説明

ブロックコポリマーの制御された合成のための組成物及び方法

【課題】ブロックコポリマーの制御された合成のための組成物及び方法の提供
【解決手段】本発明は、a)少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー及びb)少なくとも1種の高分子量のヒドロキシルアミン、好ましくは長鎖アルキル置換されたヒドロキシルアミンを含む重合性組成物に関する。本発明の他の局面は、エチレン性不飽和モノマーを重合するための方法、及び制御された重合のための高分子量ヒドロキシルアミンの使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、及びb)少なくとも1種の高分子量ヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシド、好ましくは長鎖アルキル置換されたヒロドキシルアミンを含む重合性組成物に関する。本発明の他の局面は、エチレン性不飽和モノマーの重合方法、及び制御された重合のための高分子量ヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシドの使用である。
【背景技術】
【0002】
狭い分子量分布を有するビニルブロックコポリマーの特異的な性質(外観、機械的性質、耐熱性)により、そのようなポリマーの工業的及び技術的価値は高い。現在、3つの方法:テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)により媒介される重合、金属により触媒される原子移動ラジカル重合(ATRP)及び可逆的な付加開裂移動(reversible addition−fragmentation chain transfer)(RAFT)プロセスに良く代表される安定なフリーラジカル重合が制御されたラジカル重合のために最も効率的のようである。しかしながら、これら方法の全てがある不利さを有する。TEMPOを用いた重合は比較的遅く、及びTEMPO自体が高価であり、ATRPの利点はポリマーからの触媒の除去の困難さにより過度に台無しとなり、及びRAFTを用いた重合は特定のモノマーのために特定のジチオエステルを必要とし及び生成物はしばしば着色されており又不快な匂いを有する。
特許文献1及び特許文献2はそれ故、ビニルポリマーの制御されたラジカル重合のための容易及び廉価な代替案として、ヒドロキシルアミン(例えば、ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジベンジルヒドロキシルアミン、N−ヒドロキシルマレイミド、N−ヒドロキシルスクシンイミド、N−ヒドロキシルフタルイミド等)を使用したこれらの問題の解決を示唆している。
【特許文献1】米国特許第6,242,546号明細書
【特許文献2】米国特許第6,350,836号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで使用されるヒドロキシルアミン誘導体の不利さは主として、多くのビニルポリマーの重合に必要な高温での高揮発性、及び合成されたヒドロキシルアミン末端化ポリマーのリビング特性、すなわち、ヒドロキシルアミン末端化マクロ開始剤を介したブロックコポリマー構造を増大させる可能性の欠落である。
低分子量ヒドロキシルアミンとは対照的に、高分子量ヒドロキシルアミン、特に長鎖アルキルヒドロキシルアミンは、初期重合工程の生成物の維持されたリビング特性のためにブロック構造を増大する可能性を提示する。
本発明は、ビニルモノマーのラジカル重合のための制御剤として、高分子量の、特に長鎖の、アルキルヒドロキシルアミンを使用してブロックコポリマー構造を合成する可能性を提供する。従って、モノマーAのラジカル重合に続くモノマーBとの第2重合段階が可能である。本発明は、それぞれ、個々のブロックの定義された狭い分子量分布のため興味深いポリマー特性を示すポリマー構造のジ−ブロックコポリマー、又はトリ−ブロックコポリマーをさえ得る方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの局面は、
a)エチレン性不飽和モノマー;
b)ラジカル重合開始剤;及び
c)250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシド
を含む重合性組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
好ましくは、前記エチレン性不飽和モノマーは、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、スチレン、置換されたスチレン、共役ジエン、アクロレイン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、マレイン酸無水物、(アルキル)アクリル酸無水物、(アルキル)アクリル酸塩、(アルキル)アクリルエステル、(アルキル)アクリロニトリル、(アルキル)アクリルアミド、ビニルハリド又はビニリデンハリドからなる群より選択される。
例えば、前記エチレン性不飽和モノマーは、式CH2=C(Ra)−(C=Z)−Rb
(式中、
ZはO又はSを表し;
aは水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;
bはNH2、O-(Me+)、グリシジル基、未置換の炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、少なくとも1個のN及び/又はO原子により中断された炭素原子数2ないし100のアルコキシ基、又はヒドロキシ−置換された炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、未置換の炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ−置換された炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基又はヒドロキシ−置換されたジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、−O−CH2−CH2−N(CH32又は−O−CH2−CH2−N+H(CH32An-を表し;
An-は一価の有機酸又は無機酸のアニオンを表し;
Meは一価の金属原子又はアンモニウムイオンを表す。)で表される化合物である。
【0006】
特に好ましいものは、前記エチレン性不飽和モノマーが、スチレン、n−ブチルアクリレート、第三ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート又はヒドロキシエチルアクリレートである重合性組成物である。
アニオンAn-が誘導される酸の例は、炭素原子数1ないし12のカルボン酸、CF3SO3H又はCH3SO3Hのような有機スルホン酸、HCl、HBr又はHIのような鉱酸
、HClO4のようなオキソ酸、又はHPF6もしくはHBF4のような錯酸である。
少なくとも1個のO原子により中断された炭素原子数2ないし100のアルコキシ基としてのRaの例は、以下の式:
【化1】

