説明

プラスチックフィルム風船及びその製造方法

【課題】 透明性、伸縮性を備えたポリウレタンフィルムを使用してゴム風船と同等の柔軟性を備えたプラスチックフィルム製風船を提供する。
【解決手段】 ポリウレタンフィルムによる風船フィルム2とポリエチレンフィルムによる剥離フィルム3を擬似接着した風船用フィルム素材を使用し、風船用フィルム素材は風船フィルム2を内側に向けて重合し、風船本体11と空気注入部12を有する風船原型10の外周縁を溶接及び切断を同時に行って溶接線13を形成する。剥離フィルム3は、風船を膨らませる前に風船フィルム2から除去するか又は膨らませる途中で風船フィルム2から剥離してフィルム風船を形成する。フィルム風船は、風船内にゴム風船を密着させたゴム風船のカバーバルーンを形成するか又は風船本体内にギフト用品を封入してラッピングバルーンを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルム風船及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム風船の素材は、ナイロンフィルムやポリエチレンフィルムがよく知られており、自由な形状に形成できることから、ゴム風船とは異なる趣をもった風船が得られることの利点がある。
【0003】
プラスチックフィルムを使用する風船は、2枚のフィルムを重合して風船形状の外周縁部を溶着している。ここで、溶接をする際、溶接部は溶接ラインから溶接と同時に切断することによって溶接代を残さないように形成すると、風船を膨らませた時に、フィルムの継ぎ目となる溶接部分にしわが発生しないものとなる(特許文献1の実施例の説明)。
【0004】
特許文献1で提案されたプラスチックフィルム風船は、プラスチックフィルム風船の内部にゴム風船を収容してゴム風船のカバーの役目を奏させるものであったが(特許文献1の第1図)、逆止弁を利用することによってプラスチックフィルム単独の風船も提案されている(特許文献2)。
【0005】
しかし、プラスチックフィルムは柔軟性に欠ける嫌いがあり、ゴム風船と同じ様な柔軟性のある風船が得られないという問題を抱えていた。ただし、プラスチックフィルム中、ポリウレタンフィルムは、ポリウレタン樹脂の特徴である透明性、伸縮性、ガスバリア性を有しており、何よりも柔軟性に富んでいることから風船の素材として好適なものであるが、ポリウレタン樹脂の柔軟性が災いして、単独でシート又はロールに形成し難いだけでなく、シート又はロールにしたものを切断又は溶接し難いものである。
【0006】
従来から、ポリウレタンフィルムは、柔軟性が異なる他のフィルムに重合させた状態でシート又はロールに形成したものが提供されている。
【0007】
上記したように、ポリウレタンフィルムは、透明性、伸縮性を有していると共にガスバリア性があるから、当該フィルムを使用して風船を作成した場合は、長持ちする風船が得られること、作成から長時間が経過しても透明度に変化が少なく曇らない風船が得られること、風船が球形に膨らむことなどの特質を有しているので、風船の素材として好適なものと言えるが、従来技術において、ポリウレタンフィルムを使用した風船は提案されたことがなかった。
【0008】
これとは別に、従来からゴム風船を使用したラッピングバルーンが知られている。ここでラッピングバルーンとは、風船の内部に縫いぐるみ、花束、菓子などの所謂ギフト用品を封入したものである。ただし、ゴム風船内にギフト用品を封入するには、ラッピング専用装置(例えば、アメリカ特許第4974393号公報記載のラッピング装置など)が必要であり、また、風船内にギフト用品を挿入するにはゴム風船の口部を大きく広げる工程があったりするので、ラッピング装置を操作できるのは特別な技術を持っていることが要求される。このため、ゴム風船内にギフト用品を封入したラッピングバルーンを個人的又は家庭で作成することは到底出来ないものであった。
【0009】
また、従来から知られているナイロンフィルムやポリエチレンフィルムによるプラスチックフィルム風船を使用してラッピングバルーンを形成しても風船が球形に膨らまないという問題が発生する。なぜなら、これらの素材は、伸縮性、柔軟性に些か欠けるものであり、ギフト用品を風船内に挿入してから口部を結束してから風船内部に空気を注入しても風船が球形に形成できないものであった。この点、ゴム風船は、風船内にギフト用品を挿入してから空気の注入によって球形に形成されるが、ゴムはガスバリア性が悪いので風船として長持ちしないだけでなく、空気に触れていると風船の表面が徐々に白く曇ってしまい内容物が見難くなるという問題がある。ラッピングバルーンとしては、ナイロンやポリエチレンによるフィルム又はゴム等いずれの素材も適していないものである。
