説明

ブテンの二重結合水素異性化

1−ブテンおよび2−ブテンを含むC4ストリームの2−ブテンへの好ましい転化率を得るためのプロセスが開示されている。そのプロセスに含まれているのは、C4ストリームを第一の水素ストリームと混合してフィードストリームを形成させる工程、そのフィードストリームを第一の水素異性化触媒の存在下に水素異性化させて、1−ブテンの少なくとも一部を2−ブテンへと転化させ、それによって水素異性化流出物を製造する工程、上端および下端を有する分留塔の中で水素異性化流出物を分離させて、上端における1−ブテン混合物、イソブタンおよびイソブチレンを含む塔頂流出物ストリーム、ならびに2−ブテンを含む塔底ストリームを形成させる工程、ならびに第二の水素異性化触媒を使用して塔の上端で1−ブテン混合物を水素異性化させる工程である。対応する装置もまた開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C4オレフィンの二重結合水素異性化を目的とする。
【背景技術】
【0002】
多くのプロセスにおいては、所定の分子の内部で二重結合を異性化させるのが望ましい。二重結合の異性化とは、分子の構造を変化させることなく、その分子の内部で二重結合の位置を移動させることである。これは、構造が変化する(最も典型的には、イソ形とノルマル形の間での相互変換を表す)、構造異性化とは区別される。構造異性化は、二重結合異性化とはまったく別な機構で進行する。構造異性化は、典型的には、促進酸性触媒(promoted acidic catalyst)を使用した場合に起きる。
【0003】
二重結合異性化には2種の基本タイプ、すなわち水素異性化と非水素異性化とがある。前者は、貴金属触媒(たとえばPtまたはPd)上で少量の水素を用い、中程度の温度で起きるが、それに対して後者は、水素を使用せず、典型的には塩基性金属酸化物触媒を用い、高温で実施される。
【0004】
中程度の温度における二重結合水素異性化は、内部オレフィン(たとえば、1−ブテンとは対極の2−ブテン)を最大化させるのに使用されることが多いが、その理由は、温度が低いところでは、熱力学的平衡が内部オレフィンに有利となるからである。この技術は、アルファオレフィンよりも内部オレフィンの方が好ましい反応の場合に使用される。プロピレンを製造するための2−ブテンのエチレノリシス(ethylenolysis)が、そのような反応の一例である。エチレノリシス(メタセシス(metathesis))反応は、
2−ブテン + エチレン →→ 2 プロピレン
の形である。混合ノルマルブテン(1−および2−ブテン)を反応させて2−ブテンを最大化させ、それによりプロピレンを最大化させる。エチレンおよび1−ブテンは反応しない。C4ノルマルオレフィンの混合物において、2−ブテンを最大化させることができれば、プロピレンへの反応も最大化されるであろう。
【0005】
周知のことであるが、二重結合水素異性化反応は、水素化反応と同時に起きる。多くの商業的用途において、高度に不飽和な分子(アセチレン類および/またはジエン類)を含むフィードストックは、水素の存在下に、担持された貴金属触媒の固定床で処理される。たとえば、貴金属触媒上でのブタジエンの反応は、次に示す反応シーケンスにまとめることができる。
【0006】
【化1】

【0007】
ブタジエンプラス水素の主たる水素化反応により、1−ブテンが生成される。これは、触媒上では高速で進行する(相対速度は1000に相当する)。水素の存在下では、1−ブテンを含む2種の反応が起きる。一つは、2−ブテンへの水素異性化である(相対速度、100)。この反応を進行させるためには水素が必要ではあるが、水素を消費することはない。もう一つの反応は、ノルマルブタンへの水素化である(相対速度、10)。最後の反応は、2−ブテンから直接ノルマルブタンへの水素化である。これは最も遅い反応(相対速度、1)であって、実質的には無視することができる。貴金属触媒上での通常の条件下においては、1−ブテンの転化の選択率は、2−ブテンへ90%、n−ブタンへ10%となることが期待される。後者はオレフィンが損失するということを意味しており、望ましくない。
【0008】
水素異性化および水素化反応が固定床反応器内で実施されることは公知である。米国特許第3,531,545号明細書には、二重結合異性化のためのプロセスおよび方法が記載されており、それは、1−オレフィンおよび少なくとも1種の硫黄含有化合物を含む炭化水素ストリームを水素と混合する工程、その混合炭化水素/水素ストリームを加熱して反応温度とする工程、そのストリームを貴金属触媒と接触させる工程、次いで反応生成物としての2−オレフィンを回収する工程が含まれている。その特許に記載されているプロセスでは、触媒の水素化の傾向を抑制し、それにより水素異性化を向上させるための添加剤として、硫黄を使用している。硫黄は、フィードの中に存在していても、フィードに添加しても、あるいは水素ストリームに添加してもよい、とされている。
【0009】
固定床水素化反応器と組み合わせて、炭化水素分留塔を使用することは公知である。米国特許第6,072,091号明細書においては、少なくとも一つの水素化反応ゾーンと組み合わせて蒸留塔を使用している。その水素化反応ゾーンは、蒸留塔の精留セクションに関連している。より詳しくは、炭化水素が塔の精留セクションから抜き出されて、その中に含まれるアセチレン系およびジオレフィン系炭化水素の少なくとも一部が水素化される。次いで、その反応ゾーンからの流出物が、蒸留塔の精留セクションの中に再導入される。
【0010】
触媒蒸留塔の内部で水素異性化反応を実施することは公知である。米国特許第5,087,780号明細書(アルガンブライト(Arganbright))には、混合C4炭化水素ストリーム中のブテンを異性化するためのプロセスが記載されている。1−ブテン、2−ブテン、および少量のブタジエンを含むストリームを、Pd触媒を含む触媒蒸留塔にフィードする。その塔には、少量の水素もフィードする。1−ブテンは、C4の中でも揮発性が最も高いので、塔頂へ移行し、それに対して、2−ブテンは揮発性が低いので、塔底へと移行する傾向がある。2−ブテンの濃度が高いゾーンに触媒を位置させると、2−ブテンから1−ブテンへの水素異性化が起きる。塔底にある残存の2−ブテンは、塔にリサイクルさせてもよい。フィード混合物の一部にイソブチレンがある場合には、それは1−ブテンに同伴して塔頂へ上がることになるであろう。
【0011】
米国特許第6,242,661号明細書には、ノルマルブテンからイソブチレンを分離させるためのプロセスが開示されている。このプロセスもまた、水素異性化反応を組み入れた触媒蒸留プロセスを採用している。ノルマルおよびイソブチレンの混合物を、少量の水素と共に塔にフィードする。その塔には、塔の内部の蒸留構造物の中に位置させたPd触媒が含まれている。このプロセスにおいては、触媒は、塔の上側のセクションに、複数の触媒床の中に配置されている。分留が起きると、イソブチレンが塔頂へ移行する。1−ブテン(これも揮発性成分である)もまた、イソブチレンに同伴して移行する傾向がある。その系では、構造異性化触媒を採用していないので、イソブチレンは影響を受けることなく塔の中を移行する。しかしながら、1−ブテン濃度が高い領域では水素異性化が起こり、1−ブテンが2−ブテンへと転化される。その2−ブテンは揮発性が低いので、塔底へと移行する。この方式では、1−ブテンが反応して2−ブテンとなって塔底へと移行するために、塔頂では比較的純度の高いイソブチレンが得られる。
【0012】
上述のプロセスではすべて、2−ブテンが濃縮されたストリームが得られる。プロピレンを形成させるための、2−ブテンのエチレノリシス(メタセシス)反応においては、イソブチレンは望ましいフィード成分ではないというのは公知のことである。イソブチレンとエチレンとは反応しないであろう。イソブチレンと2−ブテンとは反応して、プロピレンおよび2−メチル−2−ブテンを形成するであろう。この反応は、エチレノリシス反応のプロピレン選択率にはマイナスの影響を与え、望ましいものではない。したがって、多くの場合、エチレンと反応させるより前に、2−ブテンストリームからイソブチレンを除去しておくのが好ましい。
