説明

ブロア装置

【課題】フィルタの誤組付け防止ができるブロア装置を実現する。
【解決手段】内気導入口12と外気導入口13との下方に配設されるフィルタ挿入部15と、このフィルタ挿入部15に着脱自在に配置され、空気中の粉塵、埃を除去するフィルタ6が所定のピッチに基づいて、山折、谷折を交互に配列するように形成されたフィルタ体5と、フィルタ挿入部15のフィルタ挿入口151を塞ぐとともに、フィルタ体5の一端部を支持する支持部23を有するフィルタカバー21とを備え、フィルタカバー21には、フィルタ体5の隣り合う山折と山折もしくは隣り合う谷折と谷折との間の空間に突き出すように形成された突起部25が支持部23に設けられたことを特徴と。これにより、誤組付け防止ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内気または外気を導入して熱交換器で熱交換させるために空気流れ下流側に送風するブロア装置に関するものであり、特に、内気導入口と外気導入口との下方に配置されるフィルタの誤組付け防止に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブロア装置として、例えば、特許文献1に示されるものが知られている。すなわち、内気導入口と、外気導入口と、内気導入口または外気導入口を開閉するための切替ドアと、内気導入口の下方に配置するフィルタ挿入部とを備えている。そして、フィルタ挿入部を内気導入口と連接して形成している。
【0003】
これにより、内気導入口とフィルタ挿入部とは連接した開口部となることで、フィルタ交換の際、フィルタをフィルタ挿入部と内気導入口との間で上下に傾倒させることができるため自由度2でフィルタ交換作業を容易に行うことができる。
【特許文献1】特開2005−1415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種のフィルタでは汚れたフィルタをブロア装置から取り外して、汚れた部分を清掃した後にブロア装置に組み付けるためのフィルタ交換作業がある。換言すると、清掃したフィルタには通向性があるため元通りにブロア装置に組み付けることが必要である。
【0005】
上記特許文献1によれば、フィルタを清掃した後にブロア装置に組み付けるフィルタ交換作業については記載されていないが、フィルタをブロア装置に組み付けの際には、誤ってフィルタを元通りと異なる逆向きに配置するように組み付けられる恐れがある。つまり、フィルタがフィルタ挿入部に対して元通りと異なる逆向きに組み付けが出来ないような構成にはなっていない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記点に鑑みたものであり、フィルタの誤組付け防止ができるブロア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項3に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、内気または外気を導入して熱交換器で熱交換させるために空気流れ下流側に送風するブロア装置であって、内気導入口(12)と外気導入口(13)との下方に配設されるフィルタ挿入部(15)と、このフィルタ挿入部(15)に着脱自在に配置され、空気中の粉塵、埃を除去する濾過部(6)が所定のピッチに基づいて、山折、谷折を交互に配列するように形成されたフィルタ体(5)と、フィルタ挿入部(15)のフィルタ挿入口(151)を塞ぐとともに、フィルタ体(5)の一端部を支持する支持部(23)を有するフィルタカバー(21)とを備え、
このフィルタカバー(21)には、フィルタ体(5)の隣り合う山折と山折もしくは隣り合う谷折と谷折との間の空間に突き出すように形成された突起部(25)が支持部(23)に設けられたことを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、隣り合う山折と山折もしくは隣り合う谷折と谷折との間の空間に対向する側には、山折もしくは谷折が形成されているため、フィルタ体(5)が支持部(23)に組付けができないことでフィルタ体(5)の誤組付け防止ができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、突起部(25)は、支持部(23)の少なくとも空気流れの上流側、もしくは下流側のいずれか一方の内壁に形成されたことを特徴としている。この発明によれば、支持部(23)の空気流れの下流側に突起部(25)を形成したときには、フィルタ体(5)が突起部(25)に引っ掛けて支持されているため、フィルタ交換作業の際にフィルタ体(5)の落下防止が図れる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、支持部(23)は、フィルタ挿入部(15)の挿入先側に向かって筒状に延設されていることを特徴としている。この発明によれば、フィルタ体(5)が延設された筒状の内壁からなる支持部(23)で支持されることでフィルタ交換作業が容易にできる。
