説明

プラスミノーゲンを製造するための組成物、方法およびキット;ならびにそれから製造されるプラスミン

プラスミノーゲン、とりわけ組換えプラスミノーゲンを製造するための組成物および方法、ならびにプラスミンを製造するための組成物およびそれの利用方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスミノーゲンの製造方法およびプラスミノーゲン、とりわけ組換えプラスミノーゲンからのプラスミンの製造方法の双方に関する。本発明は、組換えプラスミノーゲンおよび/若しくはそれから製造されるプラスミンを含んでなる組成物およびキットにもまた関する。
【背景技術】
【0002】
大量の比較的純粋なポリペプチドおよびタンパク質の製造は多くの製薬学的製剤の製造に重要である。多くのタンパク質の製造のため、組換えDNA技術が部分的に使用されている。大量の外因性タンパク質を宿主細胞中で発現し得るためである。
【0003】
哺乳動物における主要線維素溶解酵素プラスミンは、血漿中を循環する不活性チモーゲン前駆体プラスミノーゲン由来であるトリプシン様特異性をもつセリンプロテアーゼである。プラスミノーゲンそれ自身はN末端グルタミン酸残基を有する790アミノ酸のポリペプチドである。ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)若しくはウロキナーゼのようなプラスミノーゲンアクチベーターは、Arg560−Val561ペプチド結合で一本鎖プラスミノーゲン分子を切断して活性プラスミンを生じることができる。プラスミンの生じる2本のポリペプチド鎖は2個の鎖間ジスルフィド架橋によりまとめられている。25kDaの軽鎖は触媒中心を保有し、そしてトリプシンおよび他のセリンプロテアーゼと相同である。重鎖(60kDa)は高度に類似のアミノ酸配列をもつ5個の三重ループクリングル構造よりなる。これらのクリングルのいくつかは、フィブリン、α2−アンチプラスミン若しくは他のタンパク質とのプラスミノーゲンおよびプラスミンの相互作用の原因であるいわゆるリシン結合部位を含有する。
【0004】
潜在的血栓溶解剤としてのプラスミンは多数の技術的困難を有する。これらの困難は、その不活性前駆体プラスミノーゲンからプラスミンを生成するのに使用される機能的痕跡量のプラスミノーゲンアクチベーターを相対的に含まない純粋なプラスミンを製造するという困難を包含する。プラスミンの製剤は、典型的に、プラスミノーゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼ若しくはウロキナーゼにより広範囲に汚染されており、従って、血栓溶解活性は、プラスミンそれ自身によりはむしろ汚染するプラスミノーゲンアクチベーターに帰される。汚染するプラスミノーゲンアクチベーターは血栓症の標的化部位以外の全身性出血もまた誘発し得る。プラスミンの臨床使用を制限する別の重要な技術的要因は、広範な特異性をもつセリンプロテアーゼとしてのプラスミンが高度に自己分解および活性喪失しやすいことである。この環境は、高品質プラスミンの生産、使用前の長期貯蔵期間のこの活性プロテアーゼの安定な製剤、および閉塞性血栓に苦しめられるヒト患者へのプラスミンの安全かつ効果的な投与に難しい課題を提供する。
【0005】
製薬学的純度および十分な収量をもたらす組換えプラスミノーゲン若しくは組換えプラスミノーゲンから製造されるプラスミンの調製的単離は当該技術を回避している。従って、組換えプラスミノーゲン、およびプラスミノーゲンアクチベーターにより活性化された組換えプラスミノーゲンから製造されるプラスミンの製造のための組成物および方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
[発明の要約]
今や、プラスミノーゲンを製造するため;およびそれからプラスミンを製造するための
組成物および方法が提供される。
【0007】
一局面において、本発明はプラスミノーゲンの製造方法を提供する。該方法は、陽イオン交換媒体がプラスミノーゲンを結合するのに十分である陽イオン交換条件下で、プラスミノーゲンを含んでなる組成物を陽イオン交換媒体と接触させることを含んでなる。
【0008】
別の局面において、本発明はプラスミノーゲンの製造方法を提供し、該方法は:
(a)組換えプラスミノーゲン封入体を産生させるのに十分な発現条件下で組換え発現系を使用して組換えプラスミノーゲンを発現させること;
(b)可溶化された組換えプラスミノーゲン封入体を得るのに十分な可溶化条件下で組換えプラスミノーゲン封入体を可溶化緩衝液と接触させること;
(c)可溶化された組換えプラスミノーゲン封入体を再折りたたみ条件下で再折りたたみ溶液と接触させて組換えプラスミノーゲンを含んでなる組成物を得ること;
(d)工程(c)の後に該組成物をダイアフィルトレーションすること;
(e)陽イオン交換媒体が組換えプラスミノーゲンを結合するのに十分であるイオン交換条件下で該組成物を陽イオン交換媒体と接触させること;
(f)陽イオン交換媒体により捕捉された組換えプラスミノーゲンを溶出して組換えプラスミノーゲンを含んでなる陽イオン交換媒体溶出液を得ること;
(g)第一のアフィニティー媒体が組換えプラスミノーゲンを結合するのに十分である第一のアフィニティー条件下で陽イオン交換媒体溶出液を第一のアフィニティー媒体と接触させること;および
(h)第一のアフィニティー媒体により結合された組換えプラスミノーゲンを溶出して、組換えプラスミノーゲンを含んでなるプラスミノーゲン溶液を得ること
を含んでなる。
【0009】
他の局面において、本発明はプラスミンの製造方法を提供し、該方法は:
(a)陽イオン交換媒体がプラスミノーゲンを結合するのに十分である陽イオン交換条件下で、プラスミノーゲンを含んでなる組成物を陽イオン交換媒体と接触させること;
(b)プラスミノーゲンをプラスミンに転化するのに十分な活性化条件下で、プラスミノーゲンを活性化溶液中でプラスミノーゲンアクチベーターと接触させること;および
(c)陰イオン交換媒体がプラスミンに関してプラスミノーゲンアクチベーターを優先的に結合するような陰イオン交換条件下で陰イオン交換媒体とプラスミンを接触させることを含んでなる。
【0010】
一局面において、本発明はプラスミンの製造方法を提供する。該方法は、プラスミンを含んでなる組成物を陰イオン交換体と接触させて、それにより、組成物中に存在する場合に、プラスミンのものより低い等電点を有するタンパク質性物質をプラスミンから分離することを含んでなる。
【0011】
本発明の方法に従って製造されるプラスミノーゲンおよび/若しくはプラスミンもまた提供される。
【0012】
本発明の組成物の1種若しくはそれ以上を含んでなるキットもまた提供される。
【0013】
[発明の詳細な記述]
I.プラスミノーゲン
一局面において、本発明はプラスミノーゲンの製造方法を提供し、該方法は:
陽イオン交換媒体がプラスミノーゲンを結合するのに十分である陽イオン交換条件下で、プラスミノーゲンを含んでなる組成物を陽イオン交換媒体と接触させること
を含んでなる。
【0014】
プラスミノーゲンのアミノ酸配列は、天然の配列若しくは遺伝子改変の形態の、および天然であろうと、合成であろうと、若しくは組換えで製造されようと、いかなる供給源からの、限定されるものでないがヒト、マウス、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマおよびトリを挙げることができるいずれの種にも対応し得るか、若しくはそれらに基づくことができる。一態様において、プラスミノーゲンはヒトプラスミノーゲンに対応するか、若しくはそれに基づく。
【0015】
一態様において、プラスミノーゲンは組換えプラスミノーゲンである。
【0016】
A.陽イオン交換クロマトグラフィー
陽イオン交換媒体は組成物中に存在するプラスミノーゲンを結合する固相であり得る。陽イオン交換クロマトグラフィー媒体は、陽イオン交換媒体、好ましくは強陽イオン交換媒体として一般に記述される媒体の群のいずれからも選択し得る。該媒体は、組成物からのプラスミノーゲンの選択的若しくは優先的捕捉を見込むことができる、それに結合されている化学的構造(chemistry)すなわちリガンドを保有し得る。有用なクロマトグラフィー媒体は、支持体、およびプラスミノーゲンに対する選択的若しくは優先的結合能力を提供する、それに結合されている1種若しくはそれ以上のリガンドを含んでなる。有用な支持体は、具体的に説明する例として、アガロースおよびセルロースのような多糖、ポリアクリルアミド、メチルメタクリレートおよびポリスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのような有機ポリマーを包含する。有機支持体のみが媒体の支持体の使用に適することを意味することを本明細書で意図していないことが認識されるべきである。シリカおよびガラスのような無機支持体素材もまた使用し得るためである。
【0017】
いくつかの態様において、陽イオン交換媒体は全般として球状であり得るビーズの形態にあるか、また、あるいは、陽イオン交換媒体は、他の規則的形状若しくは不規則形状を有する微粒子若しくは分割された形態で有用に提供され得る。あるいは媒体は膜の形式にあり得る。陽イオン交換媒体は多孔質若しくは非多孔質の特徴のものであることができ、そして、該媒体は圧縮可能若しくは圧縮不可能であり得る。好ましい陽イオン交換媒体は、ポンプで送ることおよびクロスフロー濾過、ならびに使用される多様な組成物の温度、pHおよび他の局面を包含するプラスミノーゲン精製方法で使用される条件に対し物理的および化学的に回復力があることができる。多様な陽イオン交換媒体、例えば、結合されているリガンドがスルホプロピル若しくはメチルサルフェートであるものが当該技術分野で既知である。
【0018】
一態様において、陽イオン交換媒体は支持体に結合されているリガンドを含んでなり、該リガンドはスルホプロピル(SP)であり、該支持体はアガロースである。例えば、陽イオン交換クロマトグラフィーはSP−SEPHAROSETMカラム形式で実施し得る。SEPHAROSETMはビーズの形態のアガロースゲルの登録商標である。
【0019】
好ましくは、陽イオン交換条件は、該陽イオン交換媒体が組成物中に存在するプラスミノーゲンを該組成物中にまた存在しうる1種若しくはそれ以上の汚染分子に関して選択的若しくは優先的に結合するのに十分である。汚染分子は、所望のプラスミノーゲン分子と異なりかつ望ましくは最終プラスミノーゲン製品から排除される、組成物中に存在する物質であり得る。汚染物質は、限定されるものでないが、核酸、限定されるものでないが折り畳まれていないおよび誤って折り畳まれたプラスミノーゲンを挙げることができるポリペプチド、細胞破片、内毒素などを挙げることができる。
【0020】
例えば、該組成物を適する緩衝液で平衡化されたSPカラムを通すことができる。適する緩衝液のpHは最低約3.0、具体的に説明すれば最低約pH3.0、4.0、5.0
、6.0、7.0、8.0および9.0であり得る。いくつかの態様において、適する緩衝液は酸性のpH、好ましくは最低約pH4.0を有する。別の態様において、適する緩衝液はアルカリ性のpH、好ましくは最低約pH8.0のトリスに基づく緩衝液を有する。負荷工程の後にカラムを平衡化緩衝液、若しくは実質的な量の組換えプラスミノーゲンが媒体に結合されたままである限りは異なる緩衝液で洗浄し得る。
【0021】
別の態様において、該方法は、陽イオン交換媒体により結合されている組換えプラスミノーゲンを溶出して組換えプラスミノーゲンを含んでなる陽イオン交換媒体溶出液を得ることをさらに含んでなる。例えば、媒体に結合された組換えプラスミノーゲンを、適する塩濃度を含んでなる溶出緩衝液で陽イオン交換媒体から溶出し得る。一態様において、最低約200mMのNaClを含んでなるトリスに基づく緩衝液を使用して、SPカラムから組換えプラスミノーゲンを溶出する。
【0022】
B.アフィニティークロマトグラフィー
組換えプラスミノーゲンを含んでなる陽イオン交換溶出液を、アフィニティークロマトグラフィーのため適するアフィニティー媒体に直接負荷し得る。あるいは、溶出液をアフィニティークロマトグラフィーの前にさらなる調製工程にかけることができる。いくつかの態様において、プラスミノーゲンの製造方法は、アフィニティー媒体がプラスミノーゲンを結合するのに十分である第一のアフィニティー条件下で陽イオン交換媒体溶出液を第一のアフィニティー媒体と接触させることをさらに含んでなる。
【0023】
一態様において、該第一のアフィニティー媒体は支持体に結合されているリガンドを含んでなり、該リガンドはプラスミノーゲンに対する親和性を有する。
【0024】
該第一のアフィニティー媒体は組成物中に存在するプラスミノーゲンを結合する固相であり得る。該媒体は、親和性相互作用によって該組成物からのプラスミノーゲンの選択的若しくは優先的捕捉を可能にし得る、それに結合されている化学的構造すなわちリガンドを保有し得る。有用なアフィニティークロマトグラフィー媒体は、支持体、およびプラスミノーゲンに対する選択的若しくは優先的結合能力を提供するそれに結合されている1種若しくはそれ以上のリガンドを含んでなる。有用な支持体は、具体的に説明する例として、アガロースおよびセルロースのような多糖、ポリアクリルアミド、メチルメタクリレートおよびポリスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのような有機ポリマーを包含する。有機支持体のみが媒体の支持体の使用に適することを意味することを本明細書で意図していないことが認識されるべきであり、シリカおよびガラスのような無機支持体素材もまた使用し得るためである。
【0025】
いくつかの態様において、アフィニティー媒体は全般として球状であり得るビーズの形態にあるか、または、あるいは、アフィニティー媒体は、他の規則的形状若しくは不規則形状を有する微粒子若しくは分割された形態で有用に提供され得る。アフィニティー媒体は多孔質若しくは非多孔質の特徴のものであることができ、また、該媒体は圧縮可能若しくは圧縮不可能であり得る。好ましいアフィニティー媒体は、プラスミノーゲン精製方法で使用される条件に対し物理的および化学的に回復力があることができる。多様なアフィニティー媒体、例えば結合されているリガンドがリシン、抗体若しくは金属イオンであるものが当該技術分野で既知である。
【0026】
一態様において、アフィニティー媒体は支持体に結合されているリガンドを含んでなる。別の態様において、リガンドはリシンであり、該支持体はアガロースである。例えば、第一のアフィニティー媒体はECH Lysine SEPHAROSETMカラム形式で実施し得る。
【0027】
C.組換えプラスミノーゲン
いくつかの態様において、プラスミノーゲンは組換えプラスミノーゲンである。例えば、本発明のプラスミノーゲンをコードする核酸分子をいくつかの供給源から、例えば既知DNA配列を使用する化学合成により、若しくは当業者に既知の標準的クローニング技術の使用により製造し得る。プラスミノーゲンのコーディング配列を保有するcDNAクローンは、プラスミノーゲンの既知配列に基づき特異的に設計されたオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブの使用により同定し得る。
【0028】
一態様において、本発明の組換えプラスミノーゲン若しくはそのバリアントは、チモーゲンのクリングルドメインとセリンプロテアーゼドメインの間に位置するArg−Valペプチド結合のタンパク質分解性切断を少なくとも必要とする活性化事象の後に機能的プラスミン酵素に活性化されたようになることが可能である組換えチモーゲンである。
【0029】
組換えプラスミノーゲンまたはそのバリアント、フラグメント、誘導体若しくはアナログは、完全長の天然のヒトプラスミノーゲンのフィブリンおよびアンチプラスミン結合ならびに活性化特性を有し得る。多様な態様において、組換えプラスミノーゲンおよび/若しくはそれ由来のプラスミンは、以下、すなわち
i)特定の態様において、増大された比活性(タンパク質1mgあたり)をもたらす天然の完全長プラスミン(プラスミノーゲン)分子に関してより小さい分子量;
ii)特定の態様において、比較的低分子量と組み合わせられた、天然のタンパク質中で見出される最低2個のグリコシル化部位の欠如が、比較的安価な発現系を使用するこのタンパク質の組換え産生を容易にし;
iii)特定の態様において、プラスミノーゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、tPAおよび/若しくはスタフィロキナーゼにより活性化されるプラスミノーゲンの能力;
iv)特定の態様において、天然のヒトプラスミノーゲンのクリングルドメインに相同な単一のN末端クリングルドメインの存在であって、ここで、血栓溶解効力に重要であるプラスミンのフィブリン結合特性が保存されており;
v)特定の態様において、プラスミンがプラスミンのこの生理学的阻害剤により迅速に阻害されることを可能にし得る(出血を予防し得る特徴)、天然のヒトプラスミノーゲンのクリングルドメインに相同な単一のN末端クリングルドメインのα2−アンチプラスミン結合部位の存在;
vi)特定の態様において、無傷の消化されていないフィブリン(フィブリノーゲン)の主結合部位を保持するクリングル5の非存在が、循環フィブリノーゲンの低下された枯渇を伴うプラスミンの使用を可能にし得;
vii)特定の態様において、天然のヒトプラスミノーゲンの1クリングルドメインに相同な単一のN末端クリングルドメインの存在(該クリングルドメイン内の最後の4アミノ酸残基がV、P、QおよびCである)が、セリンプロテアーゼドメインへの天然様の結合を提供し(すなわち、ヒトプラスミノーゲンのクリングル5ドメインとセリンプロテアーゼドメインの間の天然に存在するドメイン接合部に類似の結合);ならびに
viii)特定の態様において、組換えプラスミノーゲンの発現後にそのN末端が戻し切断されて(cleave back)(例えば活性化の間に戻し切断されて)天然様のN末端を提供する、
の最低1つを特徴とし得る。
【0030】
他の態様において、該組換えプラスミノーゲンは活性化部位およびセリンプロテアーゼドメインのN末端に単一クリングル領域を有する。いくつかの態様において、該単一クリングル領域含有分子は、活性化部位のN末端に付加的な配列(天然のプラスミノーゲンの天然のクリングル領域のもの由来の付加的なN末端配列)を含み得る。該N末端クリングルドメインは天然のプラスミン(プラスミノーゲン)およびそれらの機能的同等物のクリ
ングル1および4のクリングル配列を包含し得る。さらに、組換えプラスミノーゲンおよびそれから製造されるプラスミンの特定の態様は、天然様構造によって低下された免疫原性を表し得る。例えば、いくつかの態様において、組換えプラスミノーゲンは、プラスミノーゲンアクチベーター(例えばストレプトキナーゼ)による活性化に際して天然様N末端を含んでなるプラスミンポリペプチドを生じる、天然に存在する形態のヒト血漿由来プラスミノーゲンの1種のものに同一のN末端を有する。加えて、他の態様において、組換えプラスミノーゲンは、天然に存在するヒトプラスミン中のクリングル5とSPドメインの間の接合部に類似である、クリングルとセリンプロテアーゼドメインの間の配列を有し得る。
【0031】
