説明

プリンタおよびその制御方法

【課題】互いにフォーマットが異なる複数の媒体を待ち時間なく迅速に発行することができ、これにより業務効率の向上が図れるプリンタおよびその制御方法を提供する。
【解決手段】POS端末1から入力されるプリント用データを複数のフォーマットのプリントイメージデータに展開しておき、これら展開された複数のフォーマットのプリントイメージデータのうち、POS端末1から指定されるフォーマットのプリントイメージデータをプリントする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レシート、クーポン、領収書などを発行するプリンタおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品販売処理装置たとえばPOS端末やECR端末は、レシートを発行する場合、レシート用のフォーマットのプリントイメージデータを生成し、生成したプリントイメージデータをプリンタに送る。
【0003】
プリンタは、端末から送られるプリントイメージデータをそのままプリントする。
【0004】
このプリンタの例として、感熱層が形成されたサーマル用紙の搬送路に沿ってサーマルヘッドを設け、そのサーマルヘッドによりサーマル用紙に情報をプリントするサーマルプリンタが知られている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
商品販売処理の業務で買い物客に渡される媒体として、レシート、クーポン、領収書などがある。
【0006】
例えば、レシートの発行後にクーポンを発行する場合、クーポン用のフォーマットのプリントイメージデータが端末で新たに生成され、生成されたプリントイメージデータがプリンタに送られる。
【0007】
このため、レシートが発行されてから次のクーポンが発行されるまでの待ち時間が長くなり、業務効率の低下を招いてしまう。
【0008】
この発明は、上記の事情を考慮したもので、互いにフォーマットが異なる複数の媒体を待ち時間なく迅速に発行することができ、これにより業務効率の向上が図れるプリンタおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明のプリンタは、外部機器から入力されるプリント用データを複数のフォーマットのプリントイメージデータに展開する展開手段と、この展開手段で展開された複数のフォーマットのプリントイメージデータのうち、前記外部機器から指定されるフォーマットのプリントイメージデータをプリントする制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
この発明のプリンタおよびその制御方法によれば、互いにフォーマットが異なる複数の媒体を待ち時間なく迅速に発行することができる。これにより業務効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施形態およびPOS端末の外観を示す図。
【図2】同実施形態およびPOS端末の制御回路のブロック図。
【図3】同実施形態およびPOS端末の動作を説明するためのタイムチャート。
【図4】同実施形態におけるプリント用データ、各フォーマット、発行される媒体を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。まず、この発明のプリンタおよび商品販売処理装置たとえばPOS端末の外観を図1に示す。
POS端末1は、オペレータ側にキーボード2、オペレータ表示器(タッチパネル式のカラー液晶表示器)3、バーコードスキャナ4などを備え、顧客側に客面表示器5およびカードかざし部6などを備える。
【0013】
このPOS端末1にプリンタ20が接続される。プリンタ20は、外部機器であるPOS端末1から入力されるプリント用データを用紙にプリントし、レシート、クーポン、領収書などを発行する。
【0014】
このPOS端末1およびプリンタ20の制御回路を図2に示す。
まず、POS端末1は、主制御部であるCPU10に、ハードディスクドライブ(HDD)11、上記キーボード2、上記オペレータ表示器3、上記バーコードスキャナ4、カードリーダ12、プリンタインタフェース13、上記客面表示器5、およびカード無線通信部14を接続している。ハードディスクドライブ11には、商品登録処理に必要なオペレーティングシステム(OS)およびアプリケーションプログラムが格納されている。
【0015】
CPU10は、本発明に関わる主要な機能として次の(1)の手段を有する。
(1)商品販売処理に関わるプリント用データをその商品販売処理の進行に伴い逐次に生成し、生成したプリント用データをプリンタ20に順に入力する制御手段。
【0016】
一方、プリンタ20は、主制御部であるCPU21に、給紙駆動回路22、カッタ駆動回路24、ヘッド駆動回路26、制御プログラム記憶用のROM28、データ記憶用のRAM30、レシート用のイメージバッファメモリ(第1イメージバッファ)31、クーポン用のイメージバッファメモリ(第2イメージバッファ)32、領収書用のイメージバッファメモリ(第3イメージバッファ)33、通信インタフェース29を接続している。
【0017】
通信インタフェース29は、POS端末1のプリンタインタフェース13に接続され、POS端末1との間のデータ送受信を行う。給紙駆動回路22は、サーマル用紙を搬送するための給紙機構23を駆動する。カッタ駆動回路56は、プリントが済んだサーマル用紙をカットするためのカッタ25を駆動する。ヘッド駆動回路26は、サーマル用紙にデータをプリントするサーマルヘッド27を駆動する。