【0011】
例えば、車両のグローブボックスを外した後、狭い空間のフィルタ交換スペースであっても、フィルタ挿入口(151)に向けてフィルタ体(5)およびフィルタカバー(21)を挿入することができる。従って、容易にフィルタ交換を行うことができる。
【0012】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態におけるブロア装置1を図1ないし図6に基づいて説明する。図1は本実施形態におけるブロア装置1の全体構成を示す部分縦断面図であり、図2は図1に示すブロア装置1の断面形状を示す縦断面図である。図3はフィルタ体5の全体構成を示す斜視図である。
【0014】
また、図4はフィルタカバー21の全体構成を示す正面図であり、図5は図4に示すA−A断面図である。図6はフィルタ体5がフィルタカバー21の支持部23に支持された装着形態を示す縦断面図である。
【0015】
本実施形態のブロワ装置1は、図1および図2に示すように、上部に内外気切替箱2が配置され、下部に図示しないファンとモータを有する空気吸引駆動部3が配置されている。内外気切替箱2は、内部を中空状に形成した本体ケース11の上部ケース部111に内気導入口12と外気導入口13が形成されている。また、下部ケース部112には、図3に示すフィルタ体5を挿入するフィルタ挿入部15が形成されている。
【0016】
さらに、上部ケース部111は、側壁部111bが両側壁部111b、111bを接続する天井壁部111aを頂点にして略三角状に形成され、両側壁部111b、111b間には天井壁部111aを間にして、一方の側に前述の内気導入口12が形成され、他方の側に前述の外気導入口13が形成されている。上部ケース部111の内部は内外気導入室14として形成される。
【0017】
また、下部ケース部112の側壁部112aは、上部ケース部111に連接して略矩形状に形成され、両側壁部112a、112a間に、前述のフィルタ挿入部15が、内気導入口12下方側のフィルタ挿入口151を開口して内外気導入室14に連接するように形成される。ここで、フィルタ挿入口151は、フィルタ体5をフィルタ挿入部15に出し入れするための挿入口である。
【0018】
換言すると、フィルタ体5の清掃、もしくは新品のフィルタ体5に交換するフィルタ交換作業のときに、フィルタ挿入部15に配置されたフィルタ体5をフィルタカバー21と一体となって取り出すための開口部である。
【0019】
また、上部ケース部111の両側壁部111b、111bの下部にはそれぞれロータリ式の切替ドア16を軸支する軸部17、17が内方に突き出して形成され、下部ケース部112の内気導入口12側の両側壁部112a、112a端部に、図1に示すフィルタカバー21を係止する爪部18が形成されている。
【0020】
一方、フィルタカバー21は、図1または図4および図5に示すように、本体ケース11のフィルタ挿入部15のフィルタ挿入口151を塞ぐとともに横方向に長尺状に形成された矩形板状の本体部22と、本体部22の内側にフィルタ体5の一端部を支持する支持部23と、本体部22の長手方向の両側端面から本体ケース11側に突出する爪係合部24とを有して形成されている。
【0021】
支持部23は、フィルタ体5の一端部を支持するために、本体部22からフィルタ挿入部15の挿入先側に向かって筒状になるように内壁を延設させて形成している。つまり、筒状の内壁の内側にフィルタ体5の一端部が嵌合するように支持部23を形成している。より具体的には、支持部23はフィルタ体5の断面形状に応じた形状、すなわち略矩形状に形成されている。
【0022】
そして、支持部23の内壁面下方に内側に突き出す複数(例えば、4個)の突起部25が一体的に形成されている。突起部25は、図6に示すように、後述するフィルタ体5の隣り合う山折と山折もしくは隣り合う谷折と谷折との間の空間に突き出すように形成されている。従って、本実施形態の突起部25は、フィルタ体5の空気流れの下流側に形成されることになる。
【0023】
これにより、支持部23に嵌り合ったフィルタ体5を引き出して、裏表を逆向きにして支持部23に組み付けると、フィルタ体5の山折もしくは谷折の部分が突起部25に干渉することでフィルタ体5を支持部23に嵌め合わせることができない。つまり、フィルタ交換作業のときにおけるフィルタ体5の誤組付けの防止ができる。
【0024】
ところで、フィルタカバー21の本体部22は、端縁部が全周あるいは側端部のみ内方に折り曲がるように形成してもよく、爪係合部24は爪部18に係合できるものであれば、その形状に限定するものではない。また、本体ケース11の外気導入口13の周りには、外気導入ダクトの一端を接続するための枠部131(図2参照)が全周にわたって形成されている。
