説明

プラント設備機器のメンテナンス方法及びそのシステム

【課題】設備機器に装着されたRFIDタグに格納された設備関連情報に基づき、設備機器のメンテナンスに必要な部品に関する設備関連情報を収集して、設備機器に関する部品情報を準備しうるプラント設備機器のメンテナンス方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】メンテナンス事業者11がメンテナンスを行うプラントの設備機器13についての設備関連情報を携帯端末機15にダウンロードするステップ16と、上記プラントにおいてメンテナンスを希望する各設備機器に装着されたRFIDタグ17に格納された設備関連情報18を上記携帯端末機により読み取るステップ19と、読み取られたRFIDタグの設備関連情報とダウンロードされた設備関連情報とを照合するステップ20と、メンテナンス事業者側において、上記携帯端末機に記憶された設備関連情報に基づきメンテナンスに必要な部品情報を準備するステップ22とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製造プラント設備に配設されている設備機器の設備関連情報を準備しうるプラント設備機器のメンテナンス方法及びそのシステムに係り、特に、特定した設備機器に関する設備関連情報をメンテナンス事業者がデータベースから収集してメンテナンスに必要な部品情報を準備しうるプラント設備機器のメンテナンス方法及びそのシステムに関する。
【0002】
従来、サニタリープラント設備における各設備機器やその構成部品のメンテナンスにおいては、メンテナンス事業者が保有する各設備機器が記載された紙媒体のシート上に工場側が手書きでメンテナンス範囲を指定することにより、その選択範囲に基づいて、メンテナンス事業者が保有する、指定された設備機器の各構成部品に関する情報を部品情報データベースから入手することによりメンテナンス部品に関する情報を顧客に提供していた。
しかしながら、紙媒体のシート上にメンテナンス範囲を指定する場合、顧客にとって煩雑であると共に、選択範囲が大まかであったり不明確であることにより顧客が選択した設備機器を誤る可能性を有している。
一方、近年、製造プラントにおける設備管理システムとして、製造プラントの各設備機器にRFIDタグを装着して、RFIDタグに各設備機器に関する情報を格納し、上記RFIDタグの情報を読み取り/書き込み可能な携帯端末機により、各設備機器を管理する技術が提案されている。
このような製造プラントの各設備機器に装着されたRFIDタグに格納された設備関連情報を利用して、メンテナンス事業者が保有する設備機器の各構成部品に関する情報が格納された設備関連情報データベースから部品情報を顧客に提供できれば、従来のような事態が解消されると共に、メンテナンス範囲の設備機器について、RFIDタグを読み取ることにより、メンテナンス事業者と顧客との間で実際に設置されている設備機器についての確認を確実に行うことができ、それに基づいた部品情報を提供できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明の課題は、設備機器に装着されたRFIDタグに格納された設備関連情報に基づき特定した設備機器に関して、メンテナンス事業者が、特定された設備機器のメンテナンスに必要な部品に関する設備関連情報をデータベースから収集して設備機器に関する部品情報を準備しうるプラント設備機器のメンテナンス方法及びそのシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような課題を解決するために、請求項1記載の発明は、メンテナンス事業者がメンテナンスを行うプラントの設備機器についての設備関連情報を携帯端末機にダウンロードするステップと、上記携帯端末機を携帯したメンテナンス事業者が上記プラントにおいて、プラント側がメンテナンスを希望する各設備機器に装着されたRFIDタグに格納された設備関連情報を上記携帯端末機により読み取るステップと、上記携帯端末機により読み取られたRFIDタグの設備関連情報と上記携帯端末機にダウンロードされた設備関連情報とを照合するステップと、メンテナンス事業者側において、上記携帯端末機に記憶された設備関連情報に基づきメンテナンスに必要な部品情報を準備するステップとを備えたことを特徴とする。
従って、上記携帯端末機により読み取られたRFIDタグの情報と上記携帯端末機にダウンロードされた情報とを照合するステップにより照合された設備関連情報に基づいてメンテナンスに必要な部品情報を準備することができる。
【0005】
