説明

ブイヨン調味料およびその製造方法

【課題】 天然原料のみを用い、シェフが作る手製のブイヨンと同品質のブイヨンを短時間の抽出で得られるブイヨン調味料を提供することを目的とする。
【解決手段】
主原料の生肉に食肉エキスと野菜類を加えたものをペースト状にし、乾燥して得られるブイヨン調味料であって、天然原料のみを用いること、および、数分間で自然の香りとまろやかな味を有し、濁りがないブイヨンを抽出できることを特徴とするブイヨン調味料。
自然の香りとまろやかな味を有し、濁りがないブイヨンを数分間で抽出できる天然原料のみを用いたブイヨン調味料の製造方法であって、主原料の生肉に食肉エキスと野菜類を練り込みペースト状にしてから乾燥するブイヨン調味料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブイヨン調味料とその製造方法に関し、より具体的には天然原料のみを用いること、および、数分間(約1〜3分)で料理人が作る本物のブイヨンと同等のブイヨン(すなわち、自然の香りとまろやかな味を有し、濁りがないブイヨン)を抽出できるブイヨン調味料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルやレストランや家庭では、畜肉や野菜から数時間以上かけてブイヨン(コンソメ)を調理している。ブイヨンの調理は、更に、火加減、あく取り、濾過、清澄、煮詰め(濃縮)等の複雑な作業が必要であり、技術の差が品質に直接反映されるため、家庭でシェフの作るブイヨンを再現することは困難である。
例えば、チキンブイヨン(チキンコンソメ)は、鶏肉および/または鶏ガラより、水溶性固形分を抽出して得られるチキンエキスと、鶏肉および/または鶏ガラに水、野菜、香辛料などを加え煮沸して作られるが、旨み成分であるアミノ酸、核酸などを豊富に含むため、「だし」として洋風・和風・中華を問わず、広く一般の料理に使用されている。
【0003】
一方、加工食品においても、エキス、ブイヨンは、冷凍、缶詰、乾燥品など形態を問わず頻繁に用いられているが、特に乾燥して形状を粉末としたものが、その保存性、簡便性、保管に場所をとらないなどの理由から、広く用いられている。例えば、小売店で市販されているチキンブイヨン調味料は、手製のチキンブイヨンとは品質のみならず生産方法や原料も異なる。すなわち、チキンブイヨンの乾燥品を製造する場合、通常、液状のチキンエキスまたはチキンブイヨンを適宜濃縮し、水分含有量を調整した後、乾燥機にて乾燥する方法が採られている。
また、市販されるブイヨン加工食品は、製造工程を簡易化するために、乾燥した乾燥鶏肉粉末と肉エキスパウダーと野菜パウダー等を混合したものにアミノ酸、糖類や食塩を加え、固形化(CUBIC)している。しかしながら、この種の製品は、味や香にまとまりが無く、自然なまろやかさが不足しており、手製のブイヨンには品質面で劣っている。
【0004】
ところで、工業的にチキンエキスまたはチキンブイヨンの乾燥品を製造する方法としては、チキンエキスまたはチキンブイヨンについて、脱水、濃縮操作と、その固形分の10重量%以上、100重量%未満の澱粉と、その固形分の0.01重量%以上、3重量%未満の乳化剤とを加える操作とを行なって、全体の水分が65〜95重量%の範囲内となるように調整した後、ドラム型乾燥機にて乾燥することを特徴とする製造方法が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−154628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手製のブイヨンは、食肉および/またはその骨から高品質の天然のブイヨン(コンソメ、スープ、だし)を取る際、食肉および/またはその骨を沸騰水に加えて抽出しているが、長時間(数時間から十数時間)を要する。そのため市販されているブイヨン調味料は、グルタミン酸ナトリウムや食塩等を添加しているが、昨今の消費者の健康志向には合わない。
【0006】
表1に市販されているチキンブイヨン調味料の成分分析結果を示す。
【表1】

【0007】
