説明

プラズマ放電パネル

【課題】外光が複数のRGBセルからなるプラズマ光放電部20に入ることを阻止し、プラズマ光放電部20から放射される放射光により形成される画像を高画質に表示できるプラズマ放電パネルを提供する。
【解決手段】基板上にRGB色光を発光する放電ガスが封入され、マトリクス状に配列された複数のRGBセルと、前記複数のRGBセルから発光するRGB色光を集光して平行光にする複数の集光レンズ8と、平行光を外部に取り出すと共に外光を遮光する複数のフィルタ(拡散部11)と、を備えたプラズマ放電パネルにおいて、フィルタ(拡散部11)は、複数のRGBセル間に対応する位置に平行光以外の光を吸収する吸収フィルタ11aと、外部から入射する外光の強度を減衰させ、平行光にされたRGB光を外部に拡散させる拡散フィルタ11bと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射する外光の強度を減衰させ、出射する放射光を拡散する光学フィルタを備えたプラズマ放電パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
図3に示されるように、従来のプラズマ放電パネルは、発光源からの放射光を拡散する放射光拡散部21と、画像の表現濃度に比例して電極間に加えられる電圧値に応じた発光をする発光源である複数のRGBセルからなるプラズマ光放電部20から構成され、放射光拡散部21は放射光を拡散する拡散部22と、プラズマ光放電部20に入り反射して発光源からの放射光と混入し画質を劣化させる外光を遮断する遮光部23と、遮光部23に設置されている発光源からの放射光を通過させる放射光窓24と、放射光拡散部21の中心基材であるガラス基材25と、発光源からの放射光を放射光窓24に集光するレンチキラーレンズ26と、を備える。
【0003】
そして、特許文献1に記載されているように、プラズマ光放電部20から画像の表現濃度に比例して電極間に加えられる電圧値に応じて複数のRGBセルから発光した放射光を、レンチキラーレンズ26により放射光窓24に集光し、これを拡散部22で拡散することにより、外光の影響が減少し、画質劣化の少ない放射光からなる画像をプラズマ放電パネルの表面に形成する。
【特許文献1】特開2001−154597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、複数のRGBセルからなるプラズマ光放電部20の1画素に対し1つのレンチキラーレンズを形成し1画素分の放射光を放射光窓24に集光するのみでは、レンチキラーレンズで集光部分の面積を十分に絞ることができず、この為、放射光窓24の開口面積を多くして遮光部23の面積を削減しなければならないから、外光が画質を劣化させるプラズマ光放電部20に入り反射することを阻止するのは困難となり、外光の影響を受けて画質劣化を生じてしまうと言う問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、外光が複数のRGBセルからなるプラズマ光放電部20に入ることを阻止し、プラズマ光放電部20から放射される放射光により形成される画像を高画質に表示できるプラズマ放電パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明における第1の発明は、基板上にRGB色光を発光する放電ガスが封入され、マトリクス状に配列された複数のRGBセルと、前記複数のRGBセルから発光するRGB色光を集光して平行光にする複数の集光レンズと、前記平行光を外部に取り出すと共に外光を遮光する複数のフィルタと、を備えたプラズマ放電パネルにおいて、前記フィルタは、前記複数のRGBセル間に対応する位置に前記平行光以外の光を吸収する吸収フィルタと、前記外部から入射する外光の強度を減衰させ、前記平行光にされたRGB光を前記外部に拡散させる拡散フィルタと、を有することを特徴とするプラズマ放電パネルを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板上にRGB色光を発光する放電ガスが封入され、マトリクス状に配列された複数のRGBセルと、複数のRGBセルから発光するRGB色光を集光して平行光にする複数の集光レンズと、平行光を外部に取り出すと共に外光を遮光する複数のフィルタと、を備えたプラズマ放電パネルにおいて、フィルタは、複数のRGBセル間に対応する位置に平行光以外の光を吸収する吸収フィルタと、外部から入射する外光の強度を減衰させ、平行光にされたRGB光を外部に拡散させる拡散フィルタと、を有することにより、外光がプラズマ光放電部20に入ることを阻止し、プラズマ光放電部20から放射される放射光により形成される画像を高画質に表示できる