請求項2記載の発明は、プラント側サイトとメンテナンス事業者側サイトを備え、プラントの各設備機器に装着されると共に設備機器に関する設備関連情報が格納されたRFIDタグと、上記RFIDタグの設備関連情報を読み取り可能な携帯端末機とを有し、上記メンテナンス事業者側サイトは、プラントの設備機器に関する設備関連情報が格納された設備関連情報データベースを有すると共に、上記携帯端末機に記憶された設備関連情報を参照してメンテナンスが要求されている設備機器に関する部品リストを作成する部品リスト作成ソフトウェアを格納したサーバを有することを特徴とする。
従って、上記RFIDタグの設備関連情報を携帯端末機により読み取ることにより、上記設備関連情報に基づき、メンテナンスが要求されている設備機器に関する部品リストを作成することができる。
【0006】
請求項3記載の発明は、上記メンテナンス事業者側サイトは、上記設備関連情報データベースに格納された設備機器の設備関連情報を上記携帯端末機にダウンロードするダウンロードソフトウェアを格納したサーバを有し、上記携帯端末機は、上記メンテナンスを希望する特定の設備機器に関する上記RFIDタグに記憶された設備関連情報と、上記ダウンロードソフトウェアによりダウンロードされた設備機器の設備関連情報とを照合する照合ソフトウェアを有することを特徴とする。
従って、上記携帯端末機は、上記メンテナンスを希望する特定の設備機器に関する上記RFIDタグに記憶された設備関連情報と、上記ダウンロードソフトウェアによりダウンロードされた設備機器の設備関連情報とを照合ソフトウェアにより照合することにより、メンテナンスが要求されている特定の設備機器を確認することができる。
【0007】
請求項4記載の発明は、上記設備関連情報は、プラントの各設備機器の仕様データ、機器の形式データ、機器の設置場所データ、又はメンテナンス履歴データであることを特徴とする。
従って、プラントの各設備機器の仕様データ、機器の形式データ、機器の設置場所データ、又はメンテナンス履歴データから必要な情報を抽出して、メンテナンスに必要な部品リストを作成することができる。
【0008】
請求項5記載の発明は、上記携帯端末機は、PDAであることを特徴とする。
従って、上記携帯端末機は、RFIDタグの設備関連情報を読み取り可能なPDAであれば良く、様々な汎用のPDAを適用することができる。
【0009】
請求項6記載の発明は、上記プラントは、流体製品製造プラントであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明にあっては、上記携帯端末機により読み取られたRFIDタグの情報と上記携帯端末機にダウンロードされた情報とを照合するステップにより照合された設備関連情報に基づいてメンテナンスに必要な部品情報を準備することができることから、プラント側がメンテナンスを要請している設備機器を確実に特定することができる。
その結果、メンテナンスに必要な部品情報を確実かつ迅速に準備することができる。
【0011】
請求項2記載の発明にあっては、上記RFIDタグの設備関連情報を携帯端末機により読み取ることにより、上記設備関連情報に基づき、メンテナンスが要求されている設備機器に関する部品リストを作成することができることから、プラント側がメンテナンスを要請している設備機器を確実に特定することができる。
その結果、メンテナンスに必要な部品リストを確実かつ迅速に準備することができる。
【0012】
請求項3記載の発明にあっては、上記携帯端末機は、上記メンテナンスを希望する特定の設備機器に関する上記RFIDタグに記憶された設備関連情報と、上記ダウンロードソフトウェアによりダウンロードされた設備機器の設備関連情報とを照合ソフトウェアにより照合することにより、メンテナンスが要求されている特定の設備機器を間違いなく確実に確認することができる。例えば、メンテナンス事業者側サイト25の管理外において、プラント側サイト24が保有する設備機器に関して、交換・変更・改造工事等がある場合も事実上ありうるが、上記設備関連情報30,27を照合することにより、メンテナンス事業者側サイト25とプラント側サイト24とがメンテナンスを希望する最新の設備機器を間違いなく確実に特定することができる。
【0013】
請求項4記載の発明にあっては、プラントの各設備機器の仕様データ、機器の形式データ、機器の設置場所データ、又はメンテナンス履歴データから必要な情報を抽出して、メンテナンスに必要な部品リストを作成することができることから、様々な情報からより適切な部品リストを作成することができるプラント設備機器のメンテナンスシステムを提供することができる。
【0014】
請求項5記載の発明にあっては、上記携帯端末機は、RFIDタグの設備関連情報を読み取り可能なPDAであれば良く、様々な汎用のPDAを適用することができることから、システムを構成することに要するコストを低減できるプラント設備機器のメンテナンスシステムを提供することができる。
