説明

プリンタ、印刷システム及びコンピュータプログラム

【課題】先に行ったインクの熱転写によりサーマルヘッドに残留する熱の影響を低減又は無くして、ラミネート材の印刷品質を向上させたプリンタを提供する。
【解決手段】インクを熱転写するためのインク用通電データD1及びラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データD2に応じた通電をサーマルヘッド10に行うにあたり、インク用通電データD1に基づきインクを熱転写した後におけるサーマルヘッド10の残留熱量を考慮してラミネート用通電データD2を補正するための補正データD3を取得し、取得した補正データD3を用いてラミネート用通電データD2を補正する補正部14eを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドへの通電によりリボンを加熱してリボンの有色インクや透明なラミネート材等の転写物を用紙等の記録媒体に熱転写するプリンタ、印刷システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱転写型のプリンタの一例として特許文献1には、複数色のインク(染料)や透明なラミネート材等の転写物を塗布したリボンをサーマルヘッドにより用紙等の記録媒体に押し当てた状態でリボンを記録媒体とともに搬送し、サーマルヘッドの発熱抵抗体への通電によりリボンを加熱してリボンの転写物を記録媒体に熱転写する印刷装置が開示されている。このプリンタは、サーマルヘッドの熱量が大きいほど記録媒体への転写物の転写量が多くなり、サーマルヘッドの熱量が小さいほど記録媒体への転写物の転写量が少なくなることを利用して、所望の印刷結果を得られる熱量になるようにサーマルヘッドの発熱抵抗体への通電を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−15886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プリンタにおいて、ラミネート材の転写量が増えると印刷結果に光沢が生まれ、逆にラミネート材の転写量が少ないと印刷結果が光沢のないつや消し状態となるので、ラミネート材の熱転写時の通電制御もインクの熱転写時と同様に印刷品質を決定するうえで重要である。
【0005】
ところが、上記プリンタでは、例えばイエロー、マゼンタ、シアン等の有色のインクを熱転写した後に透明なラミネート材の熱転写を行うので、有色のインクを熱転写した後におけるサーマルヘッドの残留熱がラミネート材の熱転写に影響を与えてしまう。すなわち、ラミネート材を熱転写するための通電データ(パルスデータ)通りにサーマルヘッド(発熱抵抗体)に通電したとしても、所望の転写量のラミネート材が転写されずに、印刷品質が損なわれてしまう場合がある。例えば、サーマルヘッドに余計な熱が残留している状態では、ラミネート材の転写量が増えて、印刷結果が光沢のある状態になってしまい、逆にサーマルヘッドが冷え切っている場合には、ラミネート材が十分に熱転写されずに、印刷結果が光沢のないつや消し状態となってしまうこと等が挙げられる。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、先に行ったインクの熱転写によりサーマルヘッドに残留する熱の影響を低減又は無くして、ラミネート材の印刷品質を向上させたプリンタ、印刷システム及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明のプリンタは、サーマルヘッドへの通電によりリボンを加熱して有色のインク及び透明なラミネート材をリボンから記録媒体に熱転写するプリンタであって、前記インクを熱転写するためのインク用通電データを記憶する第一の記憶部と、前記ラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データを記憶する第二の記憶部と、前記通電データに応じた通電を前記サーマルヘッドに行う通電制御部と、前記第一の記憶部の記憶するインク用通電データに基づきインクを熱転写した後における前記サーマルヘッドの残留熱量に応じて前記ラミネート用通電データを補正するための補正データを取得し、前記補正データを用いて前記第二の記憶部から前記通電制御部に至るラミネート用通電データを補正する補正部とを備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、第一及び第二の記憶部に、インクを熱転写するためのインク用通電データ及びラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データが記憶されており、通電制御部がこれら通電データに応じた通電をサーマルヘッドに行うことで、インク及びラミネート材が記憶媒体に熱転写される。この場合、ラミネート材の熱転写は、インクを熱転写した後におけるサーマルヘッドの残留熱量に影響を受けるものの、補正部が、残留熱量に応じてラミネート用通電データを補正するための補正データを取得し、取得した補正データを用いてラミネート用通電データを補正するので、インクを熱転写した後におけるサーマルヘッドの残留熱量を考慮したラミネート用通電データでラミネート材を熱転写でき、印刷品質を向上させることが可能となる。
【0010】
