説明

プリンタの清掃具

【課題】 わずかな間隙に配された部材の隙間を清掃することができ、しかも、清掃による汚れ時に交換が容易なプリンタの清掃具を提供することを課題とする。
【解決手段】 平板状の清掃具本体部2と、幅方向Wにおいて清掃具本体部2よりやや大きめの袋状を呈するとともに、清掃具本体部2に対し被覆および裸出自在とされるクリーニング布部3と、を備え、清掃具本体部2に対しクリーニング布部3を袋底部4が当接するまで被覆して位置決めし、袋口部5側に指を添えて清掃対象部位に挿入して清掃することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、ラベルプリンタのセンサー部など、わずかな間隙に配された部材の隙間を清掃するのに好適なプリンタの清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の隙間を清掃するクリーニング工具(清掃具)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このクリーニング工具(清掃具)によれば、電子機器としてのフェーダ装置の直線状かつ平面状の抵抗体とこれに沿ってその上部に隙間を隔てて延びるガイドバーとの隙間に上方から挿入して抵抗体表面を清掃するようになっており、同クリーニング工具は、清掃作業者の指で保持される操作部と、不織布が装着される平板状のクリーニング部と、フェーダ装置のガイドバーを回避してクリーニング部と操作部とを連結する連結部と、を備えており、連結部は、操作部に連結されるとともに操作部の軸方向から所望の角度だけ斜めにそれて前方側へ直線的に延びている。また、連結部の先端にクリーニング部が結合されており、フェーダ装置のガイドバーの下部の隙間に斜め方向からクリーニング部を挿入し、操作部を指先で挟み込み斜め下方に向けて力を付与することで、クリーニング部に装着された不織布を清掃対象である抵抗体に押圧しながら、抵抗体を不織布で擦って清掃するようになっている。
しかしながら、上記特許文献1のクリーニング工具(清掃具)は、清掃対象である電子機器(フェーダ装置)の抵抗体が設けられた隙間にガイドバーを避けて挿入できるよう所望の角度斜めにそれて延びており、形状が固定されている上、力を付与し易いように操作部や連結部がロット状に形成されており、フェーダ装置以外の他の電子機器での使用に不向きであるという問題がある。
ところで、電子機器としてのラベルプリンタなどのプリンタは、持ち運びなどの携帯性を要求されるようになってきたため小型化が重視されるようになってきており、部材同士の隙間が狭まる傾向にある中で、例えば、清掃対象の部材が反射式のセンサーの場合、下方取付け部あるいは上方取付け部のいずれか一方に受光素子を取付け、下方取付け部および上方取付け部の間に所定のわずかな移送間隙を維持することにより、検出光の反射距離が変化しないようになっているため(特許文献2の背景技術参照)、特許文献1のようなロッド状の操作部や連結部、さらに、その先端に平板状のクリーニング部が形成された立体的な形状のクリーニング工具(清掃具)では狭まる傾向にある隙間に不向きであるという問題があった。
また、クリーニング部に装着された不織布は汚れの度合いにより交換が必要であるが、上記特許文献1のクリーニング工具(清掃具)にあっては、操作部より連結部を引き抜いて連結部に収納されている不織布を取り出してクリーニング部に装着された使用済みの不織布と交換するようになっており、手間が掛かるという問題があったため、交換の容易な清掃具の開発が望まれた。
【0003】
【特許文献1】特開2006−231188号公報
【特許文献2】特開2005−178309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであり、わずかな間隙に配された部材の隙間を清掃することができ、しかも、清掃による汚れ時に交換が容易なプリンタの清掃具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るプリンタの清掃具は、平板状の清掃具本体部と、幅方向において前記清掃具本体部よりやや大きめの袋状を呈するとともに、前記清掃具本体部に対し被覆および裸出自在とされるクリーニング布部と、を備えたことを特徴とする。
また、清掃具本体部は、屈曲性のある金属製とすることができる。
また、清掃具本体部は、矩形状を呈し、長辺部の所望箇所に凹み状の切欠き部を形成するようにできる。
また、クリーニング布部は、袋口に袋口締め部を形成するようにできる。
さらに、クリーニング布部は、清掃具本体部を被覆した際、切欠き部において袋口締め部により締め付けるようにできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明のプリンタの清掃具は、平板状の清掃具本体部、および清掃具本体部に対し被覆および裸出自在とされる袋状のクリーニング布部を備えるようにしたので、クリーニング布部が被覆された平板状の先端部を挿入してわずかな間隙に配された部材の隙間を容易に清掃することができ、かつ、クリーニング布部の引き抜きによる清掃本体部の裸出が可能なので汚れ時のクリーニング布部の交換が容易であるという効果がある。
