フローセル
【課題】従来の単一パス装置内で使用可能な、複数パスを有するフローセルを提供する。
【解決手段】フローセル16は、試料を受け入れるチャンバ26を備える。チャンバ26内には、光透明管28が配置される。光透明管28の存在により、チャンバ26内には、第一の光路30と、それよりも短い第二の光路32とが形成される。光源12から第一の光路30および第二の光路32に入った光は、単一の検出器20によって受けられる。
【解決手段】フローセル16は、試料を受け入れるチャンバ26を備える。チャンバ26内には、光透明管28が配置される。光透明管28の存在により、チャンバ26内には、第一の光路30と、それよりも短い第二の光路32とが形成される。光源12から第一の光路30および第二の光路32に入った光は、単一の検出器20によって受けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフィ計測装置、より具体的には、多数の経路長さフローセルを許容する吸収度検出器用の方法及び装置に関する。
【発明の背景】
【0002】
吸収度検出器は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)にて有用である。広帯域スペクトル又は帯域幅制限光は試料を通して指向され、次に、光検出器のような検出器によって、選んだ分析波長にて測定される。従来の計測装置において、光は、試料を通して一定の距離(パス長さ)を進む。計測装置の光検出器の信号は、分析液試料の濃度が0のとき(I0)で且つ分析液が存在するとき(I)と測定される。絶対単位a.u.で表わした無次元の数である吸収度(A)は、log(I0/I)から計算され且つ計測装置の出力として表示される。吸収度はパス長さ(b)と濃度(c)との積に比例する。−ベールの法則(Beer‘s Low)。既知の分析液の濃度を使用し較正実験によって比例定数を求め、これにより、未知の濃度を測定することが可能とされる。
【0003】
パス長さをcm及び濃度をモル/Lにて表わすならば、比例定数は、cm−1(モル/L)−1の単位のモル吸収率(ε)と称される。
εは任意の分析物質の波長と共に変化するため、計測装置は、モノクロメータ、フィルタ、ダイオードアレースペクトログラフ、又は、赤外線の場合、フーリエ変換干渉計を備えており、このため特定の波長の吸収度が測定される。
【0004】
かかる計測装置にて測定可能である分析物質の濃度範囲は、制限される。下限値にて、検知可能な最小の吸収度の変化は、波長毎に且つ計測装置毎に相違する値である、吸収度出力に対する基準ノイズによって設定される。HPLC用に十分に設計されたUV吸収度検出器は、10乃至20μ.a.uの範囲の吸収度の変化を検出することができる。吸収度と濃度との間の関係が顕著に非線形となるとき、濃度測定の上限値となる。これは、通常、吸収度が1乃至2a.uを越えるときに生じる。吸収度の上限は、通常、迷光又はスペクトルの分離が不十分な結果である。吸収度の上限は、波長と共に且つ計測装置毎に相違し、溶媒又はHPLC移動相が吸収する場合、低下する。
【0005】
本明細書にて使用する分析物質の濃度範囲は、最大濃度値と最小濃度値との比として規定される。上記のことのため、この値は、約5段階の大きさに制限される。1%まで定量化することを目標とするならば、分析物質の濃度範囲(成分の内、比較可能なモル吸収度を想定)は、3つの範囲を越えることはできない。その結果、主要成分及び試料混合体中の微量な不純物を定量化するためには、異なる試料を注入するときに、HPLCを1回以上、作動させなければならない。
【0006】
ベールの法則は、セルのパス長さが長くなるならば、より低濃度を検出することができ、また、パス長さが短くなるならば、より高濃度は線形の吸収度範囲となることを示す。しかし、パス長さが変化するこ自体が濃度範囲を拡大したり狭くすることはない。
【0007】
更に、セル検出器の設計は、利用可能な構成要素(光源、光検出器等)の物理学によって課される制約、クロマトグラフィの分離能を保つのに必要なセル容積の制約、スペクトル範囲及び分離能の市場における要求によって、課される制限に対して厳密である。物理学によって課された値を越える外部のノイズ源が存在しない検出器及びクロマトグラフィ装置を構成することは既に挑戦すべき課題となっている。設計の改良によって理論上のノイズを少なくすることができる場合でも、実際には、そのような著しく低ノイズを実現することはできない。
【0008】
長いパス長さの光案内フローセルは、所定の基準ノイズにおける濃度の感度を向上させる方途を提供する。しかし、残念なことに、検出器の線形の吸収度範囲により課される濃度の上限は、同程度だけ低下し、このため、濃度範囲は同一のままである。以前に説明したように、移動相が吸収するならば、濃度範囲は、実際には、より長いセルにてより狭い。
【0009】
濃度範囲が広いことは検出器の極めて重要な特性である。この特性は、主要な成分及び微量な不純物(薬を調合する場合のような)を一回の注入にて定量化することを可能にする。解析スケールの分離のこの適用例において、検出下限極限値を求める場合よりも、より多数回の試料の注入を行う、広い濃度範囲の場合の方がより有用である。
【0010】
濃度を広範囲に測定するため二重パス長さを提供することは試みられてはいるが、その成功の程は相違する。米国特許第5,214,593号(マグナッセン(Magnussen))には、少なくとも2つの光ビーム及び少なくとも2つの光検出器を利用して、多数パス長さのフローセルを使用する方法が開示されている。標準長さの試料を透過する光は、試料のフォトダイオードに衝突し、また、(より短い)基準セルを透過する光は、基準フォトダイオードに衝突する。試料の濃度が低いとき、検出器は、従来の二重ビーム計測装置と同様に振舞い、基準フォトダイオード信号には試料に起因する変化は殆ど生じない。高濃度のとき、試料のフォトダイオード信号は0まで低下し、計測装置の基準ビームは、単一ビーム検出器のように振舞う。信号処理用のエレクトロニクスがその濃度範囲に適したフォトダイオードの出力を選ぶ。パス長さの各々は、それ自体の光ビーム及び検出器を有する。2つの検出器が信号を発生させ、その信号は別個に処理し且つその後に組み合わせる。このためには、装置に高価な冗長機能を持たせることを必要とし、このため、フォトダイオードアレー検出器を使用して具体化することは特にコスト高となる。
【0011】
実際には、マグナッセンの図1、図2及び図3に示すように、3つの検出器を使用し、第三の検出器が基準器として機能するようにすることが好ましい。このことは装置のコストを著しく増大させることになる。
【0012】
更に、マグナッセンは、特に、装置を多数パス長さフローセルの分析を行い得る設計とすることを必要とする。この計測装置は、多数の光ビーム、多数の光検出器及び検出器の信号を処理するための多数のチャネルを有する構造としなければならない。マグナッセンが教示する実施の形態は、既存の単一パス長さ装置にて使用することはできない。
【0013】
米国特許第4,120,592号(フレミング(Flemming))には、多重光分析装置が開示されている。この装置は、単一の光源及び検出器にて多数パス長さを使用する。光ビームは、フレミングの図1に図示するように、光スペクトルフィルタホイール及びスペクトル感知ビームスプリッタの作用により、一回に1つのセルパス長さのみを透過する。このように、フレミングの装置は、一回に1つのパス長さしか測定できないから、試料を分析するための更なる時間が必要となる。また、マグナッセンの装置と同様に、フレミングの装置は、多数パス長さフローセル分析を行うためには特殊な設計の装置を必要とする。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、異なる試料パス長さからの光が組み合わされ且つ同一の光検出器に衝突する、二重又は多数パス長さフローセルを提供するものである。この実施の形態は、従来通り、単一のセル及び単一のフォトダイオードアレーのみを備えるフォトダイオードアレー検出器と共に使用することができる。
【0015】
本発明の二重パス長さの実施の形態によれば、光の一部分が長いパス長さに亙って進み且つ光の残りが遥かにより短いパス長さに亙って進むフローセルが提供される。フローセルに入る光は、2つのパスの間にて分割され、次に、光検出器まで進むように再度組み合わされる。二重パスフローセルは、原理上、スペクトル計又は検出器内にて単一のパスセルに置換する。分析物質の濃度が低いとき、セルの長いパス部分における光透過率の変化が、濃度の僅かな変化を感知する。較正曲線のA対cの勾配は、この領域内で大となる。高濃度のとき、長いパスは不透明となり、検出器の応答性は、その短いパス内の光に依存する。勾配A対cは、パス長さに比例し、従って、パス長さが大部分、短いとき、遥かに小さくなる。中間濃度のとき、勾配はこれら2つの領域の間で変化する。
【0016】
A対cの全体的な曲線は非線形であるため、遥かにより広い濃度は、検出器の制限された吸収度範囲に属する。計測装置の応答性対特定の分析物質の濃度が一度び特定されたならば、定量分析のためにその計測装置を使用することができる。2つのパスの長さの比は、100対1程度と極めて大きくすることができる。以下に詳細に説明する、試料の濃度を計算するためのアルゴリズムの形態以外、本発明による二重パス長さフローセルを使用する検出器又はスペクトル計の作動に関して何ら変更はない。本発明による着想は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)用の吸収度検出器に関係しているが、ベンチトップスペクトル光計測器にも等しく適用可能である。
【0017】
本発明の特徴は、少なくとも2つの異なる試料のパス長さに亙って進んだ光を組み合わせることにより、吸収度検出器にて測定可能である、分析物質の濃度範囲を拡げる多数パスフローセルを提供することを含む。種々の長さの多数パスの各々を通って進んだ光を受け取るため単一の検出器が使用される点にて、該当する装置の数量及びコストは、本発明に従って最小とされる。
【0018】
本発明は、従来の単一パス装置内で多数パスフローセルを使用することを可能にし、これにより現在の装置の能力を拡張するものである。