DSP(Digital Signal Processor)等の高速演算器を搭載する必要を無くしてプリンタのコストを低減させるためには、前記補正データを記憶する第三の記憶部を備え、前記補正部は、前記第三の記憶部から補正データを取得し、取得した補正データと前記ラミネート用通電データとを合成することで前記ラミネート用通電データを補正するように構成されていることが好ましい。
【0011】
印刷品質を向上させるための他のプリンタの態様としては、印刷対象となる画像データを受け付ける受付部と、前記受付部の受け付けた画像データに基づき前記インク用通電データを生成して前記第一の記憶部に記憶するインク用通電データ生成部と、前記ラミネート用通電データを生成又は取得して前記第二の記憶部に記憶するラミネート用通電データ取得部と、前記画像データ若しくは生成されたインク用通電データに基づきインクを熱転写した後におけるサーマルヘッドの残留熱量を推定し、推定した残留熱量に応じて前記ラミネート用通電データを補正するための補正データを生成する補正データ生成部とを備えることが挙げられる。
【0012】
具体的な実施の一態様としては、前記リボンは少なくとも3つのカラーインクセクションと1つの透明なラミネート材セクションを配列したセットを複数セット有し、前記インク用通電データは少なくとも3つのカラーインクセクションに対応する3つの通電データを構成要素として含んでいるものが挙げられる。
【0013】
少なくとも3つのカラーインクセクションが、イエローインクセクション、マゼンダインクセクション、およびシアンインクセクションを含む場合には、影響が支配的であることを考慮して、前記補正データは少なくともインク用通電データのうちシアンインクセクションに対応する通電データに基づいていることが好ましい。
【0014】
残留熱量に具体的に対応するためには、前記補正部で生成されて適用される補正後の通電データが、前記補正データによって決定される際に前記ラミネート用通電データよりも小さくなるようにすることが有効である。
【0015】
残留熱量の影響が次第に小さくなることを考慮した場合、透明なラミネート材の記録媒体への熱転写が進行するにつれて、前記ラミネート用通電データと補正された通電データとの差を小さくするために、前記補正データの補正値が小さくなることが好ましい。
【0016】
上記プリンタの実現する機能を印刷システム全体で発揮するように構築してもよい。すなわち、本発明の印刷システムは、サーマルヘッドへの通電によりリボンを加熱して有色のインク及び透明なラミネート材をリボンから記録媒体に熱転写するプリンタと、前記プリンタと通信可能に構成され前記プリンタに対して熱転写を指令するコンピュータとを備える印刷システムであって、前記コンピュータは、印刷対象となる画像データを受け付ける受付部と、前記受付部の受け付けた画像データに基づき前記インクを熱転写するためのインク用通電データを生成するインク用通電データ生成部と、前記ラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データを生成又は取得するラミネート用通電データ取得部と、前記画像データ若しくは生成されたインク用通電データに基づきインクを転写した後におけるサーマルヘッドの残留熱量を推定し、推定した残留熱量に応じて前記ラミネート用通電データを補正するための補正データを生成する補正データ生成部と、前記インク用通電データ、ラミネート用通電データ及び補正データを前記プリンタに送信し、前記プリンタに、前記補正データを用いて前記ラミネート用通電データを補正させるとともに、前記インク用通電データ及び補正後のラミネート用通電データによるインク及びラミネート材の熱転写を前記プリンタに指示する指令部とを備えており、前記プリンタは、前記コンピュータから受信したインク用通電データを記憶する第一の記憶部と、前記コンピュータから受信したラミネート用通電データを記憶する第二の記憶部と、前記コンピュータから受信した補正データを記憶する第三の記憶部と、前記通電データに応じた通電を前記サーマルヘッドに行う通電制御部と、前記第三の記憶部の記憶する補正データを用いて前記第二の記憶部から前記通電制御部に至るラミネート用通電データを補正する補正部とを有していることを特徴とする。
【0017】
このように構成すれば、インクの熱転写後におけるサーマルヘッドの残留熱量を考慮した補正後のラミネート用通電データでラミネート材を熱転写でき、印刷品質を向上させることが可能となる。しかも、プリンタにおいて、ラミネート用通電データと補正データとを加減乗除等により合成するといった単純な演算でラミネート用通電データを補正し、補正後のデータに応じて通電するだけで、サーマルヘッドの残留熱量を考慮して熱転写できるので、DSP(Digital Signal Processor)などの高速演算器をプリンタに搭載する必要がなく、プリンタのコストを低減させることが可能となる。
【0018】
