説明

ブプレノルフィンおよびその代謝産物に特異的なモノクローナル抗体

本発明は、ブプレノルフィンおよび/またはその少なくとも1つの代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体に関する。本発明はさらに、ブプレノルフィンおよび/またはその少なくとも1つの代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体の産生のためのブプレノルフィン代謝産物コンジュゲートおよびハイブリドーマ、モノクローナル抗体を産生する細胞に関する。本発明はまた、本発明の新規抗体およびコンジュゲートを用いて、試料中のブプレノルフィンおよび/または1つ以上のブプレノルフィン代謝産物を測定するためのイムノアッセイ法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、ブプレノルフィンおよび/または1つ以上のその代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体に関する。さらに、本発明は、モノクローナル抗体の製造方法、モノクローナル抗体の使用方法、およびモノクローナル抗体を含むキットに関する。本発明はさらに、ブプレノルフィンおよび/または1つ以上のその代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体の製造のためのブプレノルフィンまたはブプレノルフィン代謝産物コンジュゲート、ならびに本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に関する。
【0002】
発明の背景
ブプレノルフィン、N-シクロプロピルメチル-7α-[1-(5)-ヒドロキシ-1,2,2-トリメチルプロピル]-6,14-エンド-エタノ-6,7,8,14-テトラヒドロノリパビンは、アゴニストおよびアンタゴニスト特性の両方と共に、μ-オピエートレセプターに対して高度に親油性のオピエートアナログである(Martinら、J.Pharmacol.Exp.Ther., 197:517 (1976); Cowanら、Br.J.Pharmacol., 60:537 (1977); Heelら、Drugs, 17:81 (1979))。鎮痛剤として、静脈内または筋肉内に投与された場合、モルヒネよりも約30倍高く、ペンタゾシンよりも75倍高い有効性を有し、急性および慢性の疼痛の治療に有効である。ブプレノルフィンは、ブプレノルフィン−レセプター複合体から緩徐に分離するために長期間の作用を有する(Hambrookら、Opitates and Endogenous Opitate Peptides, 295-301 (1976))。この薬物の別の重要な特徴は、過剰量でさえも、その効果が呼吸に限定されることである(Handら、Ann.Clin.Biochem., 23: 47-53 (1986); Banksら、N.Z.Med.J., 89:256-257 (1979))。その有効性および他の有益な特性により、ブプレノルフィンは、例えば、癌および術後の患者における疼痛管理に広範に使用されている。
【0003】
さらに、その長期間の作用、オピエートをアンタゴナイズする能力、低依存障害性ならびにヘロイン、コカイン、および他の麻薬と比べて有意な禁断症状がないことから、ブプレノルフィンはまた、オピエート中毒者のリハビリを含む、オピエート依存性の管理において有用である(Jasinskiら、Arch.Gen.Psychiatry, 35:501 (1978); Melloら、Science, 207:657(1980))。とは言うものの、その低い物理的依存障害性にも関わらず、ブプレノルフィンの乱用が報告されている(Strang, Lancet, 25:725 (1985);Robertsonら、Br.Med.J., 292: 1465 (1986); Chowhurdyら、Br.J.Addiction, 85:1349 (1990))。
【0004】
ヒトおよび他の動物(例えば、イヌおよびウマ)におけるブプレノルフィン代謝の化学は、十分研究されており、静脈内、筋肉内、および舌下の投与後の、血漿中での(Handら、Ann. Clin. Biochem, 23:47-53(1986); McQuayら、Advances in Pain Research and Therapy, pp.271-278(1986);Bullinghametら、Clin.Pharmacokinet., 8:332-343 (1983))および尿素中での(Coneら、Drug Metab.Dspos., 12:577-581 (1984); Handら、J.Anal.Tox., 13:100-104 (1989); Heelら、Drugs, 17:81 (1979))反応速度論が報告されている。親薬物は、ノルブプレノルフィン、ノルブプレノルフィン3-O-β-D-グルクロニド(ノルブプレノルフィングルクロニド)、およびブプレノルフィン3-O-β-D-グルコロニド(ブプレノルフィングルクロニド)にほぼ完全に代謝され、その結果、非常に低い濃度で尿中に存在する。舌下投与後、ブプレノルフィン血漿濃度は緩徐に上昇し、低い濃度で数時間維持される(Bullinghamら、Br.J.Clin.Pharmacol., 13:665-673 (1982))。ブプレノルフィンは、約8時間の長い半減期を有し、ノルブプレノルフィン代謝産物はさらに緩徐に排泄されるようである(Handら、Ann.Clin.Biochem., 23:47-53 (1986); McQuayら、Advances in Pain Research and Therapy, pp.271-278 (1986); Bullinghamら、Clin.Pharmacokinet., 8:332-343 (1983))。これは、1〜2日間の尿中のブプレノルフィンおよびそのブプレノルフィングルクロニド代謝産物、ならびに1〜4日間のノルブプレノルフィンおよびノルブプレノルフィングルクロニドの出現と一致する(Coneら、Drug Metab.Dispos., 12:577-581 (1984); Blomら、J. Chromatogr., 338:89-98 (1985))。Heelらは、約15〜27%の投薬量のブプレノルフィンが、主に親化合物のグルクロニド代謝産物およびノルブプレノルフィン代謝産物の形態で尿中に現れることを報告している(Heelら、Drugs; 17:81 (1979))。
【0005】
血漿または尿等の生物学的試料中のブプレノルフィンおよびその代謝産物の正確な検出は、ブプレノルフィンの違法使用または乱用の決定、疼痛の臨床治療の間のブプレノルフィンの投薬量および効力のモニター、およびブプレノルフィンの規範的使用の確認、例えば、薬物リハビリプログラムにおけるその使用の確認を含む、いくつかの目的に有用である。さらに、ある使用のためのアッセイパフォーマンスの基準が、他の使用には適用され得ないとすると、ブプレノルフィンおよびその代謝産物の識別検出、すなわち、ブプレノルフィンとブプレノルフィン代謝産物とを区別するアッセイは有用である。例えば、尿試料中の未代謝親薬物の有意な量の存在が患者干渉(すなわち、リハビリプログラムのコンプライアンスを偽装するための試料とブプレノルフィンの不純物混和)を示すので、ブプレノルフィンの適切なリハビリ使用の確認は、尿中のブプレノルフィンよりもブプレノルフィン代謝産物の正確な検出を必要とする。従って、ブプレノルフィン代謝産物の敏感な検出のためのアッセイは、ブプレノルフィンのリハビリ使用を正確に確認することが必要とされる。いくつかの場合、親薬物のみを正確に測定することが重要である。例えば、ブプレノルフィンが疼痛の管理に使用される場合、親薬物の血漿レベルのみが関連する(D. Moodyら、J.Anal.Toxicol.21:406-414, 1997)。他の場合、親薬物またはその代謝産物のいずれか、または親薬物およびその代謝産物の両方を測定することが適切である。例えば、ヒトおよび他の哺乳動物の被験体でのブプレノルフィンの乱用の決定は、ブプレノルフィンおよび/または1つ以上のその代謝産物の存在を検出することによりなされうる。
【0006】
ブプレノルフィンおよびその代謝産物の検出のための現在の方法としては、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィーを含むクロマトグラフィー法が挙げられ、これは、親薬物ブプレノルフィンを検出するために使用されうる(Hackettら、J.Chromatography, 374:400-404 (1986))。しかし、これらの方法は、時間がかかり、高価であり、また、ブプレノルフィンおよび/またはその代謝産物の正確な計量に必要とされる感度を欠いている。
【0007】
より近年では、ブプレノルフィンおよび/またはその代謝産物に結合するポリクローナル抗血清を使用する蛍光または放射分析イムノアッセイがまた、生物学的試料中のこれらの化合物の検出のために使用されている。しかし、現在のイムノアッセイは、使用されるポリクローナル抗血清の感受性および/または交差反応性により制限されている。抗血清と代謝産物との交差反応は、代謝産物干渉(これはブプレノルフィン濃度の過大評価を生じうる)を解消するための抽出工程の不在下ではブプレノルフィンの測定において特異性の欠失を引き起こしうる(Bartlettら、Eur.J.Clin.Pharmacol., 18:339-345 (1980); Debrabandereら、Analyst, 118:137-143 (1993))。Debrabandereらは、親薬物と代謝産物とを区別し得ないようにブプレノルフィンおよびノルブプレノルフィンと交差反応するポリクローナル抗体を記載している(Debrabandereら、Analyst, 118:137-143 (1993))。さらに、ポリクローナル抗体は、ブプレノルフィングルクロニド代謝産物を認識しない。
【0008】
他のグループは、ブプレノルフィンおよびその特異的な代謝産物、すなわち、ノルブプレノフィンまたはブプレノルフィングルクロニドと交差反応性であるポリクローナル抗体の使用を記載している(Bartlettら、Eur.J.Clin.Pharmacol., 18:339-345 (1980); Handら、Ann.Clin.Biochem., 23: 47-53 (1986); Handら、J.Anal.Tox., 13:100-104 (1989))。一般に事実としては、上記ポリクローナル抗体は、特定のブプレノルフィン代謝産物(またはその誘導体)のコンジュゲートで哺乳動物を免疫することにより惹起された。得られたポリクローナル抗体は、免疫のために使用される特定の代謝産物と比べて、他の代謝産物およびブプレノルフィンに対して限定された交差反応性を示す。従って、ブプレノルフィンに対するポリクローナル抗体の感受性は減少している。さらに、特定のブプレノルフィン代謝産物に対して特異的なポリクローナル抗体の製造は、免疫原コンジュゲートの調製のために特定の代謝産物(この代謝産物は市販されておらず、合成が煩わしい)の十分な量の獲得を必要とするので困難でありうる。
【0009】
発明の要旨
本発明は、ブプレノルフィンおよび/または1つ以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体に関する。本発明で提供されるモノクローナル抗体は、各々、種々の特異的な結合特徴((1)その代謝産物への交差反応性なしでブプレノルフィンに特異的に結合する能力;(2)ブプレノルフィンおよび1つ以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合する能力;または(3)親薬物または別のブプレノルフィン代謝産物に交差反応性を有することなく特定のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合する能力を含む)を有し、これらの結合特徴は種々の適用でモノクローナル抗体を効率的に使用されるようにする。本明細書中に提供されるモノクローナル抗体は、試料中の低濃度のブプレノルフィンおよび/または1つ以上のブプレノルフィン代謝産物を検出可能にする結合親和性、ならびにブプレノルフィンまたはブプレノルフィンの1つ以上の特定の代謝産物を区別して分離可能にする特異性を有する。
【0010】
本発明はまた、本発明のモノクローナル抗体を製造するための免疫原コンジュゲートおよび方法を提供する。本発明は、親薬物の誘導体を用いて免疫原コンジュゲートを調製し、特定の代謝産物に特異的なモノクローナル抗体を選択することによる、1つ以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的なモノクローナル抗体の新規製造方法を提供する。本方法は、親薬物ブプレノルフィンコンジュゲートを免疫原として使用して、1つ以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を製造し、それにより免疫原の調製に代謝産物を使用する必要性を排除することに利点がある。
【0011】
本発明はさらに、試料中のブプレノルフィンおよび/または1つ以上のブプレノルフィン代謝産物を検出するための新規モノクローナル抗体を使用する方法、ならびに新規モノクローナル抗体を含むキットに関する。ブプレノルフィンまたは1つ以上のブプレノルフィン代謝産物を区別して検出するモノクローナル抗体の能力は、1つの使用の基準が他の使用に適用され得ない場合、有用である。例えば、ブプレノルフィンの適切なリハビリ使用の確認は、ブプレノルフィンよりも尿中のブプレノルフィン代謝産物の正確な検出を必要とする。疼痛管理におけるブプレノルフィンレベルのモニターは、ブプレノルフィンのみの正確な検出を必要とする。しかし、ブプレノルフィン乱用の決定は、ブプレノルフィンおよび/または1つ以上のその代謝産物の存在を検出することにより行われうる。
【0012】
ある態様では、本発明は、以下の構造
【化1】

式中、Xは、0〜2個の置換もしくは非置換芳香族環を含む0〜10個の炭素原子またはヘテロ原子からなる連結基であり、YはO、NH、もしくはSであり、Zは脱離基、ポリ(アミノ酸)、タンパク質、多糖または標識である、
を有するブプレノルフィン代謝産物コンジュゲートを提供する。
【0013】
上記構造を有するノルブプレノルフィン代謝産物コンジュゲートは、それらが新規N-アルキル化ブプレノルフィン誘導体(この構造は、以前に記載されたブプレノルフィンのNアシル化誘導体よりもブプレノルフィンの構造に近い)に由来することに利点を有する。ある態様では、ノルブプレノルフィン代謝産物コンジュゲートは、ノルブプレノルフィン-KLHであり、KLHは、ノルブプレノルフィンの窒素原子(N17)へのリンカーを介して共有結合している。別の態様では、ノルブプレノルフィンコンジュゲートはノルブプレノルフィン-BSAであり、BSAはノルブプレノフィンの窒素原子(N17)へのリンカーにより共有結合している。
【0014】
発明の詳細な説明
本明細書中で使用されるセクションの見出しは、組織化のためだけにあり、記載される主題を限定するように解釈されるべきでない。本願に引用する全ての参考文献は、本明細書に参考として明白に援用される。
【0015】
定義
本開示に従って使用される場合、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである:
【0016】
