説明

ブリーザ装置

【課題】 本発明は、液体が外部に排出されることを抑制できるブリーザ装置を提供する。
【解決手段】 ブリーザ装置10は、入口部150と、出口部151と、入口部150と出口部151とを連通する第1の通路141と、第1の通路141中に設けられて、入口部150から出口部151に向かって流れる空気Aと燃料Fとの混合物Mから燃料Fを分離するエレメントユニット40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃料タンクなどの液体を収容する収容部に設けられるブリーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンク内の圧力は、蓄えられる燃料に応じて変化する。具体的には、内部に蓄えられる燃料が気化すると、燃料タンク内の圧力は、高くなる。燃料タンク内の燃料が消費されることによって少なくなると、燃料タンク内の圧力は、小さくなる。このため、燃料タンク内の圧力を所定圧力範囲内に保つために、燃料タンクには、ブリーザ装置が設けられている。
【0003】
ブリーザ装置は、燃料タンク内の圧力値が予め設定されている上限値より高くなると、燃料タンクの内部の気体を外部に排出する。また、エアブリーザ装置は、燃料タンク内の圧力が予め設定されている下限値より低くなると、外部の空気を内部に導く。ブリーザ装置が上記動作を行うことによって、燃料タンク内の圧力値は、下限値と上限値との間の範囲に保たれる。
【0004】
一方、この種のブリーザ装置は、外部の空気を内部に導くときに空気内のダストを捕集するフィルタを備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3249904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、燃料タンクからブリーザ装置を介して燃料タンク内の気体を排出する際、同時に、霧状の燃料が排出されることがある。霧状の燃料が排出されることによって、燃料タンクにおいてブリーザ装置の近傍が燃料によって汚れてしまう。ブリーザ装置の近傍が燃料で汚れることは、好ましくない。
【0007】
本発明は、液体が外部に排出されることを抑制できるブリーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明のブリーザ装置は、外部に開口する第1の開口部と、外部に開口する第2の開口部と、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを連通する開口部連通通路と、前記開口部連通通路内に設けられて、気体と液体との混合物から前記液体を分離する分離手段とを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明のブリーザ装置では、請求項1の記載において、前記分離手段は、前記開口部連通通路内に設けられて、前記混合物が前記第1の開口部から前記第2の開口部に向かって流れるとき前記混合物が通過する過程で前記液体を分離して前記開口部連通通路に沿って前記第2の開口部側に落とすとともに前記気体が通過する第1のエレメントと、前記開口部連通通路内において前記開口部連通通路に沿って前記第1のエレメントに対して前記第2の開口部側に設けられ、かつ、前記液体をはじく性質を有して前記混合物が前記第1の開口部から前記第2の開口部に向かって流れるとき前記混合物中の前記液体を分離して前記開口部連通通路に沿って前記第1の開口部側に落とすとともに前記気体が通過する第2のエレメントとを備える。
【0010】
請求項3に記載の発明のブリーザ装置では、請求項2の記載において、前記第1のエレメントは、前記第2のエレメントの内側に収容される。
【0011】
請求項4に記載の発明のブリーザ装置では、請求項2または請求項3の記載において、
前記第1のエレメントと前記第2のエレメントとの間に前記液を溜める溜め部が設けられる。前記溜め部と前記外部とを連通する溜め部用通路が設けられる。
【0012】
請求項5に記載の発明のブリーザ装置は、請求項4の記載において、前記開口部連通通路内において前記開口部連通通路に沿って前記分離手段よりも前記第1の開口部側に設けられて、前記開口部連通通路を閉塞可能であるとともにこの閉塞を解除可能な第1の弁と、前記溜め部用通路に設けられて、前記溜め部用通路を閉塞可能であるとともにこの閉塞を解除可能な第2の弁とを備える。
【0013】
請求項6に記載の発明のブリーザ装置では、請求項5の記載において、前記第1の弁は、前記開口部連通通路内に配置されて前記開口部連通通路を塞ぐ位置と開く位置とに変位可能な第1の弁体と、前記第1の弁体を前記塞ぐ位置に位置するように前記開く位置側から付勢する第1の付勢部材とを備える。前記第2の弁は、前記溜め部用通路内に配置されて前記溜め部用通路を塞ぐ位置と開く位置とに変位可能な第2の弁体と、前記第2の弁体を前記塞ぐ位置に位置するように前記開く位置側から付勢する第2の付勢部材とを備える。前記第1の弁体の前記塞ぐ位置は、前記開口部連通通路に沿って前記開く位置に対して前記第1の開口部側に位置する。前記第2の弁体の前記塞ぐ位置は、前記溜め部用通路に沿って前記開く位置に対して前記溜め部側に位置する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、液体が外部に排出されることを抑制できるブリーザ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態のブリーザ装置を備える装置を示す概略図。
【図2】図1に示すF2−F2線に沿ってブリーザ装置を切断した状態を示す斜視図。
【図3】図1に示されたブリーザ装置を、上下方向に平行であって中心を通る平面に沿って切断した状態を示す断面図。
【図4】図1に示したブリーザ装置の動作を示す断面図。
【図5】図1に示したブリーザ装置の動作を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るブリーザ装置を、図1〜5を用いて説明する。図1は、本実施形態のブリーザ装置10を備える装置5を示す概略図である。装置5は、例えば、重機などである。図1に示すように、装置5は、エンジン6と、エンジン6の燃料Fを蓄える燃料タンク7と、燃料タンク7に蓄えられる燃料Fに含まれるダストなどの異物を濾過して取り除く濾過装置8と、ブリーザ装置10を備えている。燃料Fは、例えばガソリンである。
