説明

プラスチック光ファイバコード

【課題】 配線作業を容易に行うことができ、コネクタに取り付けた後の光軸のずれの問題を解消したプラスチック光ファイバコードを提供する。
【解決手段】 プラスチック光ファイバ2同士は、連接用ブリッジ3を介して接続されている。各プラスチック光ファイバ素線2aの端部に、コネクタへの挿入のためのテーパ部15が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールで使用されるプラスチック光ファイバコードに関し、特に、テレビ内配線等の映像関連光リンクシステムに適したプラスチック光ファイバコードに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバのうちプラスチック光ファイバは、素材が全てプラスチックで構成されているため、伝送損失が石英系光ファイバと比較してやや大きいという短所を有するものの、軽量で加工性が良く、また、低コストで製造可能であるという長所を有しており、光通信の送受を行う各種の光モジュールにおいて、その伝送損失が問題にされない近距離の光伝送路として多用されている。
【0003】
特許文献1には、光モジュールで使用されるプラスチック光ファイバコードとして、4本の光ファイバを並べて、合成樹脂製のテープ化材によってテープ状に一括被覆したものが適することが記載されている。
【0004】
また、プラスチック光ファイバコードには、接続のためのコネクタが取り付けられるが、このようなコネクタとして、特許文献2には、プラスチック光ファイバから保護層が剥離されたプラスチック光ファイバ素線を挿入する素線挿入孔と、保護層を含んだ本体部分を挿入する本体挿入部とが設けられているものが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−10837号公報(例えばその図5)
【特許文献2】特開平7−63917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プラスチック光ファイバコードをテレビ内配線などに使用するに際しては、配線作業を容易に行えることが課題となっている。
【0007】
また、プラスチック光ファイバコードの端部にコネクタを取り付けるに際し、プラスチック光ファイバ素線が挿入されるコネクタの素線挿入孔は、通常、プラ素線径よりも大きい径とされていることから、素線およびコネクタの公差によって、素線中心と光源中心とがずれて伝送率に影響を与えるという問題があり、取付け後のプラスチック光ファイバコードの光軸のずれ解消が課題となっている。特許文献2のものでは、詰め体を使用することで、プラスチック光ファイバの本体部分のコネクタ(口金)に対する動きが防止されているが、コネクタの素線挿入孔内におけるプラスチック光ファイバ素線の動きは防止されておらず、光源中心に対して素線中心がずれるという問題を解消する点では十分なものとなっていない。
【0008】
本発明は、配線作業を容易に行うことができ、コネクタに取り付けた後の光軸のずれの問題を解消したプラスチック光ファイバコードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によるプラスチック光ファイバコードは、複数本のプラスチック光ファイバをテープ状に一体化したプラスチック光ファイバコードにおいて、プラスチック光ファイバ同士は、連接用ブリッジを介して接続されており、各プラスチック光ファイバの端部に、コネクタへの挿入のためのテーパ部が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
プラスチック光ファイバ(以下「POF」と称することがある)は、重合体をマトリックスとする有機化合物からなるコアと、コアと屈折率が異なる(一般的には低屈折率の重合体)からなるクラッドと、複数層の樹脂製保護層とからなるものとされる。POFは、高い屈折率を有する材料をコアに、低い屈折率を有する材料をクラッドにもつ2層構造から構成されるステップインデックス(SI)型と称されるものであってもよく、また、中心から外側(半径方向)に向かって屈折率の大きさに分布を有するコアを備えたグレーデッドインデックス(GI)型と称されるものであってもよい。GI型にすることにより、より高速な通信が可能となる。
【0011】
プラスチック光ファイバ同士を連接用ブリッジを介して接続するには、例えば、コア、コアを囲むクラッドおよびクラッドを囲む第1保護層からなり並列に配置されたプラスチック光ファイバ素線に押出成型によって第2保護層および連接用ブリッジを形成すればよい。
