フローサイトメトリに関する用途についてのマルチゲインアダプティブリニア処理およびゲート制御されたデジタルシステム
本願に開示されたのは、フローサイトメーターについての電子処理システムであり、その電子処理システムは、処理チップを用い、その処理チップは、パラレルアーキテクチャの中でデータをサンプルベースで処理しデータの高いスループットを提供する。加えて、フィードバック回路を用いて整合されるマルチゲインリニア増幅器が用いられ、それによって、正確なデータ、および高いダイナミックレンジを有する高解像度のデータを提供する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フローサイトメトリは、単一のセルのような単一の粒子の、複数の物理的特徴を同時に測定および分析するために用いられる技術である。フローサイトメトリを用いて測定され得るセルの特徴および特性は、大きさ、粒度、内部の複雑性、蛍光強度およびセルの他の特徴を含む。光電子倍増管のような検出器は、前方散乱、面散乱および蛍光を検出し、それによりセルの様々な特性を測定するために用いられる。フローサイトメーターにより識別される特徴および特性は、次いでセルを分析、識別および/またはソートするために用いられ得る。
【0002】
典型的なフローサイトメーターは、3つのメインシステム、すなわち、流体システム、光学システムおよび電子システムを用いる。流体システムは、流体ストリーム中の粒子が照射用のレーザービームを通り過ぎるように流体ストリーム中の粒子を移送する。光学システムは、流体ストリームの中の個々の粒子を照射するレーザー、光をフィルターする光学フィルター、ならびに蛍光および/または散乱を検出する光電子倍増管を含む。電子システムは、光電子倍増管または他の検出器から生成されるアナログ信号を処理し、それらの信号をアナログおよび/またはデジタル形式で処理し、セルに対する識別情報を提供し、粒子のソートを制御するための制御信号を生成する。
【0003】
フローサイトメーターは非常に高速で動作するため、電子システムもまた、非常に高速に、かつ高解像度で非常に正確に、かつ高いダイナミックレンジで動作することが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、それゆえフローサイトメーター内のデータの複数のチャネルを処理する方法を含み得、該方法は、該データをデジタル化することにより、デジタル化されたデータの複数のチャネルを生成することと、該デジタル化されたデータの複数のチャネルを処理チップ内で並列に処理することとを含み、該処理チップは機能を果たし、該機能は、該デジタル化されたデータの複数のチャネルのうちのデジタル化されたデータの選択された個々のチャネルを、複数の選択された時間遅延だけ遅延させることにより、該デジタル化されたデータの複数のチャネルを時間的に整列させることと、該デジタル化されたデータの複数のチャネルと閾値を比較することによって、該デジタル化されたデータの複数のチャネルからチャネルトリガを生成することと、該チャネルトリガのサブセットを選択することにより、イベントウィンドウ信号の生成を促進することと、該処理チップ内のプログラマブルロジックを用いることにより、該イベントウィンドウ信号の生成をさらに促進することと、該デジタル化されたデータの複数のチャネルから、デジタル化されたデータ出力信号を生成することと、該イベントウィンドウ信号を用いて、該デジタル化されたデータ出力信号を選択することとを含む。
【0005】
本発明は、入力データの広範囲の振幅が検出されるフローサイトメーター内で高解像度の出力データを生成する方法をさらに含み得、該方法は、予め決められたゲインファクターを用いて該入力データを増幅することにより、増幅された入力データを生成することと、該入力データをデジタル化することにより、2進数の入力データを生成することと、該増幅された入力データをデジタル化することにより、増幅された2進数の入力データを生成することと、該増幅された入力データの該予め決められたゲインファクターに相当する、該2進数の入力データの2進乗算を行うことにより、2進乗算された入力データを生成することと、該増幅された2進数の入力データと該2進乗算された入力データとを比較することにより、該増幅された2進数の入力データと該2進乗算された入力データとの不一致を無くすことと、予め決められた基準に基づき、該増幅された2進数の入力データか該2進乗算された入力データかを選択することにより、高解像度の出力データを生成することとを含む。
【0006】
本発明は、複数の入力データ信号を同時に並列に処理することにより高いデータスループットを提供する、フローサイトメーターのための電子制御システムをさらに含み得、該システムは、該複数の入力データ信号をデジタル化し、それにより複数の2進数の入力データ信号を生成するアナログデジタル変換器と、該2進数の入力データ信号を同時に並列に処理する処理チップとを含み、該処理チップは、該2進数の入力データ信号を時間的に整列させる遅延回路と、該2進数の入力データ信号と予め決められた閾値とを比較することにより、チャネルトリガを生成する比較器回路と、該2進数の入力データ信号から2進数の出力データ信号を生成する検出器回路と、該チャネルトリガおよびプログラマブルロジックを用いることにより、該2進数の出力データ信号のサブセットを選択するイベントウィンドウ信号を生成するイベントウィンドウジェネレータとを含む。
【0007】
本発明は、広範囲の入力データ信号が検出されるフローサイトメーター内で高解像度の出力データ信号を生成するシステムをさらに含み得、該システムは、選択されたゲインファクターにより複数の入力データ信号を増幅し、それにより複数の増幅された入力データ信号を生成する増幅器と、該入力データ信号をデジタル化し、それにより2進数の入力データ信号を生成するアナログデジタル変換器と、該増幅された入力データ信号をデジタル化し、それにより増幅された2進数の入力データ信号を生成するさらなるアナログデジタル変換器と、該2進数の入力データ信号と該増幅された2進数の入力データ信号とを比較し、それにより該2進数の入力データ信号と該増幅された2進数の入力データ信号との不一致を無くす第1の比較器と、該2進数の入力データ信号か該増幅された2進数の入力データ信号かを予め決められた基準に基づき選択し、それにより高解像度かつ整合した入力データ信号を提供する第2の比較器とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】図1Aは、フローサイトメーターのための電子制御システムの一実施形態の概要ブロック図である。
【図1B】図1Bは、フローサイトメーターのための電子制御システムの代替の実施形態の概要ブロック図である。
【図2】図2は、図1で説明される処理チップの一実施形態の概要ブロック図である。
【図3A】図3Aは、マルチゲインリニア処理を用いないチャネルプロセッサの単一チャネルの一実施形態の概要ブロック図である。
【図3B】図3Bは、マルチゲインリニア処理を用いる信号プロセッサの単一チャネルの一実施形態の概要ブロック図である。
【図4】図4は、出力のいくつかのチャネルを示す、光電子倍増管または他の検出器の典型的なアナログ出力のグラフである。
【図5】図5は、デジタル化された図4の信号を示すグラフである。
【図6】図6は、整列された図5のデジタル化信号を説明するグラフである。
【図7】図7は、イベントウィンドウを説明するグラフである。
【図8A】図8Aは、マルチゲインリニア処理を用いた信号プロセッサの単一チャネルの一実施形態の概要ブロック図であり、比較回路およびステッチング/選択器回路を説明する。
【図8B】図8Bは、マルチゲインリニア処理を用いた信号プロセッサの単一チャネルの第2の実施形態の概要ブロック図であり、比較回路およびステッチング/選択器回路を説明する。
【図8C】図8Cは、加重ゲイン移行回路の概要ブロック図である。
【図9】図9は、データコンソリデーター/シリアライザーの一実施形態の概要ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1Aはフローサイトメーターのための電子制御100システムの一実施形態の概要ブロック図である。図1Aに示している通り、光電子倍増管102、104、106およびフローサイトメーターに用いられ得る他の光電子倍増管は、レーザービームによって照射された単一の粒子から光信号を検知する。前述の通り、それぞれの光電子倍増管によって検知された光信号は、散乱信号または蛍光信号であり得る。光電子倍増管102、104、106によってそれぞれ生成されるチャネルA108、チャネルB110およびチャネルN112からの電気信号はアナログデジタル変換器114、116、118にそれぞれ印加される。アナログデジタル変換器114、116、118からのデジタル化された信号は処理チップ120に印加される。処理チップは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)や、特定用途向け集積回路(ASIC)等を含み得、それはサンプルベースでチップを介してそれぞれのサンプルをクロック制御することができる。処理チップ120の中に高速処理ロジックが含まれているため、データの高い処理能力が実現され得る。
【0010】
光電子倍増管102、104、106は演算増幅器(示されていない)を普通に用いるトランス型インピーダンス回路を用いて電圧信号に変換される電流出力信号を生成する。電圧信号は、光電子倍増管102によって検知されたパルスを表す。光電子倍増管102、104、106は、レーザーまたは他の光源によって照射された粒子または粒子の蛍光から散乱された光を検知する。光電子倍増管102による検知の前に光をフィルターするシステムにおいては、フィルターもまた存在し得る。光電子倍増管は非常に感度が良く、非常に薄暗いものから非常に明るいものまで広範囲の光信号を検知することができる。検知されたパルスは、一般に数マイクロボルトから10ボルトかそれよりも高くまで変化するガウスプロフィールを有する。パルスの電圧は、光電子倍増管によって検知された光信号の強度を表す。セルに非常に薄暗い応答から非常に明るい応答までの異なった応答のレベルを生成させる蛍光色素によって、セルは染色し得る。自己蛍光セルは、染色を使用せずに光応答を生成し得る。自己蛍光および異なる染色の結合だけでなく、光の散乱はセルを識別するために使われる。したがって、非常に明るい応答および非常に薄暗い応答の両方の検知および処理は、一般に、しばしばセルの識別およびセルの分析において必要である。
【0011】
加えて、応答の他の特徴はセルを特徴付けることにおいて有用であり得る。例えば、応答のピーク高、応答のパルス幅およびガウス曲線下の面積は、セルを識別するための情報を提供し得る。これらの結果の演算操作はまた、さらなる識別情報を提供し得る。例えば、パルス高でガウス曲線下の面積を割ったものは、さらなる識別情報を提供し得る。加えて、他のロジック結合が望まれ得る。
【0012】
応答の他のブール結合は、セルを特徴付けるさらなる情報を提供し得る。例えば、あるセルは、一つの波長における蛍光によって識別されるが、他の波長における蛍光では識別されないことがある。別の例によると、特定の波長において特定のセルは特定の面散乱を示すが蛍光を示さないことがある。したがって、ガウス応答の特定の結合は、セルの識別において特別重要になり得る。したがって、これらのブールロジック処理は、セルを特徴付ける貴重なツールになり得る。従来技術の電子処理技術を用いると、ブールロジックは時間の浪費になり、そしてデータの高いスループットを制限し得る。ブールロジック処理を行うことおよび信号のソートを生成するための意思決定処理だけでなく様々な数学処理を、信号が検知される時間から、粒子が粒子ソーターに非常に高いフローレートで移動する時間までの間に行う能力は、極度に高い処理速度を必要とする。また、光電子倍増管によって生成される応答は、高いレートで起こり得、非常に短い継続時間であり得る。応答は、アナログデジタル変換器によって用いられる非常に高いサンプルレートを必要とする400NSと同じくらい短時間であり得る。アナログデジタル変換器の非常に高いサンプリングレートは、応答のパルス波形を正確に特徴付けるために高い処理レートを必要とする。イベントは高いレートで起こり得、サンプリングレートは高くなければならないので、データの多くの量が、処理されなければならない非常に短い期間の間に生成される。従来技術の解決策は、サンプルレートおよびイベントレートを制限し、その結果より少ない量のデータが処理されることになる。
【0013】
図1Aに示されている特定のインプリメンテーションにおいて、データのNチャネルは一つの処理チップ120によって処理される。さらなる処理チップがさらなるチャネルを処理するために必要である場合は、サイドバンドインターボード(またはインターチップ)通信リンク122が、処理チップ間における同期および、汎用通信ライン、イベントウィンドウトリガ信号、アボート信号、スロットル信号、システム起動信号等を用いる他の機能を提供するために処理チップ120によって生成され得、そしてそのことは、下記に詳細に開示されている。データ信号126は処理チップ120によって生成され、高速システムバス128に印加される。システムバス128に接続されているのは組み込みコンピュータ130であり、組み込みコンピュータ130は、組み込みコンピュータ130からの情報を表示するディスプレイ132に接続され得る。加えて、組み込みコンピュータ130は、リンク134によって示されている通り、ネットワークまたは他のコンピュータに接続され得る。ソートタイミングユニット136はセルソーター138に結合されている。
【0014】
稼動中において、プロセッサ130は、処理チップ120内のシステムレジスタ、およびシステムバス128に接続され得る他のシステム周辺装置または装置のプログラミングをセットアップするための拡張インターフェースとして用いられる。データの選択についての決定、およびデータの処理は、処理チップ120によって行われる。処理されたデータ126は、システムバス128を介して、処理チップ120によって組み込みコンピュータ130へ送られる。組み込みコンピュータ130は処理されたデータからセルを識別するためのソフトウェアを用い得、ソートタイミングユニット136に送信されるソート決定を提供し得る。ソートタイミングユニット136はセルソーター138を制御する。セルソーター138はソート決定およびソート機能を実行して、セルを適切なソートレセプタクルにソートする。代替の構成において、ソートタイミングユニット136は、組み込みコンピュータ130の補助なしで、処理チップからのデータを直接に処理し、セルを識別することにより、独立してソート決定を作成し得、それにより組み込みコンピュータ130にかかる負担の軽減およびソート決定の生成を行う。さらに、フローサイトメーターアナライザーによって普通に行われる処理のように、セルをソートする必要がなく、データ収集および分析が必要とされる場合は、ソートタイミングユニット136およびセルソーター138は必要とされない。その例において、処理されたデータ126は、組み込みコンピュータ130によって受け取られ、ここで組み込みコンピュータは、データを分析し、統計、ヒストグラムおよびデータの他の表示を生成し、統計、ヒストグラムおよびデータの他の表示は、次いでディスプレイ132に表示され得るか、リンク134を介してネットワークまたは他のコンピュータと通信され得る。リンク134はまた、遠隔操作のために、ネットワークおよび他のコンピュータ装置が組み込みコンピュータ130とインターフェースをとることを可能にするために用いられ得る。
【0015】
処理チップ120は、チャネル108、110、112のそれぞれのデータを並列に処理する。処理チップ120はパラレルパイプライン構造を有しているので、それぞれのチャネルは、それぞれのクロックパルスについてサンプルベースで処理チップ120を介してパイプライン方式に設計される。一部の従来技術の装置は、データの全てをメモリに転送し、次いで標準プロセッサを用いてデータを処理するが、それはかなり遅いデータ処理の態様である。そのような従来技術を用いると、そのデータの一部のみの処理を伴う、毎秒10メガサンプルより少ないデータサンプルレートは、極度に速いデジタル信号プロセッサをもってさえも、達成するのは困難である。処理チップ120において、データの全ては、それぞれのチャネルについて並列様式にチップを介してパイプライン方式で実行され得、その様式においてデジタル方式で処理され得る。決定ロジックは、処理チップ120の出力が選択および処理された入力データからの結果の全てを含んでいて非常に高速方式で達成されるように処理チップ120において予めプログラムされ得る。処理チップ120はそれゆえに、データ出力126における出力選択結果を生成するために並列様式においてそれぞれのチャネルから高速でデータを扱うための並列処理パイプラインアーキテクチャを用い得る。毎秒100メガサンプルより高い速度は、下記に説明するような、高解像度でサンプルデータの全てが処理される状況下で達成され得る。