本明細書中の競合イムノアッセイ技術で使用される場合、用語「ED50」は、基質結合抗原へのモノクローナル抗体の結合を50%阻害するのに必要な遊離競合抗原の有効濃度の尺度(measure)をいう。一般に、基質結合抗原は、ブプレノルフィンまたはブプレノルフィンコンジュゲート、例えば、ブプレノルフィン-BSAまたはブプレノルフィン-KLHである;しかし、基質結合抗原はまた、ブプレノルフィン代謝産物またはそのコンジュゲートでありうる。ED50は、様々な濃度の競合遊離抗原(例えば、ブプレノルフィン、ブプレノルフィン代謝産物、またはオピエート)を上回る基質結合抗原(例えば、ブプレノルフィン-BSA)への抗体結合(一定量の抗体)を測定することにより計算される。0濃度の競合遊離抗原で、基質結合抗原への最大の結合を観察し、結合をOD450で測定する。最高濃度の競合遊離抗原で、基質結合抗原への最小の結合を観察し、結合をOD450で測定する。測定の有効範囲は、観察される基質結合抗原への最大結合(遊離競合抗原なしでのOD450値)と基質結合抗原への観察される最小結合(最高濃度の競合抗原の存在下でのOD450値)との差である。ED50値は、測定の有効範囲上で、基質結合抗原への結合を50%減少させる遊離競合抗原の濃度を測定することにより計算される。ED50値は、種々の抗原、例えば、ブプレノルフィンおよびブプレノルフィン代謝産物に対するモノクローナル抗体の相対結合親和性(すなわち、結合強度)の概算を提供する。一般に、匹敵する力価評価を仮定すると、より低いED50値を有する抗原は、抗体がより高いED50値を有する抗原と比べてその抗原に対してより高い結合親和性を有することを示す。従って、所定の抗原についてのED50は、log(1/ED50)を計算することにより親和性をランク付けするのに使用されうる。ランクが高くなるにつれ、抗原に対するモノクローナル抗体の結合親和性が高くなる。OD450値を種々の抗原について抗原濃度(モル濃度)に対してプロットしたグラフを仮定すると、他の抗原曲線の左に曲線を生じる抗原は、高い親和性を伴って抗体に結合する。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「特異的結合」は、バッファー、媒体、タンパク質、および/または巨大分子の複雑な混合物中での標的抗原の抗体認識をいう。本明細書で使用される場合、抗体は、抗原のED50(すなわち、ブプレノルフィンへのモノクローナル抗体結合を50%阻害するのに必要な遊離抗原競合物の濃度)が標準のED50(ブプレノルフィンへのモノクローナル抗体の結合を50%阻害するのに必要な標準競合物の濃度)の0.1より小さい場合、抗体は抗原(すなわち、ブプレノルフィン、ブプレノルフィン代謝産物、又はオピエート)に特異的に結合するといわれる。あるいは、抗原のED50が0.1よりも大きいか、または標準のED50の10%である場合、抗原は、「交差反応性」、すなわち、有意に交差反応性であるといわれる。言い換えると、10%は、本発明を記述する上で使用される用語として、交差反応性であると呼ばれるもののカットオフレベルである。本明細書中で使用される場合、標準は一般にブプレノルフィンである;しかし、標準はまた、例えば、ブプレノルフィングルクロニド、ノルブプレノルフィン、またはノルブプレノルフィングルクロニドを含む、最も低いED50値を有する競合抗原でありうる。言い換えると、抗体は、ED50抗原/ED50標準が0.1未満である場合、抗原(すなわち、ブプレノルフィン、ブプレノルフィン代謝産物、またはオピエート)に特異的に結合するといわれる。ED50抗原/ED50標準が0.1よりも大きい場合、抗原へのモノクローナル抗体の結合は、特異的結合であるとは考えられない。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「交差反応性」または「有意な交差反応性」は、対象の抗原のED50の値に対する、使用される標準のED50値の比、すなわち、ED50抗原/ED50標準をいう。ここでの目的のために、モノクローナル抗体は、モノクローナル抗体が抗原に特異的に結合する場合、1つ以上の抗原と「交差反応性」であるといわれる。言い換えると、モノクローナル抗体は、ED50抗原/ED50標準が0.1よりも大きいか、または10%よりも大きい場合、1つ以上の抗原と「交差反応性」であるといわれる。例えば、標準がブプレノルフィンである場合、ブプレノルフィンに特異的に結合するモノクローナル抗体は、ED50ブプレノルフィン代謝産物/ED50ブプレノルフィンが0.1または10%より大きい場合、ブプレノルフィン代謝産物と交差反応性であるといわれる。同様に、標準がブプレノルフィンである場合、ブプレノルフィンに特異的に結合するモノクローナル抗体は、ED50ブプレノルフィン代謝産物/ED50ブプレノルフィンが0.1または10%よりも小さい場合、ブプレノルフィン代謝産物と交差反応性ではない。
【0019】
用語「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球の単一クローンから生じる、および単一のBリンパ球とハイブリドーマ腫瘍細胞とを融合させることにより最初に得られる免疫グロブリンを意味する。
【0020】
用語「生物学的試料」としては、生物またはかつての生物からの任意の量の物質が挙げられるがこれらに限定されない。かかる生物としては、ヒト、マウス、サル、ラット、ウサギ、ウマおよび他の動物が挙げられるがこれらに限定されない。かかる物質としては、血液、血清、尿、涙、細胞、器官、組織、骨、骨髄、リンパ液、リンパ節、滑膜組織、軟骨細胞、滑液マクロファージ、内皮細胞、および皮膚が挙げられるがこれらに限定されない。
【0021】
用語「ハプテン」は、一部または不完全な抗原をいう。それらは、タンパク質遊離物質、大抵は、低分子量物質、これらは抗体形成を刺激しないが抗体と反応する。後者は、ハプテンを高分子量キャリアに結合させ、この結合した産物を哺乳動物に注射することにより形成される。ブプレノルフィンおよびブプレノルフィン代謝産物は、ハプテンの例である。
【0022】
用語「免疫原」は、特異的な免疫応答を誘導する物質をいう。例えば、免疫原は、ハプテン(すなわち、抗原性分子)がキャリア(すなわち、免疫原性分子)に共有結合したハプテン-キャリアコンジュゲートでありうる。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「キャリア」または「免疫原性キャリア」は、ハプテンと連結して、それによりハプテンに免疫応答を誘導させ、抗原(ハプテン)に特異的に結合しうる抗体の産生を誘導させる免疫原性物質、一般にタンパク質である。キャリア物質としては、外来として認識され、それにより宿主から免疫応答を誘導するタンパク質、糖タンパク質、複合多糖、粒子、および核酸が挙げられる。
【0024】
種々のタンパク質型は、ポリ(アミノ酸)免疫原性キャリアとして使用されうる。これらの型としては、アルブミン、血清タンパク質、例えば、グロブリン、眼レンズタンパク質、リポタンパク質等が挙げられる。例証となるタンパク質としては、ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、卵オボアルブミン、ウシガンマグロブリン(BGG)等が挙げられる。あるいは、合成ポリ(アミノ酸)が使用されうる。
【0025】
免疫原性キャリアはまた多糖であり、これは単糖の繰り返し縮合により構築された高分子量ポリマーである。多糖の例は、スターチ、グリコーゲン、セルロース、アラビアガム等の炭水化物ガム、アガー等である。多糖はまた、ポリ(アミノ酸)残基および/または脂質残基を含みうる。
【0026】
免疫原性キャリアはまた、単独または上記ポリ(アミノ酸)もしくは多糖の一方にコンジュゲートしたポリ(核酸)でありうる。
【0027】
免疫原性キャリアはまた粒子でありうる。粒子は、少なくとも約0.02ミクロン(μm)かつ約100μm以下であり、通常、直径約0.05μm〜10μmである。粒子は、有機または無機、膨張性または非膨張性、多孔性または非多孔性であり、任意に水に近似する密度であり、一般に約0.7〜1.5g/mLであり、おyぼい透明、一部透明、または不透明でありうる材料からなりうる。粒子は、赤血球、白血球、リンパ球、ハイブリドーマ、Streptococcus、Staphylococcus aureus、E.coli、およびウイルス等の非限定的な例を含む、細胞および微生物等の生物学的材料でありうる。粒子はまた、有機および無機ポリマー、リポソーム、ラテックス、リン脂質小胞、またはリポタンパク質からなりうる。
【0028】
「ポリ(アミノ酸)」または「ポリペプチド」は、アミノ酸から形成されたポリアミドである。ポリ(アミノ酸)は、一般に約2,000分子量から上限分子量なし、通常10,000,000未満および通常約600,000ダルトン以下である。免疫原性キャリアまたは酵素が含まれるか否かに応じて異なる範囲が存在する。
【0029】
「ペプチド」は、アミド(ペプチド)結合により、2つ以上のアミノ酸の連鎖により形成される任意の化合物であり、通常、各アミノ酸残基のαアミノ基が(NH2末端を除く)が直鎖で次の残基のαカルボキシル基に連結されたαアミノ酸のポリマーである。用語、ペプチド、ポリペプチドおよびポリ(アミノ酸)は、サイズに関して限定がないこのクラスの化合物に言及するために本明細書において同義語として使用される。このクラスの最も長いメンバーはタンパク質と呼ばれる。
【0030】
「標識」、「検出分子」、または「トレーサー」は、検出可能なシグナルを生成するか、または生成するのを誘導する任意の分子である。標識は、検体に対する結合パートナー、検体、免疫原、抗体、またはレセプターもしくはリガンド、特にハプテン等のレセプターに結合しうる分子等の他の分子に結合されうる。標識の非限定的な例としては、放射性同位体、酵素、酵素断片、酵素基質、酵素インヒビター、補酵素、触媒、蛍光物質、色素、化学発光体、発光体、または感光薬;非磁性または磁性粒子、固相支持体、リポソーム、リガンド、レセプター、または放射性同位体が挙げられる。
【0031】
「検体アナログ」は、検体の抗体または結合パートナーの結合親和性について検体と実質的に同じように振舞う任意の物質または物質の群をいい、ブプレノルフィン誘導体およびその異性体を含むことを意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「スクリーニング剤」は、ハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体の結合特性を決定するためにイムノアッセイにおいて使用される、薬剤、すなわち、抗原を意味する。スクリーニング剤は、ブプレノルフィンもしくはそのコンジュゲート、および/またはブプレノルフィン代謝産物もしくはそのコンジュゲートでありうる。スクリーニング剤は、単独でも、ハイブリドーマにより産生されたモノクローナル抗体の結合特性を決定するために任意の他のスクリーニング剤と組み合わせて使用されうる。スクリーニング剤は、本明細書に記載される、およびそうでなければ当該分野で公知である種々のイムノアッセイに使用され、固相基材に結合され、および/または溶液中に遊離しうる。
【0033】
用語「リンカー」は、キャリア、免疫原、標識、トレーサーまたは別のリンカーにハプテンを連結させる化学的部分をいう。リンカーはまた、標識または固相基材に抗体を付着させるのに使用されうる。リンカーは、直鎖または分岐の飽和または非飽和炭素鎖でありうる。それらはまた、鎖内または鎖の末端に1つ以上のヘテロ原子を含みうる。ヘテロ原子は、酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれる炭素以外の原子を意味する。リンカーの使用は、特定のハプテンおよびキャリア対に応じて、有利であるかもしれないし有利でも必要でもないかもしれない。抗体へのリンカーの付着のための方法および技術は当該分野で公知である。この主題に関する優れた論文については、読者はBioconjugate Techniques, G.Hermanson, Academic Press, 1996参照のこと。
【0034】
本明細書中に使用される場合、用語「キャリア」は、ハプテンと結合し、それによりハプテンに免疫応答を刺激させうる免疫原性物質、一般にタンパク質である。キャリア物質としては、外来として認識され、それにより宿主からの免疫学的応答を誘導するタンパク質、糖タンパク質、複合多糖および核酸が挙げられる。
【0035】
用語「コンジュゲート」および「誘導体」は、1つ以上の化学反応により親化合物から作られる化合物または分子をいう。
【0036】
本発明の意味内で用語「活性エステル」は、求核原子を有する物質の他の反応基との干渉する副次反応が通常生じ得ない条件下で、ペプチド、ポリ(アミノ酸)、多糖または標識の遊離アミノ基(これらに限定されない)等の求核原子と反応しうる活性化エステル基を含む。
【0037】
活性エステル化学を記載することにおいて使用される場合、用語「脱離基」は、活性エステルが求核原子と反応する場合、形成するアルコール副産物である。
【0038】
本発明のモノクローナル抗体
本発明は、ブプレノルフィンおよび/または1つ以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。本明細書中に提供されるモノクローナル抗体は、ブプレノルフィンおよび/またはブプレノルフィンの1つ以上の特定の代謝産物を区別して分離しうる結合特徴を有する。それらの種々の結合特異性を考慮すれば、本発明のモノクローナル抗体は、種々の適用で有効に使用されうる。
【0039】
ある態様では、本発明は、ブプレノルフィンに特異的に結合し、ブプレノルフィン代謝産物と交差反応しないモノクローナル抗体を提供する。ブプレノルフィンに特異的に結合し、ブプレノルフィン代謝産物と有意に交差反応しない例示的なモノクローナル抗体の結合特性が図5(BUP2.2)に示され、実施例4(クローンBUP2.2およびBUP21.3)に示される。例示的なクローン、BUP21.3を産生するハイブリドーマを2003年2月25日にAmerican Type Culture Collection(ATCC)、10801 University Blvd., Manassa, VA 20110-2209に寄託した(ATCC PTA 5020)。ブプレノルフィンに特異的に結合し、ブプレノルフィン代謝産物(すなわち、BUP2.2およびBUP23.1)と有意に交差反応しないモノクローナル抗体は、結合のためにC3にヒドロキシル基およびN17にN-メチル-シクロプロパンを必要とする。これらの結合特徴を有するモノクローナル抗体は、結合のためにC22にtert-ブチル領域をさらに必要としうる。かかるモノクローナル抗体は、試料中の親化合物の存在を検出する使用に適切であり、オピエート乱用を検出するのに使用されうる。
【0040】
別の態様では、本発明は、1つ以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、ブプレノルフィンと交差反応しないモノクローナル抗体を提供する。モノクローナル抗体により特異的に結合するブプレノルフィン代謝産物の例としては、ブプレノルフィングルクロニド、ノルブプレノルフィン、およびノルブプレノルフィングルクロニドが挙げられる。ある態様では、モノクローナル抗体は、あるブプレノルフィン代謝産物、例えば、ブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合する。例示的なモノクローナル抗体は、BUP88.1.1(図6、実施例5)であり、これはブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合し、ブプレノルフィンまたは他のブプレノルフィン代謝産物への交差反応性を有さない。クローンBUP88.1.1を産生するハイブリドーマを、2003年2月25日にAmerican Type Culture Collection(ATCC), 10801 University Blvd., Manassa, VA 20110-2209に寄託した(ATCC PTA 5023)。別の例は、モノクローナル抗体BUP67.1(図9)であり、これは、親薬物よりもブプレノルフィングルクロニド代謝産物について約30倍高い親和性を有する。このモノクローナル抗体は、ノルブプレノルフィン代謝産物との交差反応を有さない。これらの結合特徴を有するモノクローナル抗体は、結合のために、C3にグルクロニド基を、およびN17にN-メチル-シクロプロパンを必要とする。
【0041】
別の態様では、モノクローナル抗体は、ノルブプレノルフィンに特異的に結合する。これらの結合特徴を有するモノクローナル抗体は、結合のためにC3にヒドロキシル基を必要とする。
【0042】
別の態様では、モノクローナル抗体は、ノルブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合する。これらの結合特徴を有するモノクローナル抗体は、結合のためにC3にグルクロニド基を必要とする。
【0043】
別の態様では、モノクローナル抗体は、例えば、上記に挙げた2つ以上の代謝産物を含む2つ以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、ブプレノルフィンと交差反応しない。ある態様では、モノクローナル抗体は、ノルブプレノルフィンおよびノルブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合する。例示的なモノクローナル抗体BUP83.1.1およびBUP42.1(図7、実施例6)は、ノルブプレノルフィンに特異的に結合し、ブプレノルフィンに対して交差反応性を有さない。抗体BUP83.1.1は、親薬物よりもノルブプレノルフィンについて36,000倍高い親和性を有する。BUP83.1.1は、ブプレノルフィングルクロニド代謝産物との交差反応性を有さず、ノルブプレノルフィングルクロニドと低い交差反応性を有する。クローンBUP83.1.1を産生するハイブリドーマを、2003年2月25日に、American Type Culture Collection (ATCC), 10801 University Blvd., Manassa, VA20110-2209に寄託した(ATCC PTA 5022)。モノクローナル抗体BUP42.1は、類似した結合特徴を有する、すなわち、これは、ノルブプレノルフィンに特異的に結合し、ブプレノルフィンまたはブプレノルフィングルクロニドに対する交差反応性を有さず、ノルブプレノルフィングルクロニドに対して低い交差反応性を有する。これらの結合特徴を共有するモノクローナル抗体は、結合のために、N17にN-メチル-シクロプロパン基の全てまたは一部の欠失を必要とし、C3にグルクロニド基よりもヒドロキシル基を好む。
【0044】
別の態様では、モノクローナル抗体は、ブプレノルフィングルクロニドおよびノルブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合する。これらの結合特徴を共有するモノクローナル抗体は、結合のためにC3にグルクロニド基の存在を必要とする。
【0045】
上記のような1つ以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体は、それらが結合する特定のブプレノルフィン代謝産物の存在を検出するために適切である。単独または組み合わせて、かかるモノクローナル抗体は、オピエート投与の薬物動態学を研究するために使用されうる。それらはまた、ブプレノルフィン乱用を決定するために、およびオピエートリハビリプログラムでのコンプライアンスを確認するために使用されうる。
【0046】
