説明

プラズマディスプレイパネルの基板構造体、その製造方法及び該基板構造体を含むプラズマディスプレイパネル

【課題】プラズマディスプレイパネル(PDP)の基板構造体、その製造方法及び該基板構造体を含むプラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】基板と、基板上に配され、第1層と第2層とを備え、第2層はアルミニウムを含み、基板と第2層との間の第1層は導電物を含み、第1層は第2層より小さな比抵抗を持つ電極と、基板上に配され、第1層の導電物の酸化物を含む吸光層と、を備えるプラズマディスプレイパネルの基板構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDP)に関する。また、前記PDPの基板構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PDPは、ガス放電で画像を具現するディスプレイ装置である。前記ガス放電はプラズマを発生させ、前記プラズマは真空紫外線(VUV)を放出し、前記真空紫外線は蛍光体を励起し、励起された蛍光体が安定化しつつ、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)可視光を放出する。
【0003】
例えば、PDPの一形態として、アドレス電極は第1(または背面)基板上に配され、前記第1基板上に、前記アドレス電極を覆うように誘電体層が形成される。隔壁は前記アドレス電極間の前記絶縁体層上にストライプ形態に形成される。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)蛍光体層は、絶縁体層の表面上と隔壁表面の内部に形成される。
【0004】
表示電極(例えば、対で形成される維持電極、スキャン電極)は、第2(前面)基板上に前記アドレス電極と交差する方向に延長して形成される。
【0005】
放電セルは前記隔壁により区切られ、前記アドレス電極と表示電極とが交差する領域に形成される。したがって、数百万個(またはそれ以上)の放電セルが前記PDP内にマトリックス形態で配されうる。
【0006】
一実施形態として、前記第2(前面)基板はガラスのような透光物質で形成され、表示電極は透明な導電性物質で形成されうる。大部分の透明な導電性物質が表示(透明)電極を形成するのに利用され、不透明な導電物に比べて大きい抵抗を持つが、第1基板に光が到達することは妨害しない。相対的に大きい抵抗を持つ電極は、電圧降下及び/または消費電力でPDP駆動能力を低下させる。透明電極の導電性改善のためにバス(または金属)電極を使用する。前記バス電極は、前記透明電極に接して配される。前記金属電極は、前記透明電極の導電性を補償するものであって、優秀な導電性を持つものが望ましい。しかし、焼成工程を経るフォトリソグラフィ工程で電極を形成する場合、前記金属電極は酸化して導電性が落ちるという問題がある。したがって、焼成後にも比抵抗を小さくして優れた導電性を持つ必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、相対的に低コストのアルミニウムを含んでPDP電極を形成でき、PDP電極と共に吸光層を同時に形成できてPDP生産性を高めるPDP基板構造体、その製造方法及びそれを備えるPDPを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一般的に、電極の比抵抗が小さいほど(例えば、PDPのバス電極)、前記電極の導電性は高い。例えば、相対的に値段の安い電極物質であるアルミニウム(Al)は、約100μΩ・cmの相対的に高い固有の比抵抗を持つ。したがって、従来のアルミニウム電極は相対的に低い導電性を持つ。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、電極(例えば、PDPのバス電極)は第1層と第2層とを備える。前記第2層は基板上に配され、アルミニウムを含む。前記第2層と前記基板との間に形成される前記第1層は、アルミニウムより低い比抵抗を持つ導電物を含む。吸光層は前記基板上に前記電極と隣接して形成され、前記第1層の導電物の酸化物を含む。したがって、前記電極は貴金属ではなく、相対的に低コストのアルミニウムを含むことができ、高価の装備を要しないフォトリソグラフィ工程を使用して形成できる。また、前記電極は相対的に小さな比抵抗を持つ(例えば、約20μΩ・cm以下)。
【0010】
また、前記第2層は、アルミニウムの酸化を防止する表面処理剤をさらに含む。前記電極を構成する前記第1層は外部に露出された領域を備え、露出された前記領域が酸化されて吸光層を形成することによって、電極と吸光層とを容易に製造できる。
【0011】
本発明の他の実施形態では、基板、前記基板上に配される電極、前記基板上に形成される吸光層を備えるPDP基板構造体を提供する。前記吸光層は、前記第1層の導電物の酸化物である。前記電極は、第2層より比抵抗の小さな導電物を含む第1層、アルミニウムを含む第2層を備える。前記第1層は、前記基板と前記第2層との間に配される。
【0012】
前記第2層は、アルミニウムの酸化を防止する表面処理剤をさらに含む。具体的に、前記アルミニウムは前記表面処理剤により覆われる。前記表面処理剤としてセルロースエーテルを含み、前記アルミニウムは焼結されたアルミニウム粒子を含む。
【0013】
前記第1層の導電物は、銅(Cu)またはニッケル(Ni)を含む。前記吸光層はブラック系の色を表し、電極の短絡を防止する絶縁物として作用する。前記電極は約20μΩ・cm以下の比抵抗を持つ。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1基板、前記第1基板と対向する第2基板、前記第1基板上に第1方向に延長して形成されて、第1層と第2層とを備える第1電極、前記第2層はアルミニウムを含み、前記基板と前記第2層との間に配される前記第1層は、アルミニウムより小さな比抵抗を持つ導電物を含むことを特徴とし、前記第1電極と隣接して前記第1基板上に形成される吸光層、前記吸光層は、前記第1層の導電物の酸化物であることを特徴とし、前記第1基板上に前記第1電極と前記吸光層とを覆うように形成される絶縁層、前記第1電極と離隔して前記第1方向と交差する第2方向に延長する前記第2基板上に形成される第2電極を備える。
【0015】
一実施形態で、前記PDPは、前記第1方向に延長して、前記第1基板と前記第1電極との間に配される第3電極をさらに備える。前記第3電極は透明電極でありうる。前記第1電極は、前記透明電極上に配されるバス電極であり、前記第2電極はアドレス電極でありうる。
【0016】