【0010】
【特許文献1】実公平5−34711号公報
【特許文献2】特開平8−294583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、透明性、伸縮性及びガスバリア性を有するポリウレタンフィルムを使用して、ゴム風船のカバーバルーン又は内部にギフト用品を封入するラッピングバルーンを作成するプラスチックフィルム風船を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
解決手段の第1は、ポリウレタンフィルムによる風船フィルムと剥離フィルムを擬似接着した風船用フィルム素材を使用したフィルム風船であって、上記風船用フィルム素材は上記風船フィルムを内側に向けて風船原型を形成し、該風船原型に風船本体と空気注入部を形成し、上記剥離フィルムは風船を膨らませる前に上記風船フィルムから除去するか又は膨らませる途中で当該風船フィルムから剥離してフィルム風船を形成することを特徴とするものである。
【0013】
解決手段の第2は、解決手段の第1において、風船原型は、空気注入部から風船本体内にゴム風船を挿入し、ゴム風船を上記風船本体内で膨らませて当該風船本体の内側面に密着させてゴム風船のカバーバルーンとすることを特徴とするものである。
【0014】
解決手段の第3は、解決手段の第1において、風船原型は、風船本体内にギフト用品を封入してラッピングバルーンを形成することを特徴とするものである。
【0015】
解決手段の第4は、解決手段の第3において、ギフト用品は、空気注入部から風船本体内に挿入することを特徴とするものである。
【0016】
解決手段の第5は、解決手段の第3において、ギフト用品は、風船本体の底部を開放したギフト用品挿入口から挿入した後当該部分を結束又は熱シールすることを特徴とするものである。
【0017】
解決手段の第6は、ポリウレタンフィルムによる風船フィルムと剥離フィルムを擬似接着した風船用フィルム素材を使用してフィルム風船を製造する方法であって、上記風船用フィルム素材を上記風船フィルムが内側に向くように重合し、所望する風船形状の外周縁に沿って溶接及び切断を同時に行って風船本体と空気注入部を形成する工程を経て風船原型を形成し、該風船原型の上記空気注入部から上記風船本体内に空気を注入してフィルム風船を形成することを特徴とするものである。
【0018】
解決手段の第7は、解決手段の第6において、風船原型は、風船本体の内部にゴム風船を挿入してゴム風船のカバーバルーンとするか又はギフト用品を封入してラッピングバルーンとすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1は、風船を形成する風船フィルムが、ポリウレタンフィルムを使用したものであるから、フィルム風船は、ポリウレタン樹脂の特徴である透明性、伸縮性並びにガスバリア性を備えているので、風船が長持ちすること、製造から長時間経過した場合であっても商品の透明度に変化が少なく曇らないものである。また、伸縮性に優れていることにより、ゴム風船と変わらない感触を持った風船が得られるものである。この他、透明性及び伸縮性を有しているから、ゴム風船のカバーバルーン又は内部にギフト用品を封入したラッピングバルーンを得るのに最適なものとなる。
【0020】
請求項2は、風船原型が有する空気注入部から風船本体内にゴム風船を挿入し、ゴム風船を風船本体内で膨らませてフィルム風船を形成したものであるから、ゴム風船が風船本体内に密着したゴム風船のカバーバルーンとなり、また、ゴム風船の色彩又は模様が風船フィルムを通して目視できる風船が得られるものである。
【0021】
請求項3は、風船本体内にギフト用品を挿入するものであるから、風船内に挿入されたギフト用品を楽しむラッピングバルーンが得られるものである。
【0022】
請求項4は、空気注入部から風船本体内に挿入するものであるから、風船内に挿入されたギフト用品を楽しむラッピングバルーンが得られるものである。
【0023】
請求項5は、風船本体の底部を開放したギフト用品挿入口から風船本体内にギフト用品を挿入するものであるから、比較的大きめなギフト用品を1個又は複数個を挿入することができ、風船内に挿入されたギフト用品を楽しむラッピングバルーンが得られるものである。また、風船の底部を開放して内部にギフト用品を挿入した後当該部分を結束又は熱シールしたものであるが、風船素材のポリウレタンフィルムが伸縮性並びに柔軟性に富んでいるので、結束部を有していても風船内に空気を注入すると風船が球形に膨らみ風船として体裁が整ってくるものである。