【0013】
触媒蒸留−デイソブチレナイザー(CD−DeIB:catalytic distillation-deisobutylenizer)を使用して、メタセシス(エチレノリシス)反応器のための2−ブテンストリームを製造することは公知である。先に引用した米国特許第6,242,661号明細書と同様に、CD−DeIBは、イソブチレンを塔頂から抜き出し、その一方で塔底から抜き出す2−ブテンのフローを最大化するが、それは、1−ブテンが水素異性化されて2−ブテンが形成されるからである。その塔には、典型的には、フィードポイントより上には触媒と分留構造物が交互に、そしてフィードポイントより下には分留構造物が含まれている。通常、その塔には約4個の触媒セクションを存在させる。水素はフィードポイントより下に加えて、それがフィードポイントに到達するより前に充分に分散されるようにする。
【0014】
この方式におけるCD−DeIBは、二つの機能を果たしている。それは、1−ブテンから2−ブテンへの水素異性化を行って、2−ブテンの回収率を改良し、プロピレンの生産を最大化するとともに、選択的水素化の後に残存している少量のブタジエンを水素化して、メタセシス触媒にとっての被毒物質であるブタジエンの含量を低下させる。CD−DeIB塔の中では、イソブタンとイソブチレンが揮発性が最も高い成分であって、塔内では塔頂へ移行する傾向がある。2−ブテンおよびn−ブタンは揮発性が最も低く、塔底へ移行する傾向がある。1−ブテンおよびブタジエンは揮発性が中程度であって、塔の操作条件に依存して、上昇または下降する。その塔が、1−ブテンが上昇するように設計されている場合には、それが触媒セクションに接触し、塔内における1−ブテン/2−ブテン平衡の限度まで、2−ブテンへと水素異性化される。1−ブテンの水素異性化により形成された2−ブテンは、下向きに移行して、残りの1−ブテンは依然として上向きに移行する。塔の分留セクションによって、1−ブテンから2−ブテンが分離される。
【0015】
CD−DeIBに入るブタジエンは、1−ブテンよりも揮発性がやや低い。ブタジエンの一部は上向きに移行して、触媒の上で水素化される。その水素化の主反応生成物は、1−ブテンである。しかしながら、上向きに移行したブタジエンの一部は、「完全に」水素化されてn−ブタンとなる。このことは、n−ブテンをロスすることとなり、その結果メタセシスユニットへのフィードをロスすることとなる。ブタジエンの幾分かは、主成分の2−ブテン生成物と共に、下向きに移行する。このブタジエンは、触媒と接触することはないので、反応しない。2−ブテンをメタセシスユニットにフィードする場合、ブタジエンは、塔底物中には極めてわずかなレベルでしか存在しえない。
【0016】
米国特許第6,420,619号明細書は、「バックエンド(back end)」触媒蒸留−水素化ユニットと触媒蒸留デイソブチレナイザーの両方を採用したプロセスを目的としている。このコンセプトでは、通常付随する固定床選択的水素化ユニットを、エチレンプラント分留系に置き換える。典型的には、C3、C4およびC5留分のための個別の固定床ユニットが存在していて、さらなる処理に先だって、アセチレン系およびジオレフィン系を除去して、低レベルとする。米国特許第6,420,619号明細書のシステムでは、ストリームクラッキング装置またはFCCユニットからのC3〜C6炭化水素フィードストックを使用している。「バックエンド」CDヒドロ(CDHydro)セクションにおいては、触媒蒸留塔を使用して、ブタジエン、メチルアセチレンおよびプロパジエンを含むストリーム中のアセチレン系およびジオレフィン系を水素化して、プロピレン製品ストリームを製造する。塔底物が、C4+ストリームを構成し、次いでそれが、デブタナイザー(debutanizer)も含めた分留システムに送られる。デブタナイザーからのC4塔頂ストリームは、CD−DeIBへ送られて、水素異性化が起きる。デブタナイザーへのC4フィードに加えて、メタセシスユニットの後の下流分留システムからの、C5+リサイクルが存在する。
【0017】
米国特許第6,420,619号明細書に開示されているシステムの三つの利点は、
1.メタセシスユニットからのC5+ストリームのリサイクルによって、ブテンのリサイクル転化率をより高くすることが可能となるが、その理由は、従来からのシステムでは、未転化の2−ブテンをメタセシス反応器へリサイクルさせることを目的とした、デプロピレナイザー(depropylenizer)からのC4側流を使用しているからである。
2.重質物を除去することにより、リサイクルストリーム中での蓄積が防止される。
3.微量のブタジエンをすべて選択的に除去するために使用することも可能な、デブタナイザー中で触媒を使用することが可能である。
【0018】
従来からのCD−DeIBシステムの一つの欠点は、大量の触媒を使用しなければならないことである。また別な欠点は、先にも述べたように、ブタジエンを飽和させる目的で、ブタジエンを触媒上に押し上げるように分留塔を設計しなければならないことにある。その結果、極めて高い環流比を有する、巨大で高価な塔が必要となる。第三の欠点は、塔の塔底物をメタセシスユニットのためのフィードストリームとして使用しようとすると、塔底物中の大量のイソブチレンを低下させる必要があり、その結果、リボイラおよびコンデンサにおける用役コストが極めて高くつくこととなる点にある。
【0019】
2−ブテンフィードストリームを得るための、CD−DeIBに代わる方法は、選択的水素化ユニットから下流側に固定床水素異性化ユニットを採用するシステムである。その選択的水素化ユニットはまず、ブタジエンを低レベルにまで除去する。次いで、その流出物のC4フィードストリームを、第二の固定床反応器にフィードして、水素を導入する。その固定床ユニットにおいては、ストリーム中の1−ブテンが水素異性化されて2−ブテンとなり、また残存している少量のブタジエンが反応する。次いでその流出物が、慣用される分留塔に入って、そこでイソブチレンおよびイソブタンが塔頂へ分離され、2−ブテンが塔底へと移行して、そこでそれが分離ドラムに入って、その中で過剰の水素がすべて抜かれる。残った塔底物が、メタセシスユニットのためのフィードとして使用される。このプロセスでは、CD−DeIBユニットの場合よりも、固定床におけるドライビングフォースがより高いために、必要とされる触媒が少なくてすむ。塔底流出物の中に、より大量のイソブチレンが行くことを許すように分留塔を設計することも可能であり、それによって、より小さな塔を使用することが可能となるため、用役および設備費の節約ができる。固定床システムの欠点は、回収されるn−ブテンの量が、CD−DeIBを使用した場合に比較して、やや少なくなる点である。
【0020】
米国特許第6,686,510号明細書は、4個の炭素原子を有する炭化水素留分から、高純度のイソブチレンおよびプロピレンを製造することを目的としている。その明細書に開示されているプロセスには、三つの連続の段階が含まれていて、それらは、1)1−ブテンから2−ブテンへの熱力学的平衡に達するまでの異性化を伴う、ブタジエンの選択的水素化、2)イソブチレンを含む塔頂留分と、2−ブテンおよびブタンを含む塔底留分への、蒸留による分離、および3)エチレンを用いた2−ブテン留分のメタセシスによるプロピレンの製造、である。
【0021】
【特許文献1】米国特許第3,531,545号明細書
【特許文献2】米国特許第6,072,091号明細書
【特許文献3】米国特許第5,087,780号明細書
【特許文献4】米国特許第6,242,661号明細書
【特許文献5】米国特許第6,420,619号明細書
【特許文献6】米国特許第6,686,510号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
