説明

プラグ用防塵キャップ

【課題】 プラグに装着するだけでプラグのシール面に付着した塵埃を自動的に擦り落とすことができる防塵キャップを提供する。
【解決手段】キャップ本体21の内部には、筒状のガイド部材22を嵌合固定する。ガイド部材22の内部には、ブラシ部材23をガイド部材22の軸線方向へ移動可能に、かつ回転可能に設ける。ブラシ部材23は、コイルばね24によってブラシ部材23の先端側へ付勢させる。ガイド部材22とブラシ部材23との間には、ブラシ部材23をその移動に伴って回転させる回転手段3を設ける。ブラシ部材23の先端面には、プラグ12がキャップ本体21に所定の位置まで挿入されたとき、プラグ12のシール面12bに突き当たる摺接面23cを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス栓、その他のガス機器のプラグにゴミが付着することを防止するプラグ用防塵キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガス機器のプラグの先端面には、環状のシール面が形成されており、プラグにソケットを接続する場合には、プラグをソケットに挿入する。すると、プラグのシール面がソケットの内部に設けられた接続筒の先端部に押圧接触する。この結果、ソケットがプラグに接続筒を介して連通する。この場合、シール面に塵埃が付着していると、プラグと接続筒との間、ひいてはプラグとソケットとの間の密封性が低下してしまう。そこで、下記特許文献1に記載のものにおいては、プラグにソケットが接続されていないときには、プラグに有底筒状の防塵キャップを装着し、それによってプラグのシール面に塵埃が付着することを防止している。
【0003】
【特許文献1】実開平7−43874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プラグに防塵キャップが装着されていないとき、例えばプラグに接続されたソケットを取り外した後、プラグに防塵キャップを嵌合するまでの間は、シール面が外部に露出しており、シール面に塵埃が付着してしまうことがある。そのような場合には、ソケットに防塵キャップを装着したとしても、塵埃がシール面に付着したまま残ってしまい、プラグとソケットとの次回の接続時にはそれらの間の密封性が低下してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記の問題を解決するために、基端部に底部を有し、先端部が開口した有底筒状のキャップ本体を備え、先端部に環状のシール面が形成されたプラグが上記キャップ本体に所定の装着位置まで挿入されることにより、上記プラグの先端面に形成されたシール面にゴミが付着することを防止するプラグ用防塵キャップにおいて、上記キャップ本体の内部に上記キャップ本体の軸線方向へ移動可能に、かつ回転可能に設けられ、上記キャップ本体が上記プラグに嵌合されるときには、先端部が上記プラグの先端部に突き当たることにより、上記プラグの上記キャップ本体内への挿入に伴って上記キャップ本体の基端側へ移動させられるブラシ部材と、このブラシ部材を上記キャップ本体の基端側から先端側へ向かって付勢する付勢手段とをさらに備え、上記キャップ本体と上記ブラシ部材との間には、上記ブラシ部材の移動に伴って上記ブラシ部材を回転させる回転手段が設けられ、上記ブラシ部材の先端部には、上記プラグの上記キャップ本体への挿入時に上記シール面に当接し、上記ブラシ部材の回転に伴って上記シール面上を摺動する摺接部が設けられていることを特徴としている。
この場合、上記キャップ本体の内部には、上記キャップ本体の内周面に沿って螺旋状に延び、上記キャップ本体の基端側の一端部が上記キャップ本体に固定され、上記キャップ本体の先端側の他端部が上記ブラシ部材に固定された複数の支持体が設けられ、この支持体は、上記キャップ本体の軸線方向への弾性変形に伴って上記他端部が上記一端部に対して上記キャップ本体の周方向へ変位するように弾性変形可能とされ、上記支持体によって上記付勢手段及び上記回転手段が構成されていることが望ましい。特に、上記複数の支持体の一端部が基部に設けられるとともに、上記複数の支持体の他端部が上記ブラシ部材に設けられ、上記支持体、上記基部及び上記ブラシ部材が樹脂によって一体に成形され、上記基部が上記キャップ本体に固定されていることが望ましい。