別の態様において、モノクローナル抗体はブプレノルフィンならびに1以上のブプレノルフィン代謝産物、例えば、ノルブプレノルフィン、ノルブプレノルフィングルクロニド、およびブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合する。一つの態様において、モノクローナル抗体はブプレノルフィンおよび一つのブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合する。一つの態様において、モノクローナル抗体はブプレノルフィンおよびノルブプレノルフィンに特異的に結合する。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体は、結合のためにC3に水酸基の存在を要する。別の態様において、モノクローナル抗体はブプレノルフィンおよびノルブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合する。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体はC3の酸素の部分認識を示す。別の態様において、モノクローナル抗体はブプレノルフィンおよびブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合する。ブプレノルフィンおよびブプレノルフィングルクロニドに結合するいくつかの典型的なモノクローナル抗体を表3に示し、実施例7に記載する。一つの典型的なクローン、BUP 73.2は、2003年2月25日にAmerican Type Culture Collection(ATCC)、10801 Blvd大学, Manassa, VA 20110-2209,に寄託されたハイブリドーマ(ATCC PTA 5021)によって産生される。モノクローナル抗体はブプレノルフィンおよびブプレノルフィングルクロニドに同様の親和性で結合し、ノルブプレノルフィン代謝産物との交差反応を示さない。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体はC3の酸素の部分認識を示し、結合のためにN17にN-メチル-シクロプロパン基の存在を要す。
【0047】
別の態様において、モノクローナル抗体はブプレノルフィンおよび2以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合する。一つの態様において、モノクローナル抗体は、ブプレノルフィン、ノルブプレノルフィン、およびノルブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合する。別の態様において、モノクローナル抗体はブプレノルフィン、ノルブプレノルフィングルクロニドおよびブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合する。別の態様において、モノクローナル抗体はブプレノルフィン、ノルブプレノルフィンおよびブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合する。別の態様において、モノクローナル抗体はブプレノルフィン、ノルブプレノルフィン、ノルブプレノルフィングルクロニド、およびブプレノルフィングルクロニドに特異的に結合する。上記の結合特性を有するモノクローナル抗体はC3の酸素の部分認識を示す。典型的なモノクローナル抗体を実施例7および図8に記載する。例えば、BUP 1.1はほぼ等しい親和性でブプレノルフィンおよびブプレノルフィングルクロニドに結合し、ノルブプレノルフィンとの交差反応を示す。ブプレノルフィンおよびブプレノルフィングルクロニドに同様の親和性で結合し、ノルブプレノルフィン代謝産物と低い交差反応を示すいくつかの結合したモノクローナル抗体を表2に示す。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体は、結合のためにC3の酸素の部分認識およびC9のN-メチル-シクロプロパン基の部分認識を示す。ブプレノルフィンおよび1以上のブプレノルフィン代謝産物に結合するモノクローナル抗体は、ブプレノルフィンの不正使用を調べるために使用され得る、しかしながら、かかるモノクローナル抗体はオピエートリハビリテーションプログラムのコンプライアンスの確立には有用ではなかった。
【0048】
一つの態様において、モノクローナル抗体はブプレノルフィン代謝産物よりブプレノルフィンに対してより高い結合親和性を有する。ブプレノルフィンに特異的に結合し、ノルブプレノルフィンと交差反応するいくつかの典型的なモノクローナル抗体を実施例9(表5)に記載する。モノクローナル抗体はブプレノルフィングルクロニド代謝産物と交差反応しない。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体は、結合のためにC3にヒロドキシル基を要し、N17のN-メチル-シクロプロパン基を認識する。
【0049】
別の態様において、モノクローナル抗体はブプレノルフィンより1以上のブプレノルフィン代謝産物に対してより高い結合親和性を有する。ブプレノルフィンよりブプレノルフィングルクロニドに対してより高い結合親和性を有し、ノルブプレノルフィン代謝産物または他のオピエートに交差反応を示さない、いくつかの典型的なモノクローナル抗体を実施例8(表4)に記載する。別のモノクローナル抗体(BUP 4.2)は同様の結合特性を示す、すなわち、該モノクローナル抗体はブプレノルフィンよりブプレノルフィングルクロニドに、より強い親和性で特異的に結合し、ノルブプレノルフィン代謝産物との交差反応を示さない。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体は、結合のためにC3にグルクロニドの存在を要し、N17にN-メチル-シクロプロパン基の部分認識または完全認識を示す。
【0050】
本発明のモノクローナル抗体は検出可能な標識に結合され得る。適切な検出可能な標識の例として、限定されるものではないが、放射性同位体もしくは放射性核種(例えば、3H, 14C, 15N, 35S, 90Y, 99mTc, 111In, 125I, 131I)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスホターゼ、マレイン酸デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、およびカタラーゼ)、フルオロフォア(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン、緑の蛍光タンパク質、ローダミン、フィコシアニン、フルオレサミン、テキサスレッド染料(分子プローブ)、AMCA、Cy3、Cy5、およびランタニド蛍光体)、化学発光標識(例えば、アクリジニウムエステル)、ハプテン、染料、金属ならびに金属化合物が挙げられる。標識はモノクローナル抗体に直接結合し得るか、または潜在的な立体障害を減少するために種々長さを有するスペーサーアームもしくはリンカー(例えば、(CH2)n, 式中nは約20未満)を介してモノクローナル抗体に結合し得る。
【0051】
モノクローナル抗体は、当該分野において公知の方法を用いて検出可能な標識に結合され得る。結合は、抗体とマーカーがそれらの個々の活性を保持出来る限り、検出可能なマーカーと抗体を結合する任意の化学反応によって達成され得る。この結合としては、多くの化学的機構、例えば共有結合、アフィニティ結合、インターカレーション、配位結合および鎖化が挙げられる。ほとんどの場合、結合は共有結合を介してなされる。共有結合は既存の側鎖の直接縮合または外部の架橋分子の介入のどちらかによってなされ得る。多くの二価性または多価性の結合剤は、タンパク質分子、例えば、本発明の抗体が他の分子に結合することにおいて有用である。代表的なカップリング剤として、チオエステル、カルボジイミド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ジイソシアネート、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン、およびヘキサメチレンジアミン等の有機化合物が挙げられ得る。この列挙は当該分野において公知の各種類のカップリング剤の包括的な寄せ集めを表すものではなく、むしろより一般的なカップリング剤の代表である(例えば、KillenおよびLindstrom (1984), Jour. Immun. 133:1335-2549; Jansen,ら (1982), Immunological Reviews, 62:185-216; Feltkamp ら, (1970) Immunology, 18:865-81; Nygren ら, (1979) Med. Biol., 57:187-91; Eckelman ら, (1980) Cancer Res., 40:3036-42; Westin ら, (1980) Biochim Biophys. Acta, 612:40-49; Tijssen ら, (1984) Anal. Biochem., 136:451-57; O'Shannessy ら, (1984) Immunol. Lett., 8:273-277; Dhawan ら, (2002) Peptides, 12:2091-98; および Elliston ら, (2000) Biotechniques, 28:318-326参照)。さらに、抗体を含むタンパク質に各種標識を結合させるための市販キットが広く利用できる。
【0052】
本発明のモノクローナル抗体はリンカー分子またはビオチン等のハプテンに結合され得る。ビオチンはアビジンおよびストレプトアビジンに対する非常に高い親和性が周知であり、多種多様な用途に利用されている(Bioconjugate Techniques, G. Hermanson, Academic Press, 1996参照)。リンカーをモノクローナル抗体に結合する方法およびアッセイは当該分野において公知である(例えば、Peranen ら, (1992) Biotechniques, 13; 456-59; Boorsma ら, (1986) Histochemistry, 84:333-337参照)。さらに、各種リンカーを抗体に結合するための市販キットが広く利用でき、例えば、タンパク質のビオチン化用の化合物およびキットが市販されている(例えば、N-ヒドロキシ-スクシンイミジルビオチン)。
【0053】
また、本発明のモノクローナル抗体は、例えば、吸着または化学的結合によって固体基質に結合され得る。モノクローナル抗体の固体基質への結合は直接的な結合、または、例えば、リンカー分子を介する間接的な結合であり得る。直接的または間接的結合に関する適切な固体基質の例として、限定されるものではないが、試薬チューブ、マイクロタイタープレート、セルロース、SEPHAROSE 粒子(Pharmacia, Inc.)、金属粒子、磁気粒子、および、ガラス、金、もしくはシリコーンのセンサー表面、ならびに他の公知および市販の基質が挙げられる。モノクローナル抗体の基質への結合は、この明細書に記載される方法および当該分野において周知の他の方法を用いてなされ得る。
【0054】
本発明は、また本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株に導く。ハイブリドーマ細胞株は本明細書中に記載される方法および当該分野で公知の他の方法を用いて産生され得る。かかるハイブリドーマ細胞株の具体例として、ATCC PTA 5020, ATCC PTA 5021, ATCC PTA 5022およびATCC PTA 5023が挙げられる。
【0055】
本発明のモノクローナル抗体の産生方法
本発明は、また本発明のモノクローナル抗体を産生するための方法を提供する。具体的には、本発明は親薬物(すなわち、ブプレノルフィンコンジュゲート)を免疫原として用いて1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的なモノクローナル抗体を産生し、関係するブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体をスクリーニングする新規な方法を提供する。その方法は、親薬物のブプレノルフィンのコンジュゲートが1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するために免疫原として使用されることに利点があり、そのことにより代謝産物のコンジュゲートを免疫原として使用する必要性は排除される。さらに、1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを取得するために親薬物のブプレノルフィンをスクリーニング剤として用いてハイブリドーマをスクリーニングすることも出来る。
【0056】
一つの態様において、本発明はブプレノルフィンに特異的に結合し、ブプレノルフィン代謝産物と交差反応しないモノクローナル抗体を産生する方法を提供する。別の態様において、本発明はブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、ブプレノルフィンまたは他のブプレノルフィン代謝産物と交差反応しないモノクローナル抗体を産生する方法を提供する。別の態様において、本発明は1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、ブプレノルフィンと交差反応しないモノクローナル抗体を産生する方法を提供する。さらに別の態様において、本発明はブプレノルフィンおよび1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する方法を提供する。
【0057】
本発明の方法の全ての態様において、ブプレノルフィンコンジュゲートは免疫原として使用される。従って、方法は哺乳動物被験体において免疫反応を作るために十分量のブプレノルフィンハプテンのキャリアコンジュゲートを哺乳動物被験体に投与する工程、哺乳動物被験体において免疫反応を生じさせる工程、免疫化された哺乳動物被験体からリンパ球を単離する工程;ハイブリドーマ細胞を産生するために単離したリンパ球をミエローマ細胞と融合する工程;ブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定するために、ブプレノルフィンおよび/またはブプレノルフィン代謝産物を用いて産生されるハイブリドーマ細胞をスクリーニングする工程;ブプレノルフィンに特異的に結合する同定されたモノクローナル抗体を単離する工程を含む。一つの態様において、本方法は、単離されるモノクローナル抗体のブプレノルフィンおよび1以上のブプレノルフィン代謝産物との結合特異性を、モノクローナル抗体の結合特異性を確認するために試験することをさらに含む。
【0058】
上述する方法は、当該分野において記載された十分確立されたハイブリドーマ技術を用いる(例えば、KohlerおよびMilstein, Nature, 256:495-97 (1975); De St. GrothおよびScheidegger, J. Immunol. Meth., 35: 1-21 (1980); E. HarlowおよびD.Lane,編, "Antibodies: A Laboratory Manual", (1988), Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N. Y.; HammerbackおよびVallee, J. Biol. Chem., 265: 12763 (1990))。手短に言うと、免疫原は哺乳動物被験体に注入され、その結果該動物において所望の免疫反応を誘導する。免疫化される適切な動物として、限定されるものではないが、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコおよびニワトリが挙げられる。免疫化のプロトコールは、免疫系を刺激するのに十分な免疫原の用量で、動物において免疫反応を熟成させるのに十分な注入スケジュールで設計される。例えば、典型的な免疫化のスケジュールは、最初の注入後、大体2〜6週間隔で約1〜4回の追加免疫を行うことを含む一連の免疫化を含む。免疫原は通常生理学的なヴィークル、例えば等張食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液に懸濁されている。フロイントまたはRIBIアジュバント等のアジュバントはまた、免疫化調製に組み入れられ得る。注入経路は、例えば皮下経路、筋肉内経路、静脈内経路、フットパッド内への注入などの他の経路も免疫反応を誘導するのに有効であるが、典型的には腹腔内経路である。抗体を産生するリンパ球は、本明細書中に記載される方法および当該分野において公知の方法を用いて、動物から、または脾臓、リンパ節または末梢血から得られる。好ましくは、リンパ球は脾臓から得られる。その後、脾臓のリンパ球は、通常、ポリエチレングリコール(PEG)等の融合剤の存在下、本明細書中に記載される技術および当該分野において公知の技術を用いてミエローマ細胞株と融合される。当該分野において利用できるかなり多くのミエローマ細胞株が標準的な技術に従って融合パートナーとして用いられ得る。かかるミエローマ細胞株の非限定例としては、FO, P3, NS1, K653, PAIおよびSP2/OAg14ミエローマ細胞株、並びに当該分野で公知のおよび市販されている他のミエローマ細胞株が挙げられる。所望のハイブリドーマを含む得られた細胞は、その後、例えば、HAT培地またはHTM培地の選択的な培地で培養される。かかる培地中では、融合に成功したハイブリドーマ細胞のみ生き残り、一方、融合しない親株のミエローマ細胞またはリンパ球細胞は死ぬ。生き残った細胞は、その後、単離したクローンを得るために限定条件下で培養され、所望の結合特異性を有する抗体の存在について、本明細書中に記載されるスクリーニング方法および当該分野で公知の他のスクリーニング方法を用いて、その上清がスクリーニングされる。陽性のクローンは限定希釈条件下でサブクローニングされ、所望のモノクローナル抗体が単離される。これらの方法に従って産生されるハイブリドーマはin vitroまたはin vivo(例えば、腹水)で増殖され得、当該分野で公知の共通技術を用いて精製され得る。モノクローナル抗体を精製するための方法として、例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムの沈殿、ポリエチレングリコールとの沈殿、電気泳動、ゲル濾過、超遠心、イオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の方法が挙げられる(例えば、Zolaら, "Techniques for the Production and Characterization of Monoclonal Hybridoma Antibodies", in Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications, pp. 51-52(Hurell,編, CRC Press, 1982)参照)。