別の態様において、本発明は組換えプラスミノーゲンの製造方法を提供し、該組換えプラスミノーゲンは配列番号1(図1)に示される配列を含んでなる。一態様において、該組換えプラスミノーゲンポリペプチドは、配列番号1に示される配列に最低90%若しくは95%若しくは98%同一である。他の態様において、該組換えプラスミノーゲンは、天然のヒトプラスミノーゲンのクリングル1若しくはクリングル4ドメインに最低90%若しくは95%若しくは98%同一である単一のクリングルドメインを含んでなり;また、C末端ドメインはヒトプラスミノーゲンの活性化部位およびセリンプロテアーゼドメインに最低90%若しくは95%若しくは98%同一である。いくつかの態様において、組換えプラスミノーゲンポリペプチドは配列番号1に示されるところのアミノ酸配列およびその保存的置換を有する。他の態様において、該ポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列の位置85のものに類似の相対位置にアルギニン残基を有する。
【0032】
他の態様において、該組換えプラスミノーゲンは活性化部位およびセリンプロテアーゼドメインのN末端に単一のクリングル領域を有し、ここで該プラスミノーゲンの該単一のN末端クリングルドメインのある位置の残基は天然のヒトプラスミノーゲンのクリングル1に関して保存されている。これらはジスルフィド架橋およびリシン結合と関連する位置の残基であり得、そしてそれぞれCys84、Cys105、Cys133、Cys145、Cys157およびCys162、ならびにPro136−Pro140、Pro143−Tyr146およびArg153−Tyr156を包含する(位置は配列番号2(図2)に示されるとおり番号付けされる)。加えて、該組換えプラスミノーゲンの特定の態様は、類似のドメイン組成を有するミニプラスミン(プラスミノーゲン)に対照的に化学的に特徴付け得る(すなわちクリングル−セリンプロテアーゼ(K−SP)(Sottrup−Jensen,L.ら、Progress in Chemical Fibrinolysis and Thrombolysis,Vol.3、(J.F.Davidsonら編)Raven Press、ニューヨーク(1978)を参照されたい)が、しかし、とりわけ、配列番号1(図1)に示されるアミノ酸配列の位置85のものに類似の相対位置の1個のアルギニン(Arg)を欠く。いくつかの態様において、本発明の組換えプラスミノーゲンは、配列番号1に示されるアミノ酸配列の位置85のものに類似の相対位置に1個のArg残基を含んでなる単一のN末端クリングルドメインを含んでなる。配列番号1に示されるアミノ酸配列の位置85のものに類似の相対位置の制限しない例は、配列番号2(図2)に示されるアミノ酸配列のArg(153)、Arg(234)、Arg(324)およびArg(426)位置を包含する。
【0033】
他の態様において、言及される残基の特定の位置は、構造的および機能的に類似の位置で(すなわち、N末端ドメインのクリングル構造に関して;上で論考されるところのChang,Y.らを参照されたい)該ポリペプチド中になお存在しつついくぶん変動し得る。いくつかの態様において、該プラスミン(プラスミノーゲン)ポリペプチドの単一のN末端クリングルドメインは、天然のヒトプラスミノーゲンのクリングル5とより最低1残基大きい、天然のヒトプラスミノーゲンのクリングル1若しくはクリングル4との同一性パーセントを有する。
【0034】
さらに、特定の態様において、該組換えプラスミノーゲンはミニプラスミン(プラスミノーゲン)と対照的に機能的に特徴付け得る。一態様において、組換えプラスミノーゲンから製造されるプラスミンは、例えばミニプラスミンの阻害の速度より約1若しくは2桁と同じくらいより速い、α−アンチプラスミンによる阻害の増大された速度を表す。
【0035】
「N末端」としてのプラスミノーゲンの単一のN末端クリングルドメインの特徴付けは、該ドメインが活性化部位のN末端に存在することのみを意味しており、そして該ドメインそれ自身のN末端の付加的なアミノ酸残基が存在しないことを意味していない。さらに、該単一のN末端クリングルドメインの最もC末端のシステイン残基(すなわち図3に示される最もC末端のCys残基)とプラスミノーゲンの活性化部位の間に挿入された残基の数および正体は、本発明の範囲から離れることなく変動され得る。当業者は、クリングル1の機能および構造に関する手引きについての本明細書の開示および本明細書で引用される参考文献に基づき、不要な実験を伴わずにこれらの変形(欠失変異体の大きさの実質的増大若しくは潜在的に問題の多いグリコシル化部位の導入を伴わないωアミノカルボン酸のクリングル1様結合)を決定することが可能であろう。
【0036】
使用される基準に依存して、該組換えプラスミノーゲンのクリングル、活性化部位およびセリンプロテアーゼドメインの正確な「位置」若しくは配列が本発明の範囲内の特定の変形でわずかに異なり得ることが、さらに認識されるであろう。例えば、活性化部位に関するクリングルドメインの正確な位置はわずかに変動し得、かつ/若しくは該クリングルドメインのN末端の配列は長さが変動し得る。こうしたバリアントは、限定されるものでないが欠失、挿入、逆位、反復配列および置換を挙げることができる。どのアミノ酸変化が表現型上無変化であることがありそうであるかに関する手引きは、Bowie,J.U.ら、“Deciphering the Message in Protein Sequences:Tolerance to Amino Acid Substitutions”、Science 247:1306−1310(1990)に見出し得る。
【0037】
従って、配列番号1のポリペプチドのバリアント、フラグメント、誘導体若しくはアナログは、(i)アミノ酸残基の1個若しくはそれ以上(例えば3、5、8、10、15若しくは20残基)が保存された若しくは保存されないアミノ酸残基(好ましくは保存されたアミノ酸残基)で置換されているものであり得る。こうした置換されたアミノ酸残基は遺伝暗号によりコードされるものであっても若しくはなくてもよいか、あるいは、(ii)アミノ酸残基の1個若しくはそれ以上が1置換基を包含するもの(例えば3、5、8、10、15若しくは20)、あるいは(iii)成熟ポリペプチドが該ポリペプチドの半減期を増大させるための化合物のような別の化合物(例えばポリエチレングリコール)に融合されているもの、あるいは(iv)IgG Fc融合領域ペプチドまたはリーダー若しくは分泌配列あるいは成熟ポリペプチド若しくはプロタンパク質配列の精製に使用される配列のような付加的なアミノ酸が成熟ポリペプチドに融合されているものであり得る。こうしたフラグメント、誘導体およびアナログは本明細書の教示から当業者の範囲内にあると思われる。
【0038】
示されるとおり、変化は、好ましくは、タンパク質のフォールディング若しくは活性に大きく影響を及ぼさない保存的アミノ酸置換のような小規模の性質のものである。もちろん、当業者が行いうるアミノ酸置換の数は、上述されたものを包含する多くの因子に依存する。一般的に言って、いずれかの所定のプラスミノーゲンポリペプチドの置換の数は50、40、30、25、20、15、10、5若しくは3を超えないことができる。
【0039】
機能に不可欠である組換えプラスミノーゲン中のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発
若しくはアラニンスキャニング突然変異誘発(CunninghamとWells、Science 244:1081−1085(1989))のような当該技術分野で既知の方法により同定し得る。後者の手順は分子中のすべての残基で単一アラニン突然変異を導入する。生じる変異体分子をその後、例えば本明細書に提供される実施例で示されるとおり生物学的活性について試験する。リガンド結合に決定的に重要である部位は、結晶化、核磁気共鳴若しくは光親和性標識(Smithら、J.Mol.Biol.244:399−904(1992)およびde Vosら Science 255:306−312(1992))のような構造分析によってもまた決定し得る。タンパク質のN末端からの1個若しくはそれ以上のアミノ酸の欠失が該タンパク質の1種若しくはそれ以上の生物学的機能の改変若しくは喪失をもたらす場合であっても、他の生物学的活性はなお保持され得る。
【0040】
組換えプラスミノーゲンが固相合成法により製造され得ることもまた企図している。Houghten,R.A.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135(1985);およびHoughtenらへの米国特許第4,631,211号明細書(1986)を参照されたい。
【0041】
配列番号1の参照アミノ酸配列に対する示された同一性パーセントのアミノ酸配列を有するポリペプチドは、ポリヌクレオチドに関して上で示されたコンピュータ支援方法を包含する方法を使用して決定し得る。ポリペプチドのアミノ酸配列は前述の論考のヌクレオチド配列がまさにそうであるように検査しかつ比較する。当業者は、ポリヌクレオチドについて論考された分子の終点のような概念が、ポリペプチド分析のためのこうした方法およびプログラムの対応する使用を考慮する場合に直接の類似物(analog)を有することができることを認識するであろう。例えば、ポリヌクレオチドに関して論考された人的修正は核酸の5’および3’終点を指すが、しかし同一の論考はポリペプチドのN末端およびC末端に適応可能と認識されるであろう。
【0042】
本発明は、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護(protective)/保護(blocking)基による誘導体化、タンパク質分解性切断、抗体分子若しくは他の細胞リガンドへの結合などにより翻訳の間若しくは後に差別的に改変される組換えプラスミノーゲンポリペプチドもまた包含する。多数の化学修飾のいずれも、限定されるものでないが臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、黄色ブドウ球菌(S.aureus)V8プロテアーゼ、NaBHによる特異的化学的切断;アセチル化、脱アミド、ホルミル化、メチル化、酸化、還元;ツニカマイシンの存在下での代謝的合成;などを挙げることができる既知技術により実施し得る。
【0043】
本発明により包含される付加的な翻訳後修飾は、例えば、例えばN−結合若しくはO−結合炭水化物鎖、N末端若しくはC末端のプロセシング、アミノ酸バックボーンへの化学的部分の付加、N−結合若しくはO−結合炭水化物鎖の化学修飾、ならびに組換えプラスミノーゲンポリペプチドの発現、例えば原核生物培養宿主細胞中での発現に適合されたベクターおよび構築物の結果としてのN末端メチオニン残基の付加を包含する。いくつかの態様において、該組換えプラスミノーゲンは、例えば親和性標識(例えばHisタグ、GSTタグ)、または酵素的、蛍光若しくは同位元素標識のような検出可能な標識でもまた修飾し得る。
【0044】
D.ベクターおよび宿主細胞
他の局面において、本発明は、本発明の組換えプラスミノーゲン分子を包含するキットおよびベクター;該組換えベクターで遺伝子改変されている培養宿主細胞;ならびに組換え技術によるプラスミノーゲンポリペプチドの組換え発現にもまた関する。一態様において、プラスミノーゲン若しくはそれから製造されるプラスミンの製造方法は、組換え発現
系を使用して組換えプラスミノーゲンを発現させることを含んでなる。
【0045】
タンパク質発現のための宿主細胞の起源は限定されるものでなく、例えば宿主細胞は細菌(例えばエシェリキア属(Escherichia)に属するものおよびバチルス属(Bacillus)に属するもの)ならびに酵母(例えばサッカロミセス属(Saccharomyces)およびピキア属(Pichia))のような微生物により例示され得る。例えば、エシェリキア属(Escherichia)は、限定されるものでないが大腸菌(Escherichia coliE.coli))K12DH1、M103、JA221、HB101、X600、XL−1 BlueおよびJM109を挙げることができる。例えば、バチルス属(Bacillus)は、限定されるものでないが枯草菌(Bacillus subtilis)MI114および207−21を挙げることができる。例えば、酵母は、限定されるものでないが出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)AH22、AH22R.sup.−、NA87−11AおよびDKD−5Dならびにピキア パストリス(Pichia pastoris)を挙げることができる。米国特許第6,068,995号明細書は、所望のタンパク質を発現することが可能な宿主細胞によってタンパク質を産生するというその教示のために引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0046】
例えば、プラスミノーゲンのコーディング配列(例えば配列番号1)を有する分子を、宿主細胞中での発現に適切なクローニングベクターに挿入し得る。該クローニングベクターは、該コーディング配列の効率的な転写、翻訳およびプロセシングに必要とされる適切な制御機能を提供するように構築し得る。プラスミノーゲンをコードするDNAを発現させるための適する宿主細胞は、原核生物、酵母若しくは高等真核生物細胞を包含する。適する原核生物は例えば古細菌および真正細菌のような細菌を包含する。好ましい細菌は、グラム陰性若しくはグラム陽性生物体のような真正細菌、例えば大腸菌(E.coli)のような腸内細菌科である。さらに、該ベクターは例えばプラスミド、ファージ、ウイルス若しくはレトロウイルスベクターであり得る。レトロウイルスベクターは複製能力があり得るか若しくは複製欠損であり得る。後者の場合、ウイルス増殖は一般に補完する培養宿主細胞中でのみ起こることができる。一態様において、組換え発現系は大腸菌(E.coli)に基づく発現系である。
【0047】
原核生物に加え、糸状菌若しくは酵母のような真核生物微生物もまた、プラスミノーゲンをコードするベクターの適する発現宿主となり得る。例えば出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を使用し得る。別の態様において、組換え発現系はピキア属(Pichia)に基づく発現系である。しかしながら、多数の他の属、種および株が商業的に入手可能でありかつ本明細書で有用である。
【0048】
プラスミノーゲンをコードするDNAの発現に適切な適する宿主細胞は多細胞生物体にもまた由来し得る。無脊椎動物細胞の例は植物(例えばアオウキクサ(Lemna)のようなウキクサ科から)および昆虫細胞を包含する。ワタ、トウモロコシ、バレイショ、ダイズ、ペチュニア、トマトおよびタバコの植物細胞培養物もまた宿主として利用し得る。植物細胞と適合性の制御およびシグナル配列が利用可能である。米国特許第6,815,184号明細書はウキクサでポリペプチドを発現するというその教示のために引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0049】
プラスミノーゲン発現ベクターを宿主細胞に導入し得、そして、プロモーターを誘導、形質転換体を選択、若しくは所望のプラスミノーゲン配列をコードする遺伝子を増幅するのに適切なように改変された慣習的栄養培地中で宿主細胞を培養し得る。多数のトランスフェクション方法、例えばリン酸カルシウムおよび電気穿孔法が当業者に既知である。使用される宿主細胞に依存して、こうした細胞に適切な標準的技術を使用して形質転換を実
施する。例えば、原核生物細胞を使用してプラスミノーゲンを製造する場合、全般として例えばSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory
Press、ニューヨーク 1989)に記述されるようにプロモーターを構成的に若しくは人工的に誘導し得る適する培地中でそれらを培養し得る。従って、組換え構築物は、感染、形質導入、トランスフェクション、トランスベクション、電気穿孔法および形質転換のような公知の技術を使用して培養宿主細胞に導入し得る。
【0050】
いくつかの態様において、組換えプラスミノーゲンをコードするポリヌクレオチドを、培養宿主中での増殖のための選択可能なマーカーを含有するベクターに結合し得る。プラスミノーゲンをコードするポリヌクレオチドに対するシス作用性調節領域を含んでなるベクターが好ましい。適切なトランス作用因子は、培養宿主により供給され得るか、補完するベクターにより供給され得るか、若しくは培養宿主への導入に際してベクターそれ自身により供給され得る。いくつかの態様において、該ベクターは、誘導可能かつ/若しくは細胞型特異的であり得る特異的発現を提供する。一態様において、温度および栄養素添加物のような操作するのが容易である環境因子により誘導可能なものがこうしたベクターの一部である。
【0051】
本発明で有用な発現ベクターの制限しない例は、染色体、エピソームおよびウイルス由来ベクター、例えば細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、酵母染色体エレメント由来のベクター、バキュロウイルス、パポーバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスのようなウイルス、ならびにコスミドおよびファージミドのようなそれらの組合せ由来のベクターを包含する。
【0052】
DNA挿入物は、いくつかを挙げれば、ファージλ PLプロモーター、大腸菌(E.coli)lac、trpおよびtacプロモーター、SV40初期および後期プロモーターならびにレトロウイルスのLTRのプロモーターのような適切なプロモーターに効果的に連結し得る。他の適するプロモーターは当業者に既知であろう。発現構築物は転写開始、終止の部位、および転写された領域中に翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含有することができる。該構築物により発現される成熟転写物のコーディング部分は、翻訳されるべきポリペプチドの最初の翻訳開始および終わりに適切に配置される終止コドン(UAA、UGA若しくはUAG)を包含し得る。
【0053】
示されるとおり、該発現ベクターは最低1個の選択可能なマーカーを包含し得る。こうしたマーカーは、真核生物細胞培養物のためのジヒドロ葉酸還元酵素若しくはネオマイシン耐性、ならびに大腸菌(E.coli)および他の細菌中で培養するためのテトラサイクリン若しくはアンピシリン耐性遺伝子を包含する。適切な培養宿主の制限しない例は、限定されるものでないが、大腸菌(E.coli)、ストレプトミセス属(Streptomyces)およびネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)細胞のような細菌細胞;酵母細胞のような真菌細胞;ショウジョウバエ(Drosophila)S2およびスポドプテラ属(Spodoptera)Sf9細胞のような昆虫細胞;CHO、COSおよびBowes黒色腫細胞のような動物細胞;ならびに植物細胞を挙げることができる。上述された培養宿主細胞のための適切な培地および培養条件は当該技術分野で既知である。
【0054】
例えば、他の態様において、該組換え発現系は哺乳動物に基づく発現系である。American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株を包含する発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株が当該技術分野で既知である。例示的哺乳動物宿主細胞は、限定されるものでないが形質転換細胞