【0025】
本実施形態のフィルタ体5は、図1および図3に示すように、フィルタ挿入部15に配置され、空気中の粉塵、埃を除去する濾過部であるフィルタ6を有し、このフィルタ6の通風面積を大きくするために、このフィルタ6が山折、谷折に交互に配列するように形成されている。フィルタ6は、例えば、紙材や樹脂材の不織布から形成している。
【0026】
また、フィルタ6の前後端部には、硬質の布状板部材あるいは金属板7がフィルタ6を支持するように装着して形成されている。この布状板部材あるいは金属板7は、フィルタ6を所定のピッチで山折、谷折に固定するための固定部材である。これにより、フィルタ体5は、フィルタ6本体の剛性が保たれるとともに、所定のピッチで波型に形成される。
【0027】
ところで、フィルタ体5をフィルタカバー21の支持部23に組み付けるときには、図5に示すように、フィルタ体5には布状板部材あるいは金属板7が設けられている。従って、布状板部材あるいは金属板7を支持部23内に斜めに傾けて挿入し、布状板部材あるいは金属板7の下端部が突起部25を乗り越えるように組み付けると良い。
【0028】
そのために、突起部25は支持部23内において、本体部22の内側との間に空間を形成して突起部25を形成すると良い。また、フィルタ挿入部15にフィルタ体5を挿入する際には、フィルタカバー21にフィルタ体5を組み付けた後にフィルタ挿入口151の手前方向から挿入することとなる。
【0029】
ところで、フィルタカバー21にフィルタ体5の裏表を逆向きにして支持部23に組み付けると、フィルタ体5の山折もしくは谷折の部分が突起部25に干渉してしまって、フィルタカバー21とフィルタ体5とが組み付けることが出来ない。従って、フィルタ体5の誤組付け防止が図れる。
【0030】
次に、以上の構成によるブロア装置1のフィルタ交換作業について説明する。まず、フィルタ体5をフィルタ挿入部15内に組み付けたブロワ装置1は、図1に示すように、フィルタカバー21をフィルタ挿入部15のフィルタ挿入口151側に装着するとともに、切替ドア16を内気導入口12と外気導入口13とのいずれかを開閉可能にするために軸部17に回動可能に装着されている。
【0031】
そして、内気導入口12もしくは外気導入口13を流れた空気は、所定のピッチで形成された谷折、山折からなるフィルタ6を通過することで空気中に含まれる粉塵、埃が除去される。そして、フィルタ体5を交換するためにフィルタ交換作業がある。
【0032】
ところで、ブロワ装置1は、図示しない空調ユニットのユニットケースに連結して、ユニットケース自体を自動車のインストルメントパネル内に配置する。そして、ブロワ装置1は、フィルタ体5を交換しやすいように、助手席側グローブボックスの車両進行方向における前方に配置している。
【0033】
フィルタ体5の交換の際、グローブボックスを取り外すと、ブロワ装置1のフィルタカバー21が正面に現れることになり、フィルタカバー21の爪係合部24を本体ケース11の爪部18より係合解除して本体ケース11より取り外す。これにより、フィルタ挿入部15に挿入されているフィルタ体5がフィルタ挿入部15から取り出すことができる。
【0034】
次に、新しいフィルタ体5をフィルタ挿入部15に挿入することとなる。新しいフィルタ体5を支持部23に嵌め合わせて、フィルタカバー21にフィルタ体5を支持させる。このときに、図5に示すように、フィルタ体5には布状板部材あるいは金属板7が設けられているので、布状板部材あるいは金属板7を支持部23内に斜めに傾けて、布状板部材あるいは金属板7の下端部が突起部25を乗り越えるように組み付ける。
【0035】
そして、フィルタ体5の隣り合う山折と山折もしくは隣り合う谷折と谷折との間の空間に突起部25が嵌め合わせることでフィルタカバー21にフィルタ体5が支持される。そして、フィルタカバー21にフィルタ体5を支持させた状態でフィルタ挿入口151からフィルタ挿入部15に挿入する。フィルタ体5がフィルタ挿入部15に挿入されると、フィルタカバー21の爪係合部24を本体ケース11の爪部18に係合して装着する。これにより、フィルタ体5がフィルタ挿入部15に配置される。
【0036】
本実施形態では、フィルタ交換作業として、フィルタ挿入部15に新しいフィルタ体5を配置させたが、これに限らず、定期的にフィルタ体5を清掃し、その清掃したフィルタ体5を元の位置に配置するためのフィルタ交換作業もある。
【0037】
以上の一実施形態によるブロワ装置1によれば、フィルタカバー21には、フィルタ体5の隣り合う山折と山折もしくは隣り合う谷折と谷折との間の空間に突き出すように形成された突起部25が支持部23に設けられたことにより、隣り合う山折と山折もしくは隣り合う谷折と谷折との間の空間に対向する側には、山折もしくは谷折が形成されているため、フィルタ体5が支持部23に組付けができないことでフィルタ体5の誤組付け防止ができる。