【0015】
請求項6記載の発明にあっては、上記プラントは、流体製品製造プラントであることから、流体製品製造プラントに用いられる設備機器、例えば、バルブ装置、ポンプ、タンク、フィルタ、工業計器等の設備機器に関するメンテナンスに必要な部品リストを確実かつ迅速に準備することができるプラント設備機器のメンテナンスシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るプラント設備機器のメンテナンス方法10は、メンテナンス事業者11がメンテナンスを行うプラントの設備機器13についての設備関連情報14を携帯端末機15にダウンロードするステップ16と、上記携帯端末機15を携帯したメンテナンス事業者11が上記プラントにおいて、プラント側12がメンテナンスを希望する各設備機器13に装着されたRFIDタグ17に格納された設備関連情報18を上記携帯端末機15により読み取るステップ19と、上記携帯端末機15により読み取られたRFIDタグの設備関連情報18と上記携帯端末機15にダウンロードされた設備関連情報14とを照合するステップ20と、メンテナンス事業者11側において、上記携帯端末機15に記憶された設備関連情報18に基づきメンテナンスに必要な部品情報21を準備するステップ22とを備えている。
【0017】
また、図2に示すように、本実施の形態に係るプラント設備機器のメンテナンスシステム23は、プラント側サイト24とメンテナンス事業者側サイト25を備え、プラントの各設備機器26に装着されると共に設備機器26に関する設備関連情報27が格納されたRFIDタグ28と、上記RFIDタグ28の設備関連情報27を読み取り可能な携帯端末機29とを有し、上記メンテナンス事業者側サイト25は、プラントの設備機器に関する設備関連情報30が格納された設備関連情報データベース31を有すると共に、上記携帯端末機29に記憶された設備関連情報27を参照してメンテナンスが要求されている設備機器26に関する部品リスト32を作成する部品リスト作成ソフトウェア33を格納したサーバ34を有している。
また、上記メンテナンス事業者側サイト25は、上記設備関連情報データベース31に格納された設備機器の設備関連情報30を上記携帯端末機29にダウンロードするダウンロードソフトウェア35を格納したサーバ36を有し、上記携帯端末機29は、上記メンテナンスを希望する特定の設備機器26に関する上記RFIDタグ28に記憶された設備関連情報27と、上記ダウンロードソフトウェア35によりダウンロードされた設備機器の設備関連情報30とを照合する照合ソフトウェア37を有している。
また、上記設備関連情報27,30は、プラントの各設備機器の仕様データ、機器の形式データ、機器の設置場所データ、又はメンテナンス履歴データにより構成されている。
また、上記携帯端末機29は、PDAにより構成されている。
また、上記プラントは、流体製品製造プラントにより構成されている。
【実施例】
【0018】
図1に示すように、本実施例に係るプラント設備機器のメンテナンス方法10は、まず、メンテナンス事業者11が、プラント側12のプラントの設備機器13についての設備関連情報14を携帯端末機15にダウンロードするステップ16により、設備機器情報14を上記携帯端末機15にダウンロードする。
この設備関連情報14を携帯端末機15にダウンロードするステップ16は、プラント側12のプラントの設備機器13についての設備関連情報14が格納された設備関連情報データベース38から最新の設備関連情報14を携帯端末機15にダウンロードすることにより行われる。
この場合、上記携帯端末機14にダウンロードされたメンテナンス事業者11が保有する最新の設備関連情報14をプラント側へ携帯することにより、例えば、メンテナンス事業者11の管理外において、プラント側が保有する設備機器の交換・変更・改造工事等があった場合であっても、ダウンロードされた最新の設備関連情報14に基づいて、設備機器に関する状況を正確に把握することができる。
【0019】
その後、上記携帯端末機15を携帯したメンテナンス事業者11が上記プラントにおいて、プラント側12がメンテナンスを希望する各設備機器13に装着されたRFIDタグ17に格納された設備関連情報18を上記携帯端末機15により読み取るステップ19により、上記RFIDタグ17に格納された設備関連情報18を携帯端末機15により読み取る。
この上記携帯端末機15により読み取るステップ19は、上記携帯端末機15を持参したメンテナンス事業者11がプラント側12に出向き、各設備機器に装着されたRFIDタグ17に格納された最新の設備関連情報18を読み取ることにより行われる。