また、清掃具本体部を屈曲性のある金属製とすれば、隙間に至る角度やルートに合った形状に成形が容易となる。
また、清掃具本体部の長辺部の所望箇所に切欠き部を設ければ、クリーニング布部の止着が容易となる。
また、クリーニング布部の袋口に袋口締め部を形成すれば、清掃具本体部に対するクリーニング布部の止着が締め付けによって、より強固になる。
また、クリーニング布部を、切欠き部において袋口締め部により締め付けるようにすれば、切欠き部と袋口締め部との止着がより強固になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の清掃具の一実施の形態を図1ないし図4に基づき説明する。
図1は、本発明に係る清掃具1の概略平面図、図2は、図1中、矢示II方向より見た概略正面図である。
同図に示すように、清掃具1は、平板状で、かつ、矩形状(長方形)の清掃具本体部2と、袋状のクリーニング布部3とを備える。
清掃具本体部2は、屈曲性を備えた金属製で、力を入れると反ったり、あるいは、所望の形状に折り曲げると、折り曲げた形状を維持するようになっている。
クリーニング布部3は、幅方向Wにおいて前記清掃具本体部2よりやや大きめで、かつ、長手方向Lにおいては、清掃具本体部2よりやや小さめ(短め)に形成された袋状となっており、全体が例えば、不織布で作製されている。
そして、前記清掃具本体部2に対しク前記リーニング布部3を被覆し袋底部4に当接するまで押し込むと、清掃具本体部2は袋口部5よりやや突出した状態となる。
【0008】
次に、主に、図3に基づき、清掃具1の使用状態につき説明する。
図3に示す清掃具1は、図1ないし図2に図示された、長方形に形成されている清掃具1の先端部位を反らせた状態を示す概略側面図である。清掃具1の先端部位に図示省略の指を添え、清掃対象箇所の隙間(図示省略)に至るルート(侵入角度)に合わせて成形すべく力を加えると、屈曲性を備えた清掃具本体部2は力を加えられた先端部位が反るとともに、所望の反りが形成されたのち力を抜くと所望の反りを維持したままの形状となる。
作業者(図示省略)は、袋口部5より突出した清掃具本体部2aを「把持部」として把持するとともに、クリーニング布部3の先端部位、すなわち、反り返った先端部位に図示省略のクリーニング液を滲みこませ図示省略の隙間(清掃対象箇所)に向けて清掃具1を侵入させ、かつ、袋口部5側に指(図示省略)を添えて清掃対象箇所を清掃する。
清掃時、図示省略の清掃対象箇所の隙間に至るルートに合わせた形状に清掃具1を反らせて成形できるため隙間(図示省略)への侵入角度を指で調整でき、かつ、清掃具本体部2より幅方向Wにおいてやや大きめの袋状のクリーニング布部3が清掃具本体部2を被覆しているため、幅方向Wに清掃具1を擦るように動かしたとしてもクリーニング布部3はズレルことがなく、また、袋口部5側に図示省略の指を添えているので長手方向Lに清掃具1を擦るように動かしたとしてもクリーニング布部3は抜け落ちることがない。
クリーニング布部3が汚れた場合、清掃具本体部2より引き抜いて清掃具本体部2を裸出させた上で他の新しいクリーニング布部3を被覆して交換することができる。
【0009】
次に、図4に基づき清掃具1の他の使用状態につき説明する。
図4は、清掃具1の先端部位の一部に、清掃対象箇所の隙間(図示省略)のサイズに合わせた突状部6を形成した状態を示している。例えば、ロッド状の成形具7(想像線にて図示)に清掃具1を載せて成形具7の前後部位(同図における成形具7の左右位置)に図示省略の指にて力Pを加えると、清掃具本体部2は力を加えられた成形具7の部位において突状部6が形成されるものであり、所望の突状部6が形成されたのち力を抜くと屈曲性を備えた清掃具本体部2は、先端部位に突状部6が形成されたままとなる。
清掃時、清掃具1の袋口部5より突出した清掃具本体部2aを把持し、突状部6が形成された先端部位を袋口部5側に指を添えて清掃対象箇所の隙間(図示省略)に差し込み擦って清掃を行うものであり、突状部6が図示省略の隙間のサイズとほほ同じ厚さに突出しているため、隙間の上側、下側を意識することなく幅方向Wおよび長手方向Lに動かすだけで清掃が容易行えるものである。
【0010】
次に、主に、図5ないし図7に基づき、清掃具の他の実施の形態につき説明する。
なお、以下において、先の実施の形態と同様の部分は同一符合を付すに止め、詳説を省略する。
図5は、清掃具11を示す図1相当の概略平面図である。同図に示すように、清掃具11は、清掃具本体部12と、クリーニング布部13とを備える。
図6は、清掃具本体部12の概略平面図であり、清掃具本体部12は、平板状で、かつ、矩形状(長方形)を呈し、長手方向Lの辺部の両端に近い適宜部位に各々凹み状の一対の切欠き部14a、14bが形成されている。この切欠き部14a、14b(14)は、端部よりの長さが各々長さAとされ、後述するクリーニング布部13の「止着用」として形成されている。なお、切欠き部14は一端部側に一対でもよく、または、一箇所(1つ)でも構わない。
