説明

ブラシ装置及びマッサージ装置

【課題】優しくさらに連続的に且つ効果的にマッサージを行うことができるようにずる。
【解決手段】ブラシ部2の可撓性を有する基板3に複数の突起4,4´,4´´を形成し、前記基板3の縁を枠体5に固定し、駆動部としてのモータを作動させることで、前記基板3を、上に撓んだ湾曲凹状態と下に撓んだ湾曲凸状態の間で前記軸線Aに沿って繰り返し変形させ、複数の突起4,4´,4´´が繰り返し開閉する。前記複数の突起4,4´,4´´は前記基板3の周囲側のものより、中心側のものの高さが低くなるように設定されている。頭皮Gを掴んだり押し広げたりする動作を繰り返し、頭皮Gのマッサージ及び頭皮Gと髪Hの洗浄を行うことができる。基板3が平らな状態であっても、例えば頭皮Gの湾曲凸状部分に突起4,4´,4´´の先端4B,4B´,4B´´が添い易くなり、連続的に頭皮Gのマッサージを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗髪時における頭皮のマッサージ等に使用するブラシ装置及びマッサージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、頭部マッサージ具として、手で柄を持って、頭部を軽くたたいて使用する頭部マッサージ具であって、盤体に弾性板を設けると共に、この弾性板に同じ突出長さの弾性突起を複数設け、盤体の手動での往復上下動により弾性突起を介してマッサージを行う頭部マッサージ具が知られている(例えば特許文献1)。また、この種のブラシ装置として、例えば、モータを内蔵したケーシングに弾性部材を介して振動ヘッドを設け、該振動ヘッド内に前記モータのモータ軸を突設させ、該モータ軸に振動子を偏心して取り付け、さらに、前記振動ヘッドの一側面に柔軟物質から成るブラシを取り付けたマッサージ兼電動洗髪ブラシが公知である(例えば特許文献2)。このマッサージ兼電動洗髪ブラシにおいては、前記ブラシは円盤状に形成された基板としてのブラシ本体部と、該ブラシ本体部の一側面に多数突設された突起としての針状体片とから成る。そして、このマッサージ兼電動洗髪ブラシを使用する場合、使用者は、まずケーシングを把持して前記ブラシを頭部に押し当て、前記モータを作動させることで、前記振動ヘッドに内蔵されている振動子の偏心回転によって生じる振動が、前記振動ヘッド及びブラシを介して頭皮に伝達される。そして、前記ブラシは柔軟物質から構成されているので、頭皮を傷付けることなく毛穴の脂垢を取り除き、同時にマッサージを行うというものである。
【特許文献1】実開昭58−179130号公報
【特許文献2】特開2001−258974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した前者の従来技術においては、上下に撓んだ湾曲凹、凸状態をなすものであるが、頭部は略球面状の曲面をなしており、突出長さが同じ複数の弾性突起においては、弾性板が湾曲凹状となってはじめて頭皮を掴んで揉むような配置となる。この結果、前記弾性突起によって継続的に揉み続けられず、弾性板が撓んだ際にのみ瞬間的且つ断続的に揉まれることになってしまうなどの虞がある。また、前者の従来技術では弾性板の変形は、柄の先端に設けられた盤体の手動での往復上下動によるものであるから、使用中に前記マッサージ具を把持する手を動かし続けなければならないばかりでなく、弾性板の湾曲凹、凸状態を確実に形成することができない虞もある。
【0004】
後者の従来技術においては、洗髪時における頭皮のマッサージや患部等のマッサージを行うとき、前記振動ヘッドに内蔵されている振動子の偏心回転によって生じる振動が、前記振動ヘッド及び柔軟物質から構成されている前記ブラシを介して頭皮等に伝達されるというものであるが、前記ブラシは頭皮等に対して単純に振動しているだけなので、頭皮等のマッサージを十分に行うことができないばかりでなく、頭皮の汚れも十分落とすことができないという問題があった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、洗髪及び頭皮のマッサージを行う場合等に、ブラシ部によって優しく且つ連続的に揉み続け効果的に頭皮等のマッサージ及び洗浄を行うことができるブラシ装置を提供することを目的とし、また、患部のマッサージを行う場合等に、施療部によって優しく且つ連続的に揉み続け効果的に患部等のマッサージを行うことができるマッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、駆動部と、この駆動部によって動作するブラシ部とを有するブラシ装置において、前記ブラシ部が、可撓性を有する材質から成る板状の基板と、この基板の面に対して交差する方向に突出して設けられた複数の突起とで構成され、前記駆動部に、前記ブラシ部の基板の周縁を前記駆動部に対する位置関係が固定された状態で保持されると共に、前記駆動部に、前記基板の面と交差する方向にこの基板を撓ませる往復駆動手段を設け、前記複数の突起が前記基板の周囲から中心に向かって前記突起の高さが低くなるように設定されていることを特徴とするブラシ装置である。
【0007】
請求項2の発明は、カバー内部に往復駆動手段を設けた駆動部と、可撓性の基板の面に複数の突起を交差する方向に設けたブラシ部とを有するブラシ装置であって、前記駆動部に枠体を設け、該枠体に前記基板の周縁全体を固定した状態で保持すると共に、前記往復駆動手段によって、前記基板の中央部を該基板の面と交差する方向に往復駆動させることにより、上に撓んだ湾曲凹状態と下に撓んだ湾曲凸状態の間で前記ブラシ部を繰り返し変形させ、前記往復駆動手段が、前記駆動部に設けられたモータのモータ軸の回転を前記往復運動に変換して前記基板を往復駆動させるように構成され、複数の前記突起が前記基板の周囲から中心に向かって前記突起の高さが低くなるように設定されていることを特徴とするブラシ装置である。
【0008】
請求項3の発明は、駆動部と、この駆動部によって動作する施療部とを有するマッサージ装置において、前記施療部が、可撓性を有する材質から成る板状の基板と、この基板の面に対して交差する方向に突出して設けられた複数の突起とで構成され、前記駆動部に、前記施療部の基板の周縁を前記駆動部に対する位置関係が固定された状態で保持される枠体を設けると共に、前記駆動部に、前記基板の面と交差する方向にこの基板を撓ませる往復駆動手段を設け、前記複数の突起が前記基板の周囲から中心に向かって前記突起の高さが低くなるように設定されていることを特徴とするマッサージ装置である。
【0009】
請求項4の発明は、カバー内部に往復駆動手段を設けた駆動部と、可撓性の基板の面に複数の突起を交差する方向に設けた施療部とを有するマッサージ装置であって、前記駆動部に枠体を設け、該枠体に前記基板の周縁全体を固定した状態で保持すると共に、前記往復駆動手段によって、前記基板の中央部を該基板の面と交差する方向に往復駆動させることにより、上に撓んだ湾曲凹状態と下に撓んだ湾曲凸状態の間で前記施療部を繰り返し変形させ、前記往復駆動手段が、前記駆動部に設けられたモータのモータ軸の回転を前記往復運動に変換して前記基板を往復駆動させるように構成され、複数の前記突起が前記基板の周囲から中心に向かって前記突起の高さが低くなるように設定されていることを特徴とするマッサージ装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、前記ブラシ部の基板が前記枠体によって固定された状態で、前記基板の中央部を、往復駆動手段によって前記基板の面と交差する方向に撓ませることで、前記複数の突起を繰り返し相互に開閉させることにより、これらの突起を頭皮等に当てることで、頭皮等を効果的に洗浄したりマッサージしたりすることができ、この際、前記複数の突起が前記基板の周囲側のものより、中心側のものの高さが低くなるように設定されているので、前記基板が例えば水平状態であっても複数の前記突起が略球面状の頭皮等に沿うように配置され、複数の前記突起の先端が頭皮等に接した状態で前記基板が撓むことで、頭皮等を連続的に洗浄したりマッサージしたりすることができる。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、前記ブラシ部の基板が前記枠体によって固定された状態で、前記基板の中央部を、前記駆動部に設けられたモータのモータ軸の回転を前記往復運動に変換する往復駆動手段によって前記基板の面と交差する方向に確実に撓ませることで、複数の前記突起を繰り返し相互に開閉させることにより、これらの突起を頭皮等に当てることで、頭皮等を効果的に洗浄したりマッサージしたりすることができ、この際、前記複数の突起が前記基板の周囲側のものより、中心側のものの高さが低くなるように設定されているので、前記基板が例えば水平状態であっても複数の前記突起が略球面状の頭皮等に沿うように配置され、複数の前記突起の先端が頭皮等に接した状態で前記基板が撓むことで、頭皮等を連続的に洗浄したりマッサージしたりすることができる。