ここで、RFIDタグ17に格納された設備関連情報18には、プラントの各設備機器の仕様データ、機器の形式データ、機器の設置場所データ、又はメンテナンス履歴データが含まれ、この上記RFIDタグ17がプラントの各設備機器に装着されることにより、各設備機器に関する設備関連情報18は、上記RFIDタグ17により管理されている。
また、上記携帯端末機15は、上記RFIDタグ17の設備関連情報18を読み取り可能に構成されており、上記各設備機器に装着された上記RFIDタグ17の設備関連情報18を携帯端末機15により読み取ることにより、各設備機器に関する最新の設備機器情報18を確認することができる。
【0020】
次に、上記携帯端末機15により読み取られたRFIDタグ17の設備関連情報18と上記携帯端末機15にダウンロードされた設備関連情報14とを照合するステップ20により、上記携帯端末機15により読み取られたRFIDタグの設備関連情報18と上記携帯端末機15にダウンロードされた設備関連情報14とを照合する。
この上記照合するステップ20は、最新の設備機器情報18が格納されたRFIDタグが各設備機器に装着されていることから、上記携帯端末機15により読み取られた最新の設備機器に関するRFIDタグ17の設備関連情報18と、メンテナンス事業者11側が保有する携帯端末機15にダウンロードされた設備関連情報14とを照合することにより行われ、メンテナンス事業者11とプラント側12とがメンテナンスを希望する最新の設備機器を間違いなく確実に特定することができる。
ここで、上記携帯端末機15により読み取られたRFIDタグの設備関連情報18と上記携帯端末機15にダウンロードされた設備関連情報14とを照合する意義について以下に説明する。
上記設備関連情報14,18を照合する意義は、プラント側12がメンテナンスを希望する設備機器の設備関連情報18とメンテナンス事業者側11が保有する設備関連情報14との差異を確認することにより、差異が生じたことの疑問点を事前に確認することができ、メンテナンス事業者側11のリスクを低減できるためである。
例えば、プラント側12がバルブ装置等を交換していた場合、その交換したバルブ装置等が適切なバルブ装置等でない可能性もあり、メンテナンス事業者側11がメンテナンスに必要な部品を準備する前に、事前に、プラント側12の設備機器に関する状況を正確に把握したい場合がある。
この場合、事前に、プラント側12から設備機器に関する設備関連情報18を得ることはできるが、プラント側12の発注部門、現場作業部門、保全部門との間の情報共有がなされていない場合には、その場合のリスクは、メンテナンス事業者側11が負うことになる。
従って、設備機器に関する状況の現状を再確認する一つの指標として、プラント側12がメンテナンスを希望する設備機器の設備関連情報18とメンテナンス事業者側11が保有する設備関連情報14とを比較することにより、メンテナンス事業者側11がプラント側12の設備機器に関する現状を正確に把握できることができる。
また、例えば、他のメンテナンス事業者がメンテナンスを実施した場合、他のメンテナンス事業者を採用した理由等の営業的視点での情報を収集できることから、メンテナンスに関する営業業務を支援することもできる。
また、プラント側12が独自にメンテナンス作業を行った実績が照合することにより見受けられた場合には、メンテナンス事業者側11がプラント側12への確認を行うことができるので、差異が生じている設備機器に関するそれまでの経緯の把握することもできる。
このように、メンテナンス事業者側11の管理外において、設備機器についての経緯を把握することにより、メンテナンス事業者11は、より確実なメンテナンスに関する段取りを行うことができ、情報を収集することができるので、その結果、メンテナンスに関するリスクを低減することができる。
【0021】
その後、メンテナンス事業者11が上記携帯端末機15をメンテナンス事業者11側へ携帯することにより、メンテナンス事業者11側において、上記携帯端末機15に記憶された設備関連情報18に基づきメンテナンスに必要な部品情報21を準備するステップ22により、メンテナンスに必要な部品情報21を準備する。
この上記メンテナンスに必要な部品情報21を準備するステップ22は、メンテナンス事業者11が、メンテナンスを希望する設備機器に関するRFIDタグ17の設備関連情報18が記憶された上記携帯端末機15をメンテナンス事業者11側に持ち帰ることにより、メンテナンス事業者11側において行われ、上記携帯端末機15に記憶された設備関連情報18に基づきメンテナンスに必要な部品情報21を準備する。
従って、メンテナンス事業者11とプラント側12により特定されたメンテナンスを希望する最新の設備機器に基づいて、迅速かつ確実にメンテナンスに必要な部品情報21を準備することができる。
【0022】
