説明

ブランクおよびそれを用いた直方体状の液体用紙容器

【課題】意匠効果を有し、取り扱い易い直方体状の液体用紙容器を提供することにある。
【解決手段】背シールパネル(21)、左パネル(22)、表パネル(23)、右パネル(24)、裏パネル(25)が、それぞれ同間隔に形成された縦方向の折り曲げ線(A)を介して順次連接され、連接された各パネルの上部を横方向の折り曲げ線(B)と、下部を横方向の折り曲げ線(B´)と、を介して、頂部(40)、胴部(50)、底部(60)を形成するブランクであって、前記折り曲げ線(A)の胴部を形成する折り曲げ線(A´)の中、少なくとも一本の折り曲げ線(A´)の一点に分岐部位(a)が形成され、該分岐部位から下方向に延びる相対称の二本の分岐折り曲げ線(C)、(C´)が形成され、該二本の分岐折り曲げ線が、該折り曲げ線(A´)の他点の合流部位(b)と連結し凹み部(29)を区画形成することを特徴とするブランク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直方体状の液体用紙容器に関するものである。液体用紙容器の胴部を形成するパネルの一角に凹み部を形成したブランクで、それを用いた液体用紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳、ジュース、清酒、ワインなどの液体用紙容器は、頂部をゲーブルトップ型に成形した紙容器、またはフラットトップ型に成形した紙容器が広く使用されている。
【0003】
液体用紙容器は、図9に示すゲーブルトップ型が主に使用され、紙容器の形状も直方体状である。また頂部には、開封後の密閉性と注ぎ易さから口栓を取り付けてものが多い。図10に示すフラットトップ型も使用されている。
【0004】
しかし現状の液体用紙容器は、内容物の種類を問わずゲーブルトップ型の形状のものが主に使用さている。内容物としては、ジュースなどの飲料、清酒などの酒類、スープなどの食品などがある。また洗剤、柔軟剤やパーマ液などの非食品の広い範囲にわたって使用されている。
【0005】
液体用紙容器に使用される積層板に、ガスバリア性を有する中間層を積層することで、内容物の品質劣化を防ぐことが可能となり、広範囲の液体内容物に展開されるようになった。しかし紙容器は同形状であり、意匠効果を有する紙容器が要望されている。
【0006】
特殊な紙容器としてコーナーインデント壁を有した紙容器で、第一の側壁、正面壁、後面壁、第二の側壁およびインデント壁を有する直立側壁であって、頂部の切り妻形屋根を形成する複数の切り妻パネルをそれぞれの側壁を区分する上側折り目線を、直線状から湾曲状にした新規形状の提案がある(特許文献1)。
【0007】
紙容器を握持し取り扱い易くするためのコーナーインデント壁を形成する折り曲げ線は、紙容器の長さにわたって延在されるために、頂部と側壁を区分する上部折り曲げ線とに交差し、また底部と側壁を区分する下部折り曲げ線とに交差する。よって紙容器を握持する力が、この交差部位に集中し、切れ易く破断し易い問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2010−527866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような背景技術を鑑みて、意匠効果を有し、取り扱い易い直方体状の液体用紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0011】
本発明の請求項1に係る発明は、板紙を基材層とし、熱融着性を有する表面層/基材層/バリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層板で、
該積層板のシーラント層を裏面とし、組み立てられた形状が直方体状の液体用紙容器を形
成するブランクにおいて、
背シールパネル(21)、左パネル(22)、表パネル(23)、右パネル(24)、裏パネル(25)が、それぞれ同間隔に形成された縦方向の折り曲げ線(A)を介して順次連接され、
連接された各パネルの上部を横方向の折り曲げ線(B)と、下部を横方向の折り曲げ線(B´)と、を介して、頂部(40)、胴部(50)、底部(60)を形成するブランクであって、
前記折り曲げ線(A)の胴部を形成する折り曲げ線(A´)の中、少なくとも一本の折り曲げ線(A´)の一点に分岐部位(a)が形成され、該分岐部位から下方向に延びる相対称の二本の分岐折り曲げ線(C)、(C´)が形成され、
該二本の分岐折り曲げ線が、該折り曲げ線(A´)の他点の合流部位(b)と連結し凹み部(29)を区画形成することを特徴とするブランクである。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明は、前記凹み部が形成される部位が、
