説明

プリコーディングフィードバックのための方法、プリコーディングフィードバックシステム、ユーザ装置、および基地局

プリコーディングフィードバックのための方法、システム、ユーザ装置、および基地局が提供される。この方法は、以下のステップを含む。すなわち、ランダムビーム情報フローを受信するステップと、そのランダムビーム情報フローの信号対干渉雑音比(SINR)に従って、最適ビームセットを決定するステップと、フィードバックしきい値を得るステップと、そのSINRがその最適ビームセット内のフィードバックしきい値より大きい、少なくとも1個のビームの情報をフィードバックするステップとである。この方法は、プリコーディングフィードバック量を低減することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信技術に関し、より詳細には、プリコーディングフィードバックのための方法、プリコーディングフィードバックシステム、ユーザ装置(UE)、および基地局(BS)に関する。
【0002】
本発明は、2009年1月15日に中国特許庁に出願され、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、「PRECODING FEEDBACK METHOD, PRECODING FEEDBACK SYSTEM, USER EQUIPMENT, AND BASE STATION」という表題の中国特許出願第200910076683.8号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
多入力多出力(MIMO)技術は、帯域幅を増大せずに、無線通信システムの伝送レートをかなり改善し、これは高速データ伝送サービスの要件を満たしている。MIMOシステムにおいて、プリコーディング技術は、伝送リンクの信頼性および伝送レートを改善するために、複数のデータストリームを同時に送信する目的で適用される。このプリコーディング技術は、送信側がチャネル状態情報のすべてまたは一部を知っているという仮定に基づいて実行される。したがって、受信側は、ほとんどの場合、チャネル状態情報を送信側にフィードバックする必要がある。マルチユーザ環境において、ランダムビーム形成は、フィードバック量を低減するための考えられる解決法である。マルチユーザ環境において、ランダムスケジューリングは、システムスループットを改善するために、マルチユーザダイバーシティを十分に活用することが可能である。一般に、スループットは、ユーザ量の上昇に伴って高まる。ユーザ量が無限大であるとき、システムスループットとユーザ量との間の関数関係は、最適合計容量スケーリング則(optimal sum capacity scaling law)である。最適合計容量スケーリング則は、Nt log log Kであり、式中、NtはBS側の送信アンテナの数であり、Kはユーザ量である。ランダムビーム形成解決法において、ゼロ強制(ZF)ビーム形成技術および日和見主義的直交ランダムビーム形成(Opportunistic Orthogonal Random Beamforming)(ORB)技術は両方とも、最適合計容量スケーリング則を達成する。
【0004】
本発明者は、少なくとも以下の問題が先行技術に存在することを見出した。すなわち、先行技術では、最適合計容量スケーリング則が達成される必要がある場合、UEからBSへのフィードバックオーバヘッドが大きい、という問題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、大きなフィードバックオーバヘッドの問題を解決するためのプリコーディングフィードバック方法、プリコーディングフィードバックシステム、UE、およびBSを提供する。
【0006】
本発明の一実施形態は、プリコーディングフィードバック方法を提供し、この場合、この方法は、
ランダムビーム情報ストリームを受信して、そのランダムビーム情報ストリームの信号対干渉雑音比(SINR)に従って、最適ビームのセットを決定するステップと、
フィードバックしきい値を取得するステップと、
そのSINRがその最適ビームのセット内のフィードバックしきい値より高い、少なくとも1個のビームに関する情報をフィードバックするステップとを含む。
【0007】
本発明の一実施形態は、UEを提供し、この場合、このUEは、
ランダムビーム情報ストリームを受信して、そのランダムビーム情報ストリームのSINRに従って、最適ビームのセットを決定するように構成された受信モジュールと、
フィードバックしきい値を取得するように構成された取得モジュールと、
受信モジュールと取得モジュールとに接続され、そのSINRがその最適ビームのセット内のフィードバックしきい値より高い、少なくとも1個のビームに関する情報をフィードバックするように構成されたフィードバックモジュールとを含む。
【0008】
本発明の一実施形態は、BSを提供し、この場合、BSは、
SINR分布関数、UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値を決定するか、またはSINR分布関数、UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値を取得して、事前に設定されたポリシーと、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値とに従って、共通のフィードバックしきい値を取得するように構成された計算モジュールと、
計算モジュールに接続され、それぞれのUEのフィードバックしきい値または共通のフィードバックしきい値をUEに送信するように構成された送信モジュールとを含む。
【0009】
本発明の一実施形態は、プリコーディングフィードバックシステムを提供し、この場合、このシステムは、
ランダムビーム情報ストリームとしきい値情報とをUEに送信するように構成されたBSと、
BSに接続され、そのランダムビーム情報に従って、最適ビームのセットを取得し、そのしきい値情報に従って、フィードバックしきい値を取得して、そのSINRがその最適ビームのセット内のフィードバックしきい値より高い、少なくとも1個のビームに関する情報をフィードバックするように構成されたUEとを含む。
【0010】
前述の技術的解決法は、本発明の実施形態において、しきい値が設定され、最適ビームのSINRがそのしきい値より高いとき、対応する情報がフィードバックされることを明らかにする。このようにして、ランダムビーム形成方式では、フィードバックオーバヘッドが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態による一方法の概略流れ図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に対応する概略構造図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による、フィードバックしきい値を取得するための第1の方法実施形態の概略流れ図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による、フィードバックしきい値を取得するための第2の方法実施形態の概略流れ図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による、フィードバックしきい値を取得するための第3の方法実施形態の概略流れ図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による、総ユーザ量と合計容量との間のエミュレーション関係の曲線図である。
【図7】本発明の第1の実施形態による、SNRと合計容量との間のエミュレーション関係の曲線図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による、総ユーザ量とフィードバック量との間のエミュレーション関係の曲線図である。
【図9】本発明の第2の実施形態によるUEの概略構造図である。
【図10】本発明の第3の実施形態によるBSの概略構造図である。
【図11】本発明の第4の実施形態によるプリコーディングフィードバックシステムの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の技術的解決法は、添付の図面および実施形態を参照して、下で説明される。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態による一方法の概略流れ図であり、図2は、本発明の第1の実施形態に対応する概略構造図である。図1に示すように、この実施形態において、この方法は、以下のステップを含む。
【0014】
ステップ11:UEは、ランダムビーム情報ストリームを受信して、そのランダムビーム情報ストリームのSINRに従って、最適ビームのセットを決定する。
【0015】
ステップ12:UEは、フィードバックしきい値を取得する。
【0016】
ステップ11およびステップ12を実行する順序は、限定的ではない。
【0017】
ステップ13:UEは、そのSINRがその最適ビームのセットからのフィードバックしきい値より高い、少なくとも1個のビームに関する情報をフィードバックする。
【0018】
この実施形態では、フィードバックしきい値が取得され、UEの最適ビームのSINRがそのフィードバックしきい値より高いとき、対応する情報がフィードバックされる。このようにして、フィードバックオーバヘッドは低減される。
【0019】
これらのステップが下で詳述される。
【0020】
ステップ11に関して、
【0021】
ダウンリンクマルチユーザMIMOシステムを例にとると、BSの送信アンテナの数はNtであり、システムのUEの数はKであり、それぞれのUEの受信アンテナの数はNrである。
【0022】
図2に示すように、ランダム直交ビーム形成方式が適用される場合、BSは、等方分布に従って、Nt個の正規直交ベクトル
【0023】
【数1】