このように、メタセシスユニットのためのフィードストリームとして使用するための、2−ブテンストリームを製造するための各種のシステムが公知である。先行する公知システムよりも改良された効率を有する、1−ブテンから2−ブテンへの選択的水素異性化のための方法および装置が開発されれば、有用となることであろう。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明においては、1−ブテンよりも2−ブテンへの選択率の方が高い、二重結合水素異性化プロセスが提供される。本発明は、所定のC4フィードストリームからの2−ブテンの収率を向上させ、ブタジエンの含有濃度が低い2−ブテンストリームを製造して、その結果として、たとえばメタセシスのような、それに続くプロセスにおける触媒のファウリング(fouling)を少なくすることができる。
【0024】
好ましい形態においては、本発明は、1−ブテンおよび2−ブテンを含むC4ストリームの、2−ブテンへの転化率を好ましいものとするためのプロセスであって、それには、そのC4ストリームを第一の水素ストリームと混合してフィードストリームを形成させる工程、第一の水素異性化触媒の存在下に、そのフィードストリームを水素異性化させて、その1−ブテンの少なくとも一部を2−ブテンに転化させ、それによって水素異性化流出物を製造する工程、分留塔においてその水素異性化流出物を分離して、その上端における1−ブテン混合物、イソブタンおよびイソブチレンを含む塔頂流出物ストリーム、および2−ブテンを含む塔底ストリームを形成させる工程、ならびに、第二の水素異性化触媒を使用して、その塔の上端でその1−ブテン混合物を水素異性化させて、塔底ストリーム中に追加の2−ブテンを得る工程、が含まれる。第二の水素異性化触媒を使用したこのさらなる水素異性化工程を排除したとすると1−ブテン濃度が最大となるような、塔の上側部分(at an elevation)で水素異性化が起きる。
【0025】
一つの好ましい実施態様においては、フィードストリームにブタジエンを含んでおり、その方法には、水素異性化より前にフィードストリームを水素化させる工程をさらに含んでいて、そのC4ストリームのブタジエン含量を約1重量%以下に低下させる。その第二の水素異性化触媒は通常、分留塔の内部に位置しており、多くの場合蒸留構造物の中に配置されている。
【0026】
また別な形態においては、その方法には、その塔底ストリームを適切なメタセシス反応物と混合してメタセシスフィードストリームを形成させる工程、そのメタセシスフィードストリームをメタセシス反応器にフィードする工程、および2−ブテンをそのメタセシス反応物と反応させて、メタセシス反応生成物を生成させる工程がさらに含まれる。通常、メタセシス反応物にはエチレンを含み、メタセシス反応生成物にはプロピレンを含む。
【0027】
場合によっては、そのフィードストリームにはC5およびより重質の成分が含まれていて、その方法には、分留するより前に、水素異性化流出物からC5およびより重質の成分を除去する工程がさらに含まれる。いくつかのケースにおいては、塔底ストリームまたはメタセシスフィードストリームを、そのメタセシスフィードストリームをメタセシス反応器に送るより前に精製する。
【0028】
さらにまた別な実施態様においては、第二の水素ストリームを水素異性化反応器に、第一の水素ストリームのフィードポイントよりも下流側でフィードする。いくつかのケースにおいては、第三の水素ストリームを、第二の水素ストリームのフィードポイントよりも下流側で、分留塔にフィードする。それらの水素ストリームの一つ、二つまたは三つ全部に、一酸化炭素がさらに含まれていてもよい。
【0029】
また別な形態においては、その方法には、より重質な成分からメタセシス反応生成物を分離して重質成分ストリームを形成させる工程と、その重質成分ストリームを水素異性化流出物と混合する工程とがさらに含まれる。
【0030】
通常、塔頂ストリームと塔底ストリームそれぞれには、少量の1−ブテンが含まれる。いくつかのケースにおいては、塔頂ストリーム中における1−ブテンの流量が、塔底ストリーム中における1−ブテンの流量よりも多い。また別なケースにおいては、塔底ストリーム中における1−ブテンの流量が、塔頂ストリーム中における1−ブテンの流量よりも多い。
【0031】
典型的には、その第一および/または第二の水素異性化触媒は、担体上の第VIIIA族金属を含む。いくつかのケースにおいては、金、銀およびアルカリ金属からなる群より選択される添加物もまた含まれる。それら第一および第二の触媒には、同一金属を含んでいても異なった金属を含んでいてもよく、担持量も、同じであっても異なっていてもよい。
【0032】
また別な実施態様は、1−ブテンおよび2−ブテンを含むフィードストリームの、2−ブテンへの転化率を好ましいものとするための装置である。その装置には、フィードストリーム中の1−ブテンの少なくとも一部を2−ブテンに転化させて水素異性化流出物を形成させるための第一の水素異性化触媒を含むように構成された水素異性化反応器、および上端および下端を有する分留塔を含む。その分留塔は水素異性化流出物を分離させて、上端で1−ブテン混合物を、イソブタンおよびイソブチレンを含む塔頂流出物ストリームを、ならびに2−ブテンを含む塔底ストリームを、形成させるように構成されている。水素異性化触媒段(hydroisomerization catalyst stage)が、分留塔の上端に配置されていて、1−ブテン混合物をさらに水素異性化して2−ブテンを生成させる。
【0033】
したがって、本発明には、いくつかの工程と、そのような一つまたは複数の工程のそれぞれ相互の間の関係と、以下の詳細な開示において説明するような要素の特徴、性質および関係を有する物品と、が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明は、従来公知の技術に比較して、C4ストリームから2−ブテンへの改良された収率を得るための、装置および方法を提供する。水素異性化反応のためのドライビングフォースが高いポイントに触媒段を有するデイソブチレナイザーよりも上流側で、固定床水素異性化反応器を使用する。これらの実施態様については、以下においてさらに詳しく説明する。
【0035】
図面を参照するが、まず図1には、C4フィードストリームから2−ブテンストリームを製造するための装置およびプロセスが示されている。このプロセス全体を10と名付ける。12と名付けたC4フィードストリームを、固定床水素異性化反応器22にフィードする。水素異性化反応器22への典型的なC4フィードストリームには、2〜50重量部の1−ブテン、2〜50重量部の2−ブテン、2〜50重量部のイソブチレン、2〜50重量部のイソブタン、2〜50重量部のn−ブタン、および0〜1重量部のブタジエンが含まれるが、重量部の合計が100である。多くの場合、ブタジエンは1500ppmw以下である。ストリーム16中の水素は、水素異性化反応器22に直接フィードするか、あるいはストリーム12と合流させてストリーム20を形成させる。水素異性化反応器22中で、各種好適な水素異性化触媒を使用して、1−ブテンを水素異性化させて2−ブテンとする。そのような触媒の例としては、アルミナ上に担持された貴金属(たとえば、Pd)が挙げられる。反応特性を調整するために、Ag、Auなどの金属添加物を使用することもできる。反応器圧力は、典型的には2〜30バールg(barg)、通常は5〜18バールgである。反応器入口温度は、典型的には80〜250゜F、通常は120〜180゜Fである。ストリーム26中の反応器流出物が、デイソブチレナイザー塔36にフィードされる。塔の温度は、典型的には80〜220゜F、通常は100〜160゜Fである。反応器の圧力は典型的には2〜12バールg、通常は3〜8バールgである。反応器流出物26は、場合によっては、ガス抜きをしてそのストリームから過剰の水素を除去してから、デイソブチレナイザー塔36にフィードしてもよい。デイソブチレナイザー塔36からの塔頂ストリーム38には、イソブチレンおよびイソブタン、ならびに少量の1−ブテンおよび2−ブテンが含まれる。塔底ストリーム40に、ほとんどの2−ブテンが含まれる。
【0036】
