ブリスター容器
【課題】物品を収納した状態で衝撃を受けても、ブリスターカバーの破損が生じにくい簡便なブリスター容器を提供する。
【解決手段】物品を収納する収納凹部が形成されたブリスターカバーと、該ブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙とからなり、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に台紙を挟持して組み立てるブリスター容器であって、該ブリスターカバーの隣り合う少なくとも２つの角部に切欠き部を設け、該ブリスターカバーと重なり合う台紙の角部が該切欠き部によって露出するように構成されたブリスター容器である。
【解決手段】物品を収納する収納凹部が形成されたブリスターカバーと、該ブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙とからなり、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に台紙を挟持して組み立てるブリスター容器であって、該ブリスターカバーの隣り合う少なくとも２つの角部に切欠き部を設け、該ブリスターカバーと重なり合う台紙の角部が該切欠き部によって露出するように構成されたブリスター容器である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明はブリスター容器に関し、詳しくは、物品を収納した状態で輸送や落下等による衝撃を受けても、ブリスターカバーの破損が生じにくい簡便なブリスター容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
日用雑貨、玩具、事務用品、機械部品、電化製品、乾電池等の物品（商品）を包装し、販売する手段として、いわゆるブリスター容器が広く利用されている（例えば、特許文献１〜３参照）。
ブリスター容器は、通常、透明な合成樹脂シートを膨隆状に成形したブリスターカバーと、このブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙で構成され、ブリスターカバー内の膨隆状部に物品を収納した後、台紙をブリスターカバーの開口面に被せて両者を一体的に組み立てて使用する容器である。
【０００３】
このブリスター容器には、ブリスターカバーの両側縁を折り返し、この折り返し片の間に台紙を挟持して組み立てるものであって、ブリスターカバーの折り返し片の縁の一部に孔部を形成し、その孔部に係止される抜け止め用の係合部を台紙に形成し、このブリスターカバーに台紙をスライド嵌合させて組み立てる、いわゆる「スライド組み立て式」と、ブリスターカバーと台紙をシュリンク包装、ステープル止め、接着剤シール等を利用して組み立てる、いわゆる「接合組み立て式」とがある。
これらのブリスター容器は、上部にフック穴を設け、吊り下げることで陳列スペースを節約できるが、顧客が目的のものを取り出す際に、隣接して吊り下げられているブリスター容器を引っかけて落としてしまうことが多々ある。この場合、特に「スライド組み立て式」のブリスター容器は角部周りが破損しやすい。
【０００４】
ブリスター容器は、輸送時の衝撃や、落下等による衝撃によりブリスターカバーの角部等がひび割れしたり、破損したり、また、破損の程度が大きくなって収納品が露出すると、収納品が傷ついたり、汚れたり、製品の見栄えが損なわれる等の問題がある。ブリスター容器の破損に対しては容器の材質・構造の強化が考えられ、収納品の保護の観点から緩衝材の使用等が考えられるが、包装の高コスト化や容器開封のし易さを損なうおそれがあった。
そこで、物品を収納したブリスター容器の落下等による衝撃に対する耐久性を高めるために、落下衝撃時に容器の開封部分から離れたところでフランジ部を屈曲させる折曲誘導線を設けたパッケージ（特許文献４）が提案されている。しかしながら、フランジ部に屈曲が生じると体裁や見栄えが損なわれ、しかも特許文献４のパッケージは容器部以外の台紙の余白部の面積を大きくとる必要があるため、収納する物品に比べて大きな陳列スペースを必要とするという問題があった。
【０００５】
【特許文献１】実開昭５７−１１４６６５号公報
【特許文献２】実開昭５８−１８３３６９号公報
【特許文献３】特開２００３−２２１０６６号公報