(式中、
cは、炭素原子数1ないし25のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1ないし
18のアルキル基により置換されたフェニル基を表し、
dは、水素原子又はメチル基を表し、及びvは1ないし50の数を表す。)で表され
るものである。これらのモノマーは、例えば、非イオン性界面活性剤から対応するアルコキシ化アルコール又はフェノールのアクリル化により誘導される。反復単位は、エチレン
オキシド、プロピレンオキシド又は両者の混合物から誘導され得る。
適するアクリレート又はメタクリレートモノマーの更なる例は、以下に示される。
【化2】

(式中、
An-及びRaは、上記で定義された意味を有し、Reはメチル基又はベンジル基を表し
、An-は好ましくはCl-、Br又はO3S−CH3である。
更なるアクリレートモノマーは、
【化3】

である。
【0007】
アクリレート以外の適するモノマーの例は、
【化4】

【化5】

である。
好ましくは、Raは水素原子又はメチル基を表し、Rbは、NH2、グリシジル基、未置
換の又はヒドロキシ基で置換された炭素原子数1ないし4のアルコキシ基、未置換の炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし4のアルキル)アミノ基、
ヒドロキシ−置換炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基又はヒドロキシ−置換ジ(炭素原子数1ないし4のアルキル)アミノ基を表し、Zは酸素原子を表す。
より好ましいエチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルロニトリル、メタクリル酸エステル、メタクリルアミド、メタクリロニトリルである。
アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルは、典型的には炭素原子数1ないし18のアルキルエステルである。
【0008】
例えば、重合開始剤は、アゾ化合物、パーオキシド、パーエステル又はヒドロパーオキシドである。
好ましいのは、ラジカル重合開始剤がアゾ化合物又はパーオキシドであるところの重合性組成物である。
特に好ましいラジカル重合開始剤は、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチラミド)ジヒドレート、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチラミジン)、遊離塩基又は塩化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、遊離塩基又は塩化水素、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}又は2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド;アセチルシクロヘキサンスルホニルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカルボネ
ート、t−アミルパーネオデカノエート、t−ブチルパーネオデカノエート、t−ブチルパーピバレート、t−アミルパーピバレート、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキシド、ジイソノナノイルパーオキシド、ジデカノイルパーオキシド、ジオクタノイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ビス(2−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジコハク酸パーオキシド、ジアセチルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパー2−エチルヘキサノエート、ビス−(4−クロロベンゾイル)−パーオキシド、t−ブチルパーイソブチレート、t−ブチルパーマレイネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、t−ブチルパーイソノナオエート、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−アミルパーベンゾエート、t−ブチルパーベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2ビス(t−ブチルパーオキシ)プロパン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシド、3−t−ブチルパーオキシ3−フェニルフタリド、ジ−t−アミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、3,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,5−ジメチル1,2−ジオキソラン、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチルヘキシン−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシド、3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン、p−メンタンヒドロパーオキシド、ピナンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンモノ−α−ヒドロパーオキシドヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド又はt−ブチルヒドロパーオキシドである。
【0009】
例えば成分c)において250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシドは、式(I)、(II)又は(III)
【化6】