【0012】
また、請求項3の発明によれば、前記施療部の基板が前記枠体によって固定された状態で、前記基板の中央部を、往復駆動手段によって前記基板の面と交差する方向に撓ませることで、複数の前記突起を繰り返し相互に開閉させることにより、これらの突起を患部に当てることで、患部を効果的にマッサージすることができ、この際、複数の前記突起が前記基板の周囲側のものより、中心側のものの高さが低くなるように設定されているので、前記基板が例えば水平状態であっても複数の前記突起が略球面状の患部に沿うように配置され、複数の前記突起の先端が患部に接した状態で前記基板が撓むことで、患部を連続的にマッサージすることができる。
【0013】
さらに、請求項4の発明によれば、前記施療部の基板が前記枠体によって固定された状態で、前記基板の中央部を、前記駆動部に設けられたモータのモータ軸の回転を前記往復運動に変換する往復駆動手段によって前記基板の面と交差する方向に撓ませることで、複数の前記突起を繰り返し相互に開閉させることにより、これらの突起を患部に当てることで、患部を効果的にマッサージすることができ、この際、複数の前記突起が前記基板の周囲側のものより、中心側のものの高さが低くなるように設定されているので、前記基板が例えば水平状態であっても複数の前記突起が略球面状の患部に沿うように配置され、複数の前記突起の先端が患部に接した状態で前記基板が撓むことで、患部を連続的にマッサージすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
参考例1
【0015】
図1〜図5は図9〜図10で示した実施例1を説明するための参考例1を示している。1はマッサージ装置を兼用するブラシ装置であり、このブラシ装置1の下部側にはブラシ部2が設けられている。そして、このブラシ部2は、基板3と、この基板3の一側面3A側に突出して一体に設けられた複数の突起4とで構成されている。前記基板3は、軸線Aを中心とした円板状であって、可撓性を有する軟質合成樹脂によって形成されている。そして、この基板3の縁3Bは、前記ブラシ装置1の枠体5の内周全体に固定されている。また、複数の前記突起4は、基端4A側がやや太くなった棒状であると共に、前記軸線Aを中心として略軸対称となるように、前記基板3と一体に形成されている。さらに、前記各突起4は、その軸線Dが前記基板3の一側面3Aに対して略垂直に交差するように突出して形成されている。なお、前記突起4の基端4Aは、前記基板3の撓みに依らず、この基板3の一側面3Aに対して略垂直な状態を保つ。また、前記枠体5は、非可撓性の硬質合成樹脂製であって、前記基板3の縁3Bの全周が固定されて前記軸線Aを中心とした環状に形成されている。尚、図中Bは、前記基板3の幅方向であり、前記基板3は前記軸線Aと直交して交差する前記幅方向Bに広く形成され、また、複数の前記突起4は相互に間隔Cをおいて配置されている。
【0016】
また、前記基板3の上方を覆うように、駆動部を構成するカバー6が前記枠体5と一体的に設けられている。そして、前記カバー6内に、前記基板3の中央を前記軸線Aに沿って上下方向に往復動させる往復駆動手段7が設けられている。この往復駆動手段7は、前記カバー6内のブラケット等の取り付け受け部材6Aを介して前記枠体5と一体的に設けられたモータ8と、このモータ8のモータ軸8Aに取り付けられたクランク機構9と、このクランク機構9の偏心軸9Aに対して一側10Aが回動自在に連結されると共に、他側10Bが前記基板3の他側面3Cの略中央に対して揺動自在に連結されたコンロッド10を備えている。なお、前記モータ8は図示しない減速機構を有し、その回転を所定の減速比で減速して前記モータ軸8Aを回転させる。また、前記モータ8のモータ軸8Aと前記クランク機構9の偏心軸9Aとの偏心距離はFである。したがって、前記モータ8のモータ軸8Aが回転すると、このモータ軸8Aの回転が前記クランク機構9及びコンロッド10によって往復運動に変換されると共に、このコンロッド10によって前記基板3の中央部は軸線Aに沿って上下方向に往復動する。なお、前述したように、前記基板3の縁3Bが前記枠体5に固定されていることで、前記基板3の中央が軸線Aに沿って上下方向に往復動したとしても、前記縁3Bは移動しない。従って、前記基板3は、前記モータ8の回転によって、図4及び図5に示すように、上に撓んだ湾曲凹状態と下に撓んだ湾曲凸状態の間で変形することになる。さらに、前記カバー6内には、図示しない電池を収容する電池ケース11が設けられると共に、前記カバー6の表面には、前記モータ8を作動させるためのスイッチ12が設けられている。
