説明

プランタの支柱支持具およびそれを用いた植物栽培装置

【課題】プランタの底壁に孔を開ける必要がなく、プランタの大きさが変っても使用することができ、プランタに立てた支柱を簡単に支持することができるプランタの支柱支持具および栽培装置を提供する。
【解決手段】左右の縦材およびそれらの上端近辺の屈曲部からなる逆U字状のひも掛け部11と、そのひも掛け部の両方の下端からそれぞれ前向き、かつ、上向きに折り曲げられた、前記ひも掛け部との間にプランタ14のフランジ16を弾力的に挟着する挟着部12とを備えている、金属線材を折り曲げ加工して構成される支柱支持具10。プランタ14のフランジ16に数個の支柱支持具10を取り付け、プランタ14に入れた用土19に立てた支柱19と支柱支持具10とをひも18で連結した栽培装置21。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプランタの支柱支持具に関する。さらに詳しくは、プランタに植えた植物を支える支柱を倒れないようにプランタに固定するために用いる支柱支持具およびそれを用いた栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プランタに支柱を固定または支持する器具としては、特許文献1〜3に開示されているものが知られている。特許文献1は、支柱を立てる筒状の中空部と、その中空部を立てる脚部とを備えた支柱固定器を開示している。この支柱固定器は、プランタの底壁に孔をあけ、その孔に下から中空部を通して用いる。特許文献2は、特許文献1の支柱固定器とほぼ同様の支柱立て装置であって、プランタの底壁に形成した孔から水や土が漏れないように工夫したものを提案している。
【0003】
特許文献3には、それぞれX字状または三角形状の支持フレームを一対と、それらの支持フレームの下部に固定した矩形状の枠体と、支持フレームの上端同士を連結する横杆とからなるプランタ支持台が開示されている。このプランタ支持台は、枠体をプランタの周囲に嵌合させてプランタに固定し、プランタ内の用土に立てた支柱の上部を針金などで横杆に縛り付けて固定して用いる。
【0004】
特許文献4には、プランタの対向する上開口縁の間に架設体を掛け渡し、その架設体によってプランタの用土に立てた支柱の上部を保持させる技術が開示されている。架設体には多数の孔を形成し、それらの孔に支柱を通して支柱を保持する。
【0005】
特許文献5には、プランタに植える植物を支持する支柱ではなく、プランタを覆うビニールシートを支持する支柱(骨組)を支持するものであるが、プランタの開口縁部に弾力的に取り付ける支柱支持具が開示されている。この支柱支持具は、地面に突き刺しやすい形状(移植ごて状)の本体と、その本体の上端から鉤状に延びる引っ掛け部と、引っ掛け部に取り付けた有底筒状の支柱保持部とからなる。この支柱支持具は、本体をプランタの四隅の内側に沿わせながら用土内に差し込み、引っ掛け部(湾曲部)をプランタの上縁に弾力的に挟持させてプランタに固定する。そして対角の支柱支持具の支柱保持部に支柱の端部を差し込み、アーチ状に撓ませて支持させる。そしてアーチ状に撓ませた2本の支柱でビニールシートを被せる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−327513号公報
【特許文献2】特開2003−92930号公報
【特許文献3】特開平9−103351号公報
【特許文献4】特開2007−151402号公報
【特許文献5】特開平9−187173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の支柱固定器や特許文献2の支柱立て装置は、プランタの底壁に孔をあけて用いるので、同じプランタを他の植物の栽培に使用するときに、使いにくい。特許文献3のプランタ支持台は、プランタに孔をあけずに使用することができるが、かなり大がかりな設備となり、大きさが異なるプランタには使えない。特許文献4の架設体は支柱をしっかりと保持することができ、プランタ自体を補強することもできる。しかしこのものもプランタの大きさが変るとそれに応じて適切な長さの架設体を用意する必要がある。特許文献5の支柱支持具は、プランタの開口縁部に弾力的に取り付けることができるので、プランタの大きさが変っても使用できる。しかしプランタの中央部に立てた支柱を簡単に支えることができない。
【0008】
本発明はプランタの底壁に孔を開ける必要がなく、また、プランタの大きさが変っても使用することができ、プランタの周辺部および中央近辺に立てた支柱を簡単に支持することができるプランタの支柱支持具を提供することを技術課題としている。さらに本発明は、支柱を簡単に支持することができる栽培装置を提供することを技術課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプランタの支柱支持具(請求項1)は、左右の縦材およびそれらの上端近辺の屈曲部からなるひも掛け部と、そのひも掛け部の両方の下端からそれぞれ前向き、かつ上向きに延びる、前記ひも掛け部との間にプランタの下向きのフランジを弾力的に挟着する挟着部とを備えていることを特徴としている。このようなプランタの支柱支持具は、前記挟着部の上端近辺が、ひも掛け部から離れるように折り曲げられているものが好ましい(請求項2)。いずれの場合でも、金属線材を湾曲ないし折り曲げ加工して構成されるものが好ましい(請求項3)。