【0024】
請求項6は、ポリウレタンフィルムによる風船フィルムと剥離フィルムとを擬似接着した風船用フィルム素材を使用し、風船原型を形成するために風船外周縁を溶断する溶断作業を剥離フィルムとともに行うものであるから、ポリウレタンフィルムを風船素材として活用することができるものである。
【0025】
請求項7は、風船原型は、風船本体の内部にゴム風船を密着させてゴム風船のカバーバルーンとすることができると共に、風船本体の内部にギフト用品を封入してラッピングバルーンとすることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明において、風船の主体を構成する風船用フィルム素材1は、ポリウレタンフィルムによる風船フィルム2とポリエチレンフィルムによる剥離フィルム3とを擬似接着してシート又はロールに加工したものである。
【0027】
本明細書において、2つのフィルムが「擬似接着」しているとは、フィルムどうしが密着していることであって、通常の取扱いではフィルムが分離することはないが、容易に分離することが出来る状態で接着していることである。
【0028】
実施形態において、風船フィルム2は厚み50μのポリウレタン樹脂フィルムを使用しているが、フィルムの厚みは実施例に限定されない。また、剥離フィルム3はポリエチレン樹脂フィルムを使用しているが、ポリウレタン樹脂フィルムと溶着しない性質の素材であれば、実施例以外のフィルムを使用することも可能である。
【0029】
第1実施例
図1から図6は第1実施例を示しており、図1から図4はポリウレタンフィルムから風船を形成する工程を示す工程図、図5は第1実施例のフィルム風船を示す斜視図、図6は風船用フィルム素材を示しており、Aは断面図、Bは溶接部分を示す断面図である。
【0030】
第1実施例は、ポリウレタンフィルムを使用したフィルム風船である。風船用フィルム素材1は、2枚を使用し、互いに風船フィルム2を内側に向けて重合し(図6A)、次いで、図1に示すように、所望する風船形状の外周縁に沿って溶接及び切断を同時に行って第1の風船原型10を形成する。第1の風船原型10には、風船本体11と空気注入部12を形成し、溶接線13に沿って風船用フィルム素材1から分離される。
【0031】
実施形態は、重合したプラスチックフィルムを風船形状の外周縁に沿って溶接及び切断を同時に行っているが、本明細書において、溶接及び切断を同時に行うことを「溶断」と称する場合がある。
【0032】
ポリウレタン樹脂とポリエチレン樹脂の融点は、ポリウレタン樹脂の方がポリエチレン樹脂よりも高いが、風船原型10を形成する時の溶接温度は、ポリウレタン樹脂の溶融温度に設定する。風船用フィルム素材1から分離された風船原型10の溶接線13は、風船フィルム2(ポリウレタンフィルム)及び剥離フィルム3(ポリエチレンフィルム)が共に溶接熱によって溶けた状態になっているが(図6B)、ポリウレタン樹脂とポリエチレン樹脂のフィルム同士は溶着しない特性を備えているから、風船フィルム2同士は接着した状態を維持するが、剥離フィルム3は風船フィルム2から剥離する。
【0033】
第1の風船原型10は、図2に示すように、空気注入部12の先端部を切断して空気注入口12aを形成し、次いで図3に示すように、該空気注入口12aから風船本体11内に空気を注入する。なお、風船内への空気の注入は、空気注入部12を指で押さえハンドポンプ15を使用するとよい。
【0034】
風船本体11内に空気が注入されると風船フィルム2が膨らむが、剥離フィルム3は風船フィルム2の外側に擬似接着されているので、風船フィルム2が膨らんだ時に自身は膨らまず、図4に示すように、風船フィルム2が膨らむ力で剥離フィルム3が当該風船フィルム2から分離して剥がれる。
【0035】
さらに、風船本体11内に空気の注入を続けると、風船フィルム2が膨らんで風船形状が得られるので、図5に示すように、空気注入部12を結束して第1のフィルム風船100が完成する。完成した第1のフィルム風船100は、ポリウレタンフィルムを使用しているので、ポリウレタン樹脂の特徴である透明性及び伸縮性を備えており、ゴム風船と変わらない感触を持った風船が得られるものである。
【0036】
本発明のフィルム風船は、ポリウレタンフィルムによる風船フィルム2とポリエチレンフィルムによる剥離フィルム3とを擬似接着した風船用フィルム素材1を使用し、該風船用フィルム素材1を風船フィルム2が内側になるように重合し、風船用フィルム素材1を重合した状態で風船原型を形成するために風船外周縁を溶断しているので、ポリウレタンフィルムが柔軟性及び伸縮性を備えているが、溶断作業を剥離フィルム3とともに行うことでポリウレタンフィルムを風船素材として活用することができるものである。