上記印刷システムにおけるコンピュータの実行するステップを、プログラムの観点から特定することも可能である。すなわち、本発明のコンピュータプログラムは、サーマルヘッドへの通電によりリボンを加熱して有色のインク及び透明なラミネート材をリボンから記録媒体に熱転写するプリンタと通信可能に接続されたコンピュータに、受け付けた画像データに基づく熱転写を前記プリンタへ指示させるコンピュータプログラムであって、受け付けた画像データに基づき前記インクを熱転写するためのインク用通電データを生成するステップと、前記ラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データを生成又は取得するステップと、前記画像データ若しくは前記インク用通電データに基づきインクを熱転写した後におけるサーマルヘッドの残留熱量を推定し、推定した残留熱量に応じて前記ラミネート用通電データを補正するための補正データを生成するステップと、上記ステップにより得られたインク用通電データ、ラミネート用通電データ及び補正データを前記プリンタに送信し、前記プリンタに、前記補正データを用いて前記ラミネート用通電データを補正させるとともに、前記インク用通電データ及び補正後のラミネート用通電データによるインク及びラミネート材の熱転写を前記プリンタに指示するステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0019】
このプログラムによれば、プリンタがコンピュータから受け取ったインク用通電データに基づき通電するだけでインクの熱転写が行われ、プリンタがコンピュータから受け取ったラミネート用通電データに対して補正データによる補正を行い、補正後のラミネート用通電データに基づき通電するだけで、サーマルヘッドの残留熱量を考慮した熱転写が可能となり、DSP(Digital Signal Processor)等の高速演算器をプリンタに搭載する必要を無くして、プリンタのコストを低減させることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明したように、補正部が、残留熱量に応じてラミネート用通電データを補正するための補正データを用いてラミネート用通電データを補正するので、インクを熱転写した後におけるサーマルヘッドの残留熱量を考慮した補正後のラミネート用通電データでラミネート材を熱転写でき、印刷品質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムを模式的に示す構成図。
【図2】印刷システムを構成するプリンタ及びコンピュータのハードウェアを模式的に示す構成図。
【図3】コンピュータにおいて実行されるプリンタドライバ処理ルーチンを示すフローチャート。
【図4】本発明の他の実施形態に係るプリンタを模式的に示す構成図。
【図5】本実施形態で使用される、カラーインク部と透明なラミネート部を備えたリボンの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る印刷システムを、図面を参照して説明する。
【0023】
印刷システムは、図1及び図2に示すように、プリンタ1と、プリンタ1と通信可能に構成されプリンタ1に熱転写を指令するコンピュータ2とを備える。
【0024】
プリンタ1は、図1に示すように、通電により発熱する複数の発熱抵抗体10aが一ラインを構成するように配置されたサーマルヘッド10と、ロール用紙等の記録媒体Paを供給可能に保持する給紙部11と、記録媒体Paを搬送する用紙搬送部12と、リボンRbをサーマルヘッド10へ供給するリボン搬送部13と、各部10〜13の駆動を制御する制御部14とを有し、サーマルヘッド10への通電によりリボンRbを加熱して、リボンRbに塗布された有色のインク及び透明なラミネート材をリボンRbから記録媒体Paに熱転写する装置である。なお、本明細書において、発熱抵抗体10aの配列方向を主走査方向といい、主走査方向に直交する搬送方向を副走査方向という。
【0025】
図5は、リボンRbの一例を示している。リボンRbは、イエローインクセクションY、マジェンダインクセクションMおよびシアンインクセクションC、引き続く透明なラミネート材セクションOPを繰り出し方向に沿ってこの順序で規則的に配したセットを複数セット含んでいる。
【0026】
図1に示すように、記録媒体Paにおける印刷対象となる一画面分の領域は、主走査方向及び副走査方向それぞれに沿ってマトリックス状に配列された複数の画素(ドット)で表現され、主走査方向に沿って一列に配列する画素を一つのラインとした場合に、複数のラインで表現される。
【0027】
発熱抵抗体10aは、通電されることで発熱する素子であり、主走査方向に沿って一列に配列された画素(ドット)毎に対応して設けられる。発熱抵抗体10aは、リボンRbに塗布されたインクやラミネート材を通電による発熱で記録媒体Paに熱転写して、対応する画素を印刷する。プリンタ1は、記録媒体Pa及びリボンRbを副走査方向に搬送しながら複数の発熱抵抗体10aに通電することによりライン単位で印刷し、副走査方向の何れか一方向である印刷方向に沿って順にライン単位で印刷する。サーマルヘッド10に対向する位置にはプラテンローラ10bが設けられ、サーマルヘッド10とプラテンローラ10bとは相対的に接離可能に構成されている。印刷を行う際にはサーマルヘッド10とプラテンローラ10bとでリボンRb及び記録媒体Paを圧接する。
【0028】
用紙搬送部12は、フィードローラ12a及びピンチローラ12bを主体として構成され、両ローラ12a・12bで記録媒体Paを挟持した状態においてモータ等を用いて構成されたフィードローラ駆動部12c(図2参照)によりフィードローラ12aを回転駆動して、記録媒体Paを搬送する。
【0029】
リボン搬送部13は、供給側リボンローラ13aと巻取側リボンローラ13bとの間でリボンRbを搬送する。具体的な一例として、モータ等を用いて構成されたリボンローラ駆動部13c(図2参照)により巻取側リボンローラ13bを回転駆動して、供給側リボンローラ13aからサーマルヘッド10に向けてリボンRbを繰り出し且つサーマルヘッド10に至るリボンRbを巻取側リボンローラ13bに巻き取る動作を行う。
