説明

プリペイド型記録媒体

【課題】記録媒体に表示されている配信会社の有料データファイルを、パーソナルコンピュータ等からダウンロードすることができるプリペイド型記録媒体の提供。
【解決手段】基盤と、反射層と、記録層と、カバー層と、印刷層とが順次形成されている。前記記録層は、未記録ライトワンス記録部、配信会社のIDコード、および価格コードから構成されている。前記印刷層は、前記配信会社名および価格が印刷されている。プリペイド型記録媒体は、インターネット12等を介して印刷層に印刷されている配信会社13に接続される。プリペイド型記録媒体は、配信会社のコンピュータ14によって、配信会社のIDコード、および価格コードが解読される。プリペイド型記録媒体の購買者は、自分のパーソナルコンピュータによって、配信会社の著作物を選択し、購買者のパーソナルコンピュータ内にあるプリペイド型記録媒体にダウンロードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に配信会社のIDコード、および価格コードが少なくとも記録されているプリペイド型記録媒体に関するものである。本発明は、前記記録媒体に表示されている配信会社の有料映像、有料音楽、その他の有料データファイルをパーソナルコンピュータまたはテレビジョンセット等からダウンロードすることができるプリペイド型記録媒体に関するものである。本発明のプリペイド型記録媒体は、予め、価格に著作権を含む著作物および諸費用が含まれているため、購買者が予め決められた容量を記録できる記録媒体を購入した後、配信会社の配信している映像等をダウンロードするだけで得ることができる。また、前記配信会社および前記プリペイド型記録媒体の購買者は、著作権を含めた面倒な支払いの手間を省略することができる。
【背景技術】
【0002】
CD、DVDなどの情報記憶媒体は、たとえば、特開2009−84538に記載されている。また、従来のブルーレイディスクは、ポリカーボネート基盤と、前記ポリカーボネート基盤の上に形成された反射層と、前記反射層の上に形成された記録層と、前記記録層の上に形成されたカバー層とから構成されている。前記ブルーレイディスクの厚さは、1.2mmに規定されている。前記ポリカーボネート基盤、反射層、および記録層の合計の厚さは、1.1mmで、前記カバー層の厚さが0.1mmとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−84538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記記録媒体は、たとえば、パーソナルコンピュータまたはテレビジョンセット等から映像等をダウンロードすることができる。しかし、有料の映像、有料の音楽、有料のデータファイル、有料のプログラム等の媒体は、前記ダウンロード時の前に、前記配信会社に対して、支払いの条件を知らせる必要がある。前記支払いの条件は、たとえば、前記クレジットカードの暗証番号の提示、予め、現金を銀行口座に振り込む、配達時に現品と交換等の方法がある。
【0005】
しかし、前記銀行振込または現品の交換は、手間が面倒であった。また、前記クレジットカードの使用は、暗証番号が盗まれる等の欠点があった。さらに、前記記録媒体は、予め決められた著作物が記録されて販売されるため、配信会社と著作権の関係、あるいは売れ残りとなるデッドストックに問題があった。
【0006】
以上のような課題を解決するために、本発明は、予め、有料映像等を記録できるブランクディスクに、配信会社名のコードおよび前記配信会社のIDコードが記録されている記録媒体を規定の金額で販売することができるプリペイド型記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(第1発明)
第1発明のプリペイド型記録媒体は、ポリカーボネート基盤と、前記ポリカーボネート基盤上に形成された反射層と、前記反射層上に形成され、未記録ライトワンス記録部、配信会社のIDコード、および価格コードから構成されている記録層と、前記記録層上に形成されているカバー層と、前記ポリカーボネート基盤の表面に前記配信会社名および価格が印刷されている印刷層とから少なくとも構成されている。
【0008】
(第2発明)
第2発明のプリペイド型記録媒体は、ブルーレイディスクであることを特徴とする。
【0009】
(第3発明)
第3発明のプリペイド型記録媒体は、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、BD−R、BD−RE、フラッシュメモリのいずれかであることを特徴とする。
【0010】
(第4発明)