さらに他の実施形態で、前記PDPは、前記第1電極と前記第2電極との間の隔壁をさらに備えることができる。前記吸光層は、第1方向に延長する隔壁の一領域に対応して形成されることによって、前記第1方向に延長する隔壁の前記一領域と重なる。前記第2層は、アルミニウムの酸化を防止する表面処理剤をさらに含む。前記アルミニウムは焼結されたアルミニウム粒子を含む。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態によれば、PDP基板構造体の製造方法を提供する。前記製造方法は、基板上にアルミニウムより小さな比抵抗を持つ第1導電層を形成する工程、アルミニウムを含む第1導電層上に第2導電層を形成する工程、前記第2導電層をパターニングして前記第1導電層の第1領域を露出させるように第2導電層パターンを形成する工程、前記第2導電層パターンにより覆われた前記第1導電層の第2領域を焼成して、前記第1導電層と前記第2導電層パターンとが結合して電極を形成する工程、前記第2導電層パターンにより露出された前記第1導電層の第1領域を酸化して吸光層を形成する工程を含む。
【0018】
一実施形態で前記第2導電層を形成する工程は、アルミニウム粒子と、前記アルミニウム粒子の酸化を防止する表面処理剤とを含むアルミニウム液状組成物を形成する工程を含む。前記アルミニウム粒子は、前記第2導電層で18ないし40.8重量部で含む。前記表面処理剤は、前記第2導電層で3ないし34重量部で含む。前記アルミニウム粒子は、前記アルミニウム液状組成物100重量部に対して30ないし60重量部で含むことができ、前記表面処理剤は、前記アルミニウム液状組成物100重量部に対して5ないし50重量部で含むことができる。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態で、前記第2導電層は、前記アルミニウム粒子と前記表面処理剤とを混合した混合物を含むアルミニウム液状組成物60ないし68重量部、ガラスフリット2.5ないし5.5重量部及びビークル15.5ないし37.5重量部を含むことができる。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態において、PDP基板構造体の製造方法は、第1基板上に導電物を含む第1導電層を形成する工程、前記第1導電層上にアルミニウムを含む第2導電層を形成する工程、前記第2導電層をパターニングして、前記第1導電層の第1領域を露出させる第2導電層パターンを形成する工程、前記第2導電層パターンにより覆われた前記第1導電層の第2領域を焼成して、前記第1導電層の第2領域と前記第2導電層パターンとを結合して電極を形成する工程を含み、前記電極は、20μΩ・cm以下の比抵抗を持つことを特徴とし、前記第2導電層パターンにより露出される前記第1導電層の第1領域を酸化して吸光層を形成する工程を含む。
【0021】
本発明で“比抵抗”は、焼成して形成された電極で測定した単位面積及び単位体積当たりの抵抗値を意味する。特に、本発明でアルミニウムの比抵抗は、アルミニウム液状組成物を利用して形成したアルミニウムを含む電極で測定した単位面積及び単位体積当たり抵抗値を意味する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、PDP電極と吸光層とを同時に形成することによって、製造工程の容易なPDP基板構造体、その製造方法及びそれを備えるPDPを提供できる。
また、相対的に低コストのアルミニウムを利用してPDP電極が形成できて、生産性向上にも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を説明するための断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】銅(Cu)を含む第1導電層、及びアルミニウムと表面処理剤とを含む第2導電層を同一に酸化した結果を示す写真である。
【図7】本発明の他の実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を説明するための断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を説明するための断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を説明するための断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を説明するための断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を説明するための断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を説明するための断面図である。
【図13】図7ないし図12により得られたPDP基板構造体を備えるPDPを示す斜視図である。
【図14】図13に示したPDPをI−Iの線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に関するPDP(Plasma Display Panel)基板構造体、その製造方法、及び前記PDP基板構造体を備えるPDPに関して添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1ないし図5を参照して、本発明の一実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法及び前記製造方法によって製造されたPDP基板構造体を共に説明する。
【0026】
図1によれば、ガラス基板10を用意し、前記ガラス基板10上にアルミニウム(Al)より比抵抗の低い導電物を含む第1導電層21を形成する。以後に形成する第2導電層25(図2)はアルミニウム(Al)を含む。したがって、前記第1導電層21は、アルミニウム(Al)の比抵抗を補償するために、前記アルミニウム(Al)より比抵抗の低い導電物を含む。前記導電物としては、銅(Cu)などのブラック系の色を表す導電物を含むことができる
【0027】
前記第1導電層21は、前記導電物を含む第1ペーストを印刷した後、露光及び現像工程を経て所望のパターンで形成でき、または前記ペーストを利用して、スクリーンプリンティング、オフセット、インクジェットなどの方法でガラス基板10上に形成できる。前記第1ペーストは、前記導電物の粉末、ガラスフリット、溶媒、分散剤などのビークルを含み、以後露光現像工程を行う場合、前記ビークルに光開始剤、架橋剤、バインダーなどを含むことができる。
【0028】
印刷、露光及び現像工程を利用して所望のパターンの第1導電層21を形成する場合において、露光のみ進めた後、第2導電層25を塗布及び露光した後、露光された前記第1導電層21と第2導電層25とを共に現像できる。これについては、以後説明する実施形態でさらに詳細に説明する。前記第1導電層21を形成する方法として、前記導電物を含むペレットを利用してスパッタリング、電子ビーム蒸着などの方法によりガラス基板10上に形成できる。前記ペレットもガラスフリットなどをさらに含むことができる。本発明では前記第1導電層21がアルミニウムより比抵抗の小さな導電物で形成されることを特徴とするところ、前記第1導電層21のための材料、前記導電層21を形成する方法については限定されない。前記第1導電層21を形成するための材料の組成、成分比、前記組成を利用して第1導電層21を形成する方法などは、公知の多様な方法、またはこれらから当業者が容易に予測できる方法によればよい。