(式中、R1、R2、R3及びR4は、独立して、水素原子、フェニル基又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;
5及びR6は、独立して、未置換であり得るか又はフェニル基、ハロゲン原子、NH2
、N(R212、−OH、−CN、−NO2、又は−COOR21により置換され得るか;又は又は−O−又は−C(O)−により中断され得る炭素原子数7ないし35のアルキル基、炭素原子数7ないし35のアルケニル基又は炭素原子数7ないし35のアルキニル基を表し;
5及びR6は一緒に、−O−、−C(O)−又は−N(炭素原子数1ないし18のアルキル)−基により置換され得るアルキレン結合を表して、−O−C(O)−]n20、N
21−C(O)−]n20又はケタール基によりさらに置換され得るヘテロ環式5、6、
7又は8員環を形成し;nは1又は2であり;ここでnが1である場合、R20は水素原子又は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表し、及びnが2である場合、R20は炭素原子数1ないし20のアルキレン基を表し;R21は水素原子又は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表し;R7及びR8は、独立して炭素原子数8ないし36のアルキル基を表し;及びR9は、炭素原子数1ないし4のアルキル基を表す。)
で表されるものである。
例えば、ヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシドは、300g/モル以上、例えば350g/モル以上の分子量を有する。
【0010】
種々の置換基におけるアルキル基は、直鎖状であり得るか又は枝分れ状であり得る。7ないし35個の炭素原子を含むアルキル基の例は、メチル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基及びエイコシル基である。
7ないし35個の炭素原子を有するアルケニル基は、例えばn−2−オクテニル基、n−2−ドデセニル基、イソ−ドデセニル基、オレイル基、n−2−オクタデセニル基又はn−4−オクタデセニル基のような直鎖状又は枝分れ状基である。
7ないし35個の炭素原子を有するアルキニル基は、直鎖状又は枝分れ状基である。
5,6,7又は8員環のヘテロ環は、例えばアゼピン、ピペリジン又はピロリジンである。
例えばヒドロキシ置換されたアルキル基は、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基又はヒドロキシヘキシル基である。
少なくとも1個のO原子により中断された炭素原子数7ないし35のアルキル基は、例えば−(CH23−CH2−O−CH2−CH3、−(CH26−CH2−O−CH3又は−
CH2−CH2−O−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3である。前記アルキル基は
、好ましくはポリエチレングリコールから誘導される。一般的な記載は、−((CH2a−O)b−H/CH3(式中、aは4ないし10の数であり、及びbは2ないし10の数である。)である。
【0011】
特に好ましいのは、ヒドロキシルアミンが式(I)で表されるものであるところの重合性組成物である。
本発明の一の好ましい態様において、式(I)で表される化合物は、式A’、A”、B’又はO’
【化7】

【化8】

[式中、
mは1であり、
Rは、水素原子、中断されていないか又は1個以上の酸素原子により中断された炭素原子数1ないし18のアルキル基、シアノエチル基、ベンゾイル基、グリシジル基、2ないし18個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸の、7ないし15個の炭素原子を有する脂環式カルボン酸の、又は3ないし5個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸の、又は7ないし15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸の一価の基を表し;
pは1であり;
101は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数5ないし7のシクロアル
キル基、炭素原子数7又は8のアラルキル基、炭素原子数2ないし18のアルカノイル基、炭素原子数3ないし5のアルケノイル基又はベンゾイル基を表し;
102は、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数5ないし7のシクロアル
キル基、未置換の又はシアノ基、カルボニル基又はカルバミド基により置換された炭素原子数2ないし8のアルケニル基を表すか、又はグリシジル基、式−CH2CH(OH)−
Z又は式−CO−Z又は−CONH−Z(式中、Zは水素原子、メチル基又はフェニル基を表す。)で表される基を表し;
6及びR’6は一緒に、両方とも水素原子、基=O又は=N−O−R120(式中、R120はH、未置換の又は1個以上のOH、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基により置換され得る直鎖状の又は枝分れ状の炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数3ないし18のアルケニル基又は炭素原子数3ないし18のアルキニル基を表す。);炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基又は炭素原子数5ないし12のシクロアルケニル基;未置換の又は1個以上の炭素原子数1ないし8のアルキル基、ハロゲン原子、OH、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基により置換され得るフェニル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基又はナフチル基;−C(O)−炭素原子数1ないし36のアルキル基、又は3ないし5個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸の又は7ないし15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル部分;−SO3-+、−PO(O-+2、−P(O)(OR22、−SO2−R2、−CO−NH−R2、−CONH2、COOR2、又はSi(Me)3(式中、Q+はH+、アンモニウム又はアルカリ金属カチオンを表す。)を表し;又は
106及びR’106は、独立して、−O−炭素原子数1ないし12のアルキル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルケニル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルキニル基、−O−炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、−O−フェニル基、−O−ナフチル基、−O−炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表すか;又は
106及びR’106は一緒に、二価の基−O−C(R121)(R122)−CH(R123)−
O−、−O−CH(R121)−CH122−C(R122)(R123)−O−、−O−CH(R122)−CH2−C(R121)(R123)−O−、−O−CH2−C(R121)(R122)−CH
(R123)−O−、−O−o−フェニレン−O−、−O−1,2−シクロヘキシリデン−
O−、−O−CH2−CH=CH−CH2−O−、
【化9】