また、上記部品情報21には、例えば、プラント側へ提供するプラント側への提供データ39や、メンテナンス事業者がメンテナンス作業時に必要となるメンテナンス事業者活用データ40等がある。
例えば、上記プラント側への提供データ39には、見積書、メンテナンス仕様書等が含まれ、上記メンテナンス事業者活用データ40には、設備機器を構成している品目、品目毎の金額、納期、製造指図コード、マニュアル、メンテナンス時のチェックリスト、図面番号、品目毎の材質、前回メンテナンス実施日時と交換品目リスト及び担当者名、標準メンテナンス作業時間等がある。
【0023】
ここで、プラント設備機器のメンテナンス方法10において、メンテナンスが要求されている設備機器に関する部品情報21を準備する手順について説明する。
まず、図1に示すように、メンテナンス事業者11は、プラント側12のプラントの設備機器13についての設備機器情報14を、設備関連情報データベース38から上記携帯端末機15にダウンロードするステップ16によりダウンロードする。
その後、メンテナンス事業者11が保有する最新の設備関連情報14がダウンロードされた携帯端末機15をメンテナンス事業者11がプラント側12へ携帯し、プラント側12の立ち会いの下、プラントの設備機器に装着されたRFIDタグ17の設備関連情報18を携帯端末機15により読み取る。
そして、メンテナンス事業者11が保有する最新の設備関連情報14と上記携帯端末機15に読み取られた上記RFIDタグ17の設備関連情報18とを、プラント側12の立ち会いの下、照合する。
この場合、メンテナンス事業者11が保有する最新の設備関連情報14とプラント側12のRFIDタグ17の設備関連情報18とを照合することにより、例えば、メンテナンス事業者11の管理外において、例えば、プラント側12が独自にメンテナンスを実施した、バルブ装置の配置を変更した、改造工事を行った、バルブ装置を入れ替えた、バルブ装置を交換した等の作業があった場合に、メンテナンス作業を行う前に、上記設備関連情報14,18を照合の結果による差異によりメンテナンス事業者11とプラント側12との間で間違いなく正確に把握することができる。
また、メンテナンス事業者11は、上記設備関連情報14,18の照合により、プラント側12が保有する設備機器に関する現状を正確に把握することができる。
その結果、差異が生じたことの疑問を事前に確認することができ、メンテナンス事業者側11のリスクを低減させることができる。
例えば、プラント側12がバルブ装置等を交換していた場合、その交換したバルブ装置等が適切なバルブ装置等でない可能性もあり、メンテナンス事業者側11がメンテナンスに必要な部品を準備する前に、事前に、プラント側12の設備機器に関する状況を正確に把握したい場合がある。
この場合、事前に、プラント側12から設備機器に関する設備関連情報18を得ることはできるが、プラント側12の発注部門、現場作業部門、保全部門との間の情報共有がなされていない場合には、その場合のリスクは、メンテナンス事業者側11が負うことになる。
従って、設備機器に関する状況の現状を再確認する一つの指標として、プラント側12がメンテナンスを希望する設備機器の設備関連情報18とメンテナンス事業者側11が保有する設備関連情報14とを比較することにより、メンテナンス事業者側11がプラント側12の設備機器に関する現状を正確に把握できる。
また、例えば、他のメンテナンス事業者がメンテナンスを実施した場合、他のメンテナンス事業者を採用した理由等の営業的視点での情報を収集できることから、メンテナンスに関する営業業務を支援することもできる。
また、プラント側12が独自にメンテナンス作業を行った実績が照合することにより見受けられた場合には、メンテナンス事業者側11がプラント側12への確認を行うことができるので、差異が生じている設備機器に関するそれまでの経緯の把握することもできる。
このように、メンテナンス事業者側11の管理外において、設備機器についての経緯を把握することにより、メンテナンス事業者側11は、より確実なメンテナンスに関する段取りを行うことができ、情報を収集することができるので、その結果、メンテナンスに関するリスクを低減することができる。
その後、上記設備関連情報14,18の照合によりメンテナンスを希望する設備機器と判断された場合には、上記携帯端末機15により読み取られた上記RFIDタグ17の設備関連情報18を上記携帯端末機15に記憶させる。
【0024】
そして、上記携帯端末機15に記憶された設備関連情報18に基づきメンテナンスに必要な部品情報21を準備するステップ22により、メンテナンス事業者側11において、上記携帯端末機15に記憶された設備関連情報18に基づきメンテナンスに必要な部品情報21を準備する。