本発明の上記及びその他の特徴並びに有利な点は、添付図面と共に、一例としての実施の形態に関する以下の詳細な説明からより完全に理解されよう。
【詳細な説明】
【0019】
本発明による二重パス長さ測定装置10の概念的な外形図が図1に図示されている。光源12は、フローセル16内に透過し且つ該フローセル16を通って誘う光ビーム14を提供する。光源12は、重水素ランプを含む、適正なスペクトル及び帯域幅の光を提供する任意の光源である。光源12はまた、収束レンズ及び反射器(図示せず)を含むこともできる。
【0020】
光ビーム14がフローセル16に入射すると、該光ビームはチャンバ26内で試料を亙って進む。試料は入口22及び出口24を通ってフローセル内に流れる。フローセル16を透過した後、光ビーム18は、ケイ素フォトダイオード又はフォトダイオードアレーのような種々の型式の光検出器を含む検出器20により検出及び測定が行われる。フォトダイオードアレー検出器の場合、組み合わさった光18は、フォトダイオードアレーに達する前にその波長が分散される。一例としての検出器は、マサチューセッツ州、ミルフォードのウォーターズコーポレーション(Waters Corp.)が製造する996フォトダイオードアレー検出器である。フローセル16を透過した光ビーム18の全ては、同一の検出器20により検出され、該検出器は、チャンバ26内の試料により影響を受けた光を表示する出力信号を発生させる。
【0021】
フローセル16は、試料を全く導入しないが、光の透過を許容する部分28により仕切られている。このフローセルは、光が縦断するための2つのパス長さ、すなわち、参照番号32で示した短いパス長さ及び参照番号30で示した長いパス長さを形成する。該部分28は、中実な透明材料とし又はガスを保持し或いは真空とすることも可能である。
【0022】
長いパス30の幅34は、長いパス30対短いパス32の上でチャンバ26内で試料を透過する光の量を決定し得るように選ばれる。この比の選択に関しては以下に説明する。
本発明によるフローセル16の一例としての実施の形態が図2Aに図示されている。このフローセル16は、通常、単一パス長さを有する従来のフローセルの形態をとり、これにより、既存のHPLC装置が多数パス長さ分析を行うことを許容する、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)装置内に挿入することができる。実際上、このフローセル16は、本発明に従って改変された通常の単一パスフローセルとすることができる。
【0023】
フローセル16は、外壁17と、2つの透明な端部分38、40とを有する円筒状の形状をしている。外壁は試料チャンバ26を画成する厚さを有する。フローセルの外壁17の内面は、テフロン(登録商標)AFで被覆され又はテフロン(登録商標)AF管にてライニングされており、光の案内通路を形成する。試料チャンバ26はその内部に管28が配置されており、この管28は、試料チャンバの内部の試料から管まで進むことなく、光が透過することを許容する。外壁17内に挿入された管28は、図3A及び図3Bにより詳細に図示されている。好ましくは、管28は、溶融二酸化ケイ素毛管であることが好ましいが、任意の光透過性の中実な材料を使用することができる。
【0024】
管28の内面19は、その光案内の性質を有することが知られたテフロン(登録商標)AFが被覆され、このため、試料チャンバ(ボア)26に入射する光はこのボアに効果的に封じ込められる。このように、ボア26を貫通するパス及び管28の壁を貫通する第二のパスという2つの光パスが形成される。光は、図2に図示するように、第一及び第二のフローパス内でフローセルを通って進む間に分離される。
【0025】
これと代替的に、管28を被覆しなくてもよい。この場合、光は、試料を通るより複雑なパス又は複数のパスに従って進む。管28の端部に入射した光は、短いパスを縦断し且つチャンバ26内の試料の屈折率よりも管28の屈折率の方が大きいため、管28内を通って端部に案内される。多分僅かな光の一部分が、管28が試料に接触する箇所である、内側反射点にて減衰された全反射により試料に吸収される。この効果は、短いパスの有効なパス長さに僅かに追加されるものである。他方、最初に長いパスに入射した光線の一部は、管28の内部ボアを照射する。これら光線の一部分は屈折されて管28の二酸化ケイ素の壁に入り、長いパスの液体内に再入射する前に、二酸化ケイ素内で多少の時間を費やす。このため、これら光線は、長いパスと短いパスとの中間である、液体を貫通するパスに沿って進む。試料の濃度変化に対するかかるセルの応答性は、一連の較正試料を使用して確立することができる。
【0026】
一例として、2つのパス長さよりも長い多数のパス長さを有する実施の形態において、図2Bに図示するような構造体(図2Aに図示したものと実質的に同様)は、上記に詳細に説明するように、光を案内し且つ長さの異なる2つの別個のフローセルを形成する構造とされている。この例において、上方光線は長いパス長さに入射し且つ縦断する一方、下方光線は、短いパスを経て進む。かかる実施の形態において、多数光パスは、セルを通って進む間に合体し、長さの異なるパス内でセルを亙って進む分岐光線の幾何学的経過状態を発生させる。
【0027】
管28の内側におけるテフロン(登録商標)AFのような低屈折率被覆は、管28に入射する光線が長いパス長さに入射するのを実質的に防止する。管28の壁に入射した短いパス長さの光は、フローセル本体の外壁17の内面に何らかの被覆が存在するか否かに関係なく、管壁内を案内される。このように、多数パス長さは、フローセルの外壁の内面に光案内材料を提供せずに、管の内側に配置された光案内材料により同様に形成される。
【0028】
管28が被覆されていない場合、別の選択的な方途は、テーパー付きビーム又は逆テーパー付きビーム技術(その内容を参考として引用し本明細書に含めた、米国特許第5,153,679号に記載されたような技術)を使用し、長いパス内の光を流体を充填したボアに封じ込めることである。テーパー付きビームを形成する光学素子は、ウォーターズ(Waters)2487二重波長同調可能なUV可視吸収度検出器に組み込まれており、また、逆テーパー付きビームを形成する光学素子は、ウォーターズ996フォトダイオードアレー検出器に組み込まれている。このようなHPLC検出器のフローセルは、セルのボア内に挿入された簡単で被覆無しの光透過管を使用して、本発明の二重パス長さセルとなるように改変することができる。従来の解析スケールのHPLCセルよりも長いパス長さ及び小さい容積を有する本発明のセルは、フローセルチャンバを使用する一層優れた構造とされており、このフローセルのチャンバの内壁は、テフロン(登録商標)AFでライニングされている(本発明の譲受人が所有し且つその内容を参考として引用し、本明細書に含めた米国特許第5,184,192号に記載されているように)。このことは、光の処理量を大きく保つことを許容する。
【0029】
製造を容易にするためには、管28(図3A及び図3Bに図示)は、セルの端部窓部40まで伸びないようにする必要がある(図2Aに最も良く図示)。このことは、流出ポート24が塞がれるのを防止する。このため、管28は中実管とすることができる一方、流入ポート22及び流出ポート24は適正に機能する。フローセル本体、入口ポート及び出口ポートは、316ステンレス鋼又はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)のような材料にて形成することができる。平坦とし又は湾曲させることのできる端窓部は、一例としての実施の形態において、溶融二酸化ケイ素にて作られる。この一例としての実施の形態における管28の寸法は、内径(ID)約1mm、外径(OD)約2mmとすることを含む。一例としての管28は、長さ約10乃至20mmの長いパス30及び約0.2mmの短いパス32を提供し得るような寸法とされている。実際上の目的のため、長いパス対短いパスの比の範囲は、50対1乃至100対1にて実施することができるが、2対1乃至1000対1のようなより極端な範囲とすることさえも可能である。著しく相違する寸法のセルは、例えば、準備的なものからマイクロボアクロマトグラフィの範囲に亙る用途に合うようにすることができる。
【0030】
本発明による1つの代替的な実施の形態が図4に図示されている。この場合、光は光ファイバ(FO)ケーブルにより二重パス40a、40bに沿って2つの別個のフローセル16、16´内に向けられ、その後、光は再度組み合わされて検出器20に達する単一パス42となる。2つのフローセル16、16´は、双方のフローセル(図示せず)に対し試料の濃度を提供する配管を含んでいる。ミラー、半銀被覆ミラー、プリズム、ビームスプリッタ等を含む、光をパス40に沿って分割し、案内し且つ再度組み合わせるその他の技術を使用することができる。
【0031】
本発明による二重パスセルの吸収特徴について図5を参照しつつ説明する。二重パスの説明をする前に、最初に、単一パスセルの場合について説明する。
単一パスセルの場合、吸収度は次式で求められる。
(等式1)
【0032】
【数1】
【0033】
(等式2)
【0034】
【数2】
【0035】
ここでαは吸収係数、bはパス長さ、cはモル/リットル(M/L)で表わす分析物質の濃度、εはcm−1(M/L)−1で表わすモル吸収率である。
移動相が透明であるならば、分析物質が存在しないときの光検出器の信号はI0となる。移動相が吸収するならば、信号はImとなる。長さbの単一パスセルにおいて、移動相の吸収度及び透過率は次式のようになる。
(等式3)
【0036】
【数3】
【0037】
標準的な方法は、セル内の純粋な移動相に対し検出器の吸収出力を0に設定する。分析物質の濃度の透過率cはI/Imである。I及びImの双方は移動相の吸収により減少し、次式のようになる。
(等式4)
【0038】
【数4】
【0039】
これら値を組み合わせて試料の透過率及び吸収度を求める。
(等式5)
【0040】
【数5】
【0041】
(等式6)
【0042】
【数6】
【0043】
Amを0と仮定
移動相の吸収は、A対cの較正曲線勾配に影響しない。しかし、Amが0以外の値であるならば、信号は減衰し、これにより、吸収度ノイズが増し又はこれは低濃度の感度を低下させる。
【0044】
