説明

プラズマ処理ツールのためのイン・サイチュプロセス監視および制御のための方法と構成

【解決手段】レシピの実行中に自動的なイン・サイチュプロセス制御方式を実現するための構成が提供される。該構成は、レシピの実行中におけるセットポイントの監視を促進するために第1のセンサデータのセットを収集するように少なくとも構成された制御ループセンサを含み、これらの制御ループセンサは、プロセス制御ループの一部をなしている。構成は、また、第2のセンサデータのセットを収集するように少なくとも構成された、プロセス制御ループの一部をなさない独立センサのセットを含む。構成は、尚もまた、第1のセンサデータのセットおよび第2のセンサデータのセットのうちの少なくとも一方を受信するように少なくとも構成されたハブを含む。構成は、尚もさらに、ハブに可通信式に結合され、第1のセンサデータのセットおよび第2のセンサデータのセットのうちの少なくとも一方の解析を実施するように構成された解析コンピュータを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
競争市場において、半導体デバイスのメーカらは、廃棄を最小限に抑えるとともに高品質の半導体デバイスを一貫して製作することによって、競争力を維持する必要がある。したがって、基板処理において最良の結果を得るためには、処理環境に対する厳格な制御が有利である。このため、メーカらは、基板処理を向上させる方法および/または構成を突き止めるために、時間および資源を捧げてきた。
【0002】
処理環境に対する厳格な制御を提供するためには、処理環境の特徴付けが必要であろう。処理チャンバの処理環境の特徴付けに必要とされるデータを提供するために、センサによって、レシピの実行中に処理データが得られてよい。データは、解析されてよく、処理環境は、しかるべく(例えば「レシピを調整するように」)調節されてよい。
【0003】
一般に、解析は、1枚の基板または1ロットの基板の処理後に実施される。測定は、1つまたは2つ以上の測定ツールによってオフラインで実施されるのが通常である。方法は、測定を行うためにおよび/または測定データを解析するために時間および技術を必要とするのが通常である。もし、問題が突き止められたならば、測定データを処理データに対して相互参照させて、問題の原因を決定するために、さらなる時間が必要とされるであろう。通常、解析は、複雑で、熟練者による解釈を必要とするであろう。さらに、解析は、少なくとも1枚、または恐らくは何枚かの基板が処理されるまで実施されないのが通常である。解析は、イン・サイチュで(in-situ)リアルタイムで実施されるのではないので、(1枚もしくは2枚以上の)基板および/または処理チャンバ/チャンバパーツに対し、既に損傷および/または望ましくない影響が発生している恐れがある。
【0004】
一部のプラズマ処理ツールでは、プロセス制御ループの一部としてセンサが組み込まれてよい。ゆえに、センサは、処理データを収集するのみならず、監視ツールとしても使用されてよい。一例では、圧力データを収集するために、圧力計が使用されてよい。ただし、圧力計によって収集されたデータは、レシピの実行中に例えば圧力セットポイントを調節するために、処理モジュールコントローラによって使用されてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
議論を促すために、図1は、処理チャンバの簡略ブロック図を示している。この図は、処理チャンバを厳密に表すことを意図したものではなく、むしろ、プロセスレシピの実行を促すために処理チャンバ内においてセンサのセットがどのように実装されてきたかを例示することを意図したものである。
【0006】
例えば、処理チャンバ100内において1ロットの基板が処理される状況を考える。処理に先立って、前処理測定を実施するために計測ツール102(1つまたは2つ以上の計測ツールであってよい)が用いられてよい。計測ツール102からの前処理測定データは、リンク104を通じて製造設備ホストコントローラ106にアップロードされてよい。
【0007】
1ロットの基板の処理を開始させるために、ユーザは、製造設備ホストコントローラ106を用いて実行用のレシピを選んでよい。場合によっては、レシピのセットポイントを調節して到着材料の違いを補償するために、製造設備ホストコントローラ106によって、測定データが用いられてよい。一例において、基板に対する前処理測定データは、その基板の物理的特性がレシピによって予期されるものと異なることを示すことがある。したがって、レシピのセットポイントは、基板についての既知の相違を考慮に入れるように調節されてよい。
【0008】
レシピが選ばれ、前測定データに基づいて調節されたら、製造設備ホストコントローラ106は、そのレシピをリンク110を通じてプロセスモジュール(PM)コントローラ108に送信してよい。処理チャンバ100内に、基板112が実装されてよい。基板112は、(静電チャックなどの)下方電極114と、上方電極116との間に位置決めされてよい。処理中は、基板112を処理(例えばエッチング)するために、プラズマ118が形成されてよい。
【0009】
処理中は、処理チャンバ100、プラズマ118、および/または基板112の状態を監視するために、複数のセンサが用いられてよい。センサの非限定的な例として、ガス流コントローラ(120)、温度センサ(122および124)、圧力センサ(126)、整合器コントローラのセット(128)、無線周波数(RF)コントローラ(130)、バルブコントローラ(132)、ターボポンプコントローラ(134)などが挙げられる。一例では、圧力センサ126が、処理チャンバ100内における圧力データを捕獲していてよい。別の例では、RFジェネレータコントローラ130および/または整合器コントローラのセット128が、反射能やインピーダンス、高調波などに関するデータを収集していてよい。
【0010】
各センサによって収集されたデータは、解析のために、(140、142、144、146、148、150、152などの)通信回線を通じて制御データハブ136に転送されてよい。もし、いずれかのレシピのセットポイントが解析に基づいて調節される必要があるならば、制御データハブ136は、(リンク138を通じて)結果をプロセスモジュールコントローラ108に送信してよく、プロセスモジュールコントローラ108は、レシピセットポイントをしかるべく調節してよい。一例では、レシピにしたがった所望の圧力セットポイントが、30ミリトールに設定されているであろう。しかしながら、圧力センサ126によると、圧力測定値は、実際は26ミリトールである。したがって、プロセスモジュールコントローラ108は、圧力を所望の圧力セットポイントに戻すように圧力制御アクチュエータを調節してよい。