株を包含する霊長類細胞株およびげっ歯類細胞株を挙げることができる。好ましくは、双方とも慣習的方法によるベクターDNAの安定な組込みおよび組込まれたベクターDNAのその後の複製のために、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が選択すべき哺乳動物宿主細胞として使用される。他の適する細胞株は、限定されるものでないが、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎細胞(COS−1)、ヒト肝細胞癌細胞(例えばHep G2)、ヒトアデノウイルス形質転換293細胞、マウスL−929細胞、HaKハムスター細胞株、Swiss、Balb−c若しくはNIHマウス由来マウス3T3細胞および多数の他の細胞株を挙げることができる。別の適する哺乳動物細胞株はCV−1細胞株である。正常二倍体細胞、初代組織のin vitro培養物由来の細胞株、ならびに初代体外移植組織もまた適する。候補細胞は、選択遺伝子が遺伝子型で欠損していても、若しくは優性に作用する選択遺伝子を含有していてもよい。
【0055】
例えば、宿主細胞は例えば当該技術分野で既知の方法によりプラスミノーゲンDNAを保有する1種若しくはそれ以上のベクターで形質転換し得、そしてその後所望の場合は一方若しくは双方の導入された遺伝子の増幅を伴い適する条件下で培養し得る。発現されたプラスミノーゲンをその後、当業者に既知の方法により回収し得かつ培地から(若しくは例えば細胞内で発現される場合は細胞から)精製し得る。
【0056】
哺乳動物細胞中での複製に適するベクターは、ウイルスレプリコン、すなわちプラスミノーゲンをコードする配列の宿主ゲノムへの組込みを確保する配列を包含し得る。適するベクターは例えばサルウイルスSV40、レトロウイルス、ウシパピローマウイルス、ワクシニアウイルスおよびアデノウイルス由来のものを包含し得る。ベクターの成分、例えばレプリコン、選択遺伝子、エンハンサー、プロモーターなどは天然の供給源から得ても若しくは既知の手順により合成してもよい。
【0057】
適するベクターは例えばワクシニアウイルス由来のものであり得る。この場合、異種DNAをワクシニアのゲノムに挿入する。ワクシニアウイルスゲノムへの外来DNAの挿入技術は当該技術分野で既知であり、そして例えば相同的組換えを利用する。異種DNAの挿入は、一般に、性質が必須でない遺伝子、例えば選択可能なマーカーもまた提供するチミジンキナーゼ(tk)遺伝子中である。
【0058】
哺乳動物発現ベクターは、哺乳動物細胞中で発現が可能である1種若しくはそれ以上の真核生物転写単位を含み得る。例えば、転写単位は外来DNA配列の転写を媒介するための最低1個プロモーター領域を含み得る。哺乳動物細胞のための適するプロモーターは当該技術分野で既知であり、そしてサルウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、アデノウイルス(ADV)およびウシパピローマウイルス(BPV)からのもののようなウイルスプロモーターを包含する。
【0059】
転写単位は、プラスミノーゲン配列に作動可能に連結されている終止配列およびポリ(A)付加配列もまた含み得る。転写単位はプラスミノーゲンの発現を増大させるためのエンハンサー配列もまた含み得る。
【0060】
場合によっては、遺伝子の増幅を見込む配列もまた、選択可能なマーカーをコードする配列がそうされ得るように包含され得る。哺乳動物細胞のための選択可能なマーカーは当該技術分野で既知であり、そして例えばチミジンキナーゼ、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR増幅因子としてのメトトレキサートと一緒になって)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、アスパラギン合成酵素、アデノシンデアミナーゼ、メタロチオニエン(metallothionien)、およびネオマイシンのような抗生物質耐性遺伝子を包含する。若しくは、例えば、該ベクターDNAはウシパピローマウイルスゲノムの全部若しくは一部を含むことができ、そして安定なエピソームエレメントとしてC127マウス細胞のような細胞株に保有され得る。
【0061】
一態様において、組換えプラスミノーゲンはPER.C6(R)技術(Crucell、ホラント、オランダ)を使用して製造し得る。組換えタンパク質の発現は、例えばヒト細胞株中の組換えタンパク質の製造のための方法および組成物のその教示のために引用することにより本明細書に組み込まれる米国特許第6,855,544号明細書により開示されている。
【0062】
細菌での使用に好ましいベクターの一部は、例えば、Novagen、ウィスコンシン州マディソンから入手可能なpET24b若しくはpET22b(pET−24b(+)およびpET−22b(+)=それぞれpET Expression System 24b(カタログ番号69750)および22b(カタログ番号70765)、EMD Biosciences,Inc.、Novagenブランド、ウィスコンシン州マディソン;ベクターに関する詳細については、pET−24bおよびpET−22bに関するhttp://www.emdbiosciences.comの製品情報の節を参照されたい)、Qiagen Inc.、カリフォルニア州バレンシアから入手可能なpQE70、pQE60およびpQE−9;Stratagene、カリフォルニア州ラホヤから入手可能なpBSベクター、PHAGESCRIPTベクター、BLUESCRIPTベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A;ならびにPharmacia(現在Pfizer,Inc.、ニューヨーク州ニューヨーク)から入手可能なptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5を包含する。好ましい真核生物ベクターの一部は、Stratageneから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG;ならびにPharmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLである。他の適するベクターは当業者に容易に明らかであろう。
【0063】
本発明での使用に適する細菌プロモーターは、大腸菌(E.coli)lacIおよびlacZプロモーター、T3およびT7プロモーター、gptプロモーター、λ PRおよびPLプロモーターならびにtrpプロモーターを包含する。適する真核生物プロモーターは、CMV前初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)のもののようなレトロウイルスLTRのプロモーター、ならびにマウスメタロチオネイン−Iプロモーターのようなメタロチオネインプロモーターを包含する。
【0064】
いくつかの態様において、培養宿主細胞へのベクター構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、陽イオン性脂質媒介性トランスフェクション、電気穿孔法、形質導入、感染若しくは他の方法により遂げることができる。こうした方法は、Davisら、Basic Methods
In Molecular Biology、第2版(1995)のような多くの標準的実験室手引き書に記述されている。
【0065】
高等真核生物による本発明のプラスミノーゲンをコードするDNAの転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することにより増大させ得る。エンハンサーは、所定の培養宿主細胞型でのプロモーターの転写活性を増大させるよう作用する通常約10から300bpまでのDNAのシスエレメントである。エンハンサーの例は、bp 100ないし270の複製起点の後期側(late side)に配置されるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーを包含する。
【0066】
小胞体の内腔、細胞膜周辺腔若しくは細胞外環境への翻訳されたタンパク質の分泌のた
め、発現されるポリペプチドに適切な分泌シグナルを組み込み得る。該シグナルは該ポリペプチドに内因性であり得るか、若しくはそれらは異種シグナルであり得る。
【0067】
多様な態様において、プラスミノーゲンは融合タンパク質のような改変された形態で発現され得、そして分泌シグナルのみならずしかしまた付加的な異種機能領域も包含し得る。例えば、付加的なアミノ酸、とりわけ荷電したアミノ酸の一領域を、培養宿主細胞中、精製若しくはその後の取扱いおよび貯蔵の間の安定性および持続性を改良するためにN末端例えば該ポリペプチドに付加し得る。また、精製を容易にするためペプチド部分を該ポリペプチドに付加し得る。こうした領域は該ポリペプチドの最終製造前に除去し得る。とりわけ、分泌すなわち排出を生じさせるため、安定性を改良するためおよび精製を容易にするためのポリペプチドへのペプチド部分の付加は、当該技術分野で馴染みがありかつ慣例の技術である。好ましい融合タンパク質はタンパク質を可溶化するのに有用である免疫グロブリンからの異種領域を含んでなる。例えば、欧州特許第EP 0 464 533
A1号明細書(カナダの対蹠物第2,045,869号明細書)は、別のヒトタンパク質若しくはその部分と一緒になって免疫グロブリン分子の定常領域の多様な部分を含んでなる融合タンパク質を開示する。多くの場合、融合タンパク質中のFc部分は治療および診断での使用に全面的に有利であり、そして従って例えば改良された薬物動態特性をもたらす。他方、いくつかの用途のため、融合タンパク質が記述される有利な様式で発現、検出および精製された後にFc部分を除去することが可能であることが望ましいことができる。これは、Fc部分が治療および診断で使用するために妨害となることが判明している場合、例えば融合タンパク質を免疫化のための抗原として使用するはずである場合に真実である。例えば創薬において、ヒトタンパク質がハイスループットスクリーニングアッセイの目的上Fc部分と融合されている(hIL−5のアンタゴニストを同定するためのhIL−5受容体のような)。Bennett,D.ら、J.Molecular Recognition、8:52−58(1995)およびJohanson,K.ら、J.Biol.Chem.、270(16):9459−9471(1995)を参照されたい。
【0068】
一態様において、不溶性プラスミノーゲンを原核生物宿主細胞から適する単離緩衝液中に単離する。例えば、宿主細胞を、ほとんどの宿主タンパク質を可溶化するために適するイオン強度のしかし凝集されたプラスミノーゲンが実質的に不溶性である緩衝液に曝露し得、そして封入体を放出しかつそれらを例えば遠心分離により回収に利用可能にするように細胞を破壊する。この技術は当業者に既知であり、そして、一変法が、例えば、組換え宿主細胞培養物中の不溶性の屈折性の形態で産生された異種タンパク質の可溶化方法のその教示のために本明細書に引用することにより組み込まれる米国特許第4,511,503号明細書に記述されている。一態様において、組換えプラスミノーゲンを発現する工程は、組換えプラスミノーゲン封入体を産生するのに十分な発現条件下で発現系を実施することを含んでなる。
【0069】
特定の一理論に固執されずに、例えば大腸菌(E.coli)での組換えタンパク質の発現は、封入体と呼ばれる不溶性凝集体中の組換えタンパク質の細胞内沈着を頻繁にもたらすと考えられている。封入体中の組換えタンパク質の沈着は、該封入体が高度に精製された組換えタンパク質を蓄積するため、および封入体中に隔離されるタンパク質が細菌プロテアーゼの作用から保護されるための双方で有利であり得る。
【0070】
一般に、宿主細胞(例えば大腸菌(E.coli)細胞)を適切な量の増殖後に収集し、そして例えば機械的方法(例えば音波発振器)のような技術を使用するまたは化学的若しくは酵素的方法による溶解による破壊前に適する緩衝液に懸濁する。化学的若しくは酵素的細胞破壊方法の例は、細菌壁を溶解するためのリゾチームの使用を含んでなるスフェロプラスト化、ならびにポリペプチドを放出させるための高浸透圧の溶液および低浸透圧
の冷水洗浄での生存細胞の処理を必要とする浸透圧ショックを包含する。
【0071】
宿主細胞破壊後に懸濁液を典型的には遠心分離して封入体をペレットにする。生じるペレットは不溶性ポリペプチド画分の実質的に全部を含有するが、しかし細胞破壊過程が完全でない場合、それは無傷の細胞若しくは破壊された細胞断片もまた含有しうる。細胞破壊の完全性は、ペレットを少量の同一緩衝溶液に再懸濁すること、および位相差顕微鏡で該懸濁液を検査することによりアッセイし得る。破壊された細胞断片若しくは全細胞の存在は、該断片若しくは細胞および関連する非屈折性ポリペプチドを除去するために付加的破壊が必要であることを示す。こうしたさらなる破壊後に、必要とされる場合は、該懸濁液を再度遠心分離し得かつペレットを回収し得、再懸濁し得かつ分析し得る。該方法は、視覚的検査がペレットにされた物質中の破壊された細胞断片の非存在を明らかにするまで、若しくはさらなる処理が生じるペレットの大きさを低下させることに失敗するまで反復し得る。可溶化された封入体から若しくは後の精製工程で一旦得られれば、プラスミノーゲンを本発明に従って適して再度折りたたみ得る。いかなるアンフォールディングの程度も、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を包含するクロマトグラフィーにより決定し得る。
【0072】
プラスミノーゲンが再度折りたたまれるべきである前にそれがすでに可溶性の形態にない場合は、プラスミノーゲンを実質的に可溶化するために必要な量のカオトロピック剤(例えば尿素、グアニジン)および還元剤(例えばグルタチオン、DTT、システイン)を含んでなる可溶化緩衝液中でのインキュベーションによりそれを可溶化しうる。このインキュベーションは、プラスミノーゲンの可溶化を起こさせることができるプラスミノーゲン濃度、インキュベーション時間およびインキュベーション温度の条件下で起こる。緩衝液中のプラスミノーゲンの可溶化の程度の測定は、濁度測定、遠心分離後の上清とペレットの間のプラスミノーゲンの分画を還元SDSゲル上で分析すること、タンパク質アッセイ(例えばBio−Radタンパク質アッセイキット)若しくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により実施し得る。一態様において、組換えプラスミノーゲンの製造方法は、可溶化された組換えプラスミノーゲン封入体を得るのに十分な可溶化条件下で、組換えプラスミノーゲン封入体を可溶化緩衝液と接触させることをさらに含んでなる。
【0073】
可溶化緩衝液のpHはアルカリ性、好ましくは最低約pH7.5であり得、好ましい範囲は約pH7.5ないし約pH11である。可溶化のための緩衝溶液中のプラスミノーゲンの濃度は、プラスミノーゲンが実質的に可溶化されかつ部分的に若しくは完全に還元かつ変性されることができるようでなければならない。あるいは、プラスミノーゲンは当初不溶性であってもよい。使用するための正確な量は、例えば緩衝溶液中の他成分の濃度および型、具体的には還元剤の型および量、カオトロピック剤の型および量ならびに緩衝液のpHに依存することができる。例えば、プラスミノーゲンの濃度は、還元剤例えばグルタチオンの濃度が同時に増大される場合に増大させ得る。
【0074】
他の態様において、プラスミノーゲンの製造方法は、可溶化された組換えプラスミノーゲン封入体を再折りたたみ条件下で再折りたたみ溶液と接触させて組換えプラスミノーゲンを含んでなる組成物を得ることをさらに含んでなる。いくつかの態様において、より濃縮された可溶化されたタンパク質の溶液を希釈再折りたたみ前に製造することが望ましい。例えば、一態様において、プラスミノーゲンを再折りたたみ緩衝液で好ましくは最低5倍、より好ましくは最低約10ないし約20倍希釈する。他の態様において、プラスミノーゲンを再折りたたみ緩衝液に対し透析する。
【0075】
再折りたたみ緩衝液中のプラスミノーゲンの濃度は、HPLC、RIA若しくはバイオアッセイにより測定されるところの回収される誤って折り畳まれたコンフォーマーに対する正しく折り畳まれたコンフォーマーの比が最大化されることができるようであり得る。
再折りたたみインキュベーションは、RIA若しくはHPLCにより測定されるところの、正しく折り畳まれたプラスミノーゲンコンフォーマーの収量および回収される誤って折り畳まれたプラスミノーゲンコンフォーマーに対する正しく折り畳まれたプラスミノーゲンコンフォーマーの比が最大になるように、ならびに例えば物質収支により決定されるところの多量体の会合したプラスミノーゲンの収量を最小化するように実施する。
【0076】
他の態様において、再折りたたみは高圧再折りたたみ技術を使用して実施する。従って、いくつかの態様において、本発明はプラスミノーゲンの製造方法を提供し、該方法は、(a)混合物中の総タンパク質濃度を最低約0.01mg/mlの第一の濃度に調節することであって、該混合物はプラスミノーゲンを含んでなり;
(b)該混合物を、第一の時間および第一の温度について約0.25kbarないし約12kbarの第一の圧にさらすこと;
(c)該混合物を、第二の時間、約0.25kbarないし約3.3kbarの第二の圧にさらすこと;および
(d)該混合物を第三の圧にさらして、それにより混合物中のプラスミノーゲンを脱凝集しかつ再び折りたたむこと
を含んでなる再折りたたみを含んでなる。
【0077】
高圧再折りたたみは、例えば、タンパク質凝集体および封入体の再折りたたみ方法のその教示のために本明細書に引用することにより組み込まれる米国特許第7,064,192号明細書に開示される。
【0078】
一態様において、第一の濃度は500mg/mlを超えない。別の態様において、再折りたたみは8Mを超えない第二の濃度のカオトロピック剤と該混合物を接触させることを含んでなる。いくつかの態様において、第二の時間は約0.1時間ないし約12時間である。他の態様において、第三の圧はほぼ大気圧である。特定の態様において、該混合物を第一の圧にさらすことはプラスミノーゲンを脱凝集するのに十分である。多様な他の態様において、該混合物は、組換え製造されたプラスミノーゲンに対応する可溶化された封入体を含んでなる。
【0079】
例えば、大腸菌(E.coli)での組換えプラスミノーゲンの過剰発現は、凝集されたプラスミノーゲンタンパク質の相対的に高密度の不溶性粒子に対応する封入体を形成し得る。一態様において、一旦単離されれば、封入体は、多様な技術、若しくは圧およびカオトロピック剤(ならびに場合によってはまた還元剤)の組合せにより可溶化され得る。生物学的に適正なプラスミノーゲンのコンホメーションへの再生は、高圧の条件下、ならびに、場合によっては(例えば周囲大気圧での)非変性濃度のカオトロピック剤ならびに/若しくは酸化還元試薬(例えばジチオスレイトールおよび酸化型グルタチオン)の存在下で進行し得る。
【0080】
例えば、圧は、10倍水圧増加装置(High Pressure Equipment Company、ペンシルバニア州エリー)に接続された高圧窒素(例えば400bar)を使用して生成し得る。所望の圧に達するための時間は約10分であり得る。窒素入力を10倍水圧増加機に接続し得、これを約30,000psi(2kbar)に定格されている2リットルクローバー型リアクターに接続し得る。より高圧のためには、装置をより高い定格に改変し得る。サンプルを例えばSAMCOTMプラスチック製トランスファーピペット(Fisher Scientific、ペンシルバニア州ピッツバーグ)のヒートシールバルブ中で調製し得、そして2,000barに定格されている2リットルクローバー型リアクターに入れかつ水で満たし得る。サンプルを最終的な所望の圧までゆっくり加圧し得る(10分にわたり)。減圧速度は1分あたり約10barであり得る。