【0059】
ブプレノルフィンハプテンの各種のキャリアコンジュゲートは、上記方法において免疫反応を誘導するために用いられ得る。予期せぬことに、ブプレノルフィンハプテンのキャリアコンジュゲートはブプレノルフィンに特異的に結合するモノクローナル抗体のみならず、1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、ブプレノルフィンと交差反応しないモノクローナル抗体を産生するために免疫原として用いられ得ることが判明した。また、驚くことに、ブプレノルフィンハプテンのキャリアコンジュゲートはブプレノルフィンおよび1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するために免疫原として用いられ得ることが判明した。ブプレノルフィンハプテンの適切なキャリアコンジュゲートとしては、例えば、ブプレノルフィン-BSAおよびブプレノルフィン-KLH、並びに本明細書中に記載され、当該分野において十分確立された公知の他のキャリア分子とのブプレノルフィンコンジュゲートが挙げられる。本発明の方法の1つの具体的な態様において、免疫原は構造:
【化2】


を有するブプレノルフィン-KLHである。
【0060】
ブプレノルフィン-BSAおよびブプレノルフィン-KLHの構造は図2に示される。ブプレノルフィン-BSAおよびブプレノルフィン-KLHの合成方法は実施例1に記載される。
【0061】
別の態様において、ブプレノルフィン代謝産物またはそのコンジュゲートはブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するために免疫原として使用され得る。一つの態様において、免疫原はブプレノルフィン代謝産物-ハプテンのキャリアコンジュゲート、例えば、ブプレノルフィングルクロニドコンジュゲートまたはノルブプレノルフィンコンジュゲートである。典型的なノルブプレノルフィンコンジュゲートとして、KLHがノルブプレノルフィンの窒素原子(N17)にリンカーを介して共有結合しているノルブプレノルフィン-KLHおよびBSAがノルブプレノルフィンの窒素原子(N17)にリンカーを介して共有結合しているノルブプレノルフィン-BSAが挙げられる。ノルブプレノルフィン-KLHおよびノルブプレノルフィン-BSAの構造は図4に示される。ノルブプレノルフィン-KLHおよびノルブプレノルフィン-BSAの合成方法は実施例2に記載される。
【0062】
BSAおよびKLHのキャリアに加えて、ニワトリガンマグロブリン、オボアルブミン、ヒトサイログロブリン、ウシサイログロブリン(BTG)および当該分野で公知の他のキャリアを含む他の適切なタンパク質キャリアがブプレノルフィンおよびブプレノルフィン代謝産物の免疫原コンジュゲートを形成するために使用され得る。ブプレノルフィンまたはブプレノルフィン代謝産物にコンジュゲートする方法は当該分野において公知であり、例えば、E. HarlowおよびD. Lane,編, "Antibodies: A Laboratory Manual", (1988), Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.; T. Chard in "An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques", (1990), 第4編, Elsevier, Amsterdam; およびP. Tijssen, in "Practice and Theory of Enzyme Immunoassays", (1990), 第4編, Elsevier, Amsterdamに確認され得る。
【0063】
所望の結合特性を有する抗体、例えば、ブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物に結合する抗体を産生するハイブリドーマを特定するために、ハイブリドーマは、適切なスクリーニング剤ならびに本明細書中に記載される標準的なアッセイおよび当該分野において公知の他のアッセイを用いてスクリーニングされ得る。標準的なイムノアッセイは本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択するスクリーニングアッセイとして使用され得る。例えば、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、間接競合型イムノアッセイ、直接競合型イムノアッセイ、非競合型イムノアッセイ、サンドイッチイムノアッセイ、および当該分野において公知の他のイムノアッセイが、本明細書中に記載される任意のスクリーニング剤または本明細書中に記載されるスクリーニング剤の任意の組み合わせと共に使用され得る。
【0064】
各種のブプレノルフィンおよびブプレノルフィン代謝産物およびその組み合わせが上記方法においてスクリーニング剤として使用され得る。予期せぬことに、ブプレノルフィンまたはブプレノルフィンコンジュゲートはブプレノルフィンに特異的に結合するモノクローナル抗体のみならず、1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、ブプレノルフィンと交差反応しないモノクローナル抗体も得るために、スクリーニング剤として使用され得ることが判明した。また、驚くことに、ブプレノルフィンまたはブプレノルフィンコンジュゲートはブプレノルフィンおよび1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を得るためにスクリーニング剤として使用され得ることが判明した。適切なスクリーニング剤としては、ブプレノルフィン、ブプレノルフィン代謝産物(例えば、ノルブプレノルフィン、ノルブプレノルフィングルクロニド、およびブプレノルフィングルクロニド)、ブプレノルフィンコンジュゲート(例えば、ブプレノルフィン-KLH、ブプレノルフィン-BSA)およびブプレノルフィン代謝産物コンジュゲート(例えば、ノルブプレノルフィン-KLH、ノルブプレノルフィン-BSA、ノルブプレノルフィングルクロニドKLH、ノルブプレノルフィングルクロニドBSA)が挙げられる。スクリーニング剤は、単独でまたは任意の他のスクリーニング剤との組み合わせで使用され得る。
【0065】
例えば、スクリーニングアッセイは一連の競合的イムノアッセイ、例えば、フリーのブプレノルフィンが固体基質に結合したブプレノルフィンと競合するために使用される競合的ELISAsであり得る。または、スクリーニングアッセイは、フリーのブプレノルフィン代謝産物が固体基質に結合したブプレノルフィンと競合するために使用される競合的イムノアッセイ、例えば、競合的ELISAであり得る。ハイブリドーマのスクリーニング過程はまた、二以上の別々のスクリーニングアッセイを含み得る。例えば、スクリーニングアッセイは、一つのアッセイではフリーのブプレノルフィンが固体基質に結合したブプレノルフィンと競合するために使用され、もう一つのアッセイではフリーのブプレノルフィン代謝産物が固体基質に結合したブプレノルフィンと競合するために使用される競合的イムノアッセイ、例えば、競合的ELISAsであり得る。
【0066】
一つの態様において、ブプレノルフィンコンジュゲート、例えばブプレノルフィン-KLHまたはブプレノルフィン-BSAは、ブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択するために、スクリーニング剤として単独でまたは1以上の他のスクリーニング剤との組み合わせで使用される。
【0067】
別の態様において、ブプレノルフィン代謝産物のコンジュゲートは、ブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択するために、スクリーニング剤として単独でまたは他のスクリーニング剤との組み合わせで使用され得る。一つの態様において、ブプレノルフィン代謝産物のコンジュゲート、例えばノルブプレノルフィン-KLHおよびノルブプレノルフィン-BSAは、スクリーニング剤として単独でまたは別のスクリーニング剤との組み合わせで使用される。別の態様において、スクリーニング剤はノルブプレノルフィングルクロニドのコンジュゲート、例えばノルブプレノルフィングルクロニドKLHおよびノルブプレノルフィングルクロニドBSAである。別の態様において、スクリーニング剤はブプレノルフィングルクロニドのコンジュゲートである。
【0068】
一つの態様において、本発明は構造
【化3】


式中、Xは0〜10の炭素原子または0〜2置換もしくは非置換の芳香環を含むヘテロ原子からなる結合基であり、YはO, NHまたはSであり、Zはポリ(アミノ酸)、タンパク質、多糖類もしくは標識の離脱基である、
を有するブプレノルフィン代謝産物のコンジュゲートを提供する。
【0069】
上の構造を有するノルブプレノルフィン代謝産物のコンジュゲートは、新規のN-アルキル化ブプレノルフィン誘導体由来であり、構造が以前記載したブプレノルフィンのN-アシル化誘導体よりブプレノルフィンの構造により近いことが利点である。従って、一つの具体的な態様において、スクリーニング剤はKLHがノルブプレノルフィンの窒素原子(N17)にリンカーを介して共有結合しているノルブプレノルフィン-KLHである。別の態様において、スクリーニング剤はBSAがノルブプレノルフィンの窒素原子(N17)にリンカーを介して共有結合しているノルブプレノルフィン-BSAである。
【0070】
一つの具体的な態様において、スクリーニング剤は構造
【化4】


式中、ZはBSAまたはKLHである、
を有する。
【0071】
本発明は、上の化合物(12)を作るための方法を提供し、該方法は構造:
【化5】


を有する化合物を溶媒および還元剤の存在化でコハク酸セミアルデヒトと反応させて構造
【化6】



を有するN-アルキル化化合物を形成する工程、ならびに構造(9)の化合物のカルボキシル基を、カップリング剤および任意に添加されるカップリング添加剤および溶媒の存在下でKLHまたはBSAとカップリングし、構造(12)の所望の生成物を形成する工程を含む方法を提供する。
【0072】
この局面の一つの態様において、還元剤はNaBH4, NaBH3CN, NaBH3(OAc), Zn(BH4)2, LiBH(s-Bu3), LiBH3[N(C3H7)2], トリアセトキシホウ化水素ナトリウム、およびビス(イソプロポキシ-チタニウム)ホウ化水素から選択される。
【0073】
この局面の別の態様において、カップリング剤は、DCC (ジシクロヘキシル カルボジイミド), DIC (1,3,ジイソプロピルカルボジイミド), EDCI (1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩化水素), BBC (1-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-ビス(ピロロリジノ)ウロニウムヘキサフルオロリン酸塩), BDMP (5-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)-3,4-ジヒドロ-1-メチル 2H-ピロリウムヘキサクロロアンチモン酸塩), BOMI (ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-N,N-ジメチルメタンイミニウムヘキサクロロアンチモン酸塩), HATU (O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩), HAPyU = O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロリン酸塩, HBTU = O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩, TAPipU = O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-ビス(ペンタメチレン)ウロニウム テトラフルオロホウ酸塩, AOP (O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-トリス(ジメチルアミノ)ホスフォニウムヘキサフルオロリン酸塩), BDP (ベンゾトリアゾール-1-イルジエチルリン酸塩), BOP (1-ベンゾトリアゾリオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスフォニウムヘキサフルオロリン酸塩), PyAOP (7-アゾベンゾトリアゾリオキシトリス(ピロロリジノ)ホスフォニウムヘキサフルオロリン酸塩), PyBOP (1-ベンゾトリアゾリオキシトリス(ピロロリジノ)ホスフォニウム ヘキサフルオロリン酸塩), TDBTU (2-(3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩), TNTU (2-(5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩), TPTU (2-(2-オキソ-1(2H)-ピリジル-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩), TSTU (2-スクシンイミド-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩), BEMT (2-ブロモ-3-エチル-4-メチルチアゾリウムテトラフルオロホウ酸塩), BOP-CI (ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィニック塩化物), BroP (ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスフォニウムヘキサフルオロリン酸塩), BTFFH (ビス(テトラメチレンフルオロホルムアミジニウム)ヘキサフルオロリン酸塩), CIP (2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリジニウムヘキサフルオロリン酸塩), DEPBT (3-(ジエトキシホスフォリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-ワン), Dpp-CI (ジフェニルホスフィニック塩化物), EEDQ (2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン), FDPP (ペンタフルオロフェニルジフェニルホスフィン酸塩), HOTT (S-(1-オキシド-2-ピリジニル)-1,1,3,3-テトラメチルチオウロニウムヘキサフルオロリン酸塩), PyBroP (ブロモトリス(ピロロリジノ)ホスフォニウムヘキサフルオロリン酸塩), PyCloP (クロロトリス(ピロロリジノ)ホスフォニウムヘキサフルオロリン酸塩), TFFH (テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩), TOTT (S-(1-オキシド-2-ピリジニル)-1,1,3,3-テトラメチルチオウロニウムテトラフルオロホウ酸塩)から選択される。
【0074】
この局面の別の態様において、カップリング添加剤は、HOBt (1-ヒドロキシベンゾトリアゾール), HOAt (1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール), HODhbt (3-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン), (CDI) カルボニルジイミダゾール, NEPIS (N-エチル-5-フェニルイソキサゾリウム-3'-スルホン酸塩), およびHOSu (N-ヒドロキシスクシンイミド)から選択される。
【0075】
この局面のさらに別の態様において、構造(9)の化合物のカルボキシ基は、ハロゲン化した炭化水素、エーテル、アセトニトリル、THF、ジオキサン、またはその混合物から選択される溶媒中でカップリング試薬および任意に添加されるカップリング添加剤と反応し、上述の反応産物は、任意に添加されたバッファーの水と、DMF、DMSO、DMPU、HMPA、アセトンおよびアセトニトリルの例から選択される1以上の両性非プロトン性溶媒との混合物である溶媒中でKLHと反応する。
【0076】
別の態様において、構造(9)の化合物のカルボキシ基の活性エステルは最初に形成され分離される。活性エステルとして、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル, p-ニトロフェニルエステル, 1-ヒドロキシベンズトリアゾリルエステル、およびペンタフルオロフェニルエステルが挙げられる。3-O-カルボキシプロピル-ブプレノルフィンのN-ヒドロキシスクシンイミドエステルの合成は、実施例1および図2に記載される。同様に、N-カルボキシプロピルノルブプレノルフィンのN-ヒドロキシスクシンイミドエステルの合成は実施例2および図4に記載される。