【0011】
レシピセットポイントとセンサとの間で実現されるプロセス制御関係として代表的なのは、単変量直交制御方式である。つまり、レシピセットポイントは、1つのパラメータにのみ反応すると考えられる1つのセンサから収集されるデータに関連づけられてよい。その他のいずれのセンサから収集されるデータも、特定のレシピセットポイントが追随されているかどうかの決定において検討されないのが通常である。
【0012】
上記の例では、チャンバ圧力は、圧力センサ126によって提供されるデータに基づいて調節される。調節を行うにあたり、プロセスモジュールコントローラ108は、圧力センサ126が正確なデータを提供していること、ならびに圧力センサ126がドリフトおよび/またはパーツ摩耗を被っていないことを前提とするであろう。しかしながら、もし、圧力センサ126が実際はドリフトしていると、チャンバ状況を所望の状態にすることを意図してプロセスモジュールコントローラ108によってなされる圧力の増加は、基板112において望ましくない結果をもたらすとともに、チャンバの壁およびその中のコンポーネント(センサ自体も含む)に関連して異常な状況をもたらすであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図面では、本発明は、限定的なものではなく例示的なものとして示され、図中、類似の参照符号は、同様の要素を指すものとする。
【0014】
【図1】処理チャンバを示した簡略ブロック図である。
【0015】
【図2】発明の一実施形態における、イン・サイチュ制御プロセス構成を伴った処理チャンバを示した簡略ブロック図である。
【0016】
【図3】発明の一実施形態における、センサ間の階層的関係を示した図である。
【0017】
【図4】発明の一実施形態における、仮想計測を実施するためのイン・サイチュ制御プロセス方法の一実現形態を示した簡略フローチャートである。
【0018】
【図5】発明の一実施形態における、リアルタイム制御機能を提供するためのイン・サイチュ制御プロセスの一実現形態を示した簡略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付の図面に示されるような幾つかの実施形態を参照にして、本発明が詳細に説明される。以下の説明では、本発明の完全な理解を与えるために、多くの詳細が明記されている。しかしながら、当業者ならば、本発明が、これらの一部または全部の詳細を伴わずとも実施されえることが明らかである。また、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス工程および/または構造の詳細な説明は省かれている。
【0020】
方法および技術を含む様々な実施形態が、以下で説明される。発明は、発明技術の実施形態を実行に移すためのコンピュータ可読命令を格納されたコンピュータ可読媒体を含む製造品も対象としえることを念頭に置かれるべきである。コンピュータ可読媒体としては、例えば、コンピュータ可読コードを格納するための、半導体、磁気、光磁気、光、またはその他の形態のコンピュータ可読媒体が挙げられる。さらに、発明は、発明の実施形態を実施するための装置も対象としえる。このような装置は、発明の実施形態に関連したタスクを実行に移すための、専用および/またはプログラム可能な回路を含んでよい。このような装置の例としては、適切にプログラムされたときの汎用コンピュータおよび/または専用計算機器があり、コンピュータ/計算機器と、発明の実施形態に関連した様々なタスクに適応された専用の/プログラム可能な回路との組み合わせが挙げられる。
【0021】
前述のように、処理環境の厳密な制御は、一貫した結果を伴った基板処理を実施するために望ましいとされる。しかしながら、一般に単変量センサデータに基づくレシピ調節は、もし、センサが不正確である、複数のパラメータに反応する、時間とともにドリフトする、且つ/または不完全である場合に、ときに不確実になることを証明されている。
【0022】
当業者ならば、基板の特徴付けにおいて、その他のパラメータよりも重要なパラメータがありえることを承知している。一例では、一処理パラメータとしての電子密度を制御する能力が、より直接的でない圧力レベルを制御する能力よりも、基板処理結果に対してより厳格な制御を与えるであろう。しかしながら、全てのパラメータが、1つのセンサによって容易に直接測定されえるとは限らない。また、全てのパラメータが、直接的な1つの物理アクチュエータ/コントローラによって制御されえるとは限らない。例えば、圧力レベルは、圧力計によって測定されてよい。このため、もし、圧力測定が、所望レベルからの圧力の逸脱を示したならば、チャンバ内における圧力を調節して補償するために、圧力コントローラが用いられてよい。しかしながら、電子密度は、1つのセンサによって直接測定されえないパラメータである。むしろ、電子密度は、1つまたは2つ以上のセンサからの複数の処理データ点をもとにして導出される必要があるので、電子密度の決定には、複雑な計算の実施が必要とされるであろう。さらに、基板処理中における電子密度の制御には、単純で直接的な物理的アクチュエータを使用することができないであろう。
【0023】
発明の一態様において、本願の発明者らは、独立データストリーム(直接的なプロセス制御ループから独立した1つまたは2つ以上のセンサから得られるデータストリーム)を用いれば、レシピ調整の実施前および後に妥当な結果が提供されえることに気付いた。また、本願の発明者らは、多変量非直交解析を実施すれば、直接測定されえないパラメータが、アルゴリズム的な/モデルベースの計算を使用して導出されえることおよびレシピ調節の実施に使用されえることに気付いた。
【0024】
本発明の実施形態にしたがって、イン・サイチュプロセス制御を可能にするための方法および構成が提供される。発明の実施形態は、独立データストリームを提供するための構成を含む。独立データストリームは、制御ループセンサおよび/または独立センサから収集されるデータを含んでよい。発明の実施形態は、また、仮想センサおよび/または仮想アクチュエータを提供して障害検出、障害分類、および/またはレシピ調節を実施するための自動的な多変量非直交制御方式も含む。