デイソブチレナイザー塔36中で、残存している1−ブテンを2−ブテンにさらに水素異性化させるために、デイソブチレナイザー塔36の上端37に、好ましくは単一の触媒段として、触媒セクション41が含まれる。水素異性化反応のためのドライビングフォースが高いセクションの中に、単一の触媒段を位置させることが重要である。塔の運転にもよるが、その位置は典型的には、デイソブチレナイザー塔36の上端37である。単一の触媒段は、塔内のドライビングフォースが高い位置で、残存している1−ブテンを反応させて、1−ブテンと2−ブテンの平衡混合物とするのに必要な、触媒の量である。使用する触媒のタイプは、水素異性化反応器22において使用される触媒と同一であっても、異なっていてもよく、1床または多床に組み入れることができる。この水素異性化反応で形成された2−ブテンは、デイソブチレナイザー塔36中を下向きに移行し、塔底ストリーム40として排出される。図1の実施態様は、デイソブチレナイザー塔36の中に触媒セクション41が含まれていない慣用されるシステムに比較して、C4フィードストリーム12の中にある1−ブテンを、より多く2−ブテンへと転化させる。
【0037】
触媒セクション41は、触媒セクション41が存在しないとすると1−ブテン濃度が最大となるであろう、デイソブチレナイザー塔36の上側部分に位置させるのが好ましい。典型的には、これは塔の頂部の近くである。具体的なシステムにおける、その触媒セクション41に適した高さを求めるためには、その分留装置の運転設定条件下で、水素異性化反応のためのドライビングフォースが最大となるポイントを求める。1−ブテンと2−ブテンとの間の反応は、式(1)で表すことができるが、ここでB1は1−ブテンであり、B2は2−ブテンであり、kb1はB1からB2への反応kであり、kb2はB2からB1への反応kである。
【0038】
【化2】

【0039】
反応の速度は、その反応剤の濃度に反応kを掛け算したものである。反応kの比、すなわち平衡係数Keqは、kb1とkb2との比に等しい。B1からB2への水素異性化によるB1の消失速度は次式で表される。
速度=−kb1[B1]+kb2[B2]
ここで、[B1]および[B2]はそれぞれ、1−ブテンおよび2−ブテンのモルパーセントである。B1からB2への転化のためのドライビングフォースは、両辺を−kb1で割り算をした、次式と定義することができる。
ドライビングフォース=[B1]−([B2]/Keq
このドライビングフォースの因子は、具体的なシステムの塔における位置の関数としてプロットすることが可能であって、これは、側留抜き出し位置のための最適ポイントを決めるのに好ましい方法である。
【0040】
次いで、図2を参照すると、C4フィードストリームから2−ブテンストリームを製造するための、また別な実施態様が示されていて、ここでは、触媒セクションがデイソブチレナイザーの中に含まれている。この実施態様においては、C5+化合物は、デイソブチレナイザー塔よりも上流側で除去される。さらに、複数の水素フィードストリームを使用するか、および/またはそれらの水素ストリームの一つまたは複数に少量の一酸化炭素を加えておくことによって、水素異性化反応の際のブタンの生成を最小限に抑制している。驚くべきことには、本願発明者らは、COが、ブテンからブタンへの水素化反応の禁止剤として作用しながらも、二重結合水素異性化反応を継続させていることを見出した。固定床反応器の長さ方向の複数の位置に、水素もしくは水素/CO混合物をフィードすることによって、フィードの中のブタジエンを水素化してブテンとしながらも、同時にブテンからブタンへの水素化を最小限に抑制する。H2およびCOを含む、一つまたは複数のストリームを使用することは、図1、3、および4に示された実施態様においても使用することが可能であることに注目されたい。
【0041】
図2に示されたシステムを、110と名付ける。112と名付けたC4フィードストリームを、固定床水素異性化反応器122にフィードする。水素だけ、もしくは水素と一酸化炭素との混合物、のいずれか含むストリーム116を、水素異性化反応器122に直接フィードするか、あるいは、ストリーム112と合流させてストリーム120を形成させる。場合によっては、水素および/または一酸化炭素を、反応器122の長さ方向のほぼ中央の第二の位置で、ストリーム121として反応器122に注入することも可能である。水素異性化反応器122の中で、1−ブテンが水素異性化されて2−ブテンとなり、反応器流出物ストリーム124を形成する。ストリーム124を第一の分留塔130にフィードする。その流出物ストリーム124は、場合によってはガス抜きをして過剰の水素を除去してから、第一の分留塔130にフィードしてもよい。第一の分留塔130の中で、C4化合物は、塔頂からストリーム132の中へと除去され、C5+化合物は、塔底物としてストリーム134の中へと除去される。水素化触媒床131は、「ガード床(guard bed)」と呼ばれるもので、残存しているブタジエンを水素化してブテンを生成させる。この反応のための水素は、反応器122における水素異性化からの、残余水素であるのが好ましい。
【0042】
次いでストリーム132は、デイソブチレナイザー塔136にフィードされる。デイソブチレナイザー塔136からの塔頂ストリーム138は、イソブチレンおよびイソブタン、ならびに少量の1−ブテンおよび2−ブテンを含む。その塔底ストリーム140には、2−ブテンが含まれる。デイソブチレナイザー塔136中のフィードポイントより上側に、デイソブチレナイザー塔136中に触媒セクションが存在しないとすると1−ブテン濃度が最大となる、デイソブチレナイザー塔136の上端137の高さが存在する。触媒セクション141をこの位置に置いて、さらなる1−ブテンを水素異性化して2−ブテンを形成させる。その触媒セクション141の位置は、図1の実施態様の場合と同様、すなわち水素異性化が起きないとしたときに水素異性化反応のためのドライビングフォースが最大となるような高さを選択するのが好ましい。これは、B1−(B2/Keq)が最大となる高さである。
【0043】
次いで、図3を参照すると、プロピレンを製造するためのプロセスが示されていて、ここでは、塔の頂部近くに単一の触媒段を有するDeIBよりも上流側で、固定床水素異性化反応器を使用している。図3に示されたシステムを、210と名付ける。212と名付けたC4フィードストリームが、選択的水素化ユニット213の中を通過するが、そのユニットで水素化触媒の存在下にブタジエンを水素化して、低ブタジエンのC4フィードストリーム214を製造する。ストリーム214を、固定床水素異性化反応器222にフィードする。ストリーム216中の水素は、水素異性化反応器222に直接フィードするか、あるいはストリーム214と合流させてストリーム220を形成させる。場合によっては、水素ストリーム216の中に一酸化炭素が含まれるようにする。水素、および場合によってはさらに一酸化炭素を、反応器222の長さ方向で約1/3の第二の位置にストリーム221として、および反応器222の長さ方向で約2/3の第三の位置にストリーム223として、反応器222に注入することもできる。複数の注入ポイントを使用する場合には、ストリーム216の中に導入する水素および任意成分の一酸化炭素の容積を減じて、水素とCOの全体量が、所望の結果を得るのに必要な量を超えないようにする。水素を二つの異なったフィードポイントに分散させる利点は、反応器222の中でブタンが生成するのを抑制する点にある。ストリーム216および/または223に一酸化炭素を加えることの利点は、水素異性化反応を進行させながらも、水素化反応を抑制できる点にある。
【0044】
混合H2/COストリームを単一なポイントで注入する場合には、そのCOとH2は、水素異性化反応器よりも上流側の単一のポイントで注入するのが好ましい。この場合、CO対H2の比(CO to H2 ratio)は、モルベースで0.1%〜3%の間、より好ましくは0.1〜0.5%、典型的にはモルベースで0.2〜0.4%である。図2および3に示したような、複数の注入を使用する場合には、水素は、水素異性化反応器中における触媒の容積全部が活性状態にあるように、それぞれのフィードポイントで配分するのが好ましい。それぞれの注入ポイントにおけるCO対H2の比は、他の注入ポイントと同じようにするのが好ましいが、必ずそうしなければならないという訳ではない。複数のストリームの内の一つが、水素しか含んでいないということもあり得る。水素を分散フィードすることおよび一酸化炭素を加えることは、図1〜4の実施態様のいずれにおいても、採用することができる。
【0045】