【0017】
燃料タンク7とエンジン6との間は、燃料タンク7からエンジン6に向かって燃料が流れる燃料流路9が設けられている。濾過装置8は、燃料流路9中に設けられている。
【0018】
ブリーザ装置10は、燃料タンク7に設けられている。ここで、燃料タンク7の上下方向Vについて説明する。上下方向Vは、重力が作用する方向に垂直な平面上に装置5が置かれたときに重力が作用する方向に平行である。そして、重力が作用する方向に進む方向を下方向として、反対側を上方向とする。なお、上記した、平面上に置かれるとは、装置5が通常使用される姿勢で置かれることである。燃料タンク7は、上下方向Vが重力の作用する方向と平行になる姿勢で配置される。なお、例えば、装置5が、重力の作用する方向に対して垂直ではない面上に配置されると、燃料タンク7の上下方向Vと重力の作用する方向とは、平行ではなくなる。
【0019】
ブリーザ装置10は、燃料タンク7の上部に設けられている。燃料タンク7の上壁部7aは、上下方向Vに対して垂直な平面である上面7bを有している。ブリーザ装置10は、上面7bに配置されており、かつ、上壁部7aに固定されている。
【0020】
図2は、図1に示されるF2−F2線に沿って示すブリーザ装置10と、燃料タンク7の上壁部7aの一部とを示す斜視図である。図2は、ブリーザ装置10を、ブリーザ装置10の中心を通る上下方向Vに平行な平面に沿って切断した状態を示す斜視図である。図2において、切断されて図示されていない部分は、図2に図示された部分と同じ構造であり、図示されている部分と連続して形成されている。図3は、ブリーザ装置10を、上下方向Vに平行であって中心を通る平面に沿って切断した状態を示す側面図である。
【0021】
図2,3に示すように、ブリーザ装置10は、基部20と、エレメントユニット40と、上蓋部材60と、上蓋部材60を基部20に固定する固定手段80とを備えている。なお、ブリーザ装置10は、燃料タンク7に固定された状態に基づいて説明する。このため、本実施形態では、ブリーザ装置10の説明で用いられる上下方向は、燃料タンク7の上下方向と同じである。
【0022】
基部20は、燃料タンク7の上壁部7aに固定される。基部20は、基部本体21と、基部本体21に取り付けられて固定される取付部30とを備えている。図2,3に示すように、燃料タンク7の上壁部7aには、貫通孔7cが形成されている。貫通孔7cは、上壁部7aを貫通している。貫通孔7cを上方から下方に向かって見ると、貫通孔7cの縁は、円となる。
【0023】
基部本体21は、基部本体用第1の筒部22と、基部本体用第2の筒部23とを備えている。基部本体用第1の筒部22は、周壁部24と上壁部25とを備え下端が開口する円筒形状である。
【0024】
周壁部24は、基部本体用第1の筒部22の軸線X1の周方向に沿って延びて一周してつながる筒形状である。周壁部24は、上下方向Vに延びている。周壁部24の下端には、外側に広がるフランジ部26が形成されている。図2に示すように、基部20が燃料タンク7の上壁部7aに固定されると、貫通孔7cは、フランジ部26の外縁の内側に位置する。本実施形態では、周壁部24の内面と貫通孔7cの縁とが上下方向Vに重なるように、周壁部24と貫通孔7cとが形成されている。上壁部25は、周壁部24の上縁に設けられている。
【0025】
基部本体用第2の筒部23は、周壁部27と上壁部28とを備える円筒形状である。周壁部27は、基部本体用第2の筒部23の軸線X2の周方向に延びて一周してつながる筒形状である。周壁部27は、上下方向Vに延びている。周壁部27の下端は、基部本体用第2の筒部23の上壁部25に固定されている。上壁部28は、閉塞している。
【0026】
基部本体用第1,2の筒部21,22の軸線X1,X2とは、重なる。軸線X1,X2は、ともに、直線であって、基部本体用第1,2の筒部21,22の中心を通る。
【0027】
基部本体用第1の筒部22の上壁部25において基部用第2の筒部23の周壁部27の内側の部分は、上壁部25を貫通している。このため、基部本体用第1の筒部22の内側の空間S1と、基部本体用第2の筒部23の内側の空間S2とは、互いに連通している。
【0028】
取付部30は、取付部用第1の筒部31と、取付部用第2の筒部32とを備えている。取付部用第1の筒部31は、周壁部33と、上壁部34とを備えて下端が開口する円筒形状である。周壁部33は、取付部用第1の筒部31の軸線X3の周方向に沿って延びており、一周してつながる筒形状である。周壁部33は、上下方向Vに延びている。周壁部33の下端には、外側に広がるフランジ部35が設けられている。上壁部34は、周壁部33の上端に設けられている。
【0029】
取付部用第2の筒部32は、上下端が開口する円筒形状である。取付部用第2の筒部32は、取付部用第2の筒部32の軸線X4の周方向に沿って延びて一周してつながる筒形状の周壁部36を備えている。取付部用第2の筒部32は、取付部用第1の筒部31の上壁部34に固定されている。取付部用第1,2の筒部31,32の軸線X3,X4は、互いに重なっている。軸線X3,X4は、直線であり、かつ、取付部用第1,2の筒部31,32の中心を通っている。
【0030】
取付部用第1の筒部31の上壁部34において取付部用第2の筒部32の内側の範囲の部分は、貫通している。このため、取付部用第1の筒部31の内側の空間S3と取付部用第2の筒部32の内側の空間S4とは、互いに連通している。
【0031】
基部本体用第2の筒部23の周壁部24の内面には、雌ねじ部29が形成されている。取付部用第2の筒部32の外面には、雄ねじ部36aが形成されている。雄ねじ部36aは、雌ねじ部29に螺合する。
【0032】
取付部用第2の筒部32に形成される雄ねじ部36aが、基部本体用第2の筒部23の周壁部24に形成される雌ねじ29に螺合することによって、取付部30は、基部本体21に取り付けられるとともに固定される。このとき、軸線X1,X2,X3,X4は、互いに重なり、互いに同一直線上に配置される。
【0033】