折り曲げ線(A´)と折り曲げ線(B)との交差部位(c)から、分岐部位(a)までの長さが、該折り曲げ線(A´)の長さの5〜10%であり、
かつ合流部位(b)から、折り曲げ線(A´)と折り曲げ線(B´)との交差部位(d)までの長さが、
該折り曲げ線(A´)の長さの5〜10%であることを特徴とする請求項1記載のブランクである。
【0013】
本発明の請求項3に係る発明は、前記凹み部の横方向の幅が、折り曲げ線(A)の間隔に対して10〜30%であることを特徴とする請求項1または2記載のブランクである。
【0014】
本発明の請求項4に係る発明は、前記凹み部の形状が、六角形または楕円形であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のブランクである。
【0015】
本発明の請求項5に係る発明は、前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜4記載の何れか1項に記載のブランクである。
【0016】
本発明の請求項6に係る発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載のブランクを用いて組み立てられたことを特徴とする直方体状の液体用紙容器である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1によれば、板紙を基材層とし、熱融着性を有する表面層/基材層/バリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層板で、
該積層板のシーラント層を裏面とし、組み立てられた形状が直方体状の液体用紙容器を形成するブランクにおいて、
背シールパネル(21)、左パネル(22)、表パネル(23)、右パネル(24)、裏パネル(25)が、それぞれ同間隔に形成された縦方向の折り曲げ線(A)を介して順次連接され、
連接された各パネルの上部を横方向の折り曲げ線(B)と、下部を横方向の折り曲げ線(B´)と、を介して、頂部(40)、胴部(50)、底部(60)を形成するブランクであって、
前記折り曲げ線(A)の胴部を形成する折り曲げ線(A´)の中、少なくとも一本の折り曲げ線(A´)の一点に分岐部位(a)が形成され、該分岐部位から下方向に延びる相対称の二本の分岐折り曲げ線(C)、(C´)が形成され、
該二本の分岐折り曲げ線が、該折り曲げ線(A´)の他点の合流部位(b)と連結し凹み部(29)を区画形成することを特徴とする。該凹み部は、折り曲げ線A´を挟んだ両パ
ネルの一部から割り当てられた領域からなり、かつ2本の分岐折り曲げ線から区画形成されている。
【0018】
該凹み部は、該折り曲げ線A´の一点に分岐部位が形成され、該分岐部位から下方向に延びる相対称のコの字状の二本の分岐折り曲げ線C、C´が形成され、該二本の分岐折り曲げ線が、該折り曲げ線A´の他点の合流部位と連結する。作成した凹み部は、組み立てられると凹んだ形状になり、紙容器を握持し易くなる。
【0019】
組み立てられた紙容器の凹み部は、握持したときの力や外からの力などで、折れにくい効果がある。二本の分岐折り曲げ線が、図11に示すような、頂部と胴部を区分する上部折り曲げ線との交差部位、また底部と側壁を区分する下部折り曲げ線との交差部位がないために折れ難いのである。
【0020】
二本の分岐折り曲げ線は、凹み部を形成する。紙容器を陳列棚から取るとき、また内容物を注出するときなど取り扱いが容易である。
【0021】
この凹み部は、胴部を形成する縦方向の折り曲げ線の中、少なくとも一本の折り曲げ線に形成することができる。また直方体状の容器であるために、複数の縦方向の折り曲げ線に形成することもできる。
【0022】
本発明の請求項2によれば、前記凹み部が形成される部位が、
折り曲げ線(A´)と折り曲げ線(B)との交差部位(c)から、分岐部位(a)までの長さが、該折り曲げ線(A´)の長さの5〜10%であり、
かつ合流部位(b)から、折り曲げ線(A´)と折り曲げ線(B´)との交差部位(d)までの長さが、
該折り曲げ線(A´)の長さの5〜10%であることを特徴とする。折り曲げ線Bと分岐部位が集中しないように、かつ折り曲げ線B´と合流部位が集中しないようにすることにより、外から掛かる力を分散させることができる。
【0023】