【0037】
第2実施例
図7から図9は第2実施例を示しており、図7,図8はフィルム風船の製造工程を示す工程図、図9は第2実施例のフィルム風船を示す斜視図である。
【0038】
第2実施例は、ポリウレタンフィルムによるフィルム風船内にゴム風船を装着するものである。図7において、第2の風船原型20は、重合した風船用フィルム素材(1)から風船形状の外周縁を溶断したものであって、風船本体21及び空気注入部22を形成したものである。ここで、空気注入部22は先端部を切り取り、第2の風船原型20内に挿入するゴム風船24を用意し、次いで、ゴム風船24を空気注入部22から風船本体21内に挿入する(図7a,b,c)。
【0039】
図8において、風船内に空気を注入する時は、ゴム風船24の口部及び風船本体21の空気注入部22を摘んだ状態にしてハンドポンプのノズルをゴム風船24の口部に挿入する。ハンドポンプから空気を注入すると、初めにゴム風船24が膨らみ、外側面が風船本体21の内側面に接合する。ここで、ゴム風船内になおも空気を注入すると、ゴム風船24が風船本体21に密着して当該風船本体21とともに膨らむ。この時、剥離フィルム3は膨らんだ風船フィルム2から剥離する(図8a,b,c)。
【0040】
図9は、第2実施例による第2のフィルム風船200である。風船本体21内のゴム風船24に空気を注入し、空気注入部22を結ぶと第2のフィルム風船200が完成する。第2のフィルム風船200は、透明な風船フィルム2の内側にゴム風船24が密着しており、ゴム風船のカバーバルーンとすることができ、光沢のあるゴム風船の感触を持った風船が得られるものである。なお、風船フィルム2は透明フィルムを使用しているから、ゴム風船24が着色されたもの又はキャラクター等の模様を施したものであれば、ゴム風船24の色彩及び模様が透明な風船フィルム2を通して目視でき興味ある風船が得られるものとなる。
【0041】
第3実施例
図10から図12は第3実施例を示しており、図10はフィルム風船の製造工程を示す第1工程図、図11は同第2工程図、図12は第3実施例のフィルム風船を示す斜視図である。
【0042】
第3実施例は、ポリウレタンフィルムによるフィルム風船内にギフト用品を封入したものである。図10において、第3の風船原型30は、重合した風船用フィルム素材(1)から風船形状の外周縁を溶断したものであって、風船本体31及び空気注入部32を形成したものである(図10a)。
【0043】
空気注入部32は、空気を注入する口部であるとともにギフト用品34を風船内に挿入する口部となるものであるから、第1及び第2実施例の場合よりも口径を大に形成している。風船原型30には、風船を膨らませる前にギフト用品34を挿入する(図10b)。上記空気注入部32は、フィルム素材が伸縮性に富んでいるので注入口の2倍以上の大きさのギフト用品34を風船内部に挿入できるものとなる。風船内にギフト用品が挿入されたら、空気注入部32から風船本体31内にハンドポンプ15を使用して空気を注入する(図10c)。なお、ギフト用品34は、縫いぐるみ、花束、菓子などであり、風船内に挿入できる大きさであれば任意のものでよい。
【0044】
次に、風船本体31内に空気を注入して風船本体31を所望の大きさに膨らませたら(図11a)、空気注入部32を結び、風船内にギフト用品を風に有した第3のフィルム風船300を形成する(図11b)。
【0045】
図12は、第3実施例による第3のフィルム風船300を示しており、空気注入部32の結束部に装飾リボン301を結び付けてギフト用風船に形成するものであり、風船内に封入されたギフト用品34が楽しみなラッピングバルーンが得られるものである。
【0046】
第4実施例
図13から図18は第4実施例を示しており、図13から図17はフィルム風船を形成する工程を示す工程図、図18は第4実施例のフィルム風船を示す斜視図である。
【0047】
第4実施例は、ポリウレタンフィルムによるフィルム風船内にギフト用品を封入したものである。図13において、第4の風船原型40は、重合した風船用フィルム素材(1)から風船の底部を残して風船外周縁を溶断したものであって、風船本体41及び空気注入部42を形成したものである(図13a)。ここで、第4の風船原型40は、風船本体41の底部を開放してギフト用品挿入口43を形成し、ギフト用品44を当該ギフト用品挿入口43から風船内に挿入するようにしている。また、ギフト用品挿入口43の近傍に開口部を狭めて窪みを形成した折り部45を形成している。ここで折り部45は、風船本体41の底部を閉塞するときに当該底部を折り畳む位置の目安として機能している(図13b,c)。
