説明

プラグ受け

【課題】 復電時における、接続する電気機器に対する電力の供給を制限することができ、二次災害の発生を抑制することができるプラグ受けを提供するものである。
【解決手段】 電源管理コンセント10は、停電状態から復電することによる商用電源からの交番電流の到達を検出する復電検出部12と、商用電源と差込口11との電路を開閉するスイッチ部13と、交番電流の到達を検出した場合に、所定の設定に基づき、スイッチ部13を開放する制御部15と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、住宅等に配置され、接続する電気機器の種類に応じて、復電時における当該電気機器に対する電力の供給を制限することができるプラグ受けに関し、特に、非常用電源(バックアップ電源)を備える電力貯蔵システムに対応して用いることが好適であるプラグ受けに関する。
【背景技術】
【0002】
一般の住宅等の壁面や床面などに配設される通常のコンセントは、差込口に差込プラグを差込むことで接続された電気機器に対して、停電や瞬時電圧低下(以下、瞬低と称す)が発生している場合を除き、常時、商用電源からの電力を供給する。このため、コンセントに接続された電気機器は、地震、雷、火事、台風、風害、水害又は雪害などの自然災害により停電が発生した場合であっても、復電することで、商用電源から電力が再び供給されることになる。
したがって、ヒーター、ドライヤー又は白熱灯などの熱源となる電気機器は、自然災害の発生に起因する住宅等の火災の原因となり、二次災害を引き起こす要因となっている。
【0003】
また、従来の家電機器制御ネットワークシステムは、コントローラに通信ミドルウェアでオブジェクト処理により各機器共通の形でアクセス可能な設備を組み込む。各機器は、それが必要とする他の機器やその運転データが定まっていることに注目する。各機器に連携装置を組み込む。これにより、ネットワークを通じて遠隔で家電機器の電源を制御可能にするものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、従来の家電機器制御ネットワークシステムは、家電機器自体と通信を行なうことにより、電源制御を行なうシステムであるために、制御する家電機器毎に通信管理手段をそれぞれ設ける必要があり、家電機器自体のコストが増大してしまうという問題点がある。
また、通信管理手段を持たない既設の家電機器については、通信管理手段を備えた家電機器に交換しなければならないために、利用者の負担が大きくなるという問題点もある。
【0005】
これに対し、従来の電源タップは、配電線に接続するための電源プラグと、電気機器の電源プラグを接続するためのプラグ差込口と、IPネットワークへ接続するためのIPネットワーク接続部と、IPネットワークを介して他の装置から接続可能にするためのIPアドレスを記憶するIPアドレス記憶部と、配電線に接続するための電源プラグとプラグ差込口との間を電気的に接続または切断するリレーと、IPネットワークを介して接続された他の装置から送信される制御情報に基づいて、リレーを制御する制御部とを有する(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−86572号公報
【特許文献2】特開2006−114997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電源タップは、利用者が、IPネットワークを利用して、プラグ差込口毎に接続された電気機器の電源のオン/オフを手動で行なうことができるのであるが、停電時に対応して、電源のオン/オフの判断を自動で行なうものではない。
【0007】
ここで、既存の電力貯蔵システムは、停電が発生した際に、商用電源から非常用電源に切り替わるのであるが、停電直前に、商用電源から電力を供給されていた全ての電気機器は、停電の発生により、非常用電源から電力を供給されることになる。このため、非常用電源から電力を供給され、同時に使用される複数の電気機器の総使用電流が、非常用電源の容量を超えてしまう場合には、所望の電圧が得られずに屋内停電を生じさせる。
【0008】
したがって、電力貯蔵システムに対応して従来の電源タップを用いた場合には、この電源タップの利用者は、停電が発生すると、非常用電源の容量を超えないように、非常用電源から電力を供給する必要がある重要度の高い電気機器を選択して、それ以外の重要度の低い電気機器の電源のオフを手動で操作する必要がある。
【0009】
しかしながら、電力貯蔵システムにおける、停電が発生して商用電源から非常用電源に切り替わるまでの時間は、任意に設定することができるのであるが、一般的には10ms程度と非常に短い時間に設定されている。このため、重要度の低い電気機器の電源を手動でオフすることでは、商用電源から非常用電源に切り替わるまでの時間に間に合わず、屋内停電を生じさせるという課題がある。
【0010】
この発明は、前述のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、復電時における、接続する電気機器に対する電力の供給を制限することができ、二次災害の発生を抑制することができるプラグ受けを提供するものである。
【0011】
また、第2の目的は、停電が発生して商用電源から非常用電源に切り替わった場合であっても、接続された電気機器の総使用電流が、非常用電源の容量以下となるようなプラグ受けを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るプラグ受けにおいては、停電状態から復電することによる商用電源からの交番電流の到達を検出する復電検出部と、前記商用電源と差込口との電路を開閉するスイッチ部と、前記交番電流の到達を検出した場合に、所定の設定に基づき、前記スイッチ部を開放する制御部と、を備えているものである。
【0013】
また、この発明に係るプラグ受けにおいては、商用電源から非常用電源に切り替わる際における交流波形の位相のずれを検出する位相変化検出部と、前記商用電源及び非常用電源と差込口との電路を開閉するスイッチ部と、前記交流波形の位相のずれを検出した場合に、所定の設定に基づき、前記スイッチ部を開放する制御部と、を備えているものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係るプラグ受けにおいては、停電状態から復電することによる商用電源からの交番電流の到達を検出する復電検出部と、前記商用電源と差込口との電路を開閉するスイッチ部と、前記交番電流の到達を検出した場合に、所定の設定に基づき、前記スイッチ部を開放する制御部と、を備えていることにより、復電時における、差込口に挿入されて接続される電気機器に対する電力の供給を制限することができ、二次災害の発生を抑制することができる。
【0015】
また、この発明に係るプラグ受けにおいては、商用電源から非常用電源に切り替わる際における交流波形の位相のずれを検出する位相変化検出部と、前記商用電源及び非常用電源と差込口との電路を開閉するスイッチ部と、前記交流波形の位相のずれを検出した場合に、所定の設定に基づき、前記スイッチ部を開放する制御部と、を備えていることにより、差込口に挿入されて接続される電気機器を使用するうえでの重要度に応じて、非常用電源からの電力の供給を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(本発明の第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るプラグ受けの概略構成を示すブロック図、図2は第1の実施形態に係る他のプラグ受けの概略構成を示すブロック図、図3は図1又は図2に示す駆動計測回路による家電を分類するうえでの基準を説明するための説明図である。