【0024】
を生成する。tの時点で、φm(t)は第m番目の情報ストリームxm(t)によって乗算されて、
【0025】
【数2】

【0026】
を取得するために、xm(t)φm(t), m=1, 2,...の積が累積される。送信機は、平均電力制約Pを満たすこと、すなわち、P, E[xHx]≦Pであることが仮定される。情報ストリームは統計的に独立しており、すべてのアンテナは同じ平均送信電力
【0027】
【数3】

【0028】
を有し、
【0029】
【数4】

【0030】
をそれぞれのストリームの送信信号対雑音比(SNR)にすることが仮定される。
【0031】
それぞれのUEの白色ガウス雑音は、
【0032】
【数5】

【0033】

【0034】
【数6】

【0035】
によって表される。したがって、それぞれのUEの受信信号ベクトルはykであり、
【0036】
【数7】

【0037】
として表され、k=1,…,Kである。
【0038】
異なるUEが異なる経路損失とシャドーフェージングとを受ける事例は、γkとして表される。チャネルブロックHkは独立しており、Hk∈CN(0,1)である。
【0039】
第k番目のUEによって受信された第m番目の情報ストリームのSINRは、
【0040】
【数8】

【0041】
として表され、k=1,…,K, m=1,…,Ntである。
【0042】
受信アンテナの数が1であるとき、最大SINR値を有するビームは、最適ビームのセットを形成し、UEの受信アンテナの数が1より大きいとき、より大きなSINR値を有するN個のビームは最適ビームのセットを形成し、この場合、N≦Nrであり、Nrは、それぞれのUEの受信アンテナの数である。以下の説明は、1個の最適ビームが選択されること、すなわち、第k番目のUEの光ビーム
【0043】
【数9】

【0044】
を計算するための公式は、
【0045】
【数10】

【0046】
であると仮定する。
【0047】
ステップ12に関して、
【0048】
フィードバックしきい値は、SINR分布関数、UEの合計数、もしくはそれぞれのUEに対応する環境要因、またはそれらの任意の組合せに従って決定されるか、あるいは事前に設定されたポリシーに従ってさらに決定される。しきい値を取得する詳細な方法については、図3から5に示される実施形態を参照されたい。
【0049】
図3は、本発明の第1の実施形態による、フィードバックしきい値を取得するための第1の方法実施形態の概略流れ図である。この実施形態では、BSは、それぞれのUEに対応するしきい値を生成する。図3に示すように、この実施形態は、以下のステップを含む。
【0050】
ステップ301:BSは、UEの合計数(K)、それぞれのUEの(経路損失およびシャドーフェージングなど)異なる環境要因の推定(γk)、およびSINR分布関数に従って、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値β(γk,K)を取得する。
【0051】
BSは、
【0052】
【数11】

【0053】
によって、UEの合計数、すなわちKと、γkに従って、しきい値β(γk,K)を決定し、式中、Fk(β(γk、K))は、
【0054】
【数12】

【0055】
の累積分布関数である。前述の仮定に基づき、
【0056】
【数13】

【0057】
の累積分布関数は、
【0058】
【数14】

【0059】
である。フィードバックしきい値を計算する公式によれば、公平性を改善するために、異なる経路損失とシャドーフェージングとを有するUEに関して、異なるフィードバックしきい値を指定することが可能である。例えば、システムの公平性を改善するために、より深刻な経路損失とシャドーフェージングとを有するUEには、より低いフィードバックしきい値β(γk,K)が割り当てられるべきである。フィードバックしきい値を計算するための公式は、UEの合計数、環境要因、およびSINR分布関数に共同に従って決定される。実際には、計算公式は異なってよい。例えば、この公式は、前述のパラメータのうちの1つまたは複数だけに関係する。
【0060】
ステップ302:BSは、フィードバックしきい値を対応するUEに送信し、それぞれのUEは、その独自のフィードバックしきい値を取得する。
【0061】
この実施形態では、BSは、UEの異なる条件に従って、適切なしきい値を決定することが可能であるように、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値を計算する。
【0062】
図4は、本発明の第1の実施形態による、フィードバックしきい値を取得するための第2の方法実施形態の概略流れ図である。この実施形態では、BSは、すべてのUEに関して共通のフィードバックしきい値を生成する。図4に示すように、この実施形態は、以下のステップを含む。
【0063】
ステップ401:このステップは、前述の実施形態のステップ301と同じである。
【0064】
ステップ402:BSは、共通のフィードバックしきい値を取得するために、事前に設定されたポリシーに従って、UEに特定なフィードバックしきい値を処理し、例えば、平均値を取得するためにフィードバックしきい値の平均を計算する。
【0065】
ステップ403:BSは、共通のフィードバックしきい値をそれぞれのUEに送信し、それぞれのUEは共通のフィードバックしきい値を取得する。
【0066】
この実施形態では、BSは、UEが適切な共通のしきい値を取得するように、すべてのUEに関して同じフィードバックしきい値を計算する。
【0067】
図5は、本発明の第1の実施形態による、フィードバックしきい値を取得するための第3の方法実施形態の概略流れ図である。この実施形態では、それぞれのUEは、その独自のフィードバックしきい値を生成する。図5に示すように、この実施形態は以下のステップを含む。
【0068】
ステップ501:BSは、UEの合計数Kと、それぞれのUEの異なる環境要因(γk)とを対応するUEに送信する。
【0069】
ステップ502:それぞれのUEは、BSによって送信された情報と、SINR分布関数とに従って、その独自のフィードバックしきい値を取得する。すなわち、それぞれのUEは、
【0070】
【数15】