取付部用第1の筒部31の上壁部34の上面34aは、軸線X3に垂直な平面である。基部本体用第1の筒部22の上壁部25の下面25aは、軸線X1に垂直な平面である。このため、取付部用第2の筒部32の雄ねじ部36aが、基部本体用第2の筒部32の雌ねじ部29に最後まで螺合すると、上面34aと下面25aとが互いに面接触することによって、上面34aと下面25aとの間が液密かつ気密にシールされる。
【0034】
取付部30が基部本体21に取り付けられた状態において、取付部用第2の筒部32の上端と、基部本体用第2の筒部23の空間S2の上端との間には、空間S5が形成される。このため、空間S5は、空間S2の一部である。基部用第2の筒部23の周壁部27において空間S5を形成する部分には、複数の開口27aが形成されている。
【0035】
空間S5内には、第1の弁100が形成される。第1の弁100は、第1のコイルばね101と、第1の弁体102とを備えている。第1の弁体102は、空間S5内に収容されている。第1の弁体102は、取付部用第2の筒部32の上端開口32aを気密かつ液密に塞ぐ、塞ぐ位置P1と、上端開口32aを開く位置との間で上下方向Vに沿って移動可能である。なお、上端開口32aを開く位置とは、塞ぐ位置P1以外の位置であって、上端開口32aが開く位置全てである。本実施形態では、第1の弁体102が、塞ぐ位置P1から開く位置へ向かう方向、つまり開く方向は、下から上に向かう方向である。
【0036】
第1のコイルばね101は、本発明で言う第1の付勢部材の一例である。第1のコイルばね101は、第1の弁体102と空間S5の上端との間に収容されている。第1のコイルばね101は、上から下に向かって第1の弁体102を塞ぐ位置P1に付勢する。つまり、第1のコイルばね101は、第1の弁体102を開く位置から塞ぐ位置P1に向かって付勢する。第1のコイルばね101の付勢力については、後で詳細に説明する。
【0037】
基部本体用第1の筒部22の上壁部25には、貫通孔25bが形成されている。貫通孔25bは、軸線X1を中心とする仮想円に沿って複数形成されている。取付部用第1の筒部22のフランジ部35は、上下方向Vに沿って貫通孔25bと重なる位置まで延びている。
【0038】
貫通孔25bとフランジ部35との間には、第2の弁110が形成されている。第2の弁110は、第2の弁体111と、第2のコイルばね112とを備えている。
【0039】
第2の弁体111は、1つの貫通孔25bに対して1つ設けられている。本実施形態では、全ての第2の弁体111は、互いに連結されている。第2の弁体111は、基部本体用第1の筒部22の内側の空間S1内に収容されている。第2の弁体111は、貫通孔25bとフランジ部35との間内において、上下方向Vに沿って、貫通孔25bを気密かつ液密に塞ぐ、塞ぐ位置P2と、貫通孔25bを開く位置との間に移動可能である。なお、貫通孔25bを開く位置とは、貫通孔25b以外の位置である。
【0040】
第2の弁体111が塞ぐ位置P2から開く位置に向かう方向、つまり開く方向は、上から下に向かう方向である。第1の弁体102の、塞ぐ位置P1から開く位置への変位方向と、第2の弁体111の、塞ぐ位置P2から開く位置への変位方向とは、互いに逆方向となる。
【0041】
第2のコイルばね112は、本発明で言う第2の付勢部材の一例である。第2のコイルばね112は、内側に取付部用第1の筒部31を収容しており、一端部がフランジ部35に当接し、他端部が第2の弁体111に当接している。第2のコイルばね112は、第2の弁体111を、上下方向Vに沿って下から上に向かって塞ぐ位置P2に付勢している。つまり、第2のコイルばね112は、第2の弁体111を、開く位置から塞ぐ位置P2に向かって付勢している。第2のコイルばね112の付勢力については、後で詳細に説明する。
【0042】
第2のコイルばね112は、取付部30が基部本体21に取り付けられる前に、取付部用第1の筒部31に取り付けられる。取付部30は、取付部用第1の筒部31が第2のコイルばね112内に収容された状態で基部本体21に取り付けられる。
【0043】
基部20の基部本体用第1の筒部22の周壁部24のフランジ部26と燃料タンク7の上壁部7aとの間には、シール部材120が設けられている。シール部材120は、フランジ部26と上壁部7aとの間に挟みこまれている。シール部材120は、上壁部7aに形成される貫通孔7cの縁に沿って設けられている。シール部材120によって、貫通孔7cと基部20との間が気密かつ液密にシールされる。
【0044】
フランジ部26の一部とシール部材120の一部とには、貫通孔26a,121が形成されている。燃料タンク7の上壁部7aには、上下方向Vに延びるウェルドボルト122が設けられている。ウェルドボルト122は、貫通孔26a,121を通ってナット123に螺合する。ウェルドボルト122は、複数形成されている。フランジ部26とシール部材120とには、ウェルドボルト122に合わせて貫通孔26a,121が複数形成されている。基部20は、ウェルとボルト122とナット123とによって、燃料タンク7に固定されている。
【0045】
ブリーザ装置10が燃料タンク7に固定されると、軸線X1〜X4は、上下方向Vに平行になる。
【0046】
エレメントユニット40は、本発明で言う分離手段の一例である。エレメントユニット40は、第1のエレメント41と、第2のエレメント42と、第1の下端支持プレート43と、第2の下端支持プレート44と、上端支持プレート45と、内筒46と、外筒47とを備えている。
【0047】
第1のエレメント41は、一例として、円筒状に形成されており、第1のエレメント41の軸線の周方向に沿って延びて一周してつながる形状である。第1のエレメント41は、空気Aと霧状の燃料Fとの混合物Mが通過する際に空気Aを通過させるとともに、霧状の燃料Fを分離する機能を有している。分離された霧状の燃料Fは、互いにくっついて油滴となり、第1のエレメント41を通過した外側に落ちる。なお、霧状の燃料Fは、気体ではなく、液体であって、粒の小さな燃料Fの集まりである。空気Aは、本発明で言う気体の一例である。燃料Fは、本発明で言う液体の一例である。
【0048】
第2のエレメント42は、一例として円筒状に形成されており、第2のエレメント42の軸線の周方向に沿って延びて一周してつながる形状である。第2のエレメント42は、内側に第1のエレメント41を収容している。
【0049】