本発明は、天然原料のみを用い、シェフが作る手製のブイヨンと同品質のブイヨンを短時間の抽出で得られるブイヨン調味料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、主原料の食肉を細断し、食肉エキスと野菜を混合し、成型し、煮熟または生のまま乾燥することでブイヨン調味料を製造するものである。このようにして得られたブイヨン調味料は、沸騰水で数分(約1〜3分)間抽出するだけで高品質のブイヨンを取ることができる。また、抽出時の方法として、通水性のフィルターバッグに入れて、抽出することで、より効率的に高品質のブイヨンを取ることが可能である。
【0009】
すなわち、本発明は以下の(1)ないし(10)のブイヨン調味料を要旨とする。
主原料の生肉に食肉エキスと野菜類を加えたものをペースト状にし、乾燥して得られるブイヨン調味料であって、
(1)天然原料のみを用いること、および、数分間で自然の香りとまろやかな味を有し、濁りがないブイヨンを抽出できることを特徴とするブイヨン調味料。
(2)主原料の生肉が鶏肉であり、食肉エキスが、鶏肉および/またはその骨から抽出されたチキンエキスである(1)のブイヨン調味料。
(3)鶏肉に、胸肉、ササミまたは脱脂を行ったモモ肉を用いる(2)のブイヨン調味料。
(4)前記乾燥前に、前記ペーストを加熱することで得られる(1)ないし(3)のいずれかのブイヨン調味料。
(5)前記加熱前に、前記ペーストを均一な厚みに成型する(4)のブイヨン調味料。
(6)前記乾燥は、熱風乾燥と冷却または室温放置を含有水分が5%以下になるまで行う(1)ないし(5)のいずれかのブイヨン調味料。
(7)乾燥して得られたものを切削または粉砕して、通水性のフィルターバッグに入れた(1)ないし(6)のいずれかのブイヨン調味料。
【0010】
また、本発明は以下の(8)ないし(13)のブイヨン調味料の製造方法を要旨とする。
(8)自然の香りとまろやかな味を有し、濁りがないブイヨンを数分間で抽出できる天然原料のみを用いたブイヨン調味料の製造方法であって、主原料の生肉に食肉エキスと野菜類を練り込みペースト状にしてから乾燥するブイヨン調味料の製造方法。
(9)主原料の生肉が鶏肉であり、食肉エキスが、鶏肉および/またはその骨から抽出されたチキンエキスである(8)のブイヨン調味料の製造方法。
(10)前記乾燥前に、前記ペーストを加熱することを特徴とする(8)または(9)のブイヨン調味料の製造方法。
(11)前記加熱前に、前記ペーストを均一な厚みに成型することを特徴とする(8)ないし(10)のいずれかのブイヨン調味料の製造方法。
(12)前記乾燥は、熱風乾燥と冷却または室温放置を含有水分が5%以下になるまで行うことを特徴とする(8)ないし(11)のいずれかのブイヨン調味料の製造方法。
(13)乾燥後、得られたものを切削または粉砕して、通水性のフィルターバッグに入れることを特徴とする(8)ないし(12)のいずれかのブイヨン調味料の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、天然原料のみを用いてシェフが作る手製のブイヨンと同品質(味や香にまとまりがあり、自然なまろやかな味を有し、濁りがない)のブイヨンを作成することができ、しかも、従来は4時間以上かかっていたブイヨンの抽出時間を数分間に短縮することができる。
また、食肉エキス、野菜、香辛料の組み合わせと、量によって色・味・香りを自由に調製できるため、多くの人の嗜好に合わせた製品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のブイヨン調味料は、食肉エキスを主原料の食肉に直接加えて、それに野菜類を加えたものをそのまま或いは加熱した後、乾燥し、粉末化することで製造される。主原料の食肉は鶏肉、牛肉、マトンレッグ肉、豚もも肉等を用いることができる。
【0013】
食肉エキスは、食肉および/またはその骨の液状のエキスに限定されず、それらを熱湯で抽出したもの(だし)、ブイヨン、フォン、湯(Chinese Soup)で抽出したもの、抽出しただしを濃縮した高濃度のエキスを乾燥(スプレー乾燥等)させて得た粉状の食肉エキスパウダーを用いてもよい。これらは、好ましくは主原料の食肉および/またはその骨から抽出したエキスを用いる。