【特許文献４】特開２００２−３３７９３４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、物品を収納した状態で衝撃を受けても、ブリスターカバーの破損が生じにくい簡便なブリスター容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、物品を収納する収納凹部が形成されたブリスターカバーと、該ブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙とからなり、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に台紙を挟持して組み立てるブリスター容器であって、該ブリスターカバーの隣り合う少なくとも２つの角部に切欠き部を設け、該ブリスターカバーと重なり合う台紙の角部が該切欠き部によって露出するように構成されたブリスター容器を提供する。
【発明の効果】
【０００８】
本発明のブリスター容器は、物品を収納した状態で衝撃を受けても、ブリスターカバーの破損が生じにくい。また、体裁や見栄えがよく、ブリスター容器の台紙の余白部分を大きくする必要もないため陳列スペースを節約でき、製造時のコストアップもなく、開封のし易さを損なうこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
本発明のブリスター容器は、物品を収納する空間を得るための収納凹部が形成されたブリスターカバーと、該ブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙とからなり、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に台紙を挟持して組み立てるブリスター容器であって、該ブリスターカバーの隣り合う少なくとも２つの角部に切欠き部を設け、該ブリスターカバーと重なり合う台紙の角部が該切欠き部によって露出するように構成されている。
【００１０】
まず図面を参照して、本発明のブリスター容器について説明する。図１は、本発明のブリスター容器（組み立て後）の一例を示す正面図であり、図２は、図１のブリスター容器の分解図であり、（ａ）はブリスターカバーの正面図、（ｂ）はブリスターカバーの底面図、（ｃ）は台紙の正面図である。図３は、図２（ａ）に示すブリスターカバーの斜視図であり、図４は、図１のブリスター容器の右角部の拡大図である。
図１及び図２に示す、いわゆるスライド組み立て式のブリスター容器１は、透明な合成樹脂シート等から成形されたブリスターカバー２と、ブリスターカバー２と横方向の寸法がほぼ同一又は僅かにブリスターカバー２より小さく、ブリスターカバー２の開口面側を閉蓋する台紙３とから構成されている。ブリスターカバー２と台紙３は、同じ平面形状を有する必要はないが、少なくとも一部、特にブリスター容器１の下部の両角部近傍がほぼ重なり合う形状とする。
なお、ブリスターカバー２には、収納する物品（日用雑貨、玩具、事務用品、機械部品、電化製品、乾電池等）の形状に合せた収納凹部（物品収納部）４が形成されている。
【００１１】
図２（ａ）において、ブリスターカバー２の両側縁は背面側に折り返されて、折り返し片５が形成され、その折り返し片５の側縁の一部に孔部６が形成されている。一方、図２（ｂ）において、台紙３には、ブリスターカバー２の孔部６に係止される抜け止め用の係合部７が、ブリスターカバー２の両側縁の孔部６と孔部６との間の幅よりも広幅になるように突設されている。そして、抜け止め用の係合部７は、台紙３を差し込む方向側から徐々に広幅となるテーパー状とし、差し込む方向と反対側の側縁が台紙３の側縁と概ね垂直又は鋭角となるように形成することによって、台紙３をブリスターカバー２にスライドして挿入容易としながら、挿入後の抜け止めを確実とすることが好ましい。
すなわち、ブリスターカバー２の折り返し片５の間に、台紙３を下から差し込むようにスライドして挿入すると、台紙３の係合部７の領域では、係合部７の側縁が徐々に広幅となるテーパーによって挿入可能としながら、係合部７がブリスターカバー２の孔部６と嵌合すると、係合部７の挿入方向と反対側の側縁が孔部６に係合し、ブリスターカバー２が台紙３から抜けないように不可逆的に係止され、台紙３はブリスターカバー２に挟持される。このため、ブリスター容器１の組み立て後は、ブリスターカバー２及びそこに収納された物品は台紙３から外れて落下することはない。
ブリスター容器１のブリスターカバー２と台紙３は着脱自在となっており、また、台紙３にはデザインや物品情報表示等を印刷することができる。
【００１２】
ブリスター容器１の上部にはフック穴等からなる吊下げ部８が設けられている。この吊下げ部８を利用して、ブリスター容器１を陳列台のバーに通して吊り下げることによって、狭いスペースに多数のブリスター容器１を整然と陳列することができる。