【0017】
次に、前記構成について、その作用を説明する。洗髪する場合、まず使用者は、前記ブラシ装置1を把持し、前記ブラシ部2の突起4の先端4Bを頭皮Gに押し当てる。この時、前記突起4の先端4Bは、軽い力で前記頭皮Gに押し付けられている。次に、スイッチ12を閉成すると、図示しない電池から給電されることで前記モータ8が作動して前記モータ軸8Aが回転する。この回転に伴い、前記モータ軸8Aに取り付けられた前記クランク機構9が回転し、このクランク機構9とこのクランク機構9の偏心軸9Aに連結された前記コンロッド10によって、前記モータ軸8Aの回転運動が往復運動に変換され、前記コンロッド10に連結された前記基板3が、その中央が前記軸線Aに沿って往復動することで、前述したように、上に撓んだ湾曲凹状態と下に撓んだ湾曲凸状態の間で振幅が2Fとなる変形を繰り返す。
【0018】
そして、図4に示すように、前記クランク機構9の偏心軸9Aが前記モータ軸8Aよりも上方となると、前記コンロッド10によって引き上げられることで、前記基板3はその中央を最上部とする上方に撓んだ湾曲凹状態となる。そして、前記基板3の一側面3Aと直交するように前記基板3と一体に突設して形成された前記突起4のうち、少なくとも基端4Aは、前記基板3の一側面3Aの撓みに伴って、この一側面3Aとの直交状態をほぼ保って一体的に動くことにより、前記複数の突起4の先端4B同士が閉じる、即ち前記複数の突起4の少なくとも基端4Aにおける軸線D同士が内向きとなるように移動することになる。なお、実際には、前述したように、前記突起4の先端4Bが軽い力で前記頭皮Gに押し付けられていることによって、前記突起4の先端4Bは常に頭皮Gに当接していることになり、この結果、可撓性を有する軟質合成樹脂によって形成された前記突起4のうち、少なくとも前記基板3の外周側に形成された前記突起4における太く形成された基端4Aは、僅かに撓むものの、実質的に殆ど変形せず前記基板3の一側面3Aに対してほぼ直交した状態を保つ一方、細く形成された先端4B側は、大きく撓んだ状態で頭皮Gと当接することになる。そして、このように前記モータ8が回転して前記ブラシ部2の基板3が上方に撓むことで、前記突起4が頭皮Gに当接した状態で内側に動くことになり、この際、前記突起4の先端4Bによって頭皮Gが掴まれるようにマッサージされると同時に、洗髪剤等によって頭皮Gのみならず髪Hも洗浄されることになる。なお、前述したように、前記ブラシ部2の頭皮Gへの押し付け力及び前記突起4の動きに伴って前記突起4の先端4Bが撓むことで、頭皮Gは柔らかく揉まれるような感触でマッサージ及び洗浄されることになる。
【0019】
この後、前記クランク機構9の偏心軸9Aが上死点から下方に回転すると、前記基板3は前記コンロッド10によって押されて徐々に変形し、図5に示すように、中央部を最下部とする下方に撓んだ湾曲凸状態となる。この過程で、前記突起4のうち、少なくとも基端4Aは、前記基板3の一側面3Aの撓みに伴って、この一側面3Aとの直交状態をほぼ保って一体的に動くことにより、前記複数の突起4の先端4B同士が開く、即ち前記複数の突起4の少なくとも基端4Aにおける軸線D同士が外向きとなるように移動することになる。なお、実際には、前述したように、前記突起4の先端4Bが軽い力で前記頭皮Gに押し付けられていることによって、前記突起4の先端4Bは常に頭皮Gに当接していることになり、この結果、可撓性を有する軟質合成樹脂によって形成された前記突起4のうち、少なくとも前記基板3の中央部に形成された前記突起4における太く形成された基端4Aは、僅かに撓むものの、実質的に殆ど変形せず前記基板3の一側面3Aに対してほぼ直交した状態を保つ一方、細く形成された先端4B側は、大きく撓んだ状態で頭皮Gと当接することになる。そして、このように前記モータ8が回転して前記ブラシ部2の基板3が下方に撓むことで、前記突起4が頭皮Gに当接した状態で外側に動くことになり、この際、前記突起4の先端4Bによって頭皮Gが押し広げられるようにマッサージされると同時に、洗髪剤等によって頭皮Gのみならず髪Hも洗浄されることになる。なお、前述したように、前記ブラシ部2の頭皮Gへの押し付け力及び前記突起4の動きに伴って前記突起4の先端4Bが撓むことで、頭皮Gは柔らかく揉まれるような感触でマッサージ及び洗浄されることになる。