以下では、チキンブイヨン調味料の製造方法を例に、各工程を詳述する。
【0014】
主原料の鶏肉は、鶏の全ての部位(胸肉、ササミ、モモ肉等)を用いることが可能である。しかし、胸肉とササミはイノシン酸が多いので、呈味力の高い粉末チキンブイヨン調味料となる。
表2は鶏肉の部位別核酸関連物質分析結果である。部位別の脂肪量は、胸肉が1.0%、ササミが1.4%、モモ肉が6.5%である。モモ肉は一般的に脂肪の割合が高く、乾燥した際に脂肪が酸化する場合がある。脂肪の酸化が原因で、風味の劣化が起こりやすくなるため好ましくない。従って、原料としては、胸肉および/またはササミを用いることが望ましい。ただし、脱脂を行ったモモ肉を用いれば、風味の劣化や濁りについて品質上問題となることはない。モモ肉を一度ボイルし搾汁(もしくは遠心分離による)を行うことで内部に含まれる脂肪分を減少させることができる。
【0015】
【表2】

【0016】
鶏肉を細断し、セロリ、玉ねぎ、人参等の野菜類(生野菜、野菜ペースト、野菜ジュース、エキス、エキスパウダー等)を加える。添加量は鶏肉に対し、通常チキンエキスパウダーで1〜20%、野菜で1〜20%が適当である。しかし、分量はこの範囲に限定されるわけではなく、使用原料や目的とする調味料によっては、これより高い或いは低い濃度で使用してもよい。
【0017】
添加後、十分に混合撹拌を行い、その後、包材に充填し成型し、加熱を行う。成型は次工程で乾燥が効率よく行なわれるために、薄板状に成型する。より具体的には、非通水性のケーシングを用いてその厚みを均一なもの(例えば5〜20mm)にする。加熱は殺菌と、原料の凝固を目的としている。しかし、雑菌汚染とその増殖が問題ない場合は加熱工程を行わなくても良い。また、雑菌汚染とその増殖が問題ない場合は熟成工程を取り入れても良い。
【0018】
次に乾燥工程について説明する。
乾燥工程においては通常通風乾燥で行うが、凍結乾燥、真空乾燥等の方法でもよい。通風乾燥の場合には、高温で乾燥し、その後冷却または室温放置し、更に高温で乾燥するということの繰り返しにより効率よく乾燥ができる。高温で一気に乾燥を進めると表面が固化し、内部の水分が蒸発しにくくなってしまうためである。ある程度乾燥が進んだ状態で、細断、粉砕を行い、再乾燥を行うことで更に効率的な乾燥が可能となる。
【0019】
以上の方法で得た粉末チキンブイヨンに必要に応じて香辛料や香辛料抽出物を加える。香辛料は生原料の時点で配合しても良いが、最終乾燥工程でブレンドすることにより香辛料のフレッシュな香りが製品に移行するので好ましい。表3に長時間炊いて作った手製のチキンブイヨンと、本発明の乾燥チキンブイヨン調味料を用いたものと、乾燥肉にエキスパウダーを混合しただけの調味料を用いたもの(配合割合は本発明と同じ)との官能比較を示す。なお、官能者は訓練された5人のパネリストにより行なわれた。
【0020】
【表3】

【0021】
このようにして製造されたチキンブイヨン調味料は、沸騰水中で約1〜3分間抽出するだけで、高品質のチキンブイヨンが、誰にでも得ることができる。すなわち、数時間から十数時間の抽出時間と長い料理技術の経験を背景にプロフェッショナルな料理人が作り上げたものとほぼ同等の品質を家庭で手軽に得ることが可能となる。
【0022】
また、フィルターシートで作成されるフィルターバッグに充填することで手軽に人数分のチキンブイヨンを得ることが可能となる。フィルターシートは、パルプ等の天然繊維やプラスチック繊維を用いて製造される濾紙、濾布またはネットから構成される公知のものであり、抽出中のバッグの破れや繊維の脱落が抑制するために、熱溶着繊維を用いたヒートシール層を天然繊維の層に接着したシートを用いてもよい。
【0023】
