プラズマプローブ及びプラズマ診断のための方法
【課題】プラズマ反応器のチャンバ内におけるプラズマパラメータデータを測定する装置及び方法を提供する。
【解決手段】プラズマと接触する単一の平面ラングミュアプローブの表面でプラズマパラメータデータを測定すするために、プラズマと接触する単一の平面ラングミュアプローブ1の表面でバイアスコンデンサ2が単一の平面ラングミュアプローブ1とDCバイアス電源3との間で接続されている。続いて、DCバイアスが測定される結果として、バイアスコンデンサ2の放電電流が測定され、放電の間に単一のプローブでのプローブ電位が測定され、プローブ表面上の誘電体膜の存在及び/又は厚さを検出する。
【解決手段】プラズマと接触する単一の平面ラングミュアプローブの表面でプラズマパラメータデータを測定すするために、プラズマと接触する単一の平面ラングミュアプローブ1の表面でバイアスコンデンサ2が単一の平面ラングミュアプローブ1とDCバイアス電源3との間で接続されている。続いて、DCバイアスが測定される結果として、バイアスコンデンサ2の放電電流が測定され、放電の間に単一のプローブでのプローブ電位が測定され、プローブ表面上の誘電体膜の存在及び/又は厚さを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ診断装置及び方法に関する。具体的には、半導体製造ツールにおけるプラズマ診断への使用に適したDCパルスラングミュアプローブに関する。プラズマ診断とは、プラズマパラメータのデータ、例えば陽イオン束及び/又は電子束を監視することである。
【背景技術】
【0002】
工業用プラズマ処理の場合、プラズマ電位、密度、イオン束等のようなプラズマ特性を直接制御することが有用であろう。残念なことに、研究に使用される既在のプローブは、工業プロセスに適合せず、或いは通常の使用には複雑すぎる。
【0003】
ラングミュアプローブは、プラズマ診断において最も重要な技術の1つであるが、工業用プラズマチャンバへの実装は、次の2つの主な理由により難しい。つまり、プラズマの不要な揺動及びコンタミネーションと、プローブ上の堆積物に起因する技術の制限とである。
【0004】
米国特許(US5936413)には、プラズマを監視することに使用可能な容量結合型平面ラングミュアプローブが開示されている。該プローブは、プローブと直列接続し且つRFバイアス印加された静電容量の放電から決定するプローブに到達するイオン束を監視する。しかし、このプラズマプローブは、プラズマの組成及び/又は性質についての情報も、プローブに堆積した膜及び/又はその監視結果に対する影響についての情報も提供しない。プローブ上に堆積した誘電体膜は、容量結合したラングミュアプローブでの測定を、標準のラングミュアプローブでの測定と同様に妨げないが、測定信号は変更され、元のフィッティング関数を適用することはできない。
【0005】
米国特許出願公開(US2005034811)には、動的パルスの浮遊ラングミュアデュアルプローブを備えたプラズマ診断装置が開示されている。平面デュアルプローブは、浮遊電位及びプラズマ電位の絶対値を測定するのに適しておらず、分離した電子束及びイオン束を測定するのにも適していない。
【0006】
それゆえ、上記欠点の少なくとも一つを解決するようなプラズマプローブを有することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、単純な電子回路を使用し、先行技術の制限を示さない、プラズマ反応器内でプラズマを監視するための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の方法及び装置を伴う開示によって達成される。
【0009】
第1の態様において、本開示は、浮遊電位より高いプローブ電位について、イオン飽和電流及び電子電流の両方を別々に(そしてその後)測定するのに適した方法及び装置(説明を通じて「DC技術」又は「DCパルス」とも呼ぶ)を提供する。この情報は好適なDCレベル/パルスを単一のラングミュアプローブにのみ印加することによって得ることができ、その結果、単純な電子回路を使用可能であることがわかっている。さらに、DCバイアス印加を使用することによって、追加の情報、即ちラングミュアプローブの表面上に堆積した誘電体膜の静電容量及び厚さが得られることがわかっている。
【0010】
一実施形態では、方法及び装置は、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDCパルスを含む信号と、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDCパルスを含む信号とを、交互に前記バイアスコンデンサに印加してもよい。ここで、測定手段は、前記正のDCパルスの間に、プラズマからプローブまで電子束を測定し、前記負のDCパルスの間に、プローブからプラズマまでイオン束を測定するように準備される。信号は、好ましくはプラズマの浮遊電位を基準として対称であり、その結果、誘電体膜の静電容量及び/又は厚さについての情報は、イオン束から電子束を減算することによって決定可能である。
【0011】
第2の態様において、本開示は、本明細書で説明するDC技術を使用した複数のプラズマ監視装置を備えたプラズマ反応器を提供し、チャンバ内の少なくとも一つのプラズマパラメータの空間分布についての情報を収集する。
【0012】
第3の態様において、本開示は、プラズマ反応器のチャンバ内に位置し且つプラズマと接触する単一のラングミュアプローブの表面に堆積した誘電体膜の静電容量をその場(in-situ)測定するための方法であって、
a)単一のラングミュアプローブに、バイアスコンデンサを介して、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDCパルスと、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDCパルスとを交互に付与する工程と、
b)正のDCパルスの間に第1プローブ電位を、及び負のDCパルスの間に第2プローブ電位を測定する工程と、
c)測定した第1浮遊電位と、測定した第2浮遊電位との差(ΔV)を計算する工程と、
d)計算した差(ΔV)、DCパルスの振幅(Va)及びバイアスコンデンサの静電容量(Cbias)を使用して誘電体膜の静電容量(Cfilm)を計算する工程とを含む方法を提供する。
【0013】
一実施形態において、方法は、誘電体膜の静電容量(Cfilm)、及び誘電体膜の既知の物理的特性を使用して誘電体膜の厚さを決定する工程をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
開示はさらに、以下の説明及び添付の図面によって明らかにされることとなる。
【0015】
【図1】開示の実施形態によるDCパルス平面ラングミュアプローブを備えた実験のセットアップを概略的に示す。
【図2】RFパルス印加とDCパルス印加との間の比較を示しており、図2(a)は印加するRFパルス信号とDCパルス信号とを、図2(b)はRFパルス及びDCパルスの場合についてバイアスコンデンサで測定した電位を示す。放電電流も測定しているが、図示していない。
【図3】DCパルスラングミュアプローブについてシミュレーション(Wolfram Mathematica(登録商標)version 7.0)した結果を次のように示す。図3(a)は、印加したパルス(破線)及びプローブで測定した電位(実線)を示す。正パルスの開始時の電子パルスによるコンデンサの充電を符号(1)で、イオン束による放電を符号(2)で示している。図3(b)は、プローブに対する全電流であり、イオン飽和電流及び電子電流を示す。
【図4】DCパルスプローブを用いた実験の測定値を示しており、イオン放電部分のみが示されている。図4(a)は、プローブで測定した電位を、図4(b)は、コンデンサを介した電流の放電を示している。測定は、100nFのバイアスコンデンサ及び0.85cm2の面積を有するプローブを用いて、アルゴンプラズマ中で実施した。
【図5】プローブ電流をプローブバイアスの関数として示す。点線はDCパルスを用いて測定した実験データを、実線は説明の式(2)による理論的フィッティングを示す。
【図6】プローブに印加するDCパルスによって得られるI−V特性を示す。ドットは得られるイオン飽和電流を表し(b)、三角形は電子電流を示す(a)。電流は反転表示している。
【図7】矩形DCパルスの代わりに傾斜DCパルス(即ち、徐々に増加する正パルス)を使用することによる電子電流の制限を示す。破線は印加する傾斜DCパルスであり、黒い細線は測定されたプローブ電位である(左側のスケール)。コンデンサの電位から計算される電流は、右側のスケールにグレーの太線で表している。
【図8】誘電体膜の静電容量を決定するためのセットアップを概略的に示しており、プローブ上に形成される膜は、破線でつながったコンデンサによってモデル化され、Vaは印加するDC電圧パルスであり、Cbiasはバイアスコンデンサであり、Vは内部抵抗Rのオシロスコープによって測定した電位である。Cfilm及びRfilmはそれぞれ膜の静電容量及び抵抗である。
【図9】誘電体膜の存在下でRFプラズマプローブを用いた測定についてのI−V特性(実線a)と、汚染無しのプローブ、即ち誘電体膜を有しないプローブを用いた測定についてのI−V特性(破線b)の比較結果を示す。
【図10】プローブ上の膜の存在下((a)は膜なし)でDCパルスプラズマプローブについて測定した電位を示す(b:約1nmのSiO2の薄い膜、c:約7nmのSiO2の厚い膜)。すべての場合で、プラズマと接触するプローブ表面は、正パルス及び負パルスの終わりで浮遊電位に達するが、誘電体膜の場合、測定した電位は分圧器の影響に起因して等しくない。
【図11】バイアスコンデンサ(4.7nF)に直列に、追加のコンデンサ(0.46nFから47nFの範囲の静電容量を有する)を挿入することにより、膜の静電容量を模倣する試験を示す。測定した電位から計算した「膜」の静電容量についての値は、追加のコンデンサの実際の値とよく一致する。
【図12】膜が「漏洩性」誘電体(特定の抵抗率を有する)である場合の実験のセットアップをモデル化するために使用する等価電子回路を示す。
【図13】誘電体層(シリコンで作成したプローブ上部のシリコン酸化層)で覆ったプローブにより測定したI−V曲線を示す。条件は、120mTorrでのアルゴン+0.5%酸素プラズマ及び800W/27MHzのCCPである。
【図14】図13と同図を示す。DCパルス印加及びRFパルス印加の両方によって得られる領域A、DCパルス印加のみによって得られる領域Bを符号で示している。領域Bでのヒステリシスは、プローブ(及び接地電極を含む他の壁)が誘電体層で被覆されていることを示す明確な証拠である。
【図15】図13と同じ実験データを示しており、浮遊電位を電流が0に等しいところでの測定値に固定することによって、また、電子温度を3eVに固定することによって、近似フィッティングを実施している。