【0081】
本発明の別の態様は変性されたプラスミノーゲンの圧で助長される再折りたたみを使用する。本態様において、溶液中の変性されたプラスミノーゲンを変性量のカオトロピック剤の存在下で提供する。溶液中のプラスミノーゲン濃度は、約0.001mg/mlないし約500mg/ml、好ましくは約0.1mg/mlないし約25mg/ml、より好ましくは約1mg/mlないし約10mg/mlであり得る。カオトロピック剤濃度は約2Mないし約8Mであり得る。変性されたプラスミノーゲンの溶液を、再生を助長するのに効果的な圧範囲(いくつかの態様において約0.25kbarないし約3.3kbar、好ましくは約2kbarから約3.3kbarまでであり得る)の高圧でインキュベートし得る。加圧下の間に、カオトロピック剤の濃度をいずれかの適する手段により、例えば希釈若しくは透析により低下させ得る。インキュベーションはプラスミノーゲンの再折りたたみを可能にするのに十分な時間起こり得る。圧インキュベーション時間の終了時に圧をほぼ大気圧に低下させ得る。他の態様において、酸化還元剤、安定剤、界面活性剤などを該溶液に添加し得る。
【0082】
一態様において、再折りたたみ組成物を、再折りたたみの工程後しかしさらなる下流の処理前に1若しくはそれ以上の濾過若しくはダイアフィルトレーション工程にかけて、凝集された形態の組換えプラスミノーゲンを再折りたたみ工程後に排除若しくは実質的に低減させ得る。例えば、再折りたたみ混合物にデプスフィルターを通過させ得、その後ダイアフィルトレーションし得、次いでいずれかの下流のクロマトグラフィーの前にその後濾過し得る。いくつかの態様において、1若しくはそれ以上の連続的な濾過および/若しくはダイアフィルトレーションによるプラスミノーゲン活性の回収は最低約70%、好ましくは最低約80%、90%若しくはそれ以上である。一態様において、プラスミノーゲンの製造方法は、再折りたたみの工程後かつ陽イオン交換媒体と接触させる工程の前に組成物をダイアフィルトレーションすることをさらに含んでなる。
【0083】
他の態様において、凝集された組換えプラスミノーゲンは、適切な濃度のポリエチレングリコール(PEG)若しくは硫酸塩を再折りたたみ混合物に添加することにより選択的に沈殿される。適切な条件下で、凝集されたタンパク質は添加されたPEG若しくは塩により不溶性にされ得、そして正しく再度折りたたまれた組換えタンパク質のほとんどが溶液中に維持され得る。遠心分離若しくは濾過のいずれかによる沈殿されたタンパク質凝集体の除去後に、生じる上清/濾液をさらに処理し得る。例えば、一態様において、再折りたたみ工程の完了時に、固体PEG若しくは塩(例えば硫酸アンモニウムまたはナトリウム若しくはカリウムのような硫酸の不揮発性塩)を適切な濃度まで添加し得、そして該混合物を混合して該PEG若しくは塩を溶解し得かつ凝集されたタンパク質の結果として生じる沈殿を進行させ得る。沈殿時間後に該沈殿物を1種若しくはそれ以上の澄明化法(例えば深層濾過、遠心分離、精密濾過法などおよびそれらの組合せ)、好ましくは深層濾過により除去し得る。生じる濾液をその後、組換えプラスミノーゲンを製造するためのさらなる処理にかけることができる。
【0084】
PEGの例は、限定されるものでないが、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1000、PEG 2000、PEG 3350、PEG 4000、PEG 4600、PEG 5000、PEG 6000およびPEG 8000を挙げることができる。一態様において、PEGは沈殿条件下で再折りたたみ溶液に添加し、該再折りたたみ溶液はプラスミノーゲンおよび凝集されたポリペプチドを含んでなり、該プラスミノーゲンは再度折りたたまれたプラスミノーゲンであり、該沈殿条件は凝集されたタンパク質の全部若しくは実質的部分を沈殿させるのに十分である。他の態様において、PEGは最低約1%(w/v)、具体的に説明すれば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20%(w/v)のPEGの最終濃度を達成するように添加する。いくつかの態様において、最初のPEG沈殿および最低1回のさらなるPEG沈殿を実施する。
【0085】
他の態様において、硫酸アンモニウム(例えば固体硫酸アンモニウム)を、最低約1%飽和、具体的に説明すれば最低約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60および70%に対応する硫酸アンモニウムの最終濃度を達成するよう再折りたたみ溶液に添加する。
【0086】
一態様において、生じる濾液(PEG若しくは塩沈殿後)を、疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体がプラスミノーゲンを優先的に捕捉するような十分な適する疎水性相互作用条件下で、適する疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体と接触させ得る。疎水性相互作用媒体はプラスミノーゲンを結合する固相であり得る。疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体は、疎水性相互作用媒体として一般に記述されるクロマトグラフィー媒体の群のいずれからも選択し得る。該媒体はプラスミノーゲンの選択的若しくは優先的捕捉を見込むことができる、それに結合されている化学的構造すなわちリガンドを保有し得る。有用なクロマトグラフィー媒体は、支持体、およびプラスミノーゲンに対する選択的若しくは優先的結合能力を提供するそれに結合されている1種若しくはそれ以上のリガンドを含んでなる。有用な支持体は、具体的に説明する例として、アガロースおよびセルロースのような多糖、ポリアクリルアミド、メチルメタクリレートおよびポリスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのような有機ポリマーを包含する。有機支持体のみが媒体の支持体の使用に適することを意味することを本明細書で意図していないことが認識されるべきである。シリカおよびガラスのような無機支持体素材もまた使用し得るためである。
【0087】
いくつかの態様において、疎水性相互作用媒体は、全般として球状であり得るビーズの形態にあるか、または、あるいは、第二のアフィニティー媒体は、他の規則的形状若しくは不規則形状を有する微粒子若しくは分割された形態で有用に提供され得る。一態様において、該媒体は膜の形態にある。該疎水性相互作用媒体は多孔質若しくは非多孔質の特徴のものであることができ、また、該媒体は圧縮可能若しくは圧縮不可能であり得る。好ましい疎水性相互作用媒体は精製方法で使用される条件に対し物理的および化学的に回復力があることができる。多様な疎水性相互作用媒体、例えば結合されているリガンドがフェニル、オクチル若しくはブチル部分であるものが当該技術分野で既知である。
【0088】
一態様において、疎水性相互作用媒体は支持体に結合されているリガンドを含んでなり、該リガンドはフェニル部分であり、該支持体はアガロースである。例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィーはフェニル−SepharoseTMカラム形式で実施し得る。
【0089】
いくつかの態様において、沈殿されたプラスミノーゲン凝集体の遠心分離若しくは濾過いずれかによる除去後に、正しく再度折りたたまれた組換えプラスミノーゲンを含んでなる生じる上清/濾液を、場合によっては疎水性相互作用クロマトグラフィーにより直接捕捉かつ精製する。
【0090】
所望の場合は、選択的沈殿および/若しくは疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用は、再折りたたみ混合物の1若しくはそれ以上の濾過/ダイアフィルトレーション工程を置き換えてそれにより該組換えタンパク質の精製への代替の一アプローチを提供し得るが、しかしその必要はない。
【0091】
いくつかの態様において、1若しくはそれ以上の濾過/ダイアフィルトレーション工程および/若しくは選択的沈殿工程および/若しくは疎水性相互作用クロマトグラフィーに再折りたたみ混合物をかける工程(1若しくは複数)後に、組換えプラスミノーゲンを含んでなる生じる溶液を陽イオン交換媒体(例えばSP−SEPHAROSETM)および/若しくは第一のアフィニティー媒体(例えばECH−Lysineカラム)と接触させ
ることにより、該生じる溶液をさらに精製し得る。
【0092】
本発明の1若しくはそれ以上の製造工程後に、かように製造されたプラスミノーゲンを活性化してプラスミンを得ることができるか、若しくはプラスミノーゲンの活性化前に適する温度(例えば−20℃、−80℃)で保存し得る。
【0093】
従って、特定の態様において本発明はプラスミノーゲンの製造方法を提供し、該方法は(a)ある発現条件下で組換え発現系を使用して組換えプラスミノーゲンを発現させること;
(b)可溶化された組換えプラスミノーゲンを得るのに十分な可溶化条件下で該組換えプラスミノーゲンを可溶化緩衝液と接触させること;
(c)可溶化された組換えプラスミノーゲンを再折りたたみ条件下で再折りたたみ溶液と接触させて、組換えプラスミノーゲンを含んでなる組成物を得ること;
(d)工程(c)の後に該組成物をダイアフィルトレーションすること;
(e)陽イオン交換媒体が組換えプラスミノーゲンを結合するのに十分であるイオン交換条件下で該組成物を陽イオン交換媒体と接触させること;
(f)陽イオン交換媒体により捕捉された組換えプラスミノーゲンを溶出して組換えプラスミノーゲンを含んでなる陽イオン交換媒体溶出液を得ること;
(g)第一のアフィニティー媒体が組換えプラスミノーゲンを結合するのに十分である第一のアフィニティー条件下で陽イオン交換媒体溶出液を第一のアフィニティー媒体と接触させること;および
(h)第一のアフィニティー媒体により結合された組換えプラスミノーゲンを溶出して、組換えプラスミノーゲンを含んでなるプラスミノーゲン溶液を得ること
を含んでなる。
【0094】
一態様において、発現条件は組換えプラスミノーゲン封入体を提供するのに十分である。いくつかの態様において、組換えプラスミノーゲン封入体を、可溶化された組換えプラスミノーゲン封入体を得るのに十分な可溶化条件下で可溶化緩衝液と接触させ得る。他の態様において、可溶化された組換えプラスミノーゲン封入体を、再折りたたみ条件下で再折りたたみ溶液と接触させて、組換えプラスミノーゲンを含んでなる組成物を得ることができる。
【0095】
II.プラスミン
他の局面において、本発明はプラスミンの製造方法を提供する。一態様において、該方法はアフィニティー媒体(例えばベンズアミジン−SEPHAROSETM)とプラスミン組成物を接触させることを含んでなり、該プラスミン組成物はプラスミノーゲンアクチベーターでプラスミノーゲンを活性化することにより製造されるプラスミンを含んでなる。いくつかの態様において、プラスミノーゲンは本発明に従って製造される。一態様において、プラスミノーゲンは本発明に従って製造される組換えプラスミノーゲンである。
【0096】
A.プラスミノーゲンのプラスミンへの転化
いくつかの態様において、該プラスミンの製造方法は、プラスミノーゲンをプラスミンに転化するのに十分な活性化条件下で、プラスミノーゲンを活性化溶液中でプラスミノーゲンアクチベーターと接触させることを含んでなる。
【0097】
一般に、プラスミノーゲンは、可溶性であり得かつ/若しくは固定されていることができる触媒濃度のプラスミノーゲンアクチベーター(例えばストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、tPA、トリプシン)を使用して活性化され(すなわち切断されてプラスミンを提供し)得る。いくつかの態様において、プラスミノーゲンの活性化は約4℃若しくはそれ以上、例えば約4、10、20、25、37若しくはそれ以上の摂氏度で起こることがで
き、そして、典型的には最低数分若しくはそれ以上、好ましくは最低約1、2、4時間若しくはそれ以上かかることができる。プラスミノーゲンは、ω−アミノ酸、塩、ショ糖、アルコール(例えばエタノール、メタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセロール、エチレングリコール)およびそれらの組合せのような安定剤および/若しくは賦形剤を包含する1種若しくはそれ以上の試薬の存在下で切断され得る。ω−アミノ酸はリシン、ε−アミノカプロン酸(ε−ACA)、トラネキサム酸、ポリリシン、アルギニン、およびそれらの組合せ若しくはアナログを包含し得る。安定剤は例えば米国特許公開第20030012778号明細書(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)により記述されている。
【0098】
一態様において、プラスミノーゲンアクチベーターは可溶性プラスミノーゲンアクチベーターである。別の態様において、該プラスミンの製造方法は、プラスミノーゲンをプラスミンに転化するのに十分な活性化条件下でプラスミノーゲンを活性化溶液中でプラスミノーゲンアクチベーターと接触させることを含んでなり、該プラスミノーゲンアクチベーターは固定されているプラスミノーゲンアクチベーターである。
【0099】
例えば、プラスミノーゲンアクチベーターは適するマトリックス上に吸着され得る。例えば、ストレプトキナーゼは、ストレプトキナーゼがニトロセルロースに強固に結合されている場合にプラスミノーゲンをプラスミンに活性化することがなお可能であることが報告されている(Kulisekら、Anal.Biochem.177:78−84(1989))。また、ストレプトキナーゼの適するイオン交換樹脂への吸着はそれを固定されかつプラスミノーゲンを活性化することがなお可能であるようにし得る。
【0100】
固定されたストレプトキナーゼもまた、p−アミノフェニルアラニンおよびロイシンのジアゾ化コポリマーを使用してRimonら、Biochem.Biophy.Acta
73:301(1963)により論考されている。これらの著者らは、固定されたストレプトキナーゼを利用してプラスミノーゲンの活性化の機序を研究した。Sugitachiら、Thromb.Haemost.(Stuttg.)39:426(1978)はナイロン上のプラスミノーゲンアクチベーターウロキナーゼの固定を論考している。固定されたプラスミノーゲンアクチベーターのその教示のために引用することにより本明細書に組み込まれる米国特許第4,305,926号明細書は、ナイロン、Dacron、コラーゲン、ポリビニルピロリジン若しくはコポリマー性p−アミノフェニルアラニンおよびロイシンのような生物適合性ポリマー上へのストレプトキナーゼの固定を提案する。
【0101】
一態様において、ストレプトキナーゼは、ストレプトキナーゼを固定するというその教示のために引用することにより本明細書に組み込まれる米国特許第6,406,921号明細書に記述されるところのアフィニティータグを使用して表面上に固定される。該表面は有機若しくは無機、生物学的若しくは非生物学的、またはこれらの素材のいずれかの組合せのいずれでもあり得る。一態様において、該表面は透明若しくは半透明である。多数の素材が表面としての使用に適する。例えば、該表面は、ケイ素、シリカ、石英、ガラス、孔径制御ガラス(controlled pore glass)、カーボン、アルミナ、二酸化チタン、ゲルマニウム、窒化ケイ素、ゼオライトおよびガリウムヒ素よりなる群から選択される素材を含み得る。金、白金、アルミニウム、銅、チタンのような多くの金属およびそれらの合金もまた表面の選択肢である。加えて多くのセラミックおよびポリマーもまた使用し得る。表面として使用しうるポリマーは、限定されるものでないが以下すなわちポリスチレン;ポリ(テトラ)フルオルエチレン;(ポリ)ビニリデンジフルオリド;ポリカーボネート;ポリメチルメタクリレート;ポリビニルエチレン;ポリエチレンイミン;ポリ(エーテルエーテル)ケトン;ポリオキシメチレン(POM);ポリビニルフェノール;ポリラクチド;ポリメタクリルイミド(PMI);ポリアルケンスルホン(PAS);ポリヒドロキシエチルメタクリレート;ポリジメチルシロキサン;ポリアクリルアミド;ポリイミド;コブロックコポリマーを挙げることができ;ならびにEupergitTMフォトレジスト;重合ラングミュア−ブロジェット膜、およびLIGA構造もまた本発明の表面としてはたらくことができる。
【0102】
いくつかの態様において、活性化条件はプラスミノーゲンの全部若しくは実質的な量をプラスミンに転化してそれによりプラスミンを含んでなる組成物を提供するのに十分である。
【0103】
B.陰イオン交換クロマトグラフィー
他の局面において、本発明はプラスミンの製造方法を提供する。該方法は、プラスミンを含んでなる組成物を陰イオン交換体と接触させて、それにより、組成物中に存在する場合は、プラスミンのものより下の等電点を有するタンパク質性物質をプラスミンから分離することを含んでなる。
【0104】
いずれかの特定の理論に固執されずに、いずれか1種のタンパク質性物質について、負の電荷の総数が正の電荷の数と等しいpHが存在することができると考えられている。これが該タンパク質の等電点(すなわちpI)、すなわち該タンパク質が正味の電荷を保有しないpHである。そのpIより上では、該タンパク質は正味の負の電荷を有しかつ陰イオン交換体に結合することができる。
【0105】
好ましい一態様において、組成物中に存在するプラスミンは、プラスミノーゲンアクチベーターにより活性化されたプラスミノーゲンの生成物である。例えば、組換えプラスミノーゲン若しくは血液由来プラスミノーゲンをプラスミノーゲンアクチベーター(例えばストレプトキナーゼ)と接触させてプラスミンを提供し得る。一態様において、プラスミンを含んでなる組成物は、必要な場合は陰イオン交換体と接触させる前にpH調節されている活性化溶液である。
【0106】
別の態様において、プラスミンを含んでなる組成物はクロマトグラフィー工程(例えばベンズアミジンを使用するアフィニティークロマトグラフィー)の溶出液若しくは素通り溶液であり、該溶出液若しくは素通り溶液は、必要な場合は陰イオン交換体と接触させる前にpH調製されている。
【0107】
プラスミンから分離されるべきタンパク質性物質はプラスミンのpIのものより低いpIを有する。いくつかの態様において、該タンパク質性物質はプラスミノーゲンアクチベーター(例えばストレプトキナーゼ)若しくはそのフラグメントであり、プラスミンを含んでなる組成物は、プラスミンを含んでなる陰イオン交換体素通り画分を得るのに十分な陰イオン交換条件下で陰イオン交換媒体と接触され、該陰イオン交換条件は、該陰イオン交換媒体がプラスミンに関してプラスミノーゲンアクチベーター若しくはそのフラグメントを選択的若しくは優先的に結合するようである。
【0108】
いずれかの特定の理論に固執されずに、プラスミノーゲンのその活性化の結果としてのストレプトキナーゼのタンパク質分解が、プラスミノーゲンとのストレプトキナーゼ接触後に起こると考えられている。プラスミンの形成に加え、変動する分子量のストレプトキナーゼフラグメントが、ストレプトキナーゼによりプラスミノーゲンの活性化に際して生じ得る。
【0109】
