説明

プラズマディスプレイパネル

【課題】対向放電構造において可視光変換効率を向上させることができるプラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】背面基板10と前面基板20との間で複数に区画される放電セル17と、第1方向に延在して形成されアドレス電極22と、第1方向と交差する第2方向に延在して形成されて前面基板20から離隔する方向に拡張される維持電極25と、走査電極26と、放電セル17内に形成される蛍光体層と、を備え、放電セル17は、維持電極25及び走査電極26が配置される第1部分17aと、維持電極25及び走査電極26が配置されない第2部分17bと、を有し、第2部分17bに形成される蛍光体層の背面基板10から垂直な高さは、背面基板10と維持電極25及び走査電極26との間の距離より大きく形成されて、維持電極25及び走査電極26の空間に蛍光体層を近く位置させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、維持電極及び走査電極が基板と垂直方向に互いに離隔して配置される対向放電構造のプラズマディスプレイパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラズマディスプレイパネルは気体放電によって得られるプラズマから放射される真空紫外線(VUV)が蛍光体を励起させて発生する可視光を利用して映像を表示するディスプレイ素子である。このようなプラズマディスプレイパネルは60インチ以上の超大型画面を僅か10cm以内の厚さで実現することができる。
【0003】
また、プラズマディスプレイパネルはCRT(ブラウン管)ディスプレイパネルのような自発光ディスプレイ素子であるので、色再現力が優れていて、視野角による歪曲現象がない特性を有する。また、LCD(液晶ディスプレイ)などに比べて製造工法が単純で生産性及び原価側面でも長所を有するので、次世代産業用平板ディスプレイ及び家庭用テレビディスプレイとして注目されている。
【0004】
プラズマディスプレイパネルの構造は1970年代から長期間にわたって発展してきたが、現在一般に知られている構造は3電極面放電型構造である。3電極面放電型構造は同一面上に位置する2つの電極を含む1つの基板と、この基板から一定の距離をおいて離隔して垂直方向に連結されるアドレス電極を含む他の基板で構成される。そして、この一対の基板の間に放電ガスが充填され、両基板が封入される。
【0005】
一般に放電の有無は各ラインに連結されて独立的に制御される走査電極と、この走査電極に対向するアドレス電極の放電によって決められる。また、輝度を表示する維持放電は同一面上に位置する2つの電極群、つまり、維持電極及び走査電極によって行われる。
【0006】
このような3電極面放電型構造のプラズマディスプレイパネルでは維持電極と走査電極との間の放電ギャップが短くて放電効率が低下する問題があった。つまり、維持電極と走査電極との間の維持放電を行う時、負極周辺のカソードシース(cathode sheath)領域と、正極周辺のアノードシース(anode sheath)領域と、この2つの領域の間に形成されるポジティブコラム領域と、が形成されるが、放電効率と関連のあるポジティブコラム領域とが3電極面放電型構造では短く形成されてしまう。
【0007】
したがって、このような問題点を解決するために、ポジティブコラム領域が長く形成できる対向放電構造のプラズマディスプレイパネルが提案された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、対向放電構造では、維持電極と走査電極との間の放電が行われる空間と、蛍光体層から可視光が発生する空間とが、基板と垂直方向に互いに離隔して配置される。つまり、輝度の高い可視光を生成するためには紫外線変換効率及び可視光変換効率が高くなければならないが、対向放電構造では実質的に放電が起こる空間から蛍光体層が離隔して配置されるので、可視光変換効率が十分でない問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、対向放電構造において可視光変換効率を向上させることができるプラズマディスプレイパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1基板と、第1基板に対向する第2基板と、第1基板と第2基板との間で複数に区画される放電セルと、第1基板と第2基板との間で第1方向に延在して形成される第1電極と、