【0020】
このように、前記クランク機構9及びコンロッド10によって前記モータ8の回転力を往復運動に変換して、前記突起4を頭皮Gに接触させ続けた状態で前記ブラシ部2の基板3を繰り返し撓ませて、この基板3に一体に設けられた複数の前記突起4を繰り返し閉開させることで、複数の前記突起4によって掴んだり押し広げたりするような刺激を頭皮Gに与えてマッサージすると共に、このような複数の前記突起4の動きによる前記突起4の先端4Bの頭皮Gとの摩擦及び洗髪剤の作用によって、頭皮Gのみならず髪Hも洗浄されることになる。
【0021】
以上のように、前記参考例では、ブラシ部2の可撓性を有する基板3の一側面3Aに複数の突起4を前記基板3の軸線Aを中心として略軸対称となるように、且つ前記突起4の前記軸線Dが前記基板3の一側面3Aと直交するように、前記基板3と一体に形成し、前記基板3の縁3Bを枠体5に固定し、駆動部としてのモータ8を作動させることで、往復駆動手段7によって、この往復駆動手段7に連結された前記基板3を、上に撓んだ湾曲凹状態と下に撓んだ湾曲凸状態の間で前記軸線Aに沿って繰り返し変形させることにより、前記基板3に設けられた複数の突起4が繰り返し開閉することになり、頭皮Gを掴んだり押し広げたりする動作を繰り返し、頭皮Gのマッサージ及び頭皮Gと髪Hの洗浄を行うことができる。
【0022】
また、前記参考例では、前記基板3の縁3B全周を前記枠体5に固定しているので、前記基板3の湾曲変形を均一に行うことができ、むらなく頭皮Gのマッサージ及び頭皮Gと髪Hの洗浄を良好に行うことができる。
【0023】
また、前記参考例では、前記突起4の基端4Aが先端4Bよりも太く形成されていることで、前記基板3の撓みに依らず、前記基板3の一側面3Aに対して突起4の軸線Dが直交する状態を保つことにより、前記突起4の先端4Bを頭皮Gに押し当ててブラシ部2を動作させても、前記複数の突起4が開閉を繰り返すことができるので、確実に頭皮Gのマッサージ及び頭皮Gと髪Hの洗浄を行うことができる。
【0024】
また、前記突起4の先端4Bが基端4Aよりも細く形成されていることで、前記突起4の先端4Bが頭皮Gに押し当てられた際に撓むので、優しく頭皮Gのマッサージ及び頭皮Gと髪Hの洗浄を行うことができる。
【0025】
さらに、前記往復駆動手段7を、モータ8とクランク機構9とコンロッド10とで構成することによって、前記ブラシ部2に設けられた複数の前記突起4の複雑な動きを簡単に実現することができる。
参考例2
【0026】
図6は参考例2を示しており、前記参考例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。参考例2においては、可撓性を有する軟質合成樹脂によって形成されると共に複数の突起4が一体に設けられた1枚の基板3の複数箇所に往復駆動手段7を接続して、基板3を繰り返し往復して湾曲可能にしたものである。このように、1枚の前記基板3の複数箇所に前記往復駆動手段7を接続することで、前記基板3の面積が広い場合であっても、この基板3を良好に撓ませることができるので、多数の前記突起4により頭皮Gのマッサージ及び頭皮Gと髪Hの洗浄を良好に行うことができる。
参考例3
【0027】
図7〜図8は参考例3を示しており、前記各参考例と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。参考例3においては、マッサージ装置1Aを用いる例を示し、このマッサージ装置1Aは上記各参考例のブラシ装置1と同一構成をなすものであって、施療部である前記ブラシ部2を有する。
【0028】