【0029】
本実施形態では、ガラス基板10上に所望のパターンの第1電極層21を形成する。ここで所望のパターンは、電極(図5)を形成する領域と吸光層22を形成する領域とに対応する第1電極層21はガラス基板10上に残した態様を意味する。
【0030】
そして、図2を参照すれば、第1導電層21上にアルミニウム(Al)と、少なくとも550℃以上で燃焼しない表面処理剤とを含むアルミニウム(Al)液状組成物60ないし68重量部、ガラスフリット2.5ないし5.5重量部、ビークル15.5ないし37.5重量部を含む第2導電層25を形成する。
【0031】
具体的に、前記第1導電層21上に、アルミニウム(Al)液状組成物60ないし68重量部、ガラスフリット2.5ないし5.5重量部、ビークル15.5ないし37.5重量部を含む第2ペーストを塗布及び乾燥して第2導電層25を形成する。
【0032】
前記アルミニウム(Al)液状組成物は、アルミニウム(Al)と、少なくとも550℃以上で燃焼しない表面処理剤とを含む。
【0033】
アルミニウム(Al)は、その粒径が大きければ大きいほど比抵抗が小さくなるため、比抵抗側面ではアルミニウム(Al)粒子の半径が大きいものを使用できる。しかし、アルミニウム(Al)粒径が大きければ、粒径の大きいアルミニウム(Al)粒子を利用して形成したPDP電極は、その表面が多孔質化される。したがって、放電ガスが流れ込むリーク現象が発生しうる。このような理由で、前記アルミニウム(Al)液状組成物は、平均半径が5μm以下のアルミニウム(Al)粒子を含むことが望ましい。
【0034】
本発明で、アルミニウム(Al)粒子の平均半径が5μm以下であるいうのは、多量のアルミニウム(Al)粒子の半径が5μm以下であることを意味し、前記リーク現象を誘発しないほどの信頼度を持つ範囲で大部分のアルミニウム(Al)粒子の半径が5μm以下である。あらゆるアルミニウム(Al)粒子を5μm以下に限定するものではなく、また全体アルミニウム(Al)粒子の半径を単純に平均したものが5μm以下であることでもない。すなわち、少量または微量で平均半径が5μmを超過するアルミニウム(Al)粒子を含むことができるが、前記リーク現象を誘発しないほどの信頼度を持つ範囲で許容できる少量または微量で平均半径が5μmを超過するアルミニウム(Al)粒子を含むことについても本発明が適用される。
【0035】
前記アルミニウム粒子の含有量に関して、前記第2ペーストで18重量部ないし40.8重量部で含有できる。18重量部未満で含有すれば、前記第2ペーストを製造し難いだけではなく、粘度の低下及び固形分密度の減少によって前記第2ペーストで形成する第2導電層の断線(Open)問題があり、40.8重量部を超過して含有すれば、前記第2ペースト製造時に粒子間の相互作用に起因する水素発生及び爆発性の危険があり、透光性低下による不十分な架橋反応により所望のパターンが得られないという問題がある。
【0036】
前記表面処理剤は、フォトリソグラフィ工程で、第2導電層の製造時に、少なくとも焼成温度以上で燃焼せずに残留するものである。前記第2ペーストを少なくとも550℃以上で焼成させるので、前記表面処理剤は少なくとも550℃以上で燃焼せずに残留するものでありうる。前記表面処理剤は、焼結工程で揮発せず、それ自体がアルミニウム(Al)粒子の表面に残留するものでありうる。しかしながら、熱分解されて分解物がアルミニウム(Al)粒子の表面に残留する場合もありうる。
【0037】
前記表面処理剤は、セルロースのヒドロキシル基をエーテル化したセルロースエーテルを使用できる。例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアノエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アミノエチルセルロースなどがあり、これらの誘導体も550℃以上で燃焼しないものならば、本発明に含めることができる。望ましくは、残留能力の優秀なエチルセルロース及びその誘導体を使用できる。
【0038】
前記表面処理剤は、前記第2ペーストで3ないし34重量部で含有できるが、3重量部未満で含有すれば、前記第2ペースト製造上の問題があり、34重量部を超過して含有すれば、前記アルミニウム粒子間の相互作用に起因する水素発生及び爆発性の危険があり、以後、第2導電層の製造時に焼成工程でアルミニウムが酸化されるという問題がある。
【0039】
前記アルミニウム(Al)液状組成物は分散剤、溶媒をさらに含むことができる。前記分散剤は、アルミニウム(Al)粒子の分散安定性を高め、アルミニウム(Al)粒子の凝集または沈殿が起きることを防止するためのものである。このような分散剤としてカルボキシル基、水酸基、酸エステルなどの親和性のある極性基を持つ化合物や高分子化合物を使用できるが、これによって本発明が限定されるものではない。溶媒は、前記アルミニウム(Al)液状組成物を製造するためのものであって、この分野で通例的に使われる有機または無機溶媒を使用でき、例えば、ケトン類、アルコール類、エーテル系アルコール類、飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類、乳酸エステル類、エーテル系エステル類、またはこれらの組み合わせからなる組成物などを使用できる。
【0040】
また、前記アルミニウム(Al)液状組成物は、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、顔料、難燃剤などの添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤は、以後焼成時にアルミニウム(Al)粒子の表面に特に焼成中に外部に露出される電極表面に配されたアルミニウム(Al)粒子上に、前記表面処理剤またはその分解物が残留できる範囲で、約5重量部内に含有できる。
【0041】
前記分散剤、溶媒などの添加剤は、前述した前記アルミニウム(Al)粒子及び表面処理剤の含有量を除外した残量の範囲内で含有できる。
【0042】
前記アルミニウム液状組成物は60ないし68重量部で含むが、60重量部未満で含む場合、第2導電層の断線(Open)問題があり、68重量部を超過して含有すれば、アルミニウム粒子間の相互作用に起因する水素発生及び爆発性の危険がある問題がある。
【0043】
前記ガラスフリットは、アルミニウム(Al)粒子間の結合(necking)を促進させる役割を行う。前記ガラスフリットは、鉛(Pb)、ホウ素(B)、シリコン(Si)、ビスマス(Bi)、リン(P)、リチウム(Li)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、スズ(Sn)などを含むことができる。例えば、ガラスフリットとして、Bi−B系、Bi−B−ZnO系、P−SnO−ZnO系またはB−SnO−BaO系混合物のように、前記金属酸化物の少なくとも2つ以上混合したものを使用することもできる。前記ガラスフリットは粉末形態で含む。