第1基板と第2基板との間で第1方向と交差する第2方向に延在して形成され、第2基板から離隔する方向に拡張される第2電極と、第1基板と第2基板との間で第2方向に延在して形成され、第2基板から離隔する方向に拡張される第3電極と、放電セル内に形成される蛍光体層と、を備え、放電セルは、第2電極及び第3電極が配置される第1部分(放電セル内の第1方向に対向する側面部分)と、第2電極及び第3電極が配置されない第2部分(放電セル内の第2方向に対向する側面部分)と、を有し、第2部分に形成される蛍光体層の第1基板から垂直方向に測定される高さは、第1基板と第2電極及び第3電極との間の距離より大きく形成されることを特徴とする、プラズマディスプレイパネルが提供される。
【0011】
このように、放電セル内の第2電極及び第3電極が配置されない第2部分に形成される蛍光体層の第1基板から垂直方向に測定される高さを、第1基板と第2電極及び第3電極との間の距離より大きく形成することにより、第2電極及び第3電極の間の空間(維持電極及び走査電極の対向する空間)に蛍光体層を近く位置させることができ、維持電極と走査電極との間の維持放電によって発生する紫外線と蛍光体層との間の反応有効面積を増加させ、その結果、プラズマディスプレイパネルの可視光変換効率及び輝度を向上させることができる。
【0012】
さらに、第1基板の前記第2基板側に(第1基板側に隣接して)複数の放電セルを区画する第1隔壁層を備えることができ、第1隔壁層は、第1方向に伸びて形成される第1隔壁部材と、第2方向に伸びて形成される第2隔壁部材と、を有することができる。また、第2基板の前記第1基板側に(第2基板側に隣接して)複数の放電セルを区画する第2隔壁層をさらに備えることができ、第2隔壁層は、第1方向に伸びて形成される第3隔壁部材と、第2方向に伸びて形成される第4隔壁部材と、を有することができる。
【0013】
ここで、第1隔壁部材及び第2隔壁部材によって第1放電空間が形成され、第3隔壁部材及び第4隔壁部材によって第1放電空間に対向する第2放電空間が形成され、第1放電空間及び第2放電空間によって各々の放電セルが区画されることができる。この場合、第2電極及び第3電極は、別途に製作して第1基板と第2基板との間に挿入することができ、プラズマディスプレイパネルの製造工程をより単純化することができる。
【0014】
また、第2電極及び第3電極の外面には電極誘電層が形成され、電極誘電層は、第1方向に伸びて形成される第1誘電層部と、第1誘電層部と交差し、第2方向に伸びて形成される第2誘電層部と、を有することができる。
【0015】
第1誘電層部と第1隔壁部材とは互いに対応して配置され、第1誘電層部の側面及び第1隔壁部材の側面に蛍光体層が形成されることができる。こうして第1誘電層部の側面に蛍光体層が形成されることにより、第2電極及び第3電極の間の空間に蛍光体層を近く位置させることができる。
【0016】
第2電極及び第3電極は第1方向に隣接する放電セルの境界を通って形成され、第1方向に沿って交互に配列されることができる。第2電極及び第3電極が、隣接する放電セルの境界を通って形成されることにより、電極材料が金属であってもパネルの開口率低下を防止することができる。
【0017】
第1電極は第2基板上で第2方向に隣接する放電セルの境界を通って配置され、各放電セルの中心に向かって突出する拡大電極を有することができる。拡大電極を有することにより、第1電極(アドレス電極)と第3電極(走査電極)との間のアドレス放電効率を向上させることができる。また、より高いアドレス放電効率を得るために、拡大電極は、第2電極よりも第3電極にさらに近く配置されることができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1基板と、第1基板と対向する第2基板と、第1基板と第2基板との間に複数の放電セルを区画し、第1方向に伸びて形成される第1隔壁部材を有する隔壁層と、第1基板と第2基板との間で第1方向に延在して形成される第1電極と、第1基板と第2基板との間で第1方向と交差する第2方向に延在して形成され、第2基板から離隔する方向に拡張される第2電極と、第1基板と第2基板との間で第2方向に延在して形成され、第2基板から離隔する方向に拡張される第3電極と、各々の放電セルに対応して、第1隔壁部材から第1基板と垂直方向に延長された延長部と、延長部に形成される蛍光体層と、を備えることを特徴とする、プラズマディスプレイパネルが提供される。
【0019】