第2のエレメント42とは、空気Aを通過させる性質と、撥油性質とを有している。このため、第2のエレメント42は、混合物Mが通過する際に、空気Aのみ通過して、表面で燃料Fをはじいて燃料Fを分離して落とす。また、第2のエレメント42は、空気A中に含まれるダストなどの固体の異物を捕集する機能を有している。異物を含む空気Aが第2のエレメント42をすると、空気Aのみが第2のエレメント42を通過し、固体の異物は、第2のエレメント42の内部に捕集される。
【0050】
第1の下端支持プレート43は、第1のエレメント41の下端を支持するとともに下端に固定されている。第1の下端支持プレート43には、貫通孔43aが形成されている。貫通孔43aの縁は、上から下に向かって見たときに、第1のエレメント41の軸線X5を中心とする円となる。軸線X5は、直線であり第1のエレメント41の中心を通る。
【0051】
第2の下端支持プレート44は、第2のエレメント42の下端を支持するとともに下端に固定されている。第2の下端支持プレート44は、貫通孔44aが形成されている。貫通孔44aの縁は、上から下に向かって見たときに、第2のエレメント42の軸線X6を中心とする円となる。軸線X6は、直線であり、第2のエレメント42の中心を通る。第1の下端支持プレート43は、貫通孔44aの内側の収容されている。
【0052】
第1,2のエレメント41,42の高さは、同じである。なお、ここで言う高さとは、軸線X5,X6に沿う長さである。上端支持プレート45は、第1,2のエレメント41,42の上端に固定されてこれら上端を支持している。第1,2のエレメント41,42は、軸線X5,X6が互いに重なるように、言い換えると、同一直線上にのるように、上端支持プレート45に固定されている。上端支持プレート45には、貫通孔45aが形成されている。貫通孔45aは、第1のエレメント41の内側に配置されている。貫通孔45aの縁は、下から上に向かって見たとき、軸線X5を中心とする円となる。上端支持プレート45の貫通孔45aの形状と、第1の下端支持プレート43の貫通孔43aの形状とは同じであり、かつ、貫通孔45aの縁の全域と貫通孔43aの縁の全域とは、軸線X5の延びる方向に重なる。
【0053】
内筒46は、第1のエレメント41の内側に収容されており、第1のエレメント41の内側を支持している。内筒46の高さは、第1,2のエレメント41,42の高さと同じである。内筒46の上端は、上端支持プレート45に固定されて支持されている。内筒46の下端は、第1の下端支持プレートに固定されて支持されている。図2に示すように、内筒46の全域には、複数の貫通孔46aが形成されている。
【0054】
外筒47は、内側に第2のエレメント42を収容している。外筒47は、第2のエレメント42の外側を支持している。外筒47の高さは、第1,2のエレメント41,42の高さと同じである。外筒47の上端は、上端支持プレート45に固定されて支持されている。外筒47の下端は、第2の下端支持プレート44に固定されて支持されている。図2に示すように、外筒47の全域には、複数の貫通孔47aが形成されている。
【0055】
エレメントユニット40は、上端支持プレート45が、第1,2のエレメント41,42に共通して用いられるために、1つのユニットとして、言い換えると、1つの部品として構成される。
【0056】
第1,2の下端支持プレート43,44の外縁と内縁とには、縦壁部43b,44bが設けられている。縦壁部43b,44bは、上下方向Vに沿って立ち上がっている。縦壁部43b,44bは、第1,2のエレメント41,42を混合物Mが通過する際の第1,2のエレメント41,42の変形を抑制する。同様に、上端支持プレート45の外縁と内縁とには、縦壁部45bが形成されている。また、上端支持プレート45において第1,2のエレメント41,42間には、第1,2のエレメントの変形を抑制するために縦壁部45c,45dが形成されている。
【0057】
第1のエレメント41と第2のエレメント42との間には、所定の空間S6が形成される。空間S6は、軸線X5の周方向に沿って延びており、一周してつながる。混合物Mが第1,2のエレメント41,42を通過する際に第1,2のエレメント41,42が移動したり、または、変形しても、この移動や変形は、縦壁部43b,44b,45c,45dによって規制される。このため、空間S6は、縦壁部43b,44b,45c,45dによってその大きさが確保される。
【0058】
第1の下端支持プレート43の外縁と第2の下端支持プレート44の内縁との間には、隙間O1が形成される。隙間O1は、軸線X5,X6の周方向に沿って延びて一周してつながっている。空間S6と隙間O1とは互いに連通する。エレメントユニット40は、貫通孔43a,45a内に基部本体用第2の筒部23を収容した状態で、基部20の上に配置される。エレメントユニット40が基部20に取り付けられると、軸線X5,X6は、軸線X1〜X4と重なる。
【0059】
ここで、エレメントユニット40の大きさと基部20の大きさとの関係について説明する。図3に示すように、エレメントユニット40が基部20に取り付けられた状態で、第2の下端支持プレート44の外縁と、基部本体用第1の筒部22の上壁部25の外縁とが上下方向Vに重なる、または、略重なる。また、第1,2の下端支持プレート43,44間に形成される隙間O1と、上壁部25に形成される貫通孔25bとが上下方向Vに対向する位置に配置される。貫通孔43a、45a内に基部本体用第2の筒部23が収容されると、開口27aは、軸線X2を直交する方向に、内筒46と対向する。
【0060】
エレメントユニット40と基部20との間には、シール部材130,131が設けられている。シール部材130は、第1の下端支持プレート43と基部本体用第1の筒部22の上壁部25との間に設けられている。シール部材130は、第1の下端支持プレート43と上壁部25とに接触している。シール部材130は、内側に基部本体用第2の筒部23を収容する環状に形成されており、一周つながる形状である。
【0061】
シール部材131は、第2の下端支持プレート44と上壁部25との間に設けられている。シール部材131は、第2の下端支持プレート44と上壁部25とに接触している。シール部材131は、環状に形成されており、内側に貫通孔25bと基部本体用第2の筒部23とを収容している。シール部材130,131によって、空間S6から貫通孔25bまでの空間が気密かつ液密にシールされる。