【0012】
クラッドを囲む保護層は、3層以上とされることがあり、この場合、最外層のものが第2保護層に相当し、連接用ブリッジは、この最外層の保護層に一体に形成され、第1保護層は、複数の層からなっていてもよい。なお、この明細書においては、プラスチック光ファイバ(POF)は、最外の保護層までを含むものとし、コネクタの取付けのために少なくとも最外の保護層が剥離されたプラスチック光ファイバ(POF)は、プラスチック光ファイバ(POF)素線と称している。
【0013】
従来のプラスチック光ファイバコードは、横一列の偏平状態が保持されるようにPOFが樹脂で固められた構造とされているのに対し、この発明によるプラスチック光ファイバコードでは、POF同士が第2保護層と厚みがほぼ等しい連接用ブリッジを介して接続される。このようにすると、連接用ブリッジが可撓性を有していることで、プラスチック光ファイバコードを偏平な状態として扱うことができるだけでなく、円形孔を通す場合などには、まるまった状態に変形させることができる。また、連接用ブリッジは、従来のものに比べて、引き裂きに対する強度が低下するので、プラスチック光ファイバコードを単心のPOFに分離する作業を容易に行うことができる。したがって、テレビ内配線などでの使用に適している。
【0014】
このプラスチック光ファイバコードには、プラスチック光ファイバコードの接続端部が挿入されるコネクタが取り付けられる。この際、プラスチック光ファイバコードの接続端部は、最外の保護層および連接用ブリッジが剥離されて、複数のPOF素線だけからなるものとされ、これに対応して、コネクタには、複数のPOF素線をそれぞれ挿入するための素線挿入孔が並列状に形成される。従来、プラスチック光ファイバコードをコネクタに取り付けるに際しては、最外の保護層を剥離する以外の加工を行うことなく、素線径よりも若干大きい径を有する素線挿入孔に素線を挿入するようになっている。そのため、素線をコネクタに嵌合すると、素線がコネクタに対してずれることによって、素線中心と光源中心とがずれて伝送率に影響を与えるという問題があった。この発明によるプラスチック光ファイバコードでは、各プラスチック光ファイバの端部に、コネクタへの挿入のためのテーパ部が形成されていることで、この問題の解消が図られている。
【0015】
コネクタの素線挿入孔は、プラスチック光ファイバのテーパ部に対応するテーパ状とされてもよく、従来と同様の円筒状であってもよい。
【0016】
プラスチック光ファイバのテーパ部は、コネクタの素線挿入孔が円筒状である場合には、先端径がコネクタの素線挿入孔の径よりも小さく、最大径がコネクタの素線挿入孔の径よりも大きくなされ、コネクタの素線挿入孔がテーパ状である場合には、コネクタの素線挿入孔に対応したテーパ角および径を有するものとされる。したがって、POF素線のテーパ部がコネクタの素線挿入孔に挿入されると、POF素線は、コネクタの素線挿入孔に嵌まり合ってこれと同心となり、POF素線とコネクタとのずれがなくなり、プラスチック光ファイバ素線のコアと光源中心との光軸が一致して、伝送率の高いプラスチック光ファイバコードユニットが得られる。
【0017】
この発明によるプラスチック光ファイバコードにおいて、各プラスチック光ファイバは、コア、コアを囲むクラッド、クラッドを囲む第1保護層および第1保護層を囲む第2保護層からなり、連接用ブリッジは、第2保護層に一体に形成されており、テーパ部は、少なくとも第2保護層が剥離されたプラスチック光ファイバ素線の第1保護層に形成されていることが好ましい。このようにすることで、連接用ブリッジの形成、第2保護層の剥離および第1保護層へのテーパ部の形成を容易に行うことができ、製造工程の簡素化が可能となる。保護層が3層以上ある場合、剥離される層の数は、1以上で適宜変更することができ、残った部分(第1保護層)にテーパ部が形成される。第1保護層へのテーパ部の形成は、例えば、テーパ状の研削面が形成されかつ素線の先端部が嵌め入れられる凹部を有するテーパ加工用回転砥石を使用して、素線1本ごとに行えばよい。テーパ加工においては、テーパ部の先端で第1保護層の70%程度を加工することが好ましく、また、テーパ部の軸方向長さは、第1保護層の直径の1/3程度が望ましい。第1保護層は合成樹脂製とされるので、回転砥石を使用してのテーパ加工を容易に行うことができる。テーパ加工は、回転砥石を使用した切削などの機械的な処理の他に、熱処理的な加工処理によっても実施することができる。
【0018】
POFの心数は、限定されないが、通常、取扱い易さの点で20心以下である。POFのコア径は、例えば100μm以上300μm以下とされる。また、POF素線の径は、2mm以下とされる。
【0019】
コアおよびクラッドとして使用されるプラスチックの種類は、透明性が高く光伝送に用いることができるものであれば限定されない。例えば、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの重合体、スチレン系モノマーの重合体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとして、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル等;スチレン系モノマーとして、スチレン(St)、α−メチルスチレン、クロロスチレン(ClSt)、ブロモスチレン等が挙げられ、これらの共重合体でも構わない。その他共重合成分として、ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート等のビニルエステル類;N―n−ブチルマレイミド、N―tert−ブチルマレイミド、N―イソプロピルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類等が例示される。その他、ポリカーボネート系プラスチック、シクロオレフィン系プラスチック、非晶フッ素系プラスチックなどを用いることもできる。
【0020】
POFを被覆する第1保護層、第2保護層および連接用ブリッジを形成する合成樹脂としては、特に限定されないが、プラスチック光ファイバコードの用途に必要な、強度、難燃性、柔軟性、耐薬品性、耐熱性等を満足するものを選択することが好ましい。例えば、塩化ビニル系樹脂、塩素化塩化ビニル系樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩ビ−エチレン−酢酸ビニル共重合体等、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリカーボネート等を主成分とするもの等が挙げられる。
【0021】
連接用ブリッジは、複数のケーブルが水平面上に横一列に配置された場合の底面(最下点)または頂面(最上点)に設けられてもよく、また、上下のちょうど中央(各ケーブルの中心軸と同じレベル)に設けられてもよく、底面または頂面と上下のちょうど中央との間の任意の位置に設けられてもよい。各連接用ブリッジは、通常、同じ位置(全ての連接用ブリッジが同じ面内に位置するよう)に設けられるが、これに限定されるものではない。
【0022】
なお、連接用ブリッジは、複数のケーブルが水平面上に横一列に配置された場合の底面(最下点)または頂面(最上点)に設けられる場合、複数のケーブルをまるまった状態に変形させる形態としては、複数のケーブルが連接用ブリッジの外側にくるようにしてまるまった状態に変形させるようにしてもよいし、複数のケーブルを連接用ブリッジの内側にくるようにしてまるまった状態に変形させるようにしてもよい。
【0023】
このプラスチック光ファイバコードは、種々の用途に使用することができるが、光ファイバを介して光信号を伝送する光伝送装置(光リンクシステム)における映像信号伝送用に適しており、配線スペースの制約が厳しいテレビ内配線などに特に適している。テレビ内配線で使用される場合、POFの波長としては、500〜850nmであることが好ましく、500〜750nm(可視光線)であってもよいし、780〜850nmの光源(赤外線)であってもよい。
【発明の効果】
【0024】
この発明のプラスチック光ファイバコードによると、プラスチック光ファイバ同士が連接用ブリッジを介して接続されているので、テレビ内配線等の映像関連光リンクシステムにおける配線作業を容易に行うことができる。また、各プラスチック光ファイバの端部にコネクタへの挿入のためのテーパ部が形成されているので、テーパ部がコネクタの素線挿入孔に挿入されると、プラスチック光ファイバの素線は、コネクタの素線挿入孔に嵌まり合ってこれと同心となり、素線とコネクタとのずれがなくなり、プラスチック光ファイバ素線のコアと光源中心との光軸が一致する。これにより、コネクタに取り付けた後の光軸のずれの問題が解消し、伝送率の高いプラスチック光ファイバコードユニットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明によるプラスチック光ファイバコードの1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、同横断面図である。