以上で説明した本発明のチキン調味料の製造方法を、まとめたものが図1である。表3に記載の本発明品は、(A)の製法により得られたものである。(B)の製法は、野菜ペーストの代わりにカット野菜を用いたこと、乾燥機を(A)と比べ乾燥能力の高いものを用いたこと、充填前に粉砕・分級したことで(A)の製法と相違する。(C)の製法は、ペーストをシート状に成型したこと、真空乾燥を行ったことで(B)と相違する。
なお、香辛料を混合する際は、STEP2或いは最終充填時に混合する。
【0024】
以下では、本発明の詳細を実施例で説明する。実施例1〜3はチキンブイヨン調味料であり、実施例4,5はビーフブイヨン調味料であり、実施例5はマトンブイヨン調味料であり、実施例7はポークブイヨン調味料である。
なお、本発明がこれらの実施例によって何ら限定されるものではないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0025】
(1)チキンエキスパウダーの作製
丸鶏10kgに対し水20kgを加え、約95℃の湯中で2時間抽出を行った。抽出後、ミストの除去および油液分離を行った液をBrix32まで濃縮し、チキンエキスとした。
水溶液の中に含まれる可溶性固形分を32%濃度(Brix32)まで濃縮したチキンエキスをスプレー乾燥にて粉末化した。具体的にはBrix32のチキンエキスを95℃で30分間の加熱殺菌を行った。その後、雰囲気温度180℃、排風温度80℃でスプレー乾燥を行い、チキンエキスパウダーを得た。
(2)野菜類との混合
鶏ムネ肉500gに対して、チキンエキスパウダー50gを添加した。その後更に、セロリ、タマネギ、ニンジンをミキサーにかけ野菜のペースト150gを加えた。原料をフードミキサーにて十分に混合を行った。
(3)ケーシングへの充填
混合後、混合物を非通水性のケーシング(幅100mm×長さ230mm)にスタッファーマシーンを用いて250g充填を行った。充填後は厚みを約20mmの均一なものとし、乾燥の偏りが無いようにした。充填後、95℃の温浴中で30分間加熱した。
(4)乾燥工程
通風乾燥機を用いて乾燥を行った。具体的には70℃で12時間高温乾燥後、15℃で12時間放置し、更に60℃で12時間乾燥を行い、続いて、15℃で12時間放置した。その時の水分は約30%程度であった。さらに、厚さ約1mmにスライスし60℃で4時間乾燥を行うことで最終水分5%以下にまで乾燥することができた。
(5)最終工程
乾燥粉末にブラックペッパー粉末を配合し、20gを不織布に充填し、粉末チキンブイヨン調味料を得ることができた。できあがった粉末チキンブイヨン調味料400gを熱湯水中で約3分間抽出したところ、高品質のチキンブイヨンを約2人分取ることができた。
【実施例2】
【0026】
(1)チキンエキスの作製
丸鶏10kgに対し水20kgを加え、約95℃の湯中で2時間抽出を行った。抽出後、ミストの除去および油液分離を行った液をBrix32まで濃縮し、チキンエキスとした。
(2)野菜類との混合
鶏ムネ肉500gに対して、チキンエキス45gを添加した。その後更に、ニンジンエキス、オニオンエキス、リークエキス、セロリエキスを10g、ローリエ0.2g、ブラックペッパー0.2g、タラゴン1.7gを加えた原料をフードミキサーにて十分に混合を行った。
(3)ケーシングへの充填
混合後、混合物を非通水性のケーシング(幅100mm×長さ230mm)にスタッファーマシーンを用いて250g充填を行った。充填後は厚みを約20mmの均一なものとし、乾燥の偏りが無いようにした。充填後、70℃の温浴中で30分間加熱した。
(4)乾燥工程
通風乾燥機を用いて乾燥を行った。具体的には70℃で12時間高温乾燥後、15℃で12時間放置し、更に60℃で12時間乾燥を行い、続いて、15℃で12時間放置した。その時の水分は約30%程度であった。さらに、厚さ約1mmにスライスし60℃で4時間乾燥を行うことで最終水分5%以下にまで乾燥することができた。
(5)最終工程
20gを不織布に充填し、粉末チキンブイヨン調味料を得ることができた。できあがった粉末チキンブイヨン調味料400gを熱湯水中で約3分間抽出したところ、高品質のチキンブイヨンを約2人分取ることができた。
【実施例3】
【0027】
(1)チキンエキスの作製