【0030】
制御部14は、図1に示すように、第一の記憶部14aと、第二の記憶部14bと、第三の記憶部14cと、補正部14eと、通電制御部14dと、用紙搬送制御部14fと、リボン搬送制御部14gとを有し、外部(コンピュータ2)から受けた印刷指令に基づいて発熱抵抗体10aへの通電、リボン搬送部13及び用紙搬送部12の駆動を制御することにより、印刷に必要な一連の動作を実現する。制御部14は、図2に示すように、既知のプリンタと同様に、バスを介して接続されたCPU15a、メモリ15b及び通信部15cを具備する通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されて、メモリ15bに図示しない印刷制御処理ルーチン等の所要のプログラムが書き込まれており、CPU15aは適宜必要なプログラムを呼び出して実行することにより周辺ハードリソースと協働して、上記各部14d・14e・14f・14gを実現する。
【0031】
図1及び図2に示すように、記録媒体Paの搬送を制御する用紙搬送制御部14fは、フィードローラ駆動部12cの駆動を制御する用紙搬送駆動制御回路15fにより実現される。リボンRbの搬送を制御するリボン搬送制御部14gは、リボンローラ駆動部13cの駆動を制御するリボン駆動制御回路15gにより実現される。
【0032】
第一の記憶部14aは、図2に示すメモリ15bの記憶領域の一部を利用して実現されるもので、図1に示すように、外部(コンピュータ2)から受けた印刷指令に含まれるインク用通電データD1を一時的に記憶する。このインク用通電データD1は、リボンRbに塗布されたインクを熱転写するためのデータであり、具体的には、所望量のインクを転写して所望の印刷階調を得るために、単位時間あたりに発熱抵抗体10aに通電するパルス数を画素毎に示すパルスデータである。インク用通電データD1は、例えばイエロー、マゼンタ、シアンといったインクの種類毎に記憶されている。
【0033】
第二の記憶部14bは、図2に示すメモリ15bの記憶領域の一部を利用して実現されるもので、図1に示すように、外部(コンピュータ2)から受けた印刷指令に含まれるラミネート用通電データD2を一時的に記憶する。このラミネート用通電データD2は、リボンに塗布されたラミネート材を熱転写するためのデータであり、具体的には、所望量のラミネート材を転写して所望の印刷階調を得るために、単位時間あたりに発熱抵抗体10aに通電するパルス数を画素毎に示すパルスデータである。
【0034】
通電制御部14dは、図2に示す通電制御回路15dにより実現されるもので、上記のインク用通電データD1及びラミネート用通電データD2に応じた数のパルスを発熱抵抗体10aに通電することにより発熱抵抗体10aの発熱を制御する。
【0035】
第三の記憶部14cは、図2に示すメモリ15bの記憶領域の一部を利用して実現されるもので、図1に示すように、外部(コンピュータ2)から受けた印刷指令に含まれる補正データD3を一時的に記憶する。この補正データD3は、第一の記憶部14aの記憶するインク用通電データD1に基づく通電によりインクを熱転写した後におけるサーマルヘッド10の残留熱量に応じてラミネート用通電データD2を補正するためのデータである。詳細は後述する。
【0036】
補正部14eは、第三の記憶部14cから補正データD3を取得し、取得した補正データD3を用いて第二の記憶部14bから通電制御部14dに至るラミネート用通電データD2を補正する。具体的には、補正データD3とラミネート用通電データD2とを加減算等により合成することで、ラミネート用通電データD2を補正し、補正後のラミネート用通電データD2’を通電制御部14dに入力する。
【0037】
上記構成のプリンタ1に対して熱転写を指令するコンピュータ2は、図2に示すように、バスを介して接続されたCPU26とメモリ27と補助記憶措置28と通信部29とを具備する一般的なパーソナルコンピュータを用いて構成されており、ハードディスク等の補助記憶措置28に予めインストールされたデバイスドライバとも呼ばれる図3に示すプリンタドライバ処理プログラムをCPU26が実行することにより、周辺ハードリソースと協働して、図1に示す受付部21とインク用通電データ生成部22とラミネート用通電データ取得部23と補正データ生成部24と指令部25とを実現する。なお、補助記憶措置28には、本願のコンピュータプログラム以外にも基本プログラム(OS:Operating System)等の所要のプログラムが記憶されている。コンピュータ2及びプリンタ1は、図2に示すように、各々の通信部15c・29を介して有線又は無線で互いに通信可能に接続されている。本実施形態では、コンピュータとしてパーソナルコンピュータを採用しているが、専用のコントローラとして実装してもよい。
【0038】
図1に戻り、受付部21は、印刷対象となる画像データD0を他のソフトウェアや外部の機器から受け付けるインターフェイスの役割を持つ。本実施形態では、画像データD0は、画素毎に印刷階調を示すデータであり、このデータは、イエロー、マゼンタ、シアンというようなインクの種類毎に設けられるが、その他の形式のデータであってもよい。
【0039】
インク用通電データ生成部22は、受付部21の受け付けた画像データD0に基づき上記のインク用通電データD1を生成する。インク用通電データ生成部22は、画像データD0を通電データ(パルスデータ)に変換するための変換情報22aを有しており、この変換情報22aを用いてインク用通電データD1を生成する。