そして、腕、肩、腰など患部Kのマッサージを行う場合、まず使用者は、前記マッサージ装置1Aを把持し、前記ブラシ部2の突起4の先端4Bを患部Kに押し当てる。この時、前記突起4の先端4Bは、軽い力で前記患部Kに押し付けられている。次に、スイッチ12を閉成すると、上述したように前記コンロッド10によって、前記モータ軸8Aの回転運動が往復運動に変換され、前記コンロッド10に連結された前記基板3が、その中央が前記軸線Aに沿って往復動することで、上に撓んだ湾曲凹状態と下に撓んだ湾曲凸状態の間で振幅が2Fとなる変形を繰り返し、図7に示すように、前記クランク機構9の偏心軸9Aが前記モータ軸8Aよりも上方となると、前記コンロッド10によって引き上げられることで、前記基板3はその中央を最上部とする上方に撓んだ湾曲凹状態となり、このように前記モータ8が回転して前記ブラシ部2の基板3が上方に撓むことで、前記突起4が患部Kに当接した状態で内側に動くことになり、この際、前記突起4の先端4Bによって患部Kが掴まれるようにマッサージされる。
【0029】
続いて、前記クランク機構9の偏心軸9Aが上死点から下方に回転すると、前記基板3は前記コンロッド10によって押されて徐々に変形し、図8に示すように、中央部を最下部とする下方に撓んだ湾曲凸状態となり、このように前記モータ8が回転して前記ブラシ部2の基板3が下方に撓むことで、前記突起4が患部Kに当接した状態で外側に動くことになり、この際、前記突起4の先端4Bによって患部Kが押し広げられるようにマッサージされる。
【0030】
このように、前記ブラシ部2の患部Kへの押し付け力及び前記突起4の動きに伴って前記突起4の先端4Bが撓むことで、患部Kが柔らかく揉まれるような感触でマッサージされる。
【0031】
また、本参考例では、基板3の周縁全体を保持するように、枠体5が設けられ、また、突起4の少なくとも基部4Aが、基板3の撓みに依らず、基板3に対する角度を略一定に保つように形成されており、さらに、突起4の少なくとも先端4Bが可撓性を有する材料から成り、往復駆動手段7を、駆動部内に設けられた電動機たるモータ8と、このモータ8に直接又は間接的に連結されたクランク機構9と、このクランク機構9に対して一側10Aを連結すると共に基板3に対して他側10Bを連結したコンロッド10とを備えたから、上記各参考例と同様な作用、効果を奏する。
【実施例1】
【0032】
図9及び図10は実施例1を示しており、前記各参考例と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施例1においては、ブラシ装置1又はマッサージ器1Aは、前記突起4の他に、長さ及び/又は太さの異なる突起4´,4´´を備え、また、前記基板3は平面略楕円形に形成されている。また、図9に示すように、ブラシ装置1には把手部13が一体に設けられている。
【0033】
前記突起4´は、前記突起4より短く、該突起4´の基端4A´は突起4の基端4Aより太く形成されている。したがって、前記突起4´は、突起4に比べて撓み性(撓み易さ)は低く、使用時において、基板3の一側面3Aに対してほとんど直交した状態を保つ。また、前記突起4´´は、前記突起4及び4´より短く、該突起4´´の基端4A´´は突起4の基端4Aとほぼ同じ太さに形成されている。したがって、前記突起4´´は、短い分だけ前記突起4に比べて撓み性は低く、使用時において、同一の力を受けた場合、先端4B´´の撓みは前記突起4の先端4Bより小さい。尚、これら突起4´,4´´は長さ及び/又は太さが異なる以外は、前記突起4と同一構成を備える。そして、前記基板3の一側面3A側には、複数の前記突起4,4´,4´´が一体に突設している。前記突起4は、前記基板3の一側面3Aの周囲側に複数突設されており、前記突起4に囲まれた中央側に、前記突起4´が前記軸線Aをほぼ中心として略環列状に複数(この例では8個)突設されており、前記突起4´に囲まれた中央に前記軸線Aをほぼ中心にして略環列状に複数(この例では6個)の前記突起4´´が配置されている。このように配置することにより、前記基板3の一側面3Aの周囲から中心の軸線Aに向かって前記突起4,4´,4´´の高さが低くなるように設定されており、このように設定することにより頭皮Gなどの湾曲凸状の部位をマッサージ及び洗浄する場合、前記突起4,4´,4´´の先端がその部位に添い易くなる。
【0034】