【0017】
ここで、本実施形態に係るプラグ受けは、マルチタップ、テーブルタップ、コーナータップ、トリプルタップ、コードコネクタボディ及びコンセントなどの総称である。なお、以下の説明においては、後述する制御回路などを筐体内部に内蔵させるマルチタップなどと比較して収納スペースの制約が緩い、住宅等の壁面や床面などに配設されるコンセントに本発明を適用したプラグ受け(以下、電源管理コンセント10と称す)について説明する。
【0018】
図1において、電源管理コンセント10は、後述する差込口11、復電検出部12、スイッチ部13、電源部14及び制御部15を備え、必要に応じて、後述する計測部18を備える。
【0019】
差込口11は、図示しない電気機器の差込プラグを挿入し、電源管理コンセント10に電気機器を接続するための部分である。なお、図1においては、1個の電源管理コンセント10に対して一口の差込口11を配設する例を示しているが、1個の電源管理コンセント10に対して複数口の差込口11を配設させてもよい。この場合には、複数口の差込口11における各差込口11に対応させて、後述するスイッチ部13及び計測部18をそれぞれ配設させることになる。例えば、1個の電源管理コンセント10に対して二口の差込口11を配設する場合には、図2に示すように、各差込口11に対応させて、後述するスイッチ部13及び計測部18をそれぞれ配設させる。
【0020】
復電検出部12は、停電状態から復電することによる商用電源からの交番電流の到達を検出し、検出結果を制御部15に出力する。
スイッチ部13は、例えば、電磁開閉器(リレー)やトライアックであり、制御部15からの制御信号に基づき、図示しない商用電源(住宅用分電盤30)と差込口11との電路を開閉する。なお、スイッチ部13としては、トライアックと比較して発熱量の少ない電磁開閉器(リレー)を用いることが好ましい。
【0021】
電源部14は、住宅用分電盤30と差込口11とを繋ぐ電線に分岐接続され、交番電流を直流電流に変換して、制御部15に供給するための電源回路である。なお、本実施形態においては、停電又は瞬低が発生して、復電するまでの間に、後述する制御部15に電源を供給し、スイッチ部13の投入状態を維持するために必要な容量を有するコンデンサを、電源部14の構成部品として備えてもよい。特に、このコンデンサは、瞬断が断続的に生じた場合に、瞬断の度に、スイッチ部13が開放することを抑制することができる。
【0022】
制御部15は、復電検出部12により交番電流の到達を検出した場合に、後述する電源重要度設定部15bに設定された所定の設定に基づき、スイッチ部13を開放する。
ここで、所定の設定とは、電源から電力を供給する重要度(以下、電源重要度と称す)が低い差込口11に対しては、商用電源の運転の開始(復電)に連動して、対応するスイッチ部13を開放する。また、電源重要度が高い差込口11に対しては、対応するスイッチ部13の開放は不可とする。
【0023】
また、制御部15は、後述する計測部18により計測した値に基づいて差込口に接続された電気機器への通電状態を示す情報(電流波形、消費電流の平均値、ピーク値、実効値、波高率、波形率、時定数、周期内の通電時間及びピーク位置、電圧の周波数特性、往復の交番電流の位相差、高周波成分の大きさ、インダクタンス成分の大きさ、電圧と消費電流との位相差や、時間差及び力率などの特徴量)を演算する駆動計測回路15aを備える。
【0024】
駆動計測回路15aは、接続された電気機器への通電状態の変化から当該電気機器の状態を検出する図示しない状態検出手段を備える。また、駆動計測回路15aは、接続された電気機器への通電状態を示す情報から当該電気機器の消費電力量を積算する図示しない消費電力量積算手段と、この消費電力積算手段により積算された電気機器の消費電力量を累積した値を使用電力量として記憶する図示しない使用電力量記憶手段とを備える。さらに、駆動計測回路15aは、スイッチ部13を制御する図示しないリレー制御手段を備える。
【0025】
また、駆動計測回路15aは、商用電源からの交番電流が差込口11及び電気機器間を往復伝播することによる往復の交番電流による位相差を検出する図示しない位相差検出手段と、高周波成分の大きさを検出する図示しない高周波成分程度検出手段とを備える。
【0026】
また、駆動計測回路15aは、位相差検出手段及び高周波成分程度検出手段により、位相差を検出した場合又は位相差を検出しなかったが高周波成分が大きい場合に電源重要度設定部15bに対して電源重要度を高レベルに設定し、位相差を検出しなかったが高周波成分が小さい場合に電源重要度設定部15bに対して電源重要度を低レベルに設定する図示しない電源重要度判定手段とを備える。
【0027】
ここで、往復の交番電流による位相差は、差込口11に接続される電気機器に銅鉄型トランスが内蔵されているか否かに依存するものと考えられる。すなわち、銅鉄型トランスが内蔵される電気機器は、トランスによるインダクタンス成分が存在するために、銅鉄型トランスの替わりにスイッチング電源が内蔵される電気機器又は商用電源周波数を加工することなく直接受電する電気機器と比較して、往復の交番電流による位相差が生じるものと考えられる。
【0028】
また、高周波成分の大きさは、差込口11に接続される電気機器にスイッチング電源が内蔵されているか否かに依存するものと考えられる。すなわち、スイッチング電源が内蔵される電気機器は、スイッチング電源により商用電源周波数(50Hz又は60Hz)を1kHz〜数kHzの高周波に変換することによる高周波成分が存在するために、スイッチング電源が内蔵されず商用電源周波数を加工することなく直接受電する電気機器と比較して、高周波成分の値が大きくなるものと考えられる。
なお、電気機器のうち家庭用電気機器(以下、家電と称す)は、大別すると、情報家電、アンティーク家電、レトロ家電及び二次災害要因家電と定義して、分類できる。
【0029】
情報家電とは、スイッチング電源を内蔵した家電であり、単体でネットワークに接続できる家電である。また、アンティーク家電とは、スイッチング電源を内蔵した家電であり、単体でネットワークに接続できない家電である。また、レトロ家電とは、単体でネットワークに接続できない家電であり、銅鉄型トランスを内蔵した家電である。
【0030】
さらに、二次災害要因家電とは、単体でネットワークに接続できない家電であり、商用電源周波数を加工することなく直接受電する家電である。すなわち、二次災害要因家電は、熱源(白熱電球などの光源を含む)又は動力源となる電気機器であり、自然災害により停電し、復電した場合に、当該電気機器からの出火、高熱の発生又は突然の始動などにより、住宅等の火災や人身事故などの二次災害を引き起こす要因となる家電である。
【0031】