【0071】
によって、UEの合計数Kとγkとに従って、しきい値β(γk,K)を決定し、式中、Fk(β(γk,K))は、
【0072】
【数16】

【0073】
の累積分布関数である。前述の仮定に基づいて、
【0074】
【数17】

【0075】
の累積分布関数は、
【0076】
【数18】

【0077】
である。
【0078】
この実施形態では、UEは、その独自のフィードバックしきい値を計算し、その結果、BSの負担は取り除かれる。
【0079】
ステップ13に関して、
【0080】
例えば、アンテナの数が1であり、最適ビームのSNRが、フィードバックしきい値より高いとき、(ビームのシーケンス番号など)最適ビームに関する情報がフィードバックされ、UEの受信アンテナの数が1よりも大きいとき、そのSINRは、N個のビームから構成される最適ビームのセット内のビームに関するフィードバックしきい値と比較されて、そのSINRがN個のビーム内のフィードバックしきい値より高いビームに関する情報がフィードバックされ、この場合、N≦Nrであり、Nrは、それぞれのUEの受信アンテナの数である。
【0081】
詳細には、それぞれのUE kは、
【0082】
【数19】

【0083】
をフィードバックしきい値と比較する。
【0084】
【数20】

【0085】
である場合、UE kは、(logNtビットを必要とする)最も適切なビーム
【0086】
【数21】

【0087】
をフィードバックし、そうでない場合、UE kは何の情報もフィードバックしない。
【0088】
その後、それぞれのビームmに対応する、BSによって受信されるビームmのシーケンス番号をフィードバックするUEのセットBmは、
【0089】
【数22】