このように、第1隔壁部材から延長された延長部に蛍光体層を形成することにより、第2電極及び第3電極(維持電極及び走査電極)の間の空間に蛍光体層を近く位置させることができ、維持電極と走査電極との間の維持放電によって発生する紫外線と蛍光体層との間の反応有効面積を増加させ、その結果、プラズマディスプレイパネルの可視光変換効率及び輝度を向上させることができる。
【0020】
ここで、延長部は第1隔壁部材と一体に形成されることができる。第1隔壁部材と一体に形成することにより、延長部を容易に形成することができる。
【0021】
また、第1方向に隣接する延長部の間には凹部が形成され、凹部は第1方向に隣接する放電セルの境界部分に位置することができる。凹部に第2電極及び第3電極が嵌合され、第1基板から垂直方向に測定される蛍光体層の高さは、第1基板と第2電極及び第3電極との間の距離より高く形成されることができる。凹部が形成されることによって、第1基板と第2基板とが結合する時に第2電極及び第3電極を凹部に嵌合させることができ、これによって、マトリクス構造を有する対向放電構造のプラズマディスプレイパネルを容易に製造することができる。そして、延長部に蛍光体層を形成することにより、第1基板に垂直な蛍光体層の高さは、第1基板と第2電極及び第3電極との間の距離より高くすることができる。
【0022】
また、凹部に第2電極及び第3電極が嵌合され、蛍光体層と第2電極及び第3電極が、基板面から垂直方向へ同一高さに位置することができる。つまり、蛍光体層の上端と第2電極及び第3電極の下端(前面基板面)とを同じ位置にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上詳述したように本発明によれば、維持電極及び走査電極の間の空間に蛍光体層を近く位置させることによって、維持放電から発生する紫外線と蛍光体層の間の反応有効面積が増加し、その結果、可視光変換効率及び輝度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルを示す部分分解斜視図である。図1を参照すると、本実施の形態によるプラズマディスプレイパネルは、基本的に第1基板10(以下、背面基板10と言う)と第2基板20(以下、前面基板20と言う)とが所定の間隔をおいて互いに対向配置され、この背面基板10と前面基板20との間には複数の放電空間18、21が区画される。
【0026】
放電空間18、21内には紫外線を吸収して可視光を放出する第1蛍光体層19及び第2蛍光体層29が形成される。また、気体放電を起こすように放電空間18、21内には放電ガス(例えば、ゼノン(Xe)、ネオン(Ne)などを含む混合ガス)が充填される。
【0027】
背面基板10の前面基板20に対向する面には、第1誘電層14(以下、背面誘電層14と言う)が形成され、この背面誘電層14上には複数の放電セル18を区画する第1隔壁層16が形成される。本実施の形態では第1隔壁層16が背面誘電層14上に形成されるが、背面誘電層14を形成せず、背面基板10上に第1隔壁層16が直接形成されることもできる。また、背面基板10を放電セル18に対応する形状にエッチングして第1隔壁層16を形成することもできる。この場合、第1隔壁層16と背面基板10は同一材料で形成される。
【0028】
第1隔壁層16は第1隔壁部材16a及び第2隔壁部材16bを含む。第1隔壁部材16aは第1方向(図面のy軸方向)に沿って伸びて(延在して)形成され、第2隔壁部材16bは第1隔壁部材16aと交差する第2方向(図面のx軸方向)に沿って形成される。これら第1隔壁部材16a及び第2隔壁部材16bによって第1放電空間18が区画される。このような隔壁構造は上述した構造に限定されるものではなく、第1方向と平行な隔壁部材のみからなる帯状隔壁構造を適用することもでき、第1放電空間を区画する多様な形状の隔壁構造を適用することもできる。
【0029】
一方、前面基板20の背面基板10対向面には第1電極22(以下、アドレス電極22と言う)が第1方向に沿って伸びて形成される。これらアドレス電極22は互いに所定の間隔を維持しながら、平行に形成される。そして、このアドレス電極22を覆いながら、前面基板20上に第2誘電層24(以下、前面誘電層24と言う)が形成され、この前面誘電層24上には第2電極25(以下、維持電極25と言う)及び第3電極26(以下、走査電極26と言う)が第2方向に延在して形成される。
【0030】