【0016】
図1Bは、フローサイトメーターのための電子制御システムの代替の実施形態150を説明する。図1Bは従来技術のシステムが直面する他の問題を扱っている。上述の通り、光電子倍増管からの信号レベルは、広範囲に渡って変化し得る。例えば、光電子倍増管からの出力信号は、非常に小さい電流であって、電圧に変換されたときに100マイクロボルトの範囲内にある非常に小さい電流から、非常に大きな電流であって、電圧に変換されたときに10ボルトの範囲内にある非常に大きな電流まで変わり得る。極端に明るい応答に次いで、非常に暗い応答が起こり得る。セルの適切な識別を保証するために、多くの場合、非常に低い電圧と非常に高い電圧との両方において高解像度の信号を分析することが望ましい。光電子倍増管から生成される広範囲出力での高解像度の出力は、異なった種類のセルを適切に区別するための情報を提供するために、電子システムから提供されるべきである。図1Bの実施形態において、マルチゲインリニアアダプティブ処理は、それぞれ、チャネルA(158)、チャネルB(160)およびチャネルN(162)上の光電子倍増管152、154および156によって生成された信号の広範囲に対して、より高い解像度の出力応答を提供するために用いられる。
【0017】
図1Bに示されている通り、光電子倍増管152、154、156のそれぞれからの出力を含むそれぞれのチャネルは、複数のゲイン回路で構成される別個の経路に適用される。また図1Bに示されている通り、ゲイン回路164、172、180は、光電子倍増管信号に、1のゲインを提供する。必要に応じて、これらのステージに他のゲインの量が提供され得る。ゲイン回路の第2のセットはまた、ゲイン回路166、174および182のように、それぞれのチャネルに接続され得る。例えば、ゲイン回路166、174および182のそれぞれは、128xのゲインを提供し、そしてそれは2の累乗27である。光電子倍増管の出力の範囲に依存して、必要に応じて、他のゲイン量が使用され得る。別個のゲインステージは、光電子倍増管からの高い出力信号および低い出力信号の両方の高解像度を提供するように機能する。
【0018】
また、図1Bにて説明されている通り、ゲイン回路164、166、172、174、180、182のそれぞれからの出力は、それぞれ、別個のアナログデジタル変換器168、170、176、178、184、186に印加される。アナログデジタル変換器はアナログ信号をデジタル信号に変換する。処理チップ188は処理チップ120に似ているが、マルチゲインステージを扱いゲインステージを結合するためのさらなる回路を含んでいるため、使用されているゲインステージとは関係なく、正確かつ高解像度かつ整合した出力が提供される。ゲインステージの正確な「ステッチング」は、所望の整合した結果を提供する。最高の解像度を達成するために適切なゲインステージを選択するための選択処理はまた、処理チップ188によって提供される。処理チップ188の出力は処理チップ120の出力と同じであり、同様の番号が付けられている。サイドバンドインターボンドまたはインターチップ通信リンク122は、データ、イベントウィンドウ情報、アボート信号、スロットル信号およびシステム起動信号の同期および転送のための汎用通信(GPcom)ラインを提供する。データ信号126はシステムバス128に印加される。また、システムバスに取り付けられているのは組み込みコンピュータ130およびソートタイミングユニット136であり、それは次いでセルソーター138に接続されている。ディスプレイ132は組み込みコンピュータ130に接続されている。これらの回路のそれぞれは、図1Aに関連して記載されている類似の装置と同様の機能を行う。リンク134はネットワークおよび/または他のコンピュータシステムとのインターフェースを提供する。
【0019】
図2は、処理チップ200の一実施形態の概要ブロック図である。データ信号202、204は、図1Aおよび図1Bにおいて説明されている通り、プロセッサ206、208にそれぞれ転送される。処理チップ200は、並列様式で複数の入力を処理する複数のチャネルプロセッサを含み得る。現在の技術を用いると、処理チップ200において使用できるチャネルプロセッサの数は制限される。例えば、4から8チャネルプロセッサが、FPGAのような単一の処理チップ200において典型的に使用され得る。チャネルプロセッサチップの機能は、データの同期、データのフィルター、調整可能なゲインの提供、チャネルトリガの生成ならびにピーク出力信号、集約された出力信号、パルス幅情報および他の所望の出力信号を生成するためのデータ処理である。これらの信号は、図3Aおよび図3Bに関連してより詳細に述べられる。
【0020】
図2に示されている通り、チャネルプロセッサ206は、バッファ/mux230に印加されるチャネルトリガ212を生成する。同様に、チャネルプロセッサ208もまた、バッファ/mux230に印加されるチャネルトリガ214を生成する。チャネルプロセッサ206、208のそれぞれからの様々なデータ出力216、218は、データコンソリデーター/シリアライザー220に印加される。これらのデータ出力216、218はまたデジタルオシロスコープモジュール234に印加される。データコンソリデーター/シリアライザー220の目的は、データコンソリデーター/シリアライザー220に印加された複数のチャネルの大きな並列データセットを配置して、バスインターフェース224に印加される32ビットデータワードのセットにすることである。データコンソリデーター/シリアライザー220の動作は、図9に関連してより詳細に述べられる。データコンソリデーター/シリアライザー220によってバスインターフェース224に印加される一連の32ビットデータワードは、バスインターフェース224によってシステムバス128にダウンロードされる。
【0021】
また、図2に示されている通り、システムレジスタ236は、プロセッサ130によってバスインターフェース224を介してアクセスされる。システムレジスタは状態を生成し、図2に示されているモジュールのそれぞれへと接続するライン238を制御する。システムレジスタ236は、図2に説明されている様々なコンポーネントを制御するために値がロードされ得る読み/書きメモリを含む。加えて、様々なコンポーネントの状態が、プロセッサ130によってシステムレジスタ236から読み出され得る。
【0022】
さらに図2に示されている通り、チャネルプロセッサのそれぞれからのデータはデジタルオシロスコープモジュール234に転送される。歴史的に、オペレータは異なったセル上の異なったタイプの染料を試用し、かつ様々な操作を行うために、オシロスコープを用いることによって光電子倍増管からのデータを見ることを望んできた。図1A、図1Bおよび図2の実施形態は高速アナログデジタル変換器およびRAM等を有するので、デジタルオシロスコープは、ディスプレイ132がデジタルオシロスコープの情報を表示するように処理チップの中にインプリメントされ得る。デジタルオシロスコープモジュール234は、ディスプレイ132に表示される情報を提供するために、バスインターフェース224を介してシステムバス128と接続されている。汎用通信信号は、所望の情報に対するトリガーとなるために、デジタルオシロスコープモジュール234によって用いられる。これらのサンプルの波形の形状だけでなく全てのデジタルサンプルを見ることができる。加えて、他の制御信号だけでなく同期信号も見ることができる。
【0023】
図2に関連して上述した通り、複数のチャネルプロセッサからのチャネルトリガ228はバッファ/マルチプレクサ230に印加される。バッファ/マルチプレクサ230は、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228に印加されるイベントウィンドウおよび同期信号232を生成するために入力チャネルトリガのサブセットを選択する。バッファ/マルチプレクサ230は、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228に印加されるイベントウィンドウおよび同期信号232として選択された特定のチャネルトリガ228を変更するためにプログラムされ得る。例えば、システムのオペレータが特定の波長におけるセルの蛍光のような特定の事象に関連するあるチャネルトリガに基づいたイベントウィンドウを生成したいとだけ望んでいる場合は、そのようなプログラミングはシステムバス128を介してバッファ/マルチプレクサ230に入力され得る。イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228は、イベントウィンドウおよび同期信号232を受け取り、イベントウィンドウ信号210を生成するためにこれらの信号を処理する。イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228は、イベントウィンドウを生成するためのさらなるロジックを提供するために、システムバス128を介してプログラムされ得る。イベントウィンドウ210を生成するために、ブールロジックのどのような結合でも、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228によって、イベントウィンドウおよび同期信号232に基づいて行われ得る。例えば、第1、第2および第4の信号がポジティブであるが第3の信号がポジティブでないときにシステムのオペレータがイベントウィンドウを生成したい場合、そのロジックは単純にイベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228内にダウンロードされ得る。ルックアップテーブルは、様々な入力について所望の出力を提供するために、所望のロジックをインプリメントするために用いられ得る。システムに同期を提供するために、イベントウィンドウ210は次いで、システムバス128だけでなくチャネルプロセッサ206、208に印加される。したがって、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228におけるルックアップテーブルにおいて提供され得るロジックだけでなくバッファ/マルチプレクサ230によるチャネルトリガ228の選択は、イベントウィンドウの選択および同期の提供における様々なブールロジックの結果を可能にする。
【0024】
イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228におけるルックアップテーブルを用いることによって、ハードワイヤードロジックを有する代わりに、所望の答えを提供するため、および、他の態様では所望の出力を生成することが要求されるであろう拡張ロジック回路を避けるために、ルックアップテーブルは簡単にプログラムされ得る。加えて、ルックアップテーブルは別のロジック回路に頼るよりも、所望のロジックを提供するために簡単にプログラムされ得る。ルックアップテーブルを用いると、出力のどのような結合も提供され得る。4つの入力ラインは、ルックアップテーブルにおけるメモリは所望の答えがロードされ得るようにアドレスラインとして使用され得る。どのような可能なロジック結合でも、複雑なリプルロジックを介する必要なしに、1クロック以内に提供され、複雑なリプルロジックは別のやり方では必要とされる。ルックアップテーブルは、所望の出力を提供する非常に速くかつ非常に強力な方法を提供し、単純に処理チップ120、188にプログラムされ得る様々なブールロジック結合の使用を可能にする。イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228は、それゆえに、バッファ/mux230によって選択された選択チャネルトリガ232を受け取り、イベントウィンドウ信号210を生成するためにいつ所望のイベントが発生するかを決定するために、ルックアップテーブルにロードされているロジックを用いて、それらを結合する。例えば、イベントのある組み合わせが検出される限り、またはイベントのある組み合わせが検出されない限り、システムのオペレータはイベントウィンドウが起こることを望まなくあり得る。オペレータによって簡単にプログラムされ得るルックアップテーブルを用いることによって、ロジックの全てはイベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228に組み込まれ得る。
【0025】
他の信号はまた、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228によって生成され得る。例えば、アボート信号およびスロットル信号は、イベントウィンドウジェネレータ228によって生成され得る。イベントウィンドウ210はいつイベントを発生させるかを定義する。アボート信号は、イベントが始まった後にイベントをアボートさせるために用いられ得る。例えば、あるイベントがある閾値よりも下に下がり、次いで閾値よりも上に戻った場合、2つの粒子が互いに非常に接近していることを示すものであるが、イベントはアボートされるべきである。アボート信号は次いで、データが良くないデータであり削除されるべきであることを示し得る。スロットル信号はデータオーバーランを防ぐため、全システムを抑圧するために用いられ得る。システムが可能なデータ処理よりも速く情報がシステムに伝送される場合、バッファは最終的にはオーバーランすることになる。いずれかのバッファが危険性の高いレベルに達した場合、これらのバッファのうちのいずれか一つはスロットル信号をアサートして、システムへのデータ供給を再開するためにバッファ内の領域を十分に空にするのに十分なデータをシステムが処理できるまでイベントウィンドウトリガが新しいイベントを生成しないようにし得る。加えて、イベントウィンドウジェネレータがプログラムされて、イベントウィンドウがプロセッサ130を介して単純にイベントウィンドウに時間の延長を加えることによってより長くなり得るようにし得る。
【0026】
図7は、イベントウィンドウ信号406の説明である。図7で説明されている通り、イベントウィンドウ信号406は、2つのイベントウィンドウ408、410を有している。これらのイベントウィンドウは、同期を提供するために、およびイベントウィンドウ内で適切にデータをキャプチャするために、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228によって生成される。イベントウィンドウの選択は、図2に関連して上記で十分に述べている。
【0027】
図3Aは、マルチゲインリニア処理を用いないチャネルプロセッサの単一チャネルの概要ブロック図である。図3Aに示されている通り、光電子倍増管102はアナログデジタル回路114に印加される出力信号を生成する。アナログデジタル回路114からのデジタル化された信号はチャネルプロセッサ206に印加される。デジタルベースライン復元回路302がデジタル信号におけるいかなるオフセットをも除去して、デジタル信号が0ボルトに基礎を置くようにされる。オフセットが除去されたデジタル信号は次いでプログラマブル遅延304に印加される。プログラマブル遅延304は、フローサイトメーター内の検出器の間隔に基づいている先入れ先出し(FIFO)レジスタにおいてインプリメントされ得る。特に、複数のレーザーおよび複数の検出器は、連続的にセルを照射し、セルの光学応答を検出するために、フローサイトメーターの長さに沿って分散され得る。フローサイトメーターが始動し、通常のフロー状況下で稼動中である後、それぞれの検出器間の時間遅延は簡単に決められ得る。FIFOは所望の遅延304を提供するものとして用いられ得る。
【0028】
図4は光電子倍増管102からのアナログ出力400の説明である。示されている通り、チャネルのそれぞれは、出力108、110、112によって説明されているように順次遅延された出力を生成する。チャネルのそれぞれからの時間の遅延は、チャネル出力のそれぞれが異なった光電子倍増管の出力を表すということの結果であり、光電子倍増管はフローサイトメーター内でもう一つの光電子倍増管と空間的にずらされている。
【0029】
図5は、別個のチャネルのそれぞれからアナログデジタル回路によって生成されたデジタル化信号402の説明である。
【0030】
図6は、プログラマブル遅延304の出力を構成するチャネルのそれぞれからの信号の集合を表す整列されたデジタル化信号404の説明である。図6に示されている通り、チャネルCの出力と整列させるために、チャネルAはある量だけ遅延されている。同様に、チャネルCの出力と整列させるために、チャネルBもまたある量だけ遅延されている。上記の通り、それぞれのチャネルに対するプログラマブル遅延304はFIFOレジスタ内にインプリメントされ得る。図6で説明する整列されたデジタル化信号404は次いでフィルター306に印加される。フィルター306は、平均化フィルター、有限インパルス応答(FIR)フィルター、またはデジタル化ガウス信号を平滑化して小雑音変動を除去する他の種類のフィルターを含み得る。