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の実施形態に係るプラズマ放電パネルについて図1〜図2を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるプラズマ放電パネルを示す図であり、(A)はプラズマ放電パネルの断面図を示し、(B)はプラズマ放電パネルに設置されたマイクロレンズの動作を説明する図を示し、(C)はマイクロレンズ周辺の詳細図を示す。
図2は、プラズマ放電パネルの製造過程を示す図である。
【0009】
本発明の実施形態におけるプラズマ放電パネルは、図1(A)に示すように、画像の表現濃度に比例して電極間に加えられる電圧値に応じた発光をする発光源である複数のRGBセルからなるプラズマ放電部1と、発光源からの放射光を拡散する放射光拡散部2と、から構成される。
プラズマ放電部1は、画素毎に設置されている画素電極3と、各画素間を遮蔽する隔壁4と、放電によりR・G・Bの放射光を画素毎に発光する放電ガスを封入された放電ガス部5と、各画素の共通電極6と、透明な保護ガラス部7と、透明な接合部8と、から構成される。
放射光拡散部2は、プラズマ放電部1との接合部8と、1画素につき複数個設定されるマイクロレンズ9と、マイクロレンズ9を保持するガラスもしくはプラスチックの保持部10と、発光源からの放射光を拡散する拡散部11と、外部の押圧や衝撃を保護するガラスもしくはプラスチックからなる保護部12と、外光を吸収し遮光する遮光部13と、保護部12の表面に形成される外光を遮光する複数の反射防止膜14と、マイクロレンズ9によりプラズマ放電部1から放射されたプラズマ放射光の集光位置の透明部材15と、から構成される。
【0010】
図1(B)に示すように、プラズマ放射光は、マイクロレンズ9によりプラズマ放電部1から放射され透明部材15を経由して拡散部11により放射光となる。このプラズマ放射光は1画素につき複数個のマイクロレンズ9により拡散部11の複数の集光部分に集光されてから放射されるので各方向に対し平均的に十分拡散される。
【0011】
図1(C)に示すように、マイクロレンズ9を正方形の1画素につきNxNとすると、マイクロレンズ9の直径は1/Nとなるから、プラスチックの保持部10を経由して設置されているプラズマ放射光の集光位置の透明部材15の受け口の直径は、略1/2Nで形成し、拡散部11側はマイクロレンズ9による集光直径とほぼ同等に設定して受け口の直径より狭くする。
拡散部11は、可視光(450nm〜750nm)以外の光を吸収する吸収フィルタ11aと、外部から入射する外光の強度を減衰させ、透明部材15の拡散部11側に集光されたプラズマ放射光の外部に拡散させる拡散フィルタ11bと、から構成される。
【0012】
そして、図1に示すように、本発明の実施形態におけるプラズマ放電パネルは、基板上にRGB色光を発光する放電ガスが封入され、マトリクス状に配列された複数のRGBセルと、複数のRGBセルから発光するRGB色光を集光して平行光にする複数の集光レンズ(マイクロレンズ9)と、平行光を外部に取り出すと共に外光を遮光する複数のフィルタ(拡散部11)と、を備えたプラズマ放電パネルにおいて、複数のフィルタ(拡散部11)は、複数のRGBセル間に対応する位置に平行光以外の光を吸収する吸収フィルタ11aと、外部から入射する外光の強度を減衰させ、平行光にされたRGB光を外部に拡散させる拡散フィルタ11bと、を有するものである。
【0013】
次に動作について説明する。 まず、画素電極3と共通電極7との間に表示する画像の濃度に応じた電圧を加えて、放電ガス部5の放電ガスを所定の色で発光させ放射光とする。次にこの放射光をマイクロレンズ9により透明部材15の拡散部11側に集光させて拡散部11により外部に拡散させ放射光による画像を形成する。
この時、放射光による画像に影響を及ぼす外光は、遮光部13と反射防止膜14とによりほとんどが吸収され、さらに拡散部11の吸収フィルタ11aにより可視光以外は吸収され、残ったわずかな量の可視光は拡散フィルタ11bによりさらに拡散されるので、透明部材15の狭い集光位置に集光された放射光に与える影響を著しく減少することができる。