【0018】
そして、CPU21は、主要な機能として次の(11)〜(13)の手段を有する。
(11)POS端末1から入力される各プリント用データをRAM30に一旦格納し、そのRAM30内の各プリント用データを、POS端末1からの入力ごとに、イメージバッファメモリ31上でレシート用のフォーマットのプリントイメージデータに展開し、かつイメージバッファメモリ32上でクーポン用のフォーマットのプリントイメージデータに展開し、かつイメージバッファメモリ33上で領収書用のフォーマットのプリントイメージデータに展開する展開手段。
【0019】
(12)イメージバッファメモリ31,32,33内のプリントイメージデータのうち、POS端末1から指定されるフォーマットのプリントイメージデータを上記給紙機構23、カッタ25、サーマルヘッド27を用いてサーマル用紙にプリントする第1制御手段。
【0020】
(13)POS端末1からクリアコマンドを受けた場合に、イメージバッファメモリ31,32,33内のプリントイメージデータを消去する第2制御手段。
【0021】
つぎに、図3のタイムチャートを参照しながら作用について説明する。
POS端末1は、商品販売処理に関わるプリント用データD1,D2,…Dnをその商品販売処理の進行に伴い逐次に生成し、生成したプリント用データD1,D2,…Dnをプリンタ20に順に入力する。プリント用データD1,D2,…Dnは、図4に示すように商品名(item1,item2,item3…)とその単価(\200,\400,\800…)および合計金額(Total\19,800)などからなり、どのフォーマットにも非依存である。
【0022】
プリンタ20は、POS端末1からプリント用データD1,D2,…Dnが入力されるごとに、そのプリント用データD1,D2,…Dnを、イメージバッファメモリ31上で第1フォーマットであるレシート用のフォーマットのプリントイメージデータ、イメージバッファメモリ32上で第2フォーマットであるクーポン用のフォーマットのプリントイメージデータ、イメージバッファメモリ33上で第3フォーマットである領収書用のフォーマットのプリントイメージデータにそれぞれ展開する。これら展開は同時に実行される。また、展開の様子を図4に示す。
【0023】
POS端末1において一人の買い物客に対する処理販売処理を終了したオペレータは、オペレータ表示器3へのタッチ操作により決済を指定する。この時点において、プリンタ20では、イメージバッファメモリ31内にレシート用のプリントイメージデータが完成し、イメージバッファメモリ32内にクーポン用のプリントイメージデータが完成し、イメージバッファメモリ33内に領収書用のプリントイメージデータが完成した状態にある。
【0024】
決済を指定したオペレータがオペレータ表示器3へのタッチ操作によりクーポン発行を選択すると、クーポン用のフォーマットを指定しつつプリントを指示するためのコマンドがPOS端末1からプリンタ20に送られる。
【0025】
このコマンドを受けたプリンタ20は、イメージバッファメモリ31,32,33内のプリントイメージデータのうち、イメージバッファメモリ32内のクーポン用のプリントイメージデータを選択し、それをサーマル用紙にプリントする。こうして、図4に示すようにクーポンが発行される。
【0026】
次に、オペレータがオペレータ表示器3へのタッチ操作によりレシート発行を選択すると、レシート用のフォーマットを指定しつつプリントを指示するためのコマンドがPOS端末1からプリンタ20に送られる。このコマンドを受けたプリンタ20は、イメージバッファメモリ31,32,33内のプリントイメージデータのうち、イメージバッファメモリ31内のレシート用のプリントイメージデータを選択し、それをサーマル用紙にプリントする。これにより、レシート用のプリントイメージデータそのままのレシートが直ちに発行される。
【0027】
さらに、オペレータがオペレータ表示器3へのタッチ操作により領収書発行を選択した場合は、領収書用のフォーマットを指定しつつプリントを指示するためのコマンドがPOS端末1からプリンタ20に送られる。このコマンドを受けたプリンタ20は、イメージバッファメモリ31,32,33内のプリントイメージデータのうち、イメージバッファメモリ33内の領収書用のプリントイメージデータを選択し、それをサーマル用紙にプリントする。これにより、領収書用のプリントイメージデータそのままの領収書が直ちに発行される。
【0028】
以上のように、POS端末1から入力されるプリント用データD1,D2,…Dnを、レシート用のフォーマットのプリントイメージデータ、クーポン用のフォーマットのプリントイメージデータ、領収書用の複数のフォーマットのプリントイメージデータにそれぞれ展開し、これら展開した複数のフォーマットのプリントイメージデータのうち、POS端末1から指定されるフォーマットのプリントイメージデータをプリントすることにより、互いにフォーマットが異なるレシート、クーポン、領収書を買い物客からの求めに応じて時間遅れなく迅速に発行することができる。これにより、商品販売処理の業務効率が大幅に向上する。
【0029】
しかも、POS端末1で各プリント用データが生成されるごとにイメージバッファメモリ31,32,33でのイメージデータの展開が進むので、一人の買い物客に対する商品販売処理が終了した時点では、すでにイメージバッファメモリ31,32,33におけるプリントイメージデータの展開が完了しているという利点がある。