【0077】
選択されたモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体の結合特性を調べるために、標準的なイムノアッセイ、かつ上述のブプレノルフィン、ブプレノルフィン代謝産物、ブプレノルフィンコンジュゲートおよびブプレノルフィン代謝産物のコンジュゲートならびにオピエート等の他の試験化合物を用いてさらに試験され得る。例えば、かかる化合物は、本明細書中に記載の方法(実施例3参照)および当該分野において公知の他の方法を用いて、ブプレノルフィン、1以上のブプレノルフィン代謝産物および他のオピエートに対する結合特異性および/または結合親和性を調べるために使用され得る。イムノアッセイを用いる抗体の特異性および/または結合親和性を調べるための多数の方法が当該分野において公知である(例えば、"Antibodies: A Laboratory Manual," HarlowおよびLane (編), Cold Spring Harbor Press (1988); Friguetら, J. Immunol. Meth. 77: 305-319 (1985); Mullerら, J. Immunol. Meth. 34: 345-352 (1980); Antoniら, J. Immunol. Meth. 83:61 (1985)参照)。モノクローナル抗体の結合親和性はまた、ミニゲル濾過技術(例えば、Niedel, J. Biol. Chem. 256:9295 (1981)参照)および、例えば、BIAcore等のバイオセンサーをベースにした分析系を用いて結合/解離速度の測定をすること(Pharmacia Biosensor AB, Nature 361:186-187 (1993))を含む他の技術を用いて調べられ得る。
【0078】
本発明のモノクローナル抗体の使用方法
本発明のモノクローナル抗体は、哺乳動物被験体中のブプレノルフィンおよび/またはブプレノルフィン代謝産物の検出のための方法において、被験体から体液または組織試料を得て、抗体-抗原複合体の形成に適切な条件下で本発明の1以上のモノクローナル抗体と試料を接触させることによって使用され得る。次に、かかる複合体の存在または量が本明細書中に記載の方法および当該分野において公知の他の方法によって調べられ、試験試料で検出された複合体の存在または量は抗原の既知の量を含んでいる一連の標準品または対照試料で検出された複合体の存在または量と比較される。従って、本発明はさらに、ブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物を生物学的試料、好ましくは血液、血清、尿、粘液またはだ液中において検出する方法に関する。
【0079】
一つの態様において、本発明は試料中のブプレノルフィンを検出する方法を提供し、該方法はブプレノルフィンに特異的に結合し、かつブプレノルフィン代謝産物と交差反応しないモノクローナル抗体とを、モノクローナル抗体がブプレノルフィンに結合するのに適切な条件下で試料を接触させる工程、およびモノクローナル抗体に結合したブプレノルフィンを検出する工程を含む。別の態様において、本方法はブプレノルフィンおよび1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体と試料を接触させる工程を含む。別の態様において、本方法はブプレノルフィンに特異的に結合する2以上のモノクローナル抗体と試料とを接触させる工程を含み、ここで各モノクローナル抗体は異なるエピトープを認識する。
【0080】
別の態様において、本発明は試料中のブプレノルフィン代謝産物を検出する方法を提供し、該方法は、1つのブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、かつブプレノルフィンまたは別のブプレノルフィン代謝産物と交差反応しないモノクローナル抗体と試料とを、モノクローナル抗体がそのブプレノルフィン代謝産物に結合するのに適切な条件下で接触させる工程、およびモノクローナル抗体に結合したブプレノルフィン代謝産物を検出する工程を含む。別の態様において、方法は、ブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、かつブプレノルフィンまたは別のブプレノルフィン代謝産物と交差反応しない2以上のモノクローナル抗体と試料とを接触させる工程を含み、ここで各モノクローナル抗体はブプレノルフィン代謝産物分子の異なるエピトープを認識する。
【0081】
別の態様において、本発明は試料中の2以上のブプレノルフィン代謝産物を検出する方法を提供し、該方法は2以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、かつブプレノルフィンと交差反応しないモノクローナル抗体と試料とを、モノクローナル抗体がそのブプレノルフィン代謝産物に結合するのに適切な条件下で接触させる工程、およびモノクローナル抗体に結合したブプレノルフィン代謝産物を検出する工程を含む。別の態様において、試料中の2以上のブプレノルフィン代謝産物を検出する方法は、試料を2以上のモノクローナル抗体と接触させる工程を含み、ここで各モノクローナル抗体は異なるブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、ブプレノルフィンと交差反応しない。
【0082】
さらに別の態様において、本発明は試料中のブプレノルフィンおよび1以上のブプレノルフィン代謝産物を検出するための方法を提供し、該方法は、モノクローナル抗体がブプレノルフィンおよび1以上のブプレノルフィン代謝産物に結合するのに適切な条件下で、ブプレノルフィンおよび1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体と試料を接触させる工程、およびモノクローナル抗体に結合したブプレノルフィンおよび1以上のブプレノルフィン代謝産物を検出する工程を含む。別の態様において、本発明は、試料中のブプレノルフィンおよび1以上のブプレノルフィン代謝産物を検出するための方法を提供し、該方法は試料を2以上のモノクローナル抗体と接触させる工程を含み、そこで各モノクローナル抗体はブプレノルフィンまたは個々のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合する。
【0083】
生物学的試料におけるブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物を検出するための記載された方法のいずれかにおいて、方法はイムノアッセイ、例えば、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、間接競合型イムノアッセイ、直接競合型イムノアッセイ、非競合型イムノアッセイ、サンドイッチイムノアッセイ、凝集アッセイ、または本明細書中で記載され、当該分野で公知の他のイムノアッセイであり得る(Zola, 1987, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-158, CRC Press, Inc.参照)。
【0084】
ブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物に関するイムノアッセイは、ヘテロ性の形式またはホモ性の形式で構成され得る。ヘテロ性のイムノアッセイは、フリーの検体から結合した検体、またはフリーの標識体から結合した標識体を固相分離することを組み入れることによって区別される。固相は当該分野で周知の各種形態を取り得、管、板、ビーズ、および条片が挙げられるがこれらに限定されるものではない。一つの特に好ましい形態はマイクロタイタープレートである。固相物質としては、各種ガラス、ポリマー、プラスチック、紙、または膜から成り得る。ポチスチレン等のプラスチックが特に好ましい。ヘテロ性のイムノアッセイは競合的形式または非競合的形式、すなわち、サンドイッチであり得る。
【0085】
薬物および薬物の代謝産物等の低分子量の検体については、競合的形式が好ましい。ブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物についての競合的なヘテロ性のイムノアッセイは、様々な方法で構成され得る。例えば、一つの形式において、ブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的な抗体が固相に固定化され、試料と、限られた数のレセプターの結合サイトについて競合するブプレノルフィンコンジュゲートとをインキュベートする。検体およびコンジュゲートの非結合部分がその後除去され、結合したコンジュゲート量が測定される。結合したコンジュゲート量は試料中のブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物の量に反比例する。用量-反応較正曲線は当該分野で周知の方法を用いて検体の既知量を用いて構築される。
【0086】
本発明に関する第2の好ましい形態は、ブプレノルフィン誘導体のコンジュゲートをタンパク質等の高分子キャリア物質を用いて最初に調製することを含む。かかるコンジュゲートの調製は本明細書中に、例えば、実施例1でキャリアタンパク質のウシ血清アルブミン(BSA)とのブプレノルフィンコンジュゲートおよびキャリアタンパク質のキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)とのブプレノルフィンコンジュゲートについて記載される。このタイプのコンジュゲートは、共有的な固定化または受動的な固定化を用いて選択的固相に固定され得る。実施例10では、ノルブプレノルフィン-BSAコンジュゲートのマイクロタイタープレートへの受動的な固定化が説明される。試料中のノルブプレノルフィンについてアッセイするために、例えば、コンジュゲートを被覆したプレートの調製後、抗体または他のレセプターが予め測定された最適な希釈でノルブプレノルフィンを含む試料と同時に添加される。限られた数の抗体または他のレセプターの結合サイトについて、コンジュゲートが結合した固相と溶液中のブプレノルフィンの間で競合が生じる。インキュベーション後、固相は非結合のレセプターを除去するために洗浄される。最終的に、結合した抗体または他のレセプターの存在を検出するために使用される標識が添加される。例えば実施例10で記載するELISAアッセイの場合、標識として、結合した抗体または他のレセプターの種に対する第二の抗体またはレセプター、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)等の酵素標識にコンジュゲートされるウサギ抗-ヒツジ抗体が挙げられる。他の酵素標識および第二の結合物質はELISAsのマイクロタイタープレートの当業者にはすぐに明らかになる。最初に記載されたアッセイ形式と同様に、結合した検体のコンジュゲートの量は試料中の検体の量に反比例する。用量-反応較正曲線は検体の公知の量を用いて構築され、未知試料中の検体量は標準的な方法を用いて較正曲線に相関させる。結合したコンジュゲートの量は試料中の検体量に反比例する。
【0087】
本発明の好ましいホモ性の微粒子イムノアッセイの方法および試験のキットは、血清、血漿、全血、尿およびだ液中のブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物の検出のために用時調製の液体試薬を含む2つの試薬系を含む。溶液中の微粒子の運動相互作用(KIMS)は自動化されたアナライザーを用いて簡便に測定される。この個別のアッセイ形式において、個々の検体に対して特異的な抗体が共有的な固定化または受動的な固定化を用いて微粒子上に負荷され、検体の誘導体はアミノデキストラン等の選択的な高分子に結合し、これを薬物コンジュゲートという。微粒子上の限られた量の特異的な抗体結合部位への結合について、血清試料中で薬物コンジュゲートと任意の薬物間で競合反応が生じる。溶液中での微粒子の運動相互作用、すなわち、凝集は微粒子上の抗体に薬物コンジュゲートが結合することによって誘導され、試料中の薬物の存在によって阻害される。微粒子の相互作用は溶液の吸光度によって測定され、言い換えると溶液の濁度に関連する。粒子と薬物コンジュゲートの架橋結合はより高い濁度(より高い吸光度)に結びつく。粒子上の抗体に結合するフリーの薬物はより低い濁度(より低い吸光度)を生じる。
【0088】
ホモ性の微粒子イムノアッセイの方法および試験のキットに関する第二の形式は、血清、血漿、全血、尿およびだ液中のブプレノルフィンおよび/またはブプレノルフィン代謝産物の検出のために用時調製の液体試薬を含む。溶液中の微粒子の運動相互作用、すなわち、凝集は自動化されたアナライザーを用いて簡便に測定される。このアッセイ形式において、ウシ血清アルブミン等の選択的な高分子に結合する薬物誘導体は共有的な固定化または受動的な固定化を用いて微粒子上に負荷される。特定の検体に対する抗体はバッファー系で調製される。反応溶液中で限られた量の特定の抗体への結合について、微粒子上の薬物コンジュゲートと血清試料中に存在する薬物との間で競合反応が生じる。溶液中の微粒子の運動相互作用は薬物コンジュゲートが抗体に結合することによって誘導され、試料中の薬物の存在によって阻害される。微粒子の相互作用は、溶液の吸光度によって測定され、言い換えると溶液の濁度に関連する。粒子と薬物コンジュゲートの架橋結合はより高い濁度(より高い吸光度)に結びつく。粒子上の抗体に結合するフリーの薬物がより低い濁度(より低い吸光度)を生じる。
【0089】
本発明の別のイムノアッセイ形式において、蛍光偏光イムノアッセイの方法および試験のキットは、蛍光偏光の原理を用いて、血清、血漿、全血、尿およびだ液中のブプレノルフィンおよび/または1以上のブプレノルフィン代謝産物を検出するための用時調製の液体試薬を含む。このアッセイ形式において、薬物誘導体は蛍光プローブでタグ化またはラベル化され、検体に対する抗体はバッファー系で調製される。反応溶液中で限られた量の特定の抗体への結合について蛍光トレーサを付けた薬物と血清試料中の薬物との間で競合反応が生じる。
【0090】
蛍光分子または蛍光プローブが適切な波長(励起波長)の光で照射されると、より長い波長(発光波長)である光が放射される。放射された光が偏光しているかいないかは溶液中で循環している蛍光プローブの自由度に依存する。蛍光色素等の小さい分子は発光が生じる前にすぐに循環し得、放射される光の偏光解消を生じる。対照的に、抗体に複合体化した蛍光色素の標識をした薬物コンジュゲート等の蛍光の高分子複合体は、ずっとより遅く循環する。従って、励起と発光の間の時間において、高分子複合体はほんのわずかしか循環せず、発光は偏光される。蛍光偏光は薬物濃度の再現可能機能であり、試料中の薬物濃度の定量的な測定に適している。
【0091】
本発明によって意図される別のイムノアッセイ形式は、抗体または他の結合レセプターに結合した場合阻害される電気活性標識の使用に基づいた、ホモ性の電気化学的なイムノアッセイである。好ましい電気活性標識は、ビピリジルオスミウム錯体等の可逆性のレドックス標識である。シグナル増幅は、レドックス酵素によって生物電気触媒的にこれらのメディエーターをレドックスが循環することによって、またはインターデジタルアレイ(IDA)電極の使用を介して達成され得る。ホモ性のアッセイで使用される形式は、逐次的な結合阻害である。アッセイされる試料は抗体または他の結合レセプターと混合される。ブプレノルフィンおよび/またはブプレノルフィン代謝産物が存在する場合、結合が生じる。その後、残存している非結合の抗体/結合レセプターは、標識された薬物電気活性コンジュゲートと混合される。その結果、非結合の標識された薬物電気活性コンジュゲートが電極表面で測定される。
【0092】
ブプレノルフィンおよび/またはブプレノルフィンの代謝産物が試料中に存在しない時、より多量の抗体または結合レセプターは薬剤標識した電子反応性のコンジュゲートと結合しうる。これは電子反応性の化合物の最大の阻害となる。試料における高い被検体の濃度は、電子反応性の化合物をほとんどまたは全く阻害しない。それゆえに、電子化学応答と被検体の濃度の間での明確な相関がある。
【0093】
本発明の更に他のイムノアッセイ様式において、試料中に存在するブプレノルフィンおよび/またはブプレノルフィンの代謝産物が、キャピラリー表面に固定化される抗体上の結合部位に対して薬剤標識した酵素コンジュゲートと競合する。未結合の被検体酵素コンジュゲートは、酵素が基質を電子反応性の産物に変換する検出領域へと流れ込む。該産物は次に電極で電子化学的に検出される。試料におけるブプレノルフィンおよび/またはブプレノルフィンの代謝産物の濃度が高い時、未結合のまま検出領域へと流入するより多くの被検体の酵素コンジュゲートがある。この結果、酵素コンジュゲートで産生される電子反応性の産物がより高濃度になり、電極でより高い電流が検出される。それゆえに、電極で検出される電流と被検体の濃度の間に明確な相関がある。
【0094】
本発明の他の側面は、試料におけるブプレノルフィンおよび/または1つ以上のブプレノルフィンの代謝産物の測定についての、該発明のアッセイ方法を簡単に行なうための有用なキットに関する。対象発明の用途の広さを促進するために、該発明の方法で有用な試薬は、試薬の割合が方法およびアッセイの実質的な最適化を提供するように、パッケージされた組み合わせで、同じまたは別の容器において、液体または凍結乾燥された形態で提供され得る。試薬は個々の容器にそれぞれあっても良く、または様々な試薬が試薬の交差反応性および安定性によって一つ以上の容器において組み合わされ得る。
【0095】