次に、迷光の項を追加する。セル内に吸収性の移動相又は試料が存在するか否かに関係なく、迷光は、光検出器の信号に追加される。言い換えれば、迷光は、吸収されない波長であると想定する。特定の分析波長の測定に利用可能な光の一部として考えられる迷光の寄与はk・I0である。このkの値は、分析波長に伴って変化する。分析物質の透過率及び吸収度は次の通りである。
(等式7)
【0045】
【数7】
【0046】
(等式8)
【0047】
【数8】
【0048】
迷光が減少するときの濃度以下の濃度にて(等式8にてk=0)
(等式9)
【0049】
【数9】
【0050】
この場合にも、曲線の勾配は、移動相の吸収による影響を受けない。
高濃度で且つ1よりも遥かに小さいk.10Amのとき、等式8から次式が得られる。
(等式10)
【0051】
【数10】
【0052】
等式10は、吸収移動相が高cの下降に与える影響は、2つの方法の何れかにて見ることができることを示す。下降吸収度は、Amだけ減少し、又は、迷光は10Amの因数だけ増幅される。
【0053】
要約すると、単一パスセル内の移動相の吸収は、ノイズを増すことにより下限感度を低下させ、また、上限において、線形範囲を小さくする迷光の作用を増幅する。その双方の作用は、吸収度検出器の濃度範囲を狭くする。
【0054】
図6に図示した、A対cの較正曲線は、迷光の下降と0とが横切る前の勾配b.εを有している。(検出器の吸収出力は、通常、c=0のとき、零である)。
二重パス長さセルの場合、A対cの展開曲線は、上述した単一パスセルと同一のステップに従う。
【0055】
セル内に透明な溶媒(移動相)があるとき、光検出器信号はI0である。光の成分Xは長いパスから出る一方、成分(1−X)は短いパスj.bから出る。
分析物質の濃度cに関する光検出器の信号は、2つのパスからの作用の合計値である。
(等式11)
【0056】
【数11】
【0057】
(等式12)
【0058】
【数12】
【0059】
ここで、移動相の吸引作用を加える。セル内の純粋な移動相に対する信号は、次式の通りである。
(等式13)
【0060】
【数13】
【0061】
移動相単独の場合における、移動相内の分析物質の透過率は次の通りである。
(等式14)
【0062】
【数14】
【0063】
迷光長さの項を加えるならば、等式は完成する。
(等式15)
【0064】
【数15】
【0065】
次に、分析物質の濃度cに対する吸収度Aに関して、二重パスセルの較正曲線の等式を説明する(図5)。
(等式16)
【0066】
【数16】
【0067】
等式16を微分すれば、較正曲線の勾配が得られる。
(等式17)
【0068】
【数17】
【0069】
図8は、移動相の種々のレベルの吸収度に対する吸収度対濃度を示す。モデル化した事例において、長いパス長さは50mm、短いパスは0.5mm(j=0.01)であり、光は、移動相の吸収が存在しないとき(X=0.5)、パスの間にて等しく分割される。これらの値を単一パスセルに対する図6と比較する。
【0070】
二重セルのA対cのプロットには、3つの領域が存在する。低濃度のとき、長いパスが主となり、高感度を提供する。短いパスは、迷光の追加的な発生源として振舞う。中間濃度において、長いパスは、分析物質の波長にて不透明となり、また、ここから高濃度にかけて、セルから出る光は、短いパス内の吸収度により支配される。極めて高濃度のとき、迷光は、極限値を有し、例えば、曲線が平坦となるようにする。これらの領域は図5に示してある。
【0071】
非吸収の移動相について、等式16は、次式のようになる。
【0072】
【数18】
【0073】
この等式は、X及びkを較正曲線から推定することを許容する。表1は、Ainterceptが移動相の吸収に依存することの一例である。パス長さの比はj=0.01である。Am=1.0は、実際には、大きい値であるが、例えば、短い波長のTFA勾配のメタノールにて見ることができる。
(表1)
【0074】
【表1】
【0075】
迷光の典型的な量は、Ainterceptを求める補間法に無視し得る程度の影響を与える。
等式17は、大きいc勾配は、ε.j.bであり、短いパスを有する単一パスセルと同一であることを示す。移動相に典型的な吸収レベルが存在するとき、パスは極めて短いため、この勾配は変化しない。最初の勾配は、c=0にて等式17から求められる。これは、(dA/dc)init=ε.b.(最初の勾配因数)と書き表わすことができる。表2は、移動相の吸収が最初の勾配に与える作用の一例である。長いパス長さb=50mm、j=0.01及びε.=104cm−1(M/L)−1である。Am=0であるならば、(dA/dc)init=ε.b.Xである。
(表2)
【0076】
【表2】
【0077】
二重パスセルの1つの目的は、正確に測定することのできる分析物質の濃度範囲を拡張することである。図5には、一般化した、A対cの較正曲線が図示されている。次の分析は、その勾配が常に正でなければならない点を除いて、曲線の形状に何ら制限を課すことはない。この分析は、単一、二重又は多数パスのセルに適用される。
【0078】
次の量を、図5を参照して画定することができる。
ΔA:出力がAであるとき、吸収における検出可能な最小変化は、検出器の出力のノイズに等しい。
【0079】
ΔA0:セルが純粋な移動相にて充填される、A=0のとき、基準吸収ノイズ=検出可能な吸収度の最小変化。
Δc:ΔAに相応する、感知可能な最小濃度変化。
【0080】
dA/dc:濃度cにおける較正曲線の勾配。
分析物質の濃度がcのとき、検出器の分析精度Δc/cは、較正曲線(dA/dc)の勾配、及び吸収度Aにおける吸収ノイズΔAから計算することができる。この関係は、便宜上、次のように書き表わされる。
(等式18)
【0081】
【数19】
【0082】
図7、図9及び図10の分析精度のプロットは、正確に測定することのできる較正範囲を示す。Δc/c=1のとき、分析物質の吸収度は、基準ノイズに等しく、cは、濃度の検出限界値(LOD)である。Δc/cが0.01以下のとき、その濃度を1%以上まで測定することができる。
【0083】
吸収ノイズは、試料の吸収度と共に変化し、試料により光が吸収されるとき、増大する。検出器内のノイズ源を特徴づけ且つ任意の信号IのΔAを予見することが可能である。これと代替的に、典型的な吸収度検出器において、基準信号レベルI0は、測定されたスペクトルに亙って広範囲の値をカバーする。異なる波長にて短時間の基準信号の記録により、試料ΔA対Iの情報が得られる。この最後の方途は、ポンプ及び移動相に依存する流体のノイズのような、装置に関係した効果を含むという有利な点がある。全ての波長にてノイズを同時に測定できるため、PDA検出器に対するこれらデータを得ることは特に容易である。
【0084】
ウォーターズコーポレーションの996PDA検出器からのノイズデータを使用する結果は、図7(単一パスセルに対する)、図9及び図10(二重パスセルに対する)に図示されている。二重パスセルを使用すれば、濃度範囲(高c対低cの比。ここで、cは、1%以上の精度で測定できる)が改良されることは明らかである。そのの不利益な点は、実際には、実際的な分析状況時に実現することはできない、図7に最小値で示した極めて高度の分析精度を失うことである。この場合、高濃度の性能は、移動相の吸収による影響を受けない。
【0085】
表3には、単一及び二重パスセルの濃度範囲が示してある。以下に記載した限界値の範囲にて、濃度を1%以上の精度で測定することができる。
(表3)
【0086】
【表3】
【0087】
表3には、幾つかの興味深い結果が示してある。第一に、0.1%の迷光は、上記の数値に何ら有意義な差を生じさせない。0.1%の迷光の場合、線形ベールの法則の範囲内に止まることが必要であるならば、単一パス、高濃度限界値は30%乃至40%だけ低下させなければならない。最後に、移動相の吸収の劇的な効果は、実際上、二重セルの場合よりも長いセルの場合の方が劣る。(Amは、50mmパスにおける移動相の吸収度である)。
【0088】
次に、本発明による二重パスセルに対する較正方法を単一パスセルに対するものと比較する。単一パスセルは、原点を通って伸び且つ勾配ε.bを有する較正曲線A=ε.b.cを生じさせる。現在の較正方法は、その測定をスペクトル範囲(PDA)に亙って且つ選択された分析波長(同調可能な検出器)にて行った
次のステップから成る。
【0089】
1.吸収零を設定するため、セル内で純粋な移動相にて基準値を走査することと、
2.移動相内にて一連の既知の濃度の吸収度を測定し且つ較正曲線を描くことである。曲線が許容可能な直線性から逸脱することを認識し且つ吸収度の定量化をこの値以下に制限する。
【0090】
ステップ2は、移動相の吸収度及び迷光/検出器の直線性の双方を考慮する。
二重セルは、2つのパス長さb、j.bと、セル中の何れも吸収しないときの長いパス中の光の成分Xとを特徴とする。低濃度のとき、較正曲線の形状は、単一パスセルと明確に相違する、移動相の吸収による影響を受ける。二重パスセルの較正は、増大した濃度範囲を開発すべく較正曲線の非直線性を特徴とする。1つの方途は、次のステップを必要とするが、その他の方途が可能であることを理解すべきである。
【0091】
ステップ1:セルの設計に基づいてパス長さの比jを決定する。
ステップ2:最初に、セル(I0)内の純水にて基準値を走査し、次に、純粋な移動相(Im)にて走査する。比(Im/I0)は、移動相の透過率である。
【0092】
ステップ3:対象とする分析物質(I/Im)の濃度範囲の透過率を測定し且つXを調節可能なパラメータとして各波長におけるデータを以下の等式(等式19)に代入する。高cにおける透過率の下降Iroll−off/I0はkを与える。
【0093】
10−jAm=1であると想定して、等式13、15を組み合わせ、そのkは移動相の吸収測定値に無視し得る程度の影響を与える。
(等式19)
【0094】
【数20】
【0095】
純水は、UV中の溶媒の内、最も透明なものである。そうであっても、その吸収度は、200nm以下で急速に増大し、10mmパスに対して、190nmにて約0.13a.u.に達する。200nm以下の波長にてI0に対し適正な補正を行う必要がある。
【0096】