丸鶏10kgに対し水20kgを加え、約95℃の湯中で2時間抽出を行った。抽出後、ミストの除去および油液分離を行った液をBrix32まで濃縮し、チキンエキスとした。
丸鶏10kgに対し水20kgを加え、約95℃の湯中で2時間抽出を行った。抽出後、ミストの除去および油液分離を行った液をBrix32まで濃縮し、チキンエキスとした。
(2)野菜類との混合
鶏ムネ肉500gに対して、チキンエキス150gを添加した。その後更に、セロリ、タマネギ、ニンジンをミキサーにかけ野菜のペースト150gを加えた。原料をフードミキサーにて十分に混合を行った。
(3)乾燥工程
混合物を、4mmの厚みになるように調整し、真空乾燥機内で床温70℃、真空度7kPaにて3時間乾燥を行った。
(4)最終工程
粉砕機にて粉砕を行い濾過網にての分級を行った。分級にて得られた12メッシュを通過し、32メッシュ不通過のもの20gを不織布に充填し、粉末チキンブイヨン調味料を得ることができた。できあがった粉末チキンブイヨン調味料400gを熱湯水中で約3分間抽出することで高品質のチキンブイヨンを約2人分取ることが可能であった。
【実施例4】
【0028】
(1)ビーフエキスの作製
牛骨10kgに対し水20kgを加え、加圧加熱抽出110℃で1時間抽出を行った。抽出後ミストの除去および輸液分離を行った液をBrix32まで濃縮し、ビーフボーンエキスとした。
(2)野菜類との混合
牛もも肉400gに対して、ビーフボーンエキス76gを添加した。その後更に、セロリ、タマネギ、ニンジンをミキサーにかけ野菜のペースト64gを加えた。原料をフードミキサーにて十分に混合を行った。
(3)乾燥工程
混合物を、4mmの厚みになるように調整し、真空乾燥機内で床温70℃、真空度7kPaにて3時間乾燥を行った。
(4)最終工程
粉砕機にて粉砕を行い濾過網にての分級を行った。分級にて得られた12メッシュを通過し、32メッシュ不通過のもの20gを不織布に充填し、粉末ビーフブイヨン調味料を得ることができた。できあがった粉末ビーフブイヨン調味料を400gの微沸騰水中で約3分間抽出することで高品質のビーフブイヨンを約2人分取ることが可能であった。
【実施例5】
【0029】
(1)ビーフミートエキスの作製
牛肉ミンチ10kgに対し水10kgを加え、98℃の湯中で2時間抽出を行った。抽出後ミストの除去および輸液分離を行った液をBrix32まで濃縮し、ビーフミートエキスとした。
(2)野菜類との混合
牛もも肉400gに対して、ビーフミートエキス76gを添加した。その後更に、セロリ、タマネギ、ニンジンをミキサーにかけ野菜のペースト64gを加えた。原料をフードミキサーにて十分に混合を行った。
(3)乾燥工程
混合物を、4mmの厚みになるように調整し、真空乾燥機内で床温70℃、真空度7kPaにて3時間乾燥を行った。
(4)最終工程
粉砕機にて粉砕を行い濾過網にての分級を行った。分級にて得られた12メッシュを通過し、32メッシュ不通過のもの20gを不織布に充填し、粉末ビーフブイヨン調味料を得ることができた。できあがった粉末ビーフブイヨン調味料を400gの微沸騰水中で約3分間抽出することで高品質のビーフブイヨンを約2人分取ることが可能であった。
【実施例6】
【0030】
(1)マトンエキスの作製
羊骨10kgに対し水20kgを加え、98℃の湯中で3時間抽出を行った。抽出後ミストの除去および輸液分離を行った液をBrix32まで濃縮し、マトンボーンエキスとした。
(2)野菜類との混合
マトンレッグ肉500gに対して、マトンボーンエキス300gを添加した。その後更に、セロリ、タマネギ、ニンジンをミキサーにかけ野菜のペースト70gを加えた。原料をフードミキサーにて十分に混合を行った。
(3)乾燥工程
混合物を、4mmの厚みになるように調整し、真空乾燥機内で床温100℃、真空度7kPaにて3時間乾燥を行った。
(4)最終工程
粉砕機にて粉砕を行い濾過網にての分級を行った。分級にて得られた12メッシュを通過し、32メッシュ不通過のもの20gを不織布に充填し、粉末マトンブイヨン調味料を得ることができた。できあがった粉末マトンブイヨン調味料を400gの微沸騰水中で約3分間抽出することで高品質のマトンブイヨンを約2人分取ることが可能であった。