従って、プラント側12がメンテナンスを要請している設備機器を確実に特定することができ、その結果、メンテナンスに必要な部品情報21を確実かつ迅速に準備することができる。
【0025】
上記プラント設備機器のメンテナンス方法10は、図2に示すプラント設備機器のメンテナンスシステム23により実現される。
以下、プラント設備機器のメンテナンスシステム23を説明する。
図2に示すように、プラント設備機器のメンテナンスシステム23は、プラント側サイト24とメンテナンス事業者側サイト25を備えている。
また、プラントの各設備機器26に装着されると共に設備機器26に関する設備関連情報27が格納されたRFIDタグ28と、上記RFIDタグ28の設備関連情報27を読み取り可能な携帯端末機29とを有している。
また、上記携帯端末機29はPDAであり、上記PDAは汎用の各種PDAであってRFIDタグ28に格納された設備関連情報27を読み取りが可能に構成されていれば全てに適用することができる。
【0026】
上記メンテナンス事業者側サイト25は、プラントの設備機器に関する設備関連情報30が格納された設備関連情報データベース31を有し、上記設備関連情報データベース31に格納された設備機器の設備関連情報30を上記携帯端末機29にダウンロードするダウンロードソフトウェア35を格納したサーバ36と、上記携帯端末機29に記憶された設備関連情報27を参照してメンテナンスが要求されている設備機器26に関する部品リスト32を作成する部品リスト作成ソフトウェア33を格納したサーバ34とを有している。
上記設備関連情報データベース31には、メンテナンス事業者側サイト25が保有する最新の設備関連情報30が格納されている。
また、上記設備関連情報27,30は、プラントの各設備機器の仕様データ、機器の形式データ、機器の設置場所データ、又はメンテナンス履歴データにより構成されている。
そして、このメンテナンス事業者側サイト25が保有する最新の設備関連情報30は上記ダウンロードソフトウェア35により上記設備関連情報データベース31から上記携帯端末機29にダウンロードしうるように構成されている。
また、上記部品リスト作成ソフトウェア33により、メンテナンスが要求されている設備機器26に関する部品リスト32を作成しうるように構成されている。
また、上記部品リスト32には、上記プラント設備機器のメンテナンス方法10の場合と同様に、例えば、プラント側へ提供するプラント側への提供データ41や、メンテナンス事業者がメンテナンス作業時に必要となるメンテナンス事業者活用データ42等がある。
【0027】
また、上記携帯端末機29は、読み取った上記RFIDタグ28の設備関連情報27と、上記ダウンロードソフトウェア35によりダウンロードされた設備機器の設備関連情報30とを照合する照合ソフトウェア37を有している。
上記照合ソフトウェア37により上記設備関連情報30,27を照合することにより、例えば、メンテナンス事業者側サイト25の管理外において、プラント側サイト24が保有する設備機器に関して、交換・変更・改造工事等がある場合も事実上ありうるが、メンテナンス事業者側サイト25とプラント側サイト24とがメンテナンスを希望する最新の設備機器を間違いなく確実に特定することができる。
また、メンテナンス事業者25は、上記設備関連情報30,27を照合することにより、プラント側12が保有する設備機器に関する現状を正確に把握することができる。
【0028】
また、上記プラントは、流体製品製造プラントにより構成されている。
従って、プラントの設備機器として、図2に示すようなバルブ装置の他、流体製品製造プラントに配設される設備機器、例えば、熱交換器、ポンプ装置、管路等であり、RFIDタグが装着されることにより管理されている全ての設備機器に適用することができる。
【0029】
ここで、プラント設備機器のメンテナンスシステム23において、メンテナンスが要求されている設備機器に関する部品リスト32を作成する手順について説明する。
まず、プラント事業者サイト25において、設備関連情報データベース31に格納されたプラント側サイト24が保有するプラントの設備機器に関する最新の設備関連情報30を、サーバー36に格納されたダウンロードソフトウェア35により、携帯端末機29にダウンロードする。
その後、上記設備関連情報30がダウンロードされた上記携帯端末機29により、プラント側サイト24において、プラントの各設備機器に装着されたRFIDタグ28に格納された設備関連情報28を読み取る。
この場合、各設備機器に装着されたRFIDタグ28に格納された設備関連情報28を読み取ることにより、各設備機器に関する最新の設備機器情報28を上記携帯端末機29で確認することができる。
【0030】