【0044】
前記ガラスフリットは2.5ないし5.5重量部で含むが、2.5重量部未満で含有すれば、アルミニウム粒子間の結合(Neck)形成に必要な十分な液状物質が存在しないため、抵抗増加及び電極の付着力減少問題があり、5.5重量部を超過して含有すれば、アルミニウム粒子は結合(Neck)できるが、アルミニウム粒子が固まって(island)、前記第2ペーストを利用して形成した第2導電層の抵抗が増加するという問題がある。
【0045】
前記ビークルは、フォトリソグラフィ工程を行うために光開始剤、架橋剤及びバインダーを含む。
【0046】
光開始剤は、写真工程中にラジカルを発生させ、前記架橋剤の架橋反応を開始できる化合物ならば特別に限定されない。例えば、前記光開始剤として、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルポリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルポリノフェニル)−1−ブタノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、またはこれらの二つ以上を組み合わせた組成物を使用できる。
【0047】
前記光開始剤は、前記ビークル100重量部に対して0.01ないし4.5重量部の量で含むことができる。この時、前記光開始剤EI含有量が0.01重量部未満ならば、前記第2ペーストの露光感度が低下し、4.5重量部を超過すれば、露光された領域の線幅が狭いか、または露光されていない領域に対して現像されない問題が発生して、きれいな電極パターンが得られない。
【0048】
架橋剤は、光開始剤によりラジカル重合反応がなされる化合物ならば、特別に限定されずに使用できる。例えば、単官能及び多官能モノマーを利用でき、露光感度を向上させるために多官能モノマーを利用できる。これらの多官能モノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)のようなジアクリレート系;トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(TMPEOTA)またはペンタエリトリトールトリアクリレートのようなトリアクリレート系;テトラメチロールプロパンテトラアクリレートまたはペンタエリトリトールテトラアクリレートのようなテトラアクリレート系;ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(DPHA)のようなヘキサアクリレート系、及びこれらの二つ以上の組み合わせからなる組成物などを使用できる。
【0049】
前記架橋剤は、前記ビークル100重量部を基準に0.01ないし2.0重量部の量で含むことができる。この時、前記架橋剤の含有量が0.01重量部未満ならば、第2導電層の形成時に露光工程で露光感度が低下し、現像工程時に電極パターンに傷がする傾向があり、これと逆に、2.0重量部を超過すれば、現像後に線幅が大きくなりつつ電極パターンの形成時にパターン形態がきれいならず、焼成後に電極の周囲に残渣を発生させることがある。
【0050】
前記バインダーは、前記第2ペーストを第1導電層21上に塗布する時、適切な粘度を表して印刷特性を向上させることができ、前記アルミニウム(Al)粒子の焼結特性を向上でき、また前記アルミニウム(Al)粒子と第1導電層21またはガラス基板10との間に接着力を付与できる。前記バインダーとしては、光開始剤により架橋でき、電極形成時に現像工程により容易に除去される高分子を使用できる。例えば、アクリル系樹脂、スチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂、またはこれらのうち2つ以上の組み合わせからなるものを使用できる。例えば、カルボキシル基を含むモノマー類、水酸化基を含むモノマー類、共重合の可能なモノマー類などを使用できる。カルボキシル基を含むモノマー類としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、桂皮酸、スクシン酸モノ(2−(メト)アクリロイルオキシエチル)またはω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メト)アクリレートなどを挙げることができる。また、水酸化基を含むモノマー類として、(メト)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メト)アクリル酸2−ヒドロキシプリピル、(メト)アクリル酸3−ヒドロキシプリピルなどの水酸化基含有単量体類o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸化基含有モノマー類を挙げることができる。共重合可能なモノマー類としては、(メト)アクリル酸メチル、(メト)アクリル酸エチル、(メト)アクリル酸n−ブチル、(メト)アクリル酸n−ラウリル、(メト)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メト)アクリレート、シクロペンタニル(メト)アクリレートなどの(メト)アクリル酸エステル類スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類ポリスチレン、ポリ(メト)アクリル酸メチル;ポリ(メト)アクリル酸エチル、ポリ(メト)アクリル酸ベンジルなどの重合体鎖の一側の末端に(メト)アクリロイル基などの重合性不飽和基を持つマクロモノマー類などがある。
【0051】
前記バインダーはビークル100重量部を基準に、0.05ないし5.0重量部の量で含むことができる。0.05重量部未満ならば、乾燥及び露光/現像工程中にPDP電極基板または第1導電層に密着する特性が弱くなり、5.0重量部を超過すれば、現像工程時に未現像不良を誘発できる。
【0052】
また、前記ビークルとして、溶媒、またそれぞれの目的によってその他の添加剤をさらに含むことができる。溶媒は、この分野で通例的に使われる有機または無機溶媒を使用でき、例えば、ケトン類、アルコール類、エーテル系アルコール類、飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類、乳酸エステル類、エーテル系エステル類、またはこれらの組み合わせからなる組成物などを使用できる。添加剤として、アルミニウム(Al)粒子を分散する分散剤、感度を向上させる増感剤、電極形成組成物の保存性を向上させる重合禁止剤及び酸化防止剤、解像度を向上させる紫外線吸光剤、ペースト内の気泡を減らす消泡剤、分散性を向上させる分散剤、印刷時に膜の平坦性を向上させるレベリング剤または揺変特性を与える可塑剤などを挙げることができる。これら添加剤は、必ずしも使われるものではなく、必要に応じて使用し、添加時には一般的に知られた量を適切に調節して使用できる。