一態様において、該タンパク質性物質は、例えば変性条件下のゲル電気泳動により測定されるところの約45kD未満の分子量を有するストレプトキナーゼフラグメントである。別の態様において、該フラグメントは約40、25、15、10kD若しくはそれ未満の分子量を有する。いくつかの態様において、該フラグメントは約15kDの分子量を有
する。
【0110】
一態様において、プラスミンを含んでなる組成物の陰イオン交換体との接触の前に、該組成物のpHは、プラスミンのpI未満しかしプラスミンから分離されるべきタンパク質性物質のpIより大きくなるように調節される。いくつかの態様において、該組成物のpHは、約5.0ないし約10.0、具体的に説明すれば約10、9.9、9.8、9.7、9.6、9.5、9.4、9.3、9.2、9.1、9、8.9、8.8、8.7、8.6、8.5、8.4、8.3、8.2、8.1、8、7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3、7.2、7.1、7、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2,5.1および5となるように調節される。別の態様において、該組成物のpHは約6.5ないし約7となるように調節される。他の態様において、該組成物のpHは約7ないし約8となるように調節される。なおさらなる態様において、該組成物のpHは約6.5ないし約8となるように調節される。
【0111】
多様な態様において、タンパク質性物質はプラスミノーゲンアクチベーター若しくはそのフラグメントである。一態様において、プラスミンを含んでなる組成物は、プラスミノーゲンがプラスミノーゲンアクチベーターにより転化されてプラスミンを形成する活性化溶液である。いくつかの態様において、活性化溶液(その中に形成されたプラスミンを含んでなる)を陰イオン交換体と直接接触させ、該接触の前に該活性化溶液は必要な場合はpH調節される。別の態様において、活性化溶液を交換体と接触させる前に、該活性化溶液は、限定されるものでないが濾過、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび/若しくは疎水性相互作用クロマトグラフィーを挙げることができる1若しくはそれ以上のプラスミン精製工程にかけられる。従って、いくつかの態様において、1若しくはそれ以上のプラスミン精製工程から得られる溶出液若しくは素通り組成物を、必要な場合は該溶出液若しくは素通り組成物の適切なpH調節後に陰イオン交換体と接触させ得る。
【0112】
例えば、プラスミンが約9若しくはそれ以上のpIを含んでなり、分離されるべき物質が約5のpIを有するストレプトキナーゼフラグメント(例えば約15kD若しくはそれ未満の分子量を有するフラグメント)である一態様において、該組成物のpHを、交換体への該フラグメント(すなわち該物質)(しかしプラスミンでない)の結合を遂げるように約6ないし約8となるように調節し得る。
【0113】
別の例として、プラスミンが約7ないし約8のpIを含んでなり、分離されるべき物質が約5のpIを有するストレプトキナーゼフラグメント(例えば約15kD若しくはそれ未満の分子量を有するフラグメント)である他の態様において、該組成物のpHは、交換体への該フラグメント(すなわち該物質)(しかしプラスミンでない)の結合を遂げるように約6ないし約7となるように調節し得る。
【0114】
いくつかの態様において、該方法はバッチで若しくは連続過程として実施しうる。
【0115】
他の態様において、陰イオン交換体から得られる素通り溶液は、その中に含有されるプラスミンのさらなる精製および/若しくはプラスミンを汚染しているかもしれないいかなる病原体の低減も包含するさらなる処理にかけることができる。いくつかの態様において、さらなる精製は、付加的な濾過工程(例えばナノ濾過)ならびに/若しくは限定されるものでないがアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーを挙げることができるクロマトグラフィー工程により遂げられる。
【0116】
いくつかの態様において、プラスミンの製造方法は、陰イオン交換条件下で陰イオン交換媒体と活性化溶液を接触させてプラスミンを含んでなる陰イオン交換体の素通り画分を得ることを含んでなり、該陰イオン交換条件は、該イオン交換媒体がプラスミンに関してプラスミノーゲンアクチベーターを選択的若しくは優先的に結合するようである。
【0117】
陰イオン交換媒体は、活性化溶液中に存在するプラスミノーゲンアクチベーターを結合する固相であり得る。該陰イオン交換クロマトグラフィー媒体は、陰イオン交換媒体、好ましくは強陰イオン交換体として一般に記述されるクロマトグラフィー媒体の群のいずれからも選択し得る。該媒体は、活性化溶液からのプラスミノーゲンアクチベーターの選択的若しくは優先的捕捉を見込むことができる、それに結合されている化学的構造すなわちリガンドを保有し得る。有用なクロマトグラフィー媒体は、支持体、およびプラスミノーゲンアクチベーターに対する選択的若しくは優先的結合能力を提供する、それに結合されている1種若しくはそれ以上のリガンドを含んでなる。有用な支持体は、具体的に説明する例として、アガロースおよびセルロースのような多糖、ポリアクリルアミド、メチルメタクリレートおよびポリスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのような有機ポリマーを包含する。有機支持体のみが媒体の支持体の使用に適することを意味することを本明細書で意図していないことが認識されるべきである。シリカおよびガラスのような無機支持体素材もまた使用し得るためである。
【0118】
いくつかの態様において、陰イオン交換媒体は、全般として球状であり得るビーズの形態にあることができるか、または、あるいは、陰イオン交換媒体は、他の規則的形状若しくは不規則形状を有する微粒子若しくは分割された形態で有用に提供され得る。一態様において媒体は膜の形態にある。該陰イオン交換媒体は多孔質若しくは非多孔質の特徴のものであることができ、また、該媒体は圧縮可能若しくは圧縮不可能であり得る。好ましい陰イオン交換媒体は、ポンプで送ることおよびクロスフロー濾過、ならびに使用される多様な組成物の温度、pHおよび他の局面を包含する精製方法で使用される条件に対し物理的および化学的に回復力があることができる。多様な陰イオン交換媒体、例えば、結合されているリガンドが四級アンモニウム(Q)若しくは四級アミノエチル(QAE)であるものが当該技術分野で既知である。
【0119】
一態様において、陰イオン交換媒体は支持体に結合されているリガンドを含んでなり、該リガンドは四級アンモニウムであり、該支持体は膜である。例えば、陰イオン交換クロマトグラフィーはQメンブレン若しくはQ−SepharoseTMカラム形式で実施し得る。一態様において、陰イオン交換体はQメンブレンである。
【0120】
他の態様において、陰イオン交換媒体は支持体に結合されているリガンドを含んでなり、該リガンドは四級アミン若しくはアンモニウムであり、該支持体は膜である。例えば、陰イオン交換クロマトグラフィーはQメンブレン若しくはQ−SepharoseTMカラム形式で実施し得る。一態様において、陰イオン交換体はQメンブレンである。商業的に入手可能な陰イオン交換膜吸着体は、Sartorius Sartobind(R)
Q(Sarorius、ニューヨーク州ボヘミア)、Mustang(R) Q Port(Pall Corporation、ニューヨーク州ワシントン)およびChromaSorbTM(Millipore、マサチューセッツ州ビルリカ)を包含する。別の態様において、陰イオン交換体はSartobin(R) MA 5Qメンブレンである。
【0121】
他の態様において、陰イオン交換体から得られる素通り溶液は、該陰イオン交換体と接触する前に該組成物中に存在したものの量未満であるプラスミノーゲンアクチベーター若しくはそのフラグメントの量を含んでなる。一態様において、生じるプラスミン組成物はプラスミンのpI未満のpIを有するタンパク質性物質を実質的に含まない。
【0122】
いくつかの態様において、陰イオン交換体の素通り溶液中に存在するプラスミンは、典型的に最低約50%(重量)、具体的に説明すれば最低約50%、60%、70%、80%。90%、95%、99%若しくはそれ以上の純度を有することができる。
【0123】
他の態様において、陰イオン交換体の素通り溶液はタンパク質性物質を実質的に含まず、該タンパク質性物質を実質的に含まないは、ウエスタンブロットによる検出の限界より下であるタンパク質性物質のレベルを特徴とする。
【0124】
別の態様において、ストレプトキナーゼフラグメントの最低約50%、具体的に説明すれば最低約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%若しくはそれ以上が、陰イオン交換体に負荷されるプラスミン含有組成物から除去され、それにより該フラグメントを実質的に含まない生じるプラスミン組成物を提供する。いくつかの態様において、該ストレプトキナーゼフラグメントは約15kD若しくはそれ未満という分子量(例えばSDS−PAGEにより決定されるところの)を有する。
【0125】
一態様において、陰イオン交換体からの素通り画分は例えば酸性のpH(例えば約3.4)にpH調節し得る。いくつかの態様において、プラスミンを含んでなるこのpH調節された素通り画分はその後限外濾過/ダイアフィルトレーションにより濃縮かつ/若しくはダイアフィルトレーションし得る。
【0126】
別の例として、陰イオン交換素通り画分は水で透析しかつ氷酢酸で酸性化し得る。いくつかの態様において、製薬学的に許容できる酸性化された担体を提供する(例えば低緩衝能力緩衝剤を有しかつ約2.5ないし約4.0の間のpHを有する)いかなる酸も使用し得る。例えば、約2.5ないし約4.0の製薬学的に許容できる担体中のpHを維持することができる、単独若しくはそれらのいずれかの組合せのいずれかの、限定されるものでないがギ酸、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、セリン、トレオニン、バリン、グリシン、グルタミン、イソロイシン、β−アラニンおよびそれらの誘導体を挙げることができる、限定されるものでないが無機酸、カルボン酸、脂肪族酸およびアミノ酸を挙げることができる他の酸およびアミノ酸の使用もまた本発明の範囲内で企図している。
【0127】
C.アフィニティークロマトグラフィー
プラスミンを含んでなるプラスミン組成物は、組成物中に含有されるプラスミンを結合するアフィニティー媒体を使用するアフィニティークロマトグラフィーにより精製し得る。例えば、いくつかの態様において、陰イオン交換体の素通り画分を、該素通り画分に含有されるプラスミンを結合するのに十分な第二のアフィニティー条件下で第二のアフィニティー媒体と接触させる。特定の態様において、該第二のアフィニティー条件は、該アフィニティー媒体が、存在しうるプラスミノーゲンアクチベーターに関してプラスミンを選択的若しくは優先的に結合するようである。
【0128】
該第二のアフィニティー媒体はプラスミンを結合する固相であり得る。該第二のアフィニティークロマトグラフィー媒体は、第二のアフィニティー媒体として一般に記述されるクロマトグラフィー媒体の群のいずれからも選択し得る。該媒体は、活性化溶液からのプラスミノーゲンアクチベーターの選択的若しくは優先的捕捉を見込むことができる、それに結合されている化学的構造すなわちリガンドを保有し得る。有用なクロマトグラフィー媒体は、支持体、および、プラスミノーゲンアクチベーターに対する選択的若しくは優先的結合能力を提供する、それに結合されている1種若しくはそれ以上のリガンドを含んでなる。有用な支持体は、具体的に説明する例として、アガロースおよびセルロースのような多糖、ポリアクリルアミド、メチルメタクリレートおよびポリスチレン−ジビニルベン
ゼンコポリマーのような有機ポリマーを包含する。有機支持体のみが媒体の支持体の使用に適していることを意味することを本明細書で意図していないことが認識されるべきである。シリカおよびガラスのような無機支持体素材もまた使用し得るためである。
【0129】
いくつかの態様において、第二のアフィニティー媒体は、全般として球状であり得るビーズの形態にあることができるか、または、あるいは、該第二のアフィニティー媒体は、他の規則的形状若しくは不規則形状を有する微粒子若しくは分割された形態で有用に提供され得る。一態様において該媒体は膜の形態にある。該第二のアフィニティー媒体は多孔質若しくは非多孔質の特徴のものであることができ、また、該媒体は圧縮可能若しくは圧縮不可能であり得る。好ましい第二のアフィニティー媒体は、ポンプで送ることおよびクロスフロー濾過、ならびに使用される多様な組成物の温度、pHおよび他の局面を包含する該精製方法で使用される条件に対し物理的および化学的に回復力があることができる。多様な第二のアフィニティー媒体、例えば、結合されているリガンドがベンズアミジンであるものが当該技術分野で既知である。
【0130】
一態様において、該第二のアフィニティー媒体は支持体に結合されているリガンドを含んでなり、該リガンドはベンズアミジンであり、該支持体はアガロースである。例えば、本発明の第二のアフィニティークロマトグラフィーは、ベンズアミジン−SepharoseTMカラム形式で実施し得る。形成されるプラスミンはセリンプロテアーゼであるため、他の態様において、ベンズアミジンと類似の特性を有する他のアフィニティー型媒体(例えばセリンプロテアーゼ吸着媒素材)もまた使用し得る。
【0131】
例えば、他の態様において、切断されたプラスミノーゲンから得られたプラスミンを、該溶液をベンズアミジン−SEPHAROSETMカラムに適用する前に中性のpHで数日間の該溶液の安定性を見込む1種若しくはそれ以上の試薬(例えばアミノ酸、塩化ナトリウム、グリセロール)を含んでなる溶液に含有し得る。該素通り画分プールは、活性化されていないプラスミノーゲンおよびプラスミンの不活性自己分解生成物の双方を含有し得る。
【0132】
アフィニティー媒体により結合されているプラスミンは酸性緩衝液若しくは実質的に中性のpH添加剤溶液(pH excipient solution)で溶出し得る。例えば、ベンズアミジン−SEPHAROSE(R)に結合されたプラスミンはグリシン緩衝液のような酸性緩衝液で溶出し得る。結合されたプラスミンを溶出するのに実質的に中性のpH添加剤溶液を使用する場合、最終的な溶出されるプラスミン溶液は分解されたプラスミンを実質的に含まないことができる。典型的に、実質的に中性のpH添加剤溶液は約6.5ないし約8.5の間の値のpHを有する。しかしながら、溶液のpHは約2.5から約9.0までの範囲にわたり得る。特定の態様において、pHは約3.0から約7.5までであり得る。他の態様においてpHは約6.0であり得る。添加剤の例は、リシン、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、ポリリシン、アルギニンを包含するω−アミノ酸ならびにそれらのアナログおよび組合せ、塩化ナトリウムのような塩、ならびにベンズアミジンのような活性部位阻害剤を包含する。
【0133】
塩の適切な濃度は約5mS/cmから約100mS/cmまでの伝導率により表し得る。一般に、塩濃度は酸性度に関していくぶん逆に変動し得、すなわちより低いpHの溶液はより低い塩とともに良好に機能し得、また、より高いpH(上で論考された範囲内)を有する溶液はより高い塩濃度とともに良好に機能し得る。塩が塩化ナトリウムである場合、該濃度は約50mMから約1000mMまで、若しくは約100mMから約200mMまでであり得る。溶液が約pH6.0である場合に塩化ナトリウムの濃度は約150mMであり得る。従って、いくつかの態様において、組換えプラスミノーゲンの活性化の完了に際して、プラスミン組成物を濾過し得、そしてベンズアミジン−SEPHAROSE
クロマトグラフィーの前に、ω−アミノ酸および塩化ナトリウムのような添加剤の添加により中性のpHで数日間さらに安定化し得る。
【0134】
いくつかの態様において、溶出されたプラスミンを低pHの低緩衝能力剤で緩衝し得る。低pHの低緩衝能力剤は、典型的に、アミノ酸、最低1種のアミノ酸の誘導体、最低1種のアミノ酸を包含するオリゴペプチド若しくは上の組合せのいずれかの緩衝液を含んでなる。加えて、低pHの低緩衝能力剤は、酢酸、クエン酸、塩酸、カルボン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、セリン、トレオニン、メチオニン、グルタミン、アラニン、グリシン、イソロイシン、バリン、アラニン、アスパラギン酸、それらの誘導体若しくは組合せから選択される緩衝剤を含み得る。該緩衝剤は、酸性化されたプラスミンの容量の約4ないし5倍を超えない量で組成物に血清を添加することにより酸性化されたプラスミンのpHを中性のpHに上げることができるような濃度で存在し得る。
【0135】
他の態様において、緩衝溶液中のプラスミンの濃度は約0.01mg/mlから約50mg/ml全溶液までの範囲にわたり得る。緩衝剤の濃度は約1nMから約50mMまでの範囲にわたり得る。もちろん、これらの範囲は、選ばれた緩衝剤に、または添加物若しくは安定剤のような他の試薬の添加に依存して広め若しくは狭めてよい。添加される緩衝剤の量は、典型的に、酸性化されたプラスミン溶液に約2.5ないし約4の間のpHを有させることができるものである。
【0136】
酸性化されたプラスミン溶液は、多価アルコール、製薬学的に許容できる炭水化物、塩、グルコサミン、チアミン、ナイアシンアミド若しくはそれらの組合せのような安定剤の添加によりさらに安定化しうる。安定剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよびそれらの組合せよりなる群から選択し得る。ブドウ糖、麦芽糖、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、乳糖、トレハロースおよびそれらの組合せのような糖若しくは糖アルコールもまた添加しうる。
【0137】
酸性化されたプラスミン溶液を安定化するために添加される炭水化物の濃度は約0.2w/v%から約20w/v%までの範囲を包含する。塩、グルコサミン、チアミン、ナイアシンアミドおよびそれらの組合せの範囲は約0.01Mから約1Mまでの範囲にわたり得る。
【0138】
緩衝された酸性化された水中で本発明に従って処方されたプラスミンは極めて安定であることが見出されている。それは、活性の実質的喪失またはタンパク質分解性若しくは酸性の性質の分解生成物の出現を伴わずにこの形態で数か月間保つことができる。4℃でプラスミンは最低9か月間安定である。室温ででさえプラスミンは最低2か月間安定である。室温での長期安定性は、この製剤が血栓溶解性投与の長期投与計画と適合性であることを可能にし得る。例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター若しくはウロキナーゼのような血栓溶解剤の36時間投与は末梢動脈閉塞の処置で一般的である。
【0139】
好ましい一態様において、酸性化されたプラスミン溶液に含有されるプラスミンは可逆的に不活性のプラスミンである。緩衝された酸性化されたプラスミンの生理学的pHへの移行に際して完全に活性になる能力は、カゼイン分解アッセイおよびまたI125−フィブリン標識凝血塊溶解アッセイでのその活性により明示される。これらのアッセイの双方はpH7.4で実施し得、また、pHの変化および等電点(pH9.3および9.5)の通過の間の組換えプラスミン活性の完全な回収が存在し得る。これは、組換えプラスミンが低緩衝能力溶媒中で処方されており、また、緩衝溶液(例えばPBS、血漿)に添加される場合にそれが中性のpHを即座に受け入れることができかつ等電点の遅い通過と通常同時に起こる沈殿が起こらないからである。