また、図１に示すように、ブリスターカバー２の下部（底面）には、ブリスター容器１をショーケース等に載置する際に、立設して展示販売することができるようにするための自立用膨出部９が設けられている。ブリスター容器１は、自立用膨出部９の底面がショーケース等の載置面に接する脚となって自立することができる。
【００１３】
ブリスターカバー２を形成する合成樹脂は特に限定されず、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート等の各種の樹脂を用いることができる。透明な合成樹脂シートを用いてブリスターカバー１を形成すれば、その物品の優れた外観、模様、色彩等を陳列時に視認させることができるため好ましい。
これらの合成樹脂からなるシートは、収納する物品の特性を考慮して適宜厚みを調整すればよく、通常０．１〜１ｍｍ程度の厚みとする。合成樹脂からなるシートは金型成形等により所望の形状に加工される。
台紙３の材質は特に限定されず、合成樹脂シート、板紙、合成紙、合成樹脂シートと板紙又は合成紙等からなる積層材等を用いることができる。これらの中では、衝撃吸収性の観点から板紙が好ましく、印刷等の加工性の観点からコート板紙が好ましい。
【００１４】
本発明のブリスター容器１においては、図１及び図４に示すように、ブリスターカバー２の隣り合う少なくとも２つの角部、特に、ブリスターカバー２の底辺と両側辺の交わる両角部に切欠き部１０を設け、ブリスターカバー２と重なり合う台紙３の角部が切欠き部１０によって露出するように構成したことが特徴である。
ブリスター容器１が、例えば誤って落下する際は、通常、ブリスター容器１が若干傾いた状態で落下するため、ブリスター容器１の下部のいずれかの角部が大きな衝撃を受ける。そこで、ブリスターカバー２に切欠き部１０を形成することにより、ブリスター容器１が落下しても、ブリスターカバー２の角部が直接床に衝突することを防止することができる。
【００１５】
すなわち、ブリスター容器１の角部が落下等による衝撃を受けた場合も、切欠き部１０を形成することにより露出した台紙３の角部がクッションとなってその衝撃を緩和し、又は台紙３の角部がブリスターカバー２の切欠き部１０の外周縁に沿って湾曲しその落下衝撃を吸収する。このため、ブリスターカバー２の強度をそれほど高くしなくても、ブリスターカバー２の角部周囲がひび割れしたり、破損したり、収納品が露出したりすること等を防止することができる。さらに、台紙３の角部に若干の湾曲が生じても、台紙３の角部が大きく屈曲することはないので商品としての体裁や見栄えは損なわれない。
また、図１に示すように、ブリスター容器１を自立用膨出部９を下部（底面）として自立させた場合にも、ブリスターカバー２の底片の両角部は載置面に接触することがないので、自立させたときの衝撃や載置面との接触によるブリスターカバー２の角部周囲の破損を防止することができる。
【００１６】
ブリスターカバー２の切欠き部１０の形態は、落下衝撃エネルギーを適度に緩和ないし吸収しうる形状、大きさであればよく、特に限定されない。例えば、ブリスター容器１の台紙３の外周縁に沿ってやや内側に円弧状に形成してもよく、半円状、三角形状、矩形状、台形状等に形成することもができる。切欠き部１０の大きさは、ブリスター容器１及び収納物品の重量、大きさ、材質、収納時の便宜等を考慮して適宜決定することができる。
これらの中では、衝撃吸収性、簡便性の観点から、底辺から側辺にかけて斜めに切り欠いた三角形状の切欠き部１０を設けることが好ましい。この場合、三角形状の切欠き部１０の寸法は、図４において、仮想直角三角形の底辺（横）／高さ（縦）の比が５／１〜１／１が好ましく、４／１〜１／１がより好ましく、３／１〜１／１が更に好ましい。
【００１７】
切欠き部１０は下部の両角部に少なくとも２つ設けるが、四隅に設けてもよい。
また、本発明の好適例において、台紙３の係合部７がブリスターカバー２の孔部６と嵌合し、台紙３が不可逆的に係止されているため、ブリスター容器１の組み立て後は、ブリスターカバー２及びそこに収納された物品は台紙３から外れて落下することはない。しかし、落下防止をより確実にするため、ブリスターカバー２の上縁及び／又は下縁に更に折り返し片を形成することができる。この場合、ブリスターカバー２の下部の破損防止の観点、ブリスター容器１の組み立て容易性、開封容易性及び衝撃吸収性の観点から、図１及び図２（ａ）に示すように、ブリスターカバー２の両側縁と上縁に折り返し片５、５’を形成し、下縁には折り返し片を形成しないことが好ましい。下縁に折り返し片を形成すると、下縁が剛直になりすぎて、落下時の衝撃で下縁の折り返し片が破損する可能性が高まるからである。
【００１８】
従来のブリスター容器では、ブリスター容器の下角部に受けた落下等の衝撃エネルギーがそのままブリスター容器の端部に伝わるため、落下衝撃によりブリスター容器（ブリスターカバー）の角部等がひび割れしたり、破損したり、収納品が露出するおそれがあった。
これに対し、本発明のブリスター容器１は、ブリスターカバー２の角部に切欠き部１０を形成するという簡単かつ低コストな構成により、ブリスター容器１の開封のし易さを損なうことなく、物品を収納した状態でも、落下等の衝撃に対する優れた耐久性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明のブリスター容器（組み立て後）の一例を示す正面図である。
【図２】図１のブリスター容器の分解図であり、（ａ）はブリスターカバーの正面図、（ｂ）はブリスターカバーの底面図、（ｃ）は台紙の正面図である。
【図３】図２（ａ）に示すブリスターカバーの斜視図である。
【図４】図１のブリスター容器の右角部の拡大図である。
【符号の説明】
【００２０】
１：ブリスター容器
２：ブリスターカバー
３：台紙
４：収納凹部
５，５’：折り返し片
６：孔部
７：係合部
８：吊下げ部
９：自立用膨出部
１０：切欠き部
【技術分野】
【０００１】
本発明はブリスター容器に関し、詳しくは、物品を収納した状態で輸送や落下等による衝撃を受けても、ブリスターカバーの破損が生じにくい簡便なブリスター容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
日用雑貨、玩具、事務用品、機械部品、電化製品、乾電池等の物品（商品）を包装し、販売する手段として、いわゆるブリスター容器が広く利用されている（例えば、特許文献１〜３参照）。
ブリスター容器は、通常、透明な合成樹脂シートを膨隆状に成形したブリスターカバーと、このブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙で構成され、ブリスターカバー内の膨隆状部に物品を収納した後、台紙をブリスターカバーの開口面に被せて両者を一体的に組み立てて使用する容器である。
【０００３】
このブリスター容器には、ブリスターカバーの両側縁を折り返し、この折り返し片の間に台紙を挟持して組み立てるものであって、ブリスターカバーの折り返し片の縁の一部に孔部を形成し、その孔部に係止される抜け止め用の係合部を台紙に形成し、このブリスターカバーに台紙をスライド嵌合させて組み立てる、いわゆる「スライド組み立て式」と、ブリスターカバーと台紙をシュリンク包装、ステープル止め、接着剤シール等を利用して組み立てる、いわゆる「接合組み立て式」とがある。
これらのブリスター容器は、上部にフック穴を設け、吊り下げることで陳列スペースを節約できるが、顧客が目的のものを取り出す際に、隣接して吊り下げられているブリスター容器を引っかけて落としてしまうことが多々ある。この場合、特に「スライド組み立て式」のブリスター容器は角部周りが破損しやすい。
【０００４】
ブリスター容器は、輸送時の衝撃や、落下等による衝撃によりブリスターカバーの角部等がひび割れしたり、破損したり、また、破損の程度が大きくなって収納品が露出すると、収納品が傷ついたり、汚れたり、製品の見栄えが損なわれる等の問題がある。ブリスター容器の破損に対しては容器の材質・構造の強化が考えられ、収納品の保護の観点から緩衝材の使用等が考えられるが、包装の高コスト化や容器開封のし易さを損なうおそれがあった。
そこで、物品を収納したブリスター容器の落下等による衝撃に対する耐久性を高めるために、落下衝撃時に容器の開封部分から離れたところでフランジ部を屈曲させる折曲誘導線を設けたパッケージ（特許文献４）が提案されている。しかしながら、フランジ部に屈曲が生じると体裁や見栄えが損なわれ、しかも特許文献４のパッケージは容器部以外の台紙の余白部の面積を大きくとる必要があるため、収納する物品に比べて大きな陳列スペースを必要とするという問題があった。
【０００５】
【特許文献１】実開昭５７−１１４６６５号公報
【特許文献２】実開昭５８−１８３３６９号公報
【特許文献３】特開２００３−２２１０６６号公報
【特許文献４】特開２００２−３３７９３４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、物品を収納した状態で衝撃を受けても、ブリスターカバーの破損が生じにくい簡便なブリスター容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、物品を収納する収納凹部が形成されたブリスターカバーと、該ブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙とからなり、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に台紙を挟持して組み立てるブリスター容器であって、該ブリスターカバーの隣り合う少なくとも２つの角部に切欠き部を設け、該ブリスターカバーと重なり合う台紙の角部が該切欠き部によって露出するように構成されたブリスター容器を提供する。
【発明の効果】
【０００８】
本発明のブリスター容器は、物品を収納した状態で衝撃を受けても、ブリスターカバーの破損が生じにくい。また、体裁や見栄えがよく、ブリスター容器の台紙の余白部分を大きくする必要もないため陳列スペースを節約でき、製造時のコストアップもなく、開封のし易さを損なうこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
本発明のブリスター容器は、物品を収納する空間を得るための収納凹部が形成されたブリスターカバーと、該ブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙とからなり、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に台紙を挟持して組み立てるブリスター容器であって、該ブリスターカバーの隣り合う少なくとも２つの角部に切欠き部を設け、該ブリスターカバーと重なり合う台紙の角部が該切欠き部によって露出するように構成されている。
【００１０】
まず図面を参照して、本発明のブリスター容器について説明する。図１は、本発明のブリスター容器（組み立て後）の一例を示す正面図であり、図２は、図１のブリスター容器の分解図であり、（ａ）はブリスターカバーの正面図、（ｂ）はブリスターカバーの底面図、（ｃ）は台紙の正面図である。図３は、図２（ａ）に示すブリスターカバーの斜視図であり、図４は、図１のブリスター容器の右角部の拡大図である。
図１及び図２に示す、いわゆるスライド組み立て式のブリスター容器１は、透明な合成樹脂シート等から成形されたブリスターカバー２と、ブリスターカバー２と横方向の寸法がほぼ同一又は僅かにブリスターカバー２より小さく、ブリスターカバー２の開口面側を閉蓋する台紙３とから構成されている。ブリスターカバー２と台紙３は、同じ平面形状を有する必要はないが、少なくとも一部、特にブリスター容器１の下部の両角部近傍がほぼ重なり合う形状とする。
なお、ブリスターカバー２には、収納する物品（日用雑貨、玩具、事務用品、機械部品、電化製品、乾電池等）の形状に合せた収納凹部（物品収納部）４が形成されている。
【００１１】
図２（ａ）において、ブリスターカバー２の両側縁は背面側に折り返されて、折り返し片５が形成され、その折り返し片５の側縁の一部に孔部６が形成されている。一方、図２（ｂ）において、台紙３には、ブリスターカバー２の孔部６に係止される抜け止め用の係合部７が、ブリスターカバー２の両側縁の孔部６と孔部６との間の幅よりも広幅になるように突設されている。そして、抜け止め用の係合部７は、台紙３を差し込む方向側から徐々に広幅となるテーパー状とし、差し込む方向と反対側の側縁が台紙３の側縁と概ね垂直又は鋭角となるように形成することによって、台紙３をブリスターカバー２にスライドして挿入容易としながら、挿入後の抜け止めを確実とすることが好ましい。
すなわち、ブリスターカバー２の折り返し片５の間に、台紙３を下から差し込むようにスライドして挿入すると、台紙３の係合部７の領域では、係合部７の側縁が徐々に広幅となるテーパーによって挿入可能としながら、係合部７がブリスターカバー２の孔部６と嵌合すると、係合部７の挿入方向と反対側の側縁が孔部６に係合し、ブリスターカバー２が台紙３から抜けないように不可逆的に係止され、台紙３はブリスターカバー２に挟持される。このため、ブリスター容器１の組み立て後は、ブリスターカバー２及びそこに収納された物品は台紙３から外れて落下することはない。
ブリスター容器１のブリスターカバー２と台紙３は着脱自在となっており、また、台紙３にはデザインや物品情報表示等を印刷することができる。
【００１２】
ブリスター容器１の上部にはフック穴等からなる吊下げ部８が設けられている。この吊下げ部８を利用して、ブリスター容器１を陳列台のバーに通して吊り下げることによって、狭いスペースに多数のブリスター容器１を整然と陳列することができる。
また、図１に示すように、ブリスターカバー２の下部（底面）には、ブリスター容器１をショーケース等に載置する際に、立設して展示販売することができるようにするための自立用膨出部９が設けられている。ブリスター容器１は、自立用膨出部９の底面がショーケース等の載置面に接する脚となって自立することができる。
【００１３】
ブリスターカバー２を形成する合成樹脂は特に限定されず、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート等の各種の樹脂を用いることができる。透明な合成樹脂シートを用いてブリスターカバー１を形成すれば、その物品の優れた外観、模様、色彩等を陳列時に視認させることができるため好ましい。
これらの合成樹脂からなるシートは、収納する物品の特性を考慮して適宜厚みを調整すればよく、通常０．１〜１ｍｍ程度の厚みとする。合成樹脂からなるシートは金型成形等により所望の形状に加工される。
台紙３の材質は特に限定されず、合成樹脂シート、板紙、合成紙、合成樹脂シートと板紙又は合成紙等からなる積層材等を用いることができる。これらの中では、衝撃吸収性の観点から板紙が好ましく、印刷等の加工性の観点からコート板紙が好ましい。
【００１４】
本発明のブリスター容器１においては、図１及び図４に示すように、ブリスターカバー２の隣り合う少なくとも２つの角部、特に、ブリスターカバー２の底辺と両側辺の交わる両角部に切欠き部１０を設け、ブリスターカバー２と重なり合う台紙３の角部が切欠き部１０によって露出するように構成したことが特徴である。
ブリスター容器１が、例えば誤って落下する際は、通常、ブリスター容器１が若干傾いた状態で落下するため、ブリスター容器１の下部のいずれかの角部が大きな衝撃を受ける。そこで、ブリスターカバー２に切欠き部１０を形成することにより、ブリスター容器１が落下しても、ブリスターカバー２の角部が直接床に衝突することを防止することができる。
【００１５】
すなわち、ブリスター容器１の角部が落下等による衝撃を受けた場合も、切欠き部１０を形成することにより露出した台紙３の角部がクッションとなってその衝撃を緩和し、又は台紙３の角部がブリスターカバー２の切欠き部１０の外周縁に沿って湾曲しその落下衝撃を吸収する。このため、ブリスターカバー２の強度をそれほど高くしなくても、ブリスターカバー２の角部周囲がひび割れしたり、破損したり、収納品が露出したりすること等を防止することができる。さらに、台紙３の角部に若干の湾曲が生じても、台紙３の角部が大きく屈曲することはないので商品としての体裁や見栄えは損なわれない。
また、図１に示すように、ブリスター容器１を自立用膨出部９を下部（底面）として自立させた場合にも、ブリスターカバー２の底片の両角部は載置面に接触することがないので、自立させたときの衝撃や載置面との接触によるブリスターカバー２の角部周囲の破損を防止することができる。
【００１６】
ブリスターカバー２の切欠き部１０の形態は、落下衝撃エネルギーを適度に緩和ないし吸収しうる形状、大きさであればよく、特に限定されない。例えば、ブリスター容器１の台紙３の外周縁に沿ってやや内側に円弧状に形成してもよく、半円状、三角形状、矩形状、台形状等に形成することもができる。切欠き部１０の大きさは、ブリスター容器１及び収納物品の重量、大きさ、材質、収納時の便宜等を考慮して適宜決定することができる。
これらの中では、衝撃吸収性、簡便性の観点から、底辺から側辺にかけて斜めに切り欠いた三角形状の切欠き部１０を設けることが好ましい。この場合、三角形状の切欠き部１０の寸法は、図４において、仮想直角三角形の底辺（横）／高さ（縦）の比が５／１〜１／１が好ましく、４／１〜１／１がより好ましく、３／１〜１／１が更に好ましい。
【００１７】
切欠き部１０は下部の両角部に少なくとも２つ設けるが、四隅に設けてもよい。
また、本発明の好適例において、台紙３の係合部７がブリスターカバー２の孔部６と嵌合し、台紙３が不可逆的に係止されているため、ブリスター容器１の組み立て後は、ブリスターカバー２及びそこに収納された物品は台紙３から外れて落下することはない。しかし、落下防止をより確実にするため、ブリスターカバー２の上縁及び／又は下縁に更に折り返し片を形成することができる。この場合、ブリスターカバー２の下部の破損防止の観点、ブリスター容器１の組み立て容易性、開封容易性及び衝撃吸収性の観点から、図１及び図２（ａ）に示すように、ブリスターカバー２の両側縁と上縁に折り返し片５、５’を形成し、下縁には折り返し片を形成しないことが好ましい。下縁に折り返し片を形成すると、下縁が剛直になりすぎて、落下時の衝撃で下縁の折り返し片が破損する可能性が高まるからである。
【００１８】
従来のブリスター容器では、ブリスター容器の下角部に受けた落下等の衝撃エネルギーがそのままブリスター容器の端部に伝わるため、落下衝撃によりブリスター容器（ブリスターカバー）の角部等がひび割れしたり、破損したり、収納品が露出するおそれがあった。
これに対し、本発明のブリスター容器１は、ブリスターカバー２の角部に切欠き部１０を形成するという簡単かつ低コストな構成により、ブリスター容器１の開封のし易さを損なうことなく、物品を収納した状態でも、落下等の衝撃に対する優れた耐久性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明のブリスター容器（組み立て後）の一例を示す正面図である。
【図２】図１のブリスター容器の分解図であり、（ａ）はブリスターカバーの正面図、（ｂ）はブリスターカバーの底面図、（ｃ）は台紙の正面図である。
【図３】図２（ａ）に示すブリスターカバーの斜視図である。
【図４】図１のブリスター容器の右角部の拡大図である。
【符号の説明】
【００２０】
１：ブリスター容器
２：ブリスターカバー
３：台紙
４：収納凹部
５，５’：折り返し片
６：孔部
７：係合部
８：吊下げ部
９：自立用膨出部
１０：切欠き部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
物品を収納する収納凹部が形成されたブリスターカバーと、該ブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙とからなり、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に台紙を挟持して組み立てるブリスター容器であって、該ブリスターカバーの隣り合う少なくとも２つの角部に切欠き部を設け、該ブリスターカバーと重なり合う台紙の角部が該切欠き部によって露出するように構成されたブリスター容器。
【請求項２】
前記切欠き部が、前記ブリスターカバーの底辺と両側辺の交わる角部に形成されている、請求項１に記載のブリスター容器。
【請求項３】
ブリスター容器の上部に吊下げ部を設けた、請求項１又は２に記載のブリスター容器。
【請求項４】
ブリスター容器の下部に自立用膨出部を設けた、請求項１〜３のいずれかに記載のブリスター容器。
【請求項１】
物品を収納する収納凹部が形成されたブリスターカバーと、該ブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙とからなり、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に台紙を挟持して組み立てるブリスター容器であって、該ブリスターカバーの隣り合う少なくとも２つの角部に切欠き部を設け、該ブリスターカバーと重なり合う台紙の角部が該切欠き部によって露出するように構成されたブリスター容器。
【請求項２】
前記切欠き部が、前記ブリスターカバーの底辺と両側辺の交わる角部に形成されている、請求項１に記載のブリスター容器。
【請求項３】
ブリスター容器の上部に吊下げ部を設けた、請求項１又は２に記載のブリスター容器。
【請求項４】
ブリスター容器の下部に自立用膨出部を設けた、請求項１〜３のいずれかに記載のブリスター容器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００８−２４３５４（Ｐ２００８−２４３５４Ａ）
【公開日】平成２０年２月７日（２００８．２．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２００８３０（Ｐ２００６−２００８３０）
【出願日】平成１８年７月２４日（２００６．７．２４）
【出願人】（００００００９１８）花王株式会社 (8,290)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年２月７日（２００８．２．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年７月２４日（２００６．７．２４）
【出願人】（００００００９１８）花王株式会社 (8,290)
【Ｆターム（参考）】
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