説明

ブローイング断熱材の体験設備及び同断熱材の表現方法

【課題】ブローイング断熱材の良さを一般の人にでも容易に理解してもらうことができる、ブローイング断熱材の体験設備及び同断熱材の表現方法を提供する。
【解決手段】ブローイング装置5と、ブローイング断熱材と、ブローイング断熱材を充填する容器1と、比較用のマット状断熱材7と、該断熱材7を充填する容器2とが備えられている。また、各容器1,2内に邪魔材3,4が備えられた体験設備を用い、体験希望者に断熱材充填の体験をしてもらう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブローイング断熱材の体験設備及び同断熱材の表現方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラスウール、ロックウール、セルローズ等の小片からなるブローイング断熱材は、建物等への施工が容易で、断熱材を隙間なく充填することができ、そのため、冬の寒さや夏の熱さに高い効果を発揮するものとして、他の断熱材では得られない良さがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、単に、ブローイング断熱材が充填された外壁などのカットサンプルや模型を見せたり、ブローイング断熱材そのものを見せたりするだけでは、ブローイング断熱材の良さを一般の人に理解してもらうのはなかなか難しい。
【0004】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、ブローイング断熱材の良さを一般の人にでも容易に理解してもらうことができる、ブローイング断熱材の体験設備及び同断熱材の表現方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、吹込み用のブローイング装置と、
ブローイング断熱材と、
ブローイング断熱材を充填する容器と、
比較する他の断熱材と、
該比較用断熱材を充填する容器と、
が備えられていることを特徴とする吹込み断熱材の体験設備(第1発明)によって解決される。
【0006】
この体験設備では、体験希望者に実際にブローイング装置とブローイング断熱材と容器とを用いて吹込みの体験してもらうことができ、それによって、ブローイング断熱材がブローイング装置によって容器内にどのようにして充填されていくのかを体験者に容易に理解してもらうことができる。特に本設備では、比較する他の断熱材とそれを充填する容器も備えられているので、その断熱材についての施工の体験も併せて行うことができ、その比較体験を通じて、体験者に、ブローイング断熱材の施工性の良さを容易に理解してもらうことができる。
【0007】
第1発明の体験設備において、各容器内に邪魔材が備えられている場合(第2発明)は、体験希望者に吹き込みの体験をしてもらうことにより、ブローイング断熱材が邪魔材をどのようにかわし、どのようにして囲い込んで容器内に充填されていくのかを、体験者に、ブローイング断熱材の動きを実際に見てもらうことによって容易に理解してもらうことができる。
【0008】
第2発明の体験設備において、各容器は、周囲に透明な立ち上がりを有して上端で開口する扁平な容器からなり、邪魔材が、容器の底面と間隔をおくようにして容器内の高さ方向中間部に備えられているとよい(第3発明)。
【0009】
この場合は、容器内への断熱材の充填体験を体験希望者に下向き作業の楽な姿勢で行ってもらうことができ、体験者の肉体的負担を軽くすることができる。しかも、各容器内には、邪魔材が、容器の底面と間隔をおくようにして容器内の高さ方向中間部に備えられているので、ブローイング断熱材が邪魔材の下方にも容易に充填されていくのを、容器の透明な立ち上がりを通じて見てもらうことにより、容易に理解してもらうことができ、また、比較体験を通じて、ブローイング断熱材の施工性の良さをより深く認識してもらうことができる。
【0010】
上記の第1、第2,第3発明の体験設備において、断熱性能比較手段が備えられている場合(第4発明)は、自らの体験によって容器内に充填したブローイング材が、同じく容器内に充填された比較用断熱材との比較においてどの程度の断熱性能を発揮するのかを、目の前で確認することができ、ブローイング断熱材を用いた断熱構造の断熱性能の良さを容易に理解してもらうことができる。
【0011】
特に、第2、第3発明の体験設備において、断熱性能比較手段が備えられている場合は、ブローイング断熱材を用いた断熱構造の断熱性能の良さの理由がどこにあるのかを、邪魔材と断熱材との取り合い関係を見てもらうことにより、容易に理解してもらうことができる。
【0012】
また、上記の課題は、第1〜4発明の体験設備を用い、体験希望者に体験をしてもらうことを特徴とするブローイング断熱材の表現方法(第5発明)によって同様に解決することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のとおりのものであるから、ブローイング断熱材の良さを一般の人にでも容易に理解してもらうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示す実施形態の体験設備において、1はブローイング断熱材を充填する容器、2は比較用断熱材を充填する容器であり、これら容器1,2は、周囲に透明な立ち上がり1a,2aを有して上端で開口する扁平な容器からなっており、隣り合わせで、人の腰の高さ位置前後に備えられている。また、各容器1,2内の中央部には、邪魔材としての桟材3,4が容器1,2の底面と間隔をおくようにして容器1,2内の高さ方向中間部に水平に備えられている。
【0016】
そして、体験設備の構成要素として、ブローイング断熱材を収容した吹込み用のブローイング装置5と、比較用断熱材としてのグラスウールのマット状断熱材7…とが備えられている。ブローイング装置5は、ブロワー及びブローイング断熱材収容部を備えた本体部5aと、吹込み用ホース5bとを備えている。
【0017】