【0014】
このようにして、放射光をマイクロレンズで狭い集光位置に集光した後、拡散することで、拡散方向範囲を広げ、外光の影響を削減することにより、鮮明な低濃度部のコントラストが十分得られるプラズマ放電パネルを実現できる。
【0015】
図2に示すプラズマ放電パネルの製造過程について説明する。
平らな透明のプラスチック板にマイクロレンズを金型形成する。(1)
マイクロレンズと反対側に紫外線硬化剤を塗布する。(2)
マイクロレンズ側から紫外線を照射し塗布された紫外線硬化剤を硬化させる。(3)
(マイクロレンズ側から紫外線の平行光を入射することにより、紫外線が通過した箇所のみが硬化する。)
硬化しなかった紫外線硬化剤を除去し、透明部材15の形状を確立する。(4)
紫外線硬化剤を除去した跡に遮光材を塗布する。(5)
透明ガラス定盤に透明ワックスでマイクロレンズ側を固定する。(6)
透明ガラス定盤側から可視光を照射しながら遮光材側から見て均一に可視光が透過するまで遮光材を研磨する。遮光材側からは赤外線を照射し透明ガラス定盤側からみてわずかに透過する程度でかつ可視光が十分透過するようにして研磨を停止する。(7)
拡散層(拡散フィルタ、吸収フィルタ)を生成する。(8)
反射防止膜付き保護ガラス(またはプラスチック)を張り合わせる。(9)
透明ガラス定盤と透明ワックスとを剥離し、プラズマ放電部(発光部)の接合部に装着する。(10)
【0016】
このようにして、集光位置の透明部材15をマイクロレンズ9に入射した紫外線に沿って形成することにより受け口の直径を、マイクロレンズ9の直径の略半分で形成し拡散側の直径を受け口の直径より小さくすることができるから透明部材15の隙間に遮光材を設置することにより外光を遮断するとともにマイクロレンズ9で集光したプラズマ放射光を効率よく透過させることができる。
【0017】
以上述べてきたように、本発明の実施形態によれば、外部から入射する外光の強度を減衰させて外光がプラズマ光放電部20に入ることを阻止し、プラズマ光放電部20から放射される放射光を外部に十分拡散することにより、放射光に混入する外光のほとんど無い高画質な画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態におけるプラズマ放電パネルを示す図であり、(A)はプラズマ放電パネルの断面図を示し、(B)はプラズマ放電パネルに設置されたマイクロレンズの動作を説明する図を示し、(C)はマイクロレンズ周辺の詳細を示す図である。
【図2】プラズマ放電パネルの製造過程を示す図である。
【図3】従来のプラズマ放電パネルを示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1・・・プラズマ放電部、2・・・放射光拡散部、3・・・画素電極、4・・・隔壁、5・・・放電ガス部、6・・・共通電極、7・・・保護ガラス部、8・・・接合部、9・・・マイクロレンズ、10・・・保持部、11・・・拡散部、12・・・保護部、13・・・遮光部、14・・・反射防止膜、15・・・透明部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にRGB色光を発光する放電ガスが封入され、マトリクス状に配列された複数のRGBセルと、前記複数のRGBセルから発光するRGB色光を集光して平行光にする複数の集光レンズと、前記平行光を外部に取り出すと共に外光を遮光する複数のフィルタと、を備えたプラズマ放電パネルにおいて、
前記フィルタは、
前記複数のRGBセル間に対応する位置に前記平行光以外の光を吸収する吸収フィルタと、
前記外部から入射する外光の強度を減衰させ、前記平行光にされたRGB光を前記外部に拡散させる拡散フィルタと、
を有することを特徴とするプラズマ放電パネル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−178065(P2006−178065A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369412(P2004−369412)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】