(式中、R121は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、COOH、COO
−(炭素原子数1ないし12のアルキル)基又はCH2OR124を形成し;R122及びR123
は、独立して水素原子、メチル基、エチル基、COOH又はCOO−(炭素原子数1ないし12のアルキル)基を表し;R124は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基
、ベンジル基、又は18個までの炭素原子を有する脂肪族の、脂環式の、又は芳香族のモノカルボン酸から誘導された一価のアシル残基を表す。)の一つを表し;
6は水素原子を表し、及びG5は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し、及び
1、G2、G3及びG4はメチル基を表すか;又は
1とG3はメチル基を表し及びG2とG4はエチル基又はプロピル基を表すか、又はG1
とG2はメチル基を表し及びG3とG4はエチル基又はプロピル基を表す。]
で表されるものである。
【0012】
炭素原子数3ないし12のシクロアルキル基は、典型的に、シクロプロピル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基又はトリメチルシクロヘキシル基である。
炭素原子数6ないし10のアリール基は例えば、フェニル基又はナフチル基であるが、また含まれるのは、炭素原子数1ないし4のアルキル置換されたフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルコキシ置換されたフェニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン又はニトロ置換されたフェニル基である。アルキル置換されたフェニル基の例は、エチルベンゼン基、トルエン基、キシレン基及びその異性体、メシチレン基又はイソプロピルベンゼン基である。ハロゲン置換されたフェニル基は例えば、ジクロロベンゼン基又はブロモトルエン基である。
アルコキシ置換基は典型的に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基及びそれらの対応する異性体である。
炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基は、ベンジル基、フェニルエチル基又はフェニルプロピル基である。
炭素原子数5なしい10のヘテロアリール基は例えば、ピロール基、ピラゾール基、イミダゾール基、2,4,ジメチルピロール基、1−メチルピロール基、チオフェン基、フラン基、フルフラール基、インドール基、クマロン基、オキサゾール基、チアゾール基、イソキサゾール基、イソチアゾール基、トリアゾール基、ピリジン基、α−ピコリン基、ピリダジン基、ピラジン基又はピリミジン基である。
Rがカルボン酸の一価基を表す場合、それは例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレロイル基、カプロイル基、ステアロイル基、ラウロイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル基又はβ−(3,5―ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル基を表す。
炭素原子数1ないし18のアルカノイル基は例えば、ホルミル基、プロピオニル基、ブチリル基、オクタノイル基、ドデカノイル基であるが、好ましくはアセチル基であり、及び炭素原子数3ないし5のアルケノイルは特にアクリロイル基である。
【0013】
上述の化合物及びそれらの調製は、英国特許第2335190号明細書に及び国際公開第02/48205号パンフレットに記載されている。
適する化合物は、例えば
【化10】