【0040】
ラミネート用通電データ取得部23は、予め設定されたラミネート用通電データD2を取得する。このラミネート用通電データD2は、二つの印刷階調を画素毎にランダムに配置したもので、マットプリントデータとも呼ばれる。これら第一の印刷階調及び第二の印刷階調は、双方ともラミネート材が熱転写されるパルス数に設定されており、且つ、第一の印刷階調の方が第二の印刷階調よりも熱量が多くなるように設定してある。第一の印刷階調により熱転写を行えば、印刷結果に光沢が生まれ、第二の印刷階調による印刷結果は、光沢を無くしたつや消し状態になるように設定してある。勿論、予め設定されているラミネート用通電データが、二つの印刷階調を所定パターンとして配置したものでもよく、全ての画素を一つの印刷階調に設定してもよい(すなわち、全面光沢プリント、全面つや消しプリントを実現する)。また、使用する印刷階調の数は二つに限定されず、二つ以上でもよい。勿論、ラミネート用通電データ取得部を、画像データや他の外部指令に応じてラミネート用通電データを生成するように構成してもよい。
【0041】
補正データ生成部24は、受付部21の受け付けた画像データD0若しくはインク用通電データ生成部22の生成したインク用通電データD1に基づきインクを熱転写した後におけるサーマルヘッド10(発熱抵抗体10a)の残留熱量を推定し、推定した残留熱量に応じてラミネート用通電データD2を補正するための補正データD3を生成する。具体的には、特開平11−198425号公報にも示される蓄熱量を算出する技術を用いたもので、予め設定された蓄熱パラメータ24aとインク用通電データD1の示すパルス数とに基づき残留熱量を算出(推定)し、補正後のラミネート用通電データD2’が残留熱量を考慮した値となるように補正データD3を生成する。具体的な一例を述べると、ラミネート用通電データD2において或る画素で或る印刷階調を得るためのパルス数がF1である場合に、不要な残留熱によって(F1+F2)のパルス数が通電されたことになるときに、補正データD3は、ラミネート用通電データD2の示すパルス数を(F1)→(F1−F2)のように小さくする方向に補正するデータである。この例において補正データD3の示す補正値は(−F2)となる。すなわち、補正部14eで生成されて適用される補正後の通電データD2’が、前記補正データD3によって決定される際に前記ラミネート用通電データD2よりも小さく(すなわち通電量を少なく)するものである。ラミネート用通電データD2を小さくする演算としては、加減乗除のいずれでもよい。また、インクの熱転写に起因する残留熱は次第に放熱されてその影響が小さくなるので、補正データD3は、記録媒体Paへの熱転写による印刷が進むにつれてすなわち印刷方向に沿って補正値が小さくなるように、すなわち前記ラミネート用通電データD2と補正された通電データD2’との差が小さく(すなわち通電量の差が小さく)なるように生成される。さらに、インク用通電データD1には、イエロー、マゼンタ、シアンといったインクの種類毎にデータがあるが、ラミネート材の直前に熱転写するシアンインクの影響が支配的であるため、シアンインク用通電データに基づき推定される残留熱量を他のインクよりも優先する。このため、補正データD3は少なくともインク用通電データD1のうちシアンインクセクションCに対応する通電データに基づいている。
【0042】
指令部25は、インク用通電データD1、ラミネート用通電データD2及び補正データD3をプリンタ1に送信し、プリンタ1に、ラミネート用通電データD2を補正データD3を用いて補正させるとともに、インク用通電データD1及び補正後のラミネート用通電データD2’によるインク及びラミネート材の熱転写をプリンタ1に指示する。この際、各種データD1・D2・D3のプリンタ1への送信及びプリンタ1への指令は、通信部15c・29(図2参照)を介して実行される。
【0043】
上記構成の印刷システムは、次のように動作する。すなわち、図1及び図3に示すように、コンピュータ2は、印刷対象となる画像データD0を他のソフトウェアから受け付けるステップSP1を実行し、次のステップSP2において画像データD0を受け付けたか否かを判定する。ステップSP2において画像データD0を受け付けたと判定した場合(SP2:YES)には、次のステップSP3において画像データD0に基づきインク用通電データD1を生成し、次のステップSP4においてラミネート用通電データD2を取得し、次のステップSP5において画像データD0若しくはインク用通電データD1に基づき補正データD3を生成する。続いてステップSP6において、通電データD1・D2及び補正データD3をプリンタ1に送信し、プリンタ1に、補正データD3を用いてラミネート用通電データD2を補正させるとともに、インク用通電データD1及び補正後のラミネート用通電データD2’によるインク及びラミネート材の熱転写をプリンタ1に指示し、ステップSP1に戻る。
【0044】
プリンタ1は、コンピュータ2から通電データD1・D2及び補正データD3を受信して、インク用通電データD1を第一の記憶部14aに記憶し、ラミネート用通電データD2を第二の記憶部14bに記憶し、補正データD3を第三の記憶部14cに記憶する。インクを熱転写する場合には、第一の記憶部14aから読み出したインク用通電データD1に応じた通電を行う。ラミネート材を熱転写する場合には、第二の記憶部14bから読み出したラミネート用通電データD2と第三の記憶部14cの記憶する補正データD3とを補正部14eで合成して補正後のラミネート用通電データD2’を得て、補正後のラミネート用通電データD2’に応じた通電を行う。