【0062】
上蓋部材60は、周壁部61と、上壁部62と備えて下端が開口する円筒状形状である。周壁部61は、上蓋部材60の軸線X7の周方向に沿って延びるとともに一周してつながる。上壁部62は、周壁部61の上端に形成されている。上壁部62は、貫通孔63が形成されている。上蓋部材60は、貫通孔63内に基部本体用第2の筒部23を収容した状態で、基部20に取り付けられて固定される。上蓋部材60は、内側にエレメントユニット40と基部20とを収容する大きさを有している。
【0063】
上蓋部材60が図3に示すように基部20に取り付けられて固定された状態では、周壁部61と外筒47との間には、隙間O2が形成される。隙間O2は、基部20の周方向に沿って延びており、一周してつながる。周壁部61の下端は、エレメントユニット40の下端よりも下側にまで延びている。周壁部61と基部本体用第1の筒部22の周壁部24との間には隙間O3が形成されている。隙間O3は、基部20の周方向に沿って延びており、一周してつながる。隙間O2,O3は、互いに連通している。
【0064】
上蓋部材60とエレメントユニット40との間には、シール部材132が設けられている。シール部材132は、エレメントユニット40の上端支持プレート45と、上蓋部材60の上壁部62との間に設けられている。シール部材132は、上端支持プレート45と上壁部62とに接触している。シール部材132は、内側に基部本体用第2の筒部23を収容する環状であって、一周してつながる形状である。
【0065】
上蓋部材60は、固定手段80によって、基部20に固定されている。固定手段80は、一対の座金81,82と、ナット83と、袋ナット84とを備えている。基部本体用第2の筒部23は、上蓋部材60の上壁部62よりも上方に延びている。
【0066】
基部本体用第2の筒部23において上蓋部材60よりも上方に延びる部分は、その下側部分よりも、軸線X2側に向かって一段細くなる細径部86になっている。細径部86の外面には、雄ねじ部85が形成されている。
【0067】
上蓋部材60を基部20に取り付ける際に、貫通孔63内に基部本体用第2の筒部23を通すと、貫通孔63の縁は、細径部86とその下の部分の境界となる段部87に接触する。段部87は、軸線X2の周方向に沿って全域に形成されている。
【0068】
細径部86には、座金81、ナット83、座金82、袋ナット84の順番で取り付けられている。座金81が上蓋部材60の上壁部62に上方から接触する。ナット83と袋ナット84とが雄ねじ部85に螺合することによって、上蓋部材60は上から基部20の段部87に押し付けられた状態で、基部20に固定される。
【0069】
第1の弁体102が開く位置にあり、かつ、第2の弁体111が塞ぐ位置P2にあるとき、第1のエレメント41を通って燃料タンク7と燃料タンク7の外側とを連通する第1の通路114が形成される。言い換えると、第1の弁100は、第1の通路141を閉塞可能であるとともに、この閉塞状態を解除可能である。
【0070】
第1の通路141は、第1のエレメント41を内側から外側に向かって通過し、空間S6を通り、第2のエレメント42を内側から外側に向かって通過し、隙間O2,O3を通って、ブリーザ装置10の外側に出る通路である。第1の通路141は、本発明で言う開口部連通通路の一例である。
【0071】
第1の弁体102が塞ぐ位置P1にあり、かつ、第2の弁体111が開く位置にあるとき、第1のエレメント41を通らずに燃料タンク7内と燃料タンク7階とを連通する第2の通路142が形成される。第2の通路142は、貫通孔25b、隙間O1、空間S6、第2のエレメント42、隙間O2,O3を備える。言い換えると、第2の弁110は、第2の通路142を閉塞可能であるとともに、この閉塞状態を解除可能である。第2の通路142は、本発明で言う溜め部用通路の一例である。
【0072】
つぎに、第1,2のコイルばね101,112の付勢力について説明する。燃料タンク7内には、燃料Fが収容されている。燃料Fが気化することによって、燃料タンク7内の圧力は、高くなる。また、燃料タンク7内の燃料が少なくなることによって、燃料タンク7内の圧力は、低くなる。
【0073】
図3に示されるように、第1の弁体102が塞ぐ位置P1にあって取付部用第2の筒部32の上端開口32aを気密かつ液密に覆っており、かつ、第2の弁体111が塞ぐ位置P2にあって基部本体用第1の筒部22の上壁部の貫通孔25bを気密かつ液密に覆っている状態では、燃料タンク7の貫通孔7cは、基部20とシール部材120とによって、液密にかつ気密に覆われる。
【0074】
このため、燃料タンク7の内側の圧力は、基部20の内側に作用する。より具体的には、空間S1,S3,S4に作用するので、燃料タンク7内の圧力は、第1,2の弁体102,111に作用する。第1,2の弁体102,111は、移動可能に設けられているので、燃料タンク7の内側の圧力に応じて、移動する。
【0075】
また、ブリーザ装置10の外部の圧力も、第1の弁体102、111に作用する。本実施形態では、ブリーザ装置10は、外側つまり大気に露出しているので、ブリーザ装置10の外部の圧力は、大気圧となる。
【0076】
第1の弁100に用いられる第1のコイルばね101は、第1の通路141内において第1の弁体102を挟んで収容部側の圧力値が、外側部の圧力値よりも第1の所定値以上大きくなると、塞ぐ位置P1から開く方向に変位することを許容する付勢力を有する。第1の通路141において、第1の弁体102を挟んで収容部側の圧力は、燃料タンク7内の圧力値と同じである。空気は、第1のエレメント41、42を通過する。このため、第1の通路141において、第1の弁体102を挟んで外部側の圧力は、ブリーザ装置10の外側の圧力、つまり大気圧と同じである。
【0077】
本実施形態では、言い換えると、燃料タンク7内の圧力値が、外部の圧力値よりも第1の所定値以上になると、第1のコイルばね101は、縮む。第1のコイルばね101の付勢力は、第1の弁体102の重さも考慮して設定されている。
【0078】