【0048】
風船本体41の底部となるギフト用品挿入口43から風船内に縫いぐるみ、花束又は菓子などのギフト用品44を挿入し、同時に剥離フィルム3を剥がす。次いで、折り部45の中央部を谷折りし、谷折りした折り目と下向きになった底部開口縁の中間部分を谷折りして底部開口縁を上向きに折り返す(図14a,b)。
【0049】
次に、ギフト用品挿入口43を閉塞する。折り畳まれたギフト用品挿入部43は、出来るだけ狭い幅で山折りと谷折りを繰り返して折り畳む、所謂ジグザグ折りを行い(図15a,b,c)、ジグザグ折りされた当該折畳み部46は、結束バンド47を使用して固定する(図16a)。ここで、結束バンド47は、バンド部分に歯形が形成されていて、バンド端部に設けたバンド通し穴にバンドを通すと歯形がバンド通し穴に係合して抜け出なくなるものであって、市販されているものが使用できる。なお、結束バンド47は、折畳み部46を固定した後は余分な部分を切断して体裁を整える(図16b,c)。
【0050】
実施形態では、風船本体41の底部を閉塞するために、当該底部をジグザグ折りして結束バンド47で結束しているが、ギフト用品挿入部43を閉塞する手段は実施形態に限定されないものであり、例えば、ギフト用品挿入部43を熱シールしてから結束バンド47で結束する手段も可能となる。また、既に説明したとおり、風船素材が伸縮性に富んでいるのでギフト用品挿入部43は大きく広げることが出来るので、当該ギフト用品挿入部43から挿入するギフト用品44が大きなものであっても挿入可能となっている。
【0051】
風船本体41内にギフト用品44が挿入され、風船底部となるギフト用品挿入口43が閉塞された後に、空気注入部42からハンドポンプを使用して風船本体41内に空気を注入する。風船本体41が所望の大きさに膨らんだら、空気注入部42を結んで第4のフィルム風船400を形成する(図17)。なお、第4のフィルム風船400は、風船の底部を結束したものであるが、風船素材のポリウレタンフィルムが伸縮性並びに柔軟性に富んでいるので、結束部を有していても風船内に空気を注入すると風船が球形に膨らみ風船として体裁が整ってくるものである。
【0052】
図18は、第4実施例による第4のフィルム風船400を示しており、空気注入部42をカップ付きスティック401に固定し、また、ギフト用品挿入口43の閉塞部(折畳み部46)に装飾リボン402などを結び付ければ、ラッピングバルーンとして体裁のよいものが得られる。
【0053】
以上説明したように、本発明は、ポリウレタンフィルムを使用して風船を形成したものであって、ポリウレタン樹脂の特徴である透明性及び伸縮性を生かした風船が得られるので、ゴム風船のカバーバルーンや内部にギフト用品を封入したラッピングバルーンとして最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第1工程図であり、風船用フィルム素材から風船原型を形成する工程図。
【図2】第1実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第2工程図であり、風船原型から空気注入口を形成する工程図。
【図3】第1実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第3工程図であり、空気注入口から風船内部に空気を注入する工程図。
【図4】第1実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第4工程図であり、空気注入中に剥離フィルムを取去る工程図。
【図5】第1実施例において製造した第1のフィルム風船を示す斜視図。
【図6】風船用フィルム素材の詳細を示しており、Aは断面図、Bは溶接部分を示す断面図。
【図7】第2実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第1から第3工程図であり、風船内部にゴム風船を挿入する工程図。
【図8】第2実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第4から第6工程図であり、空気注入口から風船内部に空気を注入する工程図。
【図9】第2実施例において製造した第2のフィルム風船を示す斜視図。
【図10】第3実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第1から第3工程図であり、風船内部にギフト用品を挿入する工程図。
【図11】第3実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第4から第5工程図であり、空気注入口から風船内部に空気を注入する工程図。