【0053】
これらのビークルは、15.5ないし37.5重量部で含有できる。15.5重量部に未満の場合には、前記第2ペーストの粘性に影響を及ぼして印刷特性がよくなくて露光感度が低下し、37.5重量部を超過すれば、相対的にアルミニウム粒子の含有量比が少なくて、焼成時に導電膜の収縮が激しく、断線が発生しうる。
【0054】
次いで、図3を参照すれば。前記第2導電層25の上部に離隔して露光マスク30を配置し、露光工程を行う。前記露光マスク30は、電極形成のための露光マスクであって、前記電極が形成される第2導電層25の領域に選択的に露光されるように、または露光されないようにするパターンを持つ。前記露光マスク30を通じて放射線を選択的に照射すれば、光開始剤によりバインダー及び架橋剤は硬化する。露光は、通常の露光装置を利用して、可視光線、紫外線、遠赤外線、電子線またはX線などの放射線を照射して行える。
【0055】
前記第2導電層25を露光した後、現像する。したがって、図4に示したように、露光領域は残って非露光領域は除去された第2導電層パターン26を形成する。この時、現像液として塩基を含むアルカリ水溶液を使用でき、前記塩基として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸水素二カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどの無機アルカリ性化合物、及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、ツリーエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどの有機アルカリ性化合物などがある。これは例示的なものであり、本発明が前記現像液の種類により限定されるものではない。
【0056】
前記現像工程の処理条件は通例的なものであって、現像液の種類、濃度、現像時間、現像温度及び浸漬法、搖動法、シャワー法、スプレー法、パドル法のような現像方法や、現像装置などを適切に選択できる。また現像工程以後に通例的に洗浄処理が行われ、必要に応じて現像処理後に第2導電層パターン26の側面及び第1導電層21またはガラス基板10露出部から、不要な残留物を除去する洗浄工程を含むことができる。
【0057】
前記第2導電層パターン26により、第1導電層21の一部領域が露出される。
【0058】
本実施形態ではポジティブ露光工程を例示したが、これに限定されるものではなく、光開始剤、バインダー及び架橋剤の種類によってネガティブ露光工程を行ってもよい。
【0059】
そして、550℃ないし650℃の温度で約10分ないし約3時間焼成工程を行う。この時、焼成工程は還元または酸化雰囲気下で行ってもよい。
【0060】
図4と図5とを共に参照すれば、焼成を通じて、露出されていない第1導電層21の領域23と第2導電層パターン26とは結合して電極を形成し、露出された第1導電層21は、酸化されて吸光層22を形成する。
【0061】
具体的に、前記電極は、前記導電物、アルミニウム(Al)及びガラスフリットの複合体を含む。特に、前記電極は、焼成工程を経つつ燃焼せずに表面処理剤が表面に残留するアルミニウム(Al)粒子を含む。したがって、焼成工程中に前記アルミニウム(Al)の酸化を防止できる。焼成工程後の前記アルミニウム(Al)は、約20μΩ・cm以下の比抵抗を持つ。電極材料の比抵抗は小さければ小さいほど導電性が優秀である。本実施形態では、従来の約100μΩ・cm以上の比抵抗を持つアルミニウム(Al)に比べて、比抵抗を最小20μΩ・cm以下に低めることができる。
【0062】
前記吸光層22は、露出された前記第1導電層21が酸化して形成されたものであって、前記導電物の酸化物を含む。前記酸化物は高絶縁性物質であって、前記電極の短絡(short)現象を防止できる。前記導電物としてブラック系の導電物、望ましくは、ブラック系の金属を使用できる。したがって、前記吸光層22は、前記導電物の酸化物もブラック系の色を表すことによって、外光を吸収する機能を行える。前記吸光層22をブラックマトリックスともいう。
【0063】
本実施形態によれば、貴金属類ではなく相対的に低コストのアルミニウム(Al)を含み、高コストの装備を必要としないフォトリソグラフィ工程を利用して、電極を形成でき、ブラック系の導電層をさらに形成して前記アルミニウム(Al)の抵抗を補償できる。また、前記ブラック系の導電層は、電極を形成すると同時に、酸化されて吸光層22を形成することによって、工程を簡単化できる。したがって、材料費を低めて低コストの装備を使用し、工程ステップを縮めることによって、生産性を向上できる。
【0064】
以下では、前記第1導電層と前記第2導電層とを塗布し焼成して、電極及び吸光層を形成する工程に関する実験例を説明する。
【0065】
<第1ペーストの製造>
銅粉末62.0g、ガラスフリット4.0g、光開始剤2.0ml、架橋剤5.0ml、バインダー2.0m、分散剤5mlを200mlのエタノールに添加して攪拌した。
【0066】
ガラスフリットとして、SiO、PbO、Bi、ZnO及びBaOを混合した混合物を使用し、光開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノンを、架橋剤としてテトラメチロールプロパンテトラアクリレートを使用した。そして、バインダーとして、メチルメタクリレート/メタクリレート共重合体(MMA/MAA copolymer)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース(EC)、及びポリ(イソブチルメタクリレート)(PIBMA)の混合物を使用した。
【0067】
次いで、攪拌器で攪拌及び分散をさらに行った後、ろ過及び脱泡工程を経て第1ペーストを製造した。
【0068】
<第2ペーストの製造>
アルミニウム粒子の平均半径が5μmであるアルミニウム粉末600g、エチルセルロース(EC)50g、0.4μlの分散剤(BYK社製のdisperbyk−190)を含むエチルアルコール350gを含有したアルミニウム液状組成物を1000g用意した。
そして、前記アルミニウム液状組成物1000g、ガラスフリット50g、光開始剤3.5g、架橋剤3.5g、バインダー16.5gを326.5mlのエチルアルコールに添加して攪拌した。
【0069】
ガラスフリットとして、SiO、PbO、Bi、ZnO及びBaOを混合した混合物を使用し、光開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノンを、架橋剤としてテトラメチロールプロパンテトラアクリレートを使用した。そして、バインダーとして、メチルメタクリレート/メタクリレート共重合体(MMA/MAA copolymer)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース(EC)、及びポリ(イソブチルメタクリレート)(PIBMA)の混合物を使用した。