また、本体験設備の他の構成要素として、断熱性能比較手段が備えられており、該手段は、図3に示すように、後付けできるものからなり、各容器部1,2に充填された断熱材6,7の上方に設置される熱源としての投熱器8,8と、各容器1,2の下面の桟材3,4直下位置に付けられる温度センサー9,9と、温度表示盤12,12とで構成されている。
【0018】
上記の体験設備では、図2に示すように、監督者10のもとで、体験希望者11に、実際にブローイング装置5を用い、ホース5bを手に持って、容器1に対してブローイング断熱材6の吹込みの体験してもらう。体験作業は下向きで身体負担少なく行ってもらうことができる。この体験を通じて、体験者11に、ブローイング断熱材6がブローイング装置5によって容器1内にどのようにして充填されていくのかを、容易に理解してもらうことができ、施工の容易性をわかってもらうことができる。
【0019】
そして、比較用のマット状断熱材7とそれ用の充填容器2も備えられているので、容器2へのマット状断熱材7の充填の体験も併せて行ってもらうことができ、その比較体験を通じて、体験者11に、マット状断熱材7の場合の持ち運びや容器2へのセッティングの厄介さとの比較において、ブローイング断熱材6の施工性の良さを容易に理解してもらうことができる。
【0020】
特に、本実施形態の設備では、各容器1,2は、周囲に透明な立ち上がり1a,2aを有し、邪魔材3,4が、容器1,2の底面と間隔をおくようにして容器1,2内の高さ方向中間部に備えられているので、体験希望者11に吹き込みの体験をしてもらうことにより、ブローイング断熱材6が邪魔材3をどのようにかわし、邪魔材3の下の領域部分までどのようにして囲い込んで容器1内に充填されていくのかをブローイング断熱材6の動きを見てもらって容易に理解してもらうことができる。
【0021】
その一方、比較用容器2へのマット状断熱材7の充填作業では、邪魔材4が邪魔で、邪魔材4の上面部や、下面側を充填するのが困難であることを体験で知り、それとの比較で、ブローイング工法のすばらしさを容易に理解してもらうことができる。
【0022】
なお、体験において夫婦などの二人の体験希望者11,11に同時に体験してもらう場合には、適宜入れ替わりを行って、それぞれの容器1,2に対するそれぞれ断熱材6,7の充填作業をともに行ってもらうようにするとよい。
【0023】
こうして施工性についての理解をしてもらったのち、図3に示すように、断熱性能比較手段である、投熱器8,8と、温度センサー9,9と、温度表示盤12,12とを設置し、投熱器8,8からの熱で、どの程度の断熱性能が実現されるのかを温度表示盤12,12に表示される温度値を見て、断熱性能の違いを知ってもらうことができる。そして、その違いの原因が、ブローイング断熱材6から容器1内を隙間無く充填することができるのに対して、マット状断熱材7では、特に邪魔材4の部分において隙間や断熱材を充填できない部分がどうしてもできてしまう点にあることを自らの充填体験に基づいて容易に知ってもらうことができる。なお、断熱性能比較手段は、温度センサー9,9等については、邪魔でなければ、容器1,2に予め付けておくようにするのもよいし、また、温度表示盤12,12は別所に固定で備えられていてもよい。
【0024】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、比較用断熱材はウレタン、ポリプロピレン等の発泡樹脂断熱材からなっていてもよいし、要は、ブローイング断熱材6の施工性の良さを強調できるような断熱材であればよい。
【0025】
また、断熱性能比較手段については、体験設備に投熱器8,8のみを備えさせ、温度は体験者が容器1,2の底面に手を当てて感じ取ってもらう式のものであってもよいし、容器1,2下にサーモビュアを設置し、容器1,2の底面の温度分布をモニタリング表示するものであってもよいし、そのような手段そのものが省略されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態の体験設備を示す全体正面図である。
【図2】施工性の体験を行ってもらっている状況を示す正面図である。
【図3】断熱性能を比較している状況を示す正面図である。
【符号の説明】
【0027】
1…ブローイング用容器
2…比較用容器
3…桟材(邪魔材)
5…ブローイング装置
6…ブローイング断熱材
7…マット状断熱材(比較用断熱材)
8…投熱器(断熱性能比較手段)
11…体験希望者(体験者)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹込み用のブローイング装置と、
ブローイング断熱材と、
ブローイング断熱材を充填する容器と、
比較する他の断熱材と、
該比較用断熱材を充填する容器と、
が備えられていることを特徴とする吹込み断熱材の体験設備。
【請求項2】
前記各容器内に邪魔材が備えられている請求項1に記載のブローイング断熱材の体験設備。
【請求項3】
前記各容器は、周囲に透明な立ち上がりを有して上端で開口する扁平な容器からなり、邪魔材が、容器の底面と間隔をおくようにして容器内の高さ方向中間部に備えられている請求項2に記載のブローイング断熱材の体験設備。
【請求項4】
断熱性能比較手段が備えられている請求項1乃至3に記載のブローイング断熱材の体験設備。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の設備を用い、体験希望者に体験をしてもらうことを特徴とするブローイング断熱材の表現方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−106094(P2006−106094A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288873(P2004−288873)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】