【0090】
である。
【0091】
UEのセットを取得した後で、BSは、UEのそれぞれのセットBm内でUEをさらに任意で選択して、このビームに対応する情報ストリームxmを受信するようにUEをスケジュールすることが可能である。2個以上のビームが1個のUEに割り当てられないことを確実にするために、Bmは互いに交差しない。
【0092】
前述のしきい値ベースのフィードバック方法が適用された後で、最適合計容量拡張則(optimal sum capacity expansion law)を取得することに基づいて、フィードバック量を低減することが可能である。以下は、エミュレーション図を介して、この効果を説明する。
【0093】
図6は、本発明の第1の実施形態による、総ユーザ量と合計容量との間のエミューション関係の曲線図である。この実施形態のエミュレーションの基礎は、送信アンテナNtの数は4であり、それぞれのUEの受信アンテナの数Nrは1であり、SNR(ρ)は10 dBであるというものである。最適プリコーディング方法は、ダーティペーパ符号化(Dirty-Paper Coding)(DPC)方法である。その他のプリコーディング方法は、先行技術において網羅される、最適ZFプリコーディング方法、日和見主義的ORBプリコーディング方法、および1ビットフィードバックプリコーディング方法、ならびに本発明の実施形態に基づく1ビットORB方法である。図6に示すように、UEの合計数が無限大であるとき、すべての曲線の方向は一貫する傾向がある。すなわち、この実施形態によるプリコーディング方法は、最適合計容量拡張則を達成する。図6に示すように、小数のUEが存在するとき、本発明のこの実施形態のプリコーディング方法の曲線は、最適プリコーディング曲線に類似する。すなわち、UEの合計数が低い場合ですら、本発明のこの実施形態によるプリコーディング方法は、良好なパフォーマンスをもたらす。
【0094】
図7は、本発明の第1の実施形態による、SNRと合計容量との間のエミュレーション関係の曲線図である。この実施形態のエミュレーションの基礎は、送信アンテナの数Ntは4であり、それぞれのUEの受信アンテナの数Nrは1であり、UEの合計数Kは100であるというものである。図7は、それぞれの曲線の方向を示し、SNRが変更するとき、この実施形態は、最適合計容量拡張則を達成することも可能であることを明らかにする。
【0095】
図8は、本発明の第1の実施形態による、総ユーザ量とフィードバック量との間のエミュレーション関係の曲線図である。上から下ヘのこの曲線は、送信アンテナの数がそれぞれ6、5、4、および3であるときの、UEの合計数とフィードバック量との間の関係を反映する。図8に示すように、UEの合計数が無限大であるとき、曲線の極値は、それぞれ、61og6、51og5、41og4、および3log3である。すなわち、この実施形態において、平均フィードバック量はNtlogNtである。先行技術では、しきい値ベースのフィードバック機構は適用されず、それぞれのUEに関する最大フィードバック量は、min(Nt, Nr)logNtである。システム全体のフィードバックビットは、K min(Nt,Nr)log Ntビットに達する可能性があり、したがって、システム全体のフィードバックオーバヘッドは過剰に大きい。この解決法が適用された後で、総フィードバックオーバヘッドの平均値は、NtlogNtビットである。K min(Nt, Nr) logNtの既存のフィードバック量と比較して、フィードバック量を大いに低減することが可能である。
【0096】
図9は、本発明の第2の実施形態によるUEの概略構造図である。このUEは、受信モジュール91と、取得モジュール92と、フィードバックモジュール93とを含む。受信モジュール91は、ランダムビーム情報ストリームを受信して、それぞれのランダムビーム情報ストリームのSINRに従って、最適ビームのセットを決定するように構成される。取得モジュール92は、フィードバックしきい値を取得するように構成される。フィードバックモジュール93は、そのSINRが、受信モジュール91によって取得された最適ビームのセットから、取得モジュール92によって取得されたフィードバックしきい値より高い、少なくとも1個のビームに関する情報をフィードバックするように構成される。
【0097】
取得モジュール92は、詳細には、それぞれのUEに対応する、BSによって送信されたフィードバックしきい値を受信するように構成され、この場合、UEに対応するフィードバックしきい値は、SINR分布関数、UEの合計数、およびUEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、BSによって決定されるか、または取得モジュール92は、詳細には、すべてのUEによって共有され、BSによって送信された共通のフィードバックしきい値を受信するように構成され、この場合、すべてのUEによって共有される共通のフィードバックしきい値は、SINR分布関数、UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータ、もしくはそれらの任意の組合せおよび事前に設定されたポリシーに従って、BSによって決定されるか、あるいは取得モジュール92は、詳細には、UEが、SINR分布関数、UEの合計数、および環境要因のうちの1つのパラメータに従って、フィードバックしきい値を決定できるように、BSによって送信されたUEの合計数および環境要因を受信するように構成される。
【0098】
この実施形態では、しきい値が取得されて、最適ビームのSINRがしきい値より高いとき、最適ビームに関する情報がフィードバックされる。このようにして、フィードバック量が低減される。
【0099】