である。
本発明のもう1つの好ましい態様において、式(I)で表されるヒドロキシルアミンに
おいて、R1、R2、R3及びR4が水素原子を表し;及びR5及びR6は、独立して炭素原子数7ないし35のアルキル基又は炭素原子数7ないし35のアルケニル基を表す。
上記開鎖状ヒドロキシルアミンは、標準的な方法に従い調製され得、及び主に商業上の商品である。
【0014】
本発明の他の局面は、
b)フリーラジカル開始剤及び
c)250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシド
の存在下、モノマー又はモノマー群/オリゴマー群を(共)重合させることからなる、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーのフリーラジカル重合によりオリゴマー、コオリゴマー、ポリマー又はコポリマー(ブロック、ランダム又はグラフト)を調製する方法である。
重合段階が完了した後、反応混合物は60℃以下まで、好ましくは室温まで冷却され得る。ポリマーは、他の反応が生じることなしにこの温度で保管され得る。
本方法は、有機溶媒の存在下で又は水の存在下で、或いは有機溶媒と水の混合物中で実施され得る。グリコール又は脂肪酸のアンモニウム塩のような、他の補助溶媒又は界面活性剤が存在し得る。他の適する補助溶媒はこれ以降に記載される。
アクリル又はメタクリルモノマーが重合される場合、本方法は好ましくは、有機溶媒の存在下で実施され得る。有機溶媒中のモノマー濃度は、重合速度及び最終転換率に影響し得る。その濃度は例えば、溶媒に基づき5質量%ないし80質量%で変化し得る。モノマーの全量が重合の開始において存在している必要はない。重合反応がすでに開始した後でもさらにモノマーを添加することがまた可能である。
有機溶媒が使用された場合、適する溶媒又は溶媒混合物は、典型的に純アルカン(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン)、ハロゲン化炭化水素(クロロベンゼン)、アルカノール(メタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル)、エステル(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル又は酢酸ヘキシル)及びエーテル(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル)、又はそれらの混合物である。
【0015】
水性重合反応は、反応混合物がモノマー転換の間中、均質で単一の相を維持することを確実とするのを助けるために、水相溶性の又は親水性の補助溶媒が補われ得る。水性溶媒
媒体が、すべての重合反応が完了するまで反応物又はポリマー生成物の沈澱又は相分離を防止する溶媒系を与えるのに効果的である限り、いずれの水溶性又は水相溶性の補助溶媒が使用され得る。本発明において有益な補助溶媒は例えば、脂肪族アルコール、グリコール、エーテル、グリコールエーテル、ピロリジン、N−アルキルピロリジノン、N−アルキルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、カルボン酸及びその塩、エステル、有機スルフィド、スルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、ブチルカルビトール又はセロソルブのようなヒドロキシエーテル誘導体、アミノアルコール、ケトン等、並びにそれらの誘導体及びそれらの混合物からなる群より選択され得る。具体的な例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ジオキサン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、及び他の水溶性又は水相溶性材料、及びそれらの混合物を含む。水及び水溶性又は水相溶性有機液体の混合物が、水性反応媒体として選択される場合、水と補助溶媒の質量比は典型的に、およそ100:0ないしおよそ10:90の範囲にある。
【0016】
本方法は特に、ブロックコポリマーの調製のために有益である。
ブロックコポリマーは例えば、ポリスチレンとポリアクリレートのブロックコポリマー(例えば、ポリ(スチレン−コ−アクリレート)又はポリ(スチレン−コ−アクリレート−コ−スチレン))である。それらは、接着剤として、又はポリマーブレンドのための相溶剤として、又はポリマー強化剤として有益である。ポリ(メチルメタクリレート−コ−アクリレート)ジブロックコポリマー又はポリ(メチルアクリレート−コ−アクリレート−コ−メタクリレート)トリブロックコポリマーは、コーティング系のための分散剤として、コーティング添加剤(例えばレオロジー剤、相溶剤、反応希釈剤)として、又はコーティング(例えばハイソリッド塗料)中の樹脂成分として有益である。スチレン、(メタ)アクリレート及び/又はアクリロニトリルのブロックコポリマーは、プラスチック物品を造形するために及びプラスチック、エラストマー及び接着剤のための改変剤として有益である。
さらに、ブロックが極性モノマーと非極性モノマーとの間で交互に変わる本発明のブロックコポリマーは、非常に均質のポリマーブレンドを調製するための両親媒性界面活性剤又は分散剤として多くの用途において有益である。
本発明の(コ)ポリマーは、数平均分子量1000ないし400000g/モル、好ましくは2000ないし250000g/モル、及びさらに好ましくは2000ないし200000g/モルを有し得る。数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)により、又は開始剤がモノマー(群)とはたやすく区別され得る基を有する場合にはNMR分光法又は他の慣用の方法により、決定され得る。
例えば得られたポリマーは、1.1ないし2.5、例えば1.3ないし2.1の多分散性を有する。
【0017】
第一に、重合は、加熱又はγないしマイクロ波の範囲の電磁放射線への曝露により行われ得る。
好ましくは、重合は加熱により行われ、及び50℃ないし160℃、好ましくは70℃ないし160℃の温度で起きる。
好ましくは、250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシドは、モノマー又はモノマー群に基づき0.001ないし10モル%、特に0.1ないし5モル%の量で存在する。モノマーの混合物が使用される場合、モル%はモノマーの平均分子量に基づく。
ラジカル重合開始剤は、例えば、モノマー又はモノマー(群)の質量に基づき0.002ないし5質量%の量で存在する。
例えば、ラジカル重合開始剤と250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミ
ン、ニトロン又はアルキルN−オキシドの質量比は1:5ないし5:1である。
このように、本発明はまた、新規のブロック、マルチ−ブロック、スター、グラジエント、ランダム、ハイパーブランチ及びデンドリマー状コポリマー、並びにグラフトコポリマーを包含する。
本発明により調製されたポリマーは、以下の用途:接着剤、洗浄剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、消泡剤、接着促進剤、防錆剤、粘度改良剤、滑剤、レオロジー改変剤、増粘剤、架橋剤、紙処理、水処理、電子材料、塗料、コーティング、写真、インク材料、画像材料、超吸収剤、化粧品、毛髪製品、保存料、殺生物材料又はアスファルト、革、生地、セラミック及び木材のための改変剤、に有益である。
【0018】
本発明の他の局面は、上述の方法により得られ得るポリマー又はコポリマー、及びエチレン性不飽和モノマーの制御された重合のための250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシドの使用である。
各々の成分のための定義及び好例はすでに与えられた。それらはまた本発明の他の局面に適用する。
【0019】
以下の実施例が本発明を例示する。
【実施例】
【0020】
化合物101:フルカ(Fluka)社からのN,N−ジオクタデシル−ヒドロキシルアミン。
化合物102:フルカ社からの
【化11】