第4発明のプリペイド型記録媒体において、前記記録層は、未記録ライトワンス記録部、配信会社のIDコード、価格コード、および複写制限コードが記録されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、予め著作物が記録されていない未記録(ライトワンスディスク)媒体および有料映像代金(著作権を含む)等が含まれているプリペイド型記録媒体を販売することで、前記プリペイド型記録媒体の購買者、映像配信会社、記録媒体販売会社、著作者がお互いに支払いの手間がかからず、料金が正しく分配される。
【0012】
本発明によれば、前記プリペイド型記録媒体を買った購買者は、パーソナルコンピュータまたはテレビジョンセット等から所望(前記記録媒体に表示されている価格の範囲内)の有料映像等を単にダウンロードするだけで、簡単に得ることができる。
【0013】
本発明によれば、前記映像配信会社は、前記プリペイド型記録媒体に書き込まれた配信会社名のIDコード、および記録媒体の価格コードを自動的に読み込むだけで、購買者にダウンロードを許可することができる。
【0014】
本発明のプリペイド型記録媒体によれば、ビデオショップ以外のどこでも販売することができ、配信会社と料金に見合った内容のものであれば、いつでもダウンロードできるため、流行遅れあるいはデッドストックとなることがない。
【0015】
本発明のプリペイド型記録媒体によれば、光ディスクおよびフラッシュメモリ等の記録媒体、あるいはその他のデジタル記録媒体に適用することができる。
【0016】
本発明によれば、不使用のプリペイド型記録媒体を買い取ることができ、不要なデッドストックを無くすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1発明)
第1発明のプリペイド型記録媒体は、基盤と、反射層と、記録層と、カバー層と、印刷層とが順次形成されている。前記基盤は、たとえば、ポリカーボネート樹脂を成形することによって得られる。前記反射層は、前記ポリカーボネート基盤上に形成されている。また、前記記録層は、前記反射層上に形成され、未記録ライトワンス記録部、配信会社のIDコード、および価格コードから構成されている。
【0018】
前記カバー層は、前記反射層および記録層を保護するために形成されているものであり、たとえば、紫外光硬化型樹脂から構成されている。前記印刷層は、前記ポリカーボネート基盤の表面、すなわち、前記反射層、記録層、およびカバー層の反対側に前記配信会社名および価格が印刷されている。前記プリペイド型記録媒体に記録する前記配信会社のIDコードおよび価格コードは、ディスクの基盤成型に用いるスタンパーに予め記録し、ディスク基盤を作製する、あるいはディスク製造完了後、「バースト・カッティング・エリア」(BCA)、あるいは、ユーザー・データエリアの少なくとも一カ所に設けることができる。また、前記プリペイド型記録媒体の作製において、ディスク基盤を成型する金型は、スタンパーが入れ子式の金型になっており、入れ子であるスタンパーを交換することにより、前記配信会社のIDコードおよび価格コードを任意に変えることができる。
【0019】
前記プリペイド型記録媒体は、インターネットまたはテレビジョンセット等を介して印刷層に印刷されている配信会社に接続される。前記プリペイド型記録媒体は、前記配信会社のコンピュータによって、前記配信会社のIDコード、および価格コードが解読される。また、前記プリペイド型記録媒体の購買者は、自分のパーソナルコンピュータによって、前記配信会社の著作物を選択する。前記配信会社は、前記選択された著作物が、前記配信会社の著作物であり、また、販売されているプリペイド型記録媒体の価格内であることが認識できた場合、前記著作物をインターネットを介して、購買者のパーソナルコンピュータ内にあるプリペイド型記録媒体にダウンロードする。
【0020】
前記プリペイド型記録媒体は、予め著作物が記録されていない未記録(ライトワンスディスク)媒体および有料映像代金(著作権を含む)が含まれているため、購買者、映像配信会社、記録媒体販売会社、著作者が不要な手間がかからず、料金が正しく分配される。また、前記プリペイド型記録媒体は、パーソナルコンピュータまたはテレビジョン等から容易に、また短時間に前記著作物をダウンロードすることができる。さらに、前記プリペイド型記録媒体は、不使用のものを買い取ることができ、流行の遅れたものがデッドストックとなることがない。
【0021】
(第2発明)
第2発明のプリペイド型記録媒体は、ブルーレイディスクとすることにより、映像の品質を良好にしている。
【0022】
(第3発明)