本発明は、二重パス装置に関して説明したが、多数のパスが可能である。これらのパスは、別個で且つ分離することができるようにするか又は光パスはセルを通って進むときに交わるようにする。本発明による一般的な特徴は、単一の光検出器又は光検出器アレーの要素に組み合わさる前に、試料を通る著しく異なる長さの2つ以上のパスに沿って光が進む点である。色々なパス内での光の分配は、特に、正確な定量化に対する濃度範囲を拡大するため、セルの特性を最適化し得るように選ぶことができることは明らかである。
【0097】
本明細書に記載した二重パスフローセルの実施の形態は、光を案内し得るように、色々な面に被覆したテフロン(登録商標)AFを含むが、その他の非結晶のフルオロポリマーのような、適用の効果として光を案内するその他の材料を使用することができることが理解されよう。
【0098】
同様に、本発明の実施の形態において、フローセルの内壁の内面及び溶融二酸化ケイ素の内部の少なくとも一方に施されたコーティングとして、テフロン(登録商標)AF光案内材料について説明したが、二酸化ケイ素管の内面及び外面に非結晶のフルオロポリマーコーティングを施しても同様の効果が得られ、また、関係する面に隣接してフィルムを配置するといったような、コーティング以外の手段の光案内材料を提供してもよいことを理解すべきである。
【0099】
本発明は、その一例としての実施の形態に関して図示し且つ説明したが、その形態及び細部の点での他の変更、省略及び追加は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに具体化可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明による二重パス長さ測定装置の概念的な外形図である。
【図2A】本発明の一例としての実施の形態にて使用されるフローセルの図である。
【図2B】本発明の別の実施の形態にて使用されるフローセルの図である。
【図3A】図2のフローセルの詳細図である。
【図3B】図3Aと異なる、図2のフローセルの詳細図である。
【図4】本発明による1つの代替的な実施の形態の図である。
【図5】A対cの形成された較正曲線を示すグラフである。
【図6】単一パスフローセルに対するA対cを示すグラフである。
【図7】長さ50mmの単一パスフローセルに対するΔc/c対cを示すグラフである。
【図8a】本発明による二重パスフローセルの迷光の場合のA対cを示すグラフである。
【図8b】本発明による二重パスフローセルの迷光の場合のA対cを示すグラフである。
【図8c】本発明による二重パスフローセルの迷光の場合のA対cを示すグラフである。
【図9】x=0.5及びk=0.1%の二重パスフローセルに対するΔc/c対cを示すグラフである。
【図10】x=0.8及びk=0.1%の二重パスフローセルに対するΔc/c対cを示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフィ計測装置、より具体的には、多数の経路長さフローセルを許容する吸収度検出器用の方法及び装置に関する。
【発明の背景】
【0002】
吸収度検出器は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)にて有用である。広帯域スペクトル又は帯域幅制限光は試料を通して指向され、次に、光検出器のような検出器によって、選んだ分析波長にて測定される。従来の計測装置において、光は、試料を通して一定の距離(パス長さ)を進む。計測装置の光検出器の信号は、分析液試料の濃度が0のとき(I0)で且つ分析液が存在するとき(I)と測定される。絶対単位a.u.で表わした無次元の数である吸収度(A)は、log(I0/I)から計算され且つ計測装置の出力として表示される。吸収度はパス長さ(b)と濃度(c)との積に比例する。−ベールの法則(Beer‘s Low)。既知の分析液の濃度を使用し較正実験によって比例定数を求め、これにより、未知の濃度を測定することが可能とされる。
【0003】
パス長さをcm及び濃度をモル/Lにて表わすならば、比例定数は、cm−1(モル/L)−1の単位のモル吸収率(ε)と称される。
εは任意の分析物質の波長と共に変化するため、計測装置は、モノクロメータ、フィルタ、ダイオードアレースペクトログラフ、又は、赤外線の場合、フーリエ変換干渉計を備えており、このため特定の波長の吸収度が測定される。
【0004】
かかる計測装置にて測定可能である分析物質の濃度範囲は、制限される。下限値にて、検知可能な最小の吸収度の変化は、波長毎に且つ計測装置毎に相違する値である、吸収度出力に対する基準ノイズによって設定される。HPLC用に十分に設計されたUV吸収度検出器は、10乃至20μ.a.uの範囲の吸収度の変化を検出することができる。吸収度と濃度との間の関係が顕著に非線形となるとき、濃度測定の上限値となる。これは、通常、吸収度が1乃至2a.uを越えるときに生じる。吸収度の上限は、通常、迷光又はスペクトルの分離が不十分な結果である。吸収度の上限は、波長と共に且つ計測装置毎に相違し、溶媒又はHPLC移動相が吸収する場合、低下する。
【0005】
本明細書にて使用する分析物質の濃度範囲は、最大濃度値と最小濃度値との比として規定される。上記のことのため、この値は、約5段階の大きさに制限される。1%まで定量化することを目標とするならば、分析物質の濃度範囲(成分の内、比較可能なモル吸収度を想定)は、3つの範囲を越えることはできない。その結果、主要成分及び試料混合体中の微量な不純物を定量化するためには、異なる試料を注入するときに、HPLCを1回以上、作動させなければならない。
【0006】
ベールの法則は、セルのパス長さが長くなるならば、より低濃度を検出することができ、また、パス長さが短くなるならば、より高濃度は線形の吸収度範囲となることを示す。しかし、パス長さが変化するこ自体が濃度範囲を拡大したり狭くすることはない。
【0007】
更に、セル検出器の設計は、利用可能な構成要素(光源、光検出器等)の物理学によって課される制約、クロマトグラフィの分離能を保つのに必要なセル容積の制約、スペクトル範囲及び分離能の市場における要求によって、課される制限に対して厳密である。物理学によって課された値を越える外部のノイズ源が存在しない検出器及びクロマトグラフィ装置を構成することは既に挑戦すべき課題となっている。設計の改良によって理論上のノイズを少なくすることができる場合でも、実際には、そのような著しく低ノイズを実現することはできない。
【0008】
長いパス長さの光案内フローセルは、所定の基準ノイズにおける濃度の感度を向上させる方途を提供する。しかし、残念なことに、検出器の線形の吸収度範囲により課される濃度の上限は、同程度だけ低下し、このため、濃度範囲は同一のままである。以前に説明したように、移動相が吸収するならば、濃度範囲は、実際には、より長いセルにてより狭い。
【0009】
濃度範囲が広いことは検出器の極めて重要な特性である。この特性は、主要な成分及び微量な不純物(薬を調合する場合のような)を一回の注入にて定量化することを可能にする。解析スケールの分離のこの適用例において、検出下限極限値を求める場合よりも、より多数回の試料の注入を行う、広い濃度範囲の場合の方がより有用である。
【0010】
濃度を広範囲に測定するため二重パス長さを提供することは試みられてはいるが、その成功の程は相違する。米国特許第5,214,593号(マグナッセン(Magnussen))には、少なくとも2つの光ビーム及び少なくとも2つの光検出器を利用して、多数パス長さのフローセルを使用する方法が開示されている。標準長さの試料を透過する光は、試料のフォトダイオードに衝突し、また、(より短い)基準セルを透過する光は、基準フォトダイオードに衝突する。試料の濃度が低いとき、検出器は、従来の二重ビーム計測装置と同様に振舞い、基準フォトダイオード信号には試料に起因する変化は殆ど生じない。高濃度のとき、試料のフォトダイオード信号は0まで低下し、計測装置の基準ビームは、単一ビーム検出器のように振舞う。信号処理用のエレクトロニクスがその濃度範囲に適したフォトダイオードの出力を選ぶ。パス長さの各々は、それ自体の光ビーム及び検出器を有する。2つの検出器が信号を発生させ、その信号は別個に処理し且つその後に組み合わせる。このためには、装置に高価な冗長機能を持たせることを必要とし、このため、フォトダイオードアレー検出器を使用して具体化することは特にコスト高となる。
【0011】
実際には、マグナッセンの図1、図2及び図3に示すように、3つの検出器を使用し、第三の検出器が基準器として機能するようにすることが好ましい。このことは装置のコストを著しく増大させることになる。
【0012】
更に、マグナッセンは、特に、装置を多数パス長さフローセルの分析を行い得る設計とすることを必要とする。この計測装置は、多数の光ビーム、多数の光検出器及び検出器の信号を処理するための多数のチャネルを有する構造としなければならない。マグナッセンが教示する実施の形態は、既存の単一パス長さ装置にて使用することはできない。
【0013】
米国特許第4,120,592号(フレミング(Flemming))には、多重光分析装置が開示されている。この装置は、単一の光源及び検出器にて多数パス長さを使用する。光ビームは、フレミングの図1に図示するように、光スペクトルフィルタホイール及びスペクトル感知ビームスプリッタの作用により、一回に1つのセルパス長さのみを透過する。このように、フレミングの装置は、一回に1つのパス長さしか測定できないから、試料を分析するための更なる時間が必要となる。また、マグナッセンの装置と同様に、フレミングの装置は、多数パス長さフローセル分析を行うためには特殊な設計の装置を必要とする。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、異なる試料パス長さからの光が組み合わされ且つ同一の光検出器に衝突する、二重又は多数パス長さフローセルを提供するものである。この実施の形態は、従来通り、単一のセル及び単一のフォトダイオードアレーのみを備えるフォトダイオードアレー検出器と共に使用することができる。
【0015】