【0025】
本明細書で論じられる制御ループセンサとは、プロセス制御ループの一部でもあるセンサを言う。つまり、制御ループセンサからのデータは、レシピ実行中にレシピセットポイントを監視するために用いられる。先行技術において、制御ループセンサから収集されるデータは、レシピセットポイントに対して調節を行うために用いられるのが通常である。
【0026】
本明細書で論じられる独立センサとは、一般に、これまでの時点で従来のプロセス制御ループの一部ではないセンサを言う。発明の一実施形態では、独立センサは、チャンバごとに整合および較正される。別の実施形態では、独立センサは、冗長センサであってよい。一例として、独立センサは、プロセス制御ループにおいて使用されえる圧力計と同じモデルまたはタイプであってよい。ただし、独立圧力計は、プロセス制御ループから独立している。一実施形態では、冗長独立センサは、独立した、しかしながら重複した測定を行うことを期待されて、制御ループセンサの近くに位置決めされてよい。
【0027】
本明細書で論じられる仮想センサとは、ハードウェアコンポーネントではない、ソフトウェア実行センサを言う。一実施形態では、仮想センサは、複合センサ、または複数センサからの派生であってよく、一般には直接測定されえないパラメータに対する仮想センサ測定を提供する。一実施形態では、仮想パラメータは、複数のデータソースから計算および/または推測されえる。ゆえに、仮想センサを用いれば、1つのセンサでは物理的に測定されえないパラメータが導出されえる。仮想パラメータの非限定的な例として、例えば、イオン束、イオンエネルギ、電子密度、エッチング速度対デポジション速度比などが挙げられる。
【0028】
本明細書で論じられる仮想アクチュエータとは、1つの物理的アクチュエータ独では直接測定可能または制御可能ではないパラメータに対する制御を実現するために使用されえるソフトウェア実行コントローラを言う。とあるパラメータ(例えばイオン束)用の物理的アクチュエータ(例えばイオン束コントローラ)が存在しえないのは、そのパラメータが、例えば物理的センサによって直接測定されえず、例えば種々のデータソースから間接的に導出されるなどのように計算される必要があるからである。
【0029】
発明の一実施形態では、イン・サイチュプロセス制御体制のための方法および構成が提供される。従来、必要に応じたレシピセットポイントの調節には、処理データを捕獲するためにおよび処理モジュールコントローラにフィードバックを提供するために制御ループセンサが用いられる。一般には、単変量直交制御方式が用いられる。つまり、レシピセットポイントとセンサとの間に、1対1の関係が存在する。セットポイントの調節には、その他のセンサからのデータは使用されないのが通常である。しかしながら、制御ループセンサからのデータは、着目されているチャンバ/プラズマ/基板パラメータの検証にとって不十分である恐れがある。ゆえに、制御ループセンサからのデータに厳密に基づくレシピセットポイントの調節は、マイナスの結果(例えば、悪い処理結果、またはその上、基板への損傷、チャンバ壁への損傷、チャンバコンポーネントへの損傷など)をもたらす恐れがある。
【0030】
一実施形態では、チャンバ/プラズマ/基板状態に関連した所定の状況を決定するために、独立データストリームが提供される。一実施形態では、独立データストリームは、独立センサから収集されたデータのみを含んでよい。上記のように、独立センサは、従来のプロセス制御ループの一部ではないセンサである。一実施形態では、独立センサは、世界基準に照らして整合および較正される。つまり、独立センサは、チャンバの持つ特定の特性を捕獲するために使用されえる。
【0031】
一実施形態では、独立データストリームは、制御ループセンサおよび/または独立センサから収集されたデータを含んでよい。一例では、例えば圧力計からの圧力データのみが、圧力セットポイントの設定に用いられるにもかかわらず、圧力レベルに関連したデータは、様々な制御ループセンサから収集されえる。ゆえに、制御ループセンサから収集されたデータは、この実施形態では、1つの制御ループセンサによって提供されたデータを検証するために独立データストリームの一部として用いられてよい(ただし、必ずしも必須ではない)。
【0032】
一実施形態では、独立データストリームは、チャンバ/プラズマ/基板状態に関連した所定の状況を決定するための仮想センサを確立するために解析されてよい。上記のように、チャンバ/プラズマ/基板状態には、直接測定されえないものがある。それどころか、これらのチャンバ/プラズマ/基板状態を特徴付けられるパラメータの導出には、複雑な計算の実施が必要とされるであろう。一実施形態では、本願の発明者らは、仮想計測を促進する階層的関係がセンサ間に存在することに気付いている。一例では、独立データストリームを現象論的モデルに適用することによって、イオン束分布、電子密度、エッチング速度、中性密度などの仮想センサが導出されえる。
【0033】
一実施形態では、独立データストリームは、センサによって直接測定可能ではないレシピパラメータを調節するための仮想センサデータを形成するために、単独で解析されてよい、または制御ループセンサからのデータと併せて解析されてよい。ひとたび仮想センサが形成されたら、プロセス制御は、定義可能な仮想センサセットポイントに基づいてよい。レシピ実行中は、仮想センサによって提供されたセンサデータが仮想センサセットポイントと比較され、その差が計算されてよい。次いで、これらの仮想セットポイントを調節するために、仮想アクチュエータが用いられ、1つまたは2つ以上の物理的アクチュエータが制御されてよい。
【0034】
本発明の特徴および利点は、図面および以下の議論を参照にして、より良く理解されるであろう。
【0035】
図2は、発明の一実施形態における、イン・サイチュ制御プロセス構成を伴った処理チャンバを示した簡略ブロック図である。発明は、図に示された構成および/またはコンポーネントに限定されず、むしろ、この図は、一例としての発明の一実施形態に関する議論を促進することを意図している。
【0036】