第3発明のプリペイド型記録媒体は、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、BD−R、BD−RE、フラッシュメモリのいずれであっても良い。配信会社の著作物は、映像、音楽、プログラム、データ記録ファイル等、内容の種類が問われない。
【0023】
(第4発明)
第4発明のプリペイド型記録媒体は、録層に未記録ライトワンス記録部、配信会社のIDコード、価格コード、および複写制限コードが記録されている。前記プリペイド型記録媒体は、一回のダウンロードのみを許可するもの、また、前記ダウンロードを複写できる場合の回数が複写制限コードとして記録されている。また、前記プリペイド型記録媒体は、前記複写制限コード以外に印刷層に複写が可能な回数が印刷されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のプリペイド型記録媒体を使用して、配信会社から有料著作物をダウンロードする仕組みを説明するための図である。(実施例1)
【図2】本発明のプリペイド型記録媒体を説明するための図である。
【図3】本発明のプリペイド型記録媒体によって配信会社の有料著作物をダウンロードする一実施態様を説明するためのフローチャートである。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明のプリペイド型記録媒体を使用して、配信会社から有料著作物をダウンロードする仕組みを説明するための図である。図1において、本発明のシステムは、少なくともプリペイド型記録媒体の購入者側のパーソナルコンピュータまたはテレビジョンセット等11と、インターネット12と、配信会社データ受信部13と、プリペイド型記録媒体のIDコードおよび価格コード解読部14と、配信会社記録媒体配信部15とから少なくとも構成されている。
【0026】
パーソナルコンピュータまたはテレビジョンセット11は、インターネット12を介して、配信会社の受信部13に接続することができる。前記パーソナルコンピュータまたはテレビジョンセット11に入れられたプリペイド型記録媒体は、前記インターネット12を介して、配信会社のデータ受信部13に接続される。前記プリペイド型記録媒体のIDコードおよび価格コード解読部14は、前記パーソナルコンピュータ等11に入れられたプリペイド型記録媒体が当該配信会社のものであるか否か、また、その価格を前記プリペイド型記録媒体のIDコードから解読する。
【0027】
前記プリペイド型記録媒体のIDコードおよび価格コード解読部14は、前記プリペイド型記録媒体が正しいものであると判断した場合、前記パーソナルコンピュータ等から有料著作物名を受信する。前記配信会社記録媒体配信部15は、前記有料著作物名により、前記著作物を検索し、インターネット12を介して、前記パーソナルコンピュータ11側に送信される。前記パーソナルコンピュータ11側では、前記有料著作物をダウンロードすることができる。
【0028】
図2は本発明のプリペイド型記録媒体を説明するための図である。図2において、前記プリペイド型記録媒体21は、基盤211、反射層212、記録層213、カバー層214の順序に形成されている。前記基盤211は、反射層212、記録層213、カバー層214の反対側に印刷層215が印刷されている。また、前記基盤211は、たとえば、ポリカーボネート等の合成樹脂から作られている。
【0029】
前記記録層213は、未記録ライトワンス状態のものであり、必要に応じて、複写制限コードを入れて置くことができる。また、前記記録層213は、配信会社のIDコードおよびダウンロードできる容量である価格コードが入れられている。また、基盤211の裏側(記録層213の反対側)は、印刷層215となり、プリペイド型記録媒体21の配信会社名および価格が印刷されている。
【0030】
図3は本発明のプリペイド型記録媒体によって配信会社の有料著作物をダウンロードする一実施態様を説明するためのフローチャートである。図3において、有料著作物をダウンロードしたい者は、プリペイド型記録媒体を購入する(ステップ311)。前記プリペイド型記録媒体は、ビデオショップ以外、電気器具販売店、本屋、その他のあらゆる種類の店舗で扱うことができる。
【0031】
前記プリペイド型記録媒体の購入者は、前記プリペイド型記録媒体に印刷されている禁止事項、配信会社名、ダウンロード可能な容量を確認する(ステップ312)。前記プリペイド型記録媒体の購入者は、前記プリペイド型記録媒体をパーソナルコンピュータまたはテレビジョンセット等に挿入する(ステップ313)。前記プリペイド型記録媒体の購入者は、インターネットを介して所望の配信会社に接続する(ステップ314)。
【0032】