第1の所定値は、燃料タンク7内の圧力が、燃料タンク7内の圧力値の好ましい範囲の上限値をこえないように、設定されている。大気圧は、略一定である。第1の所定値は、ブリーザ装置10が用いられる場所の大気圧と、上記上限値とに基づいて、設定される。なお、ブリーザ装置10が用いられる場所の大気圧は、例えば、観測することなどによって、得ることができる。
【0079】
第2の弁110に用いられる第2のコイルばね112の付勢力は、第2の通路142内において第2の弁体111を挟んで外部側の圧力値が、収容部側の圧力値よりも第2の所定値以上大きくなると、第2の弁体111が塞ぐ位置P2から開く方向に変位するように設定されている。
【0080】
第2の通路142において第2の弁体111を挟んで収容部側の圧力は、燃料タンク7内の圧力と同じである。第2の通路142において第2の弁体111を挟んで外部側の圧力は、ブリーザ装置10の外側の圧力、つまり大気圧と同じである。
【0081】
本実施形態では、言い換えると、大気圧が燃料タンク7内の圧力値より第2の所定値以上大きくなると、第2のコイルばね112が縮む。第2のコイルばね112の付勢力は、第2の弁体111の重さも考慮して設定されている。さらに、言い換えると、燃料タンク7内の圧力値が、大気圧に対して、第2の所定値以上、小さくなると、第2のコイルばね112が縮む。
【0082】
第2の所定値は、燃料タンク7に対して予め設定される値であり、例えば、燃料タンク7内の圧力値が好ましい範囲の下限値より下がらないように設定される。
【0083】
第1のコイルばね101、111の付勢力が上記のように設定されることによって、燃料タンク7内の圧力値は、本実施形態では、大気圧から第2の所定値を引いた値以上であって、かつ、大気圧に第1の所定値を加えた値以下の範囲に保たれる。そして、この範囲は、上記したように、燃料タンク7にとって、好ましい値の範囲である。
【0084】
つぎに、ブリーザ装置10の動作を説明する。図4は、ブリーザ装置10を、図3と同様に切断して示す断面図である。図4は、燃料タンク7内の圧力値が大気圧に対して第1の所定値以上大きくなり、それゆえ、第1の弁体102が塞ぐ位置P1から開く方向に変位した状態のブリーザ装置10を示している。図4に示すように、かつ、上記したように、燃料タンク7内の圧力が大気圧に対して第1の所定値以上大きくなることによって、第1の弁体102が押圧されて第1のコイルばね101が縮むので、第1の弁体102が塞ぐ位置P1から開く位置に移動する。このとき、第2の弁体111は、塞ぐ位置P2にある。このことによって、燃料タンク7内と燃料タンク7の外側とを連通する第1の通路141が開く。
【0085】
第1の弁体102が塞ぐ位置P1から外れると、つまり開く位置に変位すると、燃料タンク7内の空気と霧状の燃料Fからなる混合物Mが、基部本体用第2の筒部23の上端の開口27aから空間S5内に出る。混合物Mは、第1のエレメント41を内側から外側に向かって通過する。第1のエレメント41は、混合物Mから霧状の燃料Fを分離して液滴にする機能を有している。混合物Mは、第1のエレメント41を通過する過程で、霧状の燃料Fが分離される。分離された燃料Fは、互いにくっついて液滴になる。そして、空間S6内に落ちる。第2の弁体111は、塞ぐ位置P2にあるので、空間S6から第2の弁体111までの範囲は、分離された燃料Fが溜められる燃料溜め部143となる。
【0086】
第1のエレメント41によって燃料Fが分離されるので、第1のエレメント41を通過した後の混合物Mは、ほとんど空気Aとなるが、霧状の燃料Fが少し残る場合がある。第1のエレメント41を通過した混合物Mは、第2のエレメント42に到達する。
【0087】
第2のエレメント42は、撥油性質を有している。このため、第2のエレメント42を通過しようとする混合物Mは、第2のエレメント42の表面で残りの燃料Fがはじかれて分離される。分離された燃料Fは、空間S6内に落ちる。
【0088】
混合物Mの流れにおいて、第2のエレメント42は、第1のエレメント41に対して、下流に配置される。
【0089】
第1,2のエレメント41,42の上記作用によって、第2のエレメント42を通過するものは空気Aのみとなる。空気Aは、隙間O2,O3を通って、ブリーザ装置10の外側に出る。
【0090】
取付部30の内側は、燃料タンク7内の混合物Mが導入される、第1の通路141の入口部150である。入口部150は、本発明で言う第1の開口部の一例として機能する。隙間O3は、第1の通路141の出口部151である。出口部151は、本発明で言う第2の開口部の一例として機能する。
【0091】
つぎに、燃料タンク7内の圧力値が大気圧よりも小さくなり、かつ、その差が第2の所定値以上なったときの動作を説明する。図5は、燃料タンク7内の圧力値が大気圧よりも小さくなり、かつ、その差が第2の所定値以上になった状態のブリーザ装置10を示す断面図である。図5は、ブリーザ装置10を、図3と同様に切断した状態を示している。
【0092】
図5に示すように、燃料タンク7内の圧力値が大気圧に対して第2の所定値以上小さく
になることによって、第2の弁110の第2の弁体111が塞ぐ位置P2から離れるので、第2の通路142が開く。このとき、第1の弁体102は、塞ぐ位置P1にある。
【0093】
上記のように第2の通路142が開いた状態では、燃料タンク7内の圧力値が大気圧の圧力値よりも小さくなるので、ブリーザ装置10の外側の空気Aが、第2の通路142を通って燃料タンク7内に導かれる。まず、空気Aは、第2のエレメント42を通過する。第2のエレメント42は、空気A中のダストを捕集する機能を有している。このため、第2のエレメント42を通過することによって、空気A中のダストが捕集される。第2のエレメント42を通過した空気Aは、空間S6と貫通孔25bとを通って、燃料タンク7内に導かれる。燃料溜め部143内に燃料Fが溜まっている場合は、空気Aと一緒に燃料Fも燃料タンク7内に戻る。
【0094】
このように構成されるブリーザ装置10では、空気Aと一緒に燃料タンク7から排出される霧状の燃料Fは、第1,2のエレメント41,42によって分離されるので、ブリーザ装置10の外に出ることはない。このため、ブリーザ装置10の外側においてブリーザ装置10の近傍が燃料Fによって汚れることがない。
【0095】