【0031】
再び図3Aを参照すると、フィルターされた信号は次いでデジタルゲインコントローラー308に印加される。デジタルゲインコントローラー308は、システムのオペレータまたはシステム自体が品質制御目的である程度、信号を調整することを可能にするオプションのゲインコントローラーであり得る。デジタルゲインコントローラーは、光信号を検知するために用いられ得る様々な光電子倍増管または他の検出器での種々のゲインを補償し得る。デジタルゲインコントローラー308は、チャネルプロセッサのそれぞれに対する信号レベルを調整可能にする。デジタルゲインコントローラー308のデータ出力310は、次いで比較器312、ピーク検出器314、面積検出器/計算器316およびさらなる検出器/計算器318に印加され、さらなる検出器/計算器318はパルス幅の計算を含む他の計算を提供し得る。比較器312は、出力デジタルゲインコントローラー308からのデジタルガウス信号を予め決められた閾値と比較することによってチャネルトリガ320を生成する。チャネルトリガ320は図2で説明されるバッファ/mux230に印加される。ピーク検出器314は、デジタル比較技術を用いてガウス信号のそれぞれのピークをデジタル方式で検出し、それによりピーク出力322を生成する。面積検出器/計算器316は面積出力信号324を生成し、面積出力信号324はガウス曲線下の面積を示す。この計算は標準のデジタル積分技術を用いて行われる。上記に示した通り、さらなる検出器/計算器318はさらなる出力326を生成し、さらなる出力326はピーク出力322、面積出力324またはパルス幅出力(示されていない)に基づく算術計算であり得、パルス幅出力はガウス信号のパルス幅を示す。
【0032】
図3Bは、マルチゲインリニア処理を用いる信号プロセッサ350の単一チャネルを説明する。図3Bに示されている通り、光電子倍増管152は、1のゲインステージ164と128xのゲインを提供するゲイン増幅器166の両方に印加される出力を生成する。どのような所望のゲインも、所望の通り、増幅器回路164、166のどちらかに対して選択され得る。増幅器166によって提供される128xのゲインは、27に等しい2の累乗であり、それにより2の累乗演算を非常に簡単にする。増幅器164の出力は、アナログデジタル変換器168に印加される。同様に、増幅器166の出力はアナログデジタル変換器170に印加される。アナログデジタル変換器168の出力はデジタルベースライン復元(オフセット除去)回路352に印加され、デジタルベースライン復元(オフセット除去)回路352はチャネルプロセッサ206の一部である。同様に、アナログデジタル変換器170の出力はデジタルベースライン復元(オフセット除去)回路354に印加され、デジタルベースライン復元(オフセット除去)回路354はまたチャネルプロセッサ206の一部である。オフセット除去回路352、354は、デジタル信号をゼロベースレベルに調整する。オフセット除去回路352、354の出力はステッチング/選択器回路356に印加される。ステッチング/選択器回路356は2つのゲインステージを一緒にステッチし、光電子倍増管152の出力に対し最良の解像度および最良の精度を提供する信号を選択する。ステッチング/選択器回路356は図8Aに関連してより詳細に述べられている。ステッチング/選択器回路356によって選択される出力信号は先入れ先出し(FIFO)レジスタ358に印加され、先入れ先出し(FIFO)レジスタ358は上記に述べた通り、遅延の選択量を提供し、それにより様々なチャネル出力を整列させる。フィルター370は雑音を除去するためにフィルタリングを提供する。デジタルゲインコントローラー372は、システムのオペレータまたはシステム制御からの入力信号374に応答して作動し、それによりこの特定チャネルへ所望のゲインを提供する。デジタルゲインコントローラー372の出力信号は比較器376、ピーク検出器380、面積計算器384およびさらなる計算器388に印加され、さらなる計算器388はパルス幅計算器および他の計算器を含み得る。イベントウィンドウ信号210はまたこれらのコンポーネントのそれぞれに印加される。比較器376は、データ信号を閾値と比較することによりチャネルトリガ378を生成する。ピーク検出器380はピーク出力382を生成し、一方、面積計算器は面積出力386を生成する。さらなる計算器388は他の出力390を生成する。図3Bに説明される実施形態はそれゆえ、それぞれの光電子倍増管出力に対して2つの異なったゲインを提供し、最高の解像度を有する最も正確な信号を提供する所望の出力を選択する。
【0033】
図8Aはマルチゲインリニア処理を用いた信号プロセッサ800の単一チャネルの実施形態の概要ブロック図であり、比較回路812およびステッチング/選択器回路356を説明する。図8Aに示されている通り、光電子倍増管152は、アナログオフセット制御804に印加される出力を生成する。アナログオフセット制御804は光電子倍増管152からの信号を調整し、それにより光電子倍増管152から受け取られた信号内に存在し得るいずれのオフセットをも除去する。例えば、光電子倍増管152から受け取られた信号は、普通は電流信号であり電流信号は次いで電圧信号に変換される。トランス型インピーダンス回路(示されていない)は電流信号を電圧信号に変換するために用いられ得る。演算増幅器(示されていない)はトランス型インピーダンス回路内で用いられる。演算増幅器は、出力電圧信号内に小さなオフセット電圧を挿入し得る。オフセットはまた、散乱を検出したときにレーザー流出の結果として生じ得るか、または蛍光バックグラウンドマテリアルの結果として生じ得る。これらのオフセットはアナログオフセット制御804によって除去される。アナログオフセット制御804の出力は、アナログデジタル変換器168およびアナログ増幅器166に印加され、アナログ増幅器166は128xのファクターで信号を増幅する。128xのゲインは27に等しい2の累乗であるため、再び128xは図8の実施形態で用いられる。もちろん、所望ゲインの量に依存し、いかなる所望のゲインも増幅器166で使用され得る。他の2の累乗は、図8A中で説明される乗算器回路806内で用いられる乗算処理を単純化するために用いられ得る。アナログ増幅器166からの増幅された信号は、次いでアナログデジタル変換器170に印加され、それによりデジタル化出力信号を生成する。デジタル化された信号は、次いでデジタルベースライン復元回路354に印加され、それによりデジタル信号内で検出されたいずれのオフセットをも除去される。アナログ増幅器166への入力信号内に存在するオフセットはいずれも128xのファクターで乗算される。したがって、小さなオフセットは2桁を超えるオーダーだけ乗算され、デジタルベースライン復元回路354において簡単に検出され得る。オフセットモニタ802はそのようなオフセットを検出し、アナログオフセット制御804に印加されるオフセット制御信号803を生成し、それにより非常に正確な方法でアナログオフセット制御804を調整する。デジタルベースライン復元回路352の出力およびデジタルベースライン復元回路354の出力は両方とも、ステッチング/選択器回路356に印加される。デジタルベースライン復元回路354の出力は可変ゲイン回路808に印加され、可変ゲイン回路808はステッチング/選択器回路356の一部である。デジタルベースライン復元回路352の出力は2進乗算器806に印加され、2進乗算器806もまたステッチング/選択器回路356の一部である。2進乗算器806は単純にデータを左に7桁ずらすことによって、128xのファクターによるデータの乗算に作用する。乗算器806からのデジタル方式で乗算されたデータ信号807は次いで減算器810およびマルチプレクサ834に印加される。
【0034】
また図8Aに示される通り、可変ゲイン回路808は、差分制御信号828にしたがってアナログ増幅器166により乗算された信号のゲインを調整する。可変ゲイン回路808の出力809はまた減算器回路810に印加される。減算器回路810は、アナログ方式で乗算された信号809からデジタル方式で乗算された信号807を減算する。減算器回路810は差分制御信号828を生成し、差分制御信号828は2つの入力信号の差異に比例する。差分制御信号828は加算回路811に印加され、加算回路811はゆっくりと差分制御信号828を調整し、それにより差分制御信号828における急速な変化を妨げ、差分制御信号828は可変ゲイン回路808に印加される。可変ゲイン回路808は信号809を調整し、それにより信号809は信号807と整合する。
【0035】
図8Aはまた比較回路812を開示し、アナログ方式で乗算された信号809の状態が可変ゲイン回路808を調整するのに適切で、かつアナログ方式で乗算された信号809をデジタル方式で乗算された信号807と一緒にステッチさせるとき、比較回路812は比較器制御信号826を生成し、比較器制御信号826は減算器回路810を制御し、かつ減算器回路810に差分制御信号828の生成を可能にする。アナログ方式で乗算された信号809は比較器回路816に印加され、比較器回路816は、(飽和状態に達する前に)アナログ方式で乗算された信号809がアナログ増幅器166の最大振幅の50パーセントより大きい振幅を有しているかどうか判定する。有している場合、出力信号はANDゲート820に印加される。アナログ方式で乗算された信号809はまた、アナログ方式で乗算された信号809がアナログ増幅器166の最大振幅の88パーセントより小さい瞬間振幅を有しているかどうか判定するために比較器回路818に印加される。有している場合、比較器回路818はANDゲート820に印加される信号を生成する。これらの両状態が存在する場合、ANDゲート820は出力信号をANDゲート824に印加する。アナログ方式で乗算された信号809はまた比較器回路822に印加され、比較器回路822はアナログ方式で乗算された信号809の勾配がある予め決定された限度より小さいかどうかを判定する。小さい場合、比較器回路822はANDゲート824に印加される出力を生成する。ANDゲート824への両入力がある場合、比較器制御信号826は生成され、比較器制御信号826は減算器回路810に印加され、それにより必要に応じて差分制御信号828を生成するために減算器回路810を作動させる。
【0036】
図8Aで説明されている比較回路812は3つの比較器回路816、818、822を用いることによって、アナログ方式で増幅された信号809のデジタル化ガウスパルスの振幅および勾配が特定範囲内であることを保証し、それによりデジタル方式で乗算された信号807との妥当な比較をし得る。第1の条件はアナログ方式で乗算された信号809がアナログ増幅器166の増幅限度の50パーセントから88パーセントの範囲にあることである。当然、これらのパーセンテージはシステムの設計者により所望される特定の結果を提供するために変更され得る。この範囲を選択する理由は、オフセット除去により引き起こされる範囲の損失のためにひずみがより高いゲイン領域(例えば、88パーセントより大きい)になり得るので、アナログ方式で乗算された信号809はその増幅される範囲の上半分(50パーセントより大きい)内にあるがアナログ増幅器166の最大ゲインのあるパーセンテージよりも小さいときに、信号807と809とを比較することが望ましいためである。アナログ方式で増幅された信号809がそれらの範囲内にあるとき、ANDゲート820の出力は信号を生成する。加えて、ガウスパルスがそのピークに近く、かつ振幅について比較的速くなく変化しているとき、信号807と809とを比較することは有利である。比較器回路812は、デジタル化ガウスパルス809の変化のレートがある予め決定された限度よりも小さいときにだけ信号を生成し、それによりアナログ方式で増幅された回路809のガウスパルスのピーク近くで比較が発生することを保証する。これらの条件の両方が満たされたとき、ANDゲート824は比較器制御信号826を生成し、それにより減算器810に差分制御信号828を生成させるように信号を送る。
【0037】
また図8Aに示されている通り、可変ゲイン回路808の出力は比較器回路830およびマルチプレクサ834の両方に印加される。信号806はまたマルチプレクサ834に印加される。比較器回路830は、入力信号809と比較器回路830に設定された閾値とを比較し、それにより信号809がアナログ増幅器166により提供される合計ゲインの88パーセントのようなある予め決定された値よりも大きいかどうかを判定する。比較器回路830は信号809がアナログ増幅器166の合計ゲインの88パーセントよりも大きいと判定した場合、選択制御信号832が生成され、選択制御信号832はマルチプレクサ834に印加され、それによりデジタル方式で乗算された信号807をマルチプレクサ834の出力836として選択するようにマルチプレクサ834を制御する。比較器回路830は信号809がアナログ増幅器166の最大出力の88パーセントのようなある予め決定された限度よりも小さいと判定した場合、マルチプレクサ834は入力809を出力836として選択する。ひずみが信号の中に起こり得るので、信号809がアナログ増幅器166の最大出力の88パーセントより大きいレベルに増幅された場合、アナログ方式で増幅された信号809を用いないことが望ましい。信号809がアナログ増幅器166の最大出力の88パーセントのようなある予め決定された限度よりも大きい場合、より少ないひずみがデジタル方式で乗算された信号807内に存在するであろうから、デジタル方式で乗算された信号807が出力836として選択される。
【0038】
図8Bは、マルチゲインリニア処理を用いた信号プロセッサ800の単一チャネルの第2の実施形態の概要ブロック図であり、比較回路812およびステッチング/選択器回路356を説明する。概要的に図8Bに説明される実施形態は、MUX834が加重ゲインステージ移行回路850と取り替えられており、かつ88%比較器回路830が取り除かれることを除いては図8に示されている実施形態と同様である。表記を単純にするため、デジタル方式で乗算された信号807は次の開示においてゲイン001ステージ、ゲイン001信号またはゲイン001データと表され得、アナログ方式で増幅された信号809は次の開示においてゲイン128ステージ、ゲイン128信号またはゲイン128データと表され得る。
【0039】
チャネル1の出力信号としてゲイン001ステージの使用とゲイン128ステージの使用とを切り替えるとき、加重ゲイン移行回路850は円滑な移行を提供する。このように、固定ポイントで直接にゲイン128ステージからゲイン001ステージに移行する代わりに、例えばゲイン128ステージがその最大の88パーセントより大きいとき、両ステージからのデータが円滑にステージを移行するために用いられ得る。ステージが完全一致しない場合、そのような円滑化は起こり得る異常なデータ破壊を減らす。これを達成する一つの方法は、加重ファクターを算定することである。例えば、一つのそのような加重ファクターは、アナログ方式で乗算された信号(ゲイン128ステージ)のデジタル化レベルに基づいて表1にしたがって算定され得る。
【0040】
【表1】
一実施形態において、表1中で提供される加重は、ルックアップテーブルとして適用され得る。メモリを節約するためならびにテーブル長およびテーブル値の点での柔軟性を提供するために、一実施形態において表1中で提供される加重は数式(1)および(2)を用いて算定される。
数式(1) ゲイン128加重=0xE146−ゲイン128データ(ここで、算定されるゲイン128加重は、0≦算定されるゲイン128加重≦4096に限定される)
数式(2) ゲイン001加重=4096−ゲイン128加重
チャネルの加重出力は、次いで数式(3)にしたがって算定され得る。
【0041】
【数1】
表1は、アナログ方式で乗算された信号809(ゲイン128信号)の最大レベルの88%に基づいている。他の比較レベルもまた用いられ得る。例えば、一実施形態において、92%(0xECCC)は比較レベルとして用いられる。そのような一実施形態でゲイン128レベルに対応するテーブル値は、0xECCCから0xDCCCへ1刻みで分布する。数式(1)、(2)および(3)は、それに応じて修正される。
【0042】
図8Cは、加重ゲイン移行回路850の一実施形態の概要ブロック図である。アナログ方式で乗算された信号809(ゲイン128信号)は、減算器852の一つの入力に供給される。減算器852のその他の入力は、値0xE146と連結され、値0xE146は表1に示される通りアナログ方式で乗算された信号809が有し得る最高の有効なレベルである。減算器852の出力はアナログ方式で乗算された信号の加重(ゲイン128加重)である。
【0043】