例えば、処理チャンバ200内において1ロットの基板が処理される状況を考える。基板が処理される前に、計測ツールのセット202によって前処理測定データ(外部データ)が得られてよい。計測ツール202からの測定データは、リンク204を通じて製造設備ホストコントローラ206にアップロードされてよい。前処理測定データは、発明を実現するために必要なものではない。しかしながら、処理チャンバ200は、一実施形態では、必要に応じて基板処理に計測データを統合するために、計測ツール202と製造設備ホストコントローラ206との間に通信リンク(204)を提供しえる。このようにして、到着基板におけるばらつきを補償するためのおよび送出品における望ましくないばらつきを軽減するための基盤が提供される。
【0037】
処理を開始させるために、製造設備ホストコントローラ206によってレシピが選択されてよい。もし、前処理測定データが使用可能であるならば、例えば、到着基板のあいだで見られる物理的ばらつきを考慮に入れるために、レシピに対して調整がなされてよい。完了したら、製造設備ホストコントローラ206は、リンク210を通じてプロセスモジュール(PM)コントローラ208にレシピを送信してよい。リンク210は、製造設備ホストコントローラ206とプロセスモジュールコントローラ208との間におけるデータ交換を促進する双方向リンクである。
【0038】
処理チャンバ200内に、基板212が実装されてよい。基板212は、(静電チャックなどの)下方電極214と、上方電極216との間に位置決めされてよい。処理中は、基板212を処理(例えばエッチング)するために、プラズマ218が形成されてよい。
【0039】
レシピの実行中は、処理チャンバ200、プラズマ218、および/または基板212に関連した様々なパラメータを監視するために、複数のセンサが用いられてよい。センサの非限定的な例として、ガス流コントローラ(220)、温度センサ(222および224)、圧力センサ(226)、整合器コントローラのセット(228)、無線周波数(RF)コントローラ(230)、バルブコントローラ(232)、ターボポンプコントローラ(234)などが挙げられる。一例では、温度センサ222が、処理チャンバ200内における温度データを収集していてよい。別の例では、ターボポンプコントローラ234が、ポンプ速度や流量などに関するデータを収集していてよい。
【0040】
議論を容易にするために、上記のセンサは、ひとまとめにされ、以下において、制御ループセンサとして言及される。本明細書で論じられる制御ループセンサとは、プロセス制御ループの一部であるセンサを言い、従来、レシピの実行中にレシピセットポイントを監視するために使用されてきた。
【0041】
プロセス制御ループの一部である制御ループセンサに加えて、独立センサ(例えば260、262、および264)も提供されてよい。一実施形態では、独立センタは、もとからプロセス制御ループの一部をなすものではない。独立センサの数は、可変であってよい。発明の一実施形態では、独立センサは、チャンバごとに一貫した結果を提供するために、絶対的基準に照らしておよびセンサ間で整合および較正されてよい。
【0042】
発明の一実施形態では、独立センサは、一部または全部のデータ項目について少なくとも部分的にデータが重複するように選択および設定される。つまり、特定の仮想センサパラメータに関するデータが、2つ以上のセンサによって捕獲されてよい。一例では、独立センサ262は、(圧力依存データを含む)データを収集するように構成されてよい。収集されたデータは、例えば圧力センサ226によって収集された圧力データと重複するであろう。
【0043】
一実施形態では、独立センサは、冗長センサであってよい。例えば、独立センサは、プロセス制御ループにおいて使用されえる圧力計と同じモデルであってよい。ただし、独立センサ計は、従来のプロセス制御ループから独立している。
【0044】
一実施形態では、独立センサは、制御ループセンサと直接重複しないセンサで構成されてよい。一例では、仮想センサ測定を導出するために圧力センサと併せて用いられる独立センサの1つとして、電圧/電流プローブが用いられてよい。
【0045】
制御ループセンサによって収集されたデータは、解析のために、(240、242、244、246、248、250、252などの)通信回線を通じて制御データハブ236に転送されてよい。また、独立センサ(260、262、264)からのデータもやはり、通信回線(270、272、274)を通じて測定センサデータハブ280に転送されてよい。一実施形態では、制御ループセンサによって収集された所定のデータが、通信リンク254を通じて制御データハブ236から測定センサデータハブ280に転送されてよい。別の実施形態では、制御ループセンサによって収集された全てのデータが、制御データハブ236を通じて測定センサデータハブ280に転送されてよい。
【0046】
データを収集し、随意として何らかの前処理タスク(デジタルフォーマット変換など)を実施した後、データは、別個の専用コンピュータ282内に実装される解析プロセッサに通信回線284を通じて転送されてよい。一実施形態では、制御ループセンサによって収集されたデータも、通信回線256を通じて制御データハブ236から解析コンピュータ282に転送されてよい。
【0047】
上記からわかるように、制御ループセンサおよび独立センサによって、多量のデータが収集されえる。一実施形態では、独立センサによって収集されるデータは、粒度の高いデータであってよい。一実施形態では、解析コンピュータ282は、大量のデータを扱うように構成されえる高速処理モジュールであってよい。データは、先ず製造設備ホストコントローラまたはひいてはプロセスモジュールコントローラを経る必要なくセンサから直接送信されてよい。2009年9月8日に出願されたHuang et al.による出願第12/555,674号は、解析コンピュータ282の実現に適した解析コンピュータの一例を説明している。
【0048】
一実施形態では、センサから収集されたデータのほかに、解析コンピュータ282は、通信リンク290を通じて計測ツール202からの計測データも受信していてよい。一実施形態では、製造設備ホストコントローラ206に提供されたかもしれない計測データも、解析コンピュータ282に転送されてよい。このため、解析コンピュータ282は、以前ならば製造設備ホストコントローラ206によって実施されたかもしれないレシピ調節も扱うように構成されてよい。
【0049】