また、維持電極25及び走査電極26を覆いながら、前面誘電層24上に第3誘電層28(以下、電極誘電層28と言う)が形成される。この電極誘電層28は第1誘電層部28a及び第2誘電層部28bを含む。第1誘電層部28aは第1隔壁部材16aに対応しながら、第1方向に延在して形成され、第2誘電層部28bは第2隔壁部材16bに対応しながら、第1誘電層部28aと交差する第2方向に延在して形成される。互いに交差する第1誘電層部28a及び第2誘電層部28bによって複数の第2放電空間21が形成される。
【0031】
第1隔壁部材16a及び第2隔壁部材16bによって第1放電空間18が背面基板10側に区画され、第1誘電層部28a及び第2誘電層部28bによって第2放電空間21が前面基板20側に区画され、これら第1放電空間18及び第2放電空間21は互いに対応する形状に形成されて実質的に1つの放電セル17を形成する。
【0032】
また、前面誘電層24及び電極誘電層28の外面に保護膜27がさらに形成されることができ、気体放電時に露出される誘電層外面に形成されるのが好ましい。保護膜27の例としてはMgO保護膜27を用いることができる。このMgO保護膜27は気体放電時に電離するイオンの衝突から誘電層を保護する役割を果たす。また、MgO保護膜27はイオンが衝突した時、二次電子の放出係数も高いために放電効率を上げることができる。
【0033】
一方、放電セル17内には第1蛍光体層19及び第2蛍光体層29が形成される。具体的に説明すると、背面基板10側に形成される第1隔壁層16の側面と背面誘電層14上に第1蛍光体層19が形成され、第1誘電層部28aの外面に第2蛍光体層29が形成される。この第1蛍光体層19及び第2蛍光体層29は反射型蛍光体からなることができる。
【0034】
このように、アドレス電極22が前面基板20側に形成され、第1蛍光体層19及び第2蛍光体層29がそれぞれ背面基板10側及び第1誘電層部28aに形成され、第2誘電層部28bには蛍光体層そのものが形成されないことにより、アドレス電極22と走査電極26との間で放電が起きる際に蛍光体層によって放電開始電圧が影響を受けることはないので、赤色、緑色及び青色蛍光体層の互いに異なる誘電率によりアドレス放電の放電開始電圧が不均一となっていた短所が克服できる。
【0035】
なお、アドレス放電は前面基板20側に備えられるアドレス電極22と、前面基板20と背面基板10の間に配置される走査電極26との間で起こるので、背面基板10側に形成される第1蛍光体層19、及び走査電極26が配置されない第1誘電層部28a上にはアドレス放電時に電荷が蓄積されない。そのため、第1蛍光体層19及び第2蛍光体層29上に電荷が蓄積されてイオンスパッタリングによって蛍光体寿命が減少することを防止することができる。
【0036】
また、電極誘電層28のうち、維持電極25及び走査電極26が形成されていない第1方向に形成された第1誘電層部28aの外面に第2蛍光体層29が形成されることによって、維持電極25と走査電極26との間で起る維持放電を妨害せずに、維持放電の時に発生する紫外線に蛍光体層をより近く位置させることができる。その結果、可視光変換効率が向上し、蛍光体層から発生する可視光がさらに増大して輝度がさらに向上することができる。
【0037】
図2は第1の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの電極と放電セルとの構造を概略的に示す部分平面図である。図2を参照すると、前面基板20上で第1方向(図面のy軸方向)に延在して形成されるアドレス電極22は、バス電極22a及び拡大電極22bを含む。バス電極22aは第1隔壁部材16aに対応しながら第1方向に延在して形成され、拡大電極22bは各放電セル17に対応しながら、このバス電極22aから各放電セル17の中心に向かって拡大形成される。
【0038】
この場合、拡大電極22bは前面基板20の開口率確保のために透明電極、例えばITO(酸化インジウムスズ)電極で形成することができる。本実施の形態で拡大電極は長方形の平面形状を有するように形成されるが、他の平面形状または配置関係を有する拡大電極も本実施の形態に適用することができ、これも本発明の技術的範囲に属する。例えば、走査電極26から維持電極25方向へ行くほど徐々に(段々と)その幅が減少する三角形状の拡大電極も本実施形態に適用することができ、拡大電極22bが維持電極25より走査電極26にさらに近く配置される構造も本実施形態に適用することができる。このように、拡大電極22bが走査電極26とさらに大きい面積で形成されたり、走査電極26とさらに近く形成されたりすることによって、拡大電極22bと走査電極26の間のアドレス放電が容易に起こる。
【0039】
