説明

ブラジャー

【課題】肩紐が無くても乳房カップを乳房の位置に確実に保持することを可能とする。
【解決手段】左右のカップ部10,10と、脇から背中部分にかけて巻き付けるように装着する左右のパネル部20,20と、各パネル部20,20の先端部に取り付けられた互いに係止する係止部30,30とからなり、パネル部20は、伸縮性を有する裏側の第1パネル部21と、この第1パネル部21よりも伸縮性の少ない表側の第2パネル部22とを重ね合わせた2重構造となっている。この第1パネル部21と第2パネル部22とは、カップ部10側端部である脇腹部分11と係止部側端部31とにおいてのみ互いに縫着されており、それ以外のところは互いに自由に伸張動作が行えるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右のカップ部と、脇から背中部分にかけて巻き付けるように装着するパネル部と、パネル部の先端部に設けられた互いに係止する係止部とからなるブラジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、適度な圧着による衣類のフィット性や引き締め力を有しながら、テープやゴム素材による胸部への線状の締め付けや皮膚への圧迫のない肌ざわりのよいバック部を有する衣類(ブラジャー)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このバック部を有する衣類は、バック部の少なくとも脇部に相対する部分が、2重に重ねた状態の伸縮性を有する布地から構成されている。具体的には、このバック部は、上辺部及び下辺部を固着した筒状のパーツ構造となるように形成されている。または、1枚の布片を上辺部あるいは下辺部の一方が折り線となるよう2つ折りにし、上辺部あるいは下辺部の他方を固着した筒状のパーツ構造となるように形成されている。さらには、2枚の布片をそれぞれ2つ折りにし、それぞれの折り線が上辺部および下辺部となるよう配置して、布端部を互いに固着した筒状のパーツ構造となるように形成されている。
【0004】
このように、伸縮性を有する布片を2重に重ねることで、フィット性や引き締め力を得るようになっている。
【特許文献1】特開平11−61510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載のブラジャーは、バック部を、伸縮性を有する布地を筒状に形成することで2重構造としている。つまり、同じ伸縮強度を有する布地を2重に重ねた構造となっており、しかも筒状であることから、その上辺部と下辺部とは全長に渡って全て繋がった状態となっている。そのため、重なった2枚の布地はそれぞれが異なった伸縮動作を行うことができず、常に同じ伸縮動作を行うことになるため、バック部全体としての伸縮性に余裕がない、といった問題があった。従って、装着する人の体型によっては、強く締め付け過ぎたり、また逆に弱くて締め付け効果が得られないといった問題が発生する。
【0006】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、脇から背中部分にかけて巻き付けるように装着するパネル部(上記特許文献1のバック部に相当する)を2重構造とするとともに、2重に重ねた各布片がそれぞれ自由に伸縮できる構造とすることで、肩紐がなくてもずり落ちることのない、フィット性に優れたブラジャーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のブラジャーは、左右のカップ部と、脇から背中部分にかけて巻き付けるように装着するパネル部と、パネル部の先端部に設けられた互いに係止する係止部とからなるブラジャーにおいて、前記パネル部が、伸縮性を有する第1パネル部と、この第1パネル部よりも伸縮性の少ない第2パネル部とを重ね合わせた2重構造となっており、この第1パネル部と第2パネル部とは、前記カップ部側端部と前記係止部側端部とにおいてのみ互いに縫着されていることを特徴とする。また、第1パネル部と第2パネル部とは、伸張前の状態において、第2パネル部の方が第1パネル部よりも若干長くなるように形成されている。
【0008】
このような構成とすれば、人体への装着時、第1パネル部と第2パネル部とが、互いの伸張動作を阻害することなく、それぞれの伸縮強度に応じて個別に伸張し、人体へ装着したときには、第1パネル部及び第2パネル部とも、それぞれ最適な伸張強度となっている。これにより、パネル部が人体にフィットし、肩紐がなくてもずり落ちることがない。そのため、本発明のブラジャーでは、肩紐が不要な構造となっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上記のように構成したので、人体への装着時、第1パネル部と第2パネル部とが、互いの伸張動作を阻害することなく、それぞれの伸縮強度に応じて個別に伸張し、人体への装着完了時には、第1パネル部及び第2パネル部とも、それぞれ最適な伸張強度となっているので、この状態で腕を上げたり体を前後左右に屈曲させたりしても、パネル部が人体にフィットしてずり落ちることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態のブラジャー1を示している。