水素異性化反応器222の中では、1−ブテンが水素異性化されて2−ブテンとなる。その反応器の流出物ストリーム224を、メタセシスリサイクルストリーム227と合流させて、ストリーム226を形成させる。その流出物ストリーム224は、場合によってはガス抜きをして過剰の水素を除去してから、メタセシスリサイクルストリーム227と合流させてもよい。ストリーム226をデイソブチレナイザー塔236にフィードする。デイソブチレナイザー塔236中のフィードポイントより上側に、触媒セクションが存在しないとすると1−ブテン濃度が最大となる、デイソブチレナイザー塔236の上端237の高さが存在する。触媒セクション241は、単一の触媒段であるのが好ましく、この位置に配置して、残存する1−ブテンを水素異性化させて2−ブテンとする。デイソブチレナイザー塔236からの塔頂ストリーム238には、イソブチレンおよびイソブタン、ならびに少量の1−ブテンおよび2−ブテンが含まれる。塔底ストリーム240に、ほとんどの2−ブテンが含まれる。ストリーム240のブタジエン含量は、好ましくは重量基準で50ppm未満、より好ましくは重量基準で10ppm未満とするが、その理由は、ブタジエンはメタセシス触媒にとっての被毒物質であるからである。ストリーム240は、場合によっては、一つまたは複数のガード床243の中で精製される。エチレンフィードストリーム242を塔底ストリーム240と合流させて、メタセシス反応器フィードストリーム244を形成させる。このストリームがメタセシス反応器246に入り、その中で、2−ブテンとエチレンとを反応させて、メタセシス反応生成物ストリーム248を形成させる。
【0046】
メタセシス反応生成物ストリーム248には、プロピレン、ブテンおよびC5+炭化水素が含まれる。分離器250中で、より重質の炭化水素からプロピレンを分離させ、ストリーム252の中に、反応生成物として除去する。C4、C5、およびより重質な炭化水素は、メタセシスリサイクルストリーム227の中にリサイクルさせ、ストリーム224と合流させてストリーム226とする。
【0047】
図4は、C4ストリームからプロピレンを製造するためのシステム310を示している。C4フィードストリーム312を、選択的水素化ユニット313の中を通過させて、水素化触媒の存在下にブタジエンを水素化させ、低ブタジエンのC4フィードストリーム314を製造する。水素ストリーム316を、ストリーム314と合流させて、ストリーム320を形成させる。ストリーム320を固定床水素異性化反応器322にフィードして、1−ブテンを水素異性化させて2−ブテンとする。別な方法においては、ストリーム314と316を別々に、水素異性化反応器322にフィードすることも可能である。その流出物ストリーム324をメタセシスリサイクルストリーム327と合流させて、ストリーム326を形成させ、それを分留塔330にフィードする。流出物ストリーム324は、場合によってはガス抜きをして過剰の水素を除去してから、リサイクルストリーム327と合流させてもよい。分留塔330の中で、C4化合物は、塔頂からストリーム332の中へと除去され、C5+化合物は、塔底物としてストリーム334の中へと除去される。水素化触媒床331は、「ガード床」と呼ばれるもので、残存しているブタジエンを水素化してブテンを生成させる。
【0048】
次いでストリーム332は、デイソブチレナイザー塔336にフィードされる。デイソブチレナイザー塔336中のフィードポイントより上側に、触媒セクションが存在しないとすると1−ブテン濃度が最大となる、デイソブチレナイザー塔336の上端337の高さが存在する。触媒セクション341は、単一の触媒床であるのが好ましいが、この位置に配置して、1−ブテンを水素異性化させて2−ブテンとする。デイソブチレナイザー塔336からの塔頂ストリーム338には、イソブチレンおよびイソブタン、ならびに少量の1−ブテンおよび2−ブテンが含まれる。その塔底ストリーム340には、2−ブテンが含まれる。ストリーム340は、場合によっては、一つまたは複数のガード床343の中で精製する。エチレンフィードストリーム342を塔底ストリーム340と合流させて、メタセシス反応器フィードストリーム344を形成させる。このストリームがメタセシス反応器346に入り、その中で、2−ブテンとエチレンとを反応させて、メタセシス反応生成物ストリーム348を形成させる。
【0049】
メタセシス反応生成物ストリーム348には、プロピレン、ブテンおよびC5+炭化水素が含まれる。分離器350中で、より重質の炭化水素からプロピレンを分離させ、ストリーム352の中に、反応生成物として除去する。C4、C5、およびより重質な炭化水素は、メタセシスリサイクルストリーム327の中にリサイクルさせ、ストリーム324からのデブタナイザーフィードと合流させて、ストリーム326とする。
【0050】
図1〜4の実施態様において、デイソブチレナイザーの中に単一の触媒段が含まれていることによって、水素異性化反応器において使用されるフィードの1−ブテンから2−ブテンへの転化を少し低下させ、それによって、ブテンからブタンへの転化を低くすることが可能となる。その結果として、デイソブチレナイザーから出て行くブテンが増え、所定の量のC4フィードから製造されるプロピレンの比率が高くなる。この場合もやはり、1−ブテンの大部分は固定床水素異性化反応器の中で転化されているが、その理由については実施例のところで説明する。
【0051】
本発明は、ストリームクラッキング装置のC4ストリームおよびリファイナリー(refinery)のC4ストリームを処理するためには、特に有用である。典型的には、スチームクラッキング装置のC4ストリームには、かなりの量のブタジエンが含まれており、そのため、水素異性化反応器より上流側に、ブタジエンの大部分をブテンに転化させるための選択的水素化ユニットを加えておくことが必要となる。リファイナリーのC4ストリームは、ブタジエン含量が低く、水素異性化ユニットの内部で処理することが可能であるため、選択的水素化ユニットを加える必要はない。デイソブチレナイザーより上流側に分留装置を加えると、C4に同伴されてシステムに入ってくる重質物質を除去することが可能となる。リファイナリーのC4ストリームにはジメチルジスルフィド(DMDS)およびジエチルジスルフィド(DEDS)などの重質硫黄化合物が含まれていることが多いが、それらはいずれも、図2および4に示したように、第一の分留塔で除去することが可能である。
【実施例】
【0052】
実施例においては、以下の表1に示したような組成を有する単一のC4フィードストリームのための、各種の処理方法を示す。このストリームは、典型的には、ストリームクラッキング装置のC4ストリームから発生したものである。別な方法として、そのC4ストリームはFCCユニットからのものであってもよいし、あるいはそれら2種のものの混合物であってもよい。
【0053】
【表1】

【0054】
このメタンは、上流側の選択的水素化ユニットからの可溶性メタン(soluble methane)であるが、そのユニットでは、幾分かのメタンを含む水素ストリームを使用して、ブタジエンを、フィード中の約45,000ppmw(重量基準のppm)から、流出物中では1300ppmwにまで低下させている。選択的水素化工程の結果として、2−ブテンの合計が26.63重量%、1−ブテンが11.63重量%となる。これは、2−ブテン対1−ブテンの比率(2-butene to 1-butene ratio)としては2.29ということになる。これは、公称水素異性化反応器温度60℃における水素異性化平衡比とは、大幅に異なる。60℃における2−ブテン対1−ブテンの平衡比は21.6である。
【0055】
これらの実施例で使用される水素は、95重量%の水素と5重量%のメタンの混合物からなり、その分子量は2.11である。
【0056】
固定床水素異性化反応器においては、1−ブテンを反応させて2−ブテンを生成させ、残存していたブタジエンを水素化させて1−ブテンとする。フィード中の1−ブテン(および/またはブタジエンから生成した1−ブテン)をn−ブタンとする反応もまた存在する。選択率は、n−ブタンに転化された、転化された1−ブテンの比率と定義される。この具体的な実施例においては、1−ブテンと2−ブテンの平衡混合物から、1−ブテンの転化率は84.9%ということになるであろう。ただし、単一のステップでは、平衡の限度があるために、完全な転化率に達することは不可能である、ということに注目されたい。