【0045】
以上のように、本実施形態に係るプリンタは、サーマルヘッド10への通電によりリボンRbを加熱して有色のインク及び透明なラミネート材をリボンRbから記録媒体Paに熱転写するプリンタであって、インクを熱転写するためのインク用通電データD1を記憶する第一の記憶部14aと、ラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データD2を記憶する第二の記憶部14bと、通電データD1・D2に応じた通電をサーマルヘッド10に行う通電制御部14dと、第一の記憶部14aの記憶するインク用通電データD1に基づきインクを熱転写した後におけるサーマルヘッド10の残留熱量に応じてラミネート用通電データD2を補正するための補正データD3を取得し、補正データD3を用いて第二の記憶部14bから通電制御部14dに至るラミネート用通電データD2を補正する補正部14eとを備える。
【0046】
この構成によれば、第一及び第二の記憶部14a・14bに、インクを熱転写するためのインク用通電データD1及びラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データD2が記憶されており、通電制御部14dがこれら通電データD1・D2に応じた通電をサーマルヘッド10に行うことで、インク及びラミネート材が記録媒体Paに熱転写される。この場合、ラミネート材の熱転写は、インクを熱転写した後におけるサーマルヘッド10の残留熱量に影響を受けるものの、補正部14eが、残留熱量に応じてラミネート用通電データD2を補正するための補正データD3を取得し、取得した補正データD3を用いてラミネート用通電データD2を補正するので、インクの熱転写後におけるサーマルヘッド10の残留熱量を考慮した補正後のラミネート用通電データD2’でラミネート材を熱転写でき、印刷品質を向上させることが可能となる。
【0047】
特に、本実施形態では、補正データD3を記憶する第三の記憶部14cを備え、補正部14eは、第三の記憶部14cから補正データD3を取得し、取得した補正データD3とラミネート用通電データD2とを合成することでラミネート用通電データD2を補正するように構成されているので、ラミネート用通電データD2と補正データD3とを加減乗除等の演算により合成するといった単純な演算でラミネート用通電データD2を補正し、補正後のデータに応じて通電するだけで、サーマルヘッド10の残留熱量を考慮した熱転写が可能となり、DSP(Digital Signal Processor)などの高速演算器をプリンタに搭載する必要を無くして、プリンタのコストを低減させることが可能となる。
【0048】
本実施形態に係る印刷システムは、サーマルヘッド10への通電によりリボンRbを加熱して有色のインク及び透明なラミネート材をリボンRbから記録媒体Paに熱転写するプリンタ1と、プリンタ1と通信可能に構成されプリンタ1に対して熱転写を指令するコンピュータ2とを備える印刷システムであって、コンピュータ2は、印刷対象となる画像データD0を受け付ける受付部21と、受付部21の受け付けた画像データD0に基づきインクを熱転写するためのインク用通電データD1を生成するインク用通電データ生成部22と、ラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データD2を生成又は取得するラミネート用通電データ取得部23と、画像データD0若しくは生成されたインク用通電データ生成部22に基づきインクを熱転写した後におけるサーマルヘッド10の残留熱量を推定し、推定した残留熱量に応じてラミネート用通電データD2を補正するための補正データD3を生成する補正データ生成部24と、インク用通電データD1、ラミネート用通電データD2及び補正データD3をプリンタ1に送信し、プリンタ1に、補正データD3を用いてラミネート用通電データD2を補正させるとともに、インク用通電データD1及び補正後のラミネート用通電データD2’によるインク及びラミネート材の熱転写をプリンタ1に指示する指令部25とを備えており、プリンタ1は、コンピュータ2から受信したインク用通電データD1を記憶する第一の記憶部14aと、コンピュータ2から受信したラミネート用通電データD2を記憶する第二の記憶部14bと、コンピュータ2から受信した補正データD3を記憶する第三の記憶部14cと、通電データD1・D2に応じた通電をサーマルヘッド10に行う通電制御部14dと、第三の記憶部14cの記憶する補正データD3を用いて第二の記憶部14bから通電制御部14dに至るラミネート用通電データD2を補正する補正部14eとを有する。
【0049】
このように構成すれば、インクの熱転写後におけるサーマルヘッド10の残留熱量を考慮した補正後のラミネート用通電データD2’でラミネート材を熱転写でき、印刷品質を向上させることが可能となる。しかも、プリンタ1において、ラミネート用通電データD2と補正データD3とを加減乗除等の演算により合成するといった単純な演算でラミネート用通電データD2を補正し、補正後のデータに応じて通電するだけで、サーマルヘッド10の残留熱量を考慮して熱転写でき、DSP(Digital Signal Processor)などの高速演算器をプリンタに搭載する必要がなく、プリンタのコストを低減させることが可能となる。