一実施形態では、解析コンピュータ282は、独立データストリームを解析するように構成され、その結果は、通信リンク286を通じてプロセスモジュールコントローラ208に送信されてよい。図3は、解析コンピュータ282がその解析を実施するにあたって使用しえる階層的関係の一例を論じている。一実施形態では、プロセスモジュールコントローラ208に対してリアルタイム更新を提供するために、高速通信リンクが使用される。解析コンピュータ282からの結果は、仮想センサセットポイント調節値、障害検出および分類、ならびに複数センサ終点を含んでよい。結果に応じて、プロセスモジュールコントローラ208は、レシピを調節してよい、および/または処理を停止してよい。
【0050】
先行技術と異なり、レシピセットポイントとセンサとの間の関係を定めるにあたって多変量非直交制御方式が使用されてよい。多変量非直交方式は、2つの特性を有してよい、すなわち、(a)レシピセットポイントと仮想センサパラメータとの間に1対1の関係がなく、(b)仮想センサパラメータを決定するために複数のセンサからのパラメータが使用される。つまり、レシピセットポイントは、複数のセンサから収集されたデータに関連づけられてよい。先行技術と異なり、レシピセットポイントに対する調節は、制御ループセンサによって収集されたデータのみに依存するのではなくなる。その代わり、独立センサ(および一実施形態では制御ループセンサ)によって収集されたデータが、所定のチャンバ/プラズマ/基板状態を決定および制御するために、単独でまたは制御ループセンサと併せて使用されてよい。
【0051】
議論を促すために、図3は、発明の一実施形態における、センサ/アクチュエータ間の階層的関係を示している。例えば、処理チャンバ200内において基板212が処理されている状況を考える。レシピセットポイントは、レシピが最初に初期化されるときに提供される。レシピセットポイントは、従来、制御ループセンサからの測定結果に依存している。従来、プロセスモジュールコントローラ208は、1枚の基板または1ロットの基板が処理された後に、制御ループセンサからのデータを使用してレシピセットポイントを調整してよい(ブロック302)。議論を容易にするために、ブロック302は、ベクトルSとして言及されてよい。
【0052】
しかしながら、先に論じられたように、制御ループセンサからのデータは、常に正確であるとは限らず、これは、特に、レシピセットポイントと制御ループセンサとの間に単変量直交関係が存在する場合に検出できない恐れがある。したがって、もし、(圧力センサ226などの)制御ループセンサが誤動作を有していると、制御ループセンサによって提供されるデータに対する依存が、結果的に、悪い処理結果、およびひいては基板の損傷やさらにはチャンバコンポーネントの損傷をもたらす恐れがある。
【0053】
例えば圧力データを検証するための独立データソースをレシピ圧力セットポイントの調整前に提供するために、その他の制御ループセンサおよび独立センサを通じて追加のデータが提供されてよい。該データは、レシピの実行前または実行中に取得されてよいが、指定のレシピセットポイントのためのプロセス制御ループからは独立していてよい(ブロック304)。議論を容易にするために、ブロック304は、ベクトルVとして言及されてよい。
【0054】
一実施形態では、ブロック302と304との間に経験則上の関係(ベクトルQ)が存在してよい。製造公差に起因して変化しえる特定のチャンバ状況および個々のセンサ特性ゆえに、ベクトルS(302)とベクトルV(304)との間の経験則上の関係(ベクトルQ)は、チャンバに固有なものである傾向がある。
【0055】
上記のように、ブロック304は、ブロック302において制御ループセンサによって提供されたデータを検証するために使用されてよい。一例では、独立センサ264は、圧力センサ226によって提供されたデータの妥当性を裏付けないデータを提供するかもしれない。つまり、独立センサ264によって提供されたデータは、たとえ圧力センサ226がそうでないと示している場合でも、圧力の調節は必要ないと示すことがある。
【0056】
しかしながら、(圧力レベルなどの)1つのパラメータ、または直接測定可能な複数のパラメータを解析するだけでは、基板および/またはプラズマを所望の状態に向かわせるために必要とされる全てのデータを提供しえないであろう。より直接的にまたはより効率的にプロセスを所望の状態に向かわせるために、仮想センサおよび/または仮想アクチュエータが提供されてよい(ブロック306)。議論を容易にするために、ブロック306は、ベクトルRとして言及されてよい。
【0057】
本明細書で論じられる仮想センサとは、1つのセンサによって直接測定されえないパラメータを仮想方式で測定しえる複合センサ、または複数センサからの派生を言う。その代わりに、仮想センサパラメータは、複数のセンサからのデータをもとに算出および/または推測されてよい。仮想パラメータの例として、例えば、イオン束、イオンエネルギ、電子密度、エッチング速度対デポジション速度比などが挙げられる。
【0058】
一実施形態では、ベクトルRとベクトルVとの間に現象論的関係(ベクトルM)が存在しえる。本明細書で論じられる現象論的関係とは、たとえその関係が非線形または高度に複雑であってもパラメータどうしが互いをもとにして関係付けおよび導出されえる関係を言う。このため、仮想センサを確立するためには、レシピについての現象論的挙動(根底となる物理学など)の理解が必要であり、もし、根底となるモデルが妥当性を有していれば、一般に、純粋に統計学的な解析と比べて改善を得られることを期待されるであろう。ゆえに、ベクトルMは、プロセスのタイプに固有なものである傾向がある。
【0059】
一例では、チャンバの形状、消耗パーツの状態、ガス流コントローラの精度、圧力コントローラの精度、基板、およびその他の類似のデータが、全て、イオン束分布に影響を及ぼしえる。これら全ての影響を考慮に入れてイオン束分布を正確にモデル化することは、高度に複雑で、尚且つ長い時間を必要とするであろう。しかしながら、処理チャンバの何らかの電気的モデルに沿ったRF電圧およびRF電流の測定と、一箇所におけるイオン束の測定とが、例えばイオン束に関係した仮想センサの導出に使用されえるような、現象論的関係が定められてよい。
【0060】
図3からわかるように、信頼できる方式でのブロック302からブロック306への移行は、(ブロック304によって提供される)独立データストリームを必要とするであろう。独立データストリームからのデータは、ブロック306において、仮想センサのための測定値を算出するために用いられてよい。つまり、ブロック304を通じて階層的関係がブロック302からブロック306へ移行されるときは、リアルタイムな計測機能が提供されえる。