(式中、R1=C18であり、及びR2=C17である。)。
化合物103:ジェネラル エレクトリック スペシャリティ ケミカルズ社(General Electric Speciality Chemicals,Inc.)からのジェノックス EP(Genox EP)(登録商標)(ビス(水素化菜種油アルキル)メチル,N,オキシド)。
比較化合物:メルク(Merck) KGaA,ダルムシュタット,ドイツからのN,Nジエチルヒドロキシルアミン
【0021】
標準重合手段:
乾燥した、アルゴン洗浄されたシュリンクチューブ内において、与えられた量のヒドロキシルアミン誘導体及びラジカル開始剤を0.5モルの新鮮な蒸留スチレン中に溶解した。溶液を3回の逐次凍結融解サイクルにおいて脱ガスし、そしてその後アルゴンを用いて洗浄した。撹拌された混合物/溶液をその後オイルバス中に浸漬し、そして130℃にて24時間重合させた。重合後、残存モノマーを除去し、質量が一定となるまでそれぞれのポリマーを50℃にて真空下に乾燥した。この方法において得られたマクロ開始剤2.5gを15gのn−ブチルアクリレート中に溶解し、そして前述の方法において6時間再度重合した。
ヒドロキシルアミンはそのまま使用した。
ジベンゾイルパーオキシド(BPO)(メルク社)は、使用に先立ちメタノールから再結晶化した。
スチレンは、使用に先立ち減圧下に蒸留した。
【0022】
試験手順:
分子量及び分子量分布は、溶離剤としてTHF及び狭い分子量のポリスチレン標準品(ポリマー ラボラトリーズ(Polymer Laboratories))を用いて校正したカラム組み合せを使用した、HP1090液体クロマトグラフ(ソフトウェア:winGPC/Polymer Standard Services,マインツ,ドイツ国)上のGPCにより決定した。
スチレン重合は、上記標準手順に従い、130℃にて24時間、表1に記載の組成物を用いて行った。
【表1】

得られたマクロ開始剤を乾燥し、その後n−ブチルアクリレート中に溶解し、そして130℃にて6時間重合した。
スチレンの制御されたラジカル重合、その後の得られたマクロ開始剤とn−ブチルアクリレートとの再開始反応により得られたスチレン−n−ブチルアクリレートコポリマーの転換率及び多分散性を表2に概略した。
Mn-crpは、スチレン性マクロ開始剤の平均分子量を表し、Mn-reiniは、再開始反応の終了におけるブロックコポリマーの分子量を表す。(Mn-reini)−(
Mn-crp)が正の数値はブロック構造の増大を示し、負の数値はマクロ開始剤の分解
を示す。
【表2】