減算器852の出力は、リミッタ853に提供される。リミッタ853は、減算器852の出力を0≦値≦4096となるような値に制限する。減算器852の出力は、減算器854の一つの入力に供給される。減算器854のその他の入力は、値4096と連結される。減算器854の出力は、デジタル方式で乗算された信号の加重(ゲイン001加重)である。
【0044】
アナログ方式で乗算された信号809およびゲイン128加重は、乗算器856へと入力される。同様に、デジタル方式で乗算された信号807およびゲイン001加重は、乗算器858へと入力される。乗算器856および858の出力は、加算器860へと入力される。加算器860の出力は、除算器回路862へと入力される。除算器回路862は、入力を4096で割る。除算器回路862の出力は、チャネル出力としての加重ゲイン移行回路850の出力である。
【0045】
図9は、図2中に説明されるデータコンソリデーター/シリアライザーの一実施形態の概要ブロック図である。図9に示される通り、それぞれのチャネルからのデータの大きなパラレルストリームは、パラレルレジスタ906に印加される。例えば、チャネルA(108)からのピーク信号382は、パラレルレジスタ906に印加される32ビット長ワードを含み得る。同様に、面積信号386もまた、パラレルレジスタ906に印加される32ビット長ワードであり得る。さらに、チャネルA(108)のパルス幅信号902および他の入力904はまた、パラレルレジスタ906に印加される32ビット長ワードを含み得る。チャネルN(112)を含むチャネルのそれぞれは、パラレルレジスタ906に並列に印加される複数の32ビット長データワードを含み得る。実際のインプリメンテーションでは、データは32ビット長ワードを含み、かつさらなるビットもまた含まれ得、さらなるビットはパラレルレジスタ906の幅を拡大し得る。少なくとも一インプリメンテーションでは、パラレルレジスタ906は512ビット長であり、512ビット長は約15の入力を可能にする。パラレルレジスタ906は次いで、先入れ先出し(FIFO)レジスタ908に印加される出力を生成し、先入れ先出し(FIFO)レジスタ908はさらにデータをバッファに入れる。FIFOレジスタのそれぞれのセクションは32ビット長(または他のビットが含まれている場合は他の幅)であり、かつ64階層の深さであり得る。換言すれば、FIFO908は、イベントデータのバッファリングに64イベントまで提供し得る。FIFO908の出力は、ステートマシン910に印加される512ビット長信号のような大きなパラレル信号である。ステートマシン910は512ビット長データを一連の32ビットワードに編成し、一連の32ビットワードは順次、バスインターフェース224に印加される。バスインターフェースは次いでデータ226をシステムバス128に印加する。一連の順次的な32ビット長ワードは、チャネルA(108)からのデータおよびさらなるチャネルからの同様のデータを全て含む、ピーク信号382、面積信号386、パルス幅信号902および他の計算904を含む一連のデータを含み得る。したがって、システムバス128は、順次的な様式で32ビット長ワードでデータを受け取り、システムバス128上で様々なコンポーネントにこのデータをダウンロードする。
【0046】
本明細書に開示される様々な実施形態は、サンプルベースで、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは特定用途向け集積回路のような処理チップを介してデータをクロック制御することにより、より高いスループットを得る利点を提供する。処理チップ内に含まれる処理ロジックは様々なロジックを提供し、様々なロジックはチップの中にプログラムされて、ソートまたは分析のためにセルを識別するようにされ得、かつ処理ロジックはパラレルアーキテクチャにおいてサンプルベースで処理を行い、パラレルアーキテクチャはデータの高いスループットを提供する。加えて、複数のマルチゲインリニア回路が提供され、その複数のマルチゲインリニア回路は一緒にステッチされフローサイトメーター内のセルの比較的正確な識別を可能にする高いダイナミックレンジをもつ正確なデータおよび高解像度のデータを提供する。
【0047】
発明の前記説明は、例示および解説の目的で示された。網羅的であること、または発明をまさにその開示された態様に限定することは意図されておらず、かつ上記教示に照らし合わせて他の改変および他の変形は可能であり得る。発明の原理および実用的な応用を最良に説明するために実施形態が選択され、かつ説明され、それにより当業者に、様々な実施形態および様々な改良が、意図される特定用途に適するように発明を最良に利用することを可能にする。添付の特許請求の範囲が従来技術で限定される限りを除き発明の他の代替実施形態を含むように解釈されることが、意図されている。
【背景技術】
【0001】
フローサイトメトリは、単一のセルのような単一の粒子の、複数の物理的特徴を同時に測定および分析するために用いられる技術である。フローサイトメトリを用いて測定され得るセルの特徴および特性は、大きさ、粒度、内部の複雑性、蛍光強度およびセルの他の特徴を含む。光電子倍増管のような検出器は、前方散乱、面散乱および蛍光を検出し、それによりセルの様々な特性を測定するために用いられる。フローサイトメーターにより識別される特徴および特性は、次いでセルを分析、識別および/またはソートするために用いられ得る。
【0002】
典型的なフローサイトメーターは、3つのメインシステム、すなわち、流体システム、光学システムおよび電子システムを用いる。流体システムは、流体ストリーム中の粒子が照射用のレーザービームを通り過ぎるように流体ストリーム中の粒子を移送する。光学システムは、流体ストリームの中の個々の粒子を照射するレーザー、光をフィルターする光学フィルター、ならびに蛍光および/または散乱を検出する光電子倍増管を含む。電子システムは、光電子倍増管または他の検出器から生成されるアナログ信号を処理し、それらの信号をアナログおよび/またはデジタル形式で処理し、セルに対する識別情報を提供し、粒子のソートを制御するための制御信号を生成する。
【0003】
フローサイトメーターは非常に高速で動作するため、電子システムもまた、非常に高速に、かつ高解像度で非常に正確に、かつ高いダイナミックレンジで動作することが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、それゆえフローサイトメーター内のデータの複数のチャネルを処理する方法を含み得、該方法は、該データをデジタル化することにより、デジタル化されたデータの複数のチャネルを生成することと、該デジタル化されたデータの複数のチャネルを処理チップ内で並列に処理することとを含み、該処理チップは機能を果たし、該機能は、該デジタル化されたデータの複数のチャネルのうちのデジタル化されたデータの選択された個々のチャネルを、複数の選択された時間遅延だけ遅延させることにより、該デジタル化されたデータの複数のチャネルを時間的に整列させることと、該デジタル化されたデータの複数のチャネルと閾値を比較することによって、該デジタル化されたデータの複数のチャネルからチャネルトリガを生成することと、該チャネルトリガのサブセットを選択することにより、イベントウィンドウ信号の生成を促進することと、該処理チップ内のプログラマブルロジックを用いることにより、該イベントウィンドウ信号の生成をさらに促進することと、該デジタル化されたデータの複数のチャネルから、デジタル化されたデータ出力信号を生成することと、該イベントウィンドウ信号を用いて、該デジタル化されたデータ出力信号を選択することとを含む。
【0005】
本発明は、入力データの広範囲の振幅が検出されるフローサイトメーター内で高解像度の出力データを生成する方法をさらに含み得、該方法は、予め決められたゲインファクターを用いて該入力データを増幅することにより、増幅された入力データを生成することと、該入力データをデジタル化することにより、2進数の入力データを生成することと、該増幅された入力データをデジタル化することにより、増幅された2進数の入力データを生成することと、該増幅された入力データの該予め決められたゲインファクターに相当する、該2進数の入力データの2進乗算を行うことにより、2進乗算された入力データを生成することと、該増幅された2進数の入力データと該2進乗算された入力データとを比較することにより、該増幅された2進数の入力データと該2進乗算された入力データとの不一致を無くすことと、予め決められた基準に基づき、該増幅された2進数の入力データか該2進乗算された入力データかを選択することにより、高解像度の出力データを生成することとを含む。
【0006】
本発明は、複数の入力データ信号を同時に並列に処理することにより高いデータスループットを提供する、フローサイトメーターのための電子制御システムをさらに含み得、該システムは、該複数の入力データ信号をデジタル化し、それにより複数の2進数の入力データ信号を生成するアナログデジタル変換器と、該2進数の入力データ信号を同時に並列に処理する処理チップとを含み、該処理チップは、該2進数の入力データ信号を時間的に整列させる遅延回路と、該2進数の入力データ信号と予め決められた閾値とを比較することにより、チャネルトリガを生成する比較器回路と、該2進数の入力データ信号から2進数の出力データ信号を生成する検出器回路と、該チャネルトリガおよびプログラマブルロジックを用いることにより、該2進数の出力データ信号のサブセットを選択するイベントウィンドウ信号を生成するイベントウィンドウジェネレータとを含む。
【0007】
本発明は、広範囲の入力データ信号が検出されるフローサイトメーター内で高解像度の出力データ信号を生成するシステムをさらに含み得、該システムは、選択されたゲインファクターにより複数の入力データ信号を増幅し、それにより複数の増幅された入力データ信号を生成する増幅器と、該入力データ信号をデジタル化し、それにより2進数の入力データ信号を生成するアナログデジタル変換器と、該増幅された入力データ信号をデジタル化し、それにより増幅された2進数の入力データ信号を生成するさらなるアナログデジタル変換器と、該2進数の入力データ信号と該増幅された2進数の入力データ信号とを比較し、それにより該2進数の入力データ信号と該増幅された2進数の入力データ信号との不一致を無くす第1の比較器と、該2進数の入力データ信号か該増幅された2進数の入力データ信号かを予め決められた基準に基づき選択し、それにより高解像度かつ整合した入力データ信号を提供する第2の比較器とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】図1Aは、フローサイトメーターのための電子制御システムの一実施形態の概要ブロック図である。
【図1B】図1Bは、フローサイトメーターのための電子制御システムの代替の実施形態の概要ブロック図である。
【図2】図2は、図1で説明される処理チップの一実施形態の概要ブロック図である。
【図3A】図3Aは、マルチゲインリニア処理を用いないチャネルプロセッサの単一チャネルの一実施形態の概要ブロック図である。
【図3B】図3Bは、マルチゲインリニア処理を用いる信号プロセッサの単一チャネルの一実施形態の概要ブロック図である。
【図4】図4は、出力のいくつかのチャネルを示す、光電子倍増管または他の検出器の典型的なアナログ出力のグラフである。
【図5】図5は、デジタル化された図4の信号を示すグラフである。
【図6】図6は、整列された図5のデジタル化信号を説明するグラフである。
【図7】図7は、イベントウィンドウを説明するグラフである。
【図8A】図8Aは、マルチゲインリニア処理を用いた信号プロセッサの単一チャネルの一実施形態の概要ブロック図であり、比較回路およびステッチング/選択器回路を説明する。
【図8B】図8Bは、マルチゲインリニア処理を用いた信号プロセッサの単一チャネルの第2の実施形態の概要ブロック図であり、比較回路およびステッチング/選択器回路を説明する。
【図8C】図8Cは、加重ゲイン移行回路の概要ブロック図である。
【図9】図9は、データコンソリデーター/シリアライザーの一実施形態の概要ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1Aはフローサイトメーターのための電子制御100システムの一実施形態の概要ブロック図である。図1Aに示している通り、光電子倍増管102、104、106およびフローサイトメーターに用いられ得る他の光電子倍増管は、レーザービームによって照射された単一の粒子から光信号を検知する。前述の通り、それぞれの光電子倍増管によって検知された光信号は、散乱信号または蛍光信号であり得る。光電子倍増管102、104、106によってそれぞれ生成されるチャネルA108、チャネルB110およびチャネルN112からの電気信号はアナログデジタル変換器114、116、118にそれぞれ印加される。アナログデジタル変換器114、116、118からのデジタル化された信号は処理チップ120に印加される。処理チップは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)や、特定用途向け集積回路(ASIC)等を含み得、それはサンプルベースでチップを介してそれぞれのサンプルをクロック制御することができる。処理チップ120の中に高速処理ロジックが含まれているため、データの高い処理能力が実現され得る。
【0010】
光電子倍増管102、104、106は演算増幅器(示されていない)を普通に用いるトランス型インピーダンス回路を用いて電圧信号に変換される電流出力信号を生成する。電圧信号は、光電子倍増管102によって検知されたパルスを表す。光電子倍増管102、104、106は、レーザーまたは他の光源によって照射された粒子または粒子の蛍光から散乱された光を検知する。光電子倍増管102による検知の前に光をフィルターするシステムにおいては、フィルターもまた存在し得る。光電子倍増管は非常に感度が良く、非常に薄暗いものから非常に明るいものまで広範囲の光信号を検知することができる。検知されたパルスは、一般に数マイクロボルトから10ボルトかそれよりも高くまで変化するガウスプロフィールを有する。パルスの電圧は、光電子倍増管によって検知された光信号の強度を表す。セルに非常に薄暗い応答から非常に明るい応答までの異なった応答のレベルを生成させる蛍光色素によって、セルは染色し得る。自己蛍光セルは、染色を使用せずに光応答を生成し得る。自己蛍光および異なる染色の結合だけでなく、光の散乱はセルを識別するために使われる。したがって、非常に明るい応答および非常に薄暗い応答の両方の検知および処理は、一般に、しばしばセルの識別およびセルの分析において必要である。
【0011】
加えて、応答の他の特徴はセルを特徴付けることにおいて有用であり得る。例えば、応答のピーク高、応答のパルス幅およびガウス曲線下の面積は、セルを識別するための情報を提供し得る。これらの結果の演算操作はまた、さらなる識別情報を提供し得る。例えば、パルス高でガウス曲線下の面積を割ったものは、さらなる識別情報を提供し得る。加えて、他のロジック結合が望まれ得る。
【0012】
応答の他のブール結合は、セルを特徴付けるさらなる情報を提供し得る。例えば、あるセルは、一つの波長における蛍光によって識別されるが、他の波長における蛍光では識別されないことがある。別の例によると、特定の波長において特定のセルは特定の面散乱を示すが蛍光を示さないことがある。したがって、ガウス応答の特定の結合は、セルの識別において特別重要になり得る。したがって、これらのブールロジック処理は、セルを特徴付ける貴重なツールになり得る。従来技術の電子処理技術を用いると、ブールロジックは時間の浪費になり、そしてデータの高いスループットを制限し得る。ブールロジック処理を行うことおよび信号のソートを生成するための意思決定処理だけでなく様々な数学処理を、信号が検知される時間から、粒子が粒子ソーターに非常に高いフローレートで移動する時間までの間に行う能力は、極度に高い処理速度を必要とする。また、光電子倍増管によって生成される応答は、高いレートで起こり得、非常に短い継続時間であり得る。応答は、アナログデジタル変換器によって用いられる非常に高いサンプルレートを必要とする400NSと同じくらい短時間であり得る。アナログデジタル変換器の非常に高いサンプリングレートは、応答のパルス波形を正確に特徴付けるために高い処理レートを必要とする。イベントは高いレートで起こり得、サンプリングレートは高くなければならないので、データの多くの量が、処理されなければならない非常に短い期間の間に生成される。従来技術の解決策は、サンプルレートおよびイベントレートを制限し、その結果より少ない量のデータが処理されることになる。
【0013】