【0010】
前記いずれの支柱支持具においても、前記ひも掛け部が上端で左右がつながった逆U字状を呈するものとすることができる(請求項4)。また、前記挟着部の上端が左右でつながっているものとすることもできる(請求項5)。
【0011】
本発明の栽培装置(請求項6)は、上端の周囲が下向きに曲がったフランジとされているプランタと、そのプランタに入れられた用土と、その用土に立てられる支柱と、前記プランタのフランジに取り付けられる前記いずれかの支柱支持具と、その支柱支持具と前記支柱との間に掛けられるひもとからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のプランタの支柱支持具(請求項1)は、プランタの上端周縁から湾曲して下向きに伸びているフランジの内面に挟着部を挿入し、挟着部とひも掛け部とでフランジを挟着させることにより、プランタに取り付ける。そしてひも掛け部にひもを通し、そのひもでプランタ内の用土に立てた支柱を引っ張るようにして固定する。なお、1本の支柱を、互いに逆方向に引っ張るひもと支柱支持具で支えると、一層安定して固定することができる。また、複数の支柱にひもをかけて互いに引っ張らせ、それぞれの支柱を支柱支持具とひもによって外向きに引っ張ることにより、プランタに固定することもできる。プランタが軽い場合は、複数個の支柱支持具をプランタに取り付け、支柱支持具のひも掛け部にひもを掛け、プランタを吊ることもできる。
【0013】
前記挟着部の上端近辺がひも掛け部から離れるように折り曲げられている場合(請求項2)は、挟着部をプランタの下向きのフランジに引っ掛けて、そのまま上向きに引き上げるだけで、支柱支持具をプランタのフランジに取り付けることができる。前記いずれの場合でも、金属線材を湾曲ないし折り曲げ加工して構成したもの(請求項3)は、シンプルで製造が容易である。ひも掛け部が上端で左右がつながった逆U字状を呈している場合(請求項4)は、ひも掛け部の中にひもを通して結びつけることにより、ひもをしっかりと固定することができる。また、挟着部の上端が左右でつながっているもの(請求項5)は、プランタのフランジにしっかりと取り付けることができる。
【0014】
本発明の植物栽培装置(請求項6)は、前述の支柱支持具を備えているので、簡単な作業で支柱をしっかりと支持することができる。
つぎに図面を参照しながら本発明のプランタの支柱支持具の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のプランタの支柱支持具の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の支柱支持具の正面図である。
【図3】図1の支柱支持具の側面図である。
【図4】図1の支柱支持具のプランタへの取り付け方法を示す断面図である。
【図5】図1の支柱支持具の使用状態を示す斜視図である。
【図6】図1の支柱支持具を用いた本発明の栽培装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の支柱支持具の他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示す支柱支持具10は、逆U字状のひも掛け部11と、そのひも掛け部の左右の下端から前方に湾曲し、さらに上向きに延びる左右一対の挟着部12とを備えている。この支柱支持具10は、たとえばステンレス鋼などの弾力性および耐候性を有する金属の線材を折り曲げ加工することにより、製造することができる。ステンレス鋼などの弾力性および耐候性を有する金属の板材を切断し、湾曲することによっても製造することができる。
【0017】
図2に示すように、支柱支持具10のひも掛け部11は、左右の縦材11aとそれらの上端同士を連結するほぼ半円状に湾曲した屈曲部11bとからなる。左右の縦材11b同士の間隔は下に向かってわずかに拡がっている。ただし平行であってもよい。図3に示すように、挟着部12の下部12aは、ひも掛け部11が構成する面P1に対して湾曲しながら略直角に立ち上がっている。そして上にいくにしたがってひも掛け部との隙間が次第に狭くなっている。さらに上端近辺12bではひも掛け部11から離れる向きに屈曲している。なお、図2に示すように、挟着部12はひも掛け部11に沿って延びている。そのため、プランタのフランジを挟着部12とひも掛け部11でしっかりと挟むことができる。
【0018】