【0140】
D.疎水性相互作用クロマトグラフィー
いくつかの態様において、プラスミンの製造方法は疎水性相互作用クロマトグラフィーをさらに含み得る。一態様において、疎水性クロマトグラフィーは任意である。他の態様において、該プラスミンの製造方法は、疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体がプラスミンに関してプラスミノーゲンアクチベーターを優先的に結合するような十分な疎水性相互作用条件下で、プラスミンを含んでなる第二のアフィニティー媒体溶出液を疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体と接触させることを含んでなる。特定の態様において、疎水性相互作用条件は、該疎水性相互作用媒体が、存在する場合はプラスミンに関してプラスミノーゲンアクチベーターを選択的若しくは優先的に結合するようである。
【0141】
疎水性相互作用媒体はプラスミンを結合する固相であり得る。該疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体は、疎水性相互作用媒体として一般に記述されるクロマトグラフィー媒体の群のいずれからも選択し得る。該媒体は、プラスミノーゲンアクチベーターの選択的若しくは優先的捕捉を見込むことができる、それに結合されている化学的構造すなわちリガンドを保有し得る。有用なクロマトグラフィー媒体は、支持体、およびプラスミノーゲンアクチベーターに対する選択的若しくは優先的結合能力を提供する、それに結合されている1種若しくはそれ以上のリガンドを含んでなる。有用な支持体は、具体的に説明する例として、アガロースおよびセルロースのような多糖、ポリアクリルアミド、メチルメタクリレートおよびポリスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのような有機ポリマーを包含する。有機支持体のみが媒体の支持体の使用に適することを意味することを本明細書で意図していないことが認識されるべきである。シリカおよびガラスのような無機支持体素材もまた使用し得るためである。
【0142】
いくつかの態様において、疎水性相互作用媒体は、全般として球状であり得るビーズの形態にあることができるか、または、あるいは、第二のアフィニティー媒体は、他の規則的形状若しくは不規則形状を有する微粒子若しくは分割された形態で有用に提供され得る。一態様において該媒体は膜の形態にある。該疎水性相互作用媒体は多孔質若しくは非多孔質の特徴のものであることができ、また、該媒体は圧縮可能若しくは圧縮不可能であり得る。好ましい疎水性相互作用媒体は、精製方法で使用される条件に対し物理的および化学的に回復力があることができる。多様な疎水性相互作用媒体、例えば、結合されているリガンドがオクチル、フェニル若しくはブチル部分であるものが当該技術分野で既知である。
【0143】
一態様において、疎水性相互作用媒体は支持体に結合されているリガンドを含んでなり、該リガンドはオクチル部分であり、該支持体はアガロースである。例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィーはオクチル−SEPHAROSETMカラム形式で実施し得る。特定の態様において、プラスミンを含んでなる組成物を硫酸アンモニウム中で約0.1Mに調製し、そして例えばオクチル−SEPHAROSETMのような樹脂を使用するカラム形式の疎水性相互作用クロマトグラフィーにかける。
【0144】
一態様において、プラスミンを含んでなるオクチル−SEPHAROSETMの素通り画分をナノ濾過にかけることができる。例えば、該素通り画分を0.1ミクロンフィルターカプセルでの前濾過にかけることができ、そしてその後例えばASAHI NF(ノーマルフロー)1.0m 15Nメンブレン(PLANOVAフィルター、Asahi Kasei America,Inc.、イリノイ州バッファローグローブ)を使用するナノ濾過にかけることができる。オクチル疎水性相互作用クロマトグラフィー後の該方法のさらに下流でナノ濾過を実施することは、より純粋な供給流によりスループットおよび膜の流れ特性を改良し得る。いくつかの態様において、疎水性相互作用クロマトグラフィー後のナノ濾過の工程は任意である。
【0145】
III.治療薬およびキット
他の局面において、プラスミノーゲンおよび/若しくはそれから製造されるプラスミンは、例えば、米国特許第6,964,764号明細書;およびNovokhatny,V.ら、J.Thromb.Haemost.1(5):1034−41(2003)(双方とも引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述される方法に従った治療的使用のため処方し得る。例えば、低pH(約2.5から約4まで)の低緩衝能力の緩衝剤を本発明に従って製造されるプラスミンの製剤に使用し得る。いくつかの態様において、プラスミノーゲンおよび/若しくはそれから製造されるプラスミンを使用して、例えば、米国特許第6,355,243号明細書および同第6,969,515号明細書(それぞれ、処置方法のその教示のために引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるところの方法に従って、多様な血栓性疾患若しくは状態を処置し得る。加えて、プラスミン、ミニプラスミンおよび/若しくはマイクロプラスミンで実践されるところの当業者に既知の他の方法および製剤を使用して、本発明のプラスミノーゲンおよび/若しくはそれから製造されるプラスミンを治療的投与のため処方し得る。
【0146】
なおさらなる局面において、本発明は、本明細書に記述される組換えプラスミノーゲンおよび/若しくはそれから製造されるプラスミンを含んでなるキットを提供する。こうしたキットは一般に、1個若しくはそれ以上の別個の区画中にプラスミノーゲンおよび/若しくはそれから製造されるプラスミンの製薬学的に許容できる製剤を含み得る。該キットは他の製薬学的に許容できる製剤もまたさらに含み得る。該キットは単一容器を有し得るか、若しくはそれらは各所望の成分について個別の容器を有してもよい。組換えプラスミノーゲンおよび/若しくはそれに由来するプラスミンを製造するのに必要な試薬、例えば、限定されるものでないが発現ベクター、該発現ベクターを含んでなる組換え宿主細胞およびプラスミノーゲンアクチベーターを挙げることができる試薬を含んでなるキットもまた企図している。さらに、該キットの成分は1種若しくはそれ以上の液体溶液で提供され、該液体溶液は水性溶液であり、無菌水性溶液がとりわけ好ましい。しかしながら、該キットの成分は乾燥された粉末(1種若しくは複数)として提供してもよい。試薬若しくは成分が乾燥粉末として提供される場合、該粉末は適する溶媒の添加により再構成し得る。該溶媒もまた提供されうることが予見される。
【0147】
以下の実施例は本方法を具体的に説明するためにのみ示され、かつ、本発明を制限するために示されない。当業者は、示される実施例は特許請求されるものを具体的に説明するのみであること、および本発明は付随する請求の範囲によってのみ範囲が制限されることを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】組換えプラスミノーゲンのアミノ酸配列の一態様(配列番号1)を示す。
【図2】−19ないし−1と番号付けられた19残基のリーダー配列、および残基1−791として示されるプラスミノーゲン配列を示す、ヒトプラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列番号2)を示す。以下、すなわち組換えプラスミノーゲンのアミノ酸配列の一態様(影を付けられた領域は配列番号1に示されるところのアミノ酸配列に対応する);クリングルドメイン1〜5(二重下線);グリコシル化部位Asn289およびThr346(太字);Arg−Val活性化部位(太字のR561562);ならびにクリングル1中のリシン結合部位(下線および特定の位置番号付けを伴う)を包含する多数の特徴が示される。
【図3】天然のヒトプラスミン(プラスミノーゲン)の5個のクリングルドメイン(1〜5)間のポリペプチド配列比較(すなわちギャップアライメント)を示す。クリングル1中の同一の相対位置のものに同一であるアミノ酸残基を下線で示す。
【図4】精製中間体のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)ゲルを示す。サンプルを還元条件下で4〜12%ポリアクリルアミドゲル上で泳動し、そしてクマシーブルーR−350色素で染色した。ゲルレーン2〜9はそれぞれ3.5μgの総タンパク質量を負荷した。レーン1および10、分子量マーカー;レーン2、可溶化された封入体;レーン3、再度折りたたまれた組換えプラスミノーゲン;レーン4、SP−SEPHAROSETM溶出液;レーン5、ECH−Lysine SEPHAROSETM溶出液;レーン6、プラスミン;レーン7、Benzamidine SEPHAROSETM負荷液(load);レーン8、Benzamidine SEPHAROSETM溶出液;レーン9、最終製剤プラスミン。ゲルの右への矢印はプラスミンの自己溶解産物を示す。
【図5】精製された組換えプラスミンのサイズ排除分析を示す。精製された組換えプラスミンの3調製物の溶出プロファイル(A280)を該図に重ねる。単量体プラスミンは、各分析の間にカラムから溶出される吸光度の98.3±0.1%を構成した。溶出される吸光度の残部(1.7±0.1%)は主ピークの前に溶出された。
【図6】初期可溶性総タンパク質(A280)、ならびに固体ポリエチレングリコール(PEG)の示される濃度までの添加および形成される沈殿物の遠心分離による除去後に溶液中に残存する組換えプラスミノーゲン活性のパーセンテージを示すグラフである。
【図7】初期可溶性総タンパク質(A280)、ならびに固体硫酸アンモニウムの示される濃度までの添加および形成される沈殿物の遠心分離による除去後に溶液中に残存する組換えプラスミノーゲン活性のパーセンテージを示すグラフである。
【図8】硫酸アンモニウム沈殿した再折りたたみ物(refold)からの組換えプラスミノーゲン(TAL6003Z)の直接捕捉を示す、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)樹脂スクリーニング実験のクロマトグラム(A280吸光度の追跡)のオーバーレイである。各分析の溶出期の開始が黒矢印により示され、そして画分収集の開始と一致している。
【図9】SDS−PAGEである。
【0149】
実施例
【実施例1】
【0150】
組換えプラスミノーゲンの製造
配列番号1に示される組換えプラスミノーゲンポリペプチドをコードするDNA(図2に示される影を付けられたアミノ酸配列もまた参照されたい)を含んでなる発現ベクターを、BL21(DE3)RIL(Stratagene、カリフォルニア州ラホヤ)、BL21(DE3)(遺伝子型:FompT hsdS(r)gal dcm(DE3))(EMB Biosciences,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)およびBLR(DE3)(遺伝子型:FompT hsdS(r)gal dcm(DE3)Δ(srl−recA)306::Tn10(Tet))を包含する多様な細胞に形質転換し、そして1mM IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)による誘導後のタンパク質過剰発現をSDS−PAGEにより分析した。発現推定値は振とうフラスコ中細胞培養物1Lあたり最低約250mgであった。
【0151】
細胞型BL21(DE3)RILを、Arg、IleおよびLeuをコードする希な大腸菌(E.coli)tRNAを発現するよう工作する。さらに、BL21(DE3)およびBLR(DE3)は、病原性およびコロニー形成因子の非存在に基づきヒトおよび動物に対し非病原性と分類されているB株大腸菌(E.coli)である。BLR(DE3)細胞はDNA組換えのためのrecA遺伝子を欠いており、また、λファージの導入はこれらの細胞を用いて報告されていない。BLR(DE3)細胞中の組換えプラスミノーゲン構築物の研究細胞バンクを製造し、そしてCharles River Laboratories(ペンシルバニア州マルバーン)でバクテリオファージの純度、同一性および誘導について試験した。該試験は該研究細胞バンクの同一性および純度を確認し、また、該細胞はファージ誘導試験に合格しファージは観察されなかった(データは示されない)。
【0152】
組換えプラスミノーゲン(すなわち配列番号1に基づく)の産生が、細胞を溶解しかつ可溶性タンパク質および精製された封入体の双方をSDS−PAGEにより検査した、より大スケールの発現で確認された。
【0153】
以下の典型的プロトコルを組換えプラスミノーゲンの発現に使用した。すなわち、
組換えプラスミノーゲンベクターを含有する大腸菌(E.coli)細胞(例えばBL21(DE3)RIL、BL21(DE3)若しくはBLR(DE3))の単一コロニーを使用して5mlのLB/カナマイシン(30μg/ml)に接種し、そして振とう機上37℃で8時間インキュベートした。それの後に、新鮮培地中でのさらなる増殖のため50μlアリコートを培養細菌懸濁液から採取した。6mlの細菌培養物および250mlの培地を用いて該手順を16時間後に反復した。培養物を約1.0のOD600nmまで37℃で振とうしながら増殖させ、そしてIPTGを1mM最終濃度まで添加した。培養物を追加の5時間増殖させた。細胞を5,000×gの遠心分離により収集し、そして細胞ペレットを20mM EDTAを含有する20mMトリスpH8.0に溶解しかつ−80℃で凍結させた。
【0154】
組換えプラスミノーゲンを精製するため、細胞ペレットを融解しかつ溶液の容量が元の細胞培養物容量のもののおよそ1/20になるまで緩衝液を添加した。その後、リゾチームを0.5mg/mlの最終濃度まで添加し、そして細胞を4℃で10〜15分間急速に攪拌した。その後、Triton X−100を1%最終濃度まで添加し、そして攪拌を別の10分間継続した。DNAアーゼI(0.05mg/ml)およびMgCl(2.5mM)を添加し、そして4℃で30分間若しくは溶液がもはや粘性でなくなるまで攪拌を継続した。最終溶液を4℃で15,000×gで30分間遠心分離しかつ上清を廃棄した。細胞ペレットを洗浄溶液(10mM EDTA、1%Triton−X−100および0.5M尿素を含有する50mMトリス−HCl、pH7.4)で3回洗浄した。
【0155】
組換えプラスミノーゲンは図1に示されるアミノ酸配列を含んでなる。該組換えプラスミノーゲンの一次構造はMet69で開始し、そして位置160〜162(ヒトプラスミノーゲン番号付け体系)のILEの代わりにリンカー配列VPQを有し;後者の変化は、天然のクリングル5セリンプロテアーゼ配列のものに同一のセリンプロテアーゼドメインに該クリングルを結合するリンカー領域を作成するため組み込んだ。組換えプラスミノーゲンのN末端配列は、SKによる活性化および活性化前ペプチドの切断後にLys78およびVal79のN末端を生じる。100Lの培養物から単離される封入体の平均収量は2.17±0.63kg(n=3)であり、これはおよそ20重量%の組換えプラスミノーゲンタンパク質を含有した。
【実施例2】
【0156】
プラスミノーゲンの可溶化および再折りたたみ
破砕し凍結させた封入体(26g)を480mlの冷可溶化緩衝液(7M尿素、10mM還元型グルタチオン、10mMトリス、0.25Mアルギニン、2mM EDTA、pH7.5)に添加し、そしてこの懸濁液を6℃で4時間活発に攪拌した。可溶化された封入体のこの溶液をその後冷再折りたたみ緩衝液(0.5M尿素、還元型および酸化型グルタチオンそれぞれ1.0mM、0.5Mアルギニン、1.0mM EDTA、5.0mM
ε−ACA、50mMトリス、pH8.0)で1:20に希釈しかつ低温で17時間攪拌した。この再折りたたみ環境中の組換えプラスミノーゲン濃度はおよそ0.5mg/mlであった。
【0157】
可溶化された封入体を還元SDS−PAGEにより分析し;クマシーブルー染色ゲルの濃度測定分析に基づき総タンパク質量のおよそ70%が組換えプラスミノーゲンであると推定された(図4、レーン2)。従って、封入体中の発現された組換えプラスミノーゲンの堆積物はこの方法の初めに比較的純粋な標的タンパク質を提供した。
【0158】
再折りたたみ手順を約0.5g/Lのタンパク質濃度で実施した。封入体からの可溶化/還元された組換えプラスミノーゲンは、希釈再折りたたみにより、0.34の比活性を有する触媒的に活性なタンパク質(化学量論的SKの存在下で決定される)に酸化的に再度折りたたまれ;これは再折りたたみ工程について(総タンパク質量に関して)34%の推定収率に対応する。封入体中に存在する組換えプラスミノーゲンタンパク質の含量にのみ基づいて再折りたたみ収率を正規化する場合、それはおよそ48%に増大する。
【実施例3】
【0159】
濾過/ダイアフィルトレーション
実施例2の再折りたたみ混合物を、0.054mのMillipore Millistak Pod+ A1HCデプスフィルターを通過させることにより澄明化した。この濾液を0.01mのMillipore Express SHC Opticap
XL 150フィルター(0.5/0.2μm)を通してさらに濾過した。この後者の濾液のダイアフィルトレーションは、2個の0.11mの30kDa GE Healthcare Kvickカセットを用いて実施した。ダイアフィルトレーション緩衝液は10mMトリス、1.0mM EDTA、5.0mM ε−ACA、50mM尿素、pH9.0であった。37と40Lの間の緩衝液交換が1〜2mS/cmという標的伝導率に達するのに必要であった。
【0160】
再折りたたみ混合物を最初にデプスフィルターを通過させてタンパク質の微粒子凝集体を除去し、そしてその後ダイアフィルトレーションした。クロマトグラフィー前のその後の濾過は下流の陽イオン交換クロマトグラフィーの汚れに対し保護するために行った。これら3種の連続した濾過/ダイアフィルトレーション/濾過工程全体の組換えプラスミノーゲン活性の回収はおよそ81%であった。
【実施例4】
【0161】
ポリエチレン(PEG)沈殿
固体ポリエチレングリコール(PEG)を、酸化的再折りたたみ後に存在しうる凝集されたタンパク質を沈殿させるため、組換えプラスミノーゲンの再折りたたみ組成物(0.5Mアルギニンおよび0.85M尿素を含んでなる透析されていない再折りたたみ組成物)に添加した。
【0162】
5、10、15若しくは20%(w/v)のPEGの最終濃度を達成するように、固体PEGの量を再折りたたみ混合物の冷(5℃)50ml部分に活発な攪拌を伴い添加した。攪拌を60分間継続してPEGの完全な可溶化を確保した。これらのサンプルならびにPEGを添加していない元の再折りたたみ混合物のサンプルを16,000rpmで30