【0061】
一実施形態において、逆の階層的関係が実行されるときは、リアルタイムなプロセス制御機能が提供されえる。つまり、システムがブロック304を通じてブロック306からブロック302へ移行するときは、レシピを調整するために、仮想アクチュエータのセットが実装されてよい。一例では、電子密度(仮想センサ値)が、所望の範囲外であるとして識別される。すると、セットポイント電子密度と仮想電子密度値との間のギャップが算出されてよい。一実施形態において、もし、制御ループセンサがドリフトしていないならば、算出されたギャップは、プロセスを所望のセットポイントに調整するために、仮想アクチュエータによって使用されてよい。しかしながら、もし、制御ループセンサが(独立センサによって示されるように)僅かにドリフトしているならば、算出されたギャップは、レシピの調整前にドリフトを考慮に入れるために修正される必要があるであろう。
【0062】
一実施形態において、仮想アクチュエータは、少しずつ作動されてよい。一例では、(上記の例で)算出されたギャップは、レシピ調整のためにそのギャップ全体を適用されるのではなく、先ず、仮想アクチュエータが問題を不注意に悪化させないことを保証するために少量を適用されてよい。もし、少量の変化を経た後の解析が、例えば基板が所望の状態に向かっていることを示したならば、レシピの調整に向けて、さらなる調節が適用されてよい。パラメータ空間が良い状態にある場合は、最急降下法などの高度な非線形「リープアヘッド(leap ahead)」調節が利用されてよいが、パラメータ空間がより複雑で尚且つ状態が悪い場合は、制限付きの段階的アプローチのほうが、より良い結果を得られるであろう。
【0063】
図4は、発明の一実施形態における、仮想計測を実施するためのイン・サイチュ制御プロセス方法の一実現形態を示した簡略フローチャートである。本明細書で論じられる仮想計測とは、直接測定可能でないものを含む測定データを、実際の測定を実施することなく取得することを言う。
【0064】
最初のステップ402では、プロセスモジュールコントローラにレシピがダウンロードされる。一例では、製造設備ホストコントローラ206が、通信リンク210を通じてプロセスモジュールコントローラ208にレシピを送信してよい。
【0065】
次のステップ404では、センサ較正データ(ベクトルQ)が提供される。一実施形態では、制御ループセンサと独立センサとの間の経験則上の関係が、解析コンピュータ282に提供される。
【0066】
次のステップ406では、ダウンロードされたレシピが実行され、該レシピは、(ブロック302に示されるように)レシピセットポイントに調整される。
【0067】
次のステップ408では、処理中に、センサによってデータが取得される。
【0068】
次のステップ410では、システムは、プロセスが停止したかどうかを決定するためにチェックを行う。
【0069】
もし、プロセスが停止していないならば、システムは、ステップ408に戻ってデータの取得を続ける。
【0070】
しかしながら、もし、プロセスが停止しているならば、システムは、所望の結果が達成されたかどうかを決定するためにステップ412に進む。実際の測定を実施することなくこの決定を下すためには、階層的関係が適用されてよく、仮想測定値(ベクトルR)を算出するために、現象論的モデル(ベクトルM)がブロック304(ベクトルV)に適用される。
【0071】
次のステップ414では、システム(解析コンピュータ282など)は、仮想「測定値」を既定の閾値と比較してよい。このステップでは、システムは、プロセス結果を、それらが制御限界内であるかどうかを決定するために見直してよい。
【0072】
もし、プロセス結果が制御限界内であるならば、次のステップ416では、処理のために別の基板が実装され、システムは、ステップ406に戻される。
【0073】
しかしながら、もし、仮想測定値が既定の閾値外であるならば、次のステップ418では、システムは、警告または警報をトリガしてよい(一般に、システムおよびオペレータに調節、診断調査、およびメインテナンスの必要性を喚起する警告と、基板および/または機械の損傷を阻止するための修正措置がとられるまで処理を中断させる警報との間で区別がなされる)。一実施形態では、警告または警報のトリガは、障害検出、障害分類、および/またはレシピ調整につながるであろう。
【0074】
図4からわかるように、イン・サイチュ制御プロセスは、処理測定を仮想的に実施するための方法を提供する。先行技術と異なり、基板は、チャンバから取り出されて物理的計測ツールによって測定される必要がない。このため、この発明のシステムによって提供される仮想計測機能は、高価な計測ツールのコストを削減しえる。また、仮想計測機能は、計測解析を実施するために必要とされる時間および資源を大幅に低減させえる。また、測定および解析の実施のために人が必要でない。むしろ、システムは、(例えば解析コンピュータを通じて)自動的に仮想測定データを収集および計算するように構成されえる。発明のさらなる利点は、プロセス中に介入する能力にある。レシピ実行中に、標準状態からの逸脱を検出することが可能であるゆえに、ウエハが回復不能に損傷される前に、プロセスを継続させるか否かの判断を下すことが可能である。多くのプロセスにおいて、限界寸法に最も影響を及ぼす工程は、通常はマスク開口工程である。もし、マスク処理工程中に逸脱が検出されたならば、ウエハは、再加工を通じてまだ回復可能である。
【0075】
図5は、発明の一実施形態における、リアルタイムプロセス制御機能を提供するためのイン・サイチュ制御プロセスの一実現形態を示した簡略フローチャートである。
【0076】
最初のステップ502では、プロセスモジュールコントローラにレシピがダウンロードされる。一例では、製造設備ホストコントローラ206が、通信リンク210を通じてプロセスモジュールコントローラ208にレシピを送信してよい。
【0077】
次のステップ504では、センサ較正データ(ベクトルQ)が提供される。一実施形態では、制御ループセンサと独立センサとの間の経験則上の関係が、解析コンピュータ282に提供されてよい。
【0078】
次のステップ506では、レシピが実行され、該レシピは、(ブロック302に示されるように)レシピセットポイントに調整される。