交差部位cに分岐部位aが集中すると、それぞれの折り曲げ線が集中する部位になり、例えば外部からの力が掛かると、この部分で破断することがある。六角形の領域の中心部分で折れ易くなる。よって交差部位cから分岐部位aまで、また合流部位bから交差部位dまでは、稜線としての折り曲げ線A´を維持するのである。よって交差部位cから合流部位aまでの長さ、および合流部位bから交差部位dまで長さが、折り曲げ線A´の長さの5〜10%がよい。
【0024】
本発明の請求項3によれば、前記凹み部の横方向の幅が、折り曲げ線(A)の間隔に対して10〜30%であることを特徴とする。直方体状の紙容器は、縦方向の折り曲げ線の間隔が、50〜95mmの長さの四角柱状で、内容量が300〜3000mlが主である。30%以上にすると胴部の凹み部としての強度が不足して折れやすくなる。また10%以下で握持する効果が出ない問題がある。
【0025】
本発明の請求項4によれば、前記凹み部の形状が、六角形または楕円形であることを特徴とする。六角形にするには、分岐する二本の折り曲げ線をコの字状に形成すればよい。楕円形にするには、二本の分岐折り曲げ線の交差角度をR状にする。その角度が20〜30°であることが好ましい。組み立てられた紙容器に外からの力が掛かっても凹み部が折れたりすることはない。
【0026】
本発明の請求項5に係る発明は、前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする。特に酸化し易い内
容物には、ガスバリア性が必要である。酸素、水蒸気のガスバリア性を付加するために、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することができる。また他の金属酸化物としては、酸化マグネシウムも使用できる。金属酸化物の蒸着層の厚みは5〜300nmの範囲が好ましく、その値は適宜選択すればよい。またアルミニウム箔を使用することができるが、紙容器をリサイクルする場合、残留アルミニウムの問題がある。
【0027】
本発明の請求6によれば、請求項1〜5の何れか1項に記載のブランクを用いて組み立てられたことを特徴とする直方体状の液体用紙容器である。直方体状の液体用紙容器としては、ゲーブルトップ型の紙容器や、またフラットトップ型の紙容器である。意匠効果を有する取り扱い易い紙容器である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のブランク(凹み部が六角形)の一例を示す説明図である。
【図2】本発明のブランク(凹み部が楕円形)の一例を示す説明図である。
【図3】図1のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図4】図2のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図5】本発明のブランク(凹み部を複数)の一例を示す説明図である。
【図6】図5のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の液体用紙容器のフラットトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の積層体の構成の一例を示す断面説明図である。
【図9】従来のゲーブルトップ型の紙容器の一例を示す説明図である。
【図10】従来のフラットトップ型の紙容器の一例を示す説明図である
【図11】特許文献1に記載のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。ゲーブルトップ型紙容器を作成するためのブランクを一例として説明する。
【0030】
図1は、本発明のブランク(凹み部が六角形)の一例を示す説明図である。ブランク20は、背シールパネル21、左パネル22、表パネル23、右パネル24、裏パネル25は、同間隔に形成された縦方向の折り曲げ線Aを介して順次連接され、連接された各パネルの上部を横方向の折れ線Bと、下部を横方向の折り曲げ線B´とを介して、頂部40、胴部50、底部60に区画形成されている。左パネル22、右パネル24の上部にはそれぞれ折り込み板26があり、該折り込み板の上部にはそれぞれシール28板が形成されている。また表パネル23、裏パネル25の上部にはそれぞれ屋根板27が形成され、該屋根板の上部にはそれぞれシール板28が形成されている。また背シールパネル21、左パネル22、表パネル23、右パネル24、裏パネル25のそれぞれの下部には、組み立て成形されて底部を形成する底板、折り込み片、シール片が形成されている。
【0031】
胴部を形成する縦方向の折り曲げ線A´の中、少なくとも一本の折り曲げ線A´の一点に分岐部位aが形成され、該分岐部位から下方向に延びる相対称の二本の分岐折り曲げ線C、C´が形成され、該二本の分岐折り曲げ線が、該折り曲げ線A´の他点の合流部位bと連結し凹み部29を区画形成する。折り曲げ線A´を挟んだ両パネルの胴部の一部から割り当てられた領域になっている。該凹み部は、紙容器に組み立てられると、凹んだ形に