【0012】
このブラジャー1は、左右のカップ部10,10と、脇から背中部分にかけて巻き付けるように装着する左右のパネル部20,20と、各パネル部20,20の先端部に取り付けられた互いに係止する係止部30,30とからなる。カップ部10とパネル部20とは、脇腹部分11で縫着されている。
【0013】
パネル部20は、伸縮性を有する裏側の第1パネル部21と、この第1パネル部21よりも伸縮性の少ない表側の第2パネル部22とを重ね合わせた2重構造となっている。また、この第1パネル部21と第2パネル部22とは、カップ部10側端部である脇腹部分11と係止部側端部31とにおいてのみ互いに縫着されており、それ以外のところは互いに自由に伸張動作が行えるようになっている。また、伸張前の状態において、表側の第2パネル部22の方が、裏側の第1パネル部21よりも若干長くなるように形成されている。すなわち、伸張前の状態では、第1パネル部21が若干弛んだ状態となっている。
【0014】
ここで、本実施形態では、裏側の第1パネル部21は、伸縮性のある2本のテープ部材211,212によって構成されており、各テープ部材211,212の一端部211a,212aが、カップ部10の脇腹部分11の上端部と下端部とにそれぞれ縫着されており、他端部211b,212b側は重ね合わせるように1つにまとめて係止部側端部31で縫着されている。すなわち、2本のテープ部材211,212が横向きの三角形状に形成されている。
【0015】
一方、表側の第2パネル部22は、テープ211,212よりも伸縮性の少ないレース部材によって形成されている。第2パネル部材22をレース部材とすることによって、意匠的な効果も得られるようになっている。
【0016】
また、左右の係止部30,30には、それぞれ片方の係止金具30a,30bが取り付けられており、互いを係止することで止めることができるようになっている。因みに、正面から見て左側の係止金具30aは引っかける側の鍵フック、右側の係止金具30bは引っかけられる側のU字フックとなっている。
【0017】
このような構成とすれば、人体への装着時、第1パネル部21と第2パネル部22とが、互いの伸張動作を阻害することなく、それぞれの伸縮性能に応じて個別に伸張し、人体へ装着したときには、第1パネル部21及び第2パネル部22とも、それぞれ最適な伸張度合いとなっている。このように、伸縮性の異なる2種類のパネル部がそれぞれの伸縮性能に合わせて個別に伸張することで、パネル部20が人体にフィットし、肩紐がなくてもずり落ちることがない。そのため、本実施形態のブラジャー1では、肩紐が不要な構造となっている。
【0018】
図2は、本実施形態のブラジャー1の変形例を示している。
【0019】
すなわち、図2に示すブラジャー1と図1に示すブラジャー1との違いは、図2に示すブラジャー1が、第1パネル部21が横長の三角形状に形成された1枚のパネルで構成されている点のみであり、その他の構成は図1に示すブラジャー1と同様である。このように、第1パネル部21を1枚もので形成することによって、部材点数を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係るブラジャーを示す斜視図である。
【図2】図1に示すブラジャーの変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ブラジャー
10 カップ部
20 パネル部
21 第1パネル部
22 第2パネル部
211,212 テープ部材
30 係止部
30a,30b 係止金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のカップ部と、脇から背中部分にかけて巻き付けるように装着するパネル部と、パネル部の先端部に設けられた互いに係止する係止部とからなるブラジャーにおいて、
前記パネル部が、伸縮性を有する第1パネル部と、この第1パネル部よりも伸縮性の少ない第2パネル部とを重ね合わせた2重構造となっており、この第1パネル部と第2パネル部とは、前記カップ部側端部と前記係止部側端部とにおいてのみ互いに縫着されていることを特徴とするブラジャー。
【請求項2】
伸張前の状態において、前記第2パネル部の方が前記第1パネル部よりも若干長くなるように形成されていることを特徴とするブラジャー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−107121(P2007−107121A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297532(P2005−297532)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(594208318)ウイズ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】