【0050】
本実施形態に係るコンピュータプログラムは、サーマルヘッド10への通電によりリボンRbを加熱して有色のインク及び透明なラミネート材をリボンRbから記録媒体Paに熱転写するプリンタ1と通信可能に接続されたコンピュータ2に、受け付けた画像データD0に基づく熱転写をプリンタ1へ指示させるコンピュータプログラムであって、受け付けた画像データD0に基づきインクを熱転写するためのインク用通電データD1を生成するステップと、ラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データD2を生成又は取得するステップと、画像データD0若しくはインク用通電データD1に基づきインクを熱転写した後におけるサーマルヘッド10の残留熱量を推定し、推定した残留熱量に応じてラミネート用通電データD2を補正するための補正データD3を生成するステップと、上記ステップにより得られたインク用通電データD1、ラミネート用通電データD2及び補正データD3をプリンタ1に送信し、プリンタ1に、補正データD3を用いてラミネート用通電データD2を補正させるとともに、インク用通電データD1及び補正後のラミネート用通電データD2’によるインク及びラミネート材の熱転写をプリンタ1に指示するステップと、をコンピュータ2に実行させる。
【0051】
このプログラムによれば、プリンタ1が、コンピュータ2から受け取ったインク用通電データD1に基づき通電するだけでインクの熱転写が行われ、プリンタ1が、コンピュータ2から受け取ったラミネート用通電データD2に対して補正データD3による補正を行い、補正後のラミネート用通電データD2’に基づき通電するだけで、サーマルヘッド10の残留熱量を考慮した熱転写が可能となり、DSP(Digital Signal Processor)等の高速演算器をプリンタに搭載する必要を無くして、プリンタのコストを低減させることが可能となる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0053】
例えば、本実施形態では、画像データD0から通電データD1を生成する生成部22等をプリンタ以外のコンピュータ2において実現することで、プリンタにDSP(Digital Signal Processor)などの高速演算器を搭載する必要を無くして、プリンタの製造コストを低減させているが、図4に示すように、プリンタ101の制御部114に、印刷対象となる画像データD0を受け付ける受付部121と、受付部121の受け付けた画像データD0に基づきインク用通電データD1を生成して第一の記憶部14aに記憶するインク用通電データ生成部122と、ラミネート用通電データD2を生成又は取得して第二の記憶部14bに記憶するラミネート用通電データ取得部123と、画像データD0若しくは生成されたインク用通電データD1に基づきインクを熱転写した後におけるサーマルヘッド10の残留熱量を推定し、推定した残留熱量に応じてラミネート用通電データD2を補正するための補正データD3を生成する補正データ生成部124とを設けてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、図1に示す各部14a・14b・14c・14eは、所定プログラムをCPU15aで実行することで実現しているが、各部を専用メモリや専用回路で構成してもよい。
【0055】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0056】
コンピュータに実行されることによって方法を実施するための指令である上記コンピュータプログラムは、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な媒体に記録して取り扱っても構わない。
【符号の説明】
【0057】
1…プリンタ
10…サーマルヘッド
14a…第一の記憶部
14b…第二の記憶部
14c…第三の記憶部
14d…通電制御部
2…コンピュータ
21、121…受付部
22、122…インク用通電データ生成部
23、123…ラミネート用通電データ取得部
24、124…補正データ生成部
25…指令部
Rb…リボン
Pa…記録媒体
D0…画像データ
D1…インク用通電データ
D2…ラミネート用通電データ
D2’…補正後のラミネート用通電データ
D3…補正データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドへの通電によりリボンを加熱して有色のインク及び透明なラミネート材をリボンから記録媒体に熱転写するプリンタであって、
前記インクを熱転写するためのインク用通電データを記憶する第一の記憶部と、
前記ラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データを記憶する第二の記憶部と、
前記通電データに応じた通電を前記サーマルヘッドに行う通電制御部と、
前記第一の記憶部の記憶するインク用通電データに基づきインクを熱転写した後における前記サーマルヘッドの残留熱量に応じて前記ラミネート用通電データを補正するための補正データを取得し、前記補正データを用いて前記第二の記憶部から前記通電制御部に至るラミネート用通電データを補正する補正部とを備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記補正データを記憶する第三の記憶部を備え、