【0070】
次いで、攪拌器で攪拌及び分散をさらに行った後、ろ過及び脱泡工程を経て第2ペーストを製造した。
【0071】
<電極と吸光層の製造>
ガラス基板(10cm×10cm)を洗浄及び乾燥した後、前記ガラス基板の一領域には前記第1ペーストを塗布し、他の領域には前記第2ペーストを塗布した。ドライオーブンで100℃、15分間乾燥してそれぞれ第1導電層及び第2導電層を形成した。前記第1導電層及び前記第2導電層の上部にストライプパターンが形成された露光マスクを離隔配置した後、高圧水銀ランプを利用して450mJ/cmの紫外線を照射して露光した。そして35℃の0.4重量%炭酸ナトリウム水溶液を、ノズルを通じて1.5kgf/cmの噴射圧力で25秒間噴射して現像した。したがって、前記第1導電層及び第2導電層それぞれはストライプ形態でパターニングされた。そして電気焼成炉を利用して580℃で15分間焼成した。その結果、前記第1導電層は酸化されて吸光層を形成し、前記第2導電層は酸化されずに電極を形成した。図6の左側は、第1導電層を焼成した結果であり、右側は、第2導電層を焼成した結果である。前記第1導電層は、焼成の結果、ブラック系の金属酸化物に変化され、第2導電層は、導電性を維持する電極で形成されることが確認できた。
【0072】
次いで、本発明の他の実施形態に関するPDP基板構造体の製造方法を、図7ないし図12を参照して詳細に説明する。前記PDP基板構造体の製造方法と共に、前記方法で形成されたPDP基板構造体も説明する。
【0073】
図7を参照すれば、ガラス基板110上に複数の透明電極120を形成する。前記透明電極120はストライプパターンで形成する。前記透明電極120は、第1間隔W1または第2間隔W2で離隔して配されるが、前記第1間隔W1で離隔して隣接した透明電極120は、同一放電セルで相互表示放電を引き起こす。前記透明電極120の間で前記第2間隔W2に対応するガラス基板110上には、以後、吸光層140(図12)が形成される。前記透明電極120は透光性の導電素材を使用できて、例えばITO(indium tin oxide)を使用できる。
【0074】
次いで、図8を参照すれば、透明電極120が配されたガラス基板110上に、第1ペーストPを塗布する。前記第1ペーストPは、銅(Cu)のようなブラック系の導電物を含む。前記導電物は固状の導電性粉末でありうる。前記第1ペーストPは、前記導電物を結合するガラスフリットをさらに含むことができ、またフォトリソグラフィ工程のために、感光性材料をさらに含むことができる。感光性材料として光開始剤、架橋剤及びバインダーなどがある。そして前記第1ペーストPは溶媒をさらに含み、必要な場合、多様な添加剤を含むことができる。
【0075】
ローラ300を進めつつ、前記第1ペーストPを塗布できる。また前記ローラ300は、前記第1ペーストPを加圧して進めることによって透明電極120間に孔隙なしに充填させられる。
【0076】
第1ペーストPを塗布した後、乾燥させて第1導電層131を形成する。
【0077】
そして、図9を参照すれば、前記第1導電層131を、第1露光マスク310を利用して露光する。前記第1露光マスク310は、バス電極が形成される領域と吸光層が形成される領域とに光源が通過できるパターンを持つ。バス電極と吸光層とがストライプパターンで形成されるので、前記第1露光マスク310も、前記ストライプパターンに対応するパターンを持つように形成できる。
【0078】
前記第1導電層131の露光領域132は、光開始剤により架橋剤及びバインダーが重合反応を引き起こし硬化される。前記露光領域132は、以後バス電極が形成される領域と吸光層が形成される領域とに対応する。
【0079】
図10を参照すれば、前記第1導電層131を露光した後、第2ペーストを塗布する。そして、乾燥して第2導電層133を形成する。前記第2ペーストは、アルミニウム(Al)と表面処理剤とを含むアルミニウム(Al)液状組成物とガラスフリットとを含む。また、フォトリソグラフィ工程のために、光開始剤、架橋剤及びバインダーのようなビークルを含む。さらに具体的な前記第2ペーストの組成は、前記図1ないし図5で説明した通りである。
【0080】
そして、前記第2導電層133も、第2露光マスク320を利用して露光する。前記第2露光マスク320は、バス電極が形成される領域に光源が通過できるストライプパターンを持つ。
【0081】
前記第2導電層133の露光領域134も、光開始剤により架橋剤及びバインダーが重合反応を引き起こして硬化される。
【0082】
2次露光を完了した後、アルカリ現像液を利用して現像する。したがって、図11に示したような第1導電層のパターン132’と第2導電層パターン134’とを形成する。すなわち、図10で第1導電層の露光領域132と第2導電層の露光領域134それぞれが、図11で第1導電層パターン132’及び第2導電層パターン134’で形成される。
【0083】
前記第1導電層パターン132’は、隣接した透明電極120の端部の上部と前記隣接した透明電極120との間に形成される。前記第2導電層パターン134’は、前記第1導電層パターン132’の端部それぞれに形成される。具体的に前記第2導電層パターン134’は、前記透明電極120の端部と前記第1導電層パターン132’の端部とが重なる領域に形成される。
【0084】
また、前記第1導電層パターン132’の一部領域は、前記第2導電層パターン134’により覆われ、前記第1導電層パターン132’の他の領域は、外部環境に露出される。露出された前記第1導電層パターン132’の他の領域は、吸光層を形成する領域である。
【0085】
前記のように導電層をパターニングした後、焼成工程を行う。焼成後に前記第2導電層パターン134’により露出されていない第1導電層パターン132’の一領域は酸化されず、前記露出された前記第1導電層パターン132’の他の領域は酸化されて、高絶縁性物質に変化する。これに対し、前記第2導電層パターン134’は、焼成工程中に外部に露出されるが、アルミニウム(Al)粒子の表面に残留する表面処理剤により酸化が防止される。したがって、前記第2導電層パターン134’は、導電性を維持する。したがって、図12に示したように、前記第1導電層パターン132’(図11)の一部領域はバス電極の下層130aを、前記第2導電層パターン134’(図11)はバス電極の上層130bを形成し、露出されて酸化された前記第1導電層パターン132’(図11)の他の領域は吸光層140を形成する。
【0086】
前記バス電極130は、アルミニウム(Al)の表面に残留する表面処理剤により比抵抗を約20μΩ・cm以下に減少させることができ、さらに、第1導電層131(図8)から提供された導電物により前記アルミニウム(Al)の抵抗を補償する。