また、この透明電極の高い抵抗を補償して通電性を良くするために、バス電極22aは金属電極からなることもできる。本実施の形態において、バス電極22aは第2方向(図面のx軸方向)に隣接する放電セル17の境界を通りながら互いに平行に形成されるので、金属電極で形成されても前面基板20の開口率を低下させない長所がある。
【0040】
一方、アドレス電極22と交差する第2方向に維持電極25及び走査電極26が形成される。本実施の形態で維持電極25及び走査電極26は、第1方向に隣接する放電セル17の境界を通りながら第1方向に沿って交互に形成される。走査電極26はアドレス電極22と相互作用してアドレス期間でアドレス放電を起こす。このアドレス放電によって点灯される放電セル17が選択される。維持電極25は主に走査電極26と相互作用して維持期間で維持放電を起こす。この維持放電によって前面基板20を通って画像が表示される。しかし、各電極に印加される放電電圧に応じてその役割を異なるようにすることができるので、これに限定される必要はない。
【0041】
また、維持電極25及び走査電極26は金属電極で形成することができる。つまり、本実施の形態では、第1方向に隣接する放電セル17の境界に維持電極25及び走査電極26が配置されるので、これら電極が金属で形成されても開口率低下を防止することができる。
【0042】
一方、各放電セル17は、第1部分17aと第2部分17bに区分することができる。つまり、第1部分17aは維持電極25及び走査電極26が配置される部分(維持電極25及び走査電極26が対向する第1方向の側面部分)であり、第2部分17bは維持電極25及び走査電極26が配置されない部分(維持電極25及び走査電極26が形成されていない第2方向の側面部分)を意味する。そして、第2部分17bに形成される蛍光体層は、第1部分17aに形成される蛍光体層より維持電極25と走査電極26との間の空間により近く位置するように形成される。その結果、維持電極25と走査電極26との間の維持放電によって発生する紫外線は蛍光体層とより効率的に反応し、可視光変換効率及び輝度がさらに向上する。このような蛍光体層と維持電極25及び走査電極26との間の関係については図面を変えて詳しく説明する。
【0043】
図3は図1に示されたプラズマディスプレイパネルのIII−III線による部分断面図である。図3を参照すると、アドレス電極22を覆う前面誘電層24上に維持電極25及び走査電極26が形成される。これら維持電極25及び走査電極26は前面基板20から遠くなる方向に背面基板10に向かって突出され、その間に空間をおいて互いに対向して形成される。
【0044】
また、これら維持電極25及び走査電極26の横断面は、基板10、20と垂直方向(z軸方向)への長さが背面基板10及び前面基板20に平行な方向(y軸方向)への長さより長く形成されることができる。言い換えると、維持電極25及び走査電極26の前面基板20面からの高さを高く形成することができる。
【0045】
このように維持電極25及び走査電極26の高さを高めることによって、高精細ディスプレイを実現するために放電セルの平面方向の大きさが減少しなければならない場合にも、垂直方向(z軸方向)に大きくすることによって、その平面方向の減少量が補償される。また、高さを高めることによって維持電極25と走査電極26との間の対向面の面積を増加させることができるので、面放電構造に比べてさらに高い発光効率が得られる。
【0046】
なお、維持電極25及び走査電極26の表面には電極誘電層28が形成される。この電極誘電層28とアドレス電極22を覆う前面誘電層24は互いに同一物質からなることができ、気体放電の時に生成される電荷の衝突から各電極らを保護する役割を果たす。また、アドレス放電の時に前面誘電層24及び電極誘電層28上には壁電荷が蓄積されてもよく、このように蓄積される壁電荷は維持電極25と走査電極26の間の維持放電の時に放電開始電圧を下げる役割を果たす。
【0047】
そして、前面誘電層28のうちの第1誘電層部28aに第2蛍光体層29が形成される。具体的に、放電セル17の第2部分17bに形成される第2蛍光体層29は、背面基板10と垂直方向(図面のz軸方向)に測定される高さH1が、背面基板10と維持電極25及び走査電極26との間の距離H2より大きくなる。これによって、第2部分17bは第1隔壁部材16aの側面及び第1誘電層部28aの表面にそれぞれ第1蛍光体層19及び第2蛍光体層29が形成される。
【0048】