前記補正部は、前記第三の記憶部から補正データを取得し、取得した補正データと前記ラミネート用通電データとを合成することで前記ラミネート用通電データを補正する請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
印刷対象となる画像データを受け付ける受付部と、
前記受付部の受け付けた画像データに基づき前記インク用通電データを生成して前記第一の記憶部に記憶するインク用通電データ生成部と、
前記ラミネート用通電データを生成又は取得して前記第二の記憶部に記憶するラミネート用通電データ取得部と、
前記画像データ若しくは生成されたインク用通電データに基づきインクを熱転写した後におけるサーマルヘッドの残留熱量を推定し、推定した残留熱量に応じて前記ラミネート用通電データを補正するための補正データを生成する補正データ生成部とを備える請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記リボンは少なくとも3つのカラーインクセクションと1つの透明なラミネート材セクションを配列したセットを複数セット有し、前記インク用通電データは少なくとも3つのカラーインクセクションに対応する3つの通電データを構成要素として含んでいる請求項1記載のプリンタ。
【請求項5】
少なくとも3つのカラーインクセクションは、イエローインクセクション、マゼンダインクセクション、およびシアンインクセクションを含み、前記補正データは少なくともインク用通電データのうちシアンインクセクションに対応する通電データに基づいている請求項4記載のプリンタ。
【請求項6】
前記補正部で生成されて適用される補正後の通電データが、前記補正データによって決定される際に前記ラミネート用通電データよりも小さくなる請求項1記載のプリンタ。
【請求項7】
透明なラミネート材の記録媒体への熱転写が進行するにつれて、前記ラミネート用通電データと補正された通電データとの差を小さくするために、前記補正データの補正値が小さくなる請求項6記載のプリンタ。
【請求項8】
サーマルヘッドへの通電によりリボンを加熱して有色のインク及び透明なラミネート材をリボンから記録媒体に熱転写するプリンタと、前記プリンタと通信可能に構成され前記プリンタに対して熱転写を指令するコンピュータとを備える印刷システムであって、
前記コンピュータは、
印刷対象となる画像データを受け付ける受付部と、
前記受付部の受け付けた画像データに基づき前記インクを熱転写するためのインク用通電データを生成するインク用通電データ生成部と、
前記ラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データを生成又は取得するラミネート用通電データ取得部と、
前記画像データ若しくは生成されたインク用通電データに基づきインクを転写した後におけるサーマルヘッドの残留熱量を推定し、推定した残留熱量に応じて前記ラミネート用通電データを補正するための補正データを生成する補正データ生成部と、
前記インク用通電データ、ラミネート用通電データ及び補正データを前記プリンタに送信し、前記プリンタに、前記補正データを用いて前記ラミネート用通電データを補正させるとともに、前記インク用通電データ及び補正後のラミネート用通電データによるインク及びラミネート材の熱転写を前記プリンタに指示する指令部とを備えており、
前記プリンタは、
前記コンピュータから受信したインク用通電データを記憶する第一の記憶部と、
前記コンピュータから受信したラミネート用通電データを記憶する第二の記憶部と、
前記コンピュータから受信した補正データを記憶する第三の記憶部と、
前記通電データに応じた通電を前記サーマルヘッドに行う通電制御部と、
前記第三の記憶部の記憶する補正データを用いて前記第二の記憶部から前記通電制御部に至るラミネート用通電データを補正する補正部とを有していることを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
サーマルヘッドへの通電によりリボンを加熱して有色のインク及び透明なラミネート材をリボンから記録媒体に熱転写するプリンタと通信可能に接続されたコンピュータに、受け付けた画像データに基づく熱転写を前記プリンタへ指示させるコンピュータプログラムであって、
受け付けた画像データに基づき前記インクを熱転写するためのインク用通電データを生成するステップと、
前記ラミネート材を熱転写するためのラミネート用通電データを生成又は取得するステップと、
前記画像データ若しくは前記インク用通電データに基づきインクを熱転写した後におけるサーマルヘッドの残留熱量を推定し、推定した残留熱量に応じて前記ラミネート用通電データを補正するための補正データを生成するステップと、
上記ステップにより得られたインク用通電データ、ラミネート用通電データ及び補正データを前記プリンタに送信し、前記プリンタに、前記補正データを用いて前記ラミネート用通電データを補正させるとともに、前記インク用通電データ及び補正後のラミネート用通電データによるインク及びラミネート材の熱転写を前記プリンタに指示するステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−214039(P2012−214039A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−68932(P2012−68932)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】