【図3】図3は、コネクタに取り付けられたプラスチック光ファイバコードの要部を示す縦断面図である。
【図4】図4は、本発明によるプラスチック光ファイバコードのテーパ部を得る工程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、図2の上下を上下といい、図2の左右を左右というものとする。
【0027】
図1から図4までは、この発明によるプラスチック光ファイバコードの1実施形態を示している。
【0028】
プラスチック光ファイバコード(1)は、POF(プラスチック光ファイバ)(2)と、POF(2)同士を連接する連接用ブリッジ(3)とからなる。
【0029】
複数のPOF(2)は、隣り合うもの同士の間に所定間隔をおいて横一列に偏平状態で配置されており、連接用ブリッジ(3)は、このようにして配置された各POF(2)の上下のちょうど中央同士をつなぐように設けられている。
【0030】
すべてのPOF(2)は、同じ形状であり、連接用ブリッジ(3)もすべて同じ形状とされている。
【0031】
このプラスチック光ファイバコード(1)は、水平面、垂直面などに沿わせて設置した場合、複数のPOF(2)が横一列に配置され、偏平状態での使用が可能となる。プラスチック光ファイバコード(1)は、複数のPOF(2)がまるまった状態に変形させることが容易であり、このように変形させることで、このプラスチック光ファイバコード(1)を孔に通す作業を容易に行うことができる。
【0032】
各POF(2)は、重合体をマトリックスとする有機化合物からなるコア(11)と、コアと屈折率が異なる(一般的には低屈折率の重合体からなる)クラッド(12)と、これらを保護するオーバークラッド(第1保護層)(13)およびジャケット(第2保護層)(14)とからなる。連接用ブリッジ(3)は、ジャケット(14)と一体に形成されている。
【0033】
プラスチック光ファイバコード(1)は、コア(11)、コア(11)を囲むクラッド(12)およびクラッド(12)を囲むオーバークラッド(13)からなる素線(2a)を並列に配置して、押出成型によってこれらの素線(2a)にジャケット(14)を被覆して、ジャケット(14)同士を連接用ブリッジ(3)で接続することで形成される。
【0034】
このプラスチック光ファイバコード(1)は、高速の伝送速度を得ることができるように、4本のPOF(2)からなる4心テープ構造とされている。ただし、従来の4心コードは、4本が横一列の偏平状態が保持されるように樹脂で固めた構造とされているのに対し、このプラスチック光ファイバコード(1)によると、図1および図2に示す横一列の偏平状態と、この状態から、内側の2本のPOF(2)を上に、外側の2本のPOF(2)を下に並べた二列二層のまるまった状態とに変形可能となっている。
【0035】
テレビ内配線等では、4心テープ構造のプラスチック光ファイバコード(1)を端部または適宜な中間部で2心または単心とすることがあり、各連接用ブリッジ(3)を裂くことで、4心テープ構造を容易に単心に分離することができる。
【0036】
図1および図3は、プラスチック光ファイバコード(1)の接続端部を示しており、プラスチック光ファイバコード(1)には、図3に示すように、接続のためのコネクタ(21)が取り付けられる。この際、プラスチック光ファイバコード(1)の接続端部は、ジャケット(14)および連接用ブリッジ(3)が剥離されて、複数のPOF素線(2a)だけからなるものとされる。コネクタ(21)は、プラスチック光ファイバコード(1)の接続端部が強制的に挿入されるものとされており、コネクタ(21)には、プラスチック光ファイバコード(1)の接続端部に対応して、複数のPOF素線(2a)をそれぞれ挿入するように並列状に形成された断面円形の(円筒状の)素線挿入孔(22)と、プラスチック光ファイバコード(1)の本体部分(非剥離部分)の端部を挿入するための本体挿入部(23)とが設けられている。
【0037】
ここで、従来のものでは、POF素線の径が素線挿入孔(22)の径よりも小さくなされて、断面円形のPOF素線が断面円形の素線挿入孔(22)に若干の遊びがあるように挿入されている。そのため、素線がコネクタ(21)に対してずれることによって、コネクタ(21)に位置合わせされている光源(24)に対して、素線中心がずれるという問題があった。
【0038】