したがって、これらの家電は、後述する計測部18を介して、駆動計測回路15aの位相差検出手段、高周波成分程度検出手段及び電源重要度判定手段により、図3に示すように選別され、二次災害要因家電に対して電源重要度が高レベルに設定され、二次災害要因家電以外の家電(情報家電、アンティーク家電、レトロ家電)に対して電源重要度が低レベルに設定されることになる。
【0032】
すなわち、往復の交番電流による位相差が無く高周波成分が小さい電気機器を検出し、電源重要度を低レベルに判定することで、熱源(白熱電球などの光源を含む)又は動力源となる電気機器(二次災害要因家電)を、復電時における商用電源からの電力を供給する対象から除くことができる。
【0033】
計測部18は、例えば、電流センサ(Current Transformer:CT)及び/又は電圧センサ(Potential Transformer:PT)であり、差込口11に差込プラグを挿入して接続された電気機器の使用に起因する電流値及び/又は電圧値を計測し、制御部15の後述する駆動計測回路15aに計測値を出力する。このため、計測部18は、差込口11近傍である差込口11とスイッチ部13との間に配設される。なお、計測部18は、往復の交番電流による位相差を精度よく検出できない場合には、インダクタンス測定器を配設させることが考えられる。この場合には、駆動計測回路15aの位相差検出手段の替わりに、インダクタンス成分の大きさを検出するインダクタンス成分程度検出手段を備えることになる。また、計測部18は、高周波成分値を電流センサで計測する替わりに、高周波測定器を配設させ、計測してもよい。
【0034】
つぎに、本実施形態に係る電源管理コンセント10の動作について説明する。
まず、電源管理コンセント10の利用者は、図示しない電気機器の差込プラグを差込口11に挿入し、電気機器を電源管理コンセント10に接続する。そして、電源管理コンセント10の利用者が電気機器を使用することで、制御部15の駆動計測回路15aは、計測部18からの計測値に基づき、差込口11に接続された電気機器の電源重要度を判定し、判定結果を電源重要度設定部15bに設定する。
【0035】
なお、駆動計測回路15aの電源重要度判定手段は、二次災害要因家電に対して、接続した電源管理コンセント10の差込口11の電源重要度を低レベルとして判定する。また、駆動計測回路15aの電源重要度判定手段は、二次災害要因家電以外の家電(レトロ家電、情報家電、アンティーク家電)に対して、接続した電源管理コンセント10の差込口11の電源重要度を高レベルとして判定する。
【0036】
このように、電源管理コンセント10の差込口11毎に電源重要度が設定され、電源管理コンセント10の差込口11に接続された電気機器は、商用電源から電力が供給されている。
【0037】
つぎに、停電又は瞬低が発生し、復電した場合を想定する。
まず、電源管理コンセント10の復電検出部12は、停電状態から復電することによる商用電源からの交番電流の到達を検出し、制御部15に出力する。
【0038】
制御部15は、電源重要度設定部15bに設定された電源重要度に基づき、スイッチ部13を制御する。すなわち、電源重要度が低レベルである場合には、制御部15がスイッチ部13の励磁を解除して開放する。また、電源重要度が高レベルである場合には、制御部15がスイッチ部13の励磁を解除せずに投入状態を維持する。
【0039】
このように、停電又は瞬低が発生し、復電した場合であっても、電源重要度が低レベルの電気機器、すなわち、二次災害要因家電は、商用電源からの電力が供給されることがなく、火災等の二次災害の発生を抑制することができる。
【0040】
なお、本実施形態に係る電源管理コンセント10においては、制御部15の駆動計測回路15aにおける位相差検出手段又はインダクタンス成分程度検出手段、高周波成分程度検出手段及び電源重要度判定手段並びに計測部18により、電源重要度設定部15bに設定する電源重要度を判定しているが、制御部15の駆動計測回路15a及び計測部18を電源管理コンセント10に備える換わりに、電源管理コンセント10の制御基板にディップスイッチやロータリースイッチ等を配設させ、このディップスイッチやロータリースイッチ等により、電源重要度設定部15bに対して電源重要度を手動で選択できる構成としてもよい。
【0041】
また、本実施形態に係るプラグ受けにおいては、住宅等の壁面や床面などに配設されるコンセントとしての電源管理コンセント10を用いて説明したが、一端に差込口を備え、他端に差込プラグを備えた、マルチタップ、テーブルタップ、コーナータップ、トリプルタップ又はコードコネクタボディに本発明を適用してもよい。これにより、住宅等に既設の通常のコンセントを、電源管理コンセント10に交換することなく、本発明の作用効果を奏することができる。
【0042】
(本発明の第2の実施形態)
図4(a)は銅鉄型トランスの有無を検出するための検出方法を説明するための説明図、図4(b)はスイッチング電源の有無を検出するための検出方法を説明するための説明図、図5(a)は銅鉄型トランスを内蔵した電気機器による電圧の周波数特性図、図5(b)はスイッチング電源を内蔵した電気機器による電圧の周波数特性図、図5(c)は直接受電の電気機器による電圧の周波数特性図である。図4及び図5において、図1乃至図3と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
【0043】
駆動計測回路15aは、接続された電気機器による電圧の周波数特性から当該電気機器の種類を検出する図示しない周波数特性検出手段を備える。
ここで、電気機器による電圧の周波数特性について、図4及び図5を用いて説明する。
【0044】
なお、第1の実施形態において前述したとおり、家電は、大別すると、情報家電、アンティーク家電、レトロ家電及び二次災害要因家電と定義して、分類できる。
まず、銅鉄型トランスを内蔵したレトロ家電による電圧の周波数特性について説明する。
【0045】
銅鉄型トランスは、図4(a)に示すような等価回路で表わされ、下記式(1)が成立する。なお、図4(a)及び下記式(1)において、Lは銅鉄型トランスのインダクタスであり、v(t)はLに印加される電圧であり、i(t)はLを流れる電流である。また、下記(1)から分かるように、電流i(t)が一定の値である場合(直流電流)は、V=Lが成立する。
【0046】
【数1】

ここで、図4(a)に示すモデルに、正弦波の交番電流を流した場合は、下記式(2)が成立する。なお、fは周波数である。
【0047】
【数2】

この場合の電圧v(t)は、式(1)に式(2)を代入して、下記式(3)となる。
【0048】
【数3】

そして、式(2)に示す電流i(t)の振幅と、式(3)に示す電圧v(t)の振幅とを比較することで、抵抗値に相当する値は、2πfLであることが分かる。
【0049】
したがって、銅鉄型トランスを内蔵した電気機器に対して、周波数fを変化させて電圧値を測定した場合には、一次関数(直線)で表わされる、図5(a)に示すような波形を描くことになる。
【0050】
つぎに、スイッチング電源を内蔵した情報家電又はアンティーク家電による電圧の周波数特性について説明する。
スイッチング電源402は、図4(b)に示すような等価回路で表わされ、以下の処理手順にて、商用電源周波数を高周波に変換している。
【0051】
まず、交番電流(Alternating Current:AC)は、商用電源20からスイッチング電源402に入力される。
そして、交番電流は、整流ブリッジ402aにより整流され、さらに一次側の電解コンデンサ402bにより平滑化される。