また、上記摺接部が複数設けられ、複数の摺接部が上記キャップ本体の軸線を中心とする円周上に周方向へ互いに離間して配置されていることが望ましい。特に、上記シール面が上記摺接部に接触してから上記プラグが上記装着位置に達するまでの間における上記ブラシ部材の回転角度が、周方向に隣接する二つの摺接部によって定められる中心角より大きい角度に設定されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、プラグをキャップ本体に挿入するときにブラシ部材がプラグによって押圧移動させられると、ブラシ部材が回転手段によって回転させられる。すると、ブラシ部材の摺接部がプラグのシール面上を周方向に摺動し、シール面に付着した塵埃が擦り落とす。また、キャップ本体からプラグを抜き出すときには、ブラシ本体が付勢手段に付勢されているので、ブラシ本体はその摺接部をシール面に押し付けた状態でプラグと一緒に移動する。そして、この移動に伴ってブラシ本体が回転手段によって回転させられる。したがって、キャップ本体からプラグを抜き出すときにも摺接部がシール面上を摺動する。よって、シール面に付着した塵埃をより一層確実に擦り落とすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図10は、この発明の第1実施の形態を示す。この実施の形態は、ガス栓1のプラグ部12に装着される防塵キャップ2にこの発明を適用したものである。勿論、防塵キャップ2は、ガス栓1のプラグ12以外のガス機器のプラグにも用いることができる。
【0008】
まず、ガス栓1について簡単に述べると、ガス栓1は、ガス栓本体11を有している。ガス栓本体11には、その一側部から突出する突出部が形成されており、この突出部の先端側の大部分がプラグ12とされている。ガス栓本体11の内部には、弁収容孔13、ガス栓本体11の下端面から弁収容孔13の底面まで延びる流入孔14、及び弁収容孔13の内周面からプラグ12の先端面まで延びる流出孔15が形成されている。弁収容孔13に回転可能に収容された弁体16が図2に示す閉位置に位置しているときには、流入孔14と流出孔15との間が弁体16によって遮断され、ガス栓1が閉状態になっている。弁体16をハンドル17によって閉位置から開位置まで回転させると、流入孔14と流出孔15とが弁体16の内部に形成されたガス通路16aを介して連通し、ガス栓1が開状態になる。ガス栓1の開時には、流入孔14から流入したガスが流出孔15から流出する。なお、流入孔14を流出孔とし、流出孔15を流入孔とすることも可能である。
【0009】
プラグ12は、断面円形状をなしており、その内部の軸線上を上記流出孔15が延びている。プラグ12の外周面には、環状の係合溝12aが形成されている。プラグ12の先端面には、先端側へ向かって小径になるテーパ状のシール面12bがその軸線をプラグ12の軸線と一致させた状態で形成されている。プラグ12の先端面には、シール面12bに代えて、あるいはそれとともに、他のシール面を形成してもよい。例えば、シール面12bの外側に形成された環状平面12cをシール面としてもよく、あるいはプラグ12の先端面と流出孔15の内周面との交差部12dにシール面を形成してもよい。
【0010】
次に、この発明に係る防塵キャップ2について詳細に説明すると、防塵キャップ2は、図1〜図5に示すように、キャップ本体21を有している。キャップ本体21は、硬質ゴム等の所定の強度と弾性とを併せもつ材質からなるものであり、円筒部21a及び円筒部21aの基端部(図2において右端部)を閉じる底部21bとを有している。円筒部21aの内径は、プラグ12を挿脱することができるよう、プラグ12の外径とほぼ同一に設定されている。円筒部21aの外周面の基端部には、連結バンド21cの一端部が一体に設けられている。連結バンド21cの他端部は、ガス栓本体11に回動可能に取り付けられている。これにより、キャップ本体21をガス栓本体11に対して回転させて適宜の位置に位置させることができるとともに、キャップ本体21がガス栓本体11から離脱して防塵キャップ2が紛失するような事態を未然に防止することができるようになっている。
【0011】
キャップ本体21の内周面には、周方向へ環状に延びる係合突出部21dが形成されている。この係合突出部21dは、プラグ12をキャップ本体21に所定の装着位置まで挿入すると、プラグ12の係合溝12aに嵌り込むように配置されている。そして、係合突出部21dが係合溝12aに嵌り込むことにより、キャップ本体21がプラグ12に所定の大きさの力で移動不能に装着される。装着状態においては、キャップ本体21がプラグ12の先端部を覆い、シール面12bに塵埃が付着することを防止する。
【0012】