本発明の二重パス長さの実施の形態によれば、光の一部分が長いパス長さに亙って進み且つ光の残りが遥かにより短いパス長さに亙って進むフローセルが提供される。フローセルに入る光は、2つのパスの間にて分割され、次に、光検出器まで進むように再度組み合わされる。二重パスフローセルは、原理上、スペクトル計又は検出器内にて単一のパスセルに置換する。分析物質の濃度が低いとき、セルの長いパス部分における光透過率の変化が、濃度の僅かな変化を感知する。較正曲線のA対cの勾配は、この領域内で大となる。高濃度のとき、長いパスは不透明となり、検出器の応答性は、その短いパス内の光に依存する。勾配A対cは、パス長さに比例し、従って、パス長さが大部分、短いとき、遥かに小さくなる。中間濃度のとき、勾配はこれら2つの領域の間で変化する。
【0016】
A対cの全体的な曲線は非線形であるため、遥かにより広い濃度は、検出器の制限された吸収度範囲に属する。計測装置の応答性対特定の分析物質の濃度が一度び特定されたならば、定量分析のためにその計測装置を使用することができる。2つのパスの長さの比は、100対1程度と極めて大きくすることができる。以下に詳細に説明する、試料の濃度を計算するためのアルゴリズムの形態以外、本発明による二重パス長さフローセルを使用する検出器又はスペクトル計の作動に関して何ら変更はない。本発明による着想は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)用の吸収度検出器に関係しているが、ベンチトップスペクトル光計測器にも等しく適用可能である。
【0017】
本発明の特徴は、少なくとも2つの異なる試料のパス長さに亙って進んだ光を組み合わせることにより、吸収度検出器にて測定可能である、分析物質の濃度範囲を拡げる多数パスフローセルを提供することを含む。種々の長さの多数パスの各々を通って進んだ光を受け取るため単一の検出器が使用される点にて、該当する装置の数量及びコストは、本発明に従って最小とされる。
【0018】
本発明は、従来の単一パス装置内で多数パスフローセルを使用することを可能にし、これにより現在の装置の能力を拡張するものである。
本発明の上記及びその他の特徴並びに有利な点は、添付図面と共に、一例としての実施の形態に関する以下の詳細な説明からより完全に理解されよう。
【詳細な説明】
【0019】
本発明による二重パス長さ測定装置10の概念的な外形図が図1に図示されている。光源12は、フローセル16内に透過し且つ該フローセル16を通って誘う光ビーム14を提供する。光源12は、重水素ランプを含む、適正なスペクトル及び帯域幅の光を提供する任意の光源である。光源12はまた、収束レンズ及び反射器(図示せず)を含むこともできる。
【0020】
光ビーム14がフローセル16に入射すると、該光ビームはチャンバ26内で試料を亙って進む。試料は入口22及び出口24を通ってフローセル内に流れる。フローセル16を透過した後、光ビーム18は、ケイ素フォトダイオード又はフォトダイオードアレーのような種々の型式の光検出器を含む検出器20により検出及び測定が行われる。フォトダイオードアレー検出器の場合、組み合わさった光18は、フォトダイオードアレーに達する前にその波長が分散される。一例としての検出器は、マサチューセッツ州、ミルフォードのウォーターズコーポレーション(Waters Corp.)が製造する996フォトダイオードアレー検出器である。フローセル16を透過した光ビーム18の全ては、同一の検出器20により検出され、該検出器は、チャンバ26内の試料により影響を受けた光を表示する出力信号を発生させる。
【0021】
フローセル16は、試料を全く導入しないが、光の透過を許容する部分28により仕切られている。このフローセルは、光が縦断するための2つのパス長さ、すなわち、参照番号32で示した短いパス長さ及び参照番号30で示した長いパス長さを形成する。該部分28は、中実な透明材料とし又はガスを保持し或いは真空とすることも可能である。
【0022】
長いパス30の幅34は、長いパス30対短いパス32の上でチャンバ26内で試料を透過する光の量を決定し得るように選ばれる。この比の選択に関しては以下に説明する。
本発明によるフローセル16の一例としての実施の形態が図2Aに図示されている。このフローセル16は、通常、単一パス長さを有する従来のフローセルの形態をとり、これにより、既存のHPLC装置が多数パス長さ分析を行うことを許容する、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)装置内に挿入することができる。実際上、このフローセル16は、本発明に従って改変された通常の単一パスフローセルとすることができる。
【0023】
フローセル16は、外壁17と、2つの透明な端部分38、40とを有する円筒状の形状をしている。外壁は試料チャンバ26を画成する厚さを有する。フローセルの外壁17の内面は、テフロン(登録商標)AFで被覆され又はテフロン(登録商標)AF管にてライニングされており、光の案内通路を形成する。試料チャンバ26はその内部に管28が配置されており、この管28は、試料チャンバの内部の試料から管まで進むことなく、光が透過することを許容する。外壁17内に挿入された管28は、図3A及び図3Bにより詳細に図示されている。好ましくは、管28は、溶融二酸化ケイ素毛管であることが好ましいが、任意の光透過性の中実な材料を使用することができる。
【0024】
管28の内面19は、その光案内の性質を有することが知られたテフロン(登録商標)AFが被覆され、このため、試料チャンバ(ボア)26に入射する光はこのボアに効果的に封じ込められる。このように、ボア26を貫通するパス及び管28の壁を貫通する第二のパスという2つの光パスが形成される。光は、図2に図示するように、第一及び第二のフローパス内でフローセルを通って進む間に分離される。
【0025】
これと代替的に、管28を被覆しなくてもよい。この場合、光は、試料を通るより複雑なパス又は複数のパスに従って進む。管28の端部に入射した光は、短いパスを縦断し且つチャンバ26内の試料の屈折率よりも管28の屈折率の方が大きいため、管28内を通って端部に案内される。多分僅かな光の一部分が、管28が試料に接触する箇所である、内側反射点にて減衰された全反射により試料に吸収される。この効果は、短いパスの有効なパス長さに僅かに追加されるものである。他方、最初に長いパスに入射した光線の一部は、管28の内部ボアを照射する。これら光線の一部分は屈折されて管28の二酸化ケイ素の壁に入り、長いパスの液体内に再入射する前に、二酸化ケイ素内で多少の時間を費やす。このため、これら光線は、長いパスと短いパスとの中間である、液体を貫通するパスに沿って進む。試料の濃度変化に対するかかるセルの応答性は、一連の較正試料を使用して確立することができる。
【0026】
一例として、2つのパス長さよりも長い多数のパス長さを有する実施の形態において、図2Bに図示するような構造体(図2Aに図示したものと実質的に同様)は、上記に詳細に説明するように、光を案内し且つ長さの異なる2つの別個のフローセルを形成する構造とされている。この例において、上方光線は長いパス長さに入射し且つ縦断する一方、下方光線は、短いパスを経て進む。かかる実施の形態において、多数光パスは、セルを通って進む間に合体し、長さの異なるパス内でセルを亙って進む分岐光線の幾何学的経過状態を発生させる。
【0027】
管28の内側におけるテフロン(登録商標)AFのような低屈折率被覆は、管28に入射する光線が長いパス長さに入射するのを実質的に防止する。管28の壁に入射した短いパス長さの光は、フローセル本体の外壁17の内面に何らかの被覆が存在するか否かに関係なく、管壁内を案内される。このように、多数パス長さは、フローセルの外壁の内面に光案内材料を提供せずに、管の内側に配置された光案内材料により同様に形成される。
【0028】
管28が被覆されていない場合、別の選択的な方途は、テーパー付きビーム又は逆テーパー付きビーム技術(その内容を参考として引用し本明細書に含めた、米国特許第5,153,679号に記載されたような技術)を使用し、長いパス内の光を流体を充填したボアに封じ込めることである。テーパー付きビームを形成する光学素子は、ウォーターズ(Waters)2487二重波長同調可能なUV可視吸収度検出器に組み込まれており、また、逆テーパー付きビームを形成する光学素子は、ウォーターズ996フォトダイオードアレー検出器に組み込まれている。このようなHPLC検出器のフローセルは、セルのボア内に挿入された簡単で被覆無しの光透過管を使用して、本発明の二重パス長さセルとなるように改変することができる。従来の解析スケールのHPLCセルよりも長いパス長さ及び小さい容積を有する本発明のセルは、フローセルチャンバを使用する一層優れた構造とされており、このフローセルのチャンバの内壁は、テフロン(登録商標)AFでライニングされている(本発明の譲受人が所有し且つその内容を参考として引用し、本明細書に含めた米国特許第5,184,192号に記載されているように)。このことは、光の処理量を大きく保つことを許容する。
【0029】
製造を容易にするためには、管28(図3A及び図3Bに図示)は、セルの端部窓部40まで伸びないようにする必要がある(図2Aに最も良く図示)。このことは、流出ポート24が塞がれるのを防止する。このため、管28は中実管とすることができる一方、流入ポート22及び流出ポート24は適正に機能する。フローセル本体、入口ポート及び出口ポートは、316ステンレス鋼又はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)のような材料にて形成することができる。平坦とし又は湾曲させることのできる端窓部は、一例としての実施の形態において、溶融二酸化ケイ素にて作られる。この一例としての実施の形態における管28の寸法は、内径(ID)約1mm、外径(OD)約2mmとすることを含む。一例としての管28は、長さ約10乃至20mmの長いパス30及び約0.2mmの短いパス32を提供し得るような寸法とされている。実際上の目的のため、長いパス対短いパスの比の範囲は、50対1乃至100対1にて実施することができるが、2対1乃至1000対1のようなより極端な範囲とすることさえも可能である。著しく相違する寸法のセルは、例えば、準備的なものからマイクロボアクロマトグラフィの範囲に亙る用途に合うようにすることができる。
【0030】