このように、第2蛍光体層29が第1誘電層部28aに形成されることによって、維持電極25と走査電極26との間の放電の時に発生する紫外線に蛍光体層をより近く位置させることができる。これによって、紫外線と反応する蛍光体層の有効面積がさらに増加し、可視光変換効率及び輝度をさらに向上することができる。
【0049】
図4は第1の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルのIV−IV線による部分断面図である。図4を参照すると、放電セルの第1部分17aに形成される蛍光体層は、第2隔壁部材16bの側面に第1蛍光体層19が形成されるが、第2誘電層部28bには第2蛍光体層29が形成されない。つまり、維持電極及び走査電極(図示せず)を実質的に囲んでいる第2誘電層部28bには第2蛍光体層29が形成されず、第1誘電層部28aに第2蛍光体層29が形成される。このような構造によって、第2蛍光体層29は互いに対向する維持電極と走査電極との間の放電に影響をあまり与えずに、安定した維持放電を行うことができる。
【0050】
一方、図3及び図4では前面基板20部分と背面基板10部分との間に空間をおいて示したが、実質的には部分的或いは全面的に互いに接触するように構成される。
【0051】
以下では本発明の他の実施の形態について説明する。各実施の形態によるプラズマディスプレイパネルにおいて、第1の実施の形態で説明したプラズマディスプレイパネルと構成及び作用が互いに同一または類似している部分については、詳細な説明を省略する。
【0052】
(第2の実施の形態)
図5は第2の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの部分分解斜視図である。図5を参照すると、前面基板20上には第1隔壁層16に対応する形状で第2隔壁層238が形成される。この第2隔壁層238は、第1隔壁部材16aに対応しながら第1方向に伸びて形成される第3隔壁部材238aと、第2隔壁部材16bに対応しながら第2方向に伸びて形成される第4隔壁部材238bと、を含む。これら第3隔壁部材238a及び第4隔壁部材238bによって第1放電空間18に対応する複数の第2放電空間221が区画され、この第1放電空間18及び第2放電空間221によって各放電セルが区画される。
【0053】
一方、本実施の形態で維持電極225及び走査電極226は別途に製作され、背面基板10と前面基板20との間に挿入される。具体的に、維持電極225及び走査電極226は、背面基板10と前面基板20との間で、アドレス電極22と交差する第2方向(図面のx軸方向)で伸びて形成される。つまり、維持電極225及び走査電極226は、第1方向(図面のy軸方向)に隣接する放電セルの境界を通りながら、第1方向に沿って交互に配列される。このように、維持電極225及び走査電極226が(背面基板10や前面基板20とは)別に製作されることによって、プラズマディスプレイパネルを製造する工程をより単純化することができる。
【0054】
また、これら維持電極225及び走査電極226の外面に電極誘電層228が形成される。つまり、電極誘電層228は第1隔壁部材16a及び第3隔壁部材238aに対応しながら第1方向に伸びて形成される第1誘電層部228aと、第2隔壁部材16b及び第4隔壁部材238bに対応しながら第2方向に伸びて形成される第2誘電層部228bと、を含む。
【0055】
そして、維持電極225及び走査電極226を実質的に囲んでいない第1誘電層部228aの側面に第1蛍光体層219が形成される。具体的に、第1隔壁部材16a及び第2隔壁部材16bの側面と、電極誘電層228のうちの第1誘電層部228aの側面とに第1蛍光体層219が形成される。このように、第1誘電層部228aに第1蛍光体層219が形成されることによって、維持電極225と走査電極226との間の空間に第1蛍光体層219が近く位置することで可視光変換効率をさらに向上することができる。
【0056】
また、前面基板20に形成された第2隔壁層238にも蛍光体層を形成することができ、この場合の蛍光体層は透過型蛍光体で形成することができる。
【0057】
(第3の実施の形態)
図6は第3の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの部分分解斜視図である。図6を参照すると、背面基板10側に形成された第1隔壁部材16aには、この第1隔壁部材16bから背面基板10と垂直方向(図面のz軸方向)に延長される延長部315が形成される。この延長部315は第1隔壁部材16aと一体に形成することができる。また、この延長部315は各放電セル317の第1方向(図面のy軸方向)に測定される幅に対応しながら第1方向に沿って形成される。そして、第1方向に隣接する延長部315の間には凹部318が形成され、具体的にこの凹部318は第1方向に隣接する放電セル317の境界部分に位置する。