図4及び図5に示すように、キャップ本体21の内部にはガイド部材22が挿入されている。ガイド部材22は、図4〜図7に示すように、有底円筒状をなしており、その底部をキャップ本体21の底部21bに突き当てた状態でキャップ本体21の内周に嵌合固定されている。ガイド部材22は、キャップ本体21と一体に形成してもよい。つまり、キャップ本体21とガイド部材22とを一体に形成し、それをキャップ本体としてもよい。ガイド部材22の周壁部には、長孔状の一対のカム孔22aが形成されている。一対のカム孔22aは、螺旋状に延びており、ガイド部材22の周方向に180°離れて配置されている。カム孔22aは、一つだけ形成してもよく、三つ以上形成してもよい。また、カム孔22aは、ガイド部材22の周壁部をその内周面から外周面まで貫通していているが、必ずしも外周面まで貫通させる必要がなく、内周面に溝として形成してもよい。
【0013】
ガイド部材22の内周には、ブラシ部材23がガイド部材22の軸線方向、つまりキャップ本体21の軸線方向へ移動可能に、かつキャップ本体21の周方向へ回転可能に挿入されている。図4、図5及び図8〜図10に示すように、ブラシ部材23の後端部外周面には、一対のガイド突起23aが形成されている。一対のガイド突起23a,23aは、周方向に180°離れて配置されており、ガイド部材22の一対のカム孔22a,22aにその長手方向へそれぞれ摺動可能に挿入されている。したがって、ブラシ部材23は、ガイド部材22内をその軸線方向へ移動すると、その移動方向に応じて正逆方向へ回転する。これから明らかなように、この実施の形態の防塵キャップ2においては、カム孔22a及びガイド突起23aによって回転手段3が構成されている。
【0014】
ブラシ部材23は、それとガイド部材22の底部との間に配置されたコイルばね(付勢手段)24によってキャップ本体21の基端部側から先端部側へ向かって付勢されている。ブラシ部材23は、防塵キャップ2がプラグ12に装着される前には、コイルばね24の付勢力によってガイド突起23aがカム孔22aの先端部内面に押し付けられ、それによって停止させられている。以下、このときのブラシ部材23の位置を初期位置という。ブラシ部材23が初期位置に位置しているときには、ブラシ部材23の先端面がキャップ本体21の内部に位置している。つまり、キャップ本体21の先端面より基端側に位置している。
【0015】
ブラシ部材23が初期位置に位置している状態において、プラグ12をキャップ本体21に所定位置まで挿入すると、つまりプラグ12を装着位置から所定距離だけ手前の位置まで挿入すると、プラグ12のシール面12bがブラシ部材23の先端面に突き当たる。したがって、プラグ12がブラシ部材23に突き当たってから装着位置に達するまでの間、ブラシ部材23は、その先端面がプラグ12の先端面に突き当たった状態を維持しつつ、コイルばね24の付勢力に抗してキャップ本体21の基端側へ移動させられる。以下、プラグ12が装着位置まで挿入されたときのブラシ部材23の位置を終端位置という。ブラシ部材23は、プラグ12によって初期位置から終端位置まで移動させられるとき、回転手段3によって一方向へ回転させられる。装着位置に位置しているプラグ12をキャップ本体21から抜き出すと、ブラシ部材23がコイルばね24によって終端位置から初期位置まで移動させられる。このときには、ブラシ部材23が回転手段3によって他方向へ回転させられる。
【0016】
ブラシ部材23の先端面には、多数の当接突起23bが形成されている。各当接突起23bは、ブラシ部材23の周方向へ互いに等間隔だけ離間して配置されている。当接突起23bの先端面には、摺接面23cが形成されている。この摺接面23cは、シール面12bと同一のテーパ面の一部によって構成されている。摺接面23cがシール面12bに対してその内周縁から外周縁まで接触することができるよう、ブラシ部材23の径方向における摺接面23cの幅は、シール面12bの幅と同一ないしは若干広く設定されている。したがって、プラグ12がキャップ本体21に挿入されると、各摺接面23cがシール面12bに対してその全幅にわたって接触する。そして、摺接面23cがシール面12bによって押され、ブラシ部材23がプラグ12によってキャップ本体21の基端側へ移動させられる。この実施の形態では、ブラシ部材23のうちの摺接面23cだけがプラグ12に接するようになっているが、プラグ12にシール面12bに加えて他のシール面が形成される場合には、そのシール面に接する摺接面もブラシ部材23に形成される。
【0017】