この問題を解消するために、この発明によるプラスチック光ファイバコード(1)では、プラスチック光ファイバコード(1)の接続端部において、各POF素線(2a)の端部に、コネクタ(21)への挿入のためのテーパ部(15)が形成されている。テーパ部(15)は、ジャケット(14)が剥離された後のPOF素線(2a)の端部におけるオーバークラッド(13)に形成されている。
【0039】
このテーパ部(15)の形成は、図4に示すように、テーパ状の研削面(32a)が形成されておりかつPOF素線(2a)の先端部が嵌め入れられる凹部(32)を有するテーパ加工用回転砥石(31)を使用し、回転砥石(31)を回転させながら、各POF素線(2a)を1本ずつ凹部(32)内に挿入することで行われる。
【0040】
コネクタ(21)の素線挿入孔(22)は、円筒状であり、これに対応して、テーパ部(15)は、先端径が素線挿入孔(22)の径よりも小さく、最大径が素線挿入孔(22)の径よりも大きくなされている。したがって、POF素線(2a)のテーパ部(15)が素線挿入孔(22)に挿入されると、POF素線(2a)は、素線挿入孔(22)に嵌まり合ってこれと同心となり、POF素線(2a)とコネクタ(21)とのずれがなくなり、POF素線(2a)のコア(11)と光源(24)中心との光軸が一致して、伝送率の高いプラスチック光ファイバコード(1)が得られる。
【0041】
なお、コネクタ(21)の素線挿入孔(22)をPOF素線(2a)のテーパ部(15)に対応したテーパ状としても、同様の効果を得ることができる。また、テーパ部(15)の加工は、図4に示した回転砥石(31)に代えて、図4に示した形状の金型を使用し、加熱した金型にPOF素線(2a)の先端部を挿入して、オーバークラッド(13)部分を溶融させることでも得ることができる。
【0042】
上記のコネクタ(21)は、フラット型とされており、これにより、プラスチック光ファイバコード(1)の接続部分の薄型構造が可能となるが、この発明によるプラスチック光ファイバコード(1)に取り付けられるコネクタは、上記のものに限られず、種々の形態のものを使用することができる。従来のコネクタでは、POF素線(2a)には加工が施されないという前提で、その構成部品に改良が施されているが、POF素線(2a)にテーパ部(15)が設けられているこの発明によるプラスチック光ファイバコード(1)を使用することで、コネクタの簡素化が可能となる。
【0043】
上記プラスチック光ファイバコード(1)は、種々の光モジュールと組み合わせて使用することができ、その用途は限定されないが、高さ制限があって配線スペースの制約が厳しいテレビ内配線等の映像関連光リンクシステムに特に適している。
【0044】
なお、テレビ内配線に使用される場合、POF(2)の波長としては、500〜850nmであることが好ましく、500〜750nm(可視光線)であってもよいし、780〜850nmの光源(赤外線)であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
(1) プラスチック光ファイバコード
(2) POF(プラスチック光ファイバ)
(2a) POF(プラスチック光ファイバ)素線
(3) 連接用ブリッジ
(11) コア
(12) クラッド
(13) オーバークラッド(第1保護層)
(14) ジャケット(第2保護層)
(15) テーパ部
(21) コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のプラスチック光ファイバをテープ状に一体化したプラスチック光ファイバコードにおいて、プラスチック光ファイバ同士は、連接用ブリッジを介して接続されており、各プラスチック光ファイバの端部に、コネクタへの挿入のためのテーパ部が形成されていることを特徴とするプラスチック光ファイバコード。
【請求項2】
各プラスチック光ファイバは、コア、コアを囲むクラッド、クラッドを囲む第1保護層および第1保護層を囲む第2保護層からなり、連接用ブリッジは、第2保護層に一体に形成されており、テーパ部は、少なくとも第2保護層が剥離されたプラスチック光ファイバ素線の第1保護層に形成されていることを特徴とする請求項1のプラスチック光ファイバコード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−276732(P2010−276732A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127124(P2009−127124)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】