そして、上記携帯端末機29の照合ソフトウェア37により、上記メンテナンスを希望する特定の設備機器26に関する上記RFIDタグ28に記憶された設備関連情報27と、上記ダウンロードソフトウェア35によりダウンロードされた設備機器の設備関連情報30とを照合する。
この場合、メンテナンス事業者サイト25が保有する最新の設備関連情報30とプラント側サイト24のRFIDタグ28の設備関連情報27とを照合することにより、例えば、メンテナンス事業者側サイト25の管理外において、例えば、プラント側サイト24が独自にメンテナンスを実施した、バルブ装置の配置を変更した、改造工事を行った、バルブ装置を入れ替えた、バルブ装置を交換した等の作業があった場合に、メンテナンス作業を行う前に、上記設備関連情報27,30を照合の結果による差異によりメンテナンス事業者側サイト25とプラント側サイト24との間で間違いなく正確に把握することができる。
また、メンテナンス事業者サイト24は、上記設備関連情報30,27を照合することにより、プラント側サイト24が保有する設備機器に関する現状を正確に把握することができる。
その結果、差異が生じたことの疑問を事前に確認することができ、メンテナンス事業者のリスクを低減させることができる。
例えば、プラント側サイト24がバルブ装置等を交換していた場合、その交換したバルブ装置等が適切なバルブ装置等でない可能性もあり、メンテナンス事業者側サイト25がメンテナンスに必要な部品を準備する前に、事前に、プラント側サイト24の設備機器に関する状況を正確に把握したい場合がある。
この場合、事前に、プラント側サイト24から設備機器に関する設備関連情報27を得ることはできるが、プラント側サイト24の発注部門、現場作業部門、保全部門との間の情報共有がなされていない場合には、その場合のリスクは、メンテナンス事業者が負うことになる。
従って、設備機器に関する状況の現状を再確認する一つの指標として、プラント側サイト24がメンテナンスを希望する設備機器の設備関連情報27とメンテナンス事業者側サイト25が保有する設備関連情報30とを比較することにより、メンテナンス事業者がプラント側サイト24の設備機器に関する現状を正確に把握できる。
また、例えば、他のメンテナンス事業者がメンテナンスを実施した場合、他のメンテナンス事業者を採用した理由等の営業的視点での情報を収集できることから、メンテナンスに関する営業業務を支援することもできる。
また、プラント側サイト24が独自にメンテナンス作業を行った実績が照合することにより見受けられた場合には、メンテナンス事業者がプラント側サイト24への確認を行うことができるので、差異が生じている設備機器に関するそれまでの経緯の把握することもできる。
このように、メンテナンス事業者の管理外において、設備機器についての経緯を把握することにより、メンテナンス事業者は、より確実なメンテナンスに関する段取りを行うことができ、情報を収集することができるので、その結果、メンテナンスに関するリスクを低減することができる。
その後、上記設備関連情報30,27の照合によりメンテナンスを希望する設備機器と判断された場合には、上記携帯端末機29により読み取られた上記RFIDタグ28の設備関連情報27を上記携帯端末機29に記憶させる。
【0031】
その後、上記携帯端末機29に記憶された設備関連情報27を参照して、メンテナンス事業者側サイト25において、サーバー34に格納された部品リスト作成ソフトウェア33によりメンテナンスが要求されている設備機器26に関する部品リスト32を作成する。
上記部品リスト作成ソフトウェア33により作成される上記部品リスト32には、例えば、プラント側へ提供するプラント側への提供データ41や、メンテナンス事業者がメンテナンス作業時に必要となるメンテナンス事業者活用データ42等がある。
このように、サーバ34に格納された部品リスト作成ソフトウェア33を用いることにより、メンテナンスが要求されている設備機器に関する部品リスト32を作成できることから、部品リスト32作成に要する事務作業コストを低減することができる。
また、迅速かつ確実にメンテナンスに必要な部品リスト32を準備することができる。
【0032】
そして、作成されたメンテナンスが要求されている設備機器に関する部品リスト32は、プラント側サイト24へ送付され、プラント側サイト24において確認され、見積り内容や期間等の検討後、妥当であると判断された場合に、プラント側サイト24からメンテナンス事業者側サイト25へプラント設備のメンテナンスの依頼等がなされる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は製造プラント設備に配設されている設備機器の設備関連情報を準備しうるプラント設備機器のメンテナンス方法及びそのシステムに係り、特に、工場側が決定した設備機器に関する設備関連情報をメンテナンス事業者がデータベースから収集してメンテナンスに必要な部品情報を準備しうるプラント設備機器のメンテナンス方法及びそのシステムに広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るプラント設備機器のメンテナンス方法の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】本発明に係るプラント設備機器のメンテナンスシステムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0035】