図10は、本発明の第3の実施形態によるBSの概略構造図である。このBSは、計算モジュール101と、送信モジュール102とを含む。計算モジュール101は、フィードバックしきい値を計算するように構成され、送信モジュール102は、計算モジュール101によって取得されたフィードバックしきい値をUEに送信するように構成される。このUEは、そのSINRがフィードバックしきい値より高い、少なくとも1個のビームに関する情報をBSにフィードバックする。
【0100】
計算モジュール101は、詳細には、SINR分布関数、UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値を決定するか、またはSINR分布関数、UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値を取得して、事前に設定されたポリシーと、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値とに従って、共通のフィードバックしきい値を取得するように構成される。
【0101】
さらに、この実施形態において、BSは、それぞれのUEによって送信されたビーム情報を受信して、それぞれのビームに対応するUEのセットを生成し、そのUEのセット内で同じビーム情報に対応するUEを任意に選択し、このビームのデータを任意に選択されたUEに送信するように構成された選択モジュールをさらに含みうる。
【0102】
この実施形態では、フィードバックしきい値は、計算によって取得され、このフィードバックしきい値はUEに送信される。したがって、UEは、最適ビームのSINRがそのフィードバックしきい値より高いとき、対応する情報をフィードバックし、フィードバック量は低減される。
【0103】
図11は、本発明の第4の実施形態によるプリコーディングフィードバックシステムの概略構造図である。このシステムは、BS111とUE112とを含む。BS111は、ランダムビーム情報ストリームとしきい値情報とを送信するように構成され、UE112は、BS111によって送信されたランダムビーム情報に従って、最適ビームのセットを取得し、BS111によって送信されたしきい値情報に従って、フィードバックしきい値を取得して、そのSINRがその最適ビームのセット内のフィードバックしきい値より高い、少なくとも1個のビームに関する情報をフィードバックするように構成される。
【0104】
詳細には、このしきい値情報は、それぞれのUEに対応するフィードバックしきい値であってよく、BS111は、詳細には、SINR分布関数、UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値を決定するように構成され、UE112は、詳細には、UE112に対応する、BS111によって取得されたフィードバックしきい値を受信するように構成される。
【0105】
あるいは、このしきい値情報は、すべてのUEの共通のフィードバックしきい値であってよく、BS111は、詳細には、SINR分布関数、UEの合計数、およびぞれぞれのUEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値を決定して、事前に設定されたポリシーと、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値とに従って、共通のフィードバックしきい値を取得するように構成され、UE112は、詳細には、すべてのUEによって共有され、BS111によって取得された共通のフィードバックしきい値を受信するように構成される。
【0106】
あるいは、BS111は、詳細には、UEの合計数と、それぞれのUEに対応する環境要因とを対応するUEに送信するように構成され、UE112は、SINR分布関数、UEの合計数、および環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、その独自のフィードバックしきい値を決定する。
【0107】
さらに、BS111は、それぞれのUEによって送信されたビーム情報を受信して、それぞれのビームに対応するUEのセットを生成し、そのUEのセット内で同じビーム情報に対応するUEを任意に選択し、このビームのデータをその任意に選択されたUEに送信するように構成可能である。
【0108】
この実施形態では、フィードバックしきい値は異なるモードで取得されて、最適ビームのSINRがそのフィードバックしきい値より高いとき、最適ビームに関する情報がフィードバックされる。このようにして、フィードバック量が低減される。
【0109】
当業者は、本発明の実施形態の方法のステップのすべてまたは一部は、関連するハードウェアに指示するプログラムによって実装可能である点を理解されたい。このプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体内に格納可能である。プログラムが実行するとき、このプログラムは、本発明の実施形態の方法のステップを実行する。この記憶媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク、または光ディスクなど、プログラムコードを格納できる任意の媒体であってよい。
【0110】
最後に、上記の実施形態は、本発明の技術的な解決法を説明するためだけに提供されているが、本発明を限定することが意図されない点に留意されたい。当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、本発明に様々な修正および改変を行うことが可能な点は明らかである。本発明は、それらの修正形態および改変形態が以下の特許請求の範囲またはそれらの均等物によって画定される保護の範囲に該当することを条件に、それらの修正形態および改変形態を網羅することが意図される。
【符号の説明】
【0111】
91 受信モジュール
92 取得モジュール
93 フィードバックモジュール
101 計算モジュール
102 送信モジュール
111 BS
112 UE