周方向に隣接する二つの摺接面23c,23cの周方向の間隔、つまりブラシ部材23の軸線と二つの摺接面23c,23cの周方向の中央とを通る線によって形成される形成される中心角α(図9参照)は、ブラシ部材23が初期位置と終端位置との間を移動する間にブラシ部材23が回転手段3によって回転させられる回転角度より小さい角度に設定されている。したがって、ブラシ部材23がプラグ12によって初期位置から終端位置まで移動させられるとき、シール面12b全体が摺接面23cに擦過される。
【0018】
上記構成の防塵キャップ2において、図2及び図4に示すように、いまキャップ本体21にプラグ12が挿入されていないものとする。このときには、ブラシ部材23が初期位置に位置している。プラグ12をキャップ本体21に所定の位置まで挿入すると、シール面12bが摺接面23cに突き当たる。したがって、プラグ12をさらに挿入すると。ブラシ部材23が初期位置から終端位置側へ移動させられる。それに伴ってブラシ部材23が回転させられる。すると、摺接面23cがシール面12b上を摺動する。したがって、シール面12bに付着している塵埃が摺動面23cによって擦り落とされる。しかも、ブラシ部材23が初期位置から終端位置まで移動する間に、シール面12b全体が摺接面23cによって擦過されるから、シール面12b全体から塵埃が擦り落とされる。よって、次回にプラグ12にソケットを装着するときに、プラグ12のシール面12bとソケットとの接触面間に塵埃が介在することを防止することができる。なお、プラグ12をキャップ本体21から抜き出すときにも、シール面12bが摺接面23cによって擦過される。したがって、シール面12bに付着した塵埃をより一層確実に擦り落とすことができる。
【0019】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態については、上記実施の形態と異なる構成だけを説明することとし、上記実施の形態と同様な構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0020】
図11〜図17は、この発明の第2実施の形態を示す。この実施の形態の防塵キャップ2Aにおいては、キャップ本体21及びガイド部材22が硬質の樹脂によって構成されている。また、ガイド部材22が両端が開口した円筒体として形成されており、その基端部がキャップ本体21の内周面の基端部に嵌合固定されている。勿論、この実施の形態においても、キャップ本体21とガイド部材22とを一体に形成してそれをキャップ本体としてもよい。これは、この実施の形態では、プラグ12がガイド部材22に挿入されていること、つまりプラグ12がガイド部材22を介してキャップ本体21に挿入されていることからも明らかであろう。
【0021】
また、この実施の形態においては、上記実施の形態の係合突出部21dに代えて球体4が用いられ、この球体4によってプラグ12とガイド部材22とが係止されている。この係止機構は、周知ものであるのでその構造を簡単に説明すると、図11及び図12に示すように、ガイド部材22の周壁部の先端部には、周方向に等間隔に離間した複数の貫通孔22bが形成されている。この貫通孔22bには、球体4が貫通孔22bの軸線方向へ移動可能に、かつ径方向へ移動不能に挿入されている。図11に示すように、ブラシ部材23が初期位置に位置しているときには、ブラシ部材23の外周面が球体4の内側の端部に突き当たり、球体4の外側の端部をガイド部材22の外周面から外方へ突出させている。図11に示すように、プラグ12がガイド部材22に装着位置まで挿入され、それによってブラシ部材23が終端位置まで移動させられると、ブラシ部材23が貫通孔22bからキャップ本体21の基端側に離間し、球体4が内側へ移動可能になる。球体4が内側へ移動すると、球体4の内側の端部が係合溝12aに嵌り込み、プラグ12とガイド部材22とを互いの軸線方向へ移動不能に係止する。
【0022】
ガイド部材22の外周面には、操作筒25が摺動自在に設けられている。この操作筒25は、コイルばね26によってキャップ本体21の先端側へ向かって付勢されている。図11に示すように、ブラシ部材23が初期位置に位置しているときには、操作筒25の内周面に形成された環状当接面25aが球体4に突き当たって停止している。その一方、ブラシ部材23が終端位置に移動すると、図12に示すように、操作筒25はコイルばね26によってキャップ本体21の先端側へ移動させられ、環状当接面25aが球体4をガイド部材22の内側へ向かって移動させて係合溝12aに嵌り込ませる。しかも、操作筒25は、環状当接面25aがガイド部材22の先端部外周面に形成された環状突出部22cに突き当たって停止する。この状態では、球体4が径方向外側へ移動することを阻止し、球体4の内側の一部が係合溝12aに嵌り込んだ状態を維持する。これによってプラグ12がキャップ本体21に挿入された状態に維持される。