【0087】
前記吸光層140は、高絶縁性の酸化物からなることによって、前記バス電極130と前記透明電極120との間に形成されて短絡を防止できる。
【0088】
前述したように製造されたPDP基板構造体は、外部に光を放出するPDP前面パネルの一部であって、前記PDP基板構造体に誘電体層及び保護層をさらに形成してPDP前面パネルを完成できる。
【0089】
以下では、前述したように製造されたPDP前面基板構造体を備えるPDPの構造を詳細に説明する。
【0090】
図13は、図7ないし図12により得られたPDP基板構造体を備えるPDPを示す分解斜視図であり、図14は、図13に示したPDPをI−Iの線に沿って切断した断面図である。
【0091】
図13を参照すれば、前記PDPは、外部に光を放出する前面パネル100と、蛍光体が配されて光を発光する背面パネル200とを備える。
【0092】
まず前面パネル100について説明すれば、前記前面パネル100は、図7ないし12で製造したPDP基板構造体を備える。
【0093】
具体的に、前面ガラス基板110上に複数の透明電極120がX方向に延長して配され、前記透明電極120上に前記透明電極120と平行してバス電極130が配される。そして、隣接した前記バス電極130の間に吸光層140が配される。前記バス電極130は、アルミニウムより小さな比抵抗を持つ導電物からなる下層130aと、アルミニウム液状組成物で形成した上層130bとの二重層構造を持つ。前記吸光層140は、隣接した前記バス電極130の間で隔壁240の上部に対応して形成される。そして、前記透明電極120、バス電極130及び吸光層140を覆うように、前面ガラス基板110上に前面誘電体層150と保護層160とが順次に積層される。前記前面誘電体層150は、放電に参与する荷電粒子の直接的な衝突から前記バス電極130と透明電極120とを保護することができる。そして、前記前面誘電体層150は、保護層160により保護されうる。また、前記保護層160は、前面誘電体層150の保護の役割に加えて、2次電子の放出を誘導することによって、放電を活性化させるのに寄与できる。
【0094】
次いで、背面パネル200について説明する。前記背面パネル200には、背面ガラス基板210上にY方向に延長する複数のアドレス電極220が配される。前記アドレス電極220を覆うように背面誘電体層230が配され、放電空間を区切る隔壁240を形成する。したがって、複数の放電セルが形成される。そして前記放電セルの内部には蛍光体層250が配される。前記蛍光体層250は、隔壁240の側壁及び背面誘電体層230上に配される。具体的に、複数の放電セルそれぞれに相異なる蛍光体層250が配されうる。さらに具体的に、赤色蛍光体層、緑色蛍光体層、青色蛍光体層がそれぞれの放電セルに配されうる。
【0095】
図13の断面図である図14を参照すれば、一放電セルは、隔壁240により隣接した放電セルから独立的な発光領域を構成する。具体的に前記一放電セルは、対をなす維持電極対X,Yと、前記維持電極対X,Yと交差する方向に延長するアドレス電極220とを持っている。前記維持電極対X,Yそれぞれは、X電極XとY電極Yとで構成されている。前記X電極Xは、X透明電極120XとXバス電極130Xとを備え、前記Y電極Yは、Y透明電極120YとYバス電極130Yとを備える。前記Xバス電極130X及び前記Yバス電極130Yそれぞれは、アルミニウムより小さな比抵抗を持つ導電物からなる下層130aと、アルミニウム液状組成物で形成した上層130bとの二重層構造を持つ。前記維持電極対X,Yは、互いに交互して電圧が印加されて相互表示放電を引き起こし、前記表示放電に先行して前記Y電極Yとアドレス電極220との間にアドレス放電を引き起こす。前記アドレス放電は、表示しようとする放電セル内にプライミング粒子を蓄積させることによって、表示放電を引き起こし、外部に光を放出できる前処理放電に該当するものであるといえる。
【0096】
本実施形態によれば、焼成工程を経ても表面に表面処理剤が残留するアルミニウム(Al)とガラスフリットとの複合体を備えるバス電極130が形成でき、さらに、前記バス電極130は、銅(Cu)のような導電物をさらに含んで前記アルミニウム(Al)の抵抗を補償できる。またバス電極130を形成しつつ、前記導電物を酸化して吸光層140を同時に形成できる。したがって、低コストのアルミニウム(Al)材料でフォトリソグラフィ工程を通じてバス電極130及び吸光層140を同時に形成でき、製造工程を簡単化できる。結果的に生産性を向上させることができる。
【0097】
本発明は図面に示した実施形態を参考に説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならばこれより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、PDP関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0099】
10 ガラス基板
21 第1電極層
22 吸光層
23 第1導電層の領域
25 第2導電層
26 第2導電層パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配され、第1層と第2層とを備え、前記第2層はアルミニウムを含み、前記基板と前記第2層との間の第1層は導電物を含み、前記第1層は第2層より小さな比抵抗を持つ電極と、
前記基板上に配され、前記第1層の導電物の酸化物を含む吸光層と、を備えるプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項2】
前記第2層は、前記アルミニウムの酸化を防止する表面処理剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項3】
前記表面処理剤は、セルロースエーテルを含むことを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項4】
前記アルミニウムの表面上に、前記表面処理剤が残留することを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項5】
前記アルミニウムは、焼成されたアルミニウム粒子を含むことを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項6】
前記導電性物質は、銅(Cu)またはニッケル(Ni)を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項7】
前記吸光層は、ブラックを表すことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項8】
前記吸光層は、絶縁物であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項9】