【0057】
図5は、担持されたPd触媒を含む水素異性化反応器におけるC4ストリームの反応の転化率/選択率を示したものである。図5は、単一の純粋な水素のフィードを使用した場合の性能と、水素異性化反応器の複数のフィードポイントで、水素に少量のCOを併用して得られる改良とを示している。長さ10ft×内径4.5ftの水素異性化反応器で、単一の水素注入ポイントを使用した場合、1−ブテンへの転化率は65%、n−ブテンへの選択率は6.7%である。ブタンへの選択率は、生成した全ブタンを、転化された1−ブテンで割り算したものと定義される。先に述べたように、通常の条件下においては、1−ブテンが2−ブテンへと水素異性化されると同時に、ブタンも生成する。2カ所からの水素/COフィードを使用すると、その反応速度がやや抑制されて、ブタンへの選択率が低下する。より多くの触媒を含む、長さ15ft×内径4.5ftの水素異性化反応器を使用すると、転化率が改良されて79%となり、n−ブタンへの選択率は5.4%となる。示されたフィードストックおよび反応器の温度では、平衡転化率(ブタンへの水素化は除く)は84.9%である。
【0058】
デイソブチレナイザー内の触媒段の位置を適切に決めることが重要である。その位置は、水素異性化反応のためのドライビングフォースが最大となるポイントとするのが好ましい。この位置は、固定床のみを使用した(DeIB中に触媒段なし)塔の組成プロファイルを検討することにより決められる。比較例1の場合のDeIBにおける組成プロファイルを図6に示している。これから判るように、塔の大部分においては、その比率が平衡よりも低く、1−ブテンから2−ブテンへの反応に有利となる可能性があることを示している。このことは、2−ブテンが分留分離されて、塔の底部へと移行していった結果である。
【0059】
図7には、定義された「ドライビングフォース」を示している。これから判るように、触媒段として有力な位置は、9段〜29段の間、最適な位置は18段である。この位置は、フィードストックの特性および分留運転条件に依存して変化するであろう。しかしながらその位置は、DeIB中に触媒段がない場合の組成プロファイルから求められる最大値の少なくとも85%、より好ましくは最大値の90%のドライビングフォースがある好適な位置である、最適なドライビングフォースのポイントまたはその近傍とするのが望ましい。典型的には、1−ブテンの転化の少なくとも50%が固定床反応器内で起こり、残りの転化が第二の水素異性化触媒の上で起きる。
【0060】
<比較実施例1(比較例)−慣用されているCD−DeIB塔>
3種の異なった慣用されているCD−DeIB塔へ上述の組成を有するフィードストリームをフィードした場合についての、精巧なコンピュータシミュレーションを実施した。合計して10109ポンド/時間の1−ブテンがフィード中に存在している。それに加えて、22235ポンド/時間の2−ブテンおよび116ポンド/時間のブタジエンも存在している。第一の塔である塔1Aは、94段の平衡段からなり、還流比(環流対フィード(reflux to feed))が4.5であった。この塔には、2042ft3の触媒蒸留構造物中に、23581ポンドの触媒が含まれていた。このことは、塔にフィードされた1−ブテンの重量あたり、触媒が2.3重量というおよその空間速度であることを示している。塔の残りの部分には、高効率の分留用充填物が充填されていた。必要とされるブタジエンの水素化および1−ブテンの水素異性化を与えるために、水素を触媒床の下およびフィードの下に添加した。第二の塔である塔1Bは、129段の平衡段からなり、還流比(環流対フィード)が4.5であった。35段を追加することによって、より良好な分離が達成されることに役だった。この塔においても、2042ft3の構造物中に、23581ポンドの触媒が含まれていた。塔の残りの部分には、高効率の分留用充填物が充填されていた。必要とされるブタジエンの水素化および1−ブテンの水素異性化に用いるための、水素を加えた。塔1Cと呼ぶ、第三の塔は、94段の平衡段からなり、還流比(環流対フィード)6.20で運転した。環流を多くすると分留は改良されるが、用役がさらに多量に必要となる(リボイラおよびコンデンサの負荷)。この塔においても、2042ft3の構造物中に、23581ポンドの触媒が含まれていた。塔の残りの部分には、高効率の分留用充填物が充填されていた。必要とされるブタジエンの水素化および1−ブテンの水素異性化に用いるための、水素を加えた。
【0061】
従来技術のCD−DeIB塔においては、分留と水素異性化とが並行して進行する。複数の段において、1−ブテンが反応して2−ブテンを生成するが、同時に2−ブテンが分留によって下向きに移行し、1−ブテンが分留によって上向きに移行する。そのために、その混合物が塔内を上向きに移行していながら、その反応混合物は常に分留によって平衡から外れる方向に向かい、反応によって平衡の方向に向かう。高い転化率を達成するためには、分留段が複数あることに対応させるために、複数の反応段が必要となる。その結果、大量の触媒が必要となる。この筋道は3本の塔のいずれにおいても起きる。
【0062】
3本の塔のすべてにおいて、そのフィードストックは表1に示されているものである。このフィードの中には、かなりの量の1−ブテンおよびブタジエンが存在している。高い2−ブテン留分と、最小量のブタジエンを含む塔底ストリームを製造できるようにすることが、設計の目的である。先に論じたように、1−ブテンは塔の中で上昇する傾向があり、ブタジエンは低い方へ移行する傾向がある。このことは、低ブタジエンの混合物を得るためには、分留条件を変更しなければならないという点で、塔の性能に関しては重要なことである。
【0063】
表2に見られるように、塔1Aにおいては、メタセシスプロセスに望ましいような、塔底におけるn−ブテンの高い回収率を達成するには、分留が不十分であった。ブタジエンを塔内で上昇させて、水素化/水素異性化触媒の上に移行させるためには、塔頂での流出速度を増加しなければならなかった。流出物におけるブタジエンを10ppmにまで下げるには、このことが必要であった。塔頂での製品フローを高くすると、塔頂からかなりの量の2−ブテンが失われる。塔底物生成物におけるブタジエンのレベルを低く抑えるためには、塔底物におけるn−ブテンとしての回収率はフィードの76.1%であった。塔頂から顕著な量の2−ブテンが失われていた。ブタジエンを塔頂へ押し上げなければならないという場合、大量の水素化が起きて、ブタンへの選択率が高くなってしまう、ということに留意することもまた重要である。これは望ましいことではない。
【0064】
塔1Bにおいては、分留段数の増加(94に対して129段)を利用して、回収率を改良した。回収率は向上して91%となった。このケースでは、分留塔における資本経費(capital cost)をより多くする必要が生じる。
【0065】
塔1Cでは、分留性能を改良するために、環流を利用していた。このケースにおいては、より高い還流比(4.5に対して6.2)が使用された。これにより、回収率が改良されて、93.8%となった。しかしながら、このケースでは、塔内での移動が多くなるために、塔の直径を大きくする必要が生じて、資本経費がさらに必要となった。さらに、リボイラおよびコンデンサの負荷がより高くなるために、エネルギー必要量がより大きくなった。
【0066】
【表2】

【0067】
<比較実施例2>