【図16】数値シミュレーションと図13からの実験データとの比較を示す。ヒステリシスにおいて矢印で符号を付した領域A及びBは、点を収集する時間軸方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、特定の実施形態について特定の図面を参照しながら説明するが、本開示はこれらに限定されず、請求項によってのみ限定される。記載した図面は概略的なものに過ぎず、限定的でない。図面において、いくつかのエレメントのサイズは、説明目的のため、誇張し、及びスケールどおり描いていないことがある。寸法及び相対寸法は、本開示の実際の実施化と対応していない。
【0017】
さらに、説明及び請求項での用語「第1」「第2」「第3」等は、類似のエレメントを区別するための使用しており、必ずしもシーケンスを序列で、又は時間順で表したものでもない。こうして用いた用語は、好適な状況下で交換可能であり、本開示の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能であると理解すべきである。
【0018】
さらに、説明及び請求項での用語「上(top)」「底(bottom)」「〜の上(over)」「〜の下(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、好適な状況下で交換可能であって、ここで説明した本開示の実施形態がここで説明又は図示した以外の他の向きで動作可能であると理解すべきである。
【0019】
さらに、「好ましい」として参照する種々の実施形態は、本開示の技術的範囲を非制限的に実施可能な例示的態様であるとみなすべきである。
【0020】
請求項で使用する用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他のエレメント又はステップを除外していない。記述した特徴、整数、ステップ又はコンポーネントの存在を参照するように特定するものと解釈する必要があるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ又はコンポーネント、或いはこれらのグループの存在又は追加を除外していない。したがって、「A及びBを備えた装置」という表現の技術的範囲は、本開示に関連して、コンポーネントA及びBのみから成る装置に限定するべきでなく、装置のコンポーネントのうちA及びBのみが列挙されており、さらに請求項はこれらのコンポーネントと等価なものを含むと解釈するべきである。
【0021】
以下の詳細な説明は、プラズマ診断装置及び方法に関する。具体的には、半導体製造ツールでのプラズマ診断に使用するのに適したDCパルスラングミュアプローブに関する。プラズマ診断とは、プラズマパラメータデータ、例えば陽イオン束及び/又は電子束の監視である。
【0022】
本開示による装置は、プラズマから、例えばプラズマ反応器の壁又はプラズマ反応器内で処理される試料と接触する固体表面までの陽イオン束及び電子束の両方を測定及び定量化するように配置してもよい。
【0023】
好ましくは、開示のプローブは平面形状を有し、これは本明細書でさらにDCパルス平面ラングミュアプローブと呼ぶ。
【0024】
好ましくは、開示のプローブはチャンバ壁に(又は、接地電極に)取付可能であり、それによりプラズマの揺動を最小化する。容量結合型の平面ラングミュアプローブは、チャンバ壁と同じ材料で作成し、該壁に(又は、接地電極に)組み込み、プラズマの揺動を最小化することができる。
【0025】
さらに、本開示はまた、本開示のDCパルス平面ラングミュアプローブを使用したプラズマプロセスを監視及び/又は制御する方法に関する。概して、プラズマプロセスは、イオン照射による表面構造若しくは化学組成を変更するためのプラズマプロセス、又は層と一緒に試料を被覆するためのプラズマプロセスが可能である。具体的には、プラズマプロセスは、プラズマエッチングプロセス又はプラズマ支援/強化蒸着プロセスが可能である。
【0026】
さらに、本開示は、本開示のプローブ上に堆積した絶縁膜の静電容量を測定するための方法に関する。具体的には、堆積した膜の物理的特性(即ち、誘電率)が既知の場合、堆積した膜の厚さをその場測定及びその場監視することができる。
【0027】
単純な電子回路を使用できることは、DCパルス平面ラングミュアプローブの利点である。それが電子密度及び/又はプローブ上に堆積した膜の静電容量に関する情報を提供可能なことも利点である。
【0028】
種々の実施形態で、方法は、リアルタイムで少なくとも一つのプラズマパラメータを測定すること、時間の関数として少なくとも一つのプラズマパラメータを監視すること、そして、変数を特定し且つ測定値を使用してプラズマプロセスを調整/制御することを含む。代替として、処理する試料(ウエハ)と関連して後で評価するために、測定値をデータベースに保存してもよい。
【0029】
図1は、バイアスコンデンサ(2)を介してDCパルスジェネレータ/電源(3)に容量接続された接地電極に取り付けられた平面プローブ(1)を備えた、本開示のDCパルス平面ラングミュアプローブのための可能な実験セットアップを示す。プローブの面積は、20mm2〜100cm2又はこれ以上の範囲で可変であり、プローブとしての機能に適合しうる全接地電極の面積が最大である。特定例では、プローブの面積は約1cm2であった。バイアスコンデンサの静電容量は100pF〜1000nFの間で可変であり、或いは高密度プラズマや大面積プローブの場合にはさらに大きい。特定例では、バイアスコンデンサは100nFの静電容量を有していた。
【0030】
測定は、接地された上部電極に取り付けられた平面形状を有するプローブを用い、容量結合プラズマ(CCP)反応器内で行った。
【0031】
本開示の一実施形態では、プローブは、ステンレス鋼で作成し、直径5mmを有してもよい。他の実施形態では、プローブは直径10mmを有するシリコンで作成してもよい。
【0032】
本開示のDC技術は、イオン飽和電流と電子電流の両方を、浮遊電位より大きいプローブ電位について、別々に(そしてその後に)測定するのに適している。
【0033】
以下の例では、数百マイクロ秒から500ミリ秒の周期、及び最大100Vの振幅を有する矩形DCパルスを印加した。
【0034】
代替の実施形態では、最大50msのランプアップ時間を有する成形パルス(傾斜パルス)を印加した(つまり、正パルスを最大50msまで徐々に増加させた)。このように、正パルスの開始を制限し、また、プラズマの電子電流を制限し、それによりプラズマの揺動を制限して回路を保護することができる。
【0035】
DCパルスジェネレータ(3)は、1ms〜500msの間の周期で、少なくとも20Vの振幅の矩形DCパルスを作り出すように配列されている。しかし、具体的な値は、コンデンサの選択、プローブの面積、プローブのコンタミネーション(即ち、膜の存在)、イオン束(即ち、プラズマ密度)等に依存しうる。
【0036】
DCパルスの振幅は、プローブ電位が、イオンを用いた放電の間、実質的にすべての電子を無効にする(repeal)ことができるように選択する。汚染無しのプローブの場合(プローブ上の膜が存在しない)、振幅は約20Vでもよく、汚染有りのプローブ(即ち、プローブ上に堆積した膜を有する)の場合、膜の追加の静電容量が生成する分圧器の影響によって、より大きい電位が要求される。
【0037】
デューティサイクル(つまり、パルスの正の部分のパルス周期に対する比)及びDCパルス周期は、好ましくは、コンデンサがプローブで収集される電子束によって、正の部分の間にDCバイアスを構築するのに充分な時間を、そして、パルスの負の部分の間にDCバイアスを放電するのに充分な時間を有するように選択される。
【0038】
例えば、容量結合プラズマ(約1016m−3のプラズマ密度を有する)の場合、1cm2の面積を有するプローブ及び100nFのコンデンサについて、周期は約100msであり、デューティサイクルは約0.5であった。
【0039】
バイアスコンデンサで構築され、印加するパルスに加えられる追加のDCバイアスに起因して、DCパルスは正若しくは負、又は正の部分と負の部分とを両方含んでもよい(かかる部分は対称でも非対称でもよい)。必須ではないが、浮遊電位に対する対称信号を膜厚の測定に使用することが好ましくい。
【0040】
RF測定値(最先端)と、正の部分及び負の部分を有するパルスを用いた本開示の実施形態によるDCパルス測定値とを含む比較データを図2に示している。2つの領域間のコンデンサにバイアスを印加する間に、明確な差を観察することができる(つまり、RFの場合はRFパルスの間に、DCの場合はパルスの正の部分の間に)。
【0041】
RF領域では、プラズマは全パルス中のRF電位によって揺動を受ける。正の電位は、DCパルスを用いてパルス開始時にプラズマから電子を引き出し、一旦コンデンサがバイアスを印加され、プローブが浮遊電位となると、プラズマは、パルス長に関わらず全く揺動を受けない。
【0042】
RF領域では、信号の解釈は過剰に課されたRF信号に起因して面倒である。DCパルスを印加した場合、解釈は単純になり、バイアスコンデンサの充電中であっても、完全なI−V特性を得ることができる(電子束及びイオン束の両方についての情報を含む)。
【0043】
イオン束によるバイアスコンデンサの放電の間(つまり、RFの場合にはRFパルスを止めた後、又はDCの場合にはパルスの負の部分の間)、両方の場合(RF及びDC)で挙動が似ており(コンデンサが同じ電位までバイアスを印加されている場合には)、両方の技術が同じ結果を与える。
【0044】
その結果、コンデンサの放電中の電圧測定値(図2参照)及び電流測定値(図6参照)は、RFパルスとDCパルスとの大きな差を示さなかった。
【0045】
DCパルスの正の部分の間に決定する電子電流が、イオン電流の測定を補完して図6に示すような完全なI−V特性を与えることは、本開示のDCパルスプローブ及び方法の一利点である。
【0046】
印加したDCパルスに対してプローブで測定した信号例を図3に示す。印加したDCパルス(図3aの破線)は、100msの周期、デューティサイクル0.5及び50Vの振幅を有する。つまり、パルスの正の部分は最初の50msについて50Vであり、次に、−50Vの電位を有する負の部分が50ms間存在する。
【0047】
図3に示すように、正パルスの開始時に、比較的大きい電子電流を用いて迅速にコンデンサにバイアスを印加する。バイアスの印加後、プローブは浮遊電位となり、正味の電流(即ち、イオン電流と電子電流との和)はゼロに等しくなる。正パルスの後、印加した電位及びプローブ電位の両方が負となり、電子電流は完全にブロックされ、プローブで収集される全電流はイオン電流のみから成る。
【0048】