図1Aに示されている特定のインプリメンテーションにおいて、データのNチャネルは一つの処理チップ120によって処理される。さらなる処理チップがさらなるチャネルを処理するために必要である場合は、サイドバンドインターボード(またはインターチップ)通信リンク122が、処理チップ間における同期および、汎用通信ライン、イベントウィンドウトリガ信号、アボート信号、スロットル信号、システム起動信号等を用いる他の機能を提供するために処理チップ120によって生成され得、そしてそのことは、下記に詳細に開示されている。データ信号126は処理チップ120によって生成され、高速システムバス128に印加される。システムバス128に接続されているのは組み込みコンピュータ130であり、組み込みコンピュータ130は、組み込みコンピュータ130からの情報を表示するディスプレイ132に接続され得る。加えて、組み込みコンピュータ130は、リンク134によって示されている通り、ネットワークまたは他のコンピュータに接続され得る。ソートタイミングユニット136はセルソーター138に結合されている。
【0014】
稼動中において、プロセッサ130は、処理チップ120内のシステムレジスタ、およびシステムバス128に接続され得る他のシステム周辺装置または装置のプログラミングをセットアップするための拡張インターフェースとして用いられる。データの選択についての決定、およびデータの処理は、処理チップ120によって行われる。処理されたデータ126は、システムバス128を介して、処理チップ120によって組み込みコンピュータ130へ送られる。組み込みコンピュータ130は処理されたデータからセルを識別するためのソフトウェアを用い得、ソートタイミングユニット136に送信されるソート決定を提供し得る。ソートタイミングユニット136はセルソーター138を制御する。セルソーター138はソート決定およびソート機能を実行して、セルを適切なソートレセプタクルにソートする。代替の構成において、ソートタイミングユニット136は、組み込みコンピュータ130の補助なしで、処理チップからのデータを直接に処理し、セルを識別することにより、独立してソート決定を作成し得、それにより組み込みコンピュータ130にかかる負担の軽減およびソート決定の生成を行う。さらに、フローサイトメーターアナライザーによって普通に行われる処理のように、セルをソートする必要がなく、データ収集および分析が必要とされる場合は、ソートタイミングユニット136およびセルソーター138は必要とされない。その例において、処理されたデータ126は、組み込みコンピュータ130によって受け取られ、ここで組み込みコンピュータは、データを分析し、統計、ヒストグラムおよびデータの他の表示を生成し、統計、ヒストグラムおよびデータの他の表示は、次いでディスプレイ132に表示され得るか、リンク134を介してネットワークまたは他のコンピュータと通信され得る。リンク134はまた、遠隔操作のために、ネットワークおよび他のコンピュータ装置が組み込みコンピュータ130とインターフェースをとることを可能にするために用いられ得る。
【0015】
処理チップ120は、チャネル108、110、112のそれぞれのデータを並列に処理する。処理チップ120はパラレルパイプライン構造を有しているので、それぞれのチャネルは、それぞれのクロックパルスについてサンプルベースで処理チップ120を介してパイプライン方式に設計される。一部の従来技術の装置は、データの全てをメモリに転送し、次いで標準プロセッサを用いてデータを処理するが、それはかなり遅いデータ処理の態様である。そのような従来技術を用いると、そのデータの一部のみの処理を伴う、毎秒10メガサンプルより少ないデータサンプルレートは、極度に速いデジタル信号プロセッサをもってさえも、達成するのは困難である。処理チップ120において、データの全ては、それぞれのチャネルについて並列様式にチップを介してパイプライン方式で実行され得、その様式においてデジタル方式で処理され得る。決定ロジックは、処理チップ120の出力が選択および処理された入力データからの結果の全てを含んでいて非常に高速方式で達成されるように処理チップ120において予めプログラムされ得る。処理チップ120はそれゆえに、データ出力126における出力選択結果を生成するために並列様式においてそれぞれのチャネルから高速でデータを扱うための並列処理パイプラインアーキテクチャを用い得る。毎秒100メガサンプルより高い速度は、下記に説明するような、高解像度でサンプルデータの全てが処理される状況下で達成され得る。
【0016】
図1Bは、フローサイトメーターのための電子制御システムの代替の実施形態150を説明する。図1Bは従来技術のシステムが直面する他の問題を扱っている。上述の通り、光電子倍増管からの信号レベルは、広範囲に渡って変化し得る。例えば、光電子倍増管からの出力信号は、非常に小さい電流であって、電圧に変換されたときに100マイクロボルトの範囲内にある非常に小さい電流から、非常に大きな電流であって、電圧に変換されたときに10ボルトの範囲内にある非常に大きな電流まで変わり得る。極端に明るい応答に次いで、非常に暗い応答が起こり得る。セルの適切な識別を保証するために、多くの場合、非常に低い電圧と非常に高い電圧との両方において高解像度の信号を分析することが望ましい。光電子倍増管から生成される広範囲出力での高解像度の出力は、異なった種類のセルを適切に区別するための情報を提供するために、電子システムから提供されるべきである。図1Bの実施形態において、マルチゲインリニアアダプティブ処理は、それぞれ、チャネルA(158)、チャネルB(160)およびチャネルN(162)上の光電子倍増管152、154および156によって生成された信号の広範囲に対して、より高い解像度の出力応答を提供するために用いられる。
【0017】
図1Bに示されている通り、光電子倍増管152、154、156のそれぞれからの出力を含むそれぞれのチャネルは、複数のゲイン回路で構成される別個の経路に適用される。また図1Bに示されている通り、ゲイン回路164、172、180は、光電子倍増管信号に、1のゲインを提供する。必要に応じて、これらのステージに他のゲインの量が提供され得る。ゲイン回路の第2のセットはまた、ゲイン回路166、174および182のように、それぞれのチャネルに接続され得る。例えば、ゲイン回路166、174および182のそれぞれは、128xのゲインを提供し、そしてそれは2の累乗27である。光電子倍増管の出力の範囲に依存して、必要に応じて、他のゲイン量が使用され得る。別個のゲインステージは、光電子倍増管からの高い出力信号および低い出力信号の両方の高解像度を提供するように機能する。
【0018】
また、図1Bにて説明されている通り、ゲイン回路164、166、172、174、180、182のそれぞれからの出力は、それぞれ、別個のアナログデジタル変換器168、170、176、178、184、186に印加される。アナログデジタル変換器はアナログ信号をデジタル信号に変換する。処理チップ188は処理チップ120に似ているが、マルチゲインステージを扱いゲインステージを結合するためのさらなる回路を含んでいるため、使用されているゲインステージとは関係なく、正確かつ高解像度かつ整合した出力が提供される。ゲインステージの正確な「ステッチング」は、所望の整合した結果を提供する。最高の解像度を達成するために適切なゲインステージを選択するための選択処理はまた、処理チップ188によって提供される。処理チップ188の出力は処理チップ120の出力と同じであり、同様の番号が付けられている。サイドバンドインターボンドまたはインターチップ通信リンク122は、データ、イベントウィンドウ情報、アボート信号、スロットル信号およびシステム起動信号の同期および転送のための汎用通信(GPcom)ラインを提供する。データ信号126はシステムバス128に印加される。また、システムバスに取り付けられているのは組み込みコンピュータ130およびソートタイミングユニット136であり、それは次いでセルソーター138に接続されている。ディスプレイ132は組み込みコンピュータ130に接続されている。これらの回路のそれぞれは、図1Aに関連して記載されている類似の装置と同様の機能を行う。リンク134はネットワークおよび/または他のコンピュータシステムとのインターフェースを提供する。
【0019】
図2は、処理チップ200の一実施形態の概要ブロック図である。データ信号202、204は、図1Aおよび図1Bにおいて説明されている通り、プロセッサ206、208にそれぞれ転送される。処理チップ200は、並列様式で複数の入力を処理する複数のチャネルプロセッサを含み得る。現在の技術を用いると、処理チップ200において使用できるチャネルプロセッサの数は制限される。例えば、4から8チャネルプロセッサが、FPGAのような単一の処理チップ200において典型的に使用され得る。チャネルプロセッサチップの機能は、データの同期、データのフィルター、調整可能なゲインの提供、チャネルトリガの生成ならびにピーク出力信号、集約された出力信号、パルス幅情報および他の所望の出力信号を生成するためのデータ処理である。これらの信号は、図3Aおよび図3Bに関連してより詳細に述べられる。
【0020】
図2に示されている通り、チャネルプロセッサ206は、バッファ/mux230に印加されるチャネルトリガ212を生成する。同様に、チャネルプロセッサ208もまた、バッファ/mux230に印加されるチャネルトリガ214を生成する。チャネルプロセッサ206、208のそれぞれからの様々なデータ出力216、218は、データコンソリデーター/シリアライザー220に印加される。これらのデータ出力216、218はまたデジタルオシロスコープモジュール234に印加される。データコンソリデーター/シリアライザー220の目的は、データコンソリデーター/シリアライザー220に印加された複数のチャネルの大きな並列データセットを配置して、バスインターフェース224に印加される32ビットデータワードのセットにすることである。データコンソリデーター/シリアライザー220の動作は、図9に関連してより詳細に述べられる。データコンソリデーター/シリアライザー220によってバスインターフェース224に印加される一連の32ビットデータワードは、バスインターフェース224によってシステムバス128にダウンロードされる。
【0021】
また、図2に示されている通り、システムレジスタ236は、プロセッサ130によってバスインターフェース224を介してアクセスされる。システムレジスタは状態を生成し、図2に示されているモジュールのそれぞれへと接続するライン238を制御する。システムレジスタ236は、図2に説明されている様々なコンポーネントを制御するために値がロードされ得る読み/書きメモリを含む。加えて、様々なコンポーネントの状態が、プロセッサ130によってシステムレジスタ236から読み出され得る。
【0022】
さらに図2に示されている通り、チャネルプロセッサのそれぞれからのデータはデジタルオシロスコープモジュール234に転送される。歴史的に、オペレータは異なったセル上の異なったタイプの染料を試用し、かつ様々な操作を行うために、オシロスコープを用いることによって光電子倍増管からのデータを見ることを望んできた。図1A、図1Bおよび図2の実施形態は高速アナログデジタル変換器およびRAM等を有するので、デジタルオシロスコープは、ディスプレイ132がデジタルオシロスコープの情報を表示するように処理チップの中にインプリメントされ得る。デジタルオシロスコープモジュール234は、ディスプレイ132に表示される情報を提供するために、バスインターフェース224を介してシステムバス128と接続されている。汎用通信信号は、所望の情報に対するトリガーとなるために、デジタルオシロスコープモジュール234によって用いられる。これらのサンプルの波形の形状だけでなく全てのデジタルサンプルを見ることができる。加えて、他の制御信号だけでなく同期信号も見ることができる。
【0023】
図2に関連して上述した通り、複数のチャネルプロセッサからのチャネルトリガ228はバッファ/マルチプレクサ230に印加される。バッファ/マルチプレクサ230は、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228に印加されるイベントウィンドウおよび同期信号232を生成するために入力チャネルトリガのサブセットを選択する。バッファ/マルチプレクサ230は、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228に印加されるイベントウィンドウおよび同期信号232として選択された特定のチャネルトリガ228を変更するためにプログラムされ得る。例えば、システムのオペレータが特定の波長におけるセルの蛍光のような特定の事象に関連するあるチャネルトリガに基づいたイベントウィンドウを生成したいとだけ望んでいる場合は、そのようなプログラミングはシステムバス128を介してバッファ/マルチプレクサ230に入力され得る。イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228は、イベントウィンドウおよび同期信号232を受け取り、イベントウィンドウ信号210を生成するためにこれらの信号を処理する。イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228は、イベントウィンドウを生成するためのさらなるロジックを提供するために、システムバス128を介してプログラムされ得る。イベントウィンドウ210を生成するために、ブールロジックのどのような結合でも、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228によって、イベントウィンドウおよび同期信号232に基づいて行われ得る。例えば、第1、第2および第4の信号がポジティブであるが第3の信号がポジティブでないときにシステムのオペレータがイベントウィンドウを生成したい場合、そのロジックは単純にイベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228内にダウンロードされ得る。ルックアップテーブルは、様々な入力について所望の出力を提供するために、所望のロジックをインプリメントするために用いられ得る。システムに同期を提供するために、イベントウィンドウ210は次いで、システムバス128だけでなくチャネルプロセッサ206、208に印加される。したがって、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228におけるルックアップテーブルにおいて提供され得るロジックだけでなくバッファ/マルチプレクサ230によるチャネルトリガ228の選択は、イベントウィンドウの選択および同期の提供における様々なブールロジックの結果を可能にする。
【0024】
イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228におけるルックアップテーブルを用いることによって、ハードワイヤードロジックを有する代わりに、所望の答えを提供するため、および、他の態様では所望の出力を生成することが要求されるであろう拡張ロジック回路を避けるために、ルックアップテーブルは簡単にプログラムされ得る。加えて、ルックアップテーブルは別のロジック回路に頼るよりも、所望のロジックを提供するために簡単にプログラムされ得る。ルックアップテーブルを用いると、出力のどのような結合も提供され得る。4つの入力ラインは、ルックアップテーブルにおけるメモリは所望の答えがロードされ得るようにアドレスラインとして使用され得る。どのような可能なロジック結合でも、複雑なリプルロジックを介する必要なしに、1クロック以内に提供され、複雑なリプルロジックは別のやり方では必要とされる。ルックアップテーブルは、所望の出力を提供する非常に速くかつ非常に強力な方法を提供し、単純に処理チップ120、188にプログラムされ得る様々なブールロジック結合の使用を可能にする。イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228は、それゆえに、バッファ/mux230によって選択された選択チャネルトリガ232を受け取り、イベントウィンドウ信号210を生成するためにいつ所望のイベントが発生するかを決定するために、ルックアップテーブルにロードされているロジックを用いて、それらを結合する。例えば、イベントのある組み合わせが検出される限り、またはイベントのある組み合わせが検出されない限り、システムのオペレータはイベントウィンドウが起こることを望まなくあり得る。オペレータによって簡単にプログラムされ得るルックアップテーブルを用いることによって、ロジックの全てはイベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228に組み込まれ得る。
【0025】