【実施例7】
【0031】
(1)ポークエキスの作製
豚骨10kgに対し水20kgを加え、加圧加熱抽出110℃で1時間抽出を行った。抽出後ミストの除去および輸液分離を行った液をBrix32濃縮し、ポークボーンエキスとした。
(2)野菜類との混合
豚もも肉400gに対して、ポークボーンエキス82gを添加した。その後更に、セロリ、タマネギ、ニンジンをミキサーにかけ野菜のペースト80gを加えた。原料をフードミキサーにて十分に混合を行った。
(3)乾燥工程
混合物を、20mmの厚みになるようにケーシングに充填・調整し、70℃熱水中で1時間の加熱を行った。その後、ケーシングを取去り70℃熱風中で12時間の乾燥を行った。次に切削機で約1mmの厚さになるように削り、再度60℃熱風中で1時間の乾燥を行い最終乾燥品とした。
(4)最終工程
粉砕機にて粉砕を行い濾過網にての分級を行った。分級にて得られた12メッシュを通過し、32メッシュ不通過のもの20gを不織布に充填し、粉末ポークブイヨン調味料を得ることができた。できあがった粉末ポークブイヨン調味料を400gの微沸騰水中で約3分間抽出することで高品質のポークブイヨンを約2人分取ることが可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のブイヨン調味料は、家庭での利用のみならず、調理工程を簡易化するためホテルやレストラン等の業務用途でも利用されることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る製造方法(チキンブイヨンの例)の実施態様の説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主原料の生肉に食肉エキスと野菜類を加えたものをペースト状にし、乾燥して得られるブイヨン調味料であって、天然原料のみを用いること、および、数分間で自然の香りとまろやかな味を有し、濁りがないブイヨンを抽出できることを特徴とするブイヨン調味料。
【請求項2】
主原料の生肉が鶏肉であり、食肉エキスが、鶏肉および/またはその骨から抽出されたチキンエキスである請求項1のブイヨン調味料。
【請求項3】
鶏肉に、胸肉、ササミまたは脱脂を行ったモモ肉を用いる請求項2のブイヨン調味料。
【請求項4】
前記乾燥前に、前記ペーストを加熱することで得られる請求項1ないし3のいずれかのブイヨン調味料。
【請求項5】
前記加熱前に、前記ペーストを均一な厚みに成型する請求項4のブイヨン調味料。
【請求項6】
前記乾燥は、熱風乾燥と冷却または室温放置を含有水分が5%以下になるまで行う請求項1ないし5のいずれかのブイヨン調味料。
【請求項7】
乾燥して得られたものを切削または粉砕して、通水性のフィルターバッグに入れた請求項1ないし6のいずれかのブイヨン調味料。
【請求項8】
自然の香りとまろやかな味を有し、濁りがないブイヨンを数分間で抽出できる天然原料のみを用いたブイヨン調味料の製造方法であって、主原料の生肉に食肉エキスと野菜類を練り込みペースト状にしてから乾燥するブイヨン調味料の製造方法。
【請求項9】
主原料の生肉が鶏肉であり、食肉エキスが、鶏肉および/またはその骨から抽出されたチキンエキスである請求項8のブイヨン調味料の製造方法。
【請求項10】
前記乾燥前に、前記ペーストを加熱することを特徴とする請求項8または9のブイヨン調味料の製造方法。
【請求項11】
前記加熱前に、前記ペーストを均一な厚みに成型することを特徴とする請求項8ないし10のいずれかのブイヨン調味料の製造方法。
【請求項12】
前記乾燥は、熱風乾燥と冷却または室温放置を含有水分が5%以下になるまで行うことを特徴とする請求項8ないし11のいずれかのブイヨン調味料の製造方法。
【請求項13】
乾燥後、得られたものを切削または粉砕して、通水性のフィルターバッグに入れることを特徴とする請求項8ないし12のいずれかのブイヨン調味料の製造方法。

【図1】
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