図7は、クリーニング布部13の概略平面図であり、クリーニング布部13は、幅方向Wにおいて前記清掃具本体部12よりやや大きめで、かつ、長手方向Lにおいては、清掃具本体部12よりやや小さめ(短め)に形成された袋状となっており、袋口部5には、締め付け紐15を備えた袋口締め部16が形成されている。この袋口締め部16は、幅方向Wの外側方向に締め付け紐15を引張ると袋口部5が締め付けられるようになっている。さらに、袋底部4から袋口締め部16までの長さは、前記清掃具本体部12の端部から切欠き部14(14a、14b)までの長さとほほ同じ長さAとなっている。
【0011】
次に、図5ないし図7を用いて、本実施の形態における清掃具11の使用状態を説明する。
図5は、上記清掃本体部12に対しクリーニング布部13を被覆した状態を示しており、清掃具本体部12が袋底部4に当接するまでクリーニング布部13にて被覆すると、端部から切欠き部14までの長さ、および袋底部4から袋口締め部16までの長さがほぼ同じ長さAとされることから、袋口締め部16が清掃具本体部12の切欠き部14の位置にほぼ位置決めされるようになっており、清掃具本体部12をクリーニング布部13にて被覆した状態にして袋口締め部16の締め付け紐15を引張ると、この締め付け紐15が前記切欠き部14a(14)に食い込んでクリーニング布部13が清掃具本体部12に止着されるようになっている。この状態で清掃本体部12の把持部12aを把持し図示省略の隙間に清掃具11を挿入して清掃を行うと、幅方向Wは勿論のこと長手方向Lにおいて擦っても締め付け紐15と切欠き部14の止着により、清掃本体部12がクリーニング布部13より裸出することがないので、指で袋口部5を押さえなくとも容易に清掃できるものである。
その他の構成、作用、効果については、先の実施の形態とほぼ同様につき詳説を省略する。
【0012】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0013】
例えば、上記実施の形態において、クリーニング布部3、13は、清掃本体部2、12よりやや小さめ(短め)に形成した例で説明したがこれに限定されないことは勿論であり、清掃本体部2、12よりやや大きめ(長め)に成形して清掃本体部2、12を被覆した上で折り返して袋口部5側を閉じ、クリーニング布部3、13ごと把持して清掃するようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る清掃具の概略平面図である。
【図2】同、図1中、矢示II方向より見た概略正面図である。
【図3】同、先端部位を反らせた使用形態を示す概略側面図である。
【図4】同、先端部位に突状部を形成した使用形態を示す概略側面図である。
【図5】同、他の実施の形態の清掃具を示す概略平面図である。
【図6】同、清掃具の清掃本体部を示す概略平面図である。
【図7】同、清掃具のクリーニング布部を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0015】
L 長手方向
W 幅方向
P 力
1 清掃具(第1の実施の形態)
2 清掃具本体部
2a 把持部
3 クリーニング布部
4 袋底部
5 袋口部
6 突状部
7 成形具
11 清掃具(第2の実施の形態)
12 清掃具本体部
12a 把持部
13 クリーニング布部
14,14a、14b 切欠き部
15 締め付け紐
16 袋口締め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の清掃具本体部と、
幅方向において前記清掃具本体部よりやや大きめの袋状を呈するとともに、前記清掃具本体部に対し被覆および裸出自在とされるクリーニング布部と、
を備えたことを特徴とするプリンタの清掃具。
【請求項2】
前記清掃具本体部は、屈曲性のある金属製であることを特徴とする請求項1記載のプリンタの清掃具。
【請求項3】
前記清掃具本体部は、矩形状を呈し、長辺部の所望箇所に凹み状の切欠き部が形成されることを特徴とする請求項1および2記載のプリンタの清掃具。
【請求項4】
前記クリーニング布部は、袋口に袋口締め部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のプリンタの清掃具。
【請求項5】
前記クリーニング布部は、前記清掃具本体部を被覆した際、前記切欠き部において前記袋口締め部により締め付けることを特徴とする請求項1ないし4記載のプリンタの清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−83341(P2009−83341A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256969(P2007−256969)
【出願日】平成19年9月29日(2007.9.29)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】