他の信号はまた、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228によって生成され得る。例えば、アボート信号およびスロットル信号は、イベントウィンドウジェネレータ228によって生成され得る。イベントウィンドウ210はいつイベントを発生させるかを定義する。アボート信号は、イベントが始まった後にイベントをアボートさせるために用いられ得る。例えば、あるイベントがある閾値よりも下に下がり、次いで閾値よりも上に戻った場合、2つの粒子が互いに非常に接近していることを示すものであるが、イベントはアボートされるべきである。アボート信号は次いで、データが良くないデータであり削除されるべきであることを示し得る。スロットル信号はデータオーバーランを防ぐため、全システムを抑圧するために用いられ得る。システムが可能なデータ処理よりも速く情報がシステムに伝送される場合、バッファは最終的にはオーバーランすることになる。いずれかのバッファが危険性の高いレベルに達した場合、これらのバッファのうちのいずれか一つはスロットル信号をアサートして、システムへのデータ供給を再開するためにバッファ内の領域を十分に空にするのに十分なデータをシステムが処理できるまでイベントウィンドウトリガが新しいイベントを生成しないようにし得る。加えて、イベントウィンドウジェネレータがプログラムされて、イベントウィンドウがプロセッサ130を介して単純にイベントウィンドウに時間の延長を加えることによってより長くなり得るようにし得る。
【0026】
図7は、イベントウィンドウ信号406の説明である。図7で説明されている通り、イベントウィンドウ信号406は、2つのイベントウィンドウ408、410を有している。これらのイベントウィンドウは、同期を提供するために、およびイベントウィンドウ内で適切にデータをキャプチャするために、イベントウィンドウジェネレータおよびマルチボードシンクロナイザー228によって生成される。イベントウィンドウの選択は、図2に関連して上記で十分に述べている。
【0027】
図3Aは、マルチゲインリニア処理を用いないチャネルプロセッサの単一チャネルの概要ブロック図である。図3Aに示されている通り、光電子倍増管102はアナログデジタル回路114に印加される出力信号を生成する。アナログデジタル回路114からのデジタル化された信号はチャネルプロセッサ206に印加される。デジタルベースライン復元回路302がデジタル信号におけるいかなるオフセットをも除去して、デジタル信号が0ボルトに基礎を置くようにされる。オフセットが除去されたデジタル信号は次いでプログラマブル遅延304に印加される。プログラマブル遅延304は、フローサイトメーター内の検出器の間隔に基づいている先入れ先出し(FIFO)レジスタにおいてインプリメントされ得る。特に、複数のレーザーおよび複数の検出器は、連続的にセルを照射し、セルの光学応答を検出するために、フローサイトメーターの長さに沿って分散され得る。フローサイトメーターが始動し、通常のフロー状況下で稼動中である後、それぞれの検出器間の時間遅延は簡単に決められ得る。FIFOは所望の遅延304を提供するものとして用いられ得る。
【0028】
図4は光電子倍増管102からのアナログ出力400の説明である。示されている通り、チャネルのそれぞれは、出力108、110、112によって説明されているように順次遅延された出力を生成する。チャネルのそれぞれからの時間の遅延は、チャネル出力のそれぞれが異なった光電子倍増管の出力を表すということの結果であり、光電子倍増管はフローサイトメーター内でもう一つの光電子倍増管と空間的にずらされている。
【0029】
図5は、別個のチャネルのそれぞれからアナログデジタル回路によって生成されたデジタル化信号402の説明である。
【0030】
図6は、プログラマブル遅延304の出力を構成するチャネルのそれぞれからの信号の集合を表す整列されたデジタル化信号404の説明である。図6に示されている通り、チャネルCの出力と整列させるために、チャネルAはある量だけ遅延されている。同様に、チャネルCの出力と整列させるために、チャネルBもまたある量だけ遅延されている。上記の通り、それぞれのチャネルに対するプログラマブル遅延304はFIFOレジスタ内にインプリメントされ得る。図6で説明する整列されたデジタル化信号404は次いでフィルター306に印加される。フィルター306は、平均化フィルター、有限インパルス応答(FIR)フィルター、またはデジタル化ガウス信号を平滑化して小雑音変動を除去する他の種類のフィルターを含み得る。
【0031】
再び図3Aを参照すると、フィルターされた信号は次いでデジタルゲインコントローラー308に印加される。デジタルゲインコントローラー308は、システムのオペレータまたはシステム自体が品質制御目的である程度、信号を調整することを可能にするオプションのゲインコントローラーであり得る。デジタルゲインコントローラーは、光信号を検知するために用いられ得る様々な光電子倍増管または他の検出器での種々のゲインを補償し得る。デジタルゲインコントローラー308は、チャネルプロセッサのそれぞれに対する信号レベルを調整可能にする。デジタルゲインコントローラー308のデータ出力310は、次いで比較器312、ピーク検出器314、面積検出器/計算器316およびさらなる検出器/計算器318に印加され、さらなる検出器/計算器318はパルス幅の計算を含む他の計算を提供し得る。比較器312は、出力デジタルゲインコントローラー308からのデジタルガウス信号を予め決められた閾値と比較することによってチャネルトリガ320を生成する。チャネルトリガ320は図2で説明されるバッファ/mux230に印加される。ピーク検出器314は、デジタル比較技術を用いてガウス信号のそれぞれのピークをデジタル方式で検出し、それによりピーク出力322を生成する。面積検出器/計算器316は面積出力信号324を生成し、面積出力信号324はガウス曲線下の面積を示す。この計算は標準のデジタル積分技術を用いて行われる。上記に示した通り、さらなる検出器/計算器318はさらなる出力326を生成し、さらなる出力326はピーク出力322、面積出力324またはパルス幅出力(示されていない)に基づく算術計算であり得、パルス幅出力はガウス信号のパルス幅を示す。
【0032】
図3Bは、マルチゲインリニア処理を用いる信号プロセッサ350の単一チャネルを説明する。図3Bに示されている通り、光電子倍増管152は、1のゲインステージ164と128xのゲインを提供するゲイン増幅器166の両方に印加される出力を生成する。どのような所望のゲインも、所望の通り、増幅器回路164、166のどちらかに対して選択され得る。増幅器166によって提供される128xのゲインは、27に等しい2の累乗であり、それにより2の累乗演算を非常に簡単にする。増幅器164の出力は、アナログデジタル変換器168に印加される。同様に、増幅器166の出力はアナログデジタル変換器170に印加される。アナログデジタル変換器168の出力はデジタルベースライン復元(オフセット除去)回路352に印加され、デジタルベースライン復元(オフセット除去)回路352はチャネルプロセッサ206の一部である。同様に、アナログデジタル変換器170の出力はデジタルベースライン復元(オフセット除去)回路354に印加され、デジタルベースライン復元(オフセット除去)回路354はまたチャネルプロセッサ206の一部である。オフセット除去回路352、354は、デジタル信号をゼロベースレベルに調整する。オフセット除去回路352、354の出力はステッチング/選択器回路356に印加される。ステッチング/選択器回路356は2つのゲインステージを一緒にステッチし、光電子倍増管152の出力に対し最良の解像度および最良の精度を提供する信号を選択する。ステッチング/選択器回路356は図8Aに関連してより詳細に述べられている。ステッチング/選択器回路356によって選択される出力信号は先入れ先出し(FIFO)レジスタ358に印加され、先入れ先出し(FIFO)レジスタ358は上記に述べた通り、遅延の選択量を提供し、それにより様々なチャネル出力を整列させる。フィルター370は雑音を除去するためにフィルタリングを提供する。デジタルゲインコントローラー372は、システムのオペレータまたはシステム制御からの入力信号374に応答して作動し、それによりこの特定チャネルへ所望のゲインを提供する。デジタルゲインコントローラー372の出力信号は比較器376、ピーク検出器380、面積計算器384およびさらなる計算器388に印加され、さらなる計算器388はパルス幅計算器および他の計算器を含み得る。イベントウィンドウ信号210はまたこれらのコンポーネントのそれぞれに印加される。比較器376は、データ信号を閾値と比較することによりチャネルトリガ378を生成する。ピーク検出器380はピーク出力382を生成し、一方、面積計算器は面積出力386を生成する。さらなる計算器388は他の出力390を生成する。図3Bに説明される実施形態はそれゆえ、それぞれの光電子倍増管出力に対して2つの異なったゲインを提供し、最高の解像度を有する最も正確な信号を提供する所望の出力を選択する。
【0033】
図8Aはマルチゲインリニア処理を用いた信号プロセッサ800の単一チャネルの実施形態の概要ブロック図であり、比較回路812およびステッチング/選択器回路356を説明する。図8Aに示されている通り、光電子倍増管152は、アナログオフセット制御804に印加される出力を生成する。アナログオフセット制御804は光電子倍増管152からの信号を調整し、それにより光電子倍増管152から受け取られた信号内に存在し得るいずれのオフセットをも除去する。例えば、光電子倍増管152から受け取られた信号は、普通は電流信号であり電流信号は次いで電圧信号に変換される。トランス型インピーダンス回路(示されていない)は電流信号を電圧信号に変換するために用いられ得る。演算増幅器(示されていない)はトランス型インピーダンス回路内で用いられる。演算増幅器は、出力電圧信号内に小さなオフセット電圧を挿入し得る。オフセットはまた、散乱を検出したときにレーザー流出の結果として生じ得るか、または蛍光バックグラウンドマテリアルの結果として生じ得る。これらのオフセットはアナログオフセット制御804によって除去される。アナログオフセット制御804の出力は、アナログデジタル変換器168およびアナログ増幅器166に印加され、アナログ増幅器166は128xのファクターで信号を増幅する。128xのゲインは27に等しい2の累乗であるため、再び128xは図8の実施形態で用いられる。もちろん、所望ゲインの量に依存し、いかなる所望のゲインも増幅器166で使用され得る。他の2の累乗は、図8A中で説明される乗算器回路806内で用いられる乗算処理を単純化するために用いられ得る。アナログ増幅器166からの増幅された信号は、次いでアナログデジタル変換器170に印加され、それによりデジタル化出力信号を生成する。デジタル化された信号は、次いでデジタルベースライン復元回路354に印加され、それによりデジタル信号内で検出されたいずれのオフセットをも除去される。アナログ増幅器166への入力信号内に存在するオフセットはいずれも128xのファクターで乗算される。したがって、小さなオフセットは2桁を超えるオーダーだけ乗算され、デジタルベースライン復元回路354において簡単に検出され得る。オフセットモニタ802はそのようなオフセットを検出し、アナログオフセット制御804に印加されるオフセット制御信号803を生成し、それにより非常に正確な方法でアナログオフセット制御804を調整する。デジタルベースライン復元回路352の出力およびデジタルベースライン復元回路354の出力は両方とも、ステッチング/選択器回路356に印加される。デジタルベースライン復元回路354の出力は可変ゲイン回路808に印加され、可変ゲイン回路808はステッチング/選択器回路356の一部である。デジタルベースライン復元回路352の出力は2進乗算器806に印加され、2進乗算器806もまたステッチング/選択器回路356の一部である。2進乗算器806は単純にデータを左に7桁ずらすことによって、128xのファクターによるデータの乗算に作用する。乗算器806からのデジタル方式で乗算されたデータ信号807は次いで減算器810およびマルチプレクサ834に印加される。
【0034】
また図8Aに示される通り、可変ゲイン回路808は、差分制御信号828にしたがってアナログ増幅器166により乗算された信号のゲインを調整する。可変ゲイン回路808の出力809はまた減算器回路810に印加される。減算器回路810は、アナログ方式で乗算された信号809からデジタル方式で乗算された信号807を減算する。減算器回路810は差分制御信号828を生成し、差分制御信号828は2つの入力信号の差異に比例する。差分制御信号828は加算回路811に印加され、加算回路811はゆっくりと差分制御信号828を調整し、それにより差分制御信号828における急速な変化を妨げ、差分制御信号828は可変ゲイン回路808に印加される。可変ゲイン回路808は信号809を調整し、それにより信号809は信号807と整合する。
【0035】
図8Aはまた比較回路812を開示し、アナログ方式で乗算された信号809の状態が可変ゲイン回路808を調整するのに適切で、かつアナログ方式で乗算された信号809をデジタル方式で乗算された信号807と一緒にステッチさせるとき、比較回路812は比較器制御信号826を生成し、比較器制御信号826は減算器回路810を制御し、かつ減算器回路810に差分制御信号828の生成を可能にする。アナログ方式で乗算された信号809は比較器回路816に印加され、比較器回路816は、(飽和状態に達する前に)アナログ方式で乗算された信号809がアナログ増幅器166の最大振幅の50パーセントより大きい振幅を有しているかどうか判定する。有している場合、出力信号はANDゲート820に印加される。アナログ方式で乗算された信号809はまた、アナログ方式で乗算された信号809がアナログ増幅器166の最大振幅の88パーセントより小さい瞬間振幅を有しているかどうか判定するために比較器回路818に印加される。有している場合、比較器回路818はANDゲート820に印加される信号を生成する。これらの両状態が存在する場合、ANDゲート820は出力信号をANDゲート824に印加する。アナログ方式で乗算された信号809はまた比較器回路822に印加され、比較器回路822はアナログ方式で乗算された信号809の勾配がある予め決定された限度より小さいかどうかを判定する。小さい場合、比較器回路822はANDゲート824に印加される出力を生成する。ANDゲート824への両入力がある場合、比較器制御信号826は生成され、比較器制御信号826は減算器回路810に印加され、それにより必要に応じて差分制御信号828を生成するために減算器回路810を作動させる。
【0036】
図8Aで説明されている比較回路812は3つの比較器回路816、818、822を用いることによって、アナログ方式で増幅された信号809のデジタル化ガウスパルスの振幅および勾配が特定範囲内であることを保証し、それによりデジタル方式で乗算された信号807との妥当な比較をし得る。第1の条件はアナログ方式で乗算された信号809がアナログ増幅器166の増幅限度の50パーセントから88パーセントの範囲にあることである。当然、これらのパーセンテージはシステムの設計者により所望される特定の結果を提供するために変更され得る。この範囲を選択する理由は、オフセット除去により引き起こされる範囲の損失のためにひずみがより高いゲイン領域(例えば、88パーセントより大きい)になり得るので、アナログ方式で乗算された信号809はその増幅される範囲の上半分(50パーセントより大きい)内にあるがアナログ増幅器166の最大ゲインのあるパーセンテージよりも小さいときに、信号807と809とを比較することが望ましいためである。アナログ方式で増幅された信号809がそれらの範囲内にあるとき、ANDゲート820の出力は信号を生成する。加えて、ガウスパルスがそのピークに近く、かつ振幅について比較的速くなく変化しているとき、信号807と809とを比較することは有利である。比較器回路812は、デジタル化ガウスパルス809の変化のレートがある予め決定された限度よりも小さいときにだけ信号を生成し、それによりアナログ方式で増幅された回路809のガウスパルスのピーク近くで比較が発生することを保証する。これらの条件の両方が満たされたとき、ANDゲート824は比較器制御信号826を生成し、それにより減算器810に差分制御信号828を生成させるように信号を送る。
【0037】
また図8Aに示されている通り、可変ゲイン回路808の出力は比較器回路830およびマルチプレクサ834の両方に印加される。信号806はまたマルチプレクサ834に印加される。比較器回路830は、入力信号809と比較器回路830に設定された閾値とを比較し、それにより信号809がアナログ増幅器166により提供される合計ゲインの88パーセントのようなある予め決定された値よりも大きいかどうかを判定する。比較器回路830は信号809がアナログ増幅器166の合計ゲインの88パーセントよりも大きいと判定した場合、選択制御信号832が生成され、選択制御信号832はマルチプレクサ834に印加され、それによりデジタル方式で乗算された信号807をマルチプレクサ834の出力836として選択するようにマルチプレクサ834を制御する。比較器回路830は信号809がアナログ増幅器166の最大出力の88パーセントのようなある予め決定された限度よりも小さいと判定した場合、マルチプレクサ834は入力809を出力836として選択する。ひずみが信号の中に起こり得るので、信号809がアナログ増幅器166の最大出力の88パーセントより大きいレベルに増幅された場合、アナログ方式で増幅された信号809を用いないことが望ましい。信号809がアナログ増幅器166の最大出力の88パーセントのようなある予め決定された限度よりも大きい場合、より少ないひずみがデジタル方式で乗算された信号807内に存在するであろうから、デジタル方式で乗算された信号807が出力836として選択される。