表2は、制御されたフリーラジカル重合が短いアルキル鎖N,N−ジエチル−ヒドロキシルアミン並びに長いアルキル鎖の化合物101であるN,Nジオクタデシル−ヒドロキシルアミン、及びまた対応するニトロンの化合物103(ジェノックスEP)、又はメチルN−オキシドの化合物102を用いることにより可能であることを示している。しかしながら、表2はまた、(Mn-reini)−(Mn-crp)の正の数値が示すように、ブロック構造の増大が本発明の実施例において可能であるのみであることを明らかに示している。N,Nジエチル−ヒドロキシルアミン(比較例)の存在下でのスチレンの重合により得られたマクロ開始剤は、ブチルアクリレート重合の条件下において分解し、そしてブロック構造が得られ得なかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)エチレン性不飽和モノマー;
b)ラジカル重合開始剤;及び
c)250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシド
を含む重合性組成物。
【請求項2】
前記エチレン性不飽和モノマーは、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、スチレン、置換されたスチレン、共役ジエン、アクロレイン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、マレイン酸無水物、(アルキル)アクリル酸無水物、(アルキル)アクリル酸塩、(アルキル)アクリルエステル、(アルキル)アクリロニトリル、(アルキル)アクリルアミド、ビニルハリド又はビニリデンハリドからなる群より選択される、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項3】
前記エチレン性不飽和モノマーは、式CH2=C(Ra)−(C=Z)−Rb
(式中、
ZはO又はSを表し;
aは水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;
bはNH2、O-(Me+)、グリシジル基、未置換の炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、少なくとも1個のN及び/又はO原子により中断された炭素原子数2ないし100のアルコキシ基、又はヒドロキシ−置換された炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、未置換の炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ−置換された炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基又はヒドロキシ−置換されたジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、−O−CH2−CH2−N(CH32又は−O−CH2−CH2−N+H(CH32An-を表し;
An-は一価の有機酸又は無機酸のアニオンを表し;
Meは一価の金属原子又はアンモニウムイオンを表す。)で表される化合物を表す、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項4】
前記エチレン性不飽和モノマーは、スチレン、n−ブチルアクリレート、第三ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート又はヒドロキシエチルアクリレートである、請求項2に記載の重合性組成物。
【請求項5】
前記ラジカル重合開始剤は、アゾ化合物、パーオキシド、パーエステル又はヒドロパーオキシドである、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項6】
前記ラジカル重合開始剤は、アゾ化合物又はパーオキシドである、請求項5に記載の重合性組成物。
【請求項7】
前記成分c)において250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシドは、式(I)、(II)又は(III)
【化1】

(式中、R1、R2、R3及びR4は、独立して、水素原子、フェニル基又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;
5及びR6は、独立して、未置換であり得るか又はフェニル基、ハロゲン原子、NH2
、N(R212、−OH、−CN、−NO2、又は−COOR21により置換され得るか;又は又は−O−又は−C(O)−により中断され得る炭素原子数7ないし35のアルキル基、炭素原子数7ないし35のアルケニル基又は炭素原子数7ないし35のアルキニル基を表し;
5及びR6は一緒に、−O−、−C(O)−又は−N(炭素原子数1ないし18のアルキル)−基により置換され得るアルキレン結合を表して、−O−C(O)−]n20、N
21−C(O)−]n20又はケタール基によりさらに置換され得るヘテロ環式5、6、
7又は8員環を形成し;
nは1又は2であり;ここでnが1である場合、R20は水素原子又は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表し、及びnが2である場合、R20は炭素原子数1ないし20のアルキレン基を表し;R21は水素原子又は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表し;
7及びR8は、独立して炭素原子数8ないし36のアルキル基を表し;及び
9は、炭素原子数1ないし4のアルキル基を表す。)
で表されるものである、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項8】
前記ヒドロキシルアミンは、式(I)で表されるものである、請求項7に記載の重合性組成物。
【請求項9】
前記式(I)で表される化合物は、式A’、A”、B’又はO’
【化2】