【0038】
また、突起部25は、支持部23の下方側、すなわち空気流れの内壁に形成されたことにより、フィルタ体5が突起部25に引っ掛けて支持されているため、フィルタ交換作業の際にフィルタ体5の落下防止が図れる。
【0039】
また、支持部23は、フィルタ挿入部15の挿入先側に向かって筒状に延設されていることにより、フィルタ体5が延設された筒状の内壁からなる支持部23で支持されることでフィルタ交換作業が容易にできる。
【0040】
例えば、車両のグローブボックスを外した後、狭い空間のフィルタ交換スペースであっても、フィルタ挿入口151に向けてフィルタ体5およびフィルタカバー21を挿入することができる。従って、容易にフィルタ交換を行うことができる。
【0041】
(他の実施形態)
以上の一実施形態では、フィルタカバー21に形成される突起部25を支持部23の内壁面下方の内側に一体的に形成させたが、これに限らず、図7に示すように、突起部25を支持部23の内壁面上方の内側に一体的に形成しても良い。つまり、フィルタ体5の空気流れの上流側に突起部25に形成されることになる。
【0042】
これによれば、支持部23に嵌り合ったフィルタ体5を引き出して、裏表を逆向きにして支持部23に組み付けると、フィルタ体5の山折もしくは谷折の部分が突起部25に干渉することでフィルタ体5を支持部23に嵌め合わせることができない。従って、フィルタ交換作業のときにおけるフィルタ体5の誤組付けの防止ができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態におけるブロア装置1の全体構成を示す部分縦断面図である。
【図2】図1に示すブロア装置1の断面形状を示す縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるフィルタ体5の全体構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるフィルタカバー21の全体構成を示す正面図である。
【図5】図4に示すA−A断面図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるフィルタ体5がフィルタカバー21の支持部23に支持された装着形態を示す縦断面図である。
【図7】他の実施形態におけるフィルタ体5がフィルタカバー21の支持部23に支持された装着形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0044】
5…フィルタ体
6…フィルタ(濾過部)
12…内気導入口
13…外気導入口
15…フィルタ挿入部
23…支持部
25…突起部
151…フィルタ挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内気または外気を導入して熱交換器で熱交換させるために空気流れ下流側に送風するブロア装置であって、
内気導入口(12)と外気導入口(13)との下方に配設されるフィルタ挿入部(15)と、
前記フィルタ挿入部(15)に着脱自在に配置され、空気中の粉塵、埃を除去する濾過部(6)が所定のピッチに基づいて、山折、谷折を交互に配列するように形成されたフィルタ体(5)と、
前記フィルタ挿入部(15)のフィルタ挿入口(151)を塞ぐとともに、前記フィルタ体(5)の一端部を支持する支持部(23)を有するフィルタカバー(21)とを備え、
前記フィルタカバー(21)には、前記フィルタ体(5)の隣り合う山折と山折もしくは隣り合う谷折と谷折との間の空間に突き出すように形成された突起部(25)が前記支持部(23)に設けられたことを特徴とするブロア装置。
【請求項2】
前記突起部(25)は、前記支持部(23)の少なくとも空気流れの上流側、もしくは下流側のいずれか一方の内壁に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のブロア装置。
【請求項3】
前記支持部(23)は、前記フィルタ挿入部(15)の挿入先側に向かって筒状に延設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブロア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−120219(P2008−120219A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305641(P2006−305641)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】