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリコーディングフィードバック方法であって、
ランダムビーム情報ストリームを受信して、前記ランダムビーム情報ストリームの信号対干渉雑音比(SINR)に従って、最適ビームのセットを決定するステップと、
フィードバックしきい値を取得するステップと、
SINRが前記最適ビームのセット内の前記フィードバックしきい値より高い、少なくとも1個のビームに関する情報をフィードバックするステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記フィードバックしきい値を取得するステップが、
それぞれのユーザ装置(UE)に対応する、基地局(BS)によって送信された前記フィードバックしきい値を受信するステップ、もしくは、
すべてのUEに関し、前記BSによって送信された共通のフィードバックしきい値を受信するステップ、または
前記BSによって送信された前記UEの合計数および前記環境要因を受信した後で、前記SINR分布関数、前記UEの合計数、および前記環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、前記UEによって、前記フィードバックしきい値を決定するステップ、
を備え、
それぞれのUEに対応する前記フィードバックしきい値は、SINR分布関数、UEの合計数、および前記UEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、前記BSによって決定され、
前記共通のフィードバックしきい値は、前記SINR分布関数、前記UEの合計数、およびそれぞれのUEの前記環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータと、事前に設定されたポリシーと、に従って前記BSによって決定され、
ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SINR分布関数、前記UEの合計数、および前記環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、前記フィードバックしきい値を決定するための計算公式が、
【数1】