【0023】
プラグ12がキャップ本体21に挿入された状態において、操作筒25をコイルばね26の付勢力に抗して図11に示す位置まで戻すと、球体4が外側へ移動可能になり、係合溝12aから脱出する。この結果、プラグ12がガイド部材22から脱出可能になる。プラグ12をガイド部材22から抜き出すと、それに伴ってブラシ部材23が終端位置から初期位置まで戻って停止する。その後、操作筒25から手を離すと、環状当接面25aがコイルばね26によって球体4に突き当てられ、操作筒25が図11に示す元の位置に維持される。
【0024】
ブラシ部材23の中央部には、これを軸線方向に貫通する貫通孔23dが形成されている。この貫通孔23dには、弁体5が抜け止めされた状態で所定範囲移動可能に設けられている。弁体5は、比較的硬質でかつ弾性を有する材質、例えば硬質ゴムによって構成されている。弁体5の先端面には、先細りのテーパ面51が形成されている。このテーパ面51は、図12に示すように、その径方向の中間部がプラグ12の先端面と内周面との交差部に環状に押し当たるような寸法を有している。一方、キャップ本体21の底部21bの弁体5と対向する中央部には、押圧突出部21eが形成されている。この押圧突出部21eは、プラグ12がガイド部材22に装着位置まで挿入されたとき、弁体5の基端面に突き当たり、弁体5をその軸線方向に弾性的に圧縮変形させた状態でテーパ面51をプラグ12の交差部に突き当てる。
【0025】
ブラシ部材23の先端面には、環状突出部23eが形成されている。この環状突出部23aは、当接突起23bの外周部と一体に形成されている。これにより、球体4が周方向に隣接する二つの当接突起23b,23b間に入り込むことが防止されるとともに、各当接突起23bが補強されている。
【0026】
上記構成の防塵キャップ2Aにおいて、キャップ本体21(ガイド部材22)にプラグ12を装着位置まで挿入すると、プラグ12の係合溝12aに球体4が嵌り込み、プラグ12をガイド部材22に係止する。この状態では、操作筒25をキャップ本体21の基端側へ移動させない限り、プラグ12がキャップ本体21から抜け出ることがない。したがって、キャップ2Aをプラグ12に確実に装着しておくことができる。また、プラグ12をキャップ本体21に挿入すると、弁体5がブラシ部材23と一緒にキャップ本体21の基端側へ移動し、プラグ12が装着位置に達する直前に弁体5の基端面が押圧突出部21eに突き当たる。したがって、プラグ12を装着位置まで挿入すると、押圧突出部21eが弁体5を弾性変形させた状態で、弁体5のテーパ面51をプラグ12の交差部に押し付ける。この結果、プラグ12の開口部が弁体5によって閉じられる。よって、流出孔15からのガス漏れを防止することができる。
【0027】
図18及び図19は、この発明の第3実施の形態を示す。この実施の形態の防塵キャップ2Bにおいては、押圧突出部21eの代わりに付勢手段たるコイルばね6が設けられている。このコイルばね6は、プラグ12が装着位置より所定距離だけ手前の位置まで挿入されると、弁体5の基端面に突き当たり、弁体5をその先端側に向かって付勢するようになっている。したがって、プラグ12が装着位置まで挿入されると、コイルばね6が弁体5をプラグ12の交差部に押し付ける。コイルばね6は、ブラシ部材23が初期位置に位置している当初から弁体5を付勢していてもよい。
【0028】
図20及び図21は、この発明の第4実施の形態を示す。この実施の形態の防塵キャップ2Cにおいては、上記第1実施の形態のガイド部材22、ブラシ部材23及びコイルばね26に代えて、一つの筒状部材30が用いられている。筒状部材30は、全体が樹脂によって一体に成形されており、その軸線をキャップ本体21の軸線と一致させた状態でキャップ本体21に挿入されている。筒状部材30は、キャップ本体21の基端側から先端側へ向かって順次配置された基部31、複数の支持部(支持体)32及びブラシ部(ブラシ部材)33を有している。基部31、支持部32及びブラシ部33は、互いに別体に形成し、そして互いに固定してもよい。
【0029】