【図12】第3実施例において製造した第3のフィルム風船を示す斜視図。
【図13】第4実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第1工程図であり、風船内部にギフト用品を挿入する工程図。
【図14】第4実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第2工程図であり、風船底部を折畳む工程図。
【図15】第4実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第3工程図であり、風船底部をジグザグ状に折畳む工程図。
【図16】第4実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第3工程図であり、風船底部を結束する工程図。
【図17】第4実施例におけるフィルム風船の製造工程を示す第4工程図であり、空気注入口から風船内部に空気を注入する工程図。
【図18】第4実施例において製造した第4のフィルム風船を示す斜視図。
【符号の説明】
【0055】
1 風船用フィルム素材
2 風船フィルム
3 剥離フィルム
10 第1の風船原型
11 風船本体
12 空気注入部
13 溶接線
15 ハンドポンプ
100 第1のフィルム風船
20 第2の風船原型
21 風船本体
22 空気注入部
24 ゴム風船
200 第2のフィルム風船
30 第3の風船原型
31 風船本体
32 空気注入部
34 ギフト用品
300 第3のフィルム風船
301 装飾リボン
40 第4の風船原型
41 風船本体
42 空気注入部
43 装飾品挿入口
44 装飾品
45 折り部
46 折畳み部
47 結束バンド
400 第4のフィルム風船
401 カップ付きスティック
402 装飾リボン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフィルムによる風船フィルム(2)と剥離フィルム(3)を擬似接着した風船用フィルム素材(1)を使用したフィルム風船であって、上記風船用フィルム素材は上記風船フィルムを内側に向けて風船原型を形成し、該風船原型に風船本体と空気注入部を形成し、上記剥離フィルムは風船を膨らませる前に上記風船フィルムから除去するか又は膨らませる途中で当該風船フィルムから剥離してフィルム風船を形成することを特徴とするプラスチックフィルム風船。
【請求項2】
風船原型は、空気注入部から風船本体内にゴム風船を挿入し、ゴム風船を上記風船本体内で膨らませて当該風船本体の内側面に密着させてゴム風船のカバーバルーンとすることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックフィルム風船。
【請求項3】
風船原型は、風船本体内にギフト用品を封入してラッピングバルーンを形成することを特徴とする請求項1に記載のプラスチックフィルム風船。
【請求項4】
ギフト用品は、空気注入部から風船本体内に挿入することを特徴とする請求項3に記載のプラスチックフィルム風船。
【請求項5】
ギフト用品は、風船本体の底部を開放したギフト用品挿入口から風船本体内にギフト用品を挿入した後当該部分を結束又は熱シールすることを特徴とする請求項3に記載のプラスチックフィルム風船。
【請求項6】
ポリウレタンフィルムによる風船フィルム(2)と剥離フィルム(3)を擬似接着した風船用フィルム素材(1)を使用してフィルム風船を製造する方法であって、上記風船用フィルム素材を上記風船フィルムが内側に向くように重合し、所望する風船形状の外周縁に沿って溶接及び切断を同時に行って風船本体と空気注入部を形成する工程を経て風船原型を形成し、該風船原型の上記空気注入部から上記風船本体内に空気を注入してフィルム風船を形成することを特徴とするプラスチックフィルム風船の製造方法。
【請求項7】
風船原型は、風船本体の内部にゴム風船を挿入してゴム風船のカバーバルーンとするか又はギフト用品を封入するラッピングバルーンとすることを特徴とする請求項6に記載のプラスチックフィルム風船の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−94352(P2010−94352A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268631(P2008−268631)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(391004263)宝興産株式会社 (3)
【Fターム(参考)】