上記のように構成される支柱支持具10をプランタに取り付けるには、図4に示すように、プランタ14の上端開口部15から外向き、かつ、下向きに湾曲するフランジ16の下側に支柱支持具10を配置し、その状態から挟着部12をフランジ16の内側に滑らせるようにして上向きに引き上げる。それにより、挟着部12とひも掛け部11とでフランジ16を弾力的に挟み込み、脱落しないように取り付けることができる。その場合、挟着部12の上端近辺12bがひも掛け部11から離れる向きに屈曲しているので、挟着部12の上端をフランジ16の内側に滑らせるのが容易であり、支柱支持具10を引き上げていくだけで挟着させることができる。フランジ16に補強用のリブ17が設けられている場合は、支柱支持具10はリブ17を避けて、あるいは跨ぐように取り付ける。
【0019】
プランタ14に取り付けた支柱支持具10を用いて支柱を支持するには、たとえば図5に示すように、まず支柱支持具10のひも掛け部11の内部に外側からループ状にしたひも18を通す。そしてそのひも18のループ内に支柱19を通し、支柱19の下端を用土20に差し込む。あらかじめ用土20に差し込んでいる支柱19にひも18を掛けるようにしてもよい。ひも18は弛まないように充分に引っ張ってからひも掛け部11の外側に回し、その内側で互いに結んだり、あるいは他の支柱に掛け回して結んだりすることにより、支柱支持具10と支柱19とをひも18で締結する。
【0020】
通常は図6に示すように、1個のプランタ14には複数本の支柱19を立てる。そしてプランタ14のフランジ16には、多数の支柱支持具10を取り付けて、それぞれ近くの支柱19とひも18で連結し、プランタ14の外周縁の側に引き寄せる。さらに複数の支柱19に対し、支柱同士を互いに引き寄せるように他のひも21を掛け回し、支柱18を反対側に引っ張るようにする。それにより、内向きの引き力と外向きの引き力とが釣り合って、支柱18が安定して支持される。なお、1本のひもを掛け回して複数本の支柱18を内向きおよび外向きに引っ張るようにすることもできる。
【0021】
周囲に他の支柱がない場合は、複数個の支柱支持具10をプランタ14のフランジ16の対向する2〜4個所に取り付け、それらの支柱支持具10に掛け回した1本あるいは複数本のひも18で支柱19を引っ張り、固定すればよい。図6のプランタ14、その中に入れられた用土20、その用土に差し込んだ支柱19、ひも18および複数個の支柱支持具10は、全体として本発明の栽培装置の実施形態である。
【0022】
上記の支柱19としては、金属棒の周囲に合成樹脂被覆を設けた市販品や、竹などの木製の棒や金属製の棒など、従来公知のものを用いることができる。プランタ14としては、合成樹脂製の市販品などを用いることができる。ひも18は耐水性、耐久性が高いものであれば、荷造り用のひもなど、公知のひもを用いることができる。ゴムひもあるいは針金を採用してもよい。プランタ14や用土が軽い場合は、丈夫なひもを支柱支持具10に通し、プランタ全体を吊すこともできる。
【0023】
図1の支柱支持具10では、左右の挟着部12が離れており、ひも掛け部11の上端が連続している。しかし本発明の支柱支持具はこれに限定されるものではなく、たとえば図7に示す支柱支持具22のように、左右の挟着部12同士を渡し部23で連続させ、ひも掛け部11の上端が左右で分離しているものであってもよい。
【0024】
図7の支柱支持具22では、ひも掛け部11の上端をそれぞれ外向きに折り曲げて引っ掛け部24としている。しかし想像線25で示すように、互いに向き合うように内向きに折り曲げた引っ掛け部とすることもできる。
【符号の説明】
【0025】
10 支柱支持具
11 ひも掛け部
11a 縦材
11b 屈曲部
12 挟着部
12a 下部
12b 上端近辺
14 プランタ
15 上端開口部
16 フランジ
17 リブ
18 ひも
19 支柱
20 用土
21 他のひも
22 支柱支持具
23 渡し部
24、25 引っ掛け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦材およびそれらの上端近辺の屈曲部からなるひも掛け部と、
そのひも掛け部の両方の下端からそれぞれ前向き、かつ上向きに延びる、前記ひも掛け部との間にプランタの下向きのフランジを弾力的に挟着する挟着部
とを備えている、プランタの支柱支持具。
【請求項2】
前記挟着部の上端近辺が、ひも掛け部から離れるように折り曲げられている請求項1記載のプランタの支柱支持具。
【請求項3】
金属線材を湾曲ないし折り曲げ加工して構成される請求項1または2記載のプランタの支柱支持具。
【請求項4】
前記ひも掛け部が上端で左右がつながった逆U字状を呈している請求項1、2または3記載のプランタの支柱支持具。
【請求項5】
前記挟着部の上端が左右でつながっている請求項1、2または3記載のプランタの支柱支持具。
【請求項6】
上端の周囲が下向きに曲がったフランジとされているプランタと、そのプランタに入れられた用土と、その用土に立てられる支柱と、前記プランタのフランジに取り付けられる請求項1〜5のいずれかに記載の支柱支持具と、その支柱支持具と前記支柱との間に掛けられるひもとからなる栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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