基部31は、円板状ないしはリング状に形成されており、キャップ本体21の基端部にその軸線方向へほぼ移動不能に挿入されている。しかも、基部31は、キャップ本体21の底部21bに設けられた突起21fによって回り止めされている。したがって、基部31は、キャップ本体21にほぼ固定状態で設けられている。
【0030】
複数の支持部32は、キャップ本体21の内周面に沿って互いに同一方向へ同一の捩れ角で螺旋状に延びている。キャップ本体21の基端側に位置する支持部32の一端部は、基部31に一体に設けられている。支持部32の他端部は、ブラシ部33に一体に設けられている。支持部32は、弾性変形可能に形成されており、ブラシ部33がキャップ本体21の軸線方向へ移動すると、それに対応して捩れ角が変化するように弾性変形する。支持部がそのように弾性変形すると、支持部32の一端部がキャップ本体21に固定されているので、支持部32の他端部が一端部に対してキャップ本体21の周方向へ回転変位(移動)する。その結果、ブラシ部33が回転する。
【0031】
ブラシ部33は、第1実施の形態のブラシ部材23のうちのコイルばね24が突き当たる部分からキャップ本体21の先端側に位置する部分とほぼ同様の形状をなしている。したがって、ブラシ部33の先端面には、ブラシ部材23の当接突起23b及び摺動面23cに対応する当接突起33a及び摺動面33bが形成されている。勿論、摺動面33bは、プラグ12がキャップ本体21内に所定の位置まで挿入されると、プラグ12のシール面12bに突き当たる。したがって、プラグ12が装着位置までさらに挿入されると、ブラシ部33がプラグ12によってキャップ本体21の基端側へ押圧移動させられる。勿論、このときには支持部32が弾性的に圧縮変形させられる。プラグ12がキャップ本体21から抜き出されると、ブラシ部33が支持部32の弾性力によって元の位置まで戻される。しかも、ブラシ部32は、支持部32によりキャップ本体21の軸線方向への移動に伴って回転させられる。これから明らかなように、この実施の形態においては、支持部32が付勢手段及び回転手段として用いられている。なお、キャップ本体21の内径は、プラグ12の外径とほぼ同一に設定されている。
【0032】
上記構成の防塵キャップ2Cにおいては、上記のように、プラグ12がキャップ本体21に対して挿脱されると、支持部32が弾性変形することにより、ブラシ部33がキャップ本体21の軸線方向へ移動させられる。このとき、支持部32は、その捩れ角が変化するように弾性変形する。つまり、支持部32は、キャップ本体21の軸線方向へ弾性変形すると同時に周方向へ弾性変形する。しかも、キャップ本体21の基端側に位置する支持部32の一端部がキャップ本体21に固定されている。したがって、支持部32が弾性変形すると、支持部32の他端部がキャップ本体21の軸線方向へ移動しながら、周方向へ移動する。この結果、ブラシ部33がキャップ本体21の軸線方向へ移動しながら回転する。よって、ブラシ部33の摺動面33bがプラグ12のシール面12b上を摺動し、シール面12bに付着した塵埃を擦り落とす。
【0033】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、回転手段3がカム孔22aとガイド突起23aとによって構成されているが、周知の他の構造を有する回転手段を採用することも可能である。
また、上記の実施の形態においては、周方向に互いに離間した複数の摺接面23c,33bを形成しているが、摺接面23c,33bを周方向に連続させて環状に形成してもよい。
さらに、摺接部たる摺接面23c,33bをテーパ面の一部によって構成している。つまり、面として形成している。しかし、面として形成することなく、線状又はブラシ状に形成してもよい。また、摺接部をブラシ部材23又はブラシ部33と別体に形成してブラシ部材23又はブラシ部33に固定してもよい。そのような場合、摺接部は、硬質ゴム、スポンジ状の多孔質材等によって構成することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の第1実施の形態たる防塵キャップを備えたガス栓を示す正面図である。
【図2】同ガス栓を、そのプラグに防塵キャップを装着する前の状態で示す正断面図である。
【図3】同ガス栓を、そのプラグに防塵キャップを装着した状態で示す正断面図である。
【図4】同ガス栓のプラグ及び防塵キャップを、防塵キャップをプラグに装着する前の状態で示す拡大断面図である。
【図5】同ガス栓のプラグ及び防塵キャップを、防塵キャップをプラグに装着した状態で示す拡大断面図である。
【図6】同ガス栓において用いられているガイド部材を示す正面図である。