回路(即ち、バイアスコンデンサ(2))を流れる全電流は、プローブに対する電子束とイオン束との和に等しい。イオン束は、プローブに印加するDCパルスによってわずかに影響を受ける。一方、電子束は、プラズマ電位に対して、印加した電位の指数関数となる。コンデンサがいずれかのDC電流をブロックするので、電荷の余剰部分がプローブ電位を変化させるコンデンサで収集される。プローブ電位は印加する電位の差に等しく、バイアスコンデンサの電位は下記の式(1)で表される。
【0049】
【0050】
コンデンサをバイアス電位まで充電する場合、プローブは浮遊電位に曝されることとなる。該浮遊電位は、システムが平衡状態にあるように両方の電流(イオン及び電子)を等しくするような電位である。
【0051】
実験は、正のDCパルスを印加した後の数ミリ秒の間、プローブ電位は正となり、余分な電子を引き付ける、ということを示している。これらの余分な電子は、コンデンサに負のバイアスを印加し、再度プローブは浮遊電位に達し、プローブ基準で全電位はゼロに等しくなる(図3aの実線)。
【0052】
残りの正パルス時間は重要ではない。これは、印加する電位が変化するまでプローブが浮遊電位で浮遊するからである。バイアス電位はVbias=(Vapplied−Vprobe)に等しく、Vprobe=Vfloatingであるので、正パルスの終端時に、バイアス電位の最終値はVbias=(Vpositive−Vfloating)となる。ここで、Vpositiveは印加したDCパルスの正の振幅である。
【0053】
VappliedがVpositiveからVnegativeへ変化する瞬間には、プローブ電位は依然上記の式(1)によって与えられるが、Vbias=(Vpositive−Vfloating)で且つVamplitude=Vnegativeであれば、プローブ電位はVprobe=Vnegative−Vpositive+Vfloating、又は対称パルスの場合には、Vprobe=−2Vpositive+Vfloating(図3a参照、ここでVfloating=0である)。
【0054】
印加するDCパルスの振幅が電子を無効にするのに充分である場合、コンデンサは、バイアス電位に達するまで、プローブに浮遊電位を付与することとなるイオン電流によって放電される(図3b及び図4参照)。この放電は、RFの場合と類似しており、それゆえ同様の理論的解釈を適用することができる。
【0055】
【0056】
ここで、l0はイオン飽和電流、Vfは浮遊電位、Teは電子温度、そしてsは、傾斜パラメータ(エッジ効果に関連する)である。
【0057】
実際の実験データに対するフィッティングの式(2)の例を図5に示している。図5に示す実験データは、DCパルス印加によって得られる。
【0058】
これらのデータ点(即ち、浮遊電位より低い電位についてのイオン放電電流)に加えて、DCパルス印加はまた、他のプラズマ特性(即ち、電子偏移曲線、電子飽和電流及びプラズマ電位)の計算に必要となるラングミュアI−V特性を付与することができる。これを図6に示している。
【0059】
図3及び図6からわかるように、電子電流は、正パルスの開始時に比較的大きい値となることがあるが、これによりプローブの電子機器についての問題やプラズマの揺動が発生する場合には、正パルスの開始時に正の電位を徐々に増加させることによって制限することができる(即ち、矩形のDCパルスの代わりに正の傾斜パルスを使用して)。このように、全電流は印加する電位の増加率によって制限される。
【0060】
【0061】
DCパルスの代わりに傾斜DCパルスを用いた測定の例を図7に示す。
【0062】
本開示の実施形態は、プローブ上に堆積した誘電体膜を用いてプラズマを監視することを説明している。誘電体膜は、チャンバ内で実施した蒸着/スパッタリングの結果として生じる可能性がある。
【0063】
プローブ上に堆積した誘電体膜がDC電流をブロックしてプローブに全く流れないようにし、プラズマの監視をもはや不可能とすることが、先行技術のラングミュアプローブの主要な欠点の一つである。
【0064】
かかる欠点は、本開示の容量結合したプローブによって解決することができる。これは、図8に示すように、誘電体膜は、バイアスコンデンサと直列接続された追加のコンデンサとして機能するからである。測定した信号は、それに応じて変化することとなる。これは、プローブ電位が直接測定されず、バイアスコンデンサ、及び誘電体膜が導入するコンデンサが形成する分圧器を介して測定されるからである。
【0065】
開示の実施形態では、膜の静電容量の測定は、バイアスコンデンサとプローブとの間の更なる静電容量を追加することによって模倣した。
【0066】
本開示の他の実施形態では、プローブに対して実際の膜(例えば、シリコンプローブの上部に堆積したSiO2層)を用いて測定を実施した。
【0067】
誘電体膜を用いた測定値と用いない測定値との差を図9に示す。イオン束についての情報が未だに存在するが、フィッティングの式(2)はもはや適用不可能である。該式は、プローブ電位を直接測定する場合について導出したものであり、バイアスコンデンサが作成する分圧器及び膜の静電容量を通じて導出したものではないからである。
【0068】
図9に示す測定値は、イオン電流によるコンデンサの放電中に得られる。それゆえ、RFバイアス印加(最先端の)及びDCパルス印加(開示の方法)について例示的である。
【0069】
好都合なことに、本開示の方法は、図10に示すようなパルスの正の部分及び負の部分について、分圧器を通じた浮遊電位の測定によって、膜の特性についての更なる情報を間接的に提供することができる。
【0070】
プローブ電位の測定は、バイアスコンデンサが作成する分圧器及び膜の静電容量を通じて実施する(図8に示している)。そのため、正パルスの場合、パルスの両部分(即ち、正と負の)の終端で、プローブ表面は浮遊電位となるが、負パルスの場合、より低電位が測定される。これら2つの値を比較してバイアス印加の静電容量を知ることにより、下記の式(4)を使用して膜の静電容量を計算することが可能である。
【0071】
【0072】
ここで、Cfilmは膜の静電容量、Cbiasはバイアスコンデンサの静電容量、ΔVは測定した浮遊電位の差、Vaは印加するDCパルスの振幅である。上記の式(4)は、汚染無しのプローブ(即ち、誘電体膜及び静電容量を有しない)を使用することによって、また、誘電体膜の静電容量として動作するバイアスコンデンサと直列に更なるコンデンサを挿入することによって、実験的に確かめた。いくつかの異なるコンデンサについての結果を図11に示している。示しているように、バイアスコンデンサの測定電位から計算した「膜の静電容量」の値は、使用するコンデンサの実際の値とよく一致する。
【0073】
図10に示すような、実際の膜形成を用いた測定により、膜の静電容量の測定についての本開示の方法の感受性が確認される。さらに、膜材料の特性(例えば誘電率)が既知の場合、膜厚を決定することができる。したがって、本開示の方法は、膜厚のその場測定及び/又はその場監視を可能にする。
【0074】
好都合なことに、接地電極全体をプローブとして使用可能である。その場合、接地したプローブは直接でなくバイアスコンデンサ及びパルスジェネレータを介して接地することが好ましい。電極がプローブとして動作する場合には、該電極を接地可能であり、周期的な短い測定の間(例えば、100msごとに1msの間)のみ、DCパルスをそれに供給し、測定値が得られる。
【0075】
このように、プローブへの全イオン束の正確な測定を、プラズマの揺動が小さい状態で実施することができる。電極が一様な状態を維持する(つまり、接地電極に実装する追加のプローブは存在しない)からである。
【0076】
膜が純粋な誘電体材料でなく一定の抵抗を有する場合(「漏洩性」膜)、式(4)をこのように適用することはできない。測定したデータと数値シミュレーションとを比較することによって、未だ膜の静電容量と膜の抵抗との両方の値を得ることができる。
【0077】
測定データは、マセマティカ(Wolfram Mathematica version 7.0)で実施した数値シミュレーションの結果と首尾よく比較可能であるが、他の任意の好適なソフトウェアでも同様に実施可能である。
【0078】
前述のように、プローブ上の誘電体膜は、バイアスコンデンサと直列接続した追加のコンデンサとして機能する。実際、膜は理想的なコンデンサではないが、図12の等価回路に示すような並列の抵抗を有するコンデンサ、と言うのがより優れた表現であろう。該等価回路は、数値計算に使用可能である。追加のコンデンサは、イオン束に対して重大な影響を与えないことが好ましいが、2つの態様でI−V曲線の測定に影響を与える。第1に、回路の全静電容量が小さいため(直列の2つのコンデンサ)、同じ流束を用いた充電/放電がより速くなる。第2に、電位は、プラズマと接触するプローブ表面でもはや直接読み取られることはなく(つまり、I−V特性を決定する実際の電位)、バイアスコンデンサ(Cbias)及び膜の静電容量(Cfilm)が作成する分圧器のようなものを通じて読み取られる。これら2つのコンデンサは、全パルスの間に、同じ速度、或いは同じ符号で充電/放電されず、それらが作成する分圧器は一定の比を有しない。これは、測定した電位と実際の電位は一定でないことを意味する。
【0079】
コンデンサ及び膜の放電は、次の微分方程式で表すことができる。
【0080】
【0081】
ここでVaは印加するパルス、Vbiasはバイアスコンデンサの電位、Vfilmは誘電体膜の電位、Iionはイオン電流、Ieは電子電流であり、他の変数は図12に示している。電子電流は、プラズマと接触するプローブ表面の電位の関数であり、下記の式(7)で与えられる。
【0082】
【0083】
シミュレーションの結果を図16に示す。「漏洩性」膜の場合、測定データは膜の抵抗及び静電容量のさまざまな値と比較する必要がある。実際の膜の静電容量及び抵抗の最終値は、測定データとシミュレーションデータとが最も適合する状態の数値シミュレーションについて使用する値で与えられる。
【0084】
このアプローチは、プローブ上に堆積した膜を有する図1によるセットアップでの測定値と、汚染無しのプローブと直列接続した抵抗(静電容量及び抵抗の値が既知の)と並列接続した実際のコンデンサによって膜を模倣するセットアップでの測定値と、を比較することによって実験的に試験する。更なるコンデンサ及び抵抗は、図12のCfilm及びRfilmの位置でバイアスコンデンサと直列に付加した。生じるI−V曲線を図13〜図16に示している。
【0085】
図13は、120mTorrでのアルゴン+0.5%酸素プラズマ、及び800W/27MHzのCCP反応器中の誘電体層(シリコンで作成したプローブ上部のシリコン酸化層)で覆われたプローブでの実際の測定値から得られるI−V曲線を示している。
【0086】
図14は、図13と同じI−V曲線を示すが、領域A及び領域Bに符号を付している。領域AはDCパルス印加及びRFパルス印加の両方によって得られ、領域Bは、DCパルス印加によってのみ得られる。領域Bでのヒステリシスは、プローブ(及び接地電極を含む他の壁)が誘電体層で被覆されていることを示す明確な証拠である。ヒステリシスの面積は、誘電体層の厚さの指標となりえる。