また、燃料Fを分離するために、機能の異なる2種類のエレメントを用いている。具体的には、空気Aと燃料Fとの混合物Mが通過する過程で燃料Fを分離するとともに、粒の大きな液滴にして落とす機能を有する、いわゆるコアレッサタイプの第1のエレメント41と、撥油性質を有して表面で燃料を分離する機能を有する、いわゆるセパレータタイプの第2のエレメント42とが用いられる。このことによって、燃料Fを高性能に分離することができる。
【0096】
また、第1の通路141において、第1のエレメント41に対して混合物Mの流れる方向の下流に第2のエレメント42が配置されている。このことによって、第1のエレメント41で大部分の燃料Fを分離し、残りの一部の燃料Fを第2のエレメント42で分離することができるので、第2のエレメント42の撥油作用により空気が流れにくくなることを抑制できるので、空気Aのスムーズに流れる。
【0097】
さらに、混合物Mの流れる方向に沿って、第1のエレメント41の下流に撥油性を有する第2のエレメント42が配置されることによって、第2のエレメント42は、燃料Fをはじくことによって燃料Fが下流に流れることを防止する機能を有するようになるので、燃料Fを、第1,2のエレメント41,42間にとじこめることができる。
【0098】
また、エレメントユニット40は、第2のエレメント42内に第1のエレメント41が収容される構造であるので、エレメントユニット40を1つのユニットとして、いいかえると、1つの装置として扱うことができる。このため、エレメントユニット40の交換作業を効率よく行うことができる。
【0099】
また、第1,2の弁100,110によって、燃料タンク7内の燃料が不意に外部に漏れることを抑制できる。
【0100】
また、第1,2の弁100,110が、第1,2の付勢部材の一例であるコイルばねを用いて第1,2の弁体101,112を挟んで両側での圧力差を利用して、第1,2の通路141,142を開閉する構造であるので、第1,2の弁100,110の構造を簡単にすることができる。
【0101】
また、第2のエレメント42が、外部から導かれる空気Aに含まれるダストを捕集する機能を有しているので、第1の通路141の一部を第2の通路142として利用することができる。このため、ブリーザ装置10をコンパクトにすることができる。
【0102】
また、第2の通路142が、燃料溜め部143を通ることによって、第2の通路142を利用して、分離された燃料Fを燃料タンク7内に戻すことができる。このため、ブリーザ装置10をコンパクトにすることができる。
【0103】
なお、本実施形態では、第1のエレメント41と、第2のエレメント42とは、一周してつながる形状である。この形状は、上方から見た形状が円や、または、略円であることだけに限定されるものではない。例えば、第1,2のエレメントは、板状の部材がプリーツ状に折り畳まれたものの両端が互いに連結されて形成されてもよい。または、上方から見た形状が、四角形や三角形であってもよい。このように一周してつながる形状を筒形状とする。筒形状は、上記のように円筒のみに限定されるものではない。
【0104】
本実施形態では、気体の一例として空気Aが用いられ、液体の一例として燃料Fが用いられた。液体は、燃料F以外であってもよい。この場合、第1,2のエレメント41,42は、この液体を分離する機能を有する。また、本発明で言う、液体をはじく性質とは、液体が油の場合は、撥油する性質であり、液体が水の場合は、撥水する性質である。
【0105】
本発明で言う、外部に開口するとは、ブリーザ装置に対して外部に開口することを示す。また、本実施形態では、第1の付勢部材の一例として、第1のコイルばね101を用いた。第1の付勢部材としては、例えば他の種類のばねなどの弾性部材で構成されてもよい。本実施形態では、第2の付勢部材の一例として、第2のコイルばね112を用いた。第2の付勢部材としては、例えば他の種類のばねなどの弾性部材で構成されてもよい。
【0106】
本実施形態は、以下に記す付記1から付記5に記載する発明の一実施形態でもある。
【0107】
[付記1]
液体を収容する収容部に設けられるブリーザ装置であって、
前記収容部内に連通して前記収容部内の気体を外部に導く第1の通路と、
前記第1の通路に設けられて、前記気体と前記液体との混合物から前記液体を分離する分離手段と、
前記分離手段によって分離された前記液体を前記収容部に戻す第2の通路と
を具備することを特徴とするブリーザ装置。
ブリーザ装置10は、ここでいうブリーザ装置の一例である。燃料タンク7は、ここでいう収容部の一例である。第1の通路141は、ここで言う第1の通路の一例である。第2の通路142は、ここで言う第2の通路の一例である。燃料Fは、ここで言う液体の一例である。空気Aは、ここで言う気体の一例である。混合物Mは、ここで言う混合物の一例である。
【0108】
[付記2]
前記分離手段は、
前記第1の通路内に設けられて、前記混合物が前記収容部から外部に向かって流れるとき、前記混合物が通過する過程で前記混合物から前記液体を分離して分離した前記液体を前記第1の通路に沿って外部側に落とすとともに前記気体が通過する第1のエレメントと、
前記第1の通路内において前記第1の通路に沿って前記第1のエレメントに対して外部側に設けられ、かつ、前記液体をはじく性質を有して前記混合物が前記収容部から外部に向かって流れるとき前記混合物中の前記液体を分離して前記第1のエレメント側に落とすとともに前記気体が通過する第2のエレメントと
を具備し、
前記第1のエレメントと前記第2のエレメントとの間に、分離された前記液体を溜める溜め部が設けられ、
前記第2の通路は、前記溜め部と前記収容部とを連通する
ことを特徴とする付記1に記載のブリーザ装置。
第1のエレメント41は、ここで言う第1のエレメントの一例である。第2のエレメント42は、ここで言う第2のエレメントの一例である。溜め部143は、ここで言う溜め部の一例である。
【0109】
[付記3]
前記第1のエレメントは、前記第2のエレメントの内側に収容される
ことを特徴とする付記2に記載のブリーザ装置。
[付記4]
前記第1の通路内において前記第1の通路に沿って前記分離手段よりも前記収容部側に設けられて、前記第1の通路を閉塞可能であるとともにこの閉塞を解除可能な第1の弁と、
前記第2の通路内に設けられて、前記第2の通路を閉塞可能であるとともにこの閉塞を解除可能な第2の弁と