【0052】
また、スイッチング素子402cは、スイッチングする(電気のON/OFFを繰り返す)ことにより、交番電流に変換する。
そして、交番電流は、高周波トランス402dを介して、二次側にエネルギーとして伝達される。
【0053】
また、高周波の交番電流は、二次側のダイオード402eにより整流され、さらに二次側の電解コンデンサ402fにより平滑されて、直流電流(Direct Current:DC)として出力される。
【0054】
なお、スイッチング電源402は、出力電圧が一定に保たれるように、制御回路402gによりフィードバック制御され、スイッチング素子402cによるスイッチングの調整を行なう。
【0055】
ここで、スイッチング電源402の注目すべき点は、整流ブリッジ402aにより、一旦、交番電流を直流電流に変換している点である。すなわち、スイッチング電源402の内部は、直流回路であるために、銅鉄型トランスを内蔵したレトロ家電のような周波数特性(図5(a))が生じないのである。
【0056】
しかしながら、整流ブリッジ402aにおけるダイオードは周波数に対する応答特性があるために、商用電源周波数(50Hz又は60Hz)に対応する当該ダイオードは、数kHz以上の周波数が印加された場合に追従できないのである。
【0057】
したがって、スイッチング電源を内蔵した電気機器に対して、周波数fを変化させて電圧値を測定した場合には、所定の周波数(電気機器(スイッチング電源)メーカーにより異なり、数kHzである)までVが一定の直線であり、当該所定の周波数からV=0を漸近線とする曲線で表わされる、図5(b)に示すような波形を描くことになる。
【0058】
つぎに、直接受電する二次災害要因家電による電圧の周波数特性について説明する。
二次災害要因家電は、内部回路が抵抗のみの等価回路として考えることができる。
したがって、直接受電する電気機器に対して、周波数fを変化させて電圧値を測定した場合には、Vが一定の直線である、図5(c)に示すような波形を描くことになる。
【0059】
そこで、駆動計測回路15aは、周波数特性検出手段により、図5(a)及び図5(b)に示すような波形の周波数特性を検出した場合に電源重要度設定部15bに対して電源重要度を高レベルに設定し、図5(c)に示すような波形の周波数特性を検出した場合に電源重要度設定部15bに対して電源重要度を低レベルに設定する図示しない電源重要度判定手段を備える。
【0060】
なお、この第2の実施形態においては、駆動計測回路15aの位相差検出手段及び高周波成分程度検出手段の替わりに周波数特性検出手段を備えるところのみが第1の実施形態と異なるところであり、周波数特性検出手段及び電源重要度判定手段による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0061】
(本発明の第3の実施形態)
図6は非常用電源を備えた住宅に本実施形態に係るプラグ受けを適用した一例を示す概略構成図、図7は第3の実施形態に係るプラグ受けの概略構成を示すブロック図、図8(a)は商用電源から非常用電源に切り替わる際における交流波形の位相のずれを説明するための説明図、図8(b)は図7に示す電源重要度設定部に設定される設定内容を説明するための説明図、図9(a)は図6に示す情報端末装置の表示画面に表示されるウェブページの一例を示す説明図、図9(b)は図6に示す情報端末装置の表示画面に表示されるウェブページの他の例を示す説明図である。
【0062】
図6において、商用電源20は、住宅100に配設される住宅用分電盤30を介して、ホームサーバ40、家庭用ホームエネルギーマネージメントシステム(home energy management system:以下、HEMS50と称す)及び電源管理コンセント10に電力を供給する。
【0063】
ホームサーバ40は、IP(Internet Protocol)ネットワークとしての家庭内の通信ネットワーク(以下、家庭内LAN(Local Area Network)と称す)の中核を担い、家庭内で利用される様々なデータを蓄積し、家庭内LANに接続された各部屋の電気機器に様々なデータやサービスを提供する。なお、家庭内LANは、無線通信に限られるものではなく、有線通信であってもよい。
【0064】
また、ホームサーバ40は、家庭内LANと外部のネットワークとを接続するゲートウェイ(Home Gateway:HGW)であり、携帯電話やパソコン(Personal Computer:PC)などの情報端末装置200を操作することで、IPネットワークとしてのインターネット300を介して、家庭内LANに接続された電気機器を制御することができる。
【0065】
HEMS50は、情報技術(Information Technology:IT)を活用して、家庭内における家電などのエネルギー消費の効率化を図るシステムであり、照明やエアコン(Air Conditioner:A/C)など各種の電気機器を家庭内LANで連結し、センサでとらえた室内状況(人の有無など)や室外状況(気象など)に応じて各電気機器を最適に自動制御する。特に、HEMS50は、住宅用分電盤30の電位レベルに基づき、停電又は瞬低を検出し、ホームサーバ40に指令を送り、ホームサーバ40が商用電源20から非常用電源60への運転に切り換える。
【0066】
なお、ホームサーバ40及びHEMS50は、常時、運転させる必要があるために、商用電源20又は非常用電源60から電力が常に供給される構成とする。
非常用電源60としては、例えば、図6に示すように、バッテリ61aを介して接続された電気自動車61bの電源であるリチウムイオン(Li-ion)二次電池や、風力・太陽光ハイブリッド発電システム62のリチウムイオン(Li-ion)二次電池や、固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)63などが考えられる。
【0067】
なお、非常用電源60として、電気自動車61bのリチウムイオン(Li-ion)二次電池を使用する場合には、商用電源20から供給される電力を取り入れ充電し、停電又は瞬低が発生した場合に、非常用電源60として機能する。
【0068】
また、図6においては、本実施形態に係る電源管理コンセント10の他に、通常のコンセント70についても住宅100に配設させる構成を示しているが、本実施形態に係る電源管理コンセント10を機能させるためには、必ずしも通常のコンセント70を配設させる必要はない。
【0069】
図7において、電源管理コンセント10は、後述する差込口1、位相変化検出部2、スイッチ部3、電源部4及び制御部5を備え、必要に応じて、後述するIPネットワーク接続部6、IPアドレス記憶部7、計測部8及び開閉状態記憶部9を備える。
【0070】
差込口1は、電気機器400の差込プラグ401を挿入し、電源管理コンセント10に電気機器400を接続するための部分である。なお、図7においては、1個の電源管理コンセント10に対して二口の差込口1を配設する例を示しているが、1個の電源管理コンセント10に対して一又は三口以上の差込口1を配設させてもよい。この場合には、一又は複数口の差込口1における各差込口1に対応させて、後述するスイッチ部3及び計測部8をそれぞれ配設させることになる。
