説明

フロート式スチームトラップ

【課題】 スクリーンに付着堆積した異物を簡単に洗浄することのできるフロート式スチームトラップを提供する。
【解決手段】 ケーシング1に入口2と弁室3と出口4を形成する。弁室3を中空球形のボール状部材5で一体的に形成する。ボール状部材5で形成される弁室3内に弁孔6を有する弁座部材7を配置する。弁座部材7に対向する位置にフロート8を自由状態で配置する。フロート8と支持板9の外周に円筒状のスクリーン10を取り付ける。ボール状部材5には複数の貫通孔12,13,14を設ける。
ボール状部材5を回転して貫通孔12が排出口11と対向する位置へ、同時に、貫通孔14が入口2と対向する位置へ回転することによって、入口2から流入してきた混合流体は、貫通孔14を通り、スクリーン10の内側から外周部へと逆洗する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気配管系で発生する復水をフロートの浮上降下により自動的に排出するフロート式スチームトラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフロート式トラップは、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、入口から弁室内へ流入する流体の異物を漉し取るスクリーンを配置し、弁室の下部に弁室を出口側に連通する弁孔を有する弁座部材を設け、弁孔を開閉するフロートを弁室内に配置し、弁孔内に外部から手動で進退操作可能な操作部材を配置して操作部材の進退により弁孔の内面に付着した異物を掃除するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭49−36747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のフロート式トラップは、スクリーンに異物が付着堆積した場合に、スクリーンを洗浄することができない問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、スクリーンに付着堆積した異物を簡単に洗浄することのできるフロート式スチームトラップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のフロート式スチームトラップは、ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、当該弁室の下部に弁室を出口側に連通する弁孔を有する弁座部材を設け、当該弁孔を開閉するフロートを弁室内に配置したものにおいて、ケーシングに排出口を設け、弁室を中空球形のボール状部材で一体的に形成して、当該ボール状部材をケーシング外部から回転自在に配置すると共に、ボール状部材に弁座部材と複数の貫通孔と異物を漉し取るスクリーンを設けて、ボール状部材を回転することによって入口から排出口へ向けてスクリーンを逆洗することができることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ボール状部材を回転することにより入口から排出口へ向けてスクリーンを逆洗することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わるフロート式スチームトラップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。ケーシング1に入口2と弁室3と出口4を形成する。弁室3を中空球形のボール状部材5で一体的に形成する。ボール状部材5で形成される弁室3内の出口4側斜め下方に弁孔6を有する弁座部材7を配置する。弁座部材7に対向する位置にフロート8を自由状態で配置する。フロート8の下部には支持板9を配置してフロート8を支持する。フロート8と支持板9の外周に円筒状のスクリーン10を取り付ける。
【0010】
ケーシング1の最下部に排出口11を形成する。また、ボール状部材5には複数の貫通孔12,13,14を設ける。ボール状部材5は、図示はしないが、ケーシング1の外部から人が手動で回転したり、あるいは、電動モーターなどの駆動源によりケーシング1内を回転自在に配置する。
【0011】
入口2から流入してきた復水と蒸気の混合流体は、貫通孔13を通って弁室3内へ流下する。スクリーン10は、その全面に小径の貫通孔を多数設けたもので、弁室3内へ流入してきた混合流体に混入している鉄錆などの異物を漉し取ることができるものである。異物を漉し取られた復水と蒸気の混合流体はスクリーン10の内部に至り、復水の水位がフロート8の水平方向中央部の上方に達すると、フロート8が浮力によって浮上して弁孔6を開孔することで、弁室3内に溜まっていた復水を出口4から系外へ排出するものである。復水が排出され弁室3内の水位が低下するとフロート8も降下して、支持板9まで降下すると弁孔6を閉孔することで、蒸気が出口4側へ排出されることを防止する。
【0012】
スクリーン10の外周部に異物が堆積してくると、ボール状部材5を回転して貫通孔12が排出口11と対向する位置へ、また、同時に、貫通孔14が入口2と対向する位置へ回転することによって、入口2から流入してきた混合流体は、貫通孔14を通り、スクリーン10の内側から外周部へと逆洗して、排出口11から外部へ排出される。このように、スクリーン10を逆洗することによって、スクリーン10に付着堆積した異物は除去される。
【0013】
スクリーン10の異物が除去されると、再度、図1に示す状態にボール状部材5を回転することで、上述したスチームトラップとしての機能を果たすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、上記のフロート式スチームトラップに限らず、ガスに混入した液体を排出するフロート式ガストラップにも利用することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 ケーシング
2 入口
3 弁室
4 出口
5 ボール状部材
6 弁孔
7 弁座部材
8 フロート
9 支持板
10 スクリーン
11 排出口
12,13,14 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、当該弁室の下部に弁室を出口側に連通する弁孔を有する弁座部材を設け、当該弁孔を開閉するフロートを弁室内に配置したものにおいて、ケーシングに排出口を設け、弁室を中空球形のボール状部材で一体的に形成して、当該ボール状部材をケーシング外部から回転自在に配置すると共に、ボール状部材に弁座部材と複数の貫通孔と異物を漉し取るスクリーンを設けて、ボール状部材を回転することによって入口から排出口へ向けてスクリーンを逆洗することができることを特徴とするフロート式スチームトラップ。

【図1】
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