説明

プラネタリウムの恒星投映機

【課題】 恒星投映機を大型化することなく、投映される恒星像の輝度を高める。
【解決手段】 光源から光ファイバー束により導光される集光レンズ1、投映原板2及び投映レンズ3からなる複数個の恒星投映筒により星空を分割して投映する恒星投映機において、南天側及び北天側のそれぞれの恒星投映筒群P1・・・P16に対してそれぞれ複数個の光源L1、L2を配し、複数個の光源からの光を光ファイバー束LF上で一旦束ねて当該光ファイバー束端面に光源の像を結像した後、各恒星投映筒に接続される複数の光ファイバー束PFに分岐する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はプラネタリウムの恒星投映機に関し、より詳細には恒星投映筒の光源に関する。
【背景技術】
【0002】
プラネタリウムにおいては、全天の恒星を投映するのに、全天を合計32個の面に分割し、集光レンズ、投映原板及び投映レンズからなる南天側及び北天側の各16個の恒星投映筒によりそれぞれの分割面を投映している。
【0003】
一方、光源から光ファイバー束により恒星投映筒に導光することが公知である(公知例としては特許文献1、2)。この場合、南天側及び北天側の各16個の恒星投映筒に対し、それぞれ1個の光源を配していた。
【特許文献1】特開昭62−191818号公報
【特許文献2】特開2001−109063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の従来技術においては投映される恒星像の輝度を高めるには光源の出力を高めなくてはならないが、そのために光源が大型化して、恒星投映筒が大型化する問題があった。プラネタリウムの場合、恒星投映筒が大型化するとドームに対しプラネタリウムの大きさの比率が高まり、プラネタリウム本体により観客の視界が蹴られることとなるので、大型化の問題は決して無視できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は以上の従来技術の問題点に鑑みて創作されたものであり、光源から光ファイバー束により導光される集光レンズ、投映原板及び投映レンズからなる複数個の恒星投映筒により星空を分割して投映する恒星投映筒において、南天側及び北天側のそれぞれの恒星投映筒群に対してそれぞれ複数個の光源を配し、複数個の光源からの光を光ファイバー束上で一旦束ねて当該光ファイバー束端面に光源の像を結像した後、各恒星投映筒に接続される複数の光ファイバー束に分岐したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、複数個の光源からの光を光ファイバー束上で一旦束ねた後、各恒星投映筒に分岐するので、1個の光源により恒星像の輝度を高める場合に比し各光源自体の大きさは小さくて済み、排熱の熱量も小さくて済む。一方、光ファイバー束は可撓性に富み径も小さいので、恒星投映筒中において光源の収容箇所は恒星投映筒の位置に規制されることなく、任意の箇所に設定できる。従って、光源の数が増加しても、個々の光源自体の大きさを小さくでき、排熱経路も分散できるので、大きな光源を1個配する場合に比して設置箇所の自由度が高く、恒星投映筒内の空間を有効に活用して収容することが可能となるので、1個の光源により恒星像の輝度を高める場合に比し恒星投映筒の大きさの増加が少なくて済む効果を生じる。
【0007】
又、複数個の光源からの光は一旦一つに束ねられた後に、各恒星投映筒に分岐されるので、プラネタリウムの上映中に仮に一つの光源のランプが切れても残りの光源により上映を継続できる、事故に対する備えが万全となる。
【0008】
又、複数個の光源のそれぞれにフィルターを挿入して相互の組み合わせを調整することにより、投映される恒星像の色温度補正を容易に行うことも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1はこの発明の恒星投映機の一方の投映球に使用する恒星投映筒群と光源、図2はそれらの光学系を示す図(恒星投映筒群中の一部のみ図示)である。図中符号P1・・P16は恒星投映筒であり、ここでは南天側及び北天側のそれぞれの投映球に対し各16個が配される。各恒星投映筒P1・・P16の鏡筒には集光レンズ1、投映原板2及び投映レンズ3が収容され、集光レンズ側に光ファイバー経路PF1・・PF16が接続される。光ファイバー経路PF1・・PF16は可撓管PC内に光ファイバー束PFを収容した構成よりなる。
【0010】
図中符号L1、L2は光源であり、ここでは南天側及び北天側のそれぞれの投映球に対し各16個が配される恒星投映筒群に対し、それぞれ2個配している。上記の各光源L1、L2のハウジング内にはランプ10及び集光鏡11が収容され、集光鏡側に光ファイバー経路LF1、LF2が接続される。光ファイバー経路LF1、LF2はベローズ等の可撓管LC内に光ファイバー束LFを収容した構成よりなり、他端がコネクタCにより束ねられ、当該光ファイバー束端面に光源の像を結像した後、前記の各恒星投映筒P1・・P16に接続される複数の光ファイバー束PFに分岐される。
【0011】
以上の構成よりなる恒星投映筒群と光源は図3に示すように、恒星球Dの適宜位置に配される。尚、ここでは黄極を受け持つ恒星投映筒P16は恒星球上でなく、その近傍に配している。
【0012】
図示しないが、以上の恒星投映筒群と光源において、光源のそれぞれにフィルターを挿入して相互の組み合わせを調整することにより、投映される恒星像の色温度補正を行う手段としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の恒星投映機の恒星投映筒群と光源の一部切り欠き平面図。
【図2】同上、光学系を示す構成図。
【図3】この発明の恒星投映機の要部の構成図。
【符号の説明】
【0014】
P1・・・P16 恒星投映筒
PF 光ファイバー
L1、L2 光源
LF 光ファイバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から光ファイバー束により導光される集光レンズ、投映原板及び投映レンズからなる複数個の恒星投映筒により星空を分割して投映する恒星投映機において、南天側及び北天側のそれぞれの恒星投映筒群に対してそれぞれ複数個の光源を配し、複数個の光源からの光を光ファイバー束上で一旦束ねて当該光ファイバー束端面に光源の像を結像した後、各恒星投映筒に接続される複数の光ファイバー束に分岐したことを特徴とするプラネタリウムの恒星投映機。
【請求項2】
南天側及び北天側のそれぞれ16個の恒星投映筒群に対してそれぞれ2個の光源を配した 請求項1記載のプラネタリウムの恒星投映機。
【請求項3】
複数個の光源のそれぞれにフィルターを挿入して相互の組み合わせを調整することにより、投映される恒星像の色温度補正を行う手段とした請求項1又は2記載のプラネタリウムの恒星投映機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−18115(P2006−18115A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197241(P2004−197241)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000142894)株式会社五藤光学研究所 (9)
【Fターム(参考)】