【0079】
次のステップ508では、処理中にデータが取得される。データは、様々な時間間隔で取得されえる。一実施形態では、データは、例えば約10ヘルツの周波数で取得される。
【0080】
解析コンピュータ282によって第1のデータセットのセットが取得された後、次のステップ510では、仮想測定値が得られてよい。つまり、階層的関係が適用されてよく、仮想測定値(ベクトルR)を算出するために、現象論的モデル(ベクトルM)がブロック304(ベクトルV)に適用されてよい。
【0081】
次のステップ512では、システムは、プロセスが所望の状態にあるかどうかを決定するためにチェックを行ってよい。
【0082】
もし、プロセスが所望の状態にあるならば、次のステップ514において、システムは、プロセスが終了したかどうかを決定するためにチェックを行ってよい。
【0083】
もし、レシピがまだ実行されているならば、システムは、次のデータセットを取得するために、ステップ508に戻ってよい。
【0084】
しかしながら、もし、プロセスが停止されているならば、次のステップ516において、システムは、処理を停止させる。
【0085】
再びステップ512を参照し、もし、プロセスが所望の状態にないならば、次のステップ518において、システムは、障害が検出されたかどうかを決定するためにチェックを行ってよい。
【0086】
もし、障害が検出された場合は、次のステップ520において、システムは、警告をトリガしてよく、次のステップ522では、障害が分類されてよい。
【0087】
しかしながら、もし、障害が検出されなかったならば、次のステップ524において、調節レシピセットポイントが算出されてよい。レシピを調節するために適用されえる仮想アクチュエータを決定するために、階層的モデルが適用されてよい。一例では、データは、制御ループおよび独立センサから収集されている。また、収集されたデータと、独立データストリームと制御ループセンサとの間に存在しえる現象論的モデルとに基づいて、仮想センサが算出されている。仮想センサが決定されたら、仮想センサ測定値が所望の値と比較されてよい。その差は、レシピを調整するために仮想アクチュエータによって使用されてよい。
【0088】
上述されたように、未加工のままの差は、レシピ調整のためにプロセスモジュールコントローラに送信されえる実際の値ではないであろう。むしろ、新しいレシピセットポイントを導出するためには、考えられるあらゆるノイズまたはドリフト(ベクトルV)も検討する必要があるであろう。
【0089】
新しいレシピセットポイントが決定された後、次のステップ526において、システムは、新しいレシピセットポイントをプロセスモジュールコントローラに送信してよい。
【0090】
次のステップ528では、レシピは、新しいレシピセットポイントに調整される。
【0091】
レシピが新しいレシピセットポイントに調整されたら、システムは、新しいデータセットを取得するために、ステップ508に戻ってよい。
【0092】
図5からわかるように、レシピの微調整は、レシピの実行中に(リアルタイムで)実施されえる。先行技術と異なり、レシピの調整は、その妥当性を独立データストリームによって承認されえる。また、調整されえるセットポイントは、もはや、直接測定されえないパラメータに限られない。むしろ、複数のパラメータに依存しえるパラメータが、セットポイントの目的で算出および使用されてよい。
【0093】
また、アクチュエータは、入手可能な物理的アクチュエータに限られず、アクティブにされたときにその他の複数の物理的アクチュエータをアクティブにする仮想アクチュエータが使用されてよい。このようにして、プロセスの監視および制御が本質的に単純作業化される。
【0094】
以上からわかるように、自動的なイン・サイチュプロセス制御方式を提供するための方法および構成が提供される。イン・サイチュプロセス制御方式を用いれば、基板を所望のレシピ状態に処理する際にリアルタイム制御が提供される。イン・サイチュプロセス制御は、また、障害の検出および分類をリアルタイムで実施するためのイン・サイチュ方法も提供しえる。また、イン・サイチュ制御プロセスは、処理された基板の状態を決定するための仮想計測機能を伴ったツールも提供しえる。
【0095】
本発明は、幾つかの好ましい実施形態の観点から説明されているが、本発明の範囲内には、代替、置換、および均等物がある。本明細書では、様々な例が提供されるが、これらの例は、発明に対して例示的であって限定的ではないことを意図している。
【0096】
また、名称および概要は、便宜のために提供されたものであり、特許請求の範囲を解釈するために使用されるべきでない。さらに、要約は、極めて省略された形で記載され、便宜のために提供されたものであり、したがって、特許請求の範囲に表された全体的発明を解釈するためにも制限するためにも用いられるべきでない。もし、本明細書において「セット」という用語が用いられる場合は、このような用語は、ゼロの、1つの、または2つ以上の構成要素を対象とした通常理解の数学的意味を有することを意図している。また、本発明の方法および装置を実現するものとして、多くの代替的手法があることも留意されるべきである。したがって、以下の添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および範囲に含まれるものとして、このようなあらゆる代替、置換、および均等物を含むものと解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理システムの処理チャンバ内における基板に対するレシピの実行中に自動的なイン・サイチュプロセス制御方式を実現するための構成であって、
前記レシピの前記実行中におけるセットポイントの監視を促進するために第1のセンサデータのセットを収集するように少なくとも構成された複数の制御ループセンサであって、プロセス制御ループの一部をなしている複数の制御ループセンサと、
第2のセンサデータのセットを収集するように少なくとも構成された独立センサのセットであって、前記プロセス制御ループの一部をなしていない独立センサのセットと、
前記第1のセンサデータのセットおよび前記第2のセンサデータのセットのうちの少なくとも一方を受信するように少なくとも構成されたハブと、
前記ハブに可通信式に結合され、前記第1のセンサデータのセットおよび前記第2のセンサデータのセットのうちの少なくとも一方の解析を実施するように構成された解析コンピュータであって、多量のデータを解析するための高速プロセッサを含む解析コンピュータと、