10 プラント設備機器のメンテナンス方法
11 メンテナンス事業者
12 プラント側
13 設備機器
14 設備関連情報
15 携帯端末機
16 ダウンロードするステップ
17 RFIDタグ
18 設備関連情報
19 携帯端末機により読み取るステップ
20 照合するステップ
21 部品情報
22 部品情報を準備するステップ
23 プラント設備機器のメンテナンスシステム
24 プラント側サイト
25 メンテナンス事業者側サイト
26 設備機器
27 設備関連情報
28 RFIDタグ
29 携帯端末機
30 設備関連情報
31 設備関連情報データベース
32 部品リスト
33 部品リスト作成ソフトウェア
34 サーバ
35 ダウンロードソフトウェア
36 サーバ
37 照合ソフトウェア
38 設備関連情報データベース
39 プラント側への提供データ
40 メンテナンス事業者活用データ
41 プラント側への提供データ
42 メンテナンス事業者活用データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メンテナンス事業者がメンテナンスを行う設備機器についての設備関連情報を携帯端末機にダウンロードするステップと、
上記携帯端末機を携帯したメンテナンス事業者が上記プラントにおいて、プラント側がメンテナンスを希望する各設備機器に装着されたRFIDタグに格納された設備関連情報を上記携帯端末機により読み取るステップと、
上記携帯端末機により読み取られたRFIDタグの設備関連情報と上記携帯端末機にダウンロードされた設備関連情報とを照合するステップと、
メンテナンス事業者側において、上記携帯端末機に記憶された設備関連情報に基づきメンテナンスに必要な部品情報を準備するステップとを備えたことを特徴とするプラント設備機器のメンテナンス方法。
【請求項2】
プラント側サイトとメンテナンス事業者側サイトを備え、
プラントの各設備機器に装着されると共に設備機器に関する設備関連情報が格納されたRFIDタグと、上記RFIDタグの設備関連情報を読み取り可能な携帯端末機とを有し、
上記メンテナンス事業者側サイトは、プラントの設備機器に関する設備関連情報が格納された設備関連情報データベースを有すると共に、上記携帯端末機に記憶された設備関連情報を参照してメンテナンスが要求されている設備機器に関する部品リストを作成する部品リスト作成ソフトウェアを格納したサーバを有することを特徴とするプラント設備機器のメンテナンスシステム。
【請求項3】
上記メンテナンス事業者側サイトは、上記設備関連情報データベースに格納された設備機器の設備関連情報を上記携帯端末機にダウンロードするダウンロードソフトウェアを格納したサーバを有し、
上記携帯端末機は、上記メンテナンスを希望する特定の設備機器に関する上記RFIDタグに記憶された設備関連情報と、上記ダウンロードソフトウェアによりダウンロードされた設備機器の設備関連情報とを照合する照合ソフトウェアを有することを特徴とする請求項2記載のプラント設備機器のメンテナンスシステム。
【請求項4】
上記設備関連情報は、プラントの各設備機器の仕様データ、機器の形式データ、機器の設置場所データ、又はメンテナンス履歴データであることを特徴とする請求項2又は3に記載のプラント設備機器のメンテナンスシステム。
【請求項5】
上記携帯端末機は、PDAであることを特徴とする請求項2又は3に記載のプラント設備機器のメンテナンスシステム。
【請求項6】
上記プラントは、流体製品製造プラントであることを特徴とする請求項2記載のプラント設備機器のメンテナンスシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−129062(P2010−129062A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306757(P2008−306757)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000157946)岩井機械工業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】