【図7】図6のX−X線に沿う断面図である。
【図8】同ガス栓において用いられているブラシ部材を示す正面図である。
【図9】同ブラシの左側面図である。
【図10】図8のX−X線に沿う断面図である。
【図11】この発明に係るガス栓用防塵キャップの第2実施の形態を、プラグが装着される前の状態で示す正断面図である。
【図12】同第2実施の形態を、プラグが装着された状態で示す正断面図である。
【図13】同実施の形態において用いられているガイド部材を示す正面図である。
【図14】同ガイド部材の右側面図である。
【図15】同実施の形態において用いられているブラシ部材を示す正面図である。
【図16】同ブラシ部材の左側面図である。
【図17】図15のX−X線に沿う断面図である。
【図18】この発明に係るガス栓用防塵キャップの第3実施の形態を、プラグが装着される前の状態で示す正断面図である。
【図19】同第3実施の形態を、プラグが装着された状態で示す正断面図である。
【図20】この発明に係るガス栓用防塵キャップの第4実施の形態を、プラグが装着される前の状態で示す正断面図である。
【図21】同第4実施の形態を、プラグが装着された状態で示す正断面図である。
【符号の説明】
【0035】
2 防塵キャップ
2A 防塵キャップ
2B 防塵キャップ
2C 防塵キャップ
3 回転手段
12 プラグ
12b シール面
21 キャップ本体
23 ブラシ部材
23c 摺接面(摺接部)
24 コイルばね
32 支持部(支持体)
33 ブラシ部(ブラシ部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部に底部を有し、先端部が開口した有底筒状のキャップ本体を備え、先端部に環状のシール面が形成されたプラグが上記キャップ本体に所定の装着位置まで挿入されることにより、上記プラグのシール面にゴミが付着することを防止するプラグ用防塵キャップにおいて、
上記キャップ本体の内部に上記キャップ本体の軸線方向へ移動可能に、かつ回転可能に設けられ、上記キャップ本体が上記プラグに嵌合されるときには、先端部が上記プラグの上記シール面に突き当たることにより、上記プラグの上記キャップ本体内への挿入に伴って上記キャップ本体の基端側へ移動させられるブラシ部材と、このブラシ部材を上記キャップ本体の基端側から先端側へ向かって付勢する付勢手段とをさらに備え、
上記キャップ本体と上記ブラシ部材との間には、上記ブラシ部材の移動に伴って上記ブラシ部材を回転させる回転手段が設けられ、
上記ブラシ部材の先端部には、上記プラグの上記キャップ本体への挿入時に上記シール面に当接し、上記ブラシ部材の回転に伴って上記シール面上を摺動する摺接部が設けられていることを特徴とするプラグ用防塵キャップ。
【請求項2】
上記キャップ本体の内部には、上記キャップ本体の内周面に沿って螺旋状に延び、上記キャップ本体の基端側の一端部が上記キャップ本体に固定され、上記キャップ本体の先端側の他端部が上記ブラシ部材に固定された複数の支持体が設けられ、この支持体は、上記キャップ本体の軸線方向への弾性変形に伴って上記他端部が上記一端部に対して上記キャップ本体の周方向へ変位するように弾性変形可能とされ、上記支持体によって上記付勢手段及び上記回転手段が構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラグ用防塵キャップ。
【請求項3】
上記複数の支持体の一端部が基部に設けられるとともに、上記複数の支持体の他端部が上記ブラシ部材に設けられ、上記支持体、上記基部及び上記ブラシ部材が樹脂によって一体に成形され、上記基部が上記キャップ本体に固定されていることを特徴とする請求項2に記載のプラグ用防塵キャップ。
【請求項4】
上記摺接部が複数設けられ、複数の摺接部が上記キャップ本体の軸線を中心とする円周上に周方向へ互いに離間して配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラグ用防塵キャップ。
【請求項5】
上記シール面が上記摺接部に接触してから上記プラグが上記装着位置に達するまでの間に上記ブラシ部材が回転する角度が、周方向に隣接する二つの摺接部によって定められる中心角より大きい角度に設定されていることを特徴とする請求項4に記載のプラグ用防塵キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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