【0087】
図15及び図16は、図13と同じ実験データを示している。第1段階では、式(2)を用いて電流が0に等しい測定値に浮遊電位を固定することによって、また、電子温度を3eVに固定することによって近似フィッティングを実施する。第2段階では、式(5)及び式(6)を用いて膜の抵抗及び静電容量のさまざまな値に対してより正確なフィッティングを実施し、最良のフィッティングを選択する。
【0088】
概して、本開示による実施形態は、以下のように要約することができる。
【0089】
プラズマ反応器内でプラズマを監視するための方法であって、DCバイアスを印加するためのDC電源と、プラズマと接触する単一の平面ラングミュアプローブとの間に接続されたバイアスコンデンサの放電速度を測定することにより、プラズマと接触する面でプラズマパラメータデータを測定することを含む方法。
【0090】
プラズマパラメータデータは、イオン束又は電子束の少なくとも一方から成る、上記の方法。
【0091】
プラズマパラメータデータは、別々に測定したイオン束及び電子束の両方から成る、上記のいずれかの方法。
【0092】
単一のプローブは、プラズマ反応器と共通の接地電位を有する、上記のいずれかの方法。
【0093】
DCバイアスを印加することは、単一のプローブにDCパルスを周期的に供給することから成る、上記のいずれかの方法。
【0094】
電子束及びイオン束を測定することは、バイアスコンデンサの充電及び放電の間にそれぞれ実施される、上記のいずれかの方法。
【0095】
DCパルスは、正パルス若しくは負パルスであり、又は正の部分と負の部分とを両方含む、上記のいずれかの方法。
【0096】
プラズマ反応器を構成するチャンバ内でプラズマパラメータを測定するための装置であって、
チャンバ内部の、平坦面を有する単一のラングミュアプローブと、
供給手段と単一のプローブとの間に直列に取り付けられた、チャンバ外部のバイアスコンデンサと、
バイアスコンデンサの放電電流と、単一のプローブ及びバイアスコンデンサの電位とを放電の間に周期的に測定するためのチャンバ外部の手段と、
バイアスコンデンサを介して単一のプローブにDCパルスを周期的に供給するためのチャンバ外部の手段とを備えた装置。
【0097】
供給手段は、DCパルスを提供するDC電源で構成され、DCパルスは、放電電流及び単一のプローブ電位の測定を、後に続く2つのDCパルスの間に実施できるように準備された周期及びデューティサイクルを有するようにした上記に係る装置。
【0098】
上記のように機能するように配置されたラングミュアプローブを複数備えたプラズマ反応器を構成するチャンバ内でプラズマパラメータデータを測定し、チャンバ内のプラズマパラメータの空間分布についての情報を収集するための装置。
【0099】
プラズマと接触する表面上のプラズマ反応器内に堆積した誘電体膜の静電容量をその場測定するための、上記の装置を使用するような方法であって、
a)バイアスコンデンサを介して、単一のプローブにDCパルスを周期的に供給する工程であって、該DCパルスは正の部分と負の部分とを両方含むような工程と、
b)DCパルスの正の部分の間に浮遊電位を測定し、DCパルスの負の部分の間に浮遊電位を測定する工程と、
c)DCパルスの正の部分の間に測定した浮遊電位と、DCパルスの負の部分の間に測定した浮遊電位との差(ΔV)を計算する工程と、
d)該差(ΔV)を使用して誘電体膜の静電容量(Cfilm)、DCパルスの振幅(Va)及びバイアスコンデンサの静電容量(Cbias)を計算する工程とを含む方法。
【0100】
誘電体膜の静電容量を使用し、誘電体膜の物理的特性を知ることにより、該誘電体膜の厚さをその場監視する、上記の方法。
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ診断装置及び方法に関する。具体的には、半導体製造ツールにおけるプラズマ診断への使用に適したDCパルスラングミュアプローブに関する。プラズマ診断とは、プラズマパラメータのデータ、例えば陽イオン束及び/又は電子束を監視することである。
【背景技術】
【0002】
工業用プラズマ処理の場合、プラズマ電位、密度、イオン束等のようなプラズマ特性を直接制御することが有用であろう。残念なことに、研究に使用される既在のプローブは、工業プロセスに適合せず、或いは通常の使用には複雑すぎる。
【0003】
ラングミュアプローブは、プラズマ診断において最も重要な技術の1つであるが、工業用プラズマチャンバへの実装は、次の2つの主な理由により難しい。つまり、プラズマの不要な揺動及びコンタミネーションと、プローブ上の堆積物に起因する技術の制限とである。
【0004】
米国特許(US5936413)には、プラズマを監視することに使用可能な容量結合型平面ラングミュアプローブが開示されている。該プローブは、プローブと直列接続し且つRFバイアス印加された静電容量の放電から決定するプローブに到達するイオン束を監視する。しかし、このプラズマプローブは、プラズマの組成及び/又は性質についての情報も、プローブに堆積した膜及び/又はその監視結果に対する影響についての情報も提供しない。プローブ上に堆積した誘電体膜は、容量結合したラングミュアプローブでの測定を、標準のラングミュアプローブでの測定と同様に妨げないが、測定信号は変更され、元のフィッティング関数を適用することはできない。
【0005】
米国特許出願公開(US2005034811)には、動的パルスの浮遊ラングミュアデュアルプローブを備えたプラズマ診断装置が開示されている。平面デュアルプローブは、浮遊電位及びプラズマ電位の絶対値を測定するのに適しておらず、分離した電子束及びイオン束を測定するのにも適していない。
【0006】
それゆえ、上記欠点の少なくとも一つを解決するようなプラズマプローブを有することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、単純な電子回路を使用し、先行技術の制限を示さない、プラズマ反応器内でプラズマを監視するための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の方法及び装置を伴う開示によって達成される。
【0009】
第1の態様において、本開示は、浮遊電位より高いプローブ電位について、イオン飽和電流及び電子電流の両方を別々に(そしてその後)測定するのに適した方法及び装置(説明を通じて「DC技術」又は「DCパルス」とも呼ぶ)を提供する。この情報は好適なDCレベル/パルスを単一のラングミュアプローブにのみ印加することによって得ることができ、その結果、単純な電子回路を使用可能であることがわかっている。さらに、DCバイアス印加を使用することによって、追加の情報、即ちラングミュアプローブの表面上に堆積した誘電体膜の静電容量及び厚さが得られることがわかっている。
【0010】
一実施形態では、方法及び装置は、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDCパルスを含む信号と、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDCパルスを含む信号とを、交互に前記バイアスコンデンサに印加してもよい。ここで、測定手段は、前記正のDCパルスの間に、プラズマからプローブまで電子束を測定し、前記負のDCパルスの間に、プローブからプラズマまでイオン束を測定するように準備される。信号は、好ましくはプラズマの浮遊電位を基準として対称であり、その結果、誘電体膜の静電容量及び/又は厚さについての情報は、イオン束から電子束を減算することによって決定可能である。
【0011】
第2の態様において、本開示は、本明細書で説明するDC技術を使用した複数のプラズマ監視装置を備えたプラズマ反応器を提供し、チャンバ内の少なくとも一つのプラズマパラメータの空間分布についての情報を収集する。
【0012】
第3の態様において、本開示は、プラズマ反応器のチャンバ内に位置し且つプラズマと接触する単一のラングミュアプローブの表面に堆積した誘電体膜の静電容量をその場(in-situ)測定するための方法であって、
a)単一のラングミュアプローブに、バイアスコンデンサを介して、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDCパルスと、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDCパルスとを交互に付与する工程と、
b)正のDCパルスの間に第1プローブ電位を、及び負のDCパルスの間に第2プローブ電位を測定する工程と、
c)測定した第1浮遊電位と、測定した第2浮遊電位との差(ΔV)を計算する工程と、
d)計算した差(ΔV)、DCパルスの振幅(Va)及びバイアスコンデンサの静電容量(Cbias)を使用して誘電体膜の静電容量(Cfilm)を計算する工程とを含む方法を提供する。
【0013】
一実施形態において、方法は、誘電体膜の静電容量(Cfilm)、及び誘電体膜の既知の物理的特性を使用して誘電体膜の厚さを決定する工程をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
開示はさらに、以下の説明及び添付の図面によって明らかにされることとなる。
【0015】
【図1】開示の実施形態によるDCパルス平面ラングミュアプローブを備えた実験のセットアップを概略的に示す。
【図2】RFパルス印加とDCパルス印加との間の比較を示しており、図2(a)は印加するRFパルス信号とDCパルス信号とを、図2(b)はRFパルス及びDCパルスの場合についてバイアスコンデンサで測定した電位を示す。放電電流も測定しているが、図示していない。
【図3】DCパルスラングミュアプローブについてシミュレーション(Wolfram Mathematica(登録商標)version 7.0)した結果を次のように示す。図3(a)は、印加したパルス(破線)及びプローブで測定した電位(実線)を示す。正パルスの開始時の電子パルスによるコンデンサの充電を符号(1)で、イオン束による放電を符号(2)で示している。図3(b)は、プローブに対する全電流であり、イオン飽和電流及び電子電流を示す。
【図4】DCパルスプローブを用いた実験の測定値を示しており、イオン放電部分のみが示されている。図4(a)は、プローブで測定した電位を、図4(b)は、コンデンサを介した電流の放電を示している。測定は、100nFのバイアスコンデンサ及び0.85cm2の面積を有するプローブを用いて、アルゴンプラズマ中で実施した。
【図5】プローブ電流をプローブバイアスの関数として示す。点線はDCパルスを用いて測定した実験データを、実線は説明の式(2)による理論的フィッティングを示す。