を備える構成。
【請求項2】
請求項1に記載の構成であって、さらに、
前記レシピを選択するように少なくとも構成された製造設備ホストコントローラと、
与えられたレシピセットポイントのセットに基づいて前記レシピを実行するように少なくとも構成されたプロセスモジュールコントローラと、
前記製造設備ホストコントローラおよび前記解析コンピュータのうちの少なくとも一方に、前記レシピに統合可能な測定データを提供するように構成された計測ツールのセットと、
を備える構成。
【請求項3】
請求項1に記載の構成であって、
前記独立センサのセットによって収集される前記第2のセンサデータのセットは、前記複数の制御ループセンサによって既に収集されたデータの少なくとも部分セットを含むように構成される、構成。
【請求項4】
請求項1に記載の構成であって、
前記独立センサのセットによって収集される前記第2のセンサデータのセットは、前記複数の制御ループセンサによって既に収集されたデータを含まないように構成される、構成。
【請求項5】
請求項2に記載の構成であって、
前記解析コンピュータは、センサ較正データを受信するように少なくとも構成され、前記センサ較正データは、前記制御ループセンサのセットと前記独立センサのセットとの間の経験則上の関係を含む、構成。
【請求項6】
請求項5に記載の構成であって、
前記センサ較正データは、チャンバにである、構成。
【請求項7】
請求項5に記載の構成であって、固有なもの
前記解析コンピュータは、前記第1のセンサデータのセットを検証するために前記第2のセンサデータのセットを用いるように少なくとも構成される、構成。
【請求項8】
請求項7に記載の構成であって、
前記解析コンピュータは、仮想センサのセットを確立するように少なくとも構成され、前記仮想センサのセットの各仮想センサは、複数のセンサから収集されるセンサデータをもとに決定される仮想パラメータのセットに関連づけられ、前記複数のセンサは、前記独立センサのセットおよび前記制御ループセンサのセットのうちの少なくとも一方からのセンサを含む、構成。
【請求項9】
請求項8に記載の構成であって、
前記仮想パラメータのセットは、イオン束、イオンエネルギ、電子密度、およびエッチング速度対デポジション速度比のうちの少なくとも1つを含む、構成。
【請求項10】
請求項8に記載の構成であって、
前記解析コンピュータは、前記仮想センサと前記第2のセンサデータのセットとの間に現象論的関係を確立するように少なくとも構成され、前記現象論的関係は、関係付けられたパラメータと、互いに基づいて導出可能なパラメータと、のうちの少なくとも一方を含む、構成。
【請求項11】
請求項10に記載の構成であって、
前記解析コンピュータは、リアルタイム計測を提供するために仮想測定値を算出するように少なくとも構成される、構成。
【請求項12】
請求項11に記載の構成であって、
前記解析コンピュータは、仮想センサ値のセットが既定の閾値外である場合に前記レシピを調整するために、仮想アクチュエータのセットを確立することによって、リアルタイムプロセス制御機能を提供するように少なくとも構成される、構成。
【請求項13】
請求項11に記載の構成であって、
前記解析コンピュータは、前記解析からの出力を前記プロセスモジュールコントローラに送信するように構成され、前記出力は、仮想センサセットポイント調節値のセット、障害検出、分類、および複数センサ終点のうちの少なくとも1つを含む、構成。
【請求項14】
請求項13に記載の構成であって、
前記仮想センサセットポイント調節値のセットは、少なくとも1つのレシピセットポイントを調節するために用いられる、構成。
【請求項15】
プラズマ処理システムの処理チャンバ内における基板に対するレシピの実行中に自動的なイン・サイチュプロセス制御方式を実現するための方法であって、
前記基板の基板処理のために前記レシピを読み出すことと、
制御ループセンサのセットと独立センサのセットとの間の経験則上の関係を含むセンサ較正データを解析コンピュータに提供することと、
前記レシピをレシピセットポイントのセットに調整することと、
前記レシピを実行することと、
前記制御ループセンサのセットから第1のセンサデータのセットを受信し、前記独立センサのセットから第2のセンサデータのセットを受信することと、
仮想測定値のセットを算出するために前記第1のセンサデータのセットおよび前記第2のセンサデータのセットのうちの少なくとも一方を解析することと、
前記仮想測定値のセットを既定の閾値と比較することと、
前記仮想測定値のセットが前記既定の閾値外である場合に、警告および警報のうちの少なくとも一方を生成することと、
を備える方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記解析することは、既定の時間間隔で生じる、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記仮想測定値は、現象論的モデルを適用することに基づいて算出される、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、さらに、
前記仮想測定値のセットが前記既定の閾値外である場合に、障害の存在を決定することを備える方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、さらに、
調節レシピセットポイントのセットを決定することを備える方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、さらに、
前記レシピを調整するために仮想アクチュエータのセットを決定することを備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−532460(P2012−532460A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518582(P2012−518582)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040456
【国際公開番号】WO2011/002800
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION