説明

ブリスター容器

【課題】スタンディングタイプのブリスター容器において自立のため設けた脚部周辺の形状制約による内包する物品の品質保護機能を確保できるブリスター容器を提供する。
【解決手段】実施形態に係るブリスター容器は、透明な樹脂フィルムを成形して所望の物品10を収納可能としたブリスタードーム12と、台紙14とを有し、前記物品10を収容部12aに収納した状態で前記ブリスタードーム12の周辺部12bを台紙14にシール部18によってシールして封緘するブリスター容器において、前記ブリスタードーム12には自立するための凸部16を前記ブリスタードーム12下部に備え、前記凸部16には、その底部に物品10を上方に向けて凹ませて底上げした部分16aを設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブリスター容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートシール式のブリスター容器(ブリスターパック)において、ブリスター容器によって物品(液体薬品や液体化粧料等を容器内に収容した容器物品等)をパッケージした各種商品を店頭で陳列したり、梱包箱内に収容したりする場合に、ブリスター容器の取り扱い性の向上から、自立できる構造(スタンディングタイプのブリスター容器)が要請される。
【0003】
自立できる構造として、物品を内部に収容する膨出した部分(ブリスタードーム)下部に脚部を設けることが案出されている。脚部は例えば自立可能な底面積をもった出っ張りになる。ブリスター容器において、脚部を設けた技術は特開平9−221170号(特許文献1)、特開2003−54629号(特許文献2)、特開2007−137443号(特許文献3)、特開2008−18964号(特許文献4)、特開2009−173343号(特許文献5)等に開示されている。
【0004】
ここで、ブリスター容器を自立させるにあたって、自立安定性を保つために内包する容器の位置を最下部に近づけて重心を低く設計する必要がある。
【0005】
重心を低くするため、内包する物品を最下部まで下げた配置にして落下衝撃が直接内包の容器物品に伝わってしまい、容器が破損する可能性がある。そのため、内包容器を最下部にしないために、底上げが必要になる。
【0006】
ブリスター容器の底上げについては成型形状が深絞りにならない程度に設計する必要がある。
【0007】
成型金型形状を深絞りにすると樹脂原反の肉厚が薄くなり(一般的に原反厚300〜400μmで深絞りした場合10μm程度まで薄くなるケースもある)強度的な低下が起こる他、ヒートシールの圧着面圧が不均一のためシール不良等を発生する。
【0008】
また、脚部の一部を下駄形状にしヒートシール可能な形状に設計した場合、深絞りとなることが多い。深絞りを回避するために脚部のさらに下をヒートシールするためのフランジ部分を設けると、ブリスター容器の自立時、前傾がきつくなり過ぎて自立できなくなる。
【0009】
したがって、従来のスタンディングタイプのブリスター容器の脚部に有効なシールをすることはできなかった。
【0010】
従来は、上述のように、脚部にシールが施されない場合、ドームと台紙の間に隙間を生じ、ブリスター容器の気密性が保てないため、内包する物品へのいたずら防止、内包物品の脱落防止、汚損防止などに不都合を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−221170号
【特許文献2】特開2003−54629号
【特許文献3】特開2007−137443号
【特許文献4】特開2008−18964号
【特許文献5】特開2009−173343号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の実情に鑑み、スタンディングタイプのブリスター容器において自立のため設けた脚部周辺の形状制約による内包する物品の品質保護機能を確保できるブリスター容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、透明な樹脂フィルムを成形して所望の物品を収納可能としたブリスタードームと、台紙とを有し、前記物品を収納した状態で前記ブリスタードームの周辺部を台紙にシールして封緘するブリスター容器であって、ブリスタードームには自立するための凸部を前記ブリスタードーム下部に備えたブリスター容器において、
前記凸部には、底部に物品を上方に向けて底上げする部分を設けたことを特徴とするブリスター容器である。
【0014】
なお、本発明において、凸部周囲にシール部を設けたことが好適である。
【0015】
また、本発明において、凸部周囲の下方部はシールせず、側部および上部のみにシール部18を設けたことが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のブリスター容器によれば、ブリスタードームには自立するための凸部を前記ブリスタードーム下部に備えたブリスター容器であって、前記凸部には、底部に物品を上方に向けて底上げする部分を設けたので、凸部で自立している時に、前記底上げする部分で物品を支えることができ、ブリスター容器に衝撃が加わっても、物品に衝撃が伝わりにくく、物品の保護が確実にできる。
【0017】
また、凸部周囲にシール部を設ければ、凸部の密着性が向上し、ブリスタードームの底部に台紙との間に隙間ができないので、物品に対するいたずら防止、包装された物品の脱落防止、汚損防止が確実にできる。
【0018】
また、凸部周囲の下方部はシールせず、側部および上部のみにシール部を設けて、凸部の下方のシール部形成による自立阻害を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るブリスター容器の正面から見た説明図である。
【図2】図1のブリスター容器をブリスタードームと台紙とを分けた状態で、側面から見た説明図である。
【図3】図1のブリスター容器の斜視説明図である。
【図4】(a)は図1のブリスター容器、(b)は比較例のブリスター容器を示し、それぞれ凸部を側方から押した場合を比較して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1〜図3は、本発明の実施形態に係るブリスター容器の構成の説明図、図4(a)、(b)は図1のブリスター容器と比較例のブリスター容器を比較して示す説明図である。
【0022】
図1〜図2に示すように、実施形態に係るブリスター容器は、透明な樹脂フィルムを成形して所望の物品10を収納可能としたブリスタードーム12と、台紙14とを有し、前記物品10を収容部12aに収納した状態で前記ブリスタードーム12の周辺部12bを台紙14にシール部18によってシールして封緘するブリスター容器である。
【0023】
図1、図3に示すように、実施形態に係るブリスター容器は、上下方向に縦長の物品(プッシュ式の噴霧容器等の概略円柱状)10を収容部12a内に収容する。収容部12aは該物品10の外周に合わせて膨出している。そして、収容部12a内で安定的に物品10を支持するため、物品10側に向けて凹む部分12a1で物品10を挟持し、また、外側に膨らむ膨出部12a2で強度を増ししている。
【0024】
図2に示すように、ブリスタードーム12の周辺部12bで、台紙14に貼付けている。物品10周囲の中央部は張り付けず、周辺部12bを主に張り付けるようにしている。
【0025】
なお、ブリスタードーム12の樹脂は、A−PETやPETGなどのPET系樹脂、PP、PS、PVCなどがあげられるがこれらに限られるものではない。
また、台紙14は紙または、樹脂からなるものや、樹脂および紙の積層シート等を用いることができる。
【0026】
前記ブリスタードーム12には自立するための凸部16を前記ブリスタードーム12下部に備えている。ブリスタードーム12は、その収容部12aが物品10の長さ方向に長い概略半円筒形状に形成されており、凸部16は、収容部12aに連続してブリスタードーム12の下端部にブリスタードーム12の膨出方向(台紙垂直方向)に突出する直方体形状に形成されている。凸部16はその下端部が台紙14の下端部に一致またはほぼ一致する位置に形成されており、凸部16および台紙14下端部を机上等の載置面に接しさせてブリスター容器が自立できる構成に形成されている。
【0027】
前記凸部16には、その底部に物品10を上方に向けて凹ませて底上げした部分16aを設けたものである。
【0028】
また、ブリースタードーム12では、その収容部12aに間隔をおいて周辺部12b(台紙14の周縁部でもある)にシール部18を設けると共に、凸部16周囲に該凸部に隣接してシール部18を設けている。また、凸部16周囲の下方部はシールせず、側部および上部のみにシール部18を設けている。シール部18は溶着や接着によって形成できる。
【0029】
前記シール部18は、凸部16の側部から上部に回りこませるように、物品10の近辺まで凸部16の左右にカギ型18aに形成されている。
【0030】
実施形態のブリスター容器によれば、ブリスタードーム12には自立するための凸部16を前記ブリスタードーム12下部に備えたブリスター容器であって、前記凸部16には、底部に物品10を上方に向けて底上げした部分16aを設けたので、凸部16で自立している時に、前記底上げした部分16aで物品10を支えることができ、ブリスター容器に衝撃が加わっても、物品10に衝撃が伝わりにくく、物品10の保護が確実にできる。
【0031】
また、凸部16周囲に側部および上部に隣接してシール部18を設けるので、凸部16の密着性が向上し、ブリスタードーム12の底部に台紙14との間に隙間ができないので、物品10に対するいたずら防止、包装された物品10の脱落防止、汚損防止が確実にできる。
【0032】
図4(a)と(b)に実施形態と比較例のブリスター容器の凸部16を左右から押圧した場合の状態を示す。
図4(a)に示す実施形態ではシール部18が凸部16の側部から上部に周り込んで、封緘しているので例え左右方向から力Pを加えてもブリスター回りに隙間が生じない。
また、凸部16には底上げした部分16aを形成しているので、ボトル等の物品が直に凸部16の底側に接していないで、落下によっても物品が床に衝撃を受けず、容器等の物品の破損が生じない。
【0033】
これに対して、図4(b)に示す比較例では凸部16の上部はシール部18で封緘していないので、左右方向から力Pを加えるとブリスター回りに隙間が生じることが確認された。また、凸部16には底上げした部分を形成していないので、ボトル等の物品が直に凸部16の底側に接するので、落下によって物品が床面等で衝撃を受けて、物品の破損が生じるおそれがある。
したがって、本発明のブリスター容器は従来のものに比較してシール性が高く、かつ内容物の物品の保護性が高いことが理解される。
【0034】
なお、凸部16周囲の下方部はシールせず、側部および上部のみにシール部18を設けるので、凸部16の下方にシール部18を形成した場合に自立性が阻害されるが、本発明では、そのような自立性阻害を確実に防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のブリスター容器は、液状薬剤、液状化粧品、各種接着剤等液体製品容器を包装する容器に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 物品
12 ブリスタードーム
12a ブリスタードームの収容部
12a1 収容部の凹む部分
12a2 収容部の膨出部
12b ブリスタードームの周辺部
14 台紙
16 凸部
16a 底上げした部分
18 シール部
18a シール部のカギ型部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な樹脂フィルムを成形して所望の物品を収納可能としたブリスタードームと、台紙とを有し、前記物品を収納した状態で前記ブリスタードームの周辺部を台紙にシールして封緘するブリスター容器であって、ブリスタードームには自立するための凸部を前記ブリスタードーム下部に備えたブリスター容器において、
前記凸部には、底部に物品を上方に向けて底上げする部分を設けたことを特徴とするブリスター容器。
【請求項2】
凸部周囲にシール部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のブリスター容器。
【請求項3】
凸部周囲の下方部はシールせず、側部および上部のみにシール部を設けたことを特徴とする請求項2に記載のブリスター容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−178456(P2011−178456A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46398(P2010−46398)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】