【0038】
図8Bは、マルチゲインリニア処理を用いた信号プロセッサ800の単一チャネルの第2の実施形態の概要ブロック図であり、比較回路812およびステッチング/選択器回路356を説明する。概要的に図8Bに説明される実施形態は、MUX834が加重ゲインステージ移行回路850と取り替えられており、かつ88%比較器回路830が取り除かれることを除いては図8に示されている実施形態と同様である。表記を単純にするため、デジタル方式で乗算された信号807は次の開示においてゲイン001ステージ、ゲイン001信号またはゲイン001データと表され得、アナログ方式で増幅された信号809は次の開示においてゲイン128ステージ、ゲイン128信号またはゲイン128データと表され得る。
【0039】
チャネル1の出力信号としてゲイン001ステージの使用とゲイン128ステージの使用とを切り替えるとき、加重ゲイン移行回路850は円滑な移行を提供する。このように、固定ポイントで直接にゲイン128ステージからゲイン001ステージに移行する代わりに、例えばゲイン128ステージがその最大の88パーセントより大きいとき、両ステージからのデータが円滑にステージを移行するために用いられ得る。ステージが完全一致しない場合、そのような円滑化は起こり得る異常なデータ破壊を減らす。これを達成する一つの方法は、加重ファクターを算定することである。例えば、一つのそのような加重ファクターは、アナログ方式で乗算された信号(ゲイン128ステージ)のデジタル化レベルに基づいて表1にしたがって算定され得る。
【0040】
【表1】
一実施形態において、表1中で提供される加重は、ルックアップテーブルとして適用され得る。メモリを節約するためならびにテーブル長およびテーブル値の点での柔軟性を提供するために、一実施形態において表1中で提供される加重は数式(1)および(2)を用いて算定される。
数式(1) ゲイン128加重=0xE146−ゲイン128データ(ここで、算定されるゲイン128加重は、0≦算定されるゲイン128加重≦4096に限定される)
数式(2) ゲイン001加重=4096−ゲイン128加重
チャネルの加重出力は、次いで数式(3)にしたがって算定され得る。
【0041】
【数1】
表1は、アナログ方式で乗算された信号809(ゲイン128信号)の最大レベルの88%に基づいている。他の比較レベルもまた用いられ得る。例えば、一実施形態において、92%(0xECCC)は比較レベルとして用いられる。そのような一実施形態でゲイン128レベルに対応するテーブル値は、0xECCCから0xDCCCへ1刻みで分布する。数式(1)、(2)および(3)は、それに応じて修正される。
【0042】
図8Cは、加重ゲイン移行回路850の一実施形態の概要ブロック図である。アナログ方式で乗算された信号809(ゲイン128信号)は、減算器852の一つの入力に供給される。減算器852のその他の入力は、値0xE146と連結され、値0xE146は表1に示される通りアナログ方式で乗算された信号809が有し得る最高の有効なレベルである。減算器852の出力はアナログ方式で乗算された信号の加重(ゲイン128加重)である。
【0043】
減算器852の出力は、リミッタ853に提供される。リミッタ853は、減算器852の出力を0≦値≦4096となるような値に制限する。減算器852の出力は、減算器854の一つの入力に供給される。減算器854のその他の入力は、値4096と連結される。減算器854の出力は、デジタル方式で乗算された信号の加重(ゲイン001加重)である。
【0044】
アナログ方式で乗算された信号809およびゲイン128加重は、乗算器856へと入力される。同様に、デジタル方式で乗算された信号807およびゲイン001加重は、乗算器858へと入力される。乗算器856および858の出力は、加算器860へと入力される。加算器860の出力は、除算器回路862へと入力される。除算器回路862は、入力を4096で割る。除算器回路862の出力は、チャネル出力としての加重ゲイン移行回路850の出力である。
【0045】
図9は、図2中に説明されるデータコンソリデーター/シリアライザーの一実施形態の概要ブロック図である。図9に示される通り、それぞれのチャネルからのデータの大きなパラレルストリームは、パラレルレジスタ906に印加される。例えば、チャネルA(108)からのピーク信号382は、パラレルレジスタ906に印加される32ビット長ワードを含み得る。同様に、面積信号386もまた、パラレルレジスタ906に印加される32ビット長ワードであり得る。さらに、チャネルA(108)のパルス幅信号902および他の入力904はまた、パラレルレジスタ906に印加される32ビット長ワードを含み得る。チャネルN(112)を含むチャネルのそれぞれは、パラレルレジスタ906に並列に印加される複数の32ビット長データワードを含み得る。実際のインプリメンテーションでは、データは32ビット長ワードを含み、かつさらなるビットもまた含まれ得、さらなるビットはパラレルレジスタ906の幅を拡大し得る。少なくとも一インプリメンテーションでは、パラレルレジスタ906は512ビット長であり、512ビット長は約15の入力を可能にする。パラレルレジスタ906は次いで、先入れ先出し(FIFO)レジスタ908に印加される出力を生成し、先入れ先出し(FIFO)レジスタ908はさらにデータをバッファに入れる。FIFOレジスタのそれぞれのセクションは32ビット長(または他のビットが含まれている場合は他の幅)であり、かつ64階層の深さであり得る。換言すれば、FIFO908は、イベントデータのバッファリングに64イベントまで提供し得る。FIFO908の出力は、ステートマシン910に印加される512ビット長信号のような大きなパラレル信号である。ステートマシン910は512ビット長データを一連の32ビットワードに編成し、一連の32ビットワードは順次、バスインターフェース224に印加される。バスインターフェースは次いでデータ226をシステムバス128に印加する。一連の順次的な32ビット長ワードは、チャネルA(108)からのデータおよびさらなるチャネルからの同様のデータを全て含む、ピーク信号382、面積信号386、パルス幅信号902および他の計算904を含む一連のデータを含み得る。したがって、システムバス128は、順次的な様式で32ビット長ワードでデータを受け取り、システムバス128上で様々なコンポーネントにこのデータをダウンロードする。
【0046】
本明細書に開示される様々な実施形態は、サンプルベースで、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは特定用途向け集積回路のような処理チップを介してデータをクロック制御することにより、より高いスループットを得る利点を提供する。処理チップ内に含まれる処理ロジックは様々なロジックを提供し、様々なロジックはチップの中にプログラムされて、ソートまたは分析のためにセルを識別するようにされ得、かつ処理ロジックはパラレルアーキテクチャにおいてサンプルベースで処理を行い、パラレルアーキテクチャはデータの高いスループットを提供する。加えて、複数のマルチゲインリニア回路が提供され、その複数のマルチゲインリニア回路は一緒にステッチされフローサイトメーター内のセルの比較的正確な識別を可能にする高いダイナミックレンジをもつ正確なデータおよび高解像度のデータを提供する。
【0047】
発明の前記説明は、例示および解説の目的で示された。網羅的であること、または発明をまさにその開示された態様に限定することは意図されておらず、かつ上記教示に照らし合わせて他の改変および他の変形は可能であり得る。発明の原理および実用的な応用を最良に説明するために実施形態が選択され、かつ説明され、それにより当業者に、様々な実施形態および様々な改良が、意図される特定用途に適するように発明を最良に利用することを可能にする。添付の特許請求の範囲が従来技術で限定される限りを除き発明の他の代替実施形態を含むように解釈されることが、意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高解像度の出力データ信号を生成するシステムであって、
該システムは、
ゲインファクターにより入力データ信号を増幅するアナログ増幅器と、
該増幅された入力データ信号をデジタル化する第1のアナログデジタル変換器と、
該入力データ信号をデジタル化する第2のアナログデジタル変換器と、
該デジタル化された入力信号を増幅するデジタル増幅器と、
該デジタル化され増幅された入力データ信号か該増幅されデジタル化された入力データ信号かを予め決められた基準に基づき出力信号として選択する選択回路と
を含む、システム。
【請求項2】
前記増幅されデジタル化された入力データ信号と前記デジタル化され増幅された入力データ信号とを比較する比較器をさらに含み、
該比較は該デジタル化され増幅された入力データ信号と該増幅されデジタル化された入力データ信号との不一致を無くすために用いられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
オフセットモニタをさらに含み、
該オフセットモニタは前記増幅されデジタル化された入力データ信号内のオフセットをモニタし、該モニタされたオフセットに基づき前記入力データ信号のオフセットを制御する制御信号を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記出力信号は該出力信号の1つ以上の特性を判定するために処理され、
バスによる搬送のためのバスインターフェースユニットへシリアル様式で提供するために該1つ以上の特性を連結する回路をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムはフローサイトメーターにおいて用いられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
粒子の1つ以上の物理的特徴を測定および分析するシステムであって、
該システムは、
光源であって、該光源が該粒子を照射することにより、該粒子が、光信号として該光源による照射に応答して、光を散乱するか、または蛍光する、光源と、
該粒子が該光源を通り過ぎるように流体ストリームにおいて該粒子を移送する流体サブシステムと、
1つ以上のチャネルを含む光学サブシステムであって、該チャネルのそれぞれは、検出された光信号として該光信号をフィルターおよび検出する、光学サブシステムと、
該チャネルのそれぞれに対して、該検出された光信号を受け取りかつ処理する電子サブシステムであって、該検出された光信号のそれぞれをデジタル方式およびアナログ方式の両方で増幅し、該検出された光信号のデジタル方式で増幅されたバージョンと該検出された光信号のアナログ方式で増幅されたバージョンとを比較して、該検出された光信号のデジタル方式で増幅されたバージョンと該検出された光信号のアナログ方式で増幅されたバージョンとをステッチすることにより、該粒子の特性を判定するために処理される出力を生成する電子サブシステムと
を含む、システム。
【請求項7】
前記電子サブシステムが、前記チャネルのそれぞれに対して、
前記検出された光信号を増幅することにより、検出されアナログ方式で増幅された光信号を生成するアナログ増幅器と、
該検出されアナログ方式で増幅された光信号を該検出されアナログ方式で増幅された光信号のデジタルバージョンに変換する第1のアナログデジタル変換器と、
該検出された光信号を該検出された光信号のデジタルバージョンに変換する第2のアナログデジタル変換器と、
該検出された光信号のデジタルバージョンを増幅することにより、検出されデジタル方式で増幅された光信号を生成するデジタル増幅器と、
さらなる処理のために該検出されアナログ方式で増幅された光信号か該検出されデジタル方式で増幅された光信号かのどちらを出力するかを判断する比較器と
を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記電子サブシステムが前記検出されアナログ方式で増幅された光信号のレベルを制御する可変ゲイン回路を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記検出されアナログ方式で増幅された光信号と前記検出されデジタル方式で増幅された光信号との比較が前記可変ゲイン回路のゲインを制御するために用いられる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記検出されアナログ方式で増幅された光信号と前記検出されデジタル方式で増幅された光信号との比較を行い、減算器出力を生成する減算器と、
該減算器出力を積分して、積分された減算器出力を生成する積分器であって、該積分された減算器出力は、前記可変ゲイン回路に入力されて、該可変ゲイン回路のゲインを制御する、積分器と
をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記電子サブシステムが、サンプルベースで、並列に前記検出された光信号を処理する、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムはフローサイトメーターにおいて用いられる、請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
広範囲の振幅を有する入力データを処理する方法であって、
該方法は、
予め決められたゲインファクターを用いて該入力データを増幅することにより、増幅された入力データを生成することと、
該増幅された入力データをデジタル化することにより、増幅されデジタル化された入力データを生成することと、
該入力データをデジタル化することにより、デジタル化された入力データを生成することと、
該デジタル化された入力データに、該予め決められたゲインファクターと同じ量を乗算することにより、デジタル化され乗算された入力データを生成することと、
該増幅されデジタル化された入力データと該デジタル化され乗算された入力データとを比較することにより、該増幅されデジタル化された入力データと該デジタル化され乗算された入力データとの不一致を無くすことと、
予め決められた基準に基づき、該増幅されデジタル化された入力データか該デジタル化され乗算された入力データかを選択することにより、高解像度の出力データを生成することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記増幅されデジタル化された入力データの信号内のオフセットをモニタすることと、
該モニタされたオフセットに基づき前記入力データの信号のオフセットを制御することと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
出力信号は該出力信号の1つ以上の特性を判定するために処理され、
該1つ以上の特性を連結することと、
バスによる搬送のためのバスインターフェースユニットへ該連結された1つ以上の特性を提供することと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
フローサイトメーターの複数のデータチャネルからのデータを処理する方法であって、
該方法は、
該データをデジタル化することにより、デジタル化されたデータの複数のチャネルを生成することと、
該デジタル化されたデータの複数のチャネルをプロセッサ内で並列に処理することと
を含み、該プロセッサは、
該デジタル化されたデータの複数のチャネルのうちのデジタル化されたデータの選択された個々のチャネルを、複数の選択された時間遅延だけ遅延させることにより、該デジタル化されたデータの複数のチャネルを時間的に整列させることと、
該デジタル化されたデータの複数のチャネルと閾値を比較することによって、該デジタル化されたデータの複数のチャネルからチャネルトリガを生成することと、
該チャネルトリガのサブセットを選択することにより、イベントウィンドウ信号の生成を促進することと、
該プロセッサ内のプログラマブルロジックを用いることにより、該イベントウィンドウ信号の生成をさらに促進することと、
該デジタル化されたデータの複数のチャネルから、デジタル化されたデータ出力信号を生成することと、
該イベントウィンドウ信号を用いて、該デジタル化されたデータ出力信号を選択することと
を行う、方法。
【請求項17】