前記電極は、20μΩ・cm以下の比抵抗を持つことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項10】
基板と、
前記基板上に配され、第1層と第2層とを備え、前記第2層はアルミニウムを含み、前記基板と前記第2層との間の第1層は導電物を含み、20μΩ・cm以下の比抵抗を持つ電極と、
前記基板上に配され、前記第1層の導電物の酸化物を含む吸光層と、を備えるプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項11】
基板上にアルミニウムより比抵抗の小さな導電物を含む第1導電層を形成する工程と、
前記第1導電層上にアルミニウムを含む第2導電層を形成する工程と、
第1導電層の第1領域を露出させるように第2導電層をパターニングして、第2導電層パターンを形成する工程と、
第2導電層パターンにより覆われた第1導電層の第2領域を焼成して、第1導電層の第2領域と第2導電層パターンとが結合することによって電極を形成する工程と、
前記第2導電層パターンにより露出された前記第1導電層の第1領域を酸化して吸光層を形成する工程と、を含むプラズマディスプレイパネルの基板構造体の製造方法。
【請求項12】
第2導電層を形成する工程は、アルミニウム粒子と表面処理剤とを含むアルミニウム液状組成物を形成する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体の製造方法。
【請求項13】
前記第2導電層で前記アルミニウム粒子は18ないし40.8重量部を含有し、前記表面処理剤は3ないし34重量部を含むことを特徴とする請求項12に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体の製造方法。
【請求項14】
前記第2導電層を形成する工程は、前記アルミニウム液状組成物60ないし68重量部、ガラスフリット2.5ないし5.5重量部、ビークル15.5ないし37.5重量部を含む第2導電層用ペーストを形成する工程を含む請求項12に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体の製造方法。
【請求項15】
基板上に導電性物質を含む第1導電層を形成する工程と、
前記第1導電層上にアルミニウムを含む第2導電層を形成する工程と、
前記第1導電層の第1領域を露出するように前記第2導電層をパターニングして、第2導電層パターンを形成する工程と、
前記第2導電層パターンにより覆われた第1導電層の第2領域を焼成して、前記第2導電層パターンと前記第1導電層の第2領域とを結合したものであって、20μΩ・cm以下の比抵抗を持つ電極を形成する工程と、
前記第2導電層パターンにより露出される前記第1導電層の第1領域を酸化して、吸光層を形成する工程と、を含むプラズマディスプレイパネルの基板構造体の製造方法。
【請求項16】
第1基板と、
前記第1基板と対抗して配される第2基板と、
前記第1基板上に第1方向に配され、第1層と第2層とを備え、前記第2層はアルミニウムを含み、前記第1基板と前記第2層との間の前記第1層は、アルミニウムの比抵抗より小さな比抵抗を持つ導電物を含む第1電極と、
前記第1基板上に前記第1電極と隣接して配され、前記第1層の導電物の酸化物からなる吸光層と、
前記第1基板上に前記第1電極と前記吸光層とを覆うように配される絶縁層と、
前記第2基板上に前記第1方向を横切る第2方向に延長して配されることによって前記第1電極と空間的に分離される第2電極と、を備えるプラズマディスプレイパネル。
【請求項17】
前記第1方向に延長し、前記第1基板と前記第1電極との間の第3電極をさらに備える請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項18】
前記第3電極は透明電極であり、前記第1電極は前記透明電極上に配されるバス電極であり、前記第2電極はアドレス電極であることを特徴とする請求項17に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項19】
前記第1電極と前記第2電極との間に配される隔壁をさらに備え、
前記吸光層は、前記第1方向に延長する隔壁の一領域の位置に対応して前記第1方向に延長する前記隔壁と重なることを特徴とする請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項20】
前記第2層は、表面処理剤をさらに含む請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項21】
前記第2層のアルミニウムは、焼成されたアルミニウム粒子を含むことを特徴とする請求項20に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項22】
前記第1層の導電物は、銅またはニッケルであることを特徴とする請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項23】
前記吸光層は絶縁体であることを特徴とする請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項24】
前記第1電極は20μΩ・cm以下の比抵抗を持つことを特徴とする請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項25】
基板と、
前記基板上に配され、第1層と第2層とを備え、前記第2層は、第1導電物と表面処理剤とを含み、前記基板と前記第2層との間の前記第1層は、前記第1導電物の比抵抗より小さな比抵抗を持つ第2導電物を含む電極と、
前記電極と隣接した前記基板上に配され、前記第1層の第2導電物の酸化物を含む吸光層と、を含むプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項26】
前記表面処理剤は、セルロースエーテルを含むことを特徴とする請求項25に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項27】
前記第1導電物上に前記表面処理剤が残留することを特徴とする請求項25に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体。
【請求項28】
前記第1導電物はアルミニウムを含み、前記第2導電物は銅またはニッケルを含むことを特徴とする請求項25に記載のプラズマディスプレイパネルの基板構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−15993(P2010−15993A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161120(P2009−161120)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】