【0030】
オペレータが次の買い物客に対する商品販売処理を始めると、クリアコマンドがPOS端末1からプリンタ20に送られる。このクリアコマンドを受けたプリンタ20は、RAM30内の各イメージデータおよびイメージバッファメモリ31,32,33内のプリントイメージデータを消去して、次のプリントイメージデータの展開に備える。
【0031】
なお、上記実施形態では、外部機器がPOS端末である場合を例に説明したが、プリント用データを生成するものであれば他の電気機器にも同様に実施可能である。また、3種類のプリント用データを展開するために3つのイメージバッファメモリ31,32,33を用いたが、1つのメモリの領域を3つの領域に分け、それぞれの領域でプリントイメージデータを展開する構成としてもよい。その他、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0032】
1…POS端末(外部機器)、10…CPU、20…プリンタ、21…CPU、27…サーマルヘッド、30…RAM、31…イメージバッファメモリ(第1イメージバッファ)、32…イメージバッファメモリ(第2イメージバッファ)、33…イメージバッファメモリ(第3イメージバッファ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2001−71569号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器から入力されるプリント用データを複数のフォーマットのプリントイメージデータに展開する展開手段と、
前記展開手段で展開された複数のフォーマットのプリントイメージデータのうち、前記外部機器から指定されるフォーマットのプリントイメージデータをプリントする制御手段と、
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
複数のイメージバッファをさらに備え、
前記展開手段は、前記外部機器から入力されるプリント用データを前記各イメージバッファ上で複数のフォーマットのプリントイメージデータに展開する、
前記制御手段は、前記各イメージバッファ内のプリントイメージデータのうち、前記外部機器から指定されるフォーマットのプリントイメージデータをプリントする、
ことを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記外部機器は、商品販売処理装置であり、商品販売処理に関わるプリント用データをその商品販売処理の進行に伴い逐次に生成し、生成したプリント用データを当該プリンタに順に入力する、
前記展開手段は、前記商品販売処理装置から入力される各プリント用データを、レシート用のフォーマットのプリントイメージデータ、クーポン用のフォーマットのプリントイメージデータ、領収書用のフォーマットのプリントイメージデータにそれぞれ展開する、
前記制御手段は、前記展開手段で展開された各フォーマットのプリントイメージデータのうち、前記商品販売処理装置から指定されるフォーマットのプリントイメージデータをプリントする、
ことを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項4】
レシート用の第1イメージバッファと、クーポン用の第2イメージバッファと、領収書用の第3イメージバッファとをさらに備え、
前記展開手段は、前記商品販売処理装置から入力される各プリント用データを、前記第1イメージバッファ上でレシート用のフォーマットのプリントイメージデータ、前記第2イメージバッファ上でクーポン用のフォーマットのプリントイメージデータ、前記第3イメージバッファ上で領収書用のフォーマットのプリントイメージデータにそれぞれ展開する、
前記制御手段は、前記各イメージバッファ内のプリントイメージデータのうち、前記商品販売処理装置から指定されるフォーマットのプリントイメージデータをプリントする、
ことを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項5】
前記展開手段は、前記商品販売処理装置から各プリント用データが入力されるごとに、その各プリント用データを、前記第1イメージバッファ上でレシート用のフォーマットのプリントイメージデータ、前記第2イメージバッファ上でクーポン用のフォーマットのプリントイメージデータ、前記第3イメージバッファ上で領収書用のフォーマットのプリントイメージデータにそれぞれ展開することを特徴とする請求項4記載のプリンタ。
【請求項6】
外部機器から入力されるプリント用データを複数のフォーマットのプリントイメージデータに展開するステップと、
前記展開手段で展開された複数のフォーマットのプリントイメージデータのうち、前記外部機器から指定されるフォーマットのプリントイメージデータをプリントするステップと、
を備えることを特徴とするプリンタの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−183699(P2011−183699A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52169(P2010−52169)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】