分間遠心分離して、生じたいかなる沈殿物もペレットにした。澄明な上清を収集し、そして総タンパク質含量(A280の測定により)および活性組換えプラスミノーゲンの含量(SK活性化アッセイ、DiaPharma、オハイオ州ウエストチェスターにより)について評価し、また、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC−HPLC)により分析した。結果を表1および図6に要約し、そして、PEGの添加が(i.)活性組換えプラスミノーゲンでなかったタンパク質の比較的選択的な沈殿;(ii.)可溶性のままであった組換えプラスミノーゲンの比活性の結果として生じる増加;および(iii.)凝集されたタンパク質の排除をもたらしたことを示す。これらの結果は、透析されていない再折りたたみ混合物へのPEGの添加が(活性組換えプラスミノーゲンでなかった)若干のタンパク質の沈殿を引き起こし、また、溶液中の活性のSK活性組換えプラスミノーゲンのほとんどを保存したことを示す。さらに、SEC−HPLCは、透析されていない再折りたたみ混合物へのPEGの添加が、凝集されたタンパク質の進行性の減少およびPEG上清中の単量体の組換えプラスミノーゲンの対応する増加をもたらしたことを示した。該結果は、PEGが、誤って再折りたたみ若しくは凝集された組換えプラスミノーゲンをいくぶん選択的に沈殿させ、そしてそれによりPEG上清中の正しく再度折りたたまれた組換えプラスミノーゲンを濃縮したことを示す。この透析されていない再折りたたみ混合物中のSK活性組換えプラスミノーゲンの比活性は20%PEG上清中で0.33から0.53に増加した。該結果は、PEG沈殿が、クロマトグラフィー若しくはSK活性化工程前の再折りたたみ混合物中に存在するSK不活性組換えプラスミノーゲンの少なくとも一部分の実現可能な選択的排除方法であることを示した。
【0163】
【表1】

表1において:列1、PEG上清のA280;列2、組換えプラスミノーゲンの1.0mg/ml溶液の1.66という吸光係数によりA280値を除算することにより計算される、PEG上清中に存在する全組換えプラスミノーゲンの濃度:列3、PEG上清中に存在するSK活性組換えプラスミノーゲンの濃度(二重のアッセイ値);列4、列3の値を列2の対応する値により除算することにより計算される、SK活性組換えプラスミノーゲンの比活性(二重のアッセイに基づく二重の値);列5、PEG上清中に残存する元のA280値のパーセント;列6、PEG上清中に残存する元のSK活性プラスミノーゲンのパーセント;列7、単量体の組換えプラスミノーゲンとしてPEG上清中に存在する全組換えプラスミノーゲンのパーセンテージ(SEC−HPLCに基づく);列8、凝集されたタンパク質としてPEG上清中に存在する全組換えプラスミノーゲンのパーセンテージ(SEC−HPLCに基づく)。
【実施例5】
【0164】
硫酸アンモニウム沈殿
固体硫酸アンモニウムを、酸化的再折りたたみ後に存在しうる凝集されたタンパク質を沈殿させるため、組換えプラスミノーゲンの再折りたたみ組成物(0.5Mアルギニンおよび0.85M尿素を含んでなる透析されていない再折りたたみ組成物)に添加した。
【0165】
固体硫酸アンモニウムを、それぞれ10、20、30若しくは40%飽和に対応する硫酸アンモニウムの最終濃度を達成するように、再折りたたみ混合物の冷(5℃)50ml部分に活発な攪拌を伴い添加した。攪拌を60分間継続して硫酸アンモニウムの完全な可溶化を確保した。これらのサンプルならびに硫酸アンモニウムを添加していなかった元の再折りたたみ混合物のサンプルを16,000rpmで30分間遠心分離して、生じたいかなる沈殿物もペレットにした。澄明な上清を収集し、そして総タンパク質含量(A280の測定により)および活性組換えプラスミノーゲンの含量(SK活性化アッセイ、DiaPharma、オハイオ州ウエストチェスターにより)について評価し、また、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC−HPLC)により分析した。該結果を表2および図7に要約し、そして、硫酸アンモニウムの添加が(i.)活性組換えプラスミノーゲンでなかったタンパク質の比較的選択的な沈殿;(ii.)可溶性のままであった組換えプラスミノーゲンの比活性の結果として生じる増加;および(iii.)凝集されたタンパク質の排除をもたらしたことを示す。これらの結果は、透析されていない再折りたたみ混合物へのアンモニウムの添加が(活性組換えプラスミノーゲンでなかった)若干のタンパク質の沈殿を引き起こし、また、溶液中の活性のSK活性組換えプラスミノーゲンのほとんどを保存したことを示す。さらに、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC−HPLC)は、透析されていない再折りたたみ混合物へのアンモニウムの添加が、凝集されたタンパク質の進行性の減少および硫酸アンモニウム上清中の単量体の組換えプラスミノーゲンの対応する増加をもたらしたことを示した。該結果は、硫酸アンモニウムが、誤って再折りたたみ若しくは凝集された組換えプラスミノーゲンをいくぶん選択的に沈殿させ、そしてそれにより硫酸アンモニウム上清中の正しく再度折りたたまれた組換えプラスミノーゲンを濃縮したことを示す。この透析されていない再折りたたみ混合物中のSK活性組換えプラスミノーゲンの比活性は、30%飽和硫酸アンモニウム上清中で0.33から0.48に増加し;より多量の硫酸アンモニウムの添加はSK活性組換えプラスミノーゲンのかなりの沈殿を引き起こすという明らかな影響を有した。該結果は、硫酸アンモニウム沈殿が、クロマトグラフィー若しくはSK活性化工程前の再折りたたみ混合物中に存在するSK不活性組換えプラスミノーゲンの少なくとも一部分の実現可能な選択的排除方法であることを示した。
【0166】
【表2】

表2において:列1、硫酸アンモニウム上清のA280;列2、組換えプラスミノーゲンの1.0mg/ml溶液の1.66という吸光係数によりA280値を除算することにより計算される、硫酸アンモニウム上清中に存在する全組換えプラスミノーゲンの濃度:列3、硫酸アンモニウム上清中に存在するSK活性組換えプラスミノーゲンの濃度(二重のアッセイ値);列4、列3の値を列2の対応する値により除算することにより計算される、SK活性組換えプラスミノーゲンの比活性(二重のアッセイに基づく二重の値);列5、硫酸アンモニウム上清中に残存する元のA280値のパーセント;列6、硫酸アンモニウム上清中に残存する元のSK活性プラスミノーゲンのパーセント;列7、単量体の組換
えプラスミノーゲンとして硫酸アンモニウム上清中に存在する全組換えプラスミノーゲンのパーセンテージ(SEC−HPLCに基づく);列8、凝集されたタンパク質として硫酸アンモニウム上清中に存在する全組換えプラスミノーゲンのパーセンテージ(SEC−HPLCに基づく)。
【実施例6】
【0167】
硫酸アンモニウム沈殿後の疎水性相互作用クロマトグラフィー
固体(NHSOを、組換えプラスミノーゲンを含有する再折りたたみ組成物(pH8.0)に1Mまで添加した。形成された沈殿物を濾過(0.45μm)により除去し、そして濾過後溶液を以下の疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体、すなわち
分析1。HiTrapTMフェニルセファロースFF:負荷:25ml(A280;0.839);素通り画分(FT)/洗浄液:49.4g(A280:0.266);溶出液:画分を含む96ウェルプレート。
分析2。HiTrapTMオクチルセファロースFF:負荷:25ml(A280;0.839);素通り画分(FT)/洗浄液:49.6g(A280:0.407);溶出液:画分を含む96ウェルプレート。この分析はいかなる現実の溶出物ピークも示さなかった。
分析3。HiTrapTMブチルセファロースFF:負荷:25ml(A280;0.839);素通り画分(FT)/洗浄液:49.05g(A280:0.215);溶出液:画分を含む96ウェルプレート。
分析4。HiTrapTMフェニルセファロースHP:負荷:25ml(A280;0.839);素通り画分(FT)/洗浄液:49.01g(A280:0.183);溶出液:画分を含む96ウェルプレート。
と接触させた。
【0168】
クロマトグラフィー:緩衝液A:25mMトリス−HCl、pH8.0、1mM EDTA、および1M(NHSO;ならびに緩衝液B:25mMトリス−HCl、pH8.0および1mM EDTA(1ml/分で40CVで100−0%逆勾配)。画分を1mlスケールで収集した。
【0169】
分析からの以下の画分を10mMトリス−HCl、pH9.0および1mM EDTAに対し4℃で最低2日間の透析にかけた。すなわち、画分1−フェニルセファロースFF(B1−B11);画分2−フェニルセファロースFF(B12−D5);画分3−フェニルセファロースFF(D6−D11);画分4−フェニルセファロースFF素通り画分;画分5−オクチルセファロース素通り画分;画分6−カラム負荷液;画分7−ブチルセファロース(A6−B12);画分8−ブチルセファロース(C1−C7);画分9−ブチルセファロース(C8−D12);画分10−ブチルセファロース素通り画分;画分11−フェニルセファロースHP(A12−B12);画分12−フェニルセファロースHP(C1−D1);画分13−フェニルセファロースHP素通り画分;および画分14−カラム負荷液。
【0170】
4種の疎水性相互作用クロマトグラフィー分析のA280吸光度追跡を図8に示す。選択された画分の効力分析は、フェニルセファロースFF(B12−D5)のプールされた画分2が0.91の比活性を有する一方、素通りプール画分4が0.003の比活性を有したことを示した。同様に、フェニルセファロースHP(A12−B12)のプールされた画分11の比活性が1.01であった一方、この分析の素通り画分13の比活性は無視できた。画分7ブチルセファロース(A6−B12)は0.61の比活性、画分8ブチルセファロース(C1−C7)は0.21の比活性、および画分10ブチルセファロース素通り画分は0.05の比活性を有した。オクチルセファロース樹脂で捕捉ピークは達成されず、また、この分析からの素通り画分5は0.42の比活性を有した。
【0171】
該結果は、硫酸アンモニウム沈殿工程からの上清/濾液が疎水性相互作用クロマトグラフィーへの直接適用に従うことを示す。フェニルセファロースFF、フェニルセファロースHPおよびブチルセファロースFFは、再折りたたみ混合物から活性組換えプラスミノーゲン(recPlasminogen)タンパク質のほとんどを選択的に捕捉することが可能であり、溶出液画分中の高比活性および素通り画分プール中の低比活性により明らかである。従って、例えば、硫酸アンモニウム沈殿後に、該沈殿物を、いかなる沈殿物の全部若しくは実質的量も除去する1種若しくはそれ以上の方法(例えば深層濾過、遠心分離、精密濾過などおよび/若しくはそれらの組合せ)により澄明化し得、そして、プラスミノーゲンを含んでなる澄明化された濾液を疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけてその中に含有される組換えプラスミノーゲンを捕捉し得る。
【実施例7】
【0172】
陽イオン交換クロマトグラフィー
再度折りたたまれたダイアフィルトレーションされた組換えプラスミノーゲンを室温でSPセファロースFF(GE Healthcare、ペンシルバニア州ピッツバーグ)の206mlのカラムで捕捉した。カラム平衡化緩衝液は25mMトリス、1.0mM EDTA、pH8.0であった。該カラムを10カラム容量の平衡化緩衝液で洗浄した後、組換えプラスミノーゲンを25mMトリス、200mM NaCl、1.0mM EDTA、pH8.0で溶出した。
【0173】
SPセファロースカラム溶出液は、およそ89%の組換えプラスミノーゲン活性の回収を伴い、0.98という比活性を有するほぼ均質な組換えプラスミノーゲンを提供した。このクロマトグラフィー工程は、表3に示されるとおり、宿主細胞タンパク質による組換えプラスミノーゲンの汚染の低減において高度に有効であった。
【0174】
【表3】

値は、それぞれ封入体の異なるバッチで開始する3回の異なる精製運転の平均±該平均からの標準偏差を表す。
値は生物分析アッセイのため取り出したサンプルの容量について補正していない。
比活性、総タンパク質1mgあたりの活性組換えプラスミノーゲンのmg。
分析はこれらのサンプルで実施しなかった。
【実施例8】
【0175】
アフィニティークロマトグラフィー
SPセファロースカラムから溶出された組換えプラスミノーゲンをその後ECH−Lysineセファロースカラムに結合しかつそれから溶出した。この後者のアフィニティークロマトグラフィー工程は、処理されたタンパク質の全部若しくは実質的に全部がクリングルドメイン上の正しく再度折りたたまれたリシン結合部位をさらに下流に含有することを確認するのにもまた役立った。
【0176】
SPセファロースカラムからの溶出液を、50mMトリス、200mM NaCl、1.0mM EDTA、pH8.0で平衡化したECH−Lysineセファロース4 FF(GE Healthcare、ペンシルバニア州ピッツバーグ)の295mlカラムに室温で負荷した。該カラムを4カラム容量の平衡化緩衝液およびその後3カラム容量の洗浄2緩衝液(50mMトリス、pH8.0および1mM EDTA)で洗浄した後に、プラスミノーゲンを50mMトリス、20mM ε−ACA、1.0mM EDTA、pH8.0で溶出した。このカラム溶出液を、精製方法の次の工程を開始するまで−80℃で凍結保存した。
【0177】
組換えプラスミノーゲンのほぼ定量的な回収が、単一の比活性を伴い、ECH−Lysineセファロースクロマトグラフィー工程から達成された。このアフィニティーカラムは宿主細胞タンパク質の含量のさらなる低減においてもまた有効であった。
【実施例9】
【0178】
可溶性ストレプトキナーゼを使用するプラスミノーゲンのプラスミンへの活性化
融解した組換えプラスミノーゲンを、以下の溶液条件下すなわち2.5mgのプラスミノーゲン/ml;12.5%(v/v)1,2−プロパンジオール;200mM ε−ACA;87.5%(v/v)ECH−Lysineセファロース溶出緩衝液;25μgのストレプトキナーゼ(SK)/ml;pH7.0で、室温で4時間SKで活性化した。
【0179】
SKを使用して、遊離溶液中で組換えプラスミノーゲンをプラスミンに活性化した。活性化の条件は、組換えプラスミノーゲンの活性化を最大化しかつ自己溶解を最小化するよう慎重に選択した。4時間の活性化時間の終了時のプラスミンの比活性は0.77であり、この工程でのおよそ80%収率を示した。
【実施例10】
【0180】
固定された組換えポリヒスチジン標識ストレプトキナーゼを使用するプラスミノーゲンのプラスミンへの活性化
10mMトリス−HCl(pH8.0)および100mM NaCl中の組換えポリヒスチジン標識ストレプトキナーゼ(100μg)を、100μlの固定された金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)マトリックスに添加する。22℃で5分間のインキュベーション後に、0.45μmセルロースアセテートフィルターを取り付けたSpin−X微小遠心スピンカラム(Costar、マサチューセッツ州ケンブリッジ)に該スラリーを適用する。マトリックスを2,000×gで3分間遠心分離によりペレットにし、そしてその後20mMトリス−HCl、pH7.4で数回洗浄する。マトリックスをSpin−X装置から取り出し、微小遠心管に入れ、200mlの50mMトリス−HCl緩衝液、pH7.4に再懸濁する。
【0181】
等モル量の組換えプラスミノーゲンを、活性化溶液すなわち50mMトリス−HCl緩衝液pH7.4中の固定されたストレプトキナーゼに添加する。サンプルを22℃でインキュベートし、そして回転プラットフォーム上に置いてマトリックスを懸濁状態に保つ。
活性化の完了に際して、活性化溶液をガラスフィルター上のストレプトキナーゼ−SEPHAROSETMから濾過し、そして直ちにQメンブレン若しくはベンズアミジン−SEPHAROSETMカラムに適用する。プラスミノーゲン活性化の進行をモニターするため、多様な間隔でサンプルを選択し、そして0.1容量の10×停止緩衝液(1.0M NaHCO、1.0M ε−アミノカプロン酸(pH9.4))の添加により反応を停止する。サンプルをSpin−X微小遠心管に移し、そして2,000×gで3分間の遠心分離によりペレットにする。固定された反応体を25μlの100mM EDTAの添加により溶出し、次いで5,000×gで10分間遠心分離する。還元SDS−PAGEを慣習的方法論により実施した。
【実施例11】
【0182】
陰イオン交換クロマトグラフィー
実施例9のSK活性化混合物を200mM ε−ACA/12.5%1,2−プロパンジオールで1:1希釈しそして9.0にpH調節した。この溶液に室温でSartobind SingleSep Q Nano 1mlメンブレン(Sartorius)を通過させた。
【0183】
活性化溶液にQメンブレンを通過させて、プラスミンの91%回収を伴いSKを除去し;この分離は、組換えプラスミン(9.3および9.5)ならびにSK(5.2)の完全に異なるpIにより可能にされる。負荷物質およびこのQメンブレンからの素通り画分のウエスタンブロット分析に基づけば、SKはこの工程により定量のレベルより下に減少された。
【実施例12】
【0184】
アフィニティークロマトグラフィー
実施例11のQメンブレン素通り画分にNaCl(0.5Mまで)を補充し、そして室温で25mMトリス、500mM NaCl、250mM ε−ACA、pH7.0で平衡化されたベンズアミジンセファロース4 FF(high sub)(GE Healthcare、ペンシルバニア州ピッツバーグ)の200mlカラムに負荷される前に7.0にpH調節した。カラムを5カラム容量の平衡化緩衝液で洗浄した後、プラスミンを200mMクエン酸ナトリウム、200mM ε−ACA、300mM NaCl、pH3.0で溶出した。このカラム溶出液を、ピーク前端に存在するプラスミンのpHを(3.0に)迅速に低下させる目的上、1カラム容量の溶出緩衝液を含有する容器に収集した。
【0185】
Qメンブレン素通り画分を、活性プラスミンを結合しかつ反応されていない組換えプラスミノーゲンおよび自己溶解されたプラスミンを除去するため、ベンズアミジンセファロースカラムに負荷した。プラスミン活性はこの工程の間におよそ95%の収率を伴い回収された。
【実施例13】
【0186】
限外濾過/ダイアフィルトレーション
ベンズアミジンセファロースカラムからの溶出液中に存在するプラスミンをおよそ5倍(5mg/mlまで)濃縮し、そして5kDa Millipore Pellicon
XL(0.005m)メンブレンを使用して5.0mMクエン酸ナトリウム(pH3.3)に対しダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション後にこの酸性プラスミン溶液を−80℃で保存した。
【実施例14】
【0187】
プラスミンの濃度、活性および純度
全タンパク質を、280nmでのその吸光度に基づいて較正したプラスミノーゲン標準を使用するピロガロールレッド法により、上流の精製中間体中で定量した。純粋な組換えプラスミンの吸光係数はアミノ酸組成に基づき1.66mg−1/mlであると計算され;280nmでの吸光度を使用して下流の精製中間体中のプラスミンタンパク質を定量した。プラスミノーゲン活性はCOAMATIC(R)プラスミノーゲンキット(DiaPharma Group,Inc.)を使用してアッセイした。後者のキットは、しかしアッセイ混合物へのSKの添加を伴わずにプラスミン活性をアッセイするのにもまた使用し;触媒的に活性のチモーゲンの濃度を測定するためこれらのアッセイを較正しかつ検証した。慣習的SDS−PAGEを還元条件下で実施した。サイズ排除HPLCを、10mM酢酸、100mM NaCl、pH3.4を移動相として用いる7.8mm×30cmのTSK−GEL G2000SWXLカラム(トーソー・バイオサイエンス)を用いて実施した。大腸菌(E.coli)BL21宿主細胞タンパク質をCygnus TechnologiesからのELISAキットを用いてアッセイした。SKは特注で調製されアフィニティー精製されたウサギ抗SK血清を使用する半定量的ウエスタンブロットで推定した。