なる。
【0032】
また形成される凹み部は、折り曲げ線A´と折り曲げ線Bとの交差部位cから、分岐部位aまでの長さが、該折り曲げ線A´の長さの5〜10%であり、
かつ合流部位bから、折り曲げ線A´と折り曲げ線B´との交差部位dまでの長さが、該折り曲げ線A´の長さの5〜10%であるように形成される。
【0033】
図2は、本発明のブランク(凹み部が楕円形)の一例を示す説明図である。
【0034】
図3は、図1のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。紙容器を握持しやすく、意匠効果を有する液体用紙容器である。
【0035】
図4は、図2のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。紙容器を握持しやすく、意匠効果を有する液体用紙容器である。
【0036】
図5は、本発明のブランク(凹み部を複数)の一例を示す説明図である。
【0037】
図6は、図5のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。紙容器を握持しやすく、意匠効果を有する液体用紙容器である。
【0038】
図7は、本発明のフラットトップ型紙容器の一例を示す説明図である。紙容器を握持しやすく、意匠効果を有する液体用紙容器である。
【0039】
図8は、本発明の積層体の構成の一例を示す断面説明図である。中間層にガスバリア性を有するフィルムを積層している。
【0040】
図9は、従来のゲーブルトップ型の紙容器の一例を示す説明図である。
【0041】
図10は、従来のフラットトップ型の紙容器の一例を示す説明図である。
【0042】
図11は、特許文献1に記載のゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。上部の横方向の折り曲げ線と分岐部位が集中しているために外からの力で折れやすい、破れ易いなどがある。また下部の横方向の折り曲げ線と合流部位も同様である。
【0043】
以下、本発明を実施するための形態を更に詳細に説明する。
【0044】
ブランク20を構成する積層体1は、基材層3として通常坪量が200〜500g/m、密度0.6〜1.1g/cmとし、該基材層に熱融着性を有する表面層として15〜30μmのポリエチレンフィルム2を貼り合わせる、ポリエチレンフィルムの貼り合わせは、ポリエチレン樹脂を押出し機にてラミネートすることで可能である。
【0045】
基材層3の裏面に、接着層としてポリエチレン層4を介して中間層である金属酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム5の蒸着面を貼り合わせる。次に該ポリエチレンテレフタレートフィルム面5に接着層としてポリエチレン層6を介してシーラント層7を積層する。シーラント層のポリエチレンフィルムは、30〜100μmの厚さのフィルムを使用することができる。
【0046】
積層体1は、表面層から順にポリエチレン層2/基材層3/ポリエチレン層4/金属酸化物蒸着層ポリエチレンテレフタレートフィルム5/ポリエチレン層6/シーラント層7である。この積層体1を、ロール状またはシート状にする。
【0047】
この積層体1を、容器形状に合わせ、ブランク20を作成するために、折り曲げ線、外形抜きなどを一般的な公知の方法で加工することができる。
【0048】
このブランクを縦方向の折り曲げ線に沿って折り曲げ、組み立て背シールパネルの表面と裏パネルの裏面とを熱シールし、筒状のスリーブを作成する。
【0049】
作成された筒状のスリーブを、内容物を充填する充填機において、底部を熱シールして成形し閉塞して、次に口栓を口栓取り付け孔に融着し、内容物充填、シール板を熱シールして、液体用紙容器ができる。例えば図1に示す折り込み板26を折り込みながら、俗に言う切り妻屋根形に成形すれば、ゲーベルトップ型紙容器ができる。
【0050】
積層体1のポリエチレン2の表面には、絵柄や文字が表現される。印刷方式としては、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷など通常の方式を用いることができる。表面にはコロナ処理などして印刷インキとの密着性を向上させることができる。
【0051】
基材層3と中間層の金属酸化物蒸着層ポリエチレンテレフタレートフィルム5との貼り合せに使用するポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂層が使用できる。