位相変化検出部2は、商用電源20から非常用電源60に切り替わる際における交流波形の位相のずれを検出し、検出結果を制御部5に出力する。
【0071】
なお、交流波形の位相のずれは、図8(a)に示すように、商用電源20からの正常な交流波形が、停電又は瞬低の発生により、商用電源20から非常用電源60に切り替わるまでの間に電力の供給が寸断されるために、生じるものである。
スイッチ部3は、例えば、電磁開閉器(リレー)やトライアックであり、制御部5からの制御信号に基づき、商用電源20及び非常用電源60と差込口1との電路を開閉する。
【0072】
電源部4は、住宅用分電盤30と差込口1とを繋ぐ電線に分岐接続され、交番電流を直流電流に変換して、制御部5に供給するための電源回路である。なお、本実施形態においては、停電又は瞬低が発生して、商用電源20から非常用電源60に切り替わるまでの間に、後述する制御部5に電源を供給し、スイッチ部3の投入状態を維持するために必要な容量を有するコンデンサを、電源部4の構成部品として備えてもよい。特に、このコンデンサは、商用電源20から非常用電源60に切り替わることがない短時間(例えば、10ms以下)の瞬断が断続的に生じた場合に、瞬断の度に、スイッチ部3が開放することを抑制することができる。
【0073】
IPネットワーク接続部6は、家庭内LANに電源管理コンセント10を接続するための部分であり、例えば、LANケーブルやルータ/ハブなどの家庭内LANを介してホームサーバ40に接続されている。なお、IPネットワーク接続部6は、家庭内LANを介してホームサーバ40に直接接続する必要はなく、電力線搬送通信(Power Line Communication:以下、PLCと称す)を利用した既存のPLC製品を用い、LANケーブルを介してPLC製品の子機をIPネットワーク接続部6に接続し、LANケーブルやルータ/ハブを介してPLC製品の親機をホームサーバ40に接続する構成としてもよい。このように、PLC製品を用いることは、LANケーブルが住宅等の壁内や床下を通り差込口まで予め敷設されていない通常のコンセント70を、本実施形態に係る電源管理コンセント10に交換する場合に有効である。
【0074】
IPアドレス記憶部7は、電源管理コンセント10に対して、家庭内LAN及びインターネット300を介して、ホームサーバ40や情報端末装置200などの他の装置からの接続を可能にするためのIPアドレスを記憶する部分である。
【0075】
計測部8は、例えば、電流センサ(Current Transformer:CT)及び/又は電圧センサ(Potential Transformer:PT)であり、差込口1に差込プラグ401を挿入して接続された電気機器400の使用に起因する電流値及び/又は電圧値を計測し、制御部5の後述する駆動計測回路5aに計測値を出力する。このため、計測部8は、差込口1近傍である差込口1とスイッチ部3との間に配設される。なお、計測部8は、力率を考慮しない場合には、電流センサのみの構成であってもよい。
【0076】
開閉状態記憶部9は、スイッチ部3を投入又は開放するための制御部5からの制御信号に対応して、スイッチ部3の開閉状態を記憶する部分である。なお、後述する制御部5は、復電した場合に、開閉状態記憶部9に記憶されたスイッチ部3の開閉状態の最新情報を読み出し、当該最新情報に基づき、スイッチ部3を投入又は開放する。
【0077】
制御部5は、位相変化検出部2により交流波形の位相のずれを検出した場合に、後述する電源重要度設定部5bに設定された所定の設定に基づき、スイッチ部3を開放する。
ここで、所定の設定とは、例えば、図8(b)に示すように、電源重要度が低い差込口1に対しては、非常用電源60の運転の開始に連動して、対応するスイッチ部3を開放する。また、電源重要度が高い差込口1に対しては、対応するスイッチ部3の開放は不可とする。また、電源重要度が中間である(高くもなく低くもない)差込口1に対しては、所定の条件に基づき、対応するスイッチ部3を開放する。この所定の条件とは、例えば、非常用電源60の運転の開始から所定時間(例えば、10分)経過後や、非常用電源60の容量が所定残量(例えば、最大容量の50%)に達した場合や、HEMS50からの指令や、電源管理コンセント10の使用者が操作した情報端末装置200からの制御信号などが挙げられる。
【0078】
なお、電源重要度は、高レベル、中レベル及び低レベルの3段階に限られるものではなく、高レベル及び低レベルの少なくとも2段階からなり、中レベルをさらに細分化してもよい。
【0079】
また、電源重要度が低い差込口1に対する所定の設定は、非常用電源60の運転開始に連動して対応するスイッチ部3を即時に開放するのではなく、非常用電源60が運転を開始して、非常用電源60に接続されている電気機器400の総使用電流が、非常用電源60の容量を超えて、非常用電源60がダウンした場合に、初めて、電源重要度が低い差込口1に対応するスイッチ部3を開放する設定であってもよい。
【0080】
この場合には、ダウンした非常用電源60が所定の間隔で再起動を行なうものであり、非常用電源60がダウンしている間は、制御部5に対する非常用電源60からの電力の供給が停止するために、スイッチ部3であるリレーの励磁が解除され、差込口1の電源重要度に関係なくスイッチ部3が開放することになる。これに対し、本実施形態に係る電源管理コンセント10は、ダウンした非常用電源60が再起動した場合に、電源重要度設定部5bに設定された電源重要度及び開閉状態記憶部9に記憶されたスイッチ部3の開放状態の最新情報に対応して、各スイッチ部3がそれぞれ制御されることになる。
【0081】
すなわち、ダウンする前のスイッチ部3が開放状態、又はスイッチ部3が投入状態かつ電源重要度が低い場合には、ダウンした非常用電源60が再起動した場合に、当該スイッチ部3の開放状態を維持する。また、ダウンする前のスイッチ部3が投入状態かつ電源重要度が中間又は高い場合には、ダウンした非常用電源60が再起動した場合に、当該スイッチ部3を投入する。
【0082】
なお、電源部4が、前述したコンデンサを備えることで、非常用電源60が再起動するまでの制御部5に対するバックアップ電源として機能させることができ、非常用電源60がダウンしている間であっても、スイッチ部3であるリレーの励磁が解除されることなく、スイッチ部3の投入状態を維持することができる。そして、ダウンした非常用電源60が再起動した場合に、電源重要度の低い差込口1に対応するスイッチ部3のみを開放することになる。
【0083】
また、制御部5は、IPネットワーク接続部6を介して家庭内LAN及びインターネット300に接続し、通信するための通信回路5cを備える。
この通信回路5cは、IPアドレス記憶部7に記憶されたIPアドレスを用いて家庭内LAN及びインターネット300に接続する。
【0084】
また、制御部5は、計測部8により計測した値に基づいて差込口1に接続された電気機器400への通電状態を示す情報(電流波形、消費電流の平均値、ピーク値、実効値、波高率、波形率、時定数、周期内の通電時間及びピーク位置、電圧と消費電流との位相差や、時間差及び力率などの特徴量)を演算する駆動計測回路5aを備える。
【0085】