であり、式中
β(γk,K)は、第k番目のUEのフィードバックしきい値であり、
Kは、前記UEの合計数であり、
Nrは、前記UEの受信アンテナの数であり、
関数Fkの表現式が
【数2】

であり、式中、
Ntは、前記BSの送信アンテナの数であり、
ρは、それぞれの送信アンテナの信号対雑音比(SNR)であり、
γkは、第k番目のUEに対応する前記環境要因であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記SINR分布関数、前記UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する前記環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータと、前記事前に設定されたポリシーとに従って、前記共通のフィードバックしきい値を決定するステップが、
前記SINR分布関数、前記UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する前記環境要因のうちの前記少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに特定の前記フィードバックしきい値を取得するステップと、
前記事前に設定されたポリシーと、それぞれのUEに特定の前記フィードバックしきい値とに従って、共通のフィードバックしきい値を取得するステップと、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ランダムビーム情報ストリームの前記SINRに従って、最適ビームのセットを決定するステップが、
前記UEの受信アンテナの数が1であるとき、最大SINR値を有するビームを前記最適ビームのセットとして決定し、
前記UEの受信アンテナの数が1より大きいとき、より大きなSINR値を有するN個のビームを前記最適ビームのセットとして決定するステップを備え、
N≦Nrであり、
Nrは、それぞれのUEの受信アンテナの数であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ユーザ装置(UE)であって、
ランダムビーム情報ストリームを受信して、前記ランダムビーム情報ストリームの信号対干渉雑音比(SINR)に従って、最適ビームのセットを決定するように構成された受信モジュールと、
フィードバックしきい値を取得するように構成された取得モジュールと、
前記受信モジュールと前記取得モジュールとに接続され、SINRが前記最適ビームのセット内の前記フィードバックしきい値より高い、少なくとも1個のビームに関する情報をフィードバックするように構成されたフィードバックモジュールと、
を備えることを特徴とするユーザ装置(UE)。
【請求項7】
前記取得モジュールが、前記UEに対応する、基地局(BS)によって送信されたフィードバックしきい値を受信するように構成されるか、もしくは
前記取得モジュールが、すべてのUEに関し、前記BSによって送信された共通のフィードバックしきい値を受信するように構成されるか、または
前記取得モジュールが、前記BSによって送信された前記UEの合計数と前記環境要因とを受信して、前記SINR分布関数、前記UEの合計数、および前記環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、前記フィードバックしきい値を決定するように構成され、
前記UEに対応する前記フィードバックしきい値は、SINR分布関数、UEの合計数、および前記UEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、前記BSによって決定され、
前記共通のフィードバックしきいはが、前記SINR分布関数、前記UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する前記環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータと、事前に設定されたポリシーと、に従って前記BSによって決定されることを特徴とする請求項6に記載のUE。
【請求項8】
基地局(BS)であって、
信号対干渉雑音比(SINR)分布関数、ユーザ装置(UE)の合計数、およびそれぞれのUEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに特定のフィードバックしきい値を決定するか、または前記SINR分布関数、前記UEの合計数、およびそれぞれのUEに特定の前記環境要因のうちの前記少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに対応する前記フィードバックしきい値を取得して、事前に設定されたポリシーと、それぞれのUEに特定の前記フィードバックしきい値とに従って、共通のフィードバックしきい値を取得するように構成された計算モジュールと、
前記計算モジュールに接続され、それぞれのUEの前記フィードバックしきい値または前記共通のフィードバックしきい値を前記UEに送信するように構成された送信モジュールと、
を備えることを特徴とする基地局(BS)。
【請求項9】
前記計算モジュールが、前記SINR分布関数、前記UEの合計数、および前記環境要因のうちの前記少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに特定の前記フィードバックしきい値を決定するための計算公式が、
【数3】