【図6】プローブに印加するDCパルスによって得られるI−V特性を示す。ドットは得られるイオン飽和電流を表し(b)、三角形は電子電流を示す(a)。電流は反転表示している。
【図7】矩形DCパルスの代わりに傾斜DCパルス(即ち、徐々に増加する正パルス)を使用することによる電子電流の制限を示す。破線は印加する傾斜DCパルスであり、黒い細線は測定されたプローブ電位である(左側のスケール)。コンデンサの電位から計算される電流は、右側のスケールにグレーの太線で表している。
【図8】誘電体膜の静電容量を決定するためのセットアップを概略的に示しており、プローブ上に形成される膜は、破線でつながったコンデンサによってモデル化され、Vaは印加するDC電圧パルスであり、Cbiasはバイアスコンデンサであり、Vは内部抵抗Rのオシロスコープによって測定した電位である。Cfilm及びRfilmはそれぞれ膜の静電容量及び抵抗である。
【図9】誘電体膜の存在下でRFプラズマプローブを用いた測定についてのI−V特性(実線a)と、汚染無しのプローブ、即ち誘電体膜を有しないプローブを用いた測定についてのI−V特性(破線b)の比較結果を示す。
【図10】プローブ上の膜の存在下((a)は膜なし)でDCパルスプラズマプローブについて測定した電位を示す(b:約1nmのSiO2の薄い膜、c:約7nmのSiO2の厚い膜)。すべての場合で、プラズマと接触するプローブ表面は、正パルス及び負パルスの終わりで浮遊電位に達するが、誘電体膜の場合、測定した電位は分圧器の影響に起因して等しくない。
【図11】バイアスコンデンサ(4.7nF)に直列に、追加のコンデンサ(0.46nFから47nFの範囲の静電容量を有する)を挿入することにより、膜の静電容量を模倣する試験を示す。測定した電位から計算した「膜」の静電容量についての値は、追加のコンデンサの実際の値とよく一致する。
【図12】膜が「漏洩性」誘電体(特定の抵抗率を有する)である場合の実験のセットアップをモデル化するために使用する等価電子回路を示す。
【図13】誘電体層(シリコンで作成したプローブ上部のシリコン酸化層)で覆ったプローブにより測定したI−V曲線を示す。条件は、120mTorrでのアルゴン+0.5%酸素プラズマ及び800W/27MHzのCCPである。
【図14】図13と同図を示す。DCパルス印加及びRFパルス印加の両方によって得られる領域A、DCパルス印加のみによって得られる領域Bを符号で示している。領域Bでのヒステリシスは、プローブ(及び接地電極を含む他の壁)が誘電体層で被覆されていることを示す明確な証拠である。
【図15】図13と同じ実験データを示しており、浮遊電位を電流が0に等しいところでの測定値に固定することによって、また、電子温度を3eVに固定することによって、近似フィッティングを実施している。
【図16】数値シミュレーションと図13からの実験データとの比較を示す。ヒステリシスにおいて矢印で符号を付した領域A及びBは、点を収集する時間軸方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、特定の実施形態について特定の図面を参照しながら説明するが、本開示はこれらに限定されず、請求項によってのみ限定される。記載した図面は概略的なものに過ぎず、限定的でない。図面において、いくつかのエレメントのサイズは、説明目的のため、誇張し、及びスケールどおり描いていないことがある。寸法及び相対寸法は、本開示の実際の実施化と対応していない。
【0017】
さらに、説明及び請求項での用語「第1」「第2」「第3」等は、類似のエレメントを区別するための使用しており、必ずしもシーケンスを序列で、又は時間順で表したものでもない。こうして用いた用語は、好適な状況下で交換可能であり、本開示の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能であると理解すべきである。
【0018】
さらに、説明及び請求項での用語「上(top)」「底(bottom)」「〜の上(over)」「〜の下(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、好適な状況下で交換可能であって、ここで説明した本開示の実施形態がここで説明又は図示した以外の他の向きで動作可能であると理解すべきである。
【0019】
さらに、「好ましい」として参照する種々の実施形態は、本開示の技術的範囲を非制限的に実施可能な例示的態様であるとみなすべきである。
【0020】
請求項で使用する用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他のエレメント又はステップを除外していない。記述した特徴、整数、ステップ又はコンポーネントの存在を参照するように特定するものと解釈する必要があるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ又はコンポーネント、或いはこれらのグループの存在又は追加を除外していない。したがって、「A及びBを備えた装置」という表現の技術的範囲は、本開示に関連して、コンポーネントA及びBのみから成る装置に限定するべきでなく、装置のコンポーネントのうちA及びBのみが列挙されており、さらに請求項はこれらのコンポーネントと等価なものを含むと解釈するべきである。
【0021】
以下の詳細な説明は、プラズマ診断装置及び方法に関する。具体的には、半導体製造ツールでのプラズマ診断に使用するのに適したDCパルスラングミュアプローブに関する。プラズマ診断とは、プラズマパラメータデータ、例えば陽イオン束及び/又は電子束の監視である。
【0022】
本開示による装置は、プラズマから、例えばプラズマ反応器の壁又はプラズマ反応器内で処理される試料と接触する固体表面までの陽イオン束及び電子束の両方を測定及び定量化するように配置してもよい。
【0023】
好ましくは、開示のプローブは平面形状を有し、これは本明細書でさらにDCパルス平面ラングミュアプローブと呼ぶ。
【0024】
好ましくは、開示のプローブはチャンバ壁に(又は、接地電極に)取付可能であり、それによりプラズマの揺動を最小化する。容量結合型の平面ラングミュアプローブは、チャンバ壁と同じ材料で作成し、該壁に(又は、接地電極に)組み込み、プラズマの揺動を最小化することができる。
【0025】
さらに、本開示はまた、本開示のDCパルス平面ラングミュアプローブを使用したプラズマプロセスを監視及び/又は制御する方法に関する。概して、プラズマプロセスは、イオン照射による表面構造若しくは化学組成を変更するためのプラズマプロセス、又は層と一緒に試料を被覆するためのプラズマプロセスが可能である。具体的には、プラズマプロセスは、プラズマエッチングプロセス又はプラズマ支援/強化蒸着プロセスが可能である。
【0026】
さらに、本開示は、本開示のプローブ上に堆積した絶縁膜の静電容量を測定するための方法に関する。具体的には、堆積した膜の物理的特性(即ち、誘電率)が既知の場合、堆積した膜の厚さをその場測定及びその場監視することができる。
【0027】
単純な電子回路を使用できることは、DCパルス平面ラングミュアプローブの利点である。それが電子密度及び/又はプローブ上に堆積した膜の静電容量に関する情報を提供可能なことも利点である。
【0028】
種々の実施形態で、方法は、リアルタイムで少なくとも一つのプラズマパラメータを測定すること、時間の関数として少なくとも一つのプラズマパラメータを監視すること、そして、変数を特定し且つ測定値を使用してプラズマプロセスを調整/制御することを含む。代替として、処理する試料(ウエハ)と関連して後で評価するために、測定値をデータベースに保存してもよい。
【0029】
図1は、バイアスコンデンサ(2)を介してDCパルスジェネレータ/電源(3)に容量接続された接地電極に取り付けられた平面プローブ(1)を備えた、本開示のDCパルス平面ラングミュアプローブのための可能な実験セットアップを示す。プローブの面積は、20mm2〜100cm2又はこれ以上の範囲で可変であり、プローブとしての機能に適合しうる全接地電極の面積が最大である。特定例では、プローブの面積は約1cm2であった。バイアスコンデンサの静電容量は100pF〜1000nFの間で可変であり、或いは高密度プラズマや大面積プローブの場合にはさらに大きい。特定例では、バイアスコンデンサは100nFの静電容量を有していた。
【0030】
測定は、接地された上部電極に取り付けられた平面形状を有するプローブを用い、容量結合プラズマ(CCP)反応器内で行った。
【0031】
本開示の一実施形態では、プローブは、ステンレス鋼で作成し、直径5mmを有してもよい。他の実施形態では、プローブは直径10mmを有するシリコンで作成してもよい。
【0032】
本開示のDC技術は、イオン飽和電流と電子電流の両方を、浮遊電位より大きいプローブ電位について、別々に(そしてその後に)測定するのに適している。
【0033】
以下の例では、数百マイクロ秒から500ミリ秒の周期、及び最大100Vの振幅を有する矩形DCパルスを印加した。
【0034】
代替の実施形態では、最大50msのランプアップ時間を有する成形パルス(傾斜パルス)を印加した(つまり、正パルスを最大50msまで徐々に増加させた)。このように、正パルスの開始を制限し、また、プラズマの電子電流を制限し、それによりプラズマの揺動を制限して回路を保護することができる。
【0035】
DCパルスジェネレータ(3)は、1ms〜500msの間の周期で、少なくとも20Vの振幅の矩形DCパルスを作り出すように配列されている。しかし、具体的な値は、コンデンサの選択、プローブの面積、プローブのコンタミネーション(即ち、膜の存在)、イオン束(即ち、プラズマ密度)等に依存しうる。
【0036】
DCパルスの振幅は、プローブ電位が、イオンを用いた放電の間、実質的にすべての電子を無効にする(repeal)ことができるように選択する。汚染無しのプローブの場合(プローブ上の膜が存在しない)、振幅は約20Vでもよく、汚染有りのプローブ(即ち、プローブ上に堆積した膜を有する)の場合、膜の追加の静電容量が生成する分圧器の影響によって、より大きい電位が要求される。
【0037】
デューティサイクル(つまり、パルスの正の部分のパルス周期に対する比)及びDCパルス周期は、好ましくは、コンデンサがプローブで収集される電子束によって、正の部分の間にDCバイアスを構築するのに充分な時間を、そして、パルスの負の部分の間にDCバイアスを放電するのに充分な時間を有するように選択される。
【0038】
例えば、容量結合プラズマ(約1016m−3のプラズマ密度を有する)の場合、1cm2の面積を有するプローブ及び100nFのコンデンサについて、周期は約100msであり、デューティサイクルは約0.5であった。
【0039】
バイアスコンデンサで構築され、印加するパルスに加えられる追加のDCバイアスに起因して、DCパルスは正若しくは負、又は正の部分と負の部分とを両方含んでもよい(かかる部分は対称でも非対称でもよい)。必須ではないが、浮遊電位に対する対称信号を膜厚の測定に使用することが好ましくい。