【0058】
一方、前面基板20に形成されるアドレス電極22、維持電極25及び走査電極26は、第1の実施の形態の構成と同様であるが、維持電極25及び走査電極26の表面に形成される電極誘電層328は、マトリックス形態でなく第2方向に伸びる帯状形態に形成される。
【0059】
このように、維持電極25及び走査電極26の表面に第2方向に伸びて形成される電極誘電層328が形成され、背面基板10側の第1方向に隣接する放電セル317の境界の部分には、第2方向に沿って連通する凹部318が形成されることによって、前面基板20と背面基板10とが結合する時、維持電極25及び走査電極26を凹部318に嵌合させることができる。これによって、マトリックス形態の放電セル構造を有し、対向放電を起こすプラズマディスプレイパネルを容易に製造することができる。
【0060】
また、本実施の形態では、放電セル317を間において互いに対向する延長部315の側面に第1蛍光体層319が形成されることによって、前面基板20と背面基板10との結合時に維持電極25と走査電極26との間の空間に第1蛍光体層319が近く位置する。これによって、維持放電で発生する紫外線と第1蛍光体層319との反応有効面積が増加し、可視光変換効率及び輝度が向上する。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明はプラズマディスプレイパネルに適用可能であり、維持電極及び走査電極が基板と垂直方向に互いに離隔して配置される対向放電構造のプラズマディスプレイパネルに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルを示す部分分解斜視図である。
【図2】第1の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの電極及び放電セルの構造を概略的に示す部分平面図である。
【図3】図1に示されたプラズマディスプレイパネルのIII−III線による部分断面図である。
【図4】図1に示されたプラズマディスプレイパネルのIV−IV線による部分断面図である。
【図5】第2の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルを示す部分分解斜視図である。
【図6】第3の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルを示す部分分解斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
10 第1基板(背面基板)
14 第1誘電層(背面誘電層)
16 第1隔壁層
16a 第1隔壁部材
16b 第2隔壁部材
17 放電セル
17a 第1部分
17b 第2部分
18 放電空間
19 第1蛍光体層
20 第2基板(前面基板)
21 放電空間
22 アドレス電極
25 維持電極
26 第3電極(走査電極)
27 保護膜
28 第3誘電層(電極誘電層)
28a 第1誘電層部
28b 第2誘電層部
29 第2蛍光体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間で複数に区画される放電セルと、
前記第1基板と前記第2基板との間で第1方向に延在して形成される第1電極と、
前記第1基板と前記第2基板との間で前記第1方向と交差する第2方向に延在して形成され、前記第2基板から離隔する方向に拡張される第2電極と、
前記第1基板と前記第2基板との間で前記第2方向に延在して形成され、前記第2基板から離隔する方向に拡張される第3電極と、
前記放電セル内に形成される蛍光体層と、
を備え、
前記放電セルは、
前記第2電極及び前記第3電極が配置される第1部分と、
前記第2電極及び前記第3電極が配置されない第2部分と、
を有し、
前記第2部分に形成される蛍光体層の前記第1基板から垂直方向に測定される高さは、前記第1基板と前記第2電極及び前記第3電極との間の距離より大きく形成されることを特徴とする、プラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
前記第1基板の前記第2基板側に複数の前記放電セルを区画する第1隔壁層をさらに備え、
前記第1隔壁層は、