この駆動計測回路5aは、接続された電気機器400への通電状態の変化から当該電気機器400の状態を検出する図示しない状態検出手段を備える。また、駆動計測回路5aは、接続された電気機器400への通電状態を示す情報から当該電気機器400の消費電力量を積算する図示しない消費電力量積算手段と、この消費電力積算手段により積算された電気機器400の消費電力量を累積した値を使用電力量として記憶する図示しない使用電力量記憶手段とを備える。さらに、駆動計測回路5aは、通信回路5cにより取得した制御情報に基づいてスイッチ部3を制御する図示しないリレー制御手段を備える。
【0086】
また、制御部5は、ホームサーバ40や情報端末装置200などの他の装置へ各種情報を提供したり、これらの他の装置から制御情報を取得したりするためのウェブページを、これらの他の装置へ提供するウェブサーバ部5dを備える。
【0087】
すなわち、制御部5は、電源重要度設定部5bに予め設定された電源重要度に応じて、スイッチ部3を自律で制御するのみならず、ホームサーバ40や情報端末装置200などの他の装置から送信される制御情報に基づいて、スイッチ部3を制御することもできる。
【0088】
なお、ウェブページとは、インターネットやイントラネットなどのIPネットワークで標準的に用いられるWWW(World Wide Web)システムを使用して、他の装置に提供されるものであり、他の装置は、このウェブページを閲覧するためのアプリケーションソフトウェアであるウェブブラウザを備える。このウェブブラウザは、一般的に広く普及しており、IPネットワークに接続されるパソコンや携帯電話に標準的に装備されている。
【0089】
例えば、図9(a)に示すように、ウェブサーバ部5dから情報端末装置200に提供されるウェブページ210には、スイッチ部3の投入又は開放の切り換え(電源ON・OFF管理)を指定するラジオボタン211、ラジオボタン211により指定された内容を制御情報として電源管理コンセント10に送信するための送信ボタン212、制御部5によるスイッチ部3の制御状態(現在の状態)を示す情報213、駆動計測回路5aの使用電力量記憶手段に記憶された使用電力量(W/h)を示す情報214が表示されている。
【0090】
また、ウェブページ210には、後述する状態保持機能の有効又は無効の切り換えを指定するラジオボタン215、電源重要度のレベルを指定するラジオボタン216、ラジオボタン215及びラジオボタン216により指定された内容を制御情報として電源管理コンセント10に送信するための決定ボタン217が表示されている。
【0091】
ここで、状態保持機能を有効として指定した場合には、前述したように、停電又は瞬低が発生し、制御部5が、復電した場合に、開閉状態記憶部9に記憶されたスイッチ部3の開閉状態の最新情報に基づき、スイッチ部3を投入又は開放する。
【0092】
また、状態保持機能を無効として指定した場合には、制御部5が復電した場合であっても、スイッチ部3であるリレーの励磁が働かないために、スイッチ部3は停電又は瞬低の発生から開放状態を維持することになる。
【0093】
なお、1個の電源管理コンセント10に対して複数口の差込口1を配設させた場合や、1又は複数口の電源管理コンセント10を住宅100内に複数箇所に配設させた場合には、図9(b)に示すようなウェブページ220によって、各差込口1における使用状態を把握することができる。
【0094】
図9(b)に示すように、ウェブサーバ部5dから情報端末装置200に提供されるウェブページ220には、電源重要度設定部5bに設定された電源重要度のうち、同一レベルに設定された差込口1に対して、電力の供給を一括して遮断するための一括遮断ボタン221、一括して復電するための一括復電ボタン222が表示させている。
【0095】
また、ウェブページ220には、IPネットワーク接続部6によりIPネットワークに接続するためのIPアドレスを入力及び表示するためのテキストボックス223、テキストボックス223に入力された設定値を登録するための登録ボタン224が設けられている。また、テキストボックス223に入力したIPアドレスに対応させ、該当する差込口1を電源管理コンセント10の利用者に対して容易に識別させるための識別情報(例えば、「台所コンセント1」など)を入力及び表示するためのテキストボックス225、テキストボックス225に入力された識別情報を登録するための登録ボタン226が設けられている。
【0096】
なお、ウェブページ220においては、予め登録されたIPアドレス又は識別情報を入力することで、入力されたIPアドレス又は識別情報に対応する差込口1における、電源のON・OFFの状態(対応するスイッチ部3の開閉状態)、電源重要度及び当該差込口1に接続された電気機器400の消費電力(W/h)が表示されると共に、入力された全てのIPアドレス又は識別情報に対応する消費電力の合計が表示される。
【0097】
つぎに、本実施形態に係る電源管理コンセント10の動作について説明する。
以下の説明においては、図6に示す住宅100に配設されるコンセントとして、通常のコンセント70は配設せず、本実施形態に係る電源管理コンセント10のみを配設する場合について説明する。なお、住宅100に通常のコンセント70を配設する場合には、当該通常のコンセント70に接続された電気機器400の使用電流を考慮して、電源重要度を中レベルとする差込口1の個数を調節する(差込口1の電源重要度を中レベルから低レベルに切り換える)必要がある。
【0098】
まず、電源管理コンセント10の利用者は、情報端末装置200を用いて、図9(a)に示すウェブページ210から、電源管理コンセント10の差込口1に接続する電気機器400の種類に応じて、各電源管理コンセント10の差込口1毎の電源ON・OFF管理、状態保持及び電源重要度を設定する。ここでは、初期設定として、電源ON・OFF管理をONとし、状態保持を有効として設定しているものとする。
【0099】
また、電源重要度については、例えば、冷蔵庫、シャワー洗浄機能付便座、テレビ及びエアコンなどの使用できなくても日常生活にそれほど支障を来たさない電気機器400aに対して、接続した電源管理コンセント10の差込口1の電源重要度を低レベル(A系)として設定する。また、サーバなどの使用できないことによる他の装置に対する影響が大きい電気機器400cについては、接続した電源管理コンセント10の差込口1の電源重要度を高レベル(C系)として設定する。また、パソコンやビデオなどの電源重要度を低レベル又は高レベルに設定するまでもない電気機器400bについては、接続した電源管理コンセント10の差込口1の電源重要度を中レベル(B系)として設定する。
【0100】
なお、電源管理コンセント10の利用者は、電源重要度が中レベルである電気機器400bと電源重要度が高レベルである電気機器400bとの総使用電流(ホームサーバ40及びHEMS50の使用電流を含む)が、非常用電源60の容量を超えないように、電源重要度を中レベルとする差込口1の個数を調節する。
【0101】
このように、電源管理コンセント10の差込口1毎に電源重要度が設定され、電源管理コンセント10の差込口1に接続された電気機器400は、商用電源20から電力が供給されている。
【0102】
つぎに、停電又は瞬低が発生した場合を想定する。
停電又は瞬低が発生した場合には、HEMS50が、住宅用分電盤30の電位レベルに基づき、停電又は瞬低を検出し、ホームサーバ40に指令を送り、ホームサーバ40が商用電源20から非常用電源60の運転に切り換える。
【0103】