そして、上述したように、前記スイッチ12を閉成すると、前記基板3の中央が前記軸線Aに沿って往復動することで、上に撓んだ湾曲凹状態と下に撓んだ湾曲凸状態の間で振幅が2Fとなる変形を繰り返す。この場合、基板3の一側面3Aの周囲から中心に向って前記突起4,4´,4´´の高さが低くなるように設定されているから、前記基板3が平らな状態であっても、例えば頭皮Gの湾曲凸状部分に突起4,4´,4´´全体が添い易いため、複数の前記突起4,4´,4´´の先端4B,4B´,4B´´が頭皮Gの湾曲凸状部分に接した状態で前記基板3が撓むことで、頭皮Gの湾曲凸状部分を連続的に洗浄したりマッサージしたりすることが可能となる。そして、前記基板3が平らな状態から、上に撓んだ湾曲凹状態に向うと、前記基板3の周囲側に設けられた前記突起4が頭皮Gに当接した状態でこの頭皮Gを前記先端4Bが撓みながら内側に動くことになり、中央側の前記突起4´,4´´が頭皮Gに当接した状態で内側に動き、この際、主として前記突起4の先端4Bによって掴まれるようにマッサージされると同時に、洗髪剤等によって頭皮Gのみならず髪Hも洗浄されることになる。続いて、前記基板3が平らな状態に戻ってから、下に撓んだ湾曲凸状態に向うと、前記基板3の周囲側に設けられた前記突起4が頭皮Gに当接した状態でこの頭皮Gを前記先端4Bが撓みながら外側に動き、また、中央側の太い突起4´は頭皮Gに当接した後、この当接状態で先端4B´がほとんど撓むことなく、頭皮Gに沿って外側に動き、さらに、中央の細くて短い突起4´´は頭皮Gに当接した後、この当接状態で先端4B´´が僅かに撓みながら外側に動き、前記突起4,4´,4´´の先端4B,4B´,4B´によって頭皮Gが押し広げられるようにマッサージされると同時に、洗髪剤等によって頭皮Gのみならず髪Hも洗浄されることになる。
【0035】
このように、前記ブラシ部2の頭皮Gへの押し付け力及び前記突起4の動きに伴って周囲の前記突起4の先端4Bが撓むことで、頭皮Gが柔らかく揉まれるような感触でマッサージされ、中央側の前記突起4´,4´´は、僅かに撓みながら、頭皮Gに沿って動き、このように本実施例では、突起4,4´,4´´は長さ及び/又は太さが異なるため、突起4,4´,4´´の当たる箇所により異なるマッサージ効果が得られる。また、前記基板3の一側面3Aの周囲から中心に向って前記突起4,4´,4´´の高さが低くなるように設定されているから、例えば頭皮G頂部の湾曲凸状部分に突起4,4´,4´´全体が添い易いため、湾曲凸状部分に対するマッサージ効果に優れたものとなる。
【0036】
なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記各参考例では、前記複数の突起を前記基板の面方向に対してほぼ垂直に交差させて形成しているが、前記複数の突起は、前記基板の面方向に対してやや傾いて交差するようにしてもよい。また、参考例2において、往復駆動手段における複数のコンロッドは同位相に設定されているが、これらの位相を適宜ずらしてもよい。また、上記各参考例において、前記往復駆動手段は、モータとクランク機構とコンロッドとで構成されているが、ソレノイドとプランジャ(図示せず)、或いはリニアモータ(図示せず)等で構成してもよい。更に、上記各参考例では、前記ブラシ部単体における基板の形状を平面状としたが、このブラシ部単体における基板の形状は初めから下方に凸となる形状であることが望ましい。これは、前記コンロッドによって平板状の前記基板を下方に押す場合、前記コンロッドが前記基板に対して揺動可能に連結されているため、前記コンロッドの下動時に前記基板を斜めに押してしまうことになるからである。これに対して、前記ブラシ部単体における基板の形状が初めから下方に凸、更に望ましくは、前記往復駆動手段の下死点に対応する最も下方まで撓んだ凸形状であれば、前記往復駆動手段が下死点から上死点へ移動する際には前記コンロッドによって前記基板を引き上げると共に、前記往復駆動手段が上死点から下死点へ移動する際には、前記基板の復元力によって前記基板が下方に凸の状体に戻るのと同時に前記コンロッドによって前記基板が押されることになり、前記基板、ひいては前記ブラシ部がほぼ均一に復元して下方に凸となるので、頭皮のマッサージ等を良好に行うことができる。また、患部には頭皮も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明にかかるブラシ装置及びマッサージ装置は、頭皮の他に、他の身体表面のマッサージや洗浄等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の参考例1を示す斜視図である。
【図2】本発明の参考例1を示すモータの正面側から見た全体断面図である。
【図3】本発明の参考例1を示すモータの側面側から見た全体断面図である。