前記プログラマブルロジックはルックアップテーブルを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数の入力データ信号を同時に処理することにより高いデータスループットを提供する電子制御システムであって、
該システムは、
該複数の入力データ信号をデジタル化し、これにより複数の2進数の入力データ信号を生成する複数のアナログデジタル変換器と、
該2進数の入力データ信号を同時に処理するプロセッサと
を含み、該プロセッサは、
該2進数の入力データ信号を時間的に整列させる複数の遅延回路と、
該2進数の入力データ信号と予め決められた閾値とを比較することにより、チャネルトリガを生成する複数の比較器回路と、
該2進数の入力データ信号から2進数の出力データ信号を生成する検出器回路と、
該チャネルトリガおよびプログラマブルロジックを用いることにより、該2進数の出力データ信号のサブセットを選択するイベントウィンドウ信号を生成するイベントウィンドウジェネレータと
を含む、システム。
【請求項19】
前記プログラマブルロジックはルックアップテーブルを含む、請求項18に記載の電子制御システム。
【請求項20】
電子フローシステムはフローサイトメーターにおいて用いられる、請求項18に記載の電子制御システム。
【請求項21】
粒子を照射する光源と、
検出された光信号として、該照射された粒子により散乱された光、または該照射された粒子からの蛍光を検出する1つ以上の光検出器と、
該検出された光信号を増幅するアナログ増幅器と、
該検出され増幅された光信号をデジタル化することにより、第1の増幅されデジタル化された信号を生成する第1のアナログデジタル変換器と、
該検出された光信号をデジタル化することにより、検出されデジタル化された光信号を生成する第2のアナログデジタル変換器と、
該検出されデジタル化された光信号を増幅することにより、第2のデジタル化され増幅された信号を生成するデジタル増幅器と、
該第1の増幅されデジタル化された信号と該第2のデジタル化され増幅された信号とを組み合わせることにより、出力信号を生成するステッチング回路であって、該出力信号は該粒子の1つ以上の特性を得ることに用いられる、ステッチング回路と
を含む、フローサイトメーター。
【請求項22】
第1の増幅されデジタル化された信号に関連したオフセットを判定するオフセット回路をさらに含み、前記検出された光信号が前記アナログ増幅器で増幅される前または前記第2のアナログデジタル変換器でデジタル化される前に、該判定されたオフセットが該検出された光信号を調整することに用いられる、請求項21に記載のフローサイトメーター。
【請求項23】
前記ステッチング回路は、前記第1の増幅されデジタル化された信号に適用される第1のファクター、および前記第2のデジタル化され増幅された信号に適用される第2のファクターを決定し、前記出力信号として、加重された第1の増幅された信号と加重された第2の増幅された信号を加算する、請求項21に記載のフローサイトメーター。
【請求項24】
前記第1および第2のファクターは、メモリに記憶されたテーブルを参照することにより得られる、請求項23に記載のフローサイトメーター。
【請求項25】
前記第1および第2のファクターは、数式を計算することにより得られる、請求項23に記載のフローサイトメーター。
【請求項26】
前記第1の増幅されたデジタル信号と前記第2の増幅されたデジタル信号とを比較する比較回路をさらに含み、
該比較は、該第1の増幅されたデジタル信号と該第2の増幅されたデジタル信号とを一致させるためのゲイン回路への入力として用いられる、請求項21に記載のフローサイトメーター。
【請求項27】
前記比較回路は減算器である、請求項26に記載のフローサイトメーター。
【請求項1】
高解像度の出力データ信号を生成するシステムであって、
該システムは、
ゲインファクターにより入力データ信号を増幅するアナログ増幅器と、
該増幅された入力データ信号をデジタル化する第1のアナログデジタル変換器と、
該入力データ信号をデジタル化する第2のアナログデジタル変換器と、
該デジタル化された入力信号を増幅するデジタル増幅器と、
該デジタル化され増幅された入力データ信号か該増幅されデジタル化された入力データ信号かを予め決められた基準に基づき出力信号として選択する選択回路と
を含む、システム。
【請求項2】
前記増幅されデジタル化された入力データ信号と前記デジタル化され増幅された入力データ信号とを比較する比較器をさらに含み、
該比較は該デジタル化され増幅された入力データ信号と該増幅されデジタル化された入力データ信号との不一致を無くすために用いられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
オフセットモニタをさらに含み、
該オフセットモニタは前記増幅されデジタル化された入力データ信号内のオフセットをモニタし、該モニタされたオフセットに基づき前記入力データ信号のオフセットを制御する制御信号を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記出力信号は該出力信号の1つ以上の特性を判定するために処理され、
バスによる搬送のためのバスインターフェースユニットへシリアル様式で提供するために該1つ以上の特性を連結する回路をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムはフローサイトメーターにおいて用いられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
粒子の1つ以上の物理的特徴を測定および分析するシステムであって、
該システムは、
光源であって、該光源が該粒子を照射することにより、該粒子が、光信号として該光源による照射に応答して、光を散乱するか、または蛍光する、光源と、
該粒子が該光源を通り過ぎるように流体ストリームにおいて該粒子を移送する流体サブシステムと、
1つ以上のチャネルを含む光学サブシステムであって、該チャネルのそれぞれは、検出された光信号として該光信号をフィルターおよび検出する、光学サブシステムと、
該チャネルのそれぞれに対して、該検出された光信号を受け取りかつ処理する電子サブシステムであって、該検出された光信号のそれぞれをデジタル方式およびアナログ方式の両方で増幅し、該検出された光信号のデジタル方式で増幅されたバージョンと該検出された光信号のアナログ方式で増幅されたバージョンとを比較して、該検出された光信号のデジタル方式で増幅されたバージョンと該検出された光信号のアナログ方式で増幅されたバージョンとをステッチすることにより、該粒子の特性を判定するために処理される出力を生成する電子サブシステムと
を含む、システム。
【請求項7】
前記電子サブシステムが、前記チャネルのそれぞれに対して、
前記検出された光信号を増幅することにより、検出されアナログ方式で増幅された光信号を生成するアナログ増幅器と、
該検出されアナログ方式で増幅された光信号を該検出されアナログ方式で増幅された光信号のデジタルバージョンに変換する第1のアナログデジタル変換器と、
該検出された光信号を該検出された光信号のデジタルバージョンに変換する第2のアナログデジタル変換器と、
該検出された光信号のデジタルバージョンを増幅することにより、検出されデジタル方式で増幅された光信号を生成するデジタル増幅器と、
さらなる処理のために該検出されアナログ方式で増幅された光信号か該検出されデジタル方式で増幅された光信号かのどちらを出力するかを判断する比較器と
を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記電子サブシステムが前記検出されアナログ方式で増幅された光信号のレベルを制御する可変ゲイン回路を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記検出されアナログ方式で増幅された光信号と前記検出されデジタル方式で増幅された光信号との比較が前記可変ゲイン回路のゲインを制御するために用いられる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記検出されアナログ方式で増幅された光信号と前記検出されデジタル方式で増幅された光信号との比較を行い、減算器出力を生成する減算器と、
該減算器出力を積分して、積分された減算器出力を生成する積分器であって、該積分された減算器出力は、前記可変ゲイン回路に入力されて、該可変ゲイン回路のゲインを制御する、積分器と
をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記電子サブシステムが、サンプルベースで、並列に前記検出された光信号を処理する、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムはフローサイトメーターにおいて用いられる、請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
広範囲の振幅を有する入力データを処理する方法であって、
該方法は、
予め決められたゲインファクターを用いて該入力データを増幅することにより、増幅された入力データを生成することと、
該増幅された入力データをデジタル化することにより、増幅されデジタル化された入力データを生成することと、
該入力データをデジタル化することにより、デジタル化された入力データを生成することと、
該デジタル化された入力データに、該予め決められたゲインファクターと同じ量を乗算することにより、デジタル化され乗算された入力データを生成することと、
該増幅されデジタル化された入力データと該デジタル化され乗算された入力データとを比較することにより、該増幅されデジタル化された入力データと該デジタル化され乗算された入力データとの不一致を無くすことと、
予め決められた基準に基づき、該増幅されデジタル化された入力データか該デジタル化され乗算された入力データかを選択することにより、高解像度の出力データを生成することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記増幅されデジタル化された入力データの信号内のオフセットをモニタすることと、
該モニタされたオフセットに基づき前記入力データの信号のオフセットを制御することと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
出力信号は該出力信号の1つ以上の特性を判定するために処理され、
該1つ以上の特性を連結することと、
バスによる搬送のためのバスインターフェースユニットへ該連結された1つ以上の特性を提供することと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
フローサイトメーターの複数のデータチャネルからのデータを処理する方法であって、
該方法は、
該データをデジタル化することにより、デジタル化されたデータの複数のチャネルを生成することと、
該デジタル化されたデータの複数のチャネルをプロセッサ内で並列に処理することと
を含み、該プロセッサは、
該デジタル化されたデータの複数のチャネルのうちのデジタル化されたデータの選択された個々のチャネルを、複数の選択された時間遅延だけ遅延させることにより、該デジタル化されたデータの複数のチャネルを時間的に整列させることと、
該デジタル化されたデータの複数のチャネルと閾値を比較することによって、該デジタル化されたデータの複数のチャネルからチャネルトリガを生成することと、
該チャネルトリガのサブセットを選択することにより、イベントウィンドウ信号の生成を促進することと、
該プロセッサ内のプログラマブルロジックを用いることにより、該イベントウィンドウ信号の生成をさらに促進することと、
該デジタル化されたデータの複数のチャネルから、デジタル化されたデータ出力信号を生成することと、
該イベントウィンドウ信号を用いて、該デジタル化されたデータ出力信号を選択することと
を行う、方法。
【請求項17】
前記プログラマブルロジックはルックアップテーブルを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数の入力データ信号を同時に処理することにより高いデータスループットを提供する電子制御システムであって、
該システムは、
該複数の入力データ信号をデジタル化し、これにより複数の2進数の入力データ信号を生成する複数のアナログデジタル変換器と、
該2進数の入力データ信号を同時に処理するプロセッサと
を含み、該プロセッサは、
該2進数の入力データ信号を時間的に整列させる複数の遅延回路と、
該2進数の入力データ信号と予め決められた閾値とを比較することにより、チャネルトリガを生成する複数の比較器回路と、
該2進数の入力データ信号から2進数の出力データ信号を生成する検出器回路と、
該チャネルトリガおよびプログラマブルロジックを用いることにより、該2進数の出力データ信号のサブセットを選択するイベントウィンドウ信号を生成するイベントウィンドウジェネレータと
を含む、システム。
【請求項19】
前記プログラマブルロジックはルックアップテーブルを含む、請求項18に記載の電子制御システム。
【請求項20】
電子フローシステムはフローサイトメーターにおいて用いられる、請求項18に記載の電子制御システム。
【請求項21】
粒子を照射する光源と、
検出された光信号として、該照射された粒子により散乱された光、または該照射された粒子からの蛍光を検出する1つ以上の光検出器と、
該検出された光信号を増幅するアナログ増幅器と、
該検出され増幅された光信号をデジタル化することにより、第1の増幅されデジタル化された信号を生成する第1のアナログデジタル変換器と、
該検出された光信号をデジタル化することにより、検出されデジタル化された光信号を生成する第2のアナログデジタル変換器と、
該検出されデジタル化された光信号を増幅することにより、第2のデジタル化され増幅された信号を生成するデジタル増幅器と、
該第1の増幅されデジタル化された信号と該第2のデジタル化され増幅された信号とを組み合わせることにより、出力信号を生成するステッチング回路であって、該出力信号は該粒子の1つ以上の特性を得ることに用いられる、ステッチング回路と
を含む、フローサイトメーター。
【請求項22】
第1の増幅されデジタル化された信号に関連したオフセットを判定するオフセット回路をさらに含み、前記検出された光信号が前記アナログ増幅器で増幅される前または前記第2のアナログデジタル変換器でデジタル化される前に、該判定されたオフセットが該検出された光信号を調整することに用いられる、請求項21に記載のフローサイトメーター。
【請求項23】
前記ステッチング回路は、前記第1の増幅されデジタル化された信号に適用される第1のファクター、および前記第2のデジタル化され増幅された信号に適用される第2のファクターを決定し、前記出力信号として、加重された第1の増幅された信号と加重された第2の増幅された信号を加算する、請求項21に記載のフローサイトメーター。
【請求項24】
前記第1および第2のファクターは、メモリに記憶されたテーブルを参照することにより得られる、請求項23に記載のフローサイトメーター。
【請求項25】
前記第1および第2のファクターは、数式を計算することにより得られる、請求項23に記載のフローサイトメーター。
【請求項26】
前記第1の増幅されたデジタル信号と前記第2の増幅されたデジタル信号とを比較する比較回路をさらに含み、
該比較は、該第1の増幅されたデジタル信号と該第2の増幅されたデジタル信号とを一致させるためのゲイン回路への入力として用いられる、請求項21に記載のフローサイトメーター。
【請求項27】
前記比較回路は減算器である、請求項26に記載のフローサイトメーター。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【公表番号】特表2010−522328(P2010−522328A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554584(P2009−554584)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/003730
【国際公開番号】WO2008/118353
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(510005889)ベックマン・コールター・インコーポレーテッド (174)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/003730
【国際公開番号】WO2008/118353
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(510005889)ベックマン・コールター・インコーポレーテッド (174)
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