比較例1に使用したフィードストリームと同一の組成を有するフィードストリームを、長さ10ft×内径4.5ftの固定床水素異性化ユニットに送った場合についての、精巧なコンピュータシミュレーションを実施した。固定床に続けて、その流出物を分留塔に流して、イソブチレンおよびイソブタンを2−ブテンおよびn−ブタンから分離した。その分留塔では、触媒は採用していない。固定床の後の塔は、理論段が94段で、還流比が4.5であった。シミュレートした反応器は、単一の水素フィード(COなし)の固定床であって、図5に示したような、6.7%の1−ブテン飽和を有していた。リボイラとコンデンサの負荷は、還流比によって決まってくるので、比較例1におけるCD−DeIB塔1Aの場合と同等であった。そのプロセスでは、1−ブテンの65%転化率が得られた(比較例2)。それらの結果を表3に示す。ノルマルブテン(1−ブテンおよび2−ブテン)の総合的な回収率は90.3%である。ノルマルブテンを総合した主なロスは、塔頂における1−ブテンであるが、それは、固定床反応器だけを使用したので、1−ブテンの転化率が低くなったためである。しかしながら、この回収率は同一の分留条件下のCD−DeIBの場合よりは高いが、その理由は、固定床反応器における転化の結果として、分留塔へのフィードにおいて、2−ブテン含量がより高くなり、1−ブテンとブタジエンの含量がより低くなったからである。この性能は、従来技術の固定床に分留塔システムを加えた場合の性能を代表するものである。
【0068】
<実施例2A−デイソブチレナイザーへの触媒段の追加;水素異性化反応器における水素の単一フィード>
比較例2の手順を繰り返したが、ただし分留塔の塔頂近くの、第18段に単一の触媒段を追加した。その結果、塔底物におけるn−ブテンの%フィードが、90.3%(比較例2)から97.96%(実施例2A)に改良された。この実施例においては、単一水素フィード(かつ、COなし)を使用した固定床水素異性化反応器が、1−ブテンの66%を2−ブテン(およびn−ブタン)に転化させていた。固定床の後では、そのフィードストック混合物は、3521ポンド/時間の1−ブテン、29179ポンド/時間の2−ブテン、および1.2ポンド/時間のブタジエンからなっていた。塔内の適切な位置に単一の触媒段を組み入れることによって、さらに2602ポンド/時間の1−ブテンが転化される。このことによって、総合的な転化率が上昇して91%となる。さらに、塔に入るフィードストックの組成が決まれば、追加のさらなる分留トレーや高い環流比を用いる必要なく、全ノルマルブテンの高い回収率(97.96%)が得られる、好ましい分留条件が存在する。
【0069】
<実施例2B−デイソブチレナイザーへの触媒段の追加;水素異性化反応器における水素およびCOのスプリットフィード>
実施例2Aの手順を繰り返したが、ただし、水素異性化反応器の長さ方向で異なった二つの箇所へ水素とCOを組み合わせたフィードを加え、シミュレートした反応器は、二つの水素/COフィードを使用した固定床であったが、その結果、その固定床における79%の転化率と、5.4%の1−ブテン飽和が実現された。これは、実施例2Bである。それらの結果を次の表3に示す。
【0070】
【表3】

【0071】
実施例2Aおよび2Bは、触媒蒸留に比較して、改良された性能を示している。比較例1の(CD−DeIB)塔1Aおよび固定床の慣用される塔システム(比較例2)。同等の分留条件においては、回収率が顕著に高い。さらに、CD−DeIBに比較すると、触媒容積が相当に低い。H2/COをスプリットさせたケースでは、ブテンからn−ブタンへのロスが低下した(選択率が改良された)結果として、回収率が97.96%(実施例2A)から98.2%(実施例2B)へと上昇している。この実施例では、実施例2Aよりも多くの触媒を必要としているが、実施例2Aと実施例2Bのいずれもが、比較例1のCD−DeIBのケースよりは、必要とされる触媒量が実質的に低い。固定床が、水素異性化反応のほとんどを遂行していた。固定床において二つの水素/COフィードを使用すると、ブタンの選択率が5.4%で、転化率が79%であった。単一の触媒段が転化率を向上させたが、その理由は、塔の中で1−ブテンの2−ブテンからの分離が存在し、それによって、触媒セクションにおいてさらなる反応が可能となったからである。1−ブテンの反応のその部分は、最小限の水素化で進行したので、総合的な選択率は4.9%まで低下している。
【0072】
これから判るように、デイソブチレナイザーの中で単一の触媒段を使用することによって、固定床だけでその後に慣用されるDeIB塔がある場合よりもn−ブテンの回収率が高くなる。いずれのケースにおいても、固定床を選択した場合の触媒コストは、比較例1の場合よりも低い。水素異性化のドライビングフォースが最大となるポイントでは、その単一の触媒セクションを最大限に活用できる。
【0073】
要約して、塔底においてブタジエンが10ppmとなるケースについて、同一の分留条件(94理論段、および還流比=4.5)での比較を表4に示す。
【0074】
【表4】

【0075】
当業者には自明のことではあるが、上に開示されたものおよびその他の特徴および機能、またはそれらの代替を、望むままに組み合わせて、各種のその他異なったシステムまたは用途に適用することが可能である。さらに、各種の、現時点では不明または予見不能な、それらの代替、修正、変形形態または改良が、後ほど当業者によって実施されることもありうるが、それらのものもまた、上記の特許請求項に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】2−ブテンストリームを製造する、第一の実施態様の概略図である。
【図2】C4化合物の分留よりも前にC5+化合物を除去しておく、2−ブテンストリームを製造する、第二の実施態様の概略図である。
【図3】2−ブテンストリームを製造して、メタセシス反応におけるフィードストリームとして使用する実施態様の概略図である。
【図4】2−ブテンストリームを製造して、メタセシス反応におけるフィードストリームとして使用する、また別の実施態様の概略図である。
【図5】1−ブテンを2−ブテンへと水素異性化する際の、転化率および選択率のプロファイルを示すグラフである。
【図6】固定床反応器よりも下流側に位置するデイソブチレナイザーにおける、1−ブテン対2−ブテンの比率を示すグラフである。
【図7】分留塔内に触媒蒸留段を有さない、デイソブチレナイザーにおける各段における、ドライビングフォースを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−ブテンおよび2−ブテンを含むC4ストリームの2−ブテンへの好ましい転化率を得るためのプロセスであって、
前記C4ストリームを第一の水素ストリームと混合して、フィードストリームを形成させる工程と、
第一の水素異性化触媒の存在下に、前記フィードストリームを水素異性化させて、前記1−ブテンの少なくとも一部を2−ブテンに転化させ、水素異性化流出物を生成させる工程と、
上端および下端を有する分留塔内で前記水素異性化流出物を分離させて、前記上端における1−ブテン混合物、イソブタンおよびイソブチレンを含む塔頂流出物ストリーム、ならびに2−ブテンを含む塔底ストリームを得る工程と、
前記塔の前記上端における前記1−ブテン混合物を、第二の水素異性化触媒を使用して水素異性化させて、前記塔底ストリームの中にさらなる2−ブテンを得る工程と、
を含むプロセス。
【請求項2】
前記C4ストリームが、約1重量%以下の濃度でブタジエンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記C4ストリームがブタジエンを含み、水素異性化より前に前記C4ストリームを水素化させて、ブタジエン含量を約1重量%以下に減少させる工程をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第二の水素異性化触媒を、第二の水素異性化触媒が存在しないとすると1−ブテン対2−ブテンのモル比が最大となるような、前記塔の中の上側部分に位置させる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第二の水素異性化触媒が前記分留塔の内部に位置される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記触媒が、蒸留構造物の内部に位置される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記塔底ストリームを適切なメタセシス反応物と混合してメタセシスフィードストリームを形成させる工程と、前記メタセシスフィードストリームをメタセシス反応器にフィードする工程と、前記2−ブテンを前記メタセシス反応物と反応させてメタセシス反応生成物を形成させる工程と、をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記塔底ストリームを適切なメタセシス反応物と混合してメタセシスフィードストリームを形成させる工程と、前記メタセシスフィードストリームをメタセシス反応器にフィードする工程と、前記2−ブテンを前記メタセシス反応物と反応させてメタセシス反応生成物を形成させる工程と、をさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項9】