【0052】
中間層のバリアフィルム5は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムなどの基材にアルミニウム箔貼り合わせたものや、金属酸化物を蒸着したものが使用できる。基材の厚みは6〜25μm、アルミニウム箔は5〜15μm、蒸着層の厚みは5〜100nmの範囲がよい。なお蒸着面の向きは、基材層側、シーラント層側どちらでもよい。
【0053】
シーラント層7は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などが使用可能で単層もしくは多層でもよい。好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)がよい。
【0054】
中間層のバリアフィルム5とシーラント層7の貼り合せは、接着層としてのポリエチレンの他に、接着剤を介してドライラミネート法でも可能である。接着剤としてポリウレタン系の接着剤が一般的に使用できる。予め、中間層のバリアフィルム5とシーラント層7をドライラミネートしたものを、上記のポリエチレンを使用して基材層とサンドポリ加工してラミネートしてもよい。
【0055】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例1】
【0056】
坪量350g/mの板紙の表面に、ポリエチレンを20μm押出しラミネートした。次にバリア性を有する中間層として、酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。酸化珪素の蒸着層の厚みは30nm、ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは12μmを用いた。該ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面とシーラント層である直鎖状低密度ポリエチレン60μmをポリウレタン系二液タイプの接着剤を用いてドライラミネート法にて貼り合わせた。シーラント層は、予め押出し法により製膜
した。
【0057】
次に板紙の裏面と、酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素蒸着面を、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)を用い、厚さ30μmにてサンドポリ加工してラミネートした。積層体を作成した。
【0058】
作成した積層板を1L用、70角(縦方向の折れ線の間隔)のゲーブルトップ型紙容器を形成するためのブランクを作成した。この時に凹み部を以下のように形成した。
【0059】
凹み部の形状と作成する部位を以下の条件で作成した。胴部を形成する縦方向の折り曲げ線の一本に、(a―c)間の長さ10mm、(b―d)間の長さ10mm、幅を14mm、分岐角度を60°の六角形の凹み部を形成した。
【実施例2】
【0060】
凹み部の形状と作成する部位を以下の条件で作成した。(a―c)間の長さ10mm、(b―d)間の長さ10mm、幅を14mm、分岐角度30°の楕円形の凹み部を形成した。
【0061】
<比較例1>
凹み部の形状と作成する部位を以下の条件で作成した。(a―c)間の長さ0mm、(b―d)間の長さ0mm、幅を14mm、分岐角度60°の六角形の凹み部を形成した。
【0062】
<比較例2>
凹み部の形状と作成する部位を以下の条件で作成した。(a―c)間の長さ10mm、(b―d)間の長さ10mm、幅を28mm、分岐角度120°の六角形の凹み部を形成した。
【0063】
<比較例3>
凹み部の形状と作成する部位を以下の条件で作成した。(a―c)間の長さ0mm、(b―d)間の長さ0mm、幅を14mm、分岐角度30°の楕円形の凹み部を形成した。
【0064】
<比較例4>
凹み部の形状と作成する部位を以下の条件で作成した。(a―c)間の長さ10mm、(b―d)間の長さ10mm、幅を28mm、分岐角度120°の楕円形の凹み部を形成した。
【0065】
折れ曲げ線を加工したブランクを外形抜き加工後、背シールパネルの表面と右パネルの裏面とを熱シールして筒状のスリーブを作成した。
【0066】
実施例、比較例のスリーブを充填機にて凹み部の折れ性を評価した。まずスリーブの底部を成形閉塞したのち、口栓装着、内容物を充填しないでシール板をシールして内容量1L、70角のゲーブルトップ型紙容器を作成した。この時の凹み部の折れ性を評価した。
【0067】
<比較結果>
表1に示す。液体用紙容器を成形した際の折り曲げ線の折れ性を評価した。
【0068】
【表1】