【0040】
RF測定値(最先端)と、正の部分及び負の部分を有するパルスを用いた本開示の実施形態によるDCパルス測定値とを含む比較データを図2に示している。2つの領域間のコンデンサにバイアスを印加する間に、明確な差を観察することができる(つまり、RFの場合はRFパルスの間に、DCの場合はパルスの正の部分の間に)。
【0041】
RF領域では、プラズマは全パルス中のRF電位によって揺動を受ける。正の電位は、DCパルスを用いてパルス開始時にプラズマから電子を引き出し、一旦コンデンサがバイアスを印加され、プローブが浮遊電位となると、プラズマは、パルス長に関わらず全く揺動を受けない。
【0042】
RF領域では、信号の解釈は過剰に課されたRF信号に起因して面倒である。DCパルスを印加した場合、解釈は単純になり、バイアスコンデンサの充電中であっても、完全なI−V特性を得ることができる(電子束及びイオン束の両方についての情報を含む)。
【0043】
イオン束によるバイアスコンデンサの放電の間(つまり、RFの場合にはRFパルスを止めた後、又はDCの場合にはパルスの負の部分の間)、両方の場合(RF及びDC)で挙動が似ており(コンデンサが同じ電位までバイアスを印加されている場合には)、両方の技術が同じ結果を与える。
【0044】
その結果、コンデンサの放電中の電圧測定値(図2参照)及び電流測定値(図6参照)は、RFパルスとDCパルスとの大きな差を示さなかった。
【0045】
DCパルスの正の部分の間に決定する電子電流が、イオン電流の測定を補完して図6に示すような完全なI−V特性を与えることは、本開示のDCパルスプローブ及び方法の一利点である。
【0046】
印加したDCパルスに対してプローブで測定した信号例を図3に示す。印加したDCパルス(図3aの破線)は、100msの周期、デューティサイクル0.5及び50Vの振幅を有する。つまり、パルスの正の部分は最初の50msについて50Vであり、次に、−50Vの電位を有する負の部分が50ms間存在する。
【0047】
図3に示すように、正パルスの開始時に、比較的大きい電子電流を用いて迅速にコンデンサにバイアスを印加する。バイアスの印加後、プローブは浮遊電位となり、正味の電流(即ち、イオン電流と電子電流との和)はゼロに等しくなる。正パルスの後、印加した電位及びプローブ電位の両方が負となり、電子電流は完全にブロックされ、プローブで収集される全電流はイオン電流のみから成る。
【0048】
回路(即ち、バイアスコンデンサ(2))を流れる全電流は、プローブに対する電子束とイオン束との和に等しい。イオン束は、プローブに印加するDCパルスによってわずかに影響を受ける。一方、電子束は、プラズマ電位に対して、印加した電位の指数関数となる。コンデンサがいずれかのDC電流をブロックするので、電荷の余剰部分がプローブ電位を変化させるコンデンサで収集される。プローブ電位は印加する電位の差に等しく、バイアスコンデンサの電位は下記の式(1)で表される。
【0049】
【0050】
コンデンサをバイアス電位まで充電する場合、プローブは浮遊電位に曝されることとなる。該浮遊電位は、システムが平衡状態にあるように両方の電流(イオン及び電子)を等しくするような電位である。
【0051】
実験は、正のDCパルスを印加した後の数ミリ秒の間、プローブ電位は正となり、余分な電子を引き付ける、ということを示している。これらの余分な電子は、コンデンサに負のバイアスを印加し、再度プローブは浮遊電位に達し、プローブ基準で全電位はゼロに等しくなる(図3aの実線)。
【0052】
残りの正パルス時間は重要ではない。これは、印加する電位が変化するまでプローブが浮遊電位で浮遊するからである。バイアス電位はVbias=(Vapplied−Vprobe)に等しく、Vprobe=Vfloatingであるので、正パルスの終端時に、バイアス電位の最終値はVbias=(Vpositive−Vfloating)となる。ここで、Vpositiveは印加したDCパルスの正の振幅である。
【0053】
VappliedがVpositiveからVnegativeへ変化する瞬間には、プローブ電位は依然上記の式(1)によって与えられるが、Vbias=(Vpositive−Vfloating)で且つVamplitude=Vnegativeであれば、プローブ電位はVprobe=Vnegative−Vpositive+Vfloating、又は対称パルスの場合には、Vprobe=−2Vpositive+Vfloating(図3a参照、ここでVfloating=0である)。
【0054】
印加するDCパルスの振幅が電子を無効にするのに充分である場合、コンデンサは、バイアス電位に達するまで、プローブに浮遊電位を付与することとなるイオン電流によって放電される(図3b及び図4参照)。この放電は、RFの場合と類似しており、それゆえ同様の理論的解釈を適用することができる。
【0055】
【0056】
ここで、l0はイオン飽和電流、Vfは浮遊電位、Teは電子温度、そしてsは、傾斜パラメータ(エッジ効果に関連する)である。
【0057】
実際の実験データに対するフィッティングの式(2)の例を図5に示している。図5に示す実験データは、DCパルス印加によって得られる。
【0058】
これらのデータ点(即ち、浮遊電位より低い電位についてのイオン放電電流)に加えて、DCパルス印加はまた、他のプラズマ特性(即ち、電子偏移曲線、電子飽和電流及びプラズマ電位)の計算に必要となるラングミュアI−V特性を付与することができる。これを図6に示している。
【0059】
図3及び図6からわかるように、電子電流は、正パルスの開始時に比較的大きい値となることがあるが、これによりプローブの電子機器についての問題やプラズマの揺動が発生する場合には、正パルスの開始時に正の電位を徐々に増加させることによって制限することができる(即ち、矩形のDCパルスの代わりに正の傾斜パルスを使用して)。このように、全電流は印加する電位の増加率によって制限される。
【0060】
【0061】
DCパルスの代わりに傾斜DCパルスを用いた測定の例を図7に示す。
【0062】
本開示の実施形態は、プローブ上に堆積した誘電体膜を用いてプラズマを監視することを説明している。誘電体膜は、チャンバ内で実施した蒸着/スパッタリングの結果として生じる可能性がある。
【0063】
プローブ上に堆積した誘電体膜がDC電流をブロックしてプローブに全く流れないようにし、プラズマの監視をもはや不可能とすることが、先行技術のラングミュアプローブの主要な欠点の一つである。
【0064】
かかる欠点は、本開示の容量結合したプローブによって解決することができる。これは、図8に示すように、誘電体膜は、バイアスコンデンサと直列接続された追加のコンデンサとして機能するからである。測定した信号は、それに応じて変化することとなる。これは、プローブ電位が直接測定されず、バイアスコンデンサ、及び誘電体膜が導入するコンデンサが形成する分圧器を介して測定されるからである。
【0065】
開示の実施形態では、膜の静電容量の測定は、バイアスコンデンサとプローブとの間の更なる静電容量を追加することによって模倣した。
【0066】
本開示の他の実施形態では、プローブに対して実際の膜(例えば、シリコンプローブの上部に堆積したSiO2層)を用いて測定を実施した。
【0067】
誘電体膜を用いた測定値と用いない測定値との差を図9に示す。イオン束についての情報が未だに存在するが、フィッティングの式(2)はもはや適用不可能である。該式は、プローブ電位を直接測定する場合について導出したものであり、バイアスコンデンサが作成する分圧器及び膜の静電容量を通じて導出したものではないからである。
【0068】
図9に示す測定値は、イオン電流によるコンデンサの放電中に得られる。それゆえ、RFバイアス印加(最先端の)及びDCパルス印加(開示の方法)について例示的である。
【0069】
好都合なことに、本開示の方法は、図10に示すようなパルスの正の部分及び負の部分について、分圧器を通じた浮遊電位の測定によって、膜の特性についての更なる情報を間接的に提供することができる。
【0070】
プローブ電位の測定は、バイアスコンデンサが作成する分圧器及び膜の静電容量を通じて実施する(図8に示している)。そのため、正パルスの場合、パルスの両部分(即ち、正と負の)の終端で、プローブ表面は浮遊電位となるが、負パルスの場合、より低電位が測定される。これら2つの値を比較してバイアス印加の静電容量を知ることにより、下記の式(4)を使用して膜の静電容量を計算することが可能である。
【0071】
【0072】
ここで、Cfilmは膜の静電容量、Cbiasはバイアスコンデンサの静電容量、ΔVは測定した浮遊電位の差、Vaは印加するDCパルスの振幅である。上記の式(4)は、汚染無しのプローブ(即ち、誘電体膜及び静電容量を有しない)を使用することによって、また、誘電体膜の静電容量として動作するバイアスコンデンサと直列に更なるコンデンサを挿入することによって、実験的に確かめた。いくつかの異なるコンデンサについての結果を図11に示している。示しているように、バイアスコンデンサの測定電位から計算した「膜の静電容量」の値は、使用するコンデンサの実際の値とよく一致する。
【0073】
図10に示すような、実際の膜形成を用いた測定により、膜の静電容量の測定についての本開示の方法の感受性が確認される。さらに、膜材料の特性(例えば誘電率)が既知の場合、膜厚を決定することができる。したがって、本開示の方法は、膜厚のその場測定及び/又はその場監視を可能にする。
【0074】
好都合なことに、接地電極全体をプローブとして使用可能である。その場合、接地したプローブは直接でなくバイアスコンデンサ及びパルスジェネレータを介して接地することが好ましい。電極がプローブとして動作する場合には、該電極を接地可能であり、周期的な短い測定の間(例えば、100msごとに1msの間)のみ、DCパルスをそれに供給し、測定値が得られる。
【0075】
このように、プローブへの全イオン束の正確な測定を、プラズマの揺動が小さい状態で実施することができる。電極が一様な状態を維持する(つまり、接地電極に実装する追加のプローブは存在しない)からである。
【0076】
膜が純粋な誘電体材料でなく一定の抵抗を有する場合(「漏洩性」膜)、式(4)をこのように適用することはできない。測定したデータと数値シミュレーションとを比較することによって、未だ膜の静電容量と膜の抵抗との両方の値を得ることができる。
【0077】
測定データは、マセマティカ(Wolfram Mathematica version 7.0)で実施した数値シミュレーションの結果と首尾よく比較可能であるが、他の任意の好適なソフトウェアでも同様に実施可能である。
【0078】