本発明の試薬キットはブプレノルフィンおよび/または一つ以上のブプレノルフィンの代謝産物に特異的なレセプターならびにブプレノルフィンのリガンドおよび非等張性、シグナル発生部分からなるコンジュゲートを含む。試薬は液体の形態のままでもよく、または凍結乾燥されてもよい。キットはアッセイを行なうのに有用な校正および対照物質を更に含むことができる。レセプターまたはコンジュゲートは固体支持上に固定化されてもよい。
【0096】
以下の実施例は更に本発明を例証するが、如何なる方法においても本発明を限定して解釈すべきではない。
【実施例】
【0097】
実施例1 ブプレノルフィンKLHおよびブプレノルフィンBSAコンジュゲートの合成
ブプレノルフィンKLHの調製
ブプレノルフィンKLH(5)の調製を図2に示す。第一に、3-O-(エトキシカルボニルプロピル)ブプレノルフィン(2)を調製した。エチル4-ブロモ酪酸エステル(300 μL, 2.09 mmol)および炭酸カリウム(500 mg)の後に2 mgの18-クラウン-6を、12 mLの無水アセトン(炭酸カリウム中で乾燥および精製した)および5.5 mLの無水DMF中の190 mg(0.37 mmol)のブプレノルフィン塩酸塩(シグマ化学)の溶液に添加した。混合物は加熱してアルゴン下で70時間還流し、室温まで冷却させた。反応混合物を濾過し、濾過物は減圧下で濃縮した。水(40 mL)を残留物に加え、水相画分を3 x 50 mLのジクロロメタンで抽出した。有機画分を混合、乾燥(硫化ナトリウム)、および濃縮した。残余物をジクロロメタンにおける10%エチル酢酸を使用してシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、128 mg(0.22 mmol,58%)の3-O-(エトキシカルボニルプロピル)ブプレノルフィン(2)を得た。
【0098】
次に、3-O-カルボキシプロピル-ブプレノルフィン(3)を合成した。水酸化リチウム水和物(150 mg, 3.5 mmol)を12 mLのメタノールおよび6 mLの水における120 mg(0.21 mmol)の3-O-(エトキシカルボニルプロピル)ブプレノルフィン(2)の懸濁液に添加し、続いて3 mLのTHFの添加した。混合物を室温で18時間攪拌し減圧下で濃縮した。残余物に、25 mLの水を加え、反応混合物は1N HClを使用してpH 5に調整された。水相画分を3 x 50 mLのジクロロメタンで抽出した。有機画分を混合、乾燥(硫化ナトリウム)、および減圧下で濃縮した。残余物はメタノール-酢酸エチル混合物を用いて分取薄相クロマトグラフィー(シリカゲル 60 F254 プレート, E.M. Science)で精製され、95 mg(0.17 mmol, 83%)の所望の酸3-O-カルボキシプロピル-ブプレノルフィン(3)を得た。
【0099】
3-O-(スクシニミド-オキシカルボニル-プロピル)-ブプレノルフィン(4)は、150 mg(0.78 mmol)の1-エチル-3 (3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩および150 mg(1.3 mmol)のN-ヒドロキシスクシニミドを6 mLのジクロロメタン(二水素カルシウム中で精製した)中の88 mg(0.16 mmol)の3-O-カルボキシプロピル-ブプレノルフィン(3)の溶液に添加して調製された。混合物をアルゴン下で18時間攪拌し、濃縮した。残余物は溶出液として酢酸エチルを用いて分取薄相クロマトグラフィー(シリカゲル 60 F254 プレート,E.M. Science)で精製され、70 mg(0.10 mmol, 68%)の活性化したブプレノルフィンエステル3-O-(スクシニミド-オキシカルボニル-プロピル)-ブプレノルフィン(4)を得た。
【0100】
ブプレノルフィンの免疫原、ブプレノルフィンKLH(5)は、12 mLのジメチルスルホキシド(DMSO)、氷浴で冷却した10.2 mLの50 mMのリン酸カリウム(pH 7.5)中の240 mgのキーホールリンペットヘモシアニン(Calbiochem)を含む溶液に滴下添加して調製された。反応温度を室温下で維持した。2 mLのDMFにおける70 mgのブプレノルフィン活性化エステル(4)の溶液を滴下してタンパク質溶液に添加した。混合物は室温で18時間攪拌させた。生じたコンジュゲートを透析チューブ(10,000 MW限界)に入れ、50 mMリン酸カリウム中70% DMSO 1 L(pH 7.5, 少なくとも3時間毎に、3回)、50 mMリン酸カリウム中50% DMSO 1 L(少なくとも3時間)、50 mMリン酸カリウム中30% DMSO 1 L(少なくとも3時間)、50 mMリン酸カリウム中10% DMSO 1 L(少なくとも3時間)において室温で透析し、続けて4℃で50 mMリン酸カリウム(pH 7.5)を用いて6回交換した(少なくとも6時間毎につき1 L毎)。タンパク質濃度は、バイオラッドクーマシーブルータンパク質アッセイ(Bradford, M. Anal. Biochem. 72:248,1976)を使用して5.2 mg/mLであると測定された。37 mLの全コンジュゲートを得た。有効なリジン修飾化の程度は、TNBS法で62%であると測定された(Habeeb AFSA, Anal. Biochem. 14:328-34, 1988)。
【0101】
ブプレノルフィンBSAの調製
ブプレノルフィンBSA(6)の調製を図2に示す。20 mLの50 mMリン酸カリウム(pH 7.5)における1.5 gのウシ血清アルブミン(BSA)の溶液を氷浴において冷却した。反応混合物が室温下で維持されるように、溶液に25 mLのDMSOの滴下して添加した。タンパク質溶液に2 mLの無水DMFにおける40 mgのブプレノルフィン活性化エステル、3-O-(スクシニミド-オキシカルボニル-プロピル)-ブプレノルフィン(4)の溶液を滴下して添加した。反応混合物を室温で24時間攪拌した。得られたコンジュゲートを透析チューブ(10,000MW 限界)に入れ、50 mMリン酸カリウム中70% DMSO 1 L(pH 7.5, 少なくとも3時間毎に3回)、50 mMリン酸カリウム中50% DMSO 1 L(少なくとも3時間)、50 mMリン酸カリウム中30% DMSO 1 L(少なくとも3時間)、50 mMリン酸カリウム中10% DMSO 1 L(少なくとも3時間)において室温で透析し、続けて4℃で50 mMリン酸カリウム(pH 7.5)を用いて6回交換した(少なくとも6時間毎につき1 L毎)。タンパク質濃度は、バイオラッドクーマシーブルータンパク質アッセイ(Bradford)を使用して20.3 mg/mLであると測定された。55 mLの全ブプレノルフィンBSAコンジュゲートを得た。
【0102】
実施例2 ノルブプレノルフィンKLHおよびノルブプレノルフィンBSAコンジュゲートの合成
ノルブプレノルフィンBSAの調製
ノルブプレノルフィンBSA(11)の調製を図3および4に示す。N-シアノ-ノルブプレノルフィン(7)を、炭酸カリウム水溶液を使用してジクロロメタンで抽出することによって、ブプレノルフィン塩酸塩(500 mg, 0.99 mmol)をブプレノルフィン遊離塩基に変換することで合成した。有機層を混合、乾燥(無水硫化ナトリウム)、および濃縮した。単離したブプレノルフィン遊離塩基を10 mLのジクロロメタン(二水素カルシウム中で精製した)に溶解し、1 mLの臭化シアン溶液(ジクロロメタン中に3 M)を添加した。混合物をアルゴン下、6時間42℃で攪拌し、0.2 mLの臭化シアン溶液(ジクロロメタン中に3 M)を添加した。反応混合物はアルゴン雰囲気下、42℃で68時間攪拌させた。反応混合物を酢酸エチル中80%のクロロホルムを使用して分取薄相クロマトグラフィー(シリカゲル 60 F254プレート、E.M. Science)によって濃縮および精製し、166 mg(38 %, 0.37 mmol)のN-シアノ-ノルブプレノルフィン(7)を得た。
【0103】
ノルブプレノルフィン(8)は150 mg(0.34 mmol)のN-シアノ-ノルブプレノルフィン(7)に対して10 mLの氷酢酸、2 mLの水、および400 mgの亜鉛粉末を添加して調製された。混合物を2時間還流し、さらなる400 mgの亜鉛粉末を添加した。混合物は加熱して7時間還流させ、続いて室温まで冷却させた。反応混合物を1 N水酸化ナトリウムの添加でpH 9に合わせた。水相を数回ジクロロメタンで抽出した。有機相を混合、乾燥(無水硫化ナトリウム)、および濃縮した。残余物は溶出液としてのメタノールおよびジクロロメタンの混合物を使用して分取薄相クロマトグラフィー(シリカゲル 60 F254 プレート、E.M. Science)によって精製し、100 mg (71%, 0.24 mmol)のノルブプレノルフィン(8)を得た。
【0104】
4 mLの新たに精製したTHF中の78 mg(0.18 mmol)のノルブプレノルフィン(8)の溶液を0℃に冷却した。N-カルボキシプロピル-ノルブプレンノルフィン(9)はノルブプレノルフィン反応混合物に2 mLのTHF中の0.5 mLのコハク酸セミアルデヒド(15% 水溶液)溶液、続けて100 mg(1.59 mmol)のシアノホウ酸化水素ナトリウムを添加することで調製された。混合物を90分間0℃でかつ室温で30分間攪拌した。反応混合物に1 mLの1 N 塩酸を添加し、反応混合物を2時間攪拌した。重炭酸ナトリウムの固体を添加し反応物のpHをpH 5に合わせた。反応混合物を3 x 20 mLのジクロロメタンで抽出した。有機相を混合、乾燥(無水硫化ナトリウム)、および濃縮した。残余物を逆相C-18カラムを用いた分取HPLC(0.1% TFAを含むアセトニトリル(MeCN)/水を用いたグラジェント作動)によって精製し、55 mg(58%, 0.11 mmol)のN-カルボキシプロピル-ノルブプレノルフィン(9)を得た。
【0105】
N-(スクシニミド-オキシカルボニル-プロピル)-ノルブプレノルフィン(10)を15 μL(0.085 mmol)のジイソプロピルエチルアミンおよび22 mg(0.073 mmol)のO-(N-サクシニミジル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸を0℃で0.7 mLの新たに精製したTHF中の13.5 mg(0.027 mmol)のN-カルボキシプロピル-ノルブプレノルフィン(9)に添加することで調製した。混合物は室温まで温めさせ、室温で2時間攪拌させ、次に濃縮した。残余物を溶出液としての酢酸エチルを使用して分取薄相クロマトグラフィー(シリカゲル 60 F254 プレート、E.M. Science)によって精製し、8 mg(0.013 mmol, 53%)のN-(スクシニミド-オキシカルボニル-プロピル)-ノルブプレノルフィン(10)を得た。
【0106】
ノルブプレノルフィンのウシ血清アルブミンコンジュゲート(11)を以下のように調製した。8 mLの50 mMリン酸カリウム(pH7.5)中の0.62 gのウシ血清アルブミン(BSA)の溶液を氷浴で冷却した。反応混合物が室温下で維持されるように、溶液に10 mLのDMSOを滴下して加えた。タンパク質溶液に1 mLの無水DMF中の14 mg(0.023 mmol)のノルブプレノルフィン活性化エステルN-(スクシニミド-オキシカルボニル-プロピル)-ノルブプレノルフィン(10)の溶液を滴下して添加した。反応混合物を室温で24時間攪拌した。得られたコンジュゲートを透析チューブ(10,000MW 限界)に入れ、50 mMリン酸カリウム中60% DMSO 1 L(pH 7.5, 少なくとも3時間毎に3回交換)、50 mMリン酸カリウム中50% DMSO 1 L(少なくとも3時間)、50 mMリン酸カリウム中30% DMSO 1 L(少なくとも3時間)、50 mMリン酸カリウム中10% DMSO 1 L(少なくとも3時間)において室温で透析し、続けて4℃で50 mMリン酸カリウム(pH 7.5)を用いて6回交換した(少なくとも6時間毎につき1 L毎)。ノルブプレノルフィンBSAのタンパク質濃度は、バイオラッドクーマシーブルータンパク質アッセイ(Bradford)を使用して21.3 mg/mLであると測定された。
【0107】
ノルブプレノルフィンKLHの調製
ノルブプレノルフィンKLH(12)の調製を図3および4に示す。7.4 mLの50 mMのリン酸カリウム(pH7.5)中の122 mgのキーホールリンペットヘモシアニンを含む溶液を氷浴で冷却し、室温下で反応温度が維持されるように、キーホールリンペットヘモシアニン溶液に8 mLのDMSOを滴下して添加した。タンパク質溶液に1 mLのDMF中の32 mgのノルブプレノルフィン活性化エステルN-(スクシニミド-オキシカルボニル-プロピル)-ノルブプレノルフィン(10)溶液を滴下して添加した。混合物を室温で42時間攪拌した。得られたコンジュゲートを透析チューブ(10,000MW 限界)に入れ、50 mMリン酸カリウム中60% DMSO 1 L(pH 7.5, 少なくとも3時間毎に3回交換)、50 mMリン酸カリウム中50% DMSO 1 L(少なくとも3時間)、50 mMリン酸カリウム中30% DMSO 1 L(少なくとも3時間)、50 mMリン酸カリウム中10% DMSO 1 L(少なくとも3時間)において室温で透析し、続けて4℃で50 mMリン酸カリウム(pH 7.5)を用いて6回交換した(少なくとも6時間毎につき2 L毎)。タンパク質濃度は、バイオラッドクーマシーブルータンパク質アッセイ(Bradford)を使用して3 mg/mLであると測定された。全30 mLのノルブプレノルフィンKLHコンジュゲート(12)を得た。有効なリジン修飾化の程度はTNBS法(Habeeb)によって65%であると測定された。
【0108】
実施例3 ブプレノルフィンコンジュゲート免疫原を使用したモノクローナル抗体の産生
免疫化
実施例1記載のブプレノルフィンキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)の免疫原を通常の生理食塩水溶液に200 μg/mLに希釈した。二重ハブの、25ゲージの針および2つの皮下注射用のシリンジを使用して、免疫原を等量のコンプリートフロイントアジュバンドと共に乳化した。16週齢以降のメスBalb/cマウスを0.1 mLの乳濁剤の腹腔内注射によって免疫化した。2回のブースター免疫は少なくとも4週の間隔で続けた。
【0109】
融合
3回目の免疫化から4日目に、あるマウスを用いてハイブリドーマを産生した。該マウスは血清を回収するために眼窩後方の放血で血抜きをし、続けて頚椎をずらした。脾臓は無菌技術を使用して取り除かれ、滅菌シャーレにおいて、10 mLの完全培養培地(イスコブ改良ダルベッコ培地、IMDM)Irvine Scientific中に置いた。脾臓は次に2つの無菌のつや消し顕微鏡スライドの間に置かれた。得られた細胞懸濁液は15 mLの遠心チューブに1〜2分静置させ、大きな粒子を沈めさせた。生じた単一細胞の懸濁液を取り出し、ヘモサイトメーターを使用して細胞数を数えた。FOミエローマ細胞(CRL-1646, アメリカ型培養収集物)をFOミエローマ細胞:脾臓細胞、1:5の割合で脾臓細胞と混合し、約800XGで15分間遠心した。上清の液体を取り除き、廃棄し、15 mLの血清無しのIMDM培養培地を添加した。細胞は再懸濁され、再度遠心された。Fazekas de St.Groth(J. Immunol. Meth. 35:1-21, 1980)の方法に従ってポリエチレングリコール/DMSOを用いて、得られた細胞のペレットを融合した。
【0110】
融合後、10%仔牛血清(Hyclone Labs)、10%コンダイムHI(Roche Molecular Chemicals)、50 μM 2-メルカプトエタノール、20 μMエタノールアミン、ハイポキサンチン-メトトレキサート-チミジン(3つすべてSigma Chemicalsから、後者は使用のために1:50に希釈した;HMT)、4 mMグルタミンおよびPen/Strep抗生物質(両方ともIrvine Scientificから)で補足された完全イスコブ改良ダルベッコ培地(高グルコース)において、細胞をmLにつき2 x 105 脾臓リンパ球に希釈した。融合細胞のこの混合物を無菌の96ウェル微量培養プレートに200 μL/ウェルで播種した。カバーしたプレートを5%二酸化炭素中、37℃で6日間インキュベーターに置いた。6日目に、8箇所の真空マニホルドによって培地のおよそ150 μLを取り除き、150 μLのHT-IMDMを添加した。ハイポキサンチン-チミジン(Sigma、1:50に希釈した;HT)をHMTに置換したという例外を除いて、この培地は上記のように調製された。目視観察でスクリーニングに最適な成長(およそ50%のコンフルエンシー)が明らかになるまでプレートは前述のようにインキュベートされた。
【0111】
スクリーニング
スクリーニングは酵素結合の免疫吸着アッセイ(ELISA)から成る。このなかで、ブプレノルフィンBSA(6)またはノルブプレノルフィンBSA(11)を37℃で1時間、1 μg/mLの濃度で100 μL中でプラスチックウェルに吸着させた。ウェルは次にPBS-TWEEN(0.05% TWEEN 20表面活性剤を含むリン酸緩衝生理食塩水、ICI Americas, Inc.)で洗浄され、室温で1時間、200 μLのPost Coat Solution(0.15M Tris中1% ゼラチン加水分解生成物、2%ショ糖, pH7.2-7.4)でブロックされた。プレートを次に2%ショ糖で洗浄し、空気乾燥、および使用されるまで4℃で完全に乾燥した密封プラスチックバッグに保存した。
【0112】