本発明による1つの代替的な実施の形態が図4に図示されている。この場合、光は光ファイバ(FO)ケーブルにより二重パス40a、40bに沿って2つの別個のフローセル16、16´内に向けられ、その後、光は再度組み合わされて検出器20に達する単一パス42となる。2つのフローセル16、16´は、双方のフローセル(図示せず)に対し試料の濃度を提供する配管を含んでいる。ミラー、半銀被覆ミラー、プリズム、ビームスプリッタ等を含む、光をパス40に沿って分割し、案内し且つ再度組み合わせるその他の技術を使用することができる。
【0031】
本発明による二重パスセルの吸収特徴について図5を参照しつつ説明する。二重パスの説明をする前に、最初に、単一パスセルの場合について説明する。
単一パスセルの場合、吸収度は次式で求められる。
(等式1)
【0032】
【数1】
【0033】
(等式2)
【0034】
【数2】
【0035】
ここでαは吸収係数、bはパス長さ、cはモル/リットル(M/L)で表わす分析物質の濃度、εはcm−1(M/L)−1で表わすモル吸収率である。
移動相が透明であるならば、分析物質が存在しないときの光検出器の信号はI0となる。移動相が吸収するならば、信号はImとなる。長さbの単一パスセルにおいて、移動相の吸収度及び透過率は次式のようになる。
(等式3)
【0036】
【数3】
【0037】
標準的な方法は、セル内の純粋な移動相に対し検出器の吸収出力を0に設定する。分析物質の濃度の透過率cはI/Imである。I及びImの双方は移動相の吸収により減少し、次式のようになる。
(等式4)
【0038】
【数4】
【0039】
これら値を組み合わせて試料の透過率及び吸収度を求める。
(等式5)
【0040】
【数5】
【0041】
(等式6)
【0042】
【数6】
【0043】
Amを0と仮定
移動相の吸収は、A対cの較正曲線勾配に影響しない。しかし、Amが0以外の値であるならば、信号は減衰し、これにより、吸収度ノイズが増し又はこれは低濃度の感度を低下させる。
【0044】
次に、迷光の項を追加する。セル内に吸収性の移動相又は試料が存在するか否かに関係なく、迷光は、光検出器の信号に追加される。言い換えれば、迷光は、吸収されない波長であると想定する。特定の分析波長の測定に利用可能な光の一部として考えられる迷光の寄与はk・I0である。このkの値は、分析波長に伴って変化する。分析物質の透過率及び吸収度は次の通りである。
(等式7)
【0045】
【数7】
【0046】
(等式8)
【0047】
【数8】
【0048】
迷光が減少するときの濃度以下の濃度にて(等式8にてk=0)
(等式9)
【0049】
【数9】
【0050】
この場合にも、曲線の勾配は、移動相の吸収による影響を受けない。
高濃度で且つ1よりも遥かに小さいk.10Amのとき、等式8から次式が得られる。
(等式10)
【0051】
【数10】
【0052】
等式10は、吸収移動相が高cの下降に与える影響は、2つの方法の何れかにて見ることができることを示す。下降吸収度は、Amだけ減少し、又は、迷光は10Amの因数だけ増幅される。
【0053】
要約すると、単一パスセル内の移動相の吸収は、ノイズを増すことにより下限感度を低下させ、また、上限において、線形範囲を小さくする迷光の作用を増幅する。その双方の作用は、吸収度検出器の濃度範囲を狭くする。
【0054】
図6に図示した、A対cの較正曲線は、迷光の下降と0とが横切る前の勾配b.εを有している。(検出器の吸収出力は、通常、c=0のとき、零である)。
二重パス長さセルの場合、A対cの展開曲線は、上述した単一パスセルと同一のステップに従う。
【0055】
セル内に透明な溶媒(移動相)があるとき、光検出器信号はI0である。光の成分Xは長いパスから出る一方、成分(1−X)は短いパスj.bから出る。
分析物質の濃度cに関する光検出器の信号は、2つのパスからの作用の合計値である。
(等式11)
【0056】
【数11】
【0057】
(等式12)
【0058】
【数12】
【0059】
ここで、移動相の吸引作用を加える。セル内の純粋な移動相に対する信号は、次式の通りである。
(等式13)
【0060】
【数13】
【0061】
移動相単独の場合における、移動相内の分析物質の透過率は次の通りである。
(等式14)
【0062】
【数14】
【0063】
迷光長さの項を加えるならば、等式は完成する。
(等式15)
【0064】
【数15】
【0065】
次に、分析物質の濃度cに対する吸収度Aに関して、二重パスセルの較正曲線の等式を説明する(図5)。
(等式16)
【0066】
【数16】
【0067】
等式16を微分すれば、較正曲線の勾配が得られる。
(等式17)
【0068】
【数17】
【0069】
図8は、移動相の種々のレベルの吸収度に対する吸収度対濃度を示す。モデル化した事例において、長いパス長さは50mm、短いパスは0.5mm(j=0.01)であり、光は、移動相の吸収が存在しないとき(X=0.5)、パスの間にて等しく分割される。これらの値を単一パスセルに対する図6と比較する。
【0070】
二重セルのA対cのプロットには、3つの領域が存在する。低濃度のとき、長いパスが主となり、高感度を提供する。短いパスは、迷光の追加的な発生源として振舞う。中間濃度において、長いパスは、分析物質の波長にて不透明となり、また、ここから高濃度にかけて、セルから出る光は、短いパス内の吸収度により支配される。極めて高濃度のとき、迷光は、極限値を有し、例えば、曲線が平坦となるようにする。これらの領域は図5に示してある。
【0071】
非吸収の移動相について、等式16は、次式のようになる。
【0072】
【数18】
【0073】
この等式は、X及びkを較正曲線から推定することを許容する。表1は、Ainterceptが移動相の吸収に依存することの一例である。パス長さの比はj=0.01である。Am=1.0は、実際には、大きい値であるが、例えば、短い波長のTFA勾配のメタノールにて見ることができる。
(表1)
【0074】
【表1】
【0075】
迷光の典型的な量は、Ainterceptを求める補間法に無視し得る程度の影響を与える。
等式17は、大きいc勾配は、ε.j.bであり、短いパスを有する単一パスセルと同一であることを示す。移動相に典型的な吸収レベルが存在するとき、パスは極めて短いため、この勾配は変化しない。最初の勾配は、c=0にて等式17から求められる。これは、(dA/dc)init=ε.b.(最初の勾配因数)と書き表わすことができる。表2は、移動相の吸収が最初の勾配に与える作用の一例である。長いパス長さb=50mm、j=0.01及びε.=104cm−1(M/L)−1である。Am=0であるならば、(dA/dc)init=ε.b.Xである。
(表2)
【0076】
【表2】
【0077】
二重パスセルの1つの目的は、正確に測定することのできる分析物質の濃度範囲を拡張することである。図5には、一般化した、A対cの較正曲線が図示されている。次の分析は、その勾配が常に正でなければならない点を除いて、曲線の形状に何ら制限を課すことはない。この分析は、単一、二重又は多数パスのセルに適用される。
【0078】
次の量を、図5を参照して画定することができる。
ΔA:出力がAであるとき、吸収における検出可能な最小変化は、検出器の出力のノイズに等しい。
【0079】
ΔA0:セルが純粋な移動相にて充填される、A=0のとき、基準吸収ノイズ=検出可能な吸収度の最小変化。
Δc:ΔAに相応する、感知可能な最小濃度変化。
【0080】
dA/dc:濃度cにおける較正曲線の勾配。
分析物質の濃度がcのとき、検出器の分析精度Δc/cは、較正曲線(dA/dc)の勾配、及び吸収度Aにおける吸収ノイズΔAから計算することができる。この関係は、便宜上、次のように書き表わされる。
(等式18)
【0081】
【数19】
【0082】
図7、図9及び図10の分析精度のプロットは、正確に測定することのできる較正範囲を示す。Δc/c=1のとき、分析物質の吸収度は、基準ノイズに等しく、cは、濃度の検出限界値(LOD)である。Δc/cが0.01以下のとき、その濃度を1%以上まで測定することができる。
【0083】
吸収ノイズは、試料の吸収度と共に変化し、試料により光が吸収されるとき、増大する。検出器内のノイズ源を特徴づけ且つ任意の信号IのΔAを予見することが可能である。これと代替的に、典型的な吸収度検出器において、基準信号レベルI0は、測定されたスペクトルに亙って広範囲の値をカバーする。異なる波長にて短時間の基準信号の記録により、試料ΔA対Iの情報が得られる。この最後の方途は、ポンプ及び移動相に依存する流体のノイズのような、装置に関係した効果を含むという有利な点がある。全ての波長にてノイズを同時に測定できるため、PDA検出器に対するこれらデータを得ることは特に容易である。
【0084】
ウォーターズコーポレーションの996PDA検出器からのノイズデータを使用する結果は、図7(単一パスセルに対する)、図9及び図10(二重パスセルに対する)に図示されている。二重パスセルを使用すれば、濃度範囲(高c対低cの比。ここで、cは、1%以上の精度で測定できる)が改良されることは明らかである。そのの不利益な点は、実際には、実際的な分析状況時に実現することはできない、図7に最小値で示した極めて高度の分析精度を失うことである。この場合、高濃度の性能は、移動相の吸収による影響を受けない。
【0085】
表3には、単一及び二重パスセルの濃度範囲が示してある。以下に記載した限界値の範囲にて、濃度を1%以上の精度で測定することができる。
(表3)
【0086】
【表3】
【0087】
表3には、幾つかの興味深い結果が示してある。第一に、0.1%の迷光は、上記の数値に何ら有意義な差を生じさせない。0.1%の迷光の場合、線形ベールの法則の範囲内に止まることが必要であるならば、単一パス、高濃度限界値は30%乃至40%だけ低下させなければならない。最後に、移動相の吸収の劇的な効果は、実際上、二重セルの場合よりも長いセルの場合の方が劣る。(Amは、50mmパスにおける移動相の吸収度である)。
【0088】
次に、本発明による二重パスセルに対する較正方法を単一パスセルに対するものと比較する。単一パスセルは、原点を通って伸び且つ勾配ε.bを有する較正曲線A=ε.b.cを生じさせる。現在の較正方法は、その測定をスペクトル範囲(PDA)に亙って且つ選択された分析波長(同調可能な検出器)にて行った
次のステップから成る。
【0089】