前述のように、プローブ上の誘電体膜は、バイアスコンデンサと直列接続した追加のコンデンサとして機能する。実際、膜は理想的なコンデンサではないが、図12の等価回路に示すような並列の抵抗を有するコンデンサ、と言うのがより優れた表現であろう。該等価回路は、数値計算に使用可能である。追加のコンデンサは、イオン束に対して重大な影響を与えないことが好ましいが、2つの態様でI−V曲線の測定に影響を与える。第1に、回路の全静電容量が小さいため(直列の2つのコンデンサ)、同じ流束を用いた充電/放電がより速くなる。第2に、電位は、プラズマと接触するプローブ表面でもはや直接読み取られることはなく(つまり、I−V特性を決定する実際の電位)、バイアスコンデンサ(Cbias)及び膜の静電容量(Cfilm)が作成する分圧器のようなものを通じて読み取られる。これら2つのコンデンサは、全パルスの間に、同じ速度、或いは同じ符号で充電/放電されず、それらが作成する分圧器は一定の比を有しない。これは、測定した電位と実際の電位は一定でないことを意味する。
【0079】
コンデンサ及び膜の放電は、次の微分方程式で表すことができる。
【0080】
【0081】
ここでVaは印加するパルス、Vbiasはバイアスコンデンサの電位、Vfilmは誘電体膜の電位、Iionはイオン電流、Ieは電子電流であり、他の変数は図12に示している。電子電流は、プラズマと接触するプローブ表面の電位の関数であり、下記の式(7)で与えられる。
【0082】
【0083】
シミュレーションの結果を図16に示す。「漏洩性」膜の場合、測定データは膜の抵抗及び静電容量のさまざまな値と比較する必要がある。実際の膜の静電容量及び抵抗の最終値は、測定データとシミュレーションデータとが最も適合する状態の数値シミュレーションについて使用する値で与えられる。
【0084】
このアプローチは、プローブ上に堆積した膜を有する図1によるセットアップでの測定値と、汚染無しのプローブと直列接続した抵抗(静電容量及び抵抗の値が既知の)と並列接続した実際のコンデンサによって膜を模倣するセットアップでの測定値と、を比較することによって実験的に試験する。更なるコンデンサ及び抵抗は、図12のCfilm及びRfilmの位置でバイアスコンデンサと直列に付加した。生じるI−V曲線を図13〜図16に示している。
【0085】
図13は、120mTorrでのアルゴン+0.5%酸素プラズマ、及び800W/27MHzのCCP反応器中の誘電体層(シリコンで作成したプローブ上部のシリコン酸化層)で覆われたプローブでの実際の測定値から得られるI−V曲線を示している。
【0086】
図14は、図13と同じI−V曲線を示すが、領域A及び領域Bに符号を付している。領域AはDCパルス印加及びRFパルス印加の両方によって得られ、領域Bは、DCパルス印加によってのみ得られる。領域Bでのヒステリシスは、プローブ(及び接地電極を含む他の壁)が誘電体層で被覆されていることを示す明確な証拠である。ヒステリシスの面積は、誘電体層の厚さの指標となりえる。
【0087】
図15及び図16は、図13と同じ実験データを示している。第1段階では、式(2)を用いて電流が0に等しい測定値に浮遊電位を固定することによって、また、電子温度を3eVに固定することによって近似フィッティングを実施する。第2段階では、式(5)及び式(6)を用いて膜の抵抗及び静電容量のさまざまな値に対してより正確なフィッティングを実施し、最良のフィッティングを選択する。
【0088】
概して、本開示による実施形態は、以下のように要約することができる。
【0089】
プラズマ反応器内でプラズマを監視するための方法であって、DCバイアスを印加するためのDC電源と、プラズマと接触する単一の平面ラングミュアプローブとの間に接続されたバイアスコンデンサの放電速度を測定することにより、プラズマと接触する面でプラズマパラメータデータを測定することを含む方法。
【0090】
プラズマパラメータデータは、イオン束又は電子束の少なくとも一方から成る、上記の方法。
【0091】
プラズマパラメータデータは、別々に測定したイオン束及び電子束の両方から成る、上記のいずれかの方法。
【0092】
単一のプローブは、プラズマ反応器と共通の接地電位を有する、上記のいずれかの方法。
【0093】
DCバイアスを印加することは、単一のプローブにDCパルスを周期的に供給することから成る、上記のいずれかの方法。
【0094】
電子束及びイオン束を測定することは、バイアスコンデンサの充電及び放電の間にそれぞれ実施される、上記のいずれかの方法。
【0095】
DCパルスは、正パルス若しくは負パルスであり、又は正の部分と負の部分とを両方含む、上記のいずれかの方法。
【0096】
プラズマ反応器を構成するチャンバ内でプラズマパラメータを測定するための装置であって、
チャンバ内部の、平坦面を有する単一のラングミュアプローブと、
供給手段と単一のプローブとの間に直列に取り付けられた、チャンバ外部のバイアスコンデンサと、
バイアスコンデンサの放電電流と、単一のプローブ及びバイアスコンデンサの電位とを放電の間に周期的に測定するためのチャンバ外部の手段と、
バイアスコンデンサを介して単一のプローブにDCパルスを周期的に供給するためのチャンバ外部の手段とを備えた装置。
【0097】
供給手段は、DCパルスを提供するDC電源で構成され、DCパルスは、放電電流及び単一のプローブ電位の測定を、後に続く2つのDCパルスの間に実施できるように準備された周期及びデューティサイクルを有するようにした上記に係る装置。
【0098】
上記のように機能するように配置されたラングミュアプローブを複数備えたプラズマ反応器を構成するチャンバ内でプラズマパラメータデータを測定し、チャンバ内のプラズマパラメータの空間分布についての情報を収集するための装置。
【0099】
プラズマと接触する表面上のプラズマ反応器内に堆積した誘電体膜の静電容量をその場測定するための、上記の装置を使用するような方法であって、
a)バイアスコンデンサを介して、単一のプローブにDCパルスを周期的に供給する工程であって、該DCパルスは正の部分と負の部分とを両方含むような工程と、
b)DCパルスの正の部分の間に浮遊電位を測定し、DCパルスの負の部分の間に浮遊電位を測定する工程と、
c)DCパルスの正の部分の間に測定した浮遊電位と、DCパルスの負の部分の間に測定した浮遊電位との差(ΔV)を計算する工程と、
d)該差(ΔV)を使用して誘電体膜の静電容量(Cfilm)、DCパルスの振幅(Va)及びバイアスコンデンサの静電容量(Cbias)を計算する工程とを含む方法。
【0100】
誘電体膜の静電容量を使用し、誘電体膜の物理的特性を知ることにより、該誘電体膜の厚さをその場監視する、上記の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマと接触する単一の平面ラングミュアプローブの表面でプラズマパラメータデータを測定することを含む、プラズマ反応器のチャンバ内でプラズマを監視するための方法であって、
単一のラングミュアプローブとバイアス電源との間に接続されたバイアスコンデンサにバイアス印加を行う工程であって、バイアス電源は前記バイアス印加に適合しているようにした工程と、
続いて、前記バイアス印加の結果としてバイアスコンデンサの放電電流を測定し、また、放電の間に単一のプローブのプローブ電位を測定する工程とを含み、
バイアス印加を行う工程は、DCバイアスを印加することを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
バイアス印加を行う工程は、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDC電圧レベルを少なくとも一回印加することを含み、
測定したプラズマパラメータデータは、プラズマからプローブまでの電子束、及びプラズマからプローブまでのイオン束の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
バイアス印加を行う工程は、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDC電圧レベルを少なくとも一回印加することを含み、
測定したプラズマパラメータデータは、プラズマからプローブまでの電子束、及びプラズマからプローブまでのイオン束の少なくとも一方を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
バイアス印加を行う工程は、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDCパルスを含む信号と、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDCパルスを含む信号とを交互に印加することを含み、
測定したプラズマパラメータデータは、前記正のDCパルスの間の、プラズマからプローブまでの電子束、及び前記負のDCパルスの間の、プラズマからプローブまでのイオン束の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
信号は、浮遊電位を基準として対称である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
正のDCパルス及び負のDCパルスは、後に続く正のDCパルスと負のDCパルスとの間で、放電電流及び単一のプローブの電位の測定をそれぞれ実施することができるように用意した、所定の周期及びデューティサイクルをそれぞれ有する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
DCバイアスは、前記バイアス印加の開始時に、プラズマからプローブまでの電子電流を制限するための正の傾斜を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
単一のプローブは、プラズマ反応器と共通する接地電位を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
シミュレーションを行ったI−V曲線に、測定したI−V曲線を適合させ、プローブ表面の誘電体膜の存在又は厚さを決定する工程をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
プラズマ反応器のチャンバ内でプラズマを監視するための装置であって、
プラズマと接触する入射面を有するチャンバ内部の単一の平面ラングミュアプローブと、
チャンバ外部のバイアスコンデンサであって、単一のラングミュアプローブと、該バイアスコンデンサにバイアス印加を行うためのバイアス電源との間に直列に取り付けられたバイアスコンデンサと、
前記バイアス印加の結果としてバイアスコンデンサの放電電流を測定し、また、放電の間に単一のプローブのプローブ電位を測定するための手段とを備え、
バイアス電源は、DCバイアスを印加することに適合したDCバイアス電源であることを特徴とする装置。
【請求項11】
DCバイアス電源は、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDC電圧レベルを少なくとも一回印加することに適合し、