【化3】

[式中、
mは1であり、
Rは、水素原子、中断されていないか又は1個以上の酸素原子により中断された炭素原子数1ないし18のアルキル基、シアノエチル基、ベンゾイル基、グリシジル基、2ないし18個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸の、7ないし15個の炭素原子を有する脂環式カルボン酸の、又は3ないし5個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸の、又は7ないし15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸の一価の基を表し;
pは1であり;
101は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数5ないし7のシクロアル
キル基、炭素原子数7又は8のアラルキル基、炭素原子数2ないし18のアルカノイル基、炭素原子数3ないし5のアルケノイル基又はベンゾイル基を表し;
102は、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数5ないし7のシクロアル
キル基、未置換の又はシアノ基、カルボニル基又はカルバミド基により置換された炭素原子数2ないし8のアルケニル基を表すか、又はグリシジル基、式−CH2CH(OH)−
Z又は式−CO−Z又は−CONH−Z(式中、Zは水素原子、メチル基又はフェニル基を表す。)で表される基を表し;
6及びR’6は一緒に、両方とも水素原子、基=O又は=N−O−R120(式中、R120はH、未置換の又は1個以上のOH、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基により置換され得る直鎖状の又は枝分れ状の炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数3ないし18のアルケニル基又は炭素原子数3ないし18のアルキニル基を表す。);炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基又は炭素原子数5ないし12のシクロアルケニル基;未置換の又は1個以上の炭素原子数1ないし8のアルキル基、ハロゲン原子、OH、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基により置換され得るフェニル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基又はナフチル基;−C(O)−炭素原子数1ないし36のアルキル基、又は3ないし5個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸の又は7ないし15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル部分;−SO3-+、−PO(O-+2、−P(O)(OR22、−SO2−R2、−CO−NH−R2、−CONH2、COOR2、又はSi(Me)3(式中、Q+はH+、アンモニウム又はアルカリ金属カチオンを表す。)を表し;又は
106及びR’106は、独立して、−O−炭素原子数1ないし12のアルキル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルケニル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルキニル基、−O−炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、−O−フェニル基、−O−ナフチル基、−O−炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表すか;又は
106及びR’106は一緒に、二価の基−O−C(R121)(R122)−CH(R123)−
O−、−O−CH(R121)−CH122−C(R122)(R123)−O−、−O−CH(R122)−CH2−C(R121)(R123)−O−、−O−CH2−C(R121)(R122)−CH
(R123)−O−、−O−o−フェニレン−O−、−O−1,2−シクロヘキシリデン−
O−、−O−CH2−CH=CH−CH2−O−、
【化4】

(式中、R121は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、COOH、COO
−(炭素原子数1ないし12のアルキル)基又はCH2OR124を表し;R122及びR123は、独立して水素原子、メチル基、エチル基、COOH又はCOO−(炭素原子数1ないし12のアルキル)基を表し;R124は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、
ベンジル基、又は18個までの炭素原子を有する脂肪族の、脂環式の、又は芳香族のモノカルボン酸から誘導された一価のアシル残基を表す。)の一つを形成し;
6は水素原子を表し、及びG5は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し、及び
1、G2、G3及びG4はメチル基を表すか;又は
1とG3はメチル基を表し及びG2とG4はエチル基又はプロピル基を表すか、又はG1
とG2はメチル基を表し及びG3とG4はエチル基又はプロピル基を表す。]
で表されるものである、請求項7に記載の重合性組成物。
【請求項10】
前記式(I)のヒドロキシルアミンにおいて、R1、R2、R3及びR4は水素原子を表し;及びR5及びR6は、独立して炭素原子数7ないし35のアルキル基又は炭素原子数7ないし35のアルケニル基を表すところの、請求項7に記載の重合性組成物。
【請求項11】
b)フリーラジカル開始剤及び
c)250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシド
の存在下、モノマー又はモノマー群/オリゴマー群を(共)重合させることからなる、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーのフリーラジカル重合によりオリゴマー、コオリゴマー、ポリマー又はコポリマー(ブロック、ランダム又はグラフト)を調製する方法。
【請求項12】
得られた前記ポリマーは、1.1ないし2.5の多分散性を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記重合は加熱により行われ、及び70℃ないし160℃の温度にて起きる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシドは、前記モノマー又はモノマー群に基づき0.001ないし10モル%の量で存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ラジカル重合開始剤と前記250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシドの質量比は1:5ないし5:1である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法により得られ得るポリマー又はコポリマー。
【請求項17】
エチレン性不飽和モノマーの制御された重合のための、250g/モル以上の分子量を有するヒドロキシルアミン、ニトロン又はアルキルN−オキシドの使用。

【公表番号】特表2007−503497(P2007−503497A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524359(P2006−524359)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051817
【国際公開番号】WO2005/021630
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】