【図4】本発明の参考例1を示す基盤が凹となった状態の全体断面図である。
【図5】本発明の参考例1を示す基盤が凸となった状態の全体断面図である。
【図6】本発明の参考例2を示す全体断面図である。
【図7】本発明の参考例3を示す基盤が凹となった状態の全体断面図である。
【図8】本発明の参考例3を示す基盤が凸となった状態の全体断面図である。
【図9】本発明の実施例1を示すブラシ部の正面図である。
【図10】本発明の実施例1を示すブラシ部の断面説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ブラシ装置
1A マッサージ装置
2 ブラシ部(施療部)
3 基板
3B 縁
4,4´,4´´ 突起
5 枠体
6 カバー(駆動部)
7 往復駆動手段
8 モータ(駆動部・電動機)
8A モータ軸
9 クランク機構(往復駆動手段)
G 頭皮
H 髪
K 患部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、この駆動部によって動作するブラシ部とを有するブラシ装置において、前記ブラシ部が、可撓性を有する材質から成る板状の基板と、この基板の面に対して交差する方向に突出して設けられた複数の突起とで構成され、前記駆動部に、前記ブラシ部の基板の周縁を前記駆動部に対する位置関係が固定された状態で保持されると共に、前記駆動部に、前記基板の面と交差する方向にこの基板を撓ませる往復駆動手段を設け、前記複数の突起が前記基板の周囲から中心に向かって前記突起の高さが低くなるように設定されていることを特徴とするブラシ装置。
【請求項2】
カバー内部に往復駆動手段を設けた駆動部と、可撓性の基板の面に複数の突起を交差する方向に設けたブラシ部とを有するブラシ装置であって、前記駆動部に枠体を設け、該枠体に前記基板の周縁全体を固定した状態で保持すると共に、前記往復駆動手段によって、前記基板の中央部を該基板の面と交差する方向に往復駆動させることにより、上に撓んだ湾曲凹状態と下に撓んだ湾曲凸状態の間で前記ブラシ部を繰り返し変形させ、前記往復駆動手段が、前記駆動部に設けられたモータのモータ軸の回転を前記往復運動に変換して前記基板を往復駆動させるように構成され、複数の前記突起が前記基板の周囲から中心に向かって前記突起の高さが低くなるように設定されていることを特徴とするブラシ装置。
【請求項3】
駆動部と、この駆動部によって動作する施療部とを有するマッサージ装置において、前記施療部が、可撓性を有する材質から成る板状の基板と、この基板の面に対して交差する方向に突出して設けられた複数の突起とで構成され、前記駆動部に、前記施療部の基板の周縁を前記駆動部に対する位置関係が固定された状態で保持される枠体を設けると共に、前記駆動部に、前記基板の面と交差する方向にこの基板を撓ませる往復駆動手段を設け、前記複数の突起が前記基板の周囲から中心に向かって前記突起の高さが低くなるように設定されていることを特徴とするマッサージ装置。
【請求項4】
カバー内部に往復駆動手段を設けた駆動部と、可撓性の基板の面に複数の突起を交差する方向に設けた施療部とを有するマッサージ装置であって、前記駆動部に枠体を設け、該枠体に前記基板の周縁全体を固定した状態で保持すると共に、前記往復駆動手段によって、前記基板の中央部を該基板の面と交差する方向に往復駆動させることにより、上に撓んだ湾曲凹状態と下に撓んだ湾曲凸状態の間で前記施療部を繰り返し変形させ、前記往復駆動手段が、前記駆動部に設けられたモータのモータ軸の回転を前記往復運動に変換して前記基板を往復駆動させるように構成され、複数の前記突起が前記基板の周囲から中心に向かって前記突起の高さが低くなるように設定されていることを特徴とするマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−260426(P2007−260426A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152144(P2007−152144)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【分割の表示】特願2004−360489(P2004−360489)の分割
【原出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】