を具備することを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか1つに記載のブリーザ装置。
第1の弁100は、ここで言う第1の弁の一例である。第2の弁110は、ここで言う第2の弁の一例である。
【0110】
[付記5]
前記第1の弁は、前記第1の通路内に配置されて前記第1の通路を塞ぐ位置と開く位置とに変位可能な第1の弁体と、前記第1の弁体を前記塞ぐ位置に位置するように前記開く位置側から付勢するとともに、前記第1の通路内において前記第1の通路に沿って前記第1の弁体を挟んで前記収容部側の圧力値が外部側の圧力値に対して第1の所定値以上大きくなると前記第1の弁体が前記塞ぐ位置から前記開く位置に向かって変位することを許容する第1の付勢部材とを具備し、
前記第2の弁は、前記第2の通路内に配置されて前記第2の通路を塞ぐ位置と開く位置とに変位可能な第2の弁体と、前記第2の弁体を前記塞ぐ位置に位置するように前記開く位置側から付勢するとともに、前記第2の通路内において前記第2の通路に沿って前記第2の弁体を挟んで前記外部側の圧力値が前記収容部側の圧力値に対して第2の所定値以上大きくなると、前記第2の弁体が前記塞ぐ位置から前記開く位置に向かって変位することを許容する第2の付勢部材とを具備し、
前記第1の弁体の前記塞ぐ位置は、前記第1の通路に沿って前記開く位置よりも前記収容部側に位置し、
前記第2の弁体の前記開く位置は、前記第2の通路に沿って前記塞ぐ位置よりも前記収容部側に位置する
ことを特徴とする付記4に記載のブリーザ装置。
【0111】
第1の弁体102は、ここで言う第1の弁体の一例である。第1のコイルばね101は、ここで言う第1の付勢部材の一例である。第2の弁体111は、ここで言う第2の弁体の一例である。第2のコイルばね112は、ここで言う第2の付勢部材の一例である。本実施形態では、第1の付勢部材の一例として、第1のコイルばね101を用いた。第1の付勢部材としては、例えば他の種類のばねなどの弾性部材で構成されてもよい。第2の付勢部材の一例として、第2のコイルばね112を用いた。第2の付勢部材としては、例えば他の種類のばねなどの弾性部材で構成されてもよい。
【0112】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0113】
10…ブリーザ装置、40…エレメントユニット(分離手段)、41…第1のエレメント、42…第2のエレメント、100…第1の弁(第1の弁)、101…第1のコイルばね(第1の付勢手段)、102・・・第1の弁体(第1の弁体)、110…第2の弁(第2の弁)、第2の111…弁体(第2の弁体)、112…第2のコイルばね(第2の付勢部材)、141…第1の通路(開口部連通通路)、142…第2の通路(溜め部用通路)、143…溜め部、150…入口部(第1の開口部)、151…出口部(第2の開口部)、A…空気(気体)、F…燃料(液体)、M…混合物、P1…塞ぐ位置、P2…塞ぐ位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に開口する第1の開口部と、
外部に開口する第2の開口部と、
前記第1の開口部と前記第2の開口部とを連通する開口部連通通路と、
前記開口部連通通路内に設けられて、気体と液体との混合物から前記液体を分離する分離手段と
を具備することを特徴とするブリーザ装置。
【請求項2】
前記分離手段は、
前記開口部連通通路内に設けられて、前記混合物が前記第1の開口部から前記第2の開口部に向かって流れるとき前記混合物が通過する過程で前記液体を分離して前記開口部連通通路に沿って前記第2の開口部側に落とすとともに前記気体が通過する第1のエレメントと、
前記開口部連通通路内において前記開口部連通通路に沿って前記第1のエレメントに対して前記第2の開口部側に設けられ、かつ、前記液体をはじく性質を有して前記混合物が前記第1の開口部から前記第2の開口部に向かって流れるとき前記混合物中の前記液体を分離して前記開口部連通通路に沿って前記第1の開口部側に落とすとともに前記気体が通過する第2のエレメントと
を具備することを特徴とする請求項1に記載のブリーザ装置。
【請求項3】
前記第1のエレメントは、前記第2のエレメントの内側に収容される
ことを特徴とする請求項2に記載のブリーザ装置。
【請求項4】
前記第1のエレメントと前記第2のエレメントとの間に前記液を溜める溜め部が設けられ、
前記溜め部と前記外部とを連通する溜め部用通路が設けられる
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のブリーザ装置。
【請求項5】
前記開口部連通通路内において前記開口部連通通路に沿って前記分離手段よりも前記第1の開口部側に設けられて、前記開口部連通通路を閉塞可能であるとともにこの閉塞を解除可能な第1の弁と、
前記溜め部用通路に設けられて、前記溜め部用通路を閉塞可能であるとともにこの閉塞を解除可能な第2の弁と
を具備することを特徴とする請求項4に記載のブリーザ装置。
【請求項6】
前記第1の弁は、前記開口部連通通路内に配置されて前記開口部連通通路を塞ぐ位置と開く位置とに変位可能な第1の弁体と、前記第1の弁体を前記塞ぐ位置に位置するように前記開く位置側から付勢する第1の付勢部材とを具備し、
前記第2の弁は、前記溜め部用通路内に配置されて前記溜め部用通路を塞ぐ位置と開く位置とに変位可能な第2の弁体と、前記第2の弁体を前記塞ぐ位置に位置するように前記開く位置側から付勢する第2の付勢部材とを具備し、
前記第1の弁体の前記塞ぐ位置は、前記開口部連通通路に沿って前記開く位置に対して前記第1の開口部側に位置し、
前記第2の弁体の前記塞ぐ位置は、前記溜め部用通路に沿って前記開く位置に対して前記溜め部側に位置する
ことを特徴とする請求項5に記載のブリーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−11201(P2013−11201A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143340(P2011−143340)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000178675)ヤマシンフィルタ株式会社 (18)