スクリーニングアッセイを以下のように行なった。ブプレノルフィンBSAで被覆された3つのプレートを個々のウェルに50 μLのPBS-TWEEN、PBS-TWEEN中の50 μLの400 ng/mL遊離ブプレノルフィンの溶液、および50 μLの400 ng/mLの遊離ノルブプレノルフィンの溶液をピペットで入れて調製した。ノルブプレノルフィンBSAで被覆された4つ目のプレートは50 μLのPBS-TWEENで使用された。少なくとも50%のコンフルエンシーの細胞成長を示すウェルから取り出した細胞培養上清(25 μl)を弾力性のある微量滴定プレート(Falcon Plastics)においてPBS-TWEENで1:20に希釈した。50 μLの希釈した上清を4つの微量滴定プレートのそれぞれのウェルに添加し、37℃で1時間、カバーしてインキュベートした。プレートは次にバイオテックElx300プレート洗浄機およびPBS-TWEENを使用して洗浄された。ヤギ抗マウスIgG-HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)コンジュゲート(Zymed Labs)を使用直前にPBS-TWEENへ1:5,000に希釈し、100 μLを4つの全プレートの全ウェルに添加した。プレートを再度37℃で1時間カバーしてインキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、100 μLのKblue Substrate(Neogen)を添加した。室温で5分間暗所にて、色調を発色させた。発色は100 μLの1 N塩酸(Sigma Chemicals)の添加で停止させ、色調をMolecular Devices Corp.微量プレートリーダーを使用して450 nmで読み取った。データはマッキントッシュコンピューター上に入力され、検査された培養ウェルにつき、異なるプレートの各ウェルのOD450を示すために表にされた。
【0113】
ハイブリドーマの選択およびサブクローニング
ブプレノルフィンBSA被覆プレート(PBSを含む)における1.0より大きいOD450および遊離ブプレノルフィンを含有するブプレノルフィンBSA被覆プレートにおける低いOD450または遊離ノルブプレノルフィンを含有するブプレノルフィンBSA被覆プレートにおける低いOD450(または両方の競合アッセイで低いOD450)を示すハイブリドーマをサブクローニングのために選択した。
【0114】
選択されたハイブリドーマを上記記載の培養培地における限界希釈法によって厳正なサブクローニングに直に供した。25〜50%のコンフルエンシーまで成長した際に、ハイブリドーマを上記記載の同じ方法で再検査した。個々の元々の融合ハイブリドーマからの全サブクローンが大体同じOD450の結果を提供した場合、3つのサブクローンを更なる検査のために選択した。全ウェルの各々の融合がほぼ等しく行われなかった場合、これを不安定性の証拠としてみなし、3つのウェルをサブクローニングの他のサイクルに使用した。この手順をハイブリドーマの各株が安定するまで繰り返した。安定性の際、細胞を培養で増やして、保存のために試料を気相液体窒素中に-80℃で凍結した。培養上清の試料を特定の解析のために保存した。
【0115】
実施例4 ブプレノルフィン代謝産物に交差反応性を持たないブプレノルフィンに特異的に結合するモノクローナル抗体の産生
実施例3に記載のようにハイブリドーマを産生、選択、およびサブクローン化した。モノクローナル抗体の結合特性を薬剤競合的なELISAアッセイを使用して測定した。即ち、0.1 μg/mLでブプレノルフィンBSAかまたはノルブプレノルフィンBSAで被覆されたプレート(上記記載の他の条件)を使用した。抗体価は被覆されたプレート上でインキュベートした上清の連続希釈のアッセイからの上記記載のハイブリドーマ培養上清から測定された。各希釈で、各上清に対するOD450を希釈因子に対してプロットした。そのデータから、最大OD450の50〜60%を提供する希釈因子を決定した。この希釈は次に力価の測定に関して同じ型のプレートを用いた、競合的阻害アッセイのために使用された。
【0116】
競合する薬剤を調製するために、以下の遊離薬剤をメタノールにおいて1 mg/mLに溶解した:(1)ブプレノルフィン、(2)ナロキソン、(3)ナルトレキソン、(4)モルヒネ、(5)コデイン、(6)オキシコドン、(7)オキシモルフォン、(8)ハイドロモルフォン、および(9)ハイドロコドン。以下の遊離薬剤をメタノールにおいて0.1 mg/mLに溶解した:(10)ブプレノルフィングルクロニド、(11)ノルブプレノルフィン、および(12)ノルブプレノルフィングルクロニド。グルクロニド代謝産物(10および12)をEl Sohly Associatesから入手し、他の全ての反応物をCerilliant(Austin,TX)またはAlltech(Deerfield, IL)から購入した。これらのストック溶液を1:333(1)または1:33(2〜12)の割合でPBS-TWEENに希釈し、100 μlのそれぞれを微量滴定プレートの列Aに移した。これらの溶液は、列Aから50 μLを100 μLのPBS-TWEENを含有する列Bのウェルに移すことで、連続的に希釈され、ピペットで混合させた。この希釈過程を、微量滴定プレートの8つの全列が連続希釈の遊離薬剤溶液を含有するまで繰り返した。
【0117】
0.1 μg/mLでブプレノルフィンBSAかノルブプレノルフィンBSAのどちらかで被覆されたプレートを上記記載のように調製した。各遊離薬剤の各希釈の25 μLアリコートを新しいコンジュゲート被覆したプレートに移した。これらの溶液に25 μLの希釈したハイブリドーマ培養上清を添加した。この手順によって、11の交差反応物(上記記載の交差反応物のような)および薬剤の基準、ブプレノルフィンをプレートに付き単一の抗体について選択した。競合アッセイは37℃で1時間インキュベートされた。次にバイオテックElx300プレート洗浄機およびPBS-TWEENを使用してプレートを洗浄した。ヤギ抗マウスIgG-ホースラディッシュペルオキシダーゼ(IgG-HRP)コンジュゲート(Zymed Labs)を使用直前にPBS-TWEENへ1:5,000に希釈し、100 μLを4つの全プレートの全ウェルに添加した。プレートを再度37℃で1時間、カバーしてインキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、100 μLのKblue Substrate(Neogen)を添加した。室温で5分間暗所にて、色調を発色させた。発色は100 μLの1 N塩酸(Sigma Chemicals)の添加で停止させ、Molecular Devices Corp.微量プレートリーダーを使用して色調を450 nmで読み取った。データはマッキントッシュコンピューター上に入力した。OD450値は遊離薬剤競合体の様々な濃度(10-12〜10-4M)のそれぞれに対してグラフ化された。
【0118】
上記の検査手順を使用して、ブプレノルフィンKLH免疫原がブプレノルフィンおよび/または1つ以上の代謝産物に対する様々な結合程度を示すモノクローナル抗体を生じたということを決定した。抗体BUP 2.2(図5)のデータは、免疫原としての親薬剤コンジュゲートの使用で得た典型的な結果である。図5に示すように、BUP 2.2はブプレノルフィンの代謝産物と交差反応しないブプレノルフィン、その語を本明細書で定義するように、と特異的に結合する。BUP 2.2は上記に挙げた他のオピエートの如何なるものと交差反応しない。ED50は、50%の基質結合ブプレノルフィンへのモノクローナル抗体の結合を阻害するのに必要な遊離競合抗原(ブプレノルフィン、ブプレノルフィンの代謝産物およびオピエート)の有効濃度の基準である。ED50値は以下の通りである:ブプレノルフィン、1.758 nM;ブプレノルフィングルクロニド、49.16 nM;ノルブプレノルフィン、20.34 nM;およびノルブプレノルフィン-N17-O-グルクロニド、2.557 μM。他の検査した薬剤に対する阻害は見られなかった。この効果を例証するためにナロキソンおよびナルトレキソンのデータを単にプロットした。交差反応は標準のED50を考慮された薬剤のED50で割ることで計算され、交差反応のパーセントを交差反応性に100を掛けることで計算した。
【0119】
加えて、他のクローン、BUP 21.3は、ブプレノルフィンの代謝産物に低い交差反応性を持つ親薬剤ブプレノルフィンと特異的に結合する同様な結合パターンを示した。結果を以下の表1に示す。ブプレノルフィンと特異的に結合し、およびブプレノルフィン代謝産物(例えば、BUP 2.2およびBUP 23.1)と交差反応しないモノクローナル抗体は結合のためにC3でヒドロキシル基およびC9でN-メチル-シクロプロパンを必要とする。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体は結合のためにC22での第3ブチル領域をさらに必要としてもよい。
【0120】
かかるモノクローナル抗体は代謝産物より親化合物の存在を検出する使用に明らかにより適している。このモノクローナル抗体はリハビリテーションプログラムで治療を受けている被検体において、ブプレノルフィンのコンプライアンスの使用を確かめるのに適切ではないであろう。
【0121】
【表1】

【0122】
実施例5 免疫原としてのブプレノルフィンコンジュゲートを使用したブプレノルフィングルクロニドと特異的に結合するモノクローナル抗体の産生
意外にも、親薬剤コンジュゲート(ブプレノルフィンKLHコンジュゲート)のみを使用した免疫プログラムがブプレノルフィンに低い交差反応性を持つ1つ以上のブプレノルフィンの代謝産物と特異的に結合するモノクローナル抗体を生じさせたということを見出した。このように、1つ以上のブプレノルフィンの代謝産物と特異的に結合するモノクローナル抗体はブプレノルフィンコンジュゲート免疫原を使用して作られ得る。これは親薬剤がその代謝産物より容易に利用可能であるので有利となる。ブプレノルフィンKLH免疫原ならびにハイブリドーマを産生、選択、およびサブクローン化する実施例3に記載の方法ならびに結合の特異性を測定する実施例4に記載の方法を使用して、ブプレノルフィングルクロニドと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生した。
【0123】
OD450の値を競合ELISAアッセイで使用した遊離薬剤競合体の様々な濃度(10-12〜10-4M)のそれぞれに対して測定した。図6に示すように、モノクローナル抗体BUP 88.1.1は、ブプレノルフィンまたは他のブプレノルフィンの代謝産物に交差反応性をもたずにブプレノルフィングルクロニドと特異的に結合する。ED50値は以下の通りである:ブプレノルフィン、29.88 μM; ブプレノルフィングルクロニド、5.676 nM;ノルブプレノルフィン、特異的な結合無し;およびノルブプレノルフィン-N17-O-グルクロニド、特異的な結合無し。図6はモノクローナル抗体がブプレノルフィンよりも約2,500倍大きい特異性を持ちブプレノルフィングルクロニドと結合するということを示す。また、BUP 88.1.1は実施例3に挙げた他のオピエートの如何なるものと交差反応しない。この効果を例証するためにナロキソンおよびナルトレキソンのデータを単にプロットする。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体は結合のためにC3でグルクロニド基およびC9でN-メチル-シクロプロパンを必要とする。
【0124】
他のモノクローナル抗体、BUP 67.1はブプレノルフィンよりも大きな親和性を持ってブプレノルフィングルクロニドと結合する。ED50値は以下の通りである:ブプレノルフィン、1.27 nM; ブプレノルフィングルクロニド、44.2 pM;ノルブプレノルフィン、4.24 nM;およびノルブプレノルフィン-N17-O-グルクロニド、3.84 nM。図9に示すように、BUP 67.1は親薬剤に対するよりもブプレノルフィングルクロニドの代謝産物に対しておよそ30倍の高い親和性を有する(親薬剤に対するED50値を代謝産物に対するED50値で割ることで計算した)。モノクローナル抗体はノルブプレノルフィンの代謝産物と最小の交差反応性を有する。
【0125】
この結合の特異性を有するモノクローナル抗体はブプレノルフィングルクロニドの代謝産物の存在を検出するのに適している。かかるモノクローナル抗体はオピエートリハビリテーションプログラムと供にブプレノルフィンの乱用を判定しおよびコンプライアンスを確かめるのに使用され得る。
【0126】
実施例6 免疫原としてのブプレノルフィンコンジュゲートを使用したノルブプレノルフィンの代謝産物と特異的に結合するモノクローナル抗体の産生
ブプレノルフィンKLH免疫原ならびにハイブリドーマを産生、選択、およびサブクローン化する実施例3に記載の方法ならびに結合の特異性を測定する実施例4に記載の方法を使用して、ノルブプレノルフィンの代謝産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を単離した。OD450の値を競合ELISAアッセイで使用した遊離薬剤競合体の様々な濃度(10-12〜10-4M)のそれぞれに対して測定した。図7に示すように、モノクローナル抗体BUP 83.1.1は、ブプレノルフィンに交差反応性をもたずにノルブプレノルフィンおよびノルブプレノルフィン-N17-O-グルクロニドと特異的に結合する。ED50値は以下の通りである:ブプレノルフィン、22.84 μM; ブプレノルフィングルクロニド、特異的な結合無し;ノルブプレノルフィン、631.0 pM;およびノルブプレノルフィングルクロニド、4.006 nM。具体的に、抗体BUP 83.1.1が親薬剤に対するよりもノルブプレノルフィンに対して36,000倍の大きな親和性を有することが分かった(親薬剤に対するED50値を代謝産物に対するED50値で割ることで計算した)。BUP 83.1.1はまたブプレノルフィングルクロニドの代謝産物と交差反応性を有さないおよびノルブプレノルフィングルクロニドと低い交差反応性を有する。他のモノクローナル抗体(BUP 42.1)は同様な結合特性を示し、つまりブプレノルフィンまたはブプレノルフィングルクロニドに対して交差反応性を持たずおよびノルブプレノルフィングルクロニドに低い交差反応性を持ちノルブプレノルフィンと特異的に結合する。BUP 83.1.1とBUP 42.1は共に実施例3に挙げた他のオピエートの如何なるものと交差反応しない。これらの結合特性を共有するモノクローナル抗体は結合のためにC9でN-メチル-シクロプロパン基の全てまたは一部の欠失を必要とし、かつC3でグルクロニド基上にヒドロキシル基を好む。
【0127】
この結合の特異性を有するモノクローナル抗体はノルブプレノルフィンの代謝産物の存在を検出するのに適している。かかるモノクローナル抗体はオピエートのリハビリテーションプログラムと共にコンプライアンスを確かめるのに使用され得る。
【0128】
実施例7 免疫原としてのブプレノルフィンコンジュゲートを使用してほぼ等しい親和性を持ってブプレノルフィンおよびブプレノルフィングルクロニドと特異的に結合するモノクローナル抗体の産生
意外にも、親薬剤コンジュゲート(ブプレノルフィンコンジュゲート)のみを使用した免疫プログラムが相同な親薬剤に関してほぼ同じ特異性を持って1つ以上の代謝産物と交差反応するモノクローナル抗体を生じさせたということを見出した。ブプレノルフィンKLH免疫原ならびにハイブリドーマを産生、選択、およびサブクローン化する実施例3に記載の方法ならびに結合の特異性を測定する実施例4に記載の方法を使用して、ブプレノルフィンおよびブプレノルフィングルクロニドの両方と特異的に結合するモノクローナル抗体を単離した。OD450の値を競合ELISAアッセイで使用した遊離薬剤競合体の様々な濃度(10-12〜10-4M)のそれぞれに対して測定した。図8に示すように、モノクローナル抗体BUP 1.1は、ノルブプレノルフィンの代謝産物とほぼ等しい親和性および低い交差反応性を持ってブプレノルフィンおよびブプレノルフィングルクロニドと結合する。ED50値は以下の通りである:ブプレノルフィン、10.7 nM; ブプレノルフィングルクロニド、8.11 nM;ノルブプレノルフィン、43.9 nM;およびノルブプレノルフィン-N17-O-グルクロニド、207 nM。BUP 1.1は実施例3に挙げた他のオピエートの如何なるものと交差反応しない。表2は同様な親和性を有してブプレノルフィンおよびブプレノルフィングルクロニドと結合し、ならびにノルブプレノルフィンの代謝産物と低い交差反応性を有する、更なるモノクローナル抗体を示す。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体は結合のためにC3の酸素の部分認識およびC9でN-メチル-シクロプロパン基の部分認識を示す。
【0129】
【表2】

【0130】
加えて、表3は同様な親和性を持ってブプレノルフィンおよびブプレノルフィングルクロニドと結合し、およびノルブプレノルフィンの代謝産物または他のオピエートと交差反応性を持たないモノクローナル抗体を示す。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体は、結合のためにC3の酸素の部分認識を示し、かつC9でN-メチル-シクロプロパン基の存在を必要とする。
【0131】
【表3】

【0132】
この実施例で記載した結合の特異性を有するモノクローナル抗体は、ブプレノルフィンおよびそのブプレノルフィングルクロニドの代謝産物の存在を検出するのに適している。この抗体は、ブプレノルフィンの乱用を検出するのに有用であり得た。しかし、ブプレノルフィンとブプレノルフィングルクロニドの間での高い交差反応性がある場合、親薬剤の試料の不良の可能性のためにオピエートのリハビリテーションプログラムでコンプライアンスを確かめるのに有用ではないであろう。
【0133】
実施例8 免疫原としてのブプレノルフィンコンジュゲートを使用してブプレノルフィングルクロニドと特異的に結合し、およびブプレノルフィンに低い交差反応性を有するモノクローナル抗体の産生