【0188】
プラスミノーゲンおよびプラスミンの純度の第一の判断基準は調製物の比活性であり、1.0という比活性は100%純粋なタンパク質を表す。表3および4に示されるとおり、プラスミノーゲン中間体およびプラスミン最終生成物の比活性は双方とも1.0に近かった。
【0189】
【表4】

表4において:列1:タンパク質濃度;列2:総タンパク質量;列3:総活性;列4:処理工程で回収される活性;列5:比活性;列6:宿主細胞タンパク質;列7:SK濃度。値は生物分析アッセイのため取り出したサンプルの容量について補正していない。
値は3回の異なる精製運転の平均±該平均からの標準偏差を表す。
比活性、総タンパク質1mgあたりの活性組換えプラスミンのmg。
分析はこれらのサンプルで実施しなかった。
定量のレベル(0.15μg/ml)より下。
【0190】
プラスミノーゲンの進行的精製、SKによる一本鎖プラスミノーゲンの二本鎖プラスミンへの転化、およびプラスミンの精製を具体的に説明する図4に提示されるSDS−PAGEの結果は、純度のこれらの推定を裏付けている。小さいパーセンテージの自己溶解産物が、精製過程の終了時に限外濾過/ダイアフィルトレーションされたプラスミンで観察された(図4、レーン9)。最終生成物の3サンプルのサイズ排除HPLC分析を図5に重ね;この分析はタンパク質の98%が単量体プラスミンに対応するピーク中に溶出されたことを示した。宿主細胞タンパク質は精製されたプラスミン1mgあたり0.8ng未満に減少された。SKは定量のレベルより下(プラスミン1mgあたり0.02μg未満)に減少された。
【0191】
可溶化された封入体に存在する組換えプラスミノーゲンタンパク質はおよそ48%の収率を伴い活性タンパク質に再度折りたたまれた。活性の再度折りたたまれたチモーゲンに基づくECH−Lysineセファロースクロマトグラフィー後の活性の総回収は70%であった。出発チモーゲン活性に基づくプラスミン活性の収率は65%であった。従って、活性の再度折りたたまれたチモーゲンに基づくプラスミンの計算される総収率は、表3および4に提示される3回の精製運転について46%であった。
【実施例15】
【0192】
組換えプラスミノーゲンから製造されるプラスミンの陰イオン交換クロマトグラフィー
Qメンブレンクロマトグラフィーを、SKを使用する組換えプラスミノーゲンのプラスミンへの活性化直後に実施した。SK活性化混合物を約7から約8までpH調節し、pH8トリス緩衝液で平衡化したQメンブレンに負荷し、そしてプラスミンを含有する素通り画分を収集した。ベンチスケール研究を実施し、そしてSK結合およびプラスミン回収率に伝導性のメンブレン負荷条件を特定した。ベンチスケール実験からのサンプルをSK含量についてアッセイし、そしてサンプル純度を確認した。
【実施例16】
【0193】
血漿由来プラスミノーゲンから製造されるプラスミンの陰イオン交換クロマトグラフィー
血液由来プラスミノーゲンおよび/若しくはそれから製造されるプラスミンは、例えば、米国特許第6,355,243号明細書、同第6,964,764号明細書、同第6,969,515号明細書および同第7,544,500号明細書;米国特許公開第2002/0192794号明細書および同第2003/0012778号明細書;ならびにDeutschら、Science、170:1095−6(1970)(それらのそれぞれはそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)により開示される。従って、プラスミノーゲンは、プラスミンを含んでなる組成物を提供するために血液(例えば血漿、血清)から製造される。
【0194】
例えば、プラスミノーゲンは、Deutschら、上記により記述されるところのLys−SEPHAROSEでのアフィニティークロマトグラフィーによりCohn画分II+IIIペーストから製造される。例えば、200gのCohn画分II+IIIペーストを2リットルの0.15Mクエン酸ナトリウム緩衝液pH7.8に再懸濁する。該懸濁液を37℃で一夜インキュベートし、14,000rpmで遠心分離し、ガラス繊維で濾過し、そして500mlのLys−SEPHAROSE 4B(Pharmacia)と混合する。プラスミノーゲンの結合を室温で2時間実施する。Lys−SEPHAROSEをその後2リットルガラスフィルター上に移し、そして280nmでの吸光度が0.05より下に下落するまで、0.3M NaClを含有する0.15Mクエン酸ナトリウムで数回洗浄する。結合されたプラスミノーゲンを0.2M ε−アミノカプロン酸の3個の200ml部分で溶出する。溶出されたプラスミノーゲンを、プラスミノーゲン溶液1mlあたり0.4gの固体硫酸アンモニウムで沈殿させる。該粗(80〜85%純粋)プラスミノーゲンの沈殿物を4℃で保存し得る。
【0195】
粗プラスミノーゲンの硫酸アンモニウム沈殿物を14,000rpmで遠心分離し、そして、10〜15mg/mlの最終タンパク質濃度を達成するためにpH9.0の10mMリシン、80mM NaClを含有する40mMトリスを使用して最少容量に再懸濁する。該プラスミノーゲン溶液を同一緩衝液に対し一夜透析して硫酸アンモニウムを除去する。透析されたプラスミノーゲン溶液(10〜20ml)を等容量の100%グリセロールで希釈し、そして適切な量のプラスミノーゲンアクチベーター、好ましくはストレプトキナーゼと合わせる。50%グリセロールの使用は、該アクチベーターによる活性化の間に形成されるプラスミンの自己分解を低減し得る。
【0196】
アクチベーター(例えばストレプトキナーゼ)によるプラスミノーゲン活性化は室温で約2時間ないし約24時間若しくはそれ以上である。SDS−PAGEを還元条件下で実施してプラスミノーゲン活性化の進行をモニターする。活性化の完了に際して、プラスミンを含んでなる活性化溶液を所望の場合はガラスフィルターで濾過し、そしてベンズアミジン−SEPHAROSEのようなアフィニティー吸着媒に適用する。プラスミンはトリプシン様特異性をもつセリンプロテアーゼであるため、ベンズアミジン−セファロースは活性プラスミンの捕捉を可能にし得るアフィニティー吸着媒である。例えば、50%グリセロール中の溶液を、0.5M NaClを含有する0.05Mトリス、pH8.0で平衡化された50mlのベンズアミジン−セファロースカラムに3ml/分の流速で適用する。該カラムを3〜7℃で3ml/分で運転する。結合されないピークの前端部分は高分子量不純物を含有する。結合されないピークの残部は、残余の活性化されていないプラスミノーゲンおよびプラスミンの不活性自己分解生成物により表される。
【0197】
プラスミンを中性pH条件での不活性化から保護するため酸性溶出条件を選択する。ベンズアミジン−セファロースに結合されたプラスミンは例えば0.5M NaClを含有する0.2Mグリシン緩衝液pH3.0で溶出する。
【0198】
ベンズアミジンセファロースカラムから収集される溶出液をpH約6.5ないし7.0に調節し、そして注射用水(WFI)で4倍希釈した。Qメンブレン(Sartorius Sartobind MA 5 Qメンブレン)を平衡化緩衝液(62.5mM ECAC、37.5mM NaCl、pH6.5ないし7.0)で平衡化し、そして希釈されたベンズアミジン溶出液をQメンブレンに負荷した。素通り画分およびすすぎ液を収集し、そしてpHを1N HClで直ちにpH3.4に調節した。このpHを調節された素通り画分をその後UF/DFにより濃縮しかつダイアフィルトレーションした。
【0199】
SDS−PAGE分析は、ごく少量(約10%若しくはそれ未満)のプラスミンがQメンブレンに結合され、残余が素通りおよびすすぎ画分に捕捉されたことを確認した(図9)。また、ウエスタンブロット分析は、Q負荷液中に存在するSKフラグメントは素通り画分およびすすぎ液中に存在しなかったが、しかしQメンブレンを62.5mM EACA、500mM NaCl、pH6.5で処理した場合にストリップ画分に存在したことを確認した。該ウエスタンブロットを濃度測定で分析し、そして該結果を表5に示す。
【0200】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽イオン交換媒体がプラスミノーゲンを結合するのに十分である陽イオン交換条件下で、プラスミノーゲンを含んでなる組成物を陽イオン交換媒体と接触させることを含んでなる、プラスミノーゲンの製造方法。
【請求項2】
陽イオン交換媒体が支持体に結合されているリガンドを含んでなり、該リガンドがスルホプロピルであり、該支持体がアガロースである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物が、折り畳まれていないプラスミノーゲン、誤って折り畳まれたプラスミノーゲン若しくは双方をさらに含んでなり、該イオン交換条件が、該陽イオン交換媒体が該折り畳まれていないプラスミノーゲン、誤って折り畳まれたプラスミノーゲン若しくは双方に関してプラスミノーゲンを優先的に結合するように十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
陽イオン交換媒体により結合されたプラスミノーゲンを溶出して、プラスミノーゲンを含んでなる陽イオン交換媒体溶出液を得ることをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アフィニティー媒体がプラスミノーゲンを結合するのに十分である第一のアフィニティー条件下で、陽イオン交換媒体溶出液を第一のアフィニティー媒体と接触させることをさらに含んでなる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第一のアフィニティー媒体が支持体に結合されているリガンドを含んでなり、該リガンドがプラスミノーゲンに対する親和性を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
リガンドがリシンであり、支持体がアガロースである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
プラスミノーゲンが組換えプラスミノーゲンである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
組換え発現系を使用して組換えプラスミノーゲンを発現することをさらに含んでなる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
組換え発現系が、エシェリキア属(Escherichia)に基づく、ピキア属(Pichia)に基づく、若しくは哺乳動物細胞に基づく発現系である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
発現する工程が、組換えプラスミノーゲン封入体を産生するのに十分な発現条件下で発現系を実施することを含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
可溶化された組換えプラスミノーゲン封入体を得るのに十分な可溶化条件下で、組換えプラスミノーゲン封入体を可溶化緩衝液と接触させることをさらに含んでなる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
可溶化された組換えプラスミノーゲン封入体を再折りたたみ条件下で再折りたたみ溶液と接触させて組換えプラスミノーゲンを含んでなる組成物を得ることをさらに含んでなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
再度折りたたむ工程の後かつ陽イオン交換媒体と接触させる工程の前に組成物をダイアフィルトレーションすることをさらに含んでなる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(a)組換えプラスミノーゲン封入体を産生させるのに十分な発現条件下で組換え発現系を使用して組換えプラスミノーゲンを発現させること;
(b)可溶化された組換えプラスミノーゲン封入体を得るのに十分な可溶化条件下で、組換えプラスミノーゲン封入体を可溶化緩衝液と接触させること;
(c)可溶化された組換えプラスミノーゲン封入体を再折りたたみ条件下で再折りたたみ溶液と接触させて組換えプラスミノーゲンを含んでなる組成物を得ること;
(d)工程(c)後に組成物をダイアフィルトレーションすること;
(e)陽イオン交換媒体が組換えプラスミノーゲンを結合するのに十分であるイオン交換条件下で、該組成物を陽イオン交換媒体と接触させること;
(f)陽イオン交換媒体により捕捉された組換えプラスミノーゲンを溶出して、組換えプラスミノーゲンを含んでなる陽イオン交換媒体溶出液を得ること;
(g)第一のアフィニティー媒体が組換えプラスミノーゲンを結合するのに十分である第一のアフィニティー条件下で、陽イオン交換媒体溶出液を第一のアフィニティー媒体と接触させること;および
(h)第一のアフィニティー媒体により結合された組換えプラスミノーゲンを溶出して、組換えプラスミノーゲンを含んでなるプラスミノーゲン溶液を得ること、
を含んでなる、プラスミノーゲンの製造方法。
【請求項16】
プラスミノーゲンをプラスミンに転化するのに十分な活性化条件下で、請求項1に記載の方法に従って製造されたプラスミノーゲンを活性化溶液中でプラスミノーゲンアクチベーターと接触させることを含んでなる、プラスミンの製造方法。
【請求項17】
活性化溶液を陰イオン交換条件下で陰イオン交換媒体と接触させてプラスミンを含んでなる陰イオン交換媒体素通り画分を得ることをさらに含んでなり、陰イオン交換条件は該陰イオン交換媒体がプラスミンに関してプラスミノーゲンアクチベーターを優先的に結合するようである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
プラスミンを結合するのに十分な第二のアフィニティー条件下で陰イオン交換媒体素通り画分を第二のアフィニティー媒体と接触させることをさらに含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体がプラスミンに関してプラスミノーゲンアクチベーターを優先的に結合するような十分な疎水性相互作用条件下で、プラスミンを含んでなる第二のアフィニティー媒体溶出液を疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体と接触させることをさらに含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
(a)陽イオン交換媒体がプラスミノーゲンを結合するのに十分である陽イオン交換条件下で、プラスミノーゲンを含んでなる組成物を陽イオン交換媒体と接触させること;
(b)プラスミノーゲンをプラスミンに転化するのに十分な活性化条件下で、プラスミノーゲンを活性化溶液中でプラスミノーゲンアクチベーターと接触させること;および
(c)陰イオン交換媒体がプラスミンに関してプラスミノーゲンアクチベーターを優先的に結合するような陰イオン交換条件下で陰イオン交換媒体とプラスミンを接触させることを含んでなる、プラスミンの製造方法。
【請求項21】
沈殿条件下で再折りたたみ溶液にPEG若しくは塩を添加することをさらに含んでなり、再折りたたみ溶液はプラスミノーゲンおよび凝集されたポリペプチドを含んでなり、プラスミノーゲンは再度折りたたまれたプラスミノーゲンであり、沈殿条件は凝集されたタンパク質の全部若しくは実質的な部分を沈殿させるのに十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
添加することが、約1%ないし約20%(w/v)の濃度のPEGを提供することを含んでなる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
PEGが、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1000、PEG 2000、PEG 3350、PEG 4000、PEG 4600、PEG 5000、PEG 6000およびPEG 8000よりなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
塩が硫酸アンモニウム、硫酸カリウム若しくは硫酸ナトリウムである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
再折りたたみ溶液を澄明化して沈殿物を除去してそれによりプラスミノーゲンを含んでなる組成物を得ることをさらに含んでなる、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体がプラスミノーゲンを優先的に捕捉するような十分な適する疎水性相互作用条件下で、プラスミノーゲンを含んでなる澄明化された組成物を疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体と接触させることをさらに含んでなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体が支持体に結合されているリガンドを含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
リガンドがフェニル若しくはブチル部分であり、支持体がアガロースである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1に従って製造されるプラスミノーゲン。
【請求項30】
請求項20に従って製造されるプラスミン。
【請求項31】
プラスミンを含んでなる組成物を陰イオン交換体と接触させて、それにより、組成物中に存在する場合はプラスミンのものより下の等電点を有するタンパク質性物質をプラスミンから分離することを含んでなる、プラスミンの製造方法。
【請求項32】
プラスミンを形成するのに十分な活性化条件下でプラスミノーゲンをプラスミノーゲンアクチベーターと接触させることをさらに含んでなる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
タンパク質性物質がストレプトキナーゼ若しくはそのフラグメントである、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−519487(P2012−519487A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553035(P2011−553035)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/025898
【国際公開番号】WO2010/101903
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(506074484)グリフオルス・セラピユーテイクス・インコーポレーテツド (10)
【氏名又は名称原語表記】Grifols Therapeutics,Inc.
【Fターム(参考)】