1.吸収零を設定するため、セル内で純粋な移動相にて基準値を走査することと、
2.移動相内にて一連の既知の濃度の吸収度を測定し且つ較正曲線を描くことである。曲線が許容可能な直線性から逸脱することを認識し且つ吸収度の定量化をこの値以下に制限する。
【0090】
ステップ2は、移動相の吸収度及び迷光/検出器の直線性の双方を考慮する。
二重セルは、2つのパス長さb、j.bと、セル中の何れも吸収しないときの長いパス中の光の成分Xとを特徴とする。低濃度のとき、較正曲線の形状は、単一パスセルと明確に相違する、移動相の吸収による影響を受ける。二重パスセルの較正は、増大した濃度範囲を開発すべく較正曲線の非直線性を特徴とする。1つの方途は、次のステップを必要とするが、その他の方途が可能であることを理解すべきである。
【0091】
ステップ1:セルの設計に基づいてパス長さの比jを決定する。
ステップ2:最初に、セル(I0)内の純水にて基準値を走査し、次に、純粋な移動相(Im)にて走査する。比(Im/I0)は、移動相の透過率である。
【0092】
ステップ3:対象とする分析物質(I/Im)の濃度範囲の透過率を測定し且つXを調節可能なパラメータとして各波長におけるデータを以下の等式(等式19)に代入する。高cにおける透過率の下降Iroll−off/I0はkを与える。
【0093】
10−jAm=1であると想定して、等式13、15を組み合わせ、そのkは移動相の吸収測定値に無視し得る程度の影響を与える。
(等式19)
【0094】
【数20】
【0095】
純水は、UV中の溶媒の内、最も透明なものである。そうであっても、その吸収度は、200nm以下で急速に増大し、10mmパスに対して、190nmにて約0.13a.u.に達する。200nm以下の波長にてI0に対し適正な補正を行う必要がある。
【0096】
本発明は、二重パス装置に関して説明したが、多数のパスが可能である。これらのパスは、別個で且つ分離することができるようにするか又は光パスはセルを通って進むときに交わるようにする。本発明による一般的な特徴は、単一の光検出器又は光検出器アレーの要素に組み合わさる前に、試料を通る著しく異なる長さの2つ以上のパスに沿って光が進む点である。色々なパス内での光の分配は、特に、正確な定量化に対する濃度範囲を拡大するため、セルの特性を最適化し得るように選ぶことができることは明らかである。
【0097】
本明細書に記載した二重パスフローセルの実施の形態は、光を案内し得るように、色々な面に被覆したテフロン(登録商標)AFを含むが、その他の非結晶のフルオロポリマーのような、適用の効果として光を案内するその他の材料を使用することができることが理解されよう。
【0098】
同様に、本発明の実施の形態において、フローセルの内壁の内面及び溶融二酸化ケイ素の内部の少なくとも一方に施されたコーティングとして、テフロン(登録商標)AF光案内材料について説明したが、二酸化ケイ素管の内面及び外面に非結晶のフルオロポリマーコーティングを施しても同様の効果が得られ、また、関係する面に隣接してフィルムを配置するといったような、コーティング以外の手段の光案内材料を提供してもよいことを理解すべきである。
【0099】
本発明は、その一例としての実施の形態に関して図示し且つ説明したが、その形態及び細部の点での他の変更、省略及び追加は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに具体化可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明による二重パス長さ測定装置の概念的な外形図である。
【図2A】本発明の一例としての実施の形態にて使用されるフローセルの図である。
【図2B】本発明の別の実施の形態にて使用されるフローセルの図である。
【図3A】図2のフローセルの詳細図である。
【図3B】図3Aと異なる、図2のフローセルの詳細図である。
【図4】本発明による1つの代替的な実施の形態の図である。
【図5】A対cの形成された較正曲線を示すグラフである。
【図6】単一パスフローセルに対するA対cを示すグラフである。
【図7】長さ50mmの単一パスフローセルに対するΔc/c対cを示すグラフである。
【図8a】本発明による二重パスフローセルの迷光の場合のA対cを示すグラフである。
【図8b】本発明による二重パスフローセルの迷光の場合のA対cを示すグラフである。
【図8c】本発明による二重パスフローセルの迷光の場合のA対cを示すグラフである。
【図9】x=0.5及びk=0.1%の二重パスフローセルに対するΔc/c対cを示すグラフである。
【図10】x=0.8及びk=0.1%の二重パスフローセルに対するΔc/c対cを示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収度検出器装置において、
試料を受け入れるチャンバを有するフローセルであって、該チャンバが、少なくとも該試料を貫通する第一の光路及び前記試料を貫通する第二の光路を提供し、該第一の光路は該第二の光路よりも長い前記フローセルと、
前記フローセル内へと、且つ、前記試料を貫通する前記少なくとも前記第一の光路及び前記試料を貫通する前記第二の光路へと光を向ける光源と、
前記少なくとも前記試料を貫通する前記第一の光路及び前記試料を貫通する前記第二の光路から出る光を受け取る単一の光検出器又は単一の光検出器アレーとを備える、吸収度検出器装置。
【請求項2】
請求項1の吸収度検出器装置において、前記フローセルが、前記第二の光路を得るように前記第一の光路よりも短い光透明材料を備え、該透明材料の屈折率が前記試料の屈折率よりも大きい、吸収度検出器装置。
【請求項3】
請求項2の吸収度検出器装置において、前記光透明材料が管である、吸収度検出器装置。
【請求項4】
請求項3の吸収度検出器装置において、前記管が溶融二酸化ケイ素管から成る、吸収度検出器装置。
【請求項5】
請求項1の吸収度検出器装置において、前記フローセルが、
前記チャンバの内部に配置された光透明管と、
前記チャンバの内面に隣接して配置された第一の光案内材料及び前記光透明管の内面に隣接して配置された第二の光案内材料のうちの少なくとも一つとを備え、
前記光透明管が、前記少なくとも前記試料を貫通する前記第一の光路及び前記試料を貫通する前記第二の光路を形成するように前記チャンバに対して寸法が設定される、吸収度検出器装置。
【請求項6】
請求項1の吸収度検出器装置において、前記チャンバが円筒状の形状である、吸収度検出器装置。
【請求項7】
請求項5の吸収度検出器装置において、前記第一の光案内材料が、前記チャンバの前記内面に被覆されたテフロンAFである、吸収度検出器装置。
【請求項8】
請求項5の吸収度検出器装置において、前記第一の光案内材料が、前記チャンバの前記内面に配置されたテフロンAF管である、吸収度検出器装置。
【請求項9】
請求項1の吸収度検出器装置において、前記チャンバが第一の端部及び第二の端部を備え、更に、前記第一の端部に近接する入口ポートと、前記第二の端部に近接する出口ポートとを備え、前記フローセルが、前記第一の端部及び第二の端部の各々に配置された光透明端の窓部を更に備える、吸収度検出器装置。
【請求項10】
請求項9の吸収度検出器装置において、前記フローセルが、前記第二の光路を確立し得るように前記第一の光路よりも短い光透明管を備え、該光透明管の屈折率は前記試料の屈折率よりも大きく、前記光透明端の窓部の少なくとも一方が、前記第一の光路内で光線が前記光透明管の内面に衝突するのを実質的に防止し得るように前記光源と協働する入射レンズである、吸収度検出器装置。
【請求項11】
請求項9の吸収度検出器装置において、前記フローセルが、前記第二の光路を確立し得るように前記第一の光路よりも短い光透明管を備え、該光透明管の屈折率は前記試料の屈折率よりも大きく、前記光透明端の窓部の少なくとも1つが、前記管の内側ボアを照射する光線が前記単一の光検出器に達するのを実質的に防止し得る形態とされた出口レンズである、吸収度検出器装置。
【請求項12】
請求項5の吸収度検出器において、前記光透明管が溶融二酸化ケイ素管から成る、吸収度検出器。
【請求項13】
請求項5の吸収度検出器において、前記第二の光案内材料がテフロンAFで出来ている、吸収度検出器。
【請求項14】
フローセルが、
試料を受け入れるチャンバと、
該チャンバの内部に配置された光透明管と、
前記チャンバの内面に隣接して配置された第一の光案内材料及び前記光透明管の内面に隣接して配置された第二の光案内材料の少なくとも一つとを備え、
前記光透明管が、前記第一の光路が前記第二の光路よりも長いように、少なくとも前記試料を貫通する前記第一の光路及び前記試料を貫通する前記第二の光路を形成するように前記チャンバに対して寸法が設定される、フローセル。
【請求項15】
請求項14のフローセルにおいて、前記チャンバが円筒状の形状である、フローセル。
【請求項16】
請求項14のフローセルにおいて、前記第一の光案内材料が、前記チャンバの前記内面に被覆されたテフロンAFである、フローセル。
【請求項17】
請求項14のフローセルにおいて、前記第一の光案内材料が、前記チャンバの前記内面に配置されたテフロンAF管である、フローセル。
【請求項18】
請求項14のフローセルにおいて、前記チャンバが第一の端部及び第二の端部を備え、更に、前記第一の端部に近接する入口ポートと、前記第二の端部に近接する出口ポートとを備え、前記フローセルが、前記第一の端部及び第二の端部の各々に配置された光透明端の窓部を更に備える、フローセル。
【請求項19】
請求項14のフローセルにおいて、前記光透明管が溶融二酸化ケイ素管から成る、フローセル。
【請求項20】
請求項14のフローセルにおいて、前記第二の光案内材料がテフロンAFで出来ている、フローセル。
【請求項21】
フローセルの製造方法において、
試料を受け入れる形態とされたチャンバを提供するステップと、
前記試料を貫通する少なくとも第一の光路及び前記試料を貫通する第二の光路を形成し、前記第一の光路が前記第二の光路よりも長いように光透明管の寸法を前記チャンバに対して設定するステップと、
前記光透明管を前記チャンバの内部に配置するステップとを備える、方法。
【請求項22】
請求項21の方法において、第一の光案内材料及び第二の光案内材料のうちの少なくとも一方を前記チャンバの内面に隣接する位置に配置し且つ他方を前記光透明管の内面に隣接する位置に配置するステップを更に備える、方法。
