後、噴霧乾燥により緑茶抽出物を得た。この緑茶抽出物は、非重合体カテキン類の濃度が30.8%であった。
次いで、この緑茶抽出物の非重合体カテキン類濃度が1%になるようにイオン交換水で希釈した。次いで、この希釈液800gをカラム(内径50mm×高さ180mm、容積353.3mL)に充填したスチレン系の合成吸着剤(SP70、商品名、三菱化学社製)200mLに吸着させた。次いで、イオン交換水300mL、30%エタノール水溶液400mLを順次合成吸着剤に通液して非重合体カテキン類を溶出させた。次いで、合成吸着剤に50%エタノール水溶液を400mL通液してポリフェノール組成物を溶出させた。なお、本分画操作はすべて、流速SV=0.8〜1.2[h−1]になるように流量調整して行った。次いで、得られた溶出液を減圧濃縮によりエタノールを留去しつつ不溶物を除去した後、凍結乾燥により水分を除去してカテキン製剤(vi)(淡黄色)を得た。上記各カテキン製剤の成分分析値を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
<実施例> カテキン含有フロストシリアル食品の製造と評価
表2に示した配合比でカテキン製剤含有糖類溶液を調製した。まず、イオン交換水2.8gを使い捨てアルミカップ(容量50ml 上部(下部)径×深さ(mm)φ61(φ42)×33)に入れ、これに表2に示した配合比となるようカテキン製剤(i)〜(vii)を計量して溶解した。これに上白糖(三井製糖製)10.00gを投入しスラリー状のカテキン精製物含有糖類溶液を調製した。この使い捨てアルミカップを100℃に調整したホットプレートに載せ、スラリー状のカテキン精製物含有糖類溶液中の上白糖が溶解するまで撹拌した。
未被覆のシリアル食品(プレーンシリアル食品)は市販品のコーンフレーク(日清シスコ製)を用いた。プレーンシリアル食品25.0gを使い捨てアルミトレイ(上部寸法130×112 下部寸法102×88 高さ55(mm))に入れてホットプレートに載せた。前記カテキン製剤含有糖類溶液を入れた使い捨てアルミカップの一部をくちばし状に変形させて注ぎ口とし、その注ぎ口より溶解したカテキン製剤含有糖類溶液全量をプレーンシリアル食品全体に注ぎかけた。さらにプレーンシリアル食品表面が均一に糖液で被覆されるようスパチュラで撹拌混合した。次に、使い捨てアルミトレイを予め100〜110℃に加熱しておいたオーブンに入れ、5分毎にシリアル食品を撹拌し15分間加熱乾燥を行った。その後、室温下15分間放冷しフロストシリアル食品を計量した。この計量値よりフロストシリアル食品に付着した糖類溶液中の固型分量(g)を求めた。
【0073】
用いたカテキン製剤含有糖類溶液のシリアル食品への被覆性、及び得られたフロストシリアル食品の外観を以下の基準で評価した。また、評価後にフロストシリアル食品を105℃に設定した定温乾燥器で2時間加熱し、デシケーター内で室温に戻るまで冷却した後のフロストシリアル食品の質量を測定し、さらにこの値とカテキン製剤中の非重合体カテキン類の百分率(%)よりフロストシリアル食品乾物質量に対するカテキン類の含有量を求めた。結果を表2に示す。
(1)シリアル食品への被覆性
カテキン製剤含有糖類溶液をプレーンシリアル食品へ被覆する時に、均一に被覆できるかどうか及びその作業の容易性の観点から、次の基準により評価した。
5:きわめて良好(きわめて均一に被覆可能)
4:良好(均一に被覆可能)
3:やや良好(ほぼ均一に被覆可能)
2:やや不良(加熱溶融時の粘度が高く、均一な被覆がやや困難)
1:不良(加熱溶融時の粘度が非常に高く、被覆不能)
【0074】
(2)フロストシリアル食品の外観状態
カテキン精製物含有糖類溶液を被覆したシリアル食品を加熱乾燥する時に、シリアル片同士の凝集と撹拌による破壊によって生じた断片化されたシリアル破片の量を目視により評価し、これに基づきフロストシリアル食品の外観を次の基準に従って評価した。
3:良好(シリアル破片が少ない)
2:やや良好(シリアル破片がやや多い)
1:不良(シリアル破片が多い)
【0075】
【表2】

【0076】
表1及び表2の結果から、カテキン製剤(i)(ii)、(iii)、(iv)、(v)及び(vi)を使用することにより、プレーンシリアルへの被覆性に優れたカテキン含有糖類溶液を調製できることがわかる。また、これらのカテキン含有糖類溶液を用いることで、カテキン類を高含有するにもかかわらず外観の良いフロストシリアル食品を製造できることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテキン類をフロストシリアル食品乾物質量に対して0.1質量%以上含有するフロストシリアル食品であって、該フロストシリアル食品の被覆素材中の糖類以外の固形分の割合が1質量%以上であり、かつ該糖類以外の固形分中のカテキン類の割合が40質量%以上であるフロストシリアル食品。
【請求項2】
フロストシリアル食品の被覆素材中にカテキン類含有植物抽出物の精製物を配合することで該被覆素材中にカテキン類を含有させた請求項1記載のフロストシリアル食品。
【請求項3】
フロストシリアル食品の被覆素材中の(A)ミリセチン、(B)ケルセチン及び(C)ケンフェロールの含有量の和と、(D)エピガロカテキンガレート及び(E)ガロカテキンガレートの含有量の和との比((A)+(B)+(C)の含有量)/((D)+(E)の含有量)が0.0001〜0.1(質量比)である請求項1又は2記載のフロストシリアル食品。
【請求項4】
シリアル食品を成形後、該シリアル食品を、固形分中のカテキン類の割合が40質量%以上であるカテキン類含有植物抽出物の精製物を含有する糖類溶液で被覆するフロストシリアル食品の製造方法。
【請求項5】
前記糖類溶液中の糖類以外の固形分の割合が1質量%以上である請求項4記載のフロストシリアル食品の製造方法。
【請求項6】
前記糖類溶液中のカテキン類濃度が0.01〜15質量%である請求項4又は5記載のフロストシリアル食品の製造方法。
【請求項7】
前記糖類溶液中の固形分が、フロストシリアル食品中に3〜70質量%となるように前記糖類溶液を付着させる請求項4〜6のいずれか1項記載のフロストシリアル食品の製造方法。
【請求項8】
前記カテキン類含有植物抽出物の精製物が、固形分0.5質量%水溶液としたときの濁度が40度(ホルマジン)以下である請求項4〜7のいずれか1項記載のフロストシリアル食品の製造方法。
【請求項9】
前記カテキン類含有植物抽出物の精製物が、固形分1.0質量%水溶液としたときの671.5nmにおける吸光度が0.4以下である請求項4〜8のいずれか1項記載のフロストシリアル食品の製造方法。