実施例1、実施例2ともに折れる部分なく良好であった。特に楕円形が良好であった。また(a―c)間の長さ0mm、(b―d)間の長さ0mmのものは、折り曲げ線が集中する部位で折れやすい。また横幅28mmものは、横幅の範囲30%を超えているために
、凹み部で折れるのが観られた。本発明の液体用紙容器は、意匠効果を有し、取り扱い易い紙容器である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の液体用紙容器は、ジュース、スープ、乳製飲料(豆乳、コーヒー牛乳など)、乳製品(ホイップクリームなど)、清類(清酒、焼酎、梅酒など)、コーヒーなどの飲料、食品に使用できる。また非食品としてパーマ液、洗剤、柔軟剤、建材用ワックスなどに使用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 積層体
2 ポリエチレン層(表面層)
3 基材層
4 ポリエチレン層(接着層)
5 金属酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム
6 ポリエチレン層(接着層)
7 シーラント層
20 ブランク
21 背シールパネル
22 左パネル
23 表パネル
24 右パネル
25 裏パネル
26 折り込み板
27 屋根板
28 シール板
29 凹み部(六角形)
30 凹み部(楕円形
31 口栓取り付け孔
32 口栓
40 頂部
50 胴部
60 底部
A 縦方向の折れ曲げ線
A´胴部の縦方向の折り曲げ線
B 上部横方向の折り曲げ線
B´下部横方向の折り曲げ線
C 分岐折り曲げ線
C´分岐折り曲げ線
D 縦方向の折れ線A間の間隔
E 凹み部の横方向の幅
a 分岐部位
b 合流部位
c 縦方向の折れ線A´と前記折れ線Bとの交差部位
d 縦方向の折れ線A´と前記折れ線B´との交差部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙を基材層とし、熱融着性を有する表面層/基材層/バリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層板で、
該積層板のシーラント層を裏面とし、組み立てられた形状が直方体状の液体用紙容器を形成するブランクにおいて、
背シールパネル(21)、左パネル(22)、表パネル(23)、右パネル(24)、裏パネル(25)が、それぞれ同間隔に形成された縦方向の折り曲げ線(A)を介して順次連接され、
連接された各パネルの上部を横方向の折り曲げ線(B)と、下部を横方向の折り曲げ線(B´)と、を介して、頂部(40)、胴部(50)、底部(60)を形成するブランクであって、
前記折り曲げ線(A)の胴部を形成する折り曲げ線(A´)の中、少なくとも一本の折り曲げ線(A´)の一点に分岐部位(a)が形成され、該分岐部位から下方向に延びる相対称の二本の分岐折り曲げ線(C)、(C´)が形成され、
該二本の分岐折り曲げ線が、該折り曲げ線(A´)の他点の合流部位(b)と連結し凹み部(29)を区画形成することを特徴とするブランク。
【請求項2】
前記凹み部が形成される部位が、
折り曲げ線(A´)と折り曲げ線(B)との交差部位(c)から、分岐部位(a)までの長さが、該折り曲げ線(A´)の長さの5〜10%であり、
かつ合流部位(b)から、折り曲げ線(A´)と折り曲げ線(B´)との交差部位(d)までの長さが、
該折り曲げ線(A´)の長さの5〜10%であることを特徴とする請求項1記載のブランク。
【請求項3】
前記凹み部の横方向の幅が、折り曲げ線(A)の間隔に対して10〜30%であることを特徴とする請求項1または2記載のブランク。
【請求項4】
前記凹み部の形状が、六角形または楕円形であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のブランク。
【請求項5】
前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜4記載の何れか1項に記載のブランク。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のブランクを用いて組み立てられたことを特徴とする直方体状の液体用紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−197082(P2012−197082A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60550(P2011−60550)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】