前記プリペイド型記録媒体の購入者は、前記配信会社の公開している所望の有料著作物を選択する(ステップ315)。前記配信会社のコンピュータは、前記プリペイド型記録媒体に記録されている配信会社のIDコードを確認する(ステップ316)。前記配信会社のコンピュータは、配信会社のIDコードでない場合、また、前記配信会社の所有する有料著作物でない場合、ダウンロードを中止する(ステップ317)。
【0033】
前記配信会社のコンピュータは、前記プリペイド型記録媒体が正しいものであり、選択された有料著作物が前記プリペイド型記録媒体に記録できる容量のものであるか否かを確認する(ステップ318)。前記配信会社のコンピュータは、ダウンロードを要求してきた前記有料著作物の価格に見合ったプリペイド型記録媒体でないと判断した場合、ダウンロードを中止する(ステップ317)。前記配信会社のコンピュータは、前記配信会社のIDコードおよび価格コードが正しいと判断した場合、前記プリペイド型記録媒体にダウンロードを許可する(ステップ319)。
【0034】
前記配信会社のコンピュータは、プリペイド型記録媒体に有料著作物のダウンロードを許可すると同時に、複写制限等の禁止事項を守るか否かを前記プリペイド型記録媒体の購入者に問う(ステップ320)。前記配信会社のコンピュータは、前記禁止事項の承諾を得た場合、前記プリペイド型記録媒体に所望の有料著作物が保存できるようにする(ステップ321)。前記配信会社のコンピュータは、前記禁止事項の承諾がない場合、プリペイド型記録媒体への内容が保存できないようにする(ステップ322)。なお、ステップ320からステップ322は、必ずしも設ける必要がない。
【0035】
本発明のプリペイド型記録媒体は、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、BD−R、BD−RE、フラッシュメモリに適用することができる。また、配信会社の有料著作物は、映像、音楽、プログラム、データファイル等を含むものである。
【0036】
以上、本実施例を詳述したが、本発明は、前記本実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。たとえば、本実施例のブロックおよびフローチャートは、公知または周知のものを利用して、達成できる技術である。また、本発明でいうパーソナルコンピュータまたはテレビジョンセット等は、有料著作物等ダウンロードできる機能を有する電子機器である。さらに、本発明のプリペイド型記録媒体の作製、およびIDコード等の書き込みは、ディスクを作製する際に、公知または周知の方法を使用することができる。
【符号の説明】
【0037】
11・・・パーソナルコンピュータまたはテレビジョンセット等
12・・・インターネット
13・・・配信会社データ受信部
14・・・プリペイド型記録媒体のIDおよび価格解読部
15・・・配信会社記録媒体配信部
21・・・プリペイド型記録媒体
211・・・基盤
212・・・反射層
213・・・記録層
214・・・カバー層
215・・・印刷層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート基盤と、
前記ポリカーボネート基盤上に形成された反射層と、
前記反射層上に形成され、未記録ライトワンス記録部、配信会社のIDコード、および価格コードから構成されている記録層と、
前記記録層上に形成されているカバー層と、
前記ポリカーボネート基盤の表面に前記配信会社名および価格が印刷されている印刷層と、
から少なくとも構成されていることを特徴とするプリペイド型記録媒体。
【請求項2】
前記記憶媒体は、ブルーレイディスクであることを特徴とする請求項1に記載されたプリペイド型記録媒体。
【請求項3】
前記記録媒体は、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、BD−R、BD−RE、フラッシュメモリのいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたプリペイド型記録媒体。
【請求項4】
前記記録層は、未記録ライトワンス記録部、配信会社のIDコード、価格コード、および複写制限コードが記録されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたプリペイド型記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−267308(P2010−267308A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116162(P2009−116162)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(507265812)
【Fターム(参考)】