前記メタセシス反応物がエチレンを含み、前記メタセシス反応生成物がプロピレンを含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記フィードストリームがC5およびより重質の成分を含み、前記分留塔において前記水素異性化流出物を分離させるより前に、前記水素異性化流出物から前記C5およびより重質の成分を除去する工程をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記メタセシスフィードストリームを前記メタセシス反応器にフィードするより前に、前記塔底ストリームおよび前記メタセシスフィードストリームの一つを精製する工程をさらに含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項12】
前記第一の水素ストリームのフィードポイントよりも下流側の位置で、前記水素異性化反応器に第二の水素ストリームをフィードする工程をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記第二の水素ストリームのフィードポイントよりも下流側の位置で、前記水素異性化反応器に第三の水素ストリームをフィードする工程をさらに含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第一の水素ストリームが一酸化炭素をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記第一および第二の水素ストリームの少なくとも一方が、一酸化炭素をさらに含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項16】
前記第一および第二の水素ストリームの少なくとも一方が、一酸化炭素をさらに含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
前記メタセシス反応生成物を重質成分から分離させて、重質成分ストリームを形成させる工程、および前記重質成分ストリームを前記水素異性化流出物と組み合わせる工程をさらに含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項18】
前記第二の水素異性化触媒を、1−ブテンを2−ブテンへと水素異性化させるためのドライビングフォースが、リサイクルストリームをまったく抜き出さないとした場合の前記塔の内部における最大ドライビングフォースの少なくとも85%となるような、前記分留塔中の上側部分に位置させる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記第二の水素異性化触媒を、1−ブテンを2−ブテンへと水素異性化させるためのドライビングフォースが、リサイクルストリームをまったく抜き出さないとした場合の前記塔の内部における最大ドライビングフォースの少なくとも90%となるような、前記分留塔中の上側部分に位置させる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項20】
1−ブテンの転化の少なくとも50%が、第二の水素異性化触媒を含む分留塔よりも上流側の、前記第一の水素異性化触媒を含む固定床反応器の中で起こり、残りの転化が前記第二の水素異性化触媒の上で起きる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項21】
前記第一の水素異性化触媒が、担体上に担持させた第VIIIA族金属を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項22】
前記第一の水素異性化触媒が、金、銀、およびアルカリ金属からなる群より選択される添加物をさらに含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記第二の水素異性化触媒が、担体上に担持させた第VIIIA族金属を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項24】
前記第二の水素異性化触媒が、金、銀、およびアルカリ金属からなる群より選択される添加物をさらに含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記第一および第二の水素異性化触媒が、別々の金属を含んでいる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項26】
前記第一および前記第二の水素異性化触媒が、別々の金属配合物を含んでいる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項27】
ブタジエン、1−ブテンおよび2−ブテンを含むC4ストリームからプロピレンを製造するプロセスであって、
前記C4ストリームを第一の水素ストリームと混合して、ブタジエンを水素化させて、ブタジエン含量が1重量%以下であるフィードストリームを形成させる工程と、
第一の水素異性化触媒の存在下に、前記フィードストリームを水素異性化させて、ブタジエンを水素化しながら、前記1−ブテンの少なくとも一部を2−ブテンに転化させ、水素異性化流出物を生成させる工程と、
上端および下端を有する分留塔内で前記水素異性化流出物を分離させて、前記上端における1−ブテン混合物、イソブタンおよびイソブチレンを含む塔頂流出物ストリーム、ならびに2−ブテンを含む塔底ストリームを得る工程と、
前記塔の前記上端における前記1−ブテン混合物を、第二の水素異性化触媒を使用して水素異性化させて、前記塔底ストリームの中にさらなる2−ブテンを得る工程と、
前記塔底ストリームをエチレンと混合して、メタセシスフィードストリームを形成させる工程と、
前記メタセシスフィードストリームをメタセシス反応器にフィードし、前記2−ブテンを前記エチレンと反応させて、プロピレンを形成させる工程と、
を含むプロセス。
【請求項28】
1−ブテンおよび2−ブテンを含むC4ストリームの2−ブテンへの好ましい転化率を得るための装置であって、
前記C4ストリーム中の前記1−ブテンの少なくとも一部を2−ブテンに転化させて、水素異性化流出物を形成させるための、第一の水素異性化触媒を含むように構成されている水素異性化反応器と、
上端および下端を有する分留塔であって、前記分留塔が、前記水素異性化流出物を分離させて、前記上端において1−ブテン混合物、イソブタンおよびイソブチレンを含む塔頂流出物ストリーム、ならびに2−ブテンを含む塔底ストリーム、を形成させるように構成されている分留塔と、
前記1−ブテン混合物を水素異性化させて2−ブテンを生成させるための、前記分留塔の上端に配置された水素異性化触媒段と、
を有する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−536849(P2008−536849A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506555(P2008−506555)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/013198
【国際公開番号】WO2006/113191
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(599003073)キャタリティック・ディスティレイション・テクノロジーズ (28)
【Fターム(参考)】