であり、式中
β(γk,K)は、第k番目のUEのフィードバックしきい値であり、
Kは、前記UEの合計数であり、
Nrは、前記UEの受信アンテナの数であり、
関数Fkの表現式が
【数4】

であり、式中、
Ntは、前記BSの送信アンテナの数であり、
ρは、それぞれの送信アンテナの信号対雑音比(SNR)であり、
γkは、第k番目のUEに対応する環境要因であることを特徴とする請求項8に記載のBS。
【請求項10】
それぞれのUEによって送信されたビーム情報を受信して、それぞれのビームに特定のUEのセットを生成し、前記UEのセット内で同じビーム情報に対応するUEを任意に選択し、前記ビームのデータを前記任意に選択されたUEに送信するように構成された選択モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載のBS。
【請求項11】
プリコーディングフィードバックシステムであって、
ランダムビーム情報ストリーム、および、しきい値情報をユーザ装置(UE)に送信するように構成された基地局(BS)と、
前記BSに接続され、前記ランダムビーム情報に従って、最適ビームのセットを取得し、前記しきい値情報に従ってフィードバックしきい値を取得して、信号対干渉雑音比(SINR)が前記最適ビームのセット内の前記フィードバックしきい値より高い、少なくとも1個のビームに関する情報をフィードバックするように構成された前記UEと、
を備えることを特徴とするプリコーディングフィードバックシステム。
【請求項12】
前記BSによって送信される前記しきい値情報は、それぞれのUEに特定の前記フィードバックしきい値であり、前記BSが、SINR分布関数、UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに特定の前記フィードバックしきい値を決定するように構成され、
前記UEは、前記UEに対応する、前記BSによって取得された前記フィードバックしきい値を受信するように構成されることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記BSによって送信される前記しきい値情報は、共通のフィードバックしきい値であり、前記BSが、SINR分布関数、UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、それぞれのUEに特定の前記フィードバックしきい値を決定して、事前に設定されたポリシーと、それぞれのUEに特定の前記フィードバックしきい値とに従って、前記共通のフィードバックしきい値を取得するように構成され、
前記UEは、前記共通のフィードバックしきい値を受信するように構成されることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記BSによって送信される前記しきい値情報は、UEの合計数、およびそれぞれのUEに対応する環境要因であり、
前記BSは、前記UEの合計数と、それぞれのUEに対応する前記環境要因とを前記対応するUEに送信するように構成され、
前記UEは、SINR分布関数、UEの合計数、および環境要因のうちの少なくとも1つのパラメータに従って、その独自のフィードバックしきい値を決定するように構成されることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記BSは、それぞれのUEによって送信されたビームを受信して、それぞれのビームに対応するUEのセットを生成し、前記UEのセット内で同じビーム情報に対応するUEを任意に選択し、前記ビームのデータを前記任意に選択されたUEに送信するようにさらに構成されることを特徴とする請求項11に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−515478(P2012−515478A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545617(P2011−545617)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【国際出願番号】PCT/CN2010/070146
【国際公開番号】WO2010/081412
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(504277388)▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司 (220)
【Fターム(参考)】