測定手段は、プラズマからプローブまでの電子束、及びプラズマからプローブまでのイオン束の少なくとも一方を測定するために準備されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
DCバイアス電源は、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDC電圧レベルを少なくとも一回印加することに適合し、
測定手段は、プラズマからプローブまでの電子束、及びプラズマからプローブまでのイオン束の少なくとも一方を測定するために準備されている、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
DCバイアス電源は、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDCパルスを含む信号と、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDCパルスを含む信号とを前記バイアスコンデンサに交互に印加するように適合し、
測定手段は、前記正のDCパルスの間にプラズマからプローブまでの電子束を測定し、また、前記負のDCパルスの間にプラズマからプローブまでのイオン束を測定するために準備されている、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
チャンバ内で少なくとも一つのプラズマパラメータの空間分布についての情報を収集するために、請求項10〜13のいずれか1項に記載の複数のプラズマ監視装置を備えたプラズマ反応器。
【請求項15】
プラズマ反応器のチャンバ内部に位置し且つプラズマと接触する単一のラングミュアプローブの表面上に堆積した誘電体膜の静電容量をその場測定するための方法であって、
バイアスコンデンサを介して単一のラングミュアプローブに正のDCパルス及び負のDCパルスを交互に付与する工程であって、正のDCパルスはプラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適しており、負のDCパルスはプラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適しているような工程と、
正のDCパルスの間に第1プローブ電位を、及び負のDCパルスの間に第2プローブ電位を測定する工程と、
測定した第1浮遊電位と、測定した第2浮遊電位との差(ΔV)を計算する工程と、
計算した差(ΔV)、DCパルスの振幅(Va)及びバイアスコンデンサの静電容量(Cbias)を使用して、誘電体膜の静電容量(Cfilm)を計算する工程とを含む方法。
【請求項16】
誘電体膜の静電容量(Cfilm)、及び誘電体膜の既知の物理的特性を使用して、誘電体膜の厚さを決定する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項1】
プラズマと接触する単一の平面ラングミュアプローブの表面でプラズマパラメータデータを測定することを含む、プラズマ反応器のチャンバ内でプラズマを監視するための方法であって、
単一のラングミュアプローブとバイアス電源との間に接続されたバイアスコンデンサにバイアス印加を行う工程であって、バイアス電源は前記バイアス印加に適合しているようにした工程と、
続いて、前記バイアス印加の結果としてバイアスコンデンサの放電電流を測定し、また、放電の間に単一のプローブのプローブ電位を測定する工程とを含み、
バイアス印加を行う工程は、DCバイアスを印加することを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
バイアス印加を行う工程は、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDC電圧レベルを少なくとも一回印加することを含み、
測定したプラズマパラメータデータは、プラズマからプローブまでの電子束、及びプラズマからプローブまでのイオン束の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
バイアス印加を行う工程は、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDC電圧レベルを少なくとも一回印加することを含み、
測定したプラズマパラメータデータは、プラズマからプローブまでの電子束、及びプラズマからプローブまでのイオン束の少なくとも一方を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
バイアス印加を行う工程は、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDCパルスを含む信号と、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDCパルスを含む信号とを交互に印加することを含み、
測定したプラズマパラメータデータは、前記正のDCパルスの間の、プラズマからプローブまでの電子束、及び前記負のDCパルスの間の、プラズマからプローブまでのイオン束の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
信号は、浮遊電位を基準として対称である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
正のDCパルス及び負のDCパルスは、後に続く正のDCパルスと負のDCパルスとの間で、放電電流及び単一のプローブの電位の測定をそれぞれ実施することができるように用意した、所定の周期及びデューティサイクルをそれぞれ有する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
DCバイアスは、前記バイアス印加の開始時に、プラズマからプローブまでの電子電流を制限するための正の傾斜を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
単一のプローブは、プラズマ反応器と共通する接地電位を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
シミュレーションを行ったI−V曲線に、測定したI−V曲線を適合させ、プローブ表面の誘電体膜の存在又は厚さを決定する工程をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
プラズマ反応器のチャンバ内でプラズマを監視するための装置であって、
プラズマと接触する入射面を有するチャンバ内部の単一の平面ラングミュアプローブと、
チャンバ外部のバイアスコンデンサであって、単一のラングミュアプローブと、該バイアスコンデンサにバイアス印加を行うためのバイアス電源との間に直列に取り付けられたバイアスコンデンサと、
前記バイアス印加の結果としてバイアスコンデンサの放電電流を測定し、また、放電の間に単一のプローブのプローブ電位を測定するための手段とを備え、
バイアス電源は、DCバイアスを印加することに適合したDCバイアス電源であることを特徴とする装置。
【請求項11】
DCバイアス電源は、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDC電圧レベルを少なくとも一回印加することに適合し、
測定手段は、プラズマからプローブまでの電子束、及びプラズマからプローブまでのイオン束の少なくとも一方を測定するために準備されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
DCバイアス電源は、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDC電圧レベルを少なくとも一回印加することに適合し、
測定手段は、プラズマからプローブまでの電子束、及びプラズマからプローブまでのイオン束の少なくとも一方を測定するために準備されている、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
DCバイアス電源は、プラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した正のDCパルスを含む信号と、プラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適した負のDCパルスを含む信号とを前記バイアスコンデンサに交互に印加するように適合し、
測定手段は、前記正のDCパルスの間にプラズマからプローブまでの電子束を測定し、また、前記負のDCパルスの間にプラズマからプローブまでのイオン束を測定するために準備されている、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
チャンバ内で少なくとも一つのプラズマパラメータの空間分布についての情報を収集するために、請求項10〜13のいずれか1項に記載の複数のプラズマ監視装置を備えたプラズマ反応器。
【請求項15】
プラズマ反応器のチャンバ内部に位置し且つプラズマと接触する単一のラングミュアプローブの表面上に堆積した誘電体膜の静電容量をその場測定するための方法であって、
バイアスコンデンサを介して単一のラングミュアプローブに正のDCパルス及び負のDCパルスを交互に付与する工程であって、正のDCパルスはプラズマの浮遊電位より高電位にバイアスコンデンサを充電するのに適しており、負のDCパルスはプラズマの浮遊電位より低電位にバイアスコンデンサを充電するのに適しているような工程と、
正のDCパルスの間に第1プローブ電位を、及び負のDCパルスの間に第2プローブ電位を測定する工程と、
測定した第1浮遊電位と、測定した第2浮遊電位との差(ΔV)を計算する工程と、
計算した差(ΔV)、DCパルスの振幅(Va)及びバイアスコンデンサの静電容量(Cbias)を使用して、誘電体膜の静電容量(Cfilm)を計算する工程とを含む方法。
【請求項16】
誘電体膜の静電容量(Cfilm)、及び誘電体膜の既知の物理的特性を使用して、誘電体膜の厚さを決定する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−234817(P2012−234817A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−105802(P2012−105802)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105802(P2012−105802)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
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