前記第1方向に伸びて形成される第1隔壁部材と、
前記第2方向に伸びて形成される第2隔壁部材と、
を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
前記第2基板の前記第1基板側に複数の前記放電セルを区画する第2隔壁層をさらに備え、
前記第2隔壁層は、
前記第1方向に伸びて形成される第3隔壁部材と、
前記第2方向に伸びて形成される第4隔壁部材と、
を有することを特徴とする、請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項4】
前記第1隔壁部材及び前記第2隔壁部材によって第1放電空間が形成され、前記第3隔壁部材及び前記第4隔壁部材によって前記第1放電空間に対向する第2放電空間が形成され、前記第1放電空間及び前記第2放電空間によって各々の前記放電セルが区画されることを特徴とする、請求項3に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項5】
前記第2電極及び前記第3電極の外面には電極誘電層が形成され、
前記電極誘電層は、
前記第1方向に伸びて形成される第1誘電層部と、
前記第1誘電層部と交差し、前記第2方向に伸びて形成される第2誘電層部と、
を有することを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項6】
前記第1誘電層部と前記第1隔壁部材とは互いに対応して配置され、前記第1誘電層部の側面及び前記第1隔壁部材の側面に前記蛍光体層が形成されることを特徴とする、請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項7】
前記第2電極及び前記第3電極は前記第1方向に隣接する放電セルの境界を通って形成され、前記第1方向に沿って交互に配列されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項8】
前記第1電極は前記第2基板上で前記第2方向に隣接する放電セルの境界を通って配置され、各放電セルの中心に向かって突出する拡大電極を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項9】
前記拡大電極は、第2電極よりも第3電極にさらに近く配置されることを特徴とする、請求項8に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項10】
第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に複数の放電セルを区画し、第1方向に伸びて形成される第1隔壁部材を有する隔壁層と、
前記第1基板と前記第2基板との間で第1方向に延在して形成される第1電極と、
前記第1基板と前記第2基板との間で前記第1方向と交差する第2方向に延在して形成され、前記第2基板から離隔する方向に拡張される第2電極と、
前記第1基板と前記第2基板との間で前記第2方向に延在して形成され、前記第2基板から離隔する方向に拡張される第3電極と、
各々の前記放電セルに対応して、前記第1隔壁部材から前記第1基板と垂直方向に延長された延長部と、
前記延長部に形成される蛍光体層と、
を備えることを特徴とする、プラズマディスプレイパネル。
【請求項11】
前記延長部は前記第1隔壁部材と一体に形成されることを特徴とする、請求項10に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項12】
前記第1方向に隣接する前記延長部の間には凹部が形成され、前記凹部は前記第1方向に隣接する前記放電セルの境界部分に位置することを特徴とする、請求項10または11に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項13】
前記凹部に前記第2電極及び前記第3電極が嵌合され、前記第1基板から垂直方向に測定される前記蛍光体層の高さは、前記第1基板と前記第2電極及び第3電極との間の距離より高く形成されることを特徴とする、請求項12に記載のプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−34349(P2008−34349A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70029(P2007−70029)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】