ブプレノルフィンKLH免疫原ならびに実施例3および4に記載の方法を使用して、ブプレノルフィングルクロニドと特異的に結合し、およびブプレノルフィンと低い交差反応性をもつモノクローナル抗体を産生した。OD450の値を競合ELISAアッセイで使用した遊離薬剤競合体の様々な濃度(10-12〜10-4M)のそれぞれに対して測定した。表4に示したモノクローナル抗体はブプレノルフィンよりも大きな親和性でブプレノルフィングルクロニドと結合する。クローンBUP 5.1、 BUP 6.1、 BUP 11.2、 BUP 13.1.3、 BUP 22.3、 BUP 52.1.1、 BUP 58.2.1、 BUP 74.1.3、 BUP 79.1、 およびBUP 89.2はブプレノルフィンと交差反応するが、クローンBUP 10.2、 BUP 14.2、 BUP 15.3、 BUP 30.1、 BUP 40.3、 およびBUP 66.2は、本明細書でその語を定義するように、ブプレノルフィンと技術的に交差反応しない。モノクローナル抗体は、ノルブプレノルフィンの代謝産物と交差反応性を有さない。他のモノクローナル抗体(BUP 4.2)は同様の結合特性を示し、例えば、ブプレノルフィンよりも大きな親和性でブプレノルフィングルクロニドと特異的に結合し、およびノルブプレノルフィンの代謝産物と最小の交差反応をする。表4に記載のモノクローナル抗体は実施例3に挙げる他のオピエートの如何なるものとも交差反応しない。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体は、結合のためにC3でグルクロニドの存在を必要とし、およびC9でN-メチル-シクロプロパン基の部分または完全認識を示す。
【0134】
【表4】

【0135】
実施例9 免疫原としてのブプレノルフィンコンジュゲートを使用してブプレノルフィンと特異的に結合しおよびノルブプレノルフィンと交差反応するモノクローナル抗体の産生
ブプレノルフィンKLH免疫原ならびに実施例3および4記載の方法を使用して、ブプレノルフィンと特異的に結合し、およびノルブプレノルフィンと交差反応するモノクローナル抗体を表5に示すように産生した。モノクローナル抗体はブプレノルフィングルクロニドの代謝産物または他のオピエートと交差反応しない。これらの結合特性を有するモノクローナル抗体は結合のためにC3でヒドロキシルを必要とし、およびC9でN-メチル-シクロプロパン基を認識する。
【0136】
【表5】

【0137】
実施例10 ノルブプレノルフィンのELISAアッセイ
尿のノルブプレノルフィンを測定するELISAアッセイは、96ウェル微量滴定プレートにおいてノルブプレノルフィンBSAコンジュゲートの適当量をウェルの壁に吸着させることで行なわれてもよい。これは、0.1 M 重炭酸緩衝液、pH9.4においてノルブプレノルフィンBSAコンジュゲートを希釈することで、および37℃で少なくとも1時間、カバーしたウェルにおいて100 μLの得られた溶液をインキュベートすることで行なった。未吸着のコンジュゲートを洗浄でウェルから取り除き、リン酸緩衝生理食塩水溶液、pH 7.2〜7.4に希釈した1 mg/mLのウシ血清アルブミンを含むブロッキング溶液を添加する。さらなる時間の間、上記のようにインキュベーションを続けて、過量のブロッキング溶液をウェルから洗浄する。
【0138】
アッセイは健常なヒトの尿において様々な既知の量のノルブプレノルフィンの希釈を調製して、ノルブプレノルフィンに対する標準曲線をはじめに確立することで行われる。これらの参照基準はPBS緩衝液に希釈されたものそれぞれである。その後ホースラディッシュペルオキシダーゼで標識された予め決められた量のモノクローナル抗体BUP 83.1.1.1を含む緩衝液を調製する(BUP 83.1.1.1-HRP)。抗体をHRPに連結させるための市販キットを使用して、かかる標識コンジュゲートは、容易に調製されてもよい。ノルブプレノルフィンの存在および/または量を検査する尿試料をPBS緩衝液で同様に希釈する。
【0139】
次いで50 μLの各ノルブプレノルフィン標準および50 μLの各希釈した患者の尿試料を抗体被覆した微量滴定プレートの異なるウェルにピペットで移す。その後各ウェルは等量のBUP 83.1.1.1-HRP溶液を受ける。プレートをカバーして37℃で1時間、インキュベートし、経時後ウェルを6回純粋なPBS緩衝液で洗浄する。ウェルを次にKblue(Neogene Corp.)等の50 μLの酵素基質で満たす。適宜の期間、基質をウェル内で反応させ、その後反応は等量の1 N塩酸の添加で終了させる。405 nmのフィルターを備えた微量プレートリーダーを使用して、各ウェルの色強度を測定する。
【0140】
ノルブプレノルフィンの標準曲線は、各標準溶液における色調の強度対ノルブプレノルフィンの量をプロットすることで導かれる。その後希釈した患者試料におけるノルブプレノルフィンの濃度は未知の試料で得た結果を参照溶液で得たものと比較して決定され得る。
【0141】
本明細書に引用した全ての参照は、特許および公開を含み、参照でそれらの全部においてここで援用される。現在の好ましい態様の代表としての本明細書に記載の方法および組成は、例示であり、かつ発明の範囲の制限として意図しない。発明の好ましい側面に発明を強調して記載するが、発明の範囲および精神から逸脱すること無く様々の好ましい態様が使用され得るということ、および発明は具体的に本明細書に記載した以外のもので行なわれ得ることを意味するということが当業者に容易に明らかとなり得よう。従って、本発明は、説明および請求した項で定義した発明の精神および範囲内で包括したあらゆる修正を含む。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】図1は、ブプレノルフィンおよびいくつかのその代謝産物の化学構造を提供する。図1Aは、ブプレノルフィンの化学構造を示す;図1Bは、ノルブプレノルフィンの化学構造を示す;図1Cは、ブプレノルフィングルクロニドの化学構造を示す;ならびに図1Dは、ノルブプレノルフィングルクロニドの化学構造を示す。
【図2】図2は、塩酸ブプレノルフィンからのブプレノルフィン-BSAコンジュゲートおよびブプレノルフィン-KLHコンジュゲートの合成を示す図である。
【図3】図3は、ブプレノルフィンからのノルブプレノルフィンの合成を示す図である。
【図4】図4は、ノルブプレノルフィンからのノルブプレノルフィン-BSAコンジュゲートおよびノルブプレノルフィン-KLHコンジュゲートの合成を示す図である。
【図5】図5は、モノクローナル抗体BUP2.2について行われた競合ELISA結合アッセイで得られたデータの回帰プロットである。種々の濃度(10-12〜10-4M)の遊離オピエート競合物の存在下でブプレノルフィンに結合したモノクローナル抗体BUP2.2の量をELISAにおいてOD450値を測定することにより決定した。白丸は、種々の濃度の遊離ブプレノルフィンの存在下でのOD450値を示す。白四角は、遊離ブプレノルフィングルクロニドの種々の濃度の存在下でのOD450値を示す。白菱形は、遊離ノルブプレノルフィンの種々の濃度の存在下でのOD450値を示す。Xは、種々の濃度の遊離ノルブプレノルフィングルクロニドの存在下でのOD450値を示す。+記号は、種々の濃度の遊離ナロキソンの存在下でのOD450値を示す。白三角は、種々の濃度の遊離ナルトレキソンの存在下でのOD450値を示す。ED50は、ブプレノルフィンへのモノクローナル抗体BUP2.2の結合を50%阻害するのに必要な遊離オピエート競合物の有効濃度の尺度である。ブプレノルフィンと比べたいくつかのブプレノルフィン代謝産物(ブプレノルフィングルクロニド(BupG)、ノルブプレノルフィン(nBup)、およびノルブプレノルフィングルクロニド(nBupG))についてのモノクローナル抗体BUP2.2の交差反応性を、ED50ブプレノルフィン/ED50ブプレノルフィン代謝産物x100を計算することにより決定した。モノクローナル抗体は、ナロキソン、ナルトレキソン、モルフィン、コデイン、オキシコドン、オキシモルフォン、ヒドロモルフォン、およびヒドロコドンを含む試験したいくつかのオピエートには結合しなかった。
【図6】図6は、モノクローナル抗体BUP88.1.1について行った競合ELISA結合アッセイにおいて得られたデータの回帰プロットである。種々の濃度(10-12〜10-4M)の遊離オピエート競合物の存在下でブプレノルフィンに結合したモノクローナル抗体BUP88.1.1の量を、OD450値を測定することにより決定した。白丸は、種々の濃度の遊離ブプレノルフィンの存在下でのOD450値を示す。白四角は、種々の濃度の遊離ブプレノルフィングルクロニドの存在下でのOD450値を示す。白菱形は、種々の濃度の遊離ノルブプレノルフィンの存在下でのOD450値を示す。Xは、種々の濃度の遊離ノルブプレノルフィンN17-O-グルクロニドの存在下でのOD450値を示す。+記号は、種々の濃度の遊離ナロキソンの存在下でのOD450値を示す。白三角は、種々の濃度の遊離ナルトレキソンの存在下でのOD450値を示す。ED50は、ブプレノルフィンへのモノクローナル抗体BUP88.1.1の結合を50%阻害するのに必要な遊離オピエート競合物の有効濃度の尺度である。ブプレノルフィンと比べたいくつかのブプレノルフィン代謝産物(ブプレノルフィングルクロニド(BupG)、ノルブプレノルフィン(nBup)、およびノルブプレノルフィングルクロニド(nBupG))についてのモノクローナル抗体BUP88.1.1の交差反応性をED50ブプレノルフィン/ED50ブプレノルフィン代謝産物x100を計算することにより決定した。モノクローナル抗体は、ナロキソン、ナルトレキソン、モルフィン、コデイン、オキシコドン、オキシモルフォン、ヒドロモルフォン、およびヒドロコドンを含む試験したいくつかのオピエートには結合しなかった。
【図7】図7は、モノクローナル抗体BUP83.1.1について行った結合アッセイで得られたデータの回帰プロットである。種々の濃度(10-12〜10-4M)の遊離オピエート競合物の存在下でブプレノルフィンに結合したモノクローナル抗体BUP83.1.1の量を、OD450値を測定することにより決定した。種々の遊離競合物の記号は上記の図5に関する記述に記載されるとおりである。ED50は、ブプレノルフィンへのモノクローナル抗体BUP88.1.1の結合を50%阻害するのに必要な遊離オピエート競合物の有効濃度の尺度である。ブプレノルフィンと比べたいくつかのブプレノルフィン代謝産物(ブプレノルフィングルクロニド(BupG)、ノルブプレノルフィン(nBup)、およびノルブプレノルフィングルクロニド(nBupG))についてのモノクローナル抗体BUP88.1.1の交差反応性をED50ブプレノルフィン/ED50ブプレノルフィン代謝産物x100を計算することにより決定した。モノクローナル抗体は、ナロキソン、ナルトレキソン、モルフィン、コデイン、オキシコドン、オキシモルフォン、ヒドロモルフォン、およびヒドロコドンを含む試験したいくつかのオピエートには結合しなかった。
【図8】図8は、モノクローナル抗体、BUP1.1について行った結合アッセイで得られたデータの回帰プロットである。種々の濃度(10-12〜10-4M)の遊離オピエート競合物の存在下でブプレノルフィンに結合したモノクローナル抗体BUP1.1の量を、OD450値を測定することにより決定した。種々の遊離競合物の記号は上記の図5に関する記述に記載されるとおりである。ED50は、ブプレノルフィンへのモノクローナル抗体BUP88.1.1の結合を50%阻害するのに必要な遊離オピエート競合物の有効濃度の尺度である。ブプレノルフィンと比べたいくつかのブプレノルフィン代謝産物(ブプレノルフィングルクロニド(BupG)、ノルブプレノルフィン(nBup)、およびノルブプレノルフィングルクロニド(nBupG)についてのモノクローナル抗体BUP88.1.1の交差反応性をED50ブプレノルフィン/ED50ブプレノルフィン代謝産物x100を計算することにより決定した。モノクローナル抗体は、ナロキソン、ナルトレキソン、モルフィン、コデイン、オキシコドン、オキシモルフォン、ヒドロモルフォン、およびヒドロコドンを含む試験したいくつかのオピエートには結合しなかった。
【図9】図9は、モノクローナル抗体、BUP67.1について行った結合アッセイで得られたデータの回帰プロットである。種々の濃度(10-12〜10-4M)の遊離オピエート競合物の存在下でブプレノルフィンに結合したモノクローナル抗体BUP67.1の量をOD450値を測定することにより決定した。種々の遊離競合物の記号は上記の図5に関する記述に記載されるとおりである。ED50は、ブプレノルフィンへのモノクローナル抗体BUP67.1の結合を50%阻害するのに必要な遊離オピエート競合物の有効濃度の尺度である。ブプレノルフィンと比べたいくつかのブプレノルフィン代謝産物(ブプレノルフィングルクロニド(BupG)、ノルブプレノルフィン(nBup)、およびノルブプレノルフィングルクロニド(nBupG))についてのモノクローナル抗体BUP67.1の交差反応性をED50ブプレノルフィン/ED50ブプレノルフィン代謝産物x100を計算することにより決定した。モノクローナル抗体は、ナロキソン、ナルトレキソン、モルフィン、コデイン、オキシコドン、オキシモルフォン、ヒドロモルフォン、およびヒドロコドンを含む試験したいくつかのオピエートには結合しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブプレノルフィンに特異的に結合し、ブプレノルフィン代謝産物への交差反応性を有さないモノクローナル抗体。
【請求項2】
1つ以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、ブプレノルフィンまたは別のブプレノルフィン代謝産物への交差反応性を有さないモノクローナル抗体。
【請求項3】
ブプレノルフィンおよび1つ以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、別のブプレノルフィン代謝産物への交差反応性を有さないモノクローナル抗体。
【請求項4】
1つ以上のブプレノルフィン代謝産物が、ノルブプレノルフィン、ノルブプレノルフィングルクロニド、およびブプレノルフィングルクロニドからなる群より選ばれる請求項2または3記載の抗体。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株。
【請求項6】
ATCCアクセッション番号PTA 5020を有し、請求項1記載の抗体を産生するハイブリドーマ細胞株。
【請求項7】
ATCCアクセッション番号PTA 5021を有し、請求項3記載の抗体を産生するハイブリドーマ細胞株。
【請求項8】
ATCCアクセッション番号PTA 5022またはPTA 5023を有し、請求項2記載の抗体を産生するハイブリドーマ細胞株。
【請求項9】
以下の構造:
【化1】

式中、Xは、0〜2個の置換もしくは非置換芳香環を含む0〜10個の炭素原子またはヘテロ原子からなる連結基であり、YはO、NH、またはSであり、Zは脱離基、免疫原性キャリア、または標識である、
を有するノルブプレノルフィンコンジュゲート。
【請求項10】
Xが(CH2)2であり、YがOである請求項13記載のコンジュゲート。
【請求項11】
a. 試料と、ブプレノルフィンと特異的に結合し、ブプレノルフィン代謝産物に対して交差反応性を有さない請求項1記載のモノクローナル抗体とを混合し、ブプレノルフィン-抗体複合体を形成させる工程;
b. 工程(a)で形成された組み合わせに、工程(a)で形成された複合体と結合する標識を有する結合パートナーを添加し、検出可能なシグナルを生成する工程、および
c. 工程(b)で生成したシグナルを、試料中のブプレノルフィンの尺度として測定する工程、
を含む、試料中のブプレノルフィンを測定する方法。
【請求項12】
a. 試料と、ブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、ブプレノルフィンまたは別のブプレノルフィン代謝産物に対して交差反応性を有さないブプレノルフィン代謝産物とを混合し、代謝産物-抗体複合体を形成する工程、
b. 工程(a)で形成された組み合わせに、工程(a)で形成された複合体に結合する標識を有する結合パートナーを添加し、検出可能なシグナルを生成する工程、および
c. 工程(b)で生成したシグナルを試料中のブプレノルフィン代謝産物の尺度として測定する工程、
を含む、試料中のブプレノルフィン代謝産物を測定する方法。
【請求項13】
a. 試料と、ブプレノルフィンおよび1つ以上のブプレノルフィン代謝産物に特異的に結合し、別のブプレノルフィン代謝産物に対して交差反応性を有さない請求項3記載のモノクローナル抗体とを混合し、ブプレノルフィン-抗体および代謝産物-抗体複合体を形成する工程、
b. 工程(a)で形成された組み合わせに、工程(a)で形成された複合体に結合する標識を有する結合パートナーを添加し、検出可能なシグナルを生成する工程、および
c. 工程(b)で生成されたシグナルを、試料中のブプレノルフィンおよび1つ以上のブプレノルフィン代謝産物の尺度として測定する工程、
を含む、試料中のブプレノルフィンおよび1つ以上のブプレノルフィン代謝産物を測定する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−537972(P2007−537972A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508245(P2006−508245)
【出願日】平成16年6月2日(2004.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005917
【国際公開番号】WO2004/106385
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】