【請求項23】
請求項22の方法において、前記第一の光案内材料及び前記第二の光案内材料の少なくとも一方を配置する前記ステップが、前記チャンバの前記内面及び前記光透明管の前記内面の少なくとも一方にそれぞれテフロンAFを被覆することを含む、方法。
【請求項24】
請求項22の方法において、前記第一の光案内材料及び前記第二の光案内材料の少なくとも一方を配置する前記ステップが、前記チャンバの前記内面及び前記光透明管の前記内面の少なくとも一方に隣接してそれぞれテフロンAF管を配置することを含む、方法。
【請求項25】
請求項21の方法において、前記チャンバが第一の端部及び第二の端部を有し、
前記第一の端部に近接して入口ポート及び前記第二の出口に近接して出口ポートを提供するステップと、
前記第一の端部及び第二の端部の各々にて光透明端の窓部を提供するステップとを更に含む、方法。
【請求項26】
請求項22の方法において、前記第一の光案内材料及び前記第二の光案内材料の少なくとも一方を配置する前記ステップが、前記チャンバの前記内面及び前記光透明管の前記内面の少なくとも一方に隣接してテフロンAF管を配置することを含む、方法。
【請求項27】
吸収度検出器装置において、
少なくとも前記試料を通る第一の光路及び前記試料を通る第二の光路を提供し且つ試料を受け取るフローセル手段であって、前記第一の光路が前記第二の光路よりも長い前記フローセル手段と、
前記少なくとも前記試料を通る前記第一の光路及び前記試料を通る前記第二の光路に光を向ける光源手段と、
前記少なくとも前記試料を通る前記第一の光路及び前記試料を通る前記第二の光路から出る光を受け取る単一の検出手段とを備える、吸収度検出器装置。
【請求項1】
吸収度検出器装置において、
試料を受け入れるチャンバを有するフローセルであって、該チャンバが、少なくとも該試料を貫通する第一の光路及び前記試料を貫通する第二の光路を提供し、該第一の光路は該第二の光路よりも長い前記フローセルと、
前記フローセル内へと、且つ、前記試料を貫通する前記少なくとも前記第一の光路及び前記試料を貫通する前記第二の光路へと光を向ける光源と、
前記少なくとも前記試料を貫通する前記第一の光路及び前記試料を貫通する前記第二の光路から出る光を受け取る単一の光検出器又は単一の光検出器アレーとを備える、吸収度検出器装置。
【請求項2】
請求項1の吸収度検出器装置において、前記フローセルが、前記第二の光路を得るように前記第一の光路よりも短い光透明材料を備え、該透明材料の屈折率が前記試料の屈折率よりも大きい、吸収度検出器装置。
【請求項3】
請求項2の吸収度検出器装置において、前記光透明材料が管である、吸収度検出器装置。
【請求項4】
請求項3の吸収度検出器装置において、前記管が溶融二酸化ケイ素管から成る、吸収度検出器装置。
【請求項5】
請求項1の吸収度検出器装置において、前記フローセルが、
前記チャンバの内部に配置された光透明管と、
前記チャンバの内面に隣接して配置された第一の光案内材料及び前記光透明管の内面に隣接して配置された第二の光案内材料のうちの少なくとも一つとを備え、
前記光透明管が、前記少なくとも前記試料を貫通する前記第一の光路及び前記試料を貫通する前記第二の光路を形成するように前記チャンバに対して寸法が設定される、吸収度検出器装置。
【請求項6】
請求項1の吸収度検出器装置において、前記チャンバが円筒状の形状である、吸収度検出器装置。
【請求項7】
請求項5の吸収度検出器装置において、前記第一の光案内材料が、前記チャンバの前記内面に被覆されたテフロンAFである、吸収度検出器装置。
【請求項8】
請求項5の吸収度検出器装置において、前記第一の光案内材料が、前記チャンバの前記内面に配置されたテフロンAF管である、吸収度検出器装置。
【請求項9】
請求項1の吸収度検出器装置において、前記チャンバが第一の端部及び第二の端部を備え、更に、前記第一の端部に近接する入口ポートと、前記第二の端部に近接する出口ポートとを備え、前記フローセルが、前記第一の端部及び第二の端部の各々に配置された光透明端の窓部を更に備える、吸収度検出器装置。
【請求項10】
請求項9の吸収度検出器装置において、前記フローセルが、前記第二の光路を確立し得るように前記第一の光路よりも短い光透明管を備え、該光透明管の屈折率は前記試料の屈折率よりも大きく、前記光透明端の窓部の少なくとも一方が、前記第一の光路内で光線が前記光透明管の内面に衝突するのを実質的に防止し得るように前記光源と協働する入射レンズである、吸収度検出器装置。
【請求項11】
請求項9の吸収度検出器装置において、前記フローセルが、前記第二の光路を確立し得るように前記第一の光路よりも短い光透明管を備え、該光透明管の屈折率は前記試料の屈折率よりも大きく、前記光透明端の窓部の少なくとも1つが、前記管の内側ボアを照射する光線が前記単一の光検出器に達するのを実質的に防止し得る形態とされた出口レンズである、吸収度検出器装置。
【請求項12】
請求項5の吸収度検出器において、前記光透明管が溶融二酸化ケイ素管から成る、吸収度検出器。
【請求項13】
請求項5の吸収度検出器において、前記第二の光案内材料がテフロンAFで出来ている、吸収度検出器。
【請求項14】
フローセルが、
試料を受け入れるチャンバと、
該チャンバの内部に配置された光透明管と、
前記チャンバの内面に隣接して配置された第一の光案内材料及び前記光透明管の内面に隣接して配置された第二の光案内材料の少なくとも一つとを備え、
前記光透明管が、前記第一の光路が前記第二の光路よりも長いように、少なくとも前記試料を貫通する前記第一の光路及び前記試料を貫通する前記第二の光路を形成するように前記チャンバに対して寸法が設定される、フローセル。
【請求項15】
請求項14のフローセルにおいて、前記チャンバが円筒状の形状である、フローセル。
【請求項16】
請求項14のフローセルにおいて、前記第一の光案内材料が、前記チャンバの前記内面に被覆されたテフロンAFである、フローセル。
【請求項17】
請求項14のフローセルにおいて、前記第一の光案内材料が、前記チャンバの前記内面に配置されたテフロンAF管である、フローセル。
【請求項18】
請求項14のフローセルにおいて、前記チャンバが第一の端部及び第二の端部を備え、更に、前記第一の端部に近接する入口ポートと、前記第二の端部に近接する出口ポートとを備え、前記フローセルが、前記第一の端部及び第二の端部の各々に配置された光透明端の窓部を更に備える、フローセル。
【請求項19】
請求項14のフローセルにおいて、前記光透明管が溶融二酸化ケイ素管から成る、フローセル。
【請求項20】
請求項14のフローセルにおいて、前記第二の光案内材料がテフロンAFで出来ている、フローセル。
【請求項21】
フローセルの製造方法において、
試料を受け入れる形態とされたチャンバを提供するステップと、
前記試料を貫通する少なくとも第一の光路及び前記試料を貫通する第二の光路を形成し、前記第一の光路が前記第二の光路よりも長いように光透明管の寸法を前記チャンバに対して設定するステップと、
前記光透明管を前記チャンバの内部に配置するステップとを備える、方法。
【請求項22】
請求項21の方法において、第一の光案内材料及び第二の光案内材料のうちの少なくとも一方を前記チャンバの内面に隣接する位置に配置し且つ他方を前記光透明管の内面に隣接する位置に配置するステップを更に備える、方法。
【請求項23】
請求項22の方法において、前記第一の光案内材料及び前記第二の光案内材料の少なくとも一方を配置する前記ステップが、前記チャンバの前記内面及び前記光透明管の前記内面の少なくとも一方にそれぞれテフロンAFを被覆することを含む、方法。
【請求項24】
請求項22の方法において、前記第一の光案内材料及び前記第二の光案内材料の少なくとも一方を配置する前記ステップが、前記チャンバの前記内面及び前記光透明管の前記内面の少なくとも一方に隣接してそれぞれテフロンAF管を配置することを含む、方法。
【請求項25】
請求項21の方法において、前記チャンバが第一の端部及び第二の端部を有し、
前記第一の端部に近接して入口ポート及び前記第二の出口に近接して出口ポートを提供するステップと、
前記第一の端部及び第二の端部の各々にて光透明端の窓部を提供するステップとを更に含む、方法。
【請求項26】
請求項22の方法において、前記第一の光案内材料及び前記第二の光案内材料の少なくとも一方を配置する前記ステップが、前記チャンバの前記内面及び前記光透明管の前記内面の少なくとも一方に隣接してテフロンAF管を配置することを含む、方法。
【請求項27】
吸収度検出器装置において、
少なくとも前記試料を通る第一の光路及び前記試料を通る第二の光路を提供し且つ試料を受け取るフローセル手段であって、前記第一の光路が前記第二の光路よりも長い前記フローセル手段と、
前記少なくとも前記試料を通る前記第一の光路及び前記試料を通る前記第二の光路に光を向ける光源手段と、
前記少なくとも前記試料を通る前記第一の光路及び前記試料を通る前記第二の光路から出る光を受け取る単一の検出手段とを備える、吸収度検出器装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−112961(P2010−112961A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7858(P2010−7858)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【分割の表示】特願2000−584276(P2000−584276)の分割
【原出願日】平成11年11月19日(1999.11.19)
【出願人】(500283044)ウォーターズ・インヴェストメンツ・リミテッド (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【分割の表示】特願2000−584276(P2000−584276)の分割
【原出願日】平成11年11月19日(1999.11.19)
【出願人】(500283044)ウォーターズ・インヴェストメンツ・リミテッド (11)
【Fターム(参考)】
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