そして、電源管理コンセント10の位相変化検出部2は、商用電源20から非常用電源60への切り換えに起因する、図8(a)に示すような交流波形の位相のずれを検出し、制御部5に出力する。
【0104】
制御部5は、電源重要度設定部5bに設定された電源重要度に基づき、スイッチ部3を制御する。すなわち、電源重要度が低レベルである場合には、制御部5がスイッチ部3の励磁を解除して開放する。また、電源重要度が高レベルである場合には、制御部5がスイッチ部3の励磁を解除せずに投入状態を維持する。
【0105】
また、電源重要度が中レベルである場合には、制御部5が非常用電源60の運転開始からの経過時間をカウントし、所定時間(例えば、10分)が経過した後に、制御部5がスイッチ部3の励磁を解除して開放する。ただし、所定時間が経過する前に商用電源20に復電した場合には、制御部5がカウントした経過時間をリセットするものとする。
ここで、制御部5は、開閉状態記憶部9に対しても、スイッチ部3への制御信号を出力することで、開閉状態記憶部9は、スイッチ部3の開閉状態の情報を取得する。
【0106】
このように、停電又は瞬低が発生し、商用電源20から非常用電源60の運転に切り換わった直後においては、電源重要度が低レベルの電気機器400aに対して非常用電源60からの電力が供給されることがなく、住宅100内における総使用電流を非常用電源60の容量に収めることができる。
【0107】
すなわち、電源重要度が中レベルである電気機器400bと電源重要度が高レベルである電気機器400bとの総使用電流(ホームサーバ40及びHEMS50の使用電流を含む)が、非常用電源60の容量を超えることがないために、屋内停電の発生を防止することができる。
【0108】
なお、商用電源20が回復(復電)せずに、非常用電源60の運転が長時間にわたる場合には、非常用電源60の充電量が零に近づくことになる。そこで、電源管理コンセント10の制御部5は、非常用電源60の運転開始から所定時間(ここでは、10分)の経過後に、電源重要度が中レベルである差込口1に対応するスイッチ部3を開放する。これにより、電源重要度が高レベルである電気機器400b(ホームサーバ40及びHEMS50を含む)に対して、非常用電源60から電力を供給することが可能な時間を延長させることができる。
【0109】
なお、非常用電源60の運転開始から所定時間(ここでは、10分)の経過時に、非常用電源60の充電量に余力がある場合には、HEMS50の指令により、電源重要度が中レベルである差込口1に対応するスイッチ部3の開放を中断させることもできる。
【0110】
そして、非常用電源60から商用電源20の運転に切り換わり復電した場合には、HEMS50からの指令に基づき、電源管理コンセント10の制御部5は、開閉状態記憶部9に記憶されたスイッチ部3の開閉状態の最新情報を読み出して、当該最新情報に基づき、スイッチ部3の開閉状態を停電又は瞬低前の状態に戻す。これにより、電源管理コンセント10の利用者は、商用電源20に復電した場合に、情報端末装置200を操作して、停電又は瞬低前の開閉状態になるように、電源管理コンセント10のスイッチ部3をそれぞれ投入又は開放するという煩雑さを解消することができる。
【0111】
以上のように、本実施形態に係る電源管理コンセント10においては、停電又は瞬低が発生し、商用電源20から非常用電源60の運転に切り換わる場合に、差込口1毎に予め設定された電源重要度に応じて、スイッチ部3を開放することで、非常用電源60から電力が供給される電気機器400の総使用電流が、商用電源20の容量を超えることがないために、屋内停電の発生を防止することができる。
【0112】
なお、本実施形態に係る電源管理コンセント10においては、計測部8と位相変化検出部2とを備えているが、計測部8に位相変化検出部2の機能を持たせて、位相変化検出部2を削除してもよい。これにより、電源管理コンセント10の製造コストを削減し、位相変化検出部2を配置していた領域を利用することができるために、他の回路素子等を配設するレイアウトの自由度を増すことができる。
【0113】
また、本実施形態に係る電源管理コンセント10においては、1個の電源管理コンセント10に対して、IPアドレス記憶部7に記憶された1つのIPアドレスが設定されているが、1戸の住宅100(ホームサーバ40)に対して、1つのIPアドレスを設定し、1戸の住宅100に配設されたm個(mは1以上の整数)の電源管理コンセント10からなるn個(nは2以上の整数)のスイッチ部3を、1つのIPアドレスによって管理する構成としてもよい。
【0114】
この場合には、他の装置からの制御信号をホームサーバ40が受信し、ホームサーバ40が、該当する電源管理コンセント10の差込口1に対応するスイッチ部3に対して、制御信号(リレー制御信号)を送信する。
【0115】
したがって、電源管理コンセント10は、IPアドレス記憶部7を備える必要はなく、IPネットワーク接続部6とホームサーバ40とを繋ぐ家庭内LANには、IPアドレス信号ではなく、リレー制御信号が送信されることになる。
【0116】
なお、本実施形態においては、ホームサーバ40及びHEMS50を備えた住宅100に、電源管理コンセント10を配設させた例を用いて説明したが、ホームサーバ40及びHEMS50を備えていない住宅等に対しても、本実施形態に係る電源管理コンセント10による作用効果を奏することができる。
【0117】
この場合には、制御部5の駆動計測回路5a、通信回路5c及びウェブサーバ部5d、IPネットワーク接続部6、IPアドレス記憶部7並びに計測部8を、電源管理コンセント10に備える換わりに、電源管理コンセント10の制御基板にディップスイッチやロータリースイッチ等を配設させ、このディップスイッチやロータリースイッチ等により、電源重要度設定部5bに対して電源重要度を手動で選択できる構成とする。
【0118】
また、本実施形態に係る電源管理コンセント10においては、前述した第1の実施形態のように、制御部15(本実施形態においては制御部5)の駆動計測回路15a(本実施形態においては駆動計測回路5a)における位相差検出手段又はインダクタンス成分程度検出手段、高周波成分程度検出手段及び電源重要度判定手段並びに計測部18(本実施形態においては計測部8)により、電源重要度設定部15b(本実施形態においては電源重要度設定部5b)に設定する電源重要度を判定してもよい。
【0119】
また、本実施形態に係る電源管理コンセント10においては、前述した第2の実施形態のように、制御部15(本実施形態においては制御部5)の駆動計測回路15a(本実施形態においては駆動計測回路5a)における周波数特性検出手段及び電源重要度判定手段並びに計測部18(本実施形態においては計測部8)により、電源重要度設定部15b(本実施形態においては電源重要度設定部5b)に設定する電源重要度を判定してもよい。
【0120】
特に、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、二次災害要因家電以外の家電(レトロ家電、情報家電、アンティーク家電)に対する電源重要度を高レベルに設定していたが、駆動計測回路5aの電源重要度判定手段により、レトロ家電に対する電源重要度を中レベルに判定し、電源重要度設定部5bに設定する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】第1の実施形態に係るプラグ受けの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る他のプラグ受けの概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1又は図2に示す駆動計測回路による家電を分類するうえでの基準を説明するための説明図である。
【図4】(a)は銅鉄型トランスの有無を検出するための検出方法を説明するための説明図、(b)はスイッチング電源の有無を検出するための検出方法を説明するための説明図である。
【図5】(a)は銅鉄型トランスを内蔵した電気機器による電圧の周波数特性図、(b)はスイッチング電源を内蔵した電気機器による電圧の周波数特性図、(c)は直接受電の電気機器による電圧の周波数特性図である。
【図6】非常用電源を備えた住宅に本実施形態に係るプラグ受けを適用した一例を示す概略構成図である。
【図7】第3の実施形態に係るプラグ受けの概略構成を示すブロック図である。
【図8】(a)は商用電源から非常用電源に切り替わる際における交流波形の位相のずれを説明するための説明図、(b)は図7に示す電源重要度設定部に設定される設定内容を説明するための説明図である。
【図9】(a)は図6に示す情報端末装置の表示画面に表示されるウェブページの一例を示す説明図、(b)は図6に示す情報端末装置の表示画面に表示されるウェブページの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0122】
1,11 差込口
2,12 位相変化検出部
3,13 スイッチ部
4,14 電源部
5,15 制御部
5a,15a 駆動計測回路
5b,15b 電源重要度設定部
5c 通信回路
5d ウェブサーバ部
6 IPネットワーク接続部
7 IPアドレス記憶部
8,18 計測部
9 開閉状態記憶部
10 電源管理コンセント
20 商用電源
30 住宅用分電盤
40 ホームサーバ
50 HEMS
60 非常用電源
61a バッテリ
61b 電気自動車
62 風力・太陽光ハイブリッド発電システム
70 コンセント
100 住宅
200 情報端末装置
210,220 ウェブページ
211,215,216 ラジオボタン
212 送信ボタン
213,214 情報
217 決定ボタン
221 一括遮断ボタン
222 一括復電ボタン
223,225 テキストボックス
224,226 登録ボタン
300 インターネット
400,400a,400b,400c 電気機器
401 差込プラグ
402 スイッチング電源
402a 整流ブリッジ
402b,402f 電解コンデンサ
402c スイッチング素子
402d 高周波トランス402d
402e ダイオード402e
402g 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の差込プラグを挿入して接続される差込口を有し、商用電源からの電力を当該電気機器に供給するためのプラグ受けにおいて、
停電状態から復電することによる前記商用電源からの交番電流の到達を検出する復電検出部と、
前記商用電源と差込口との電路を開閉するスイッチ部と、
前記交番電流の到達を検出した場合に、所定の設定に基づき、前記スイッチ部を開放する制御部と、
を備えていることを特徴とするプラグ受け。
【請求項2】
前記請求項1に記載のプラグ受けにおいて、
前記差込口近傍に配設され、前記電気機器のインダクタンス成分又は前記商用電源及び電気機器からの交番電流を計測するための計測部を備え、
前記制御部が、前記電気機器のインダクタンス成分又は前記商用電源及び電気機器からの交番電流に基づき、前記電気機器のインダクタンス成分の大きさ又は前記商用電源からの交番電流が前記差込口及び電気機器間を往復伝播することによる当該往復の交番電流による位相差を検出し、当該インダクタンス成分の大きさ又は位相差に基づき、前記所定の設定を行なうことを特徴とするプラグ受け。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載のプラグ受けにおいて、
前記差込口近傍に配設され、前記電気機器の高周波成分を計測するための計測部を備え、
前記制御部が、前記電気機器の高周波成分に基づき、前記電気機器の高周波成分の大きさを検出し、当該高周波成分の大きさに基づき、前記所定の設定を行なうことを特徴とするプラグ受け。
【請求項4】
前記請求項1に記載のプラグ受けにおいて、
前記差込口近傍に配設され、商用電源周波数を変化させて電圧を計測するための計測部を備え、
前記制御部が、前記計測した電圧に基づき、前記電気機器による電圧の周波数特性を検出し、当該周波数特性に基づき、前記所定の設定を行なうことを特徴とするプラグ受け。
【請求項5】
電気機器の差込プラグを挿入して接続される差込口を有し、商用電源又は非常用電源から電力を当該電気機器に供給するためのプラグ受けにおいて、
前記商用電源から前記非常用電源に切り替わる際における交流波形の位相のずれを検出する位相変化検出部と、
前記商用電源及び非常用電源と前記差込口との電路を開閉するスイッチ部と、
前記交流波形の位相のずれを検出した場合に、所定の設定に基づき、前記スイッチ部を開放する制御部と、
を備えていることを特徴とするプラグ受け。
【請求項6】
前記請求項5に記載のプラグ受けにおいて、
前記スイッチ部の開閉状態を記憶する開閉状態記憶部を備え、
前記制御部が、復電した場合に、前記開閉状態記憶部に記憶された前記スイッチ部の開閉状態に基づき、前記スイッチ部を投入又は開放することを特徴とするプラグ受け。
【請求項7】
前記請求項5又は6に記載のプラグ受けにおいて、
前記所定の設定が、電源重要度が低い場合に、前記非常用電源の運転の開始に連動して、前記スイッチ部を開放する設定であり、当該電源重要度が高い場合に、前記スイッチ部の開放を不可とする設定であり、当該電源重要度が中間である場合に、所定の条件に基づき、前記スイッチ部を開放する設定であることを特徴とするプラグ受け。
【請求項8】
前記請求項5乃至7に記載のプラグ受けにおいて、
IPネットワークに接続するためのIPネットワーク接続部と、
前記IPネットワークを介して他の装置からの接続を可能にするためのIPアドレスを記憶するIPアドレス記憶部と、
を備え、
前記制御部が、前記IPネットワークを介して前記他の装置から送信される制御信号に基づいて、前記スイッチ部を投入又は開放することを特徴とするプラグ受け。
【請求項9】
前記請求項8に記載のプラグ受けにおいて、
前記差込口近傍に配設され、前記電気機器の使用電流を計測するための計測部を備え、
前記他の装置が、前記電気機器の使用電流に基づき、前記非常用電源の容量に応じて、前記IPネットワーク接続部に対して、前記スイッチ部の開閉状態を制御するための制御信号を送信し、
前記制御部が、前記IPネットワーク接続部で受信した制御信号に基づいて、前記スイッチ部を投入又は開放することを特徴とするプラグ受け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−17033(P2010−17033A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176240(P2008−176240)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】