説明

プリンタドライバプログラム、印刷制御装置、及び印刷システム

【課題】付加情報を印刷する場合でも、アプリケーションソフトで作成した際のイメージサイズと実際の印刷結果のサイズとを一致させること。
【解決手段】本発明は、用紙のサイズを可変にして印刷可能なプリンタ60に対し、アプリケーションソフト28からの印刷命令に応じて印刷処理を制御する印刷制御装置10に、アプリケーションソフト28からの印刷命令に基づいて主印刷データ48を生成する主印刷データ生成ステップと、主印刷データ48とは別に、付加情報を含む付加印刷データ50を生成する付加印刷データ生成ステップと、主印刷データ48と付加印刷データ50とをそれぞれ別の印刷データとしてプリンタ60に転送する転送ステップと、を実行させるためのプリンタドライバプログラムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタドライバプログラム、印刷制御装置、及び印刷システムに関し、特に、用紙のサイズを可変にして印刷可能なプリンタに対する印刷処理を制御するプリンタドライバプログラム、印刷制御装置、及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタドライバは、例えばPC(パーソナルコンピュータ)等の印刷制御装置にインストールされ、プリンタに対して各種印刷設定を含む印刷処理を行うプログラムである。プリンタドライバは、アプリケーションソフト等から通知される印刷命令により印刷データを生成し、プリンタへ転送する機能を有する。また、プリンタドライバは、アプリケーションソフト等からの印刷命令に含まれる用紙サイズ情報に基づき印刷データのサイズを決定する。
【0003】
用紙サイズはA4サイズやB5サイズ等の規格サイズが通常用いられる。しかしながら、種々のプリンタの中には、例えばロール紙等の長尺用紙を使用して、用紙サイズを可変として印刷することが可能なプリンタがある。例えば、特許文献1には、このような用紙サイズを可変にして印刷可能なプリンタに対して印刷処理を行うプリンタドライバプログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−18441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アプリケーションソフトにより作成した文章等を印刷する場合、ページ番号等の付加情報も含めて印刷する場合がある。この場合、例えば文章等がA4サイズのイメージで作成されていると、文章等のA4サイズのイメージを縮小して付加情報を印刷するためのスペースを確保している。このため、アプリケーションソフトで作成した際のイメージサイズと実際の印刷結果のサイズとが異なる場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、付加情報を印刷する場合でも、アプリケーションソフトで作成した際のイメージサイズと実際の印刷結果のサイズとを一致させることが可能なプリンタドライバプログラム、印刷制御装置、及び印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、用紙のサイズを可変にして印刷可能なプリンタに対し、アプリケーションソフトからの印刷命令に応じて印刷処理を制御する印刷制御装置に、前記アプリケーションソフトからの印刷命令に基づいて主印刷データを生成する主印刷データ生成ステップと、前記主印刷データとは別に、付加情報を含む付加印刷データを生成する付加印刷データ生成ステップと、前記主印刷データと前記付加印刷データとをそれぞれ別の印刷データとして前記プリンタに転送する転送ステップと、を実行させることを特徴とするプリンタドライバプログラムである。本発明によれば、主印刷データと付加印刷データとをそれぞれ別の印刷データとしてプリンタに転送することで、付加情報を印刷する場合でも、アプリケーションソフトで作成した際のイメージサイズと実際の印刷結果のサイズとを一致させることができる。
【0008】
上記構成において、記憶領域に予め記憶された設定に基づき、前記主印刷データに対して所定のタイミングで前記付加印刷データが印刷されるように、前記主印刷データと前記付加印刷データとの印刷順序を決定する印刷順序決定ステップを有し、前記転送ステップは、前記印刷順序決定ステップで決定された印刷順序に従って前記主印刷データと前記付加印刷データとを前記プリンタに転送する構成とすることができる。この構成によれば、主印刷データに対して付加印刷データを印刷するタイミングを自由に決めることができる。
【0009】
上記構成において、前記所定のタイミングは、ページ毎又はドキュメント毎である構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記印刷順序決定ステップは、記憶領域に予め記憶された設定に基づき、前記主印刷データに対して所定の位置に前記付加印刷データが印刷されるように、前記主印刷データと前記付加印刷データとの印刷順序を決定する構成とすることができる。この構成によれば、主印刷データに対して付加印刷データを印刷する位置を自由に決めることができる。
【0011】
上記構成において、前記所定のタイミングは、ページ毎又はドキュメント毎であり、前記所定の位置は、ページ又はドキュメントの上部又は下部の少なくとも一方である構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、境界線データを生成し、前記主印刷データと前記付加印刷データとの間に前記境界線データを挿入する境界線データ生成ステップを有し、前記転送ステップは、前記主印刷データ、前記付加印刷データ、前記境界線データをそれぞれ別の印刷データとして前記プリンタに転送する構成とすることができる。この構成によれば、付加印刷データが印刷された部分が不要になった場合等に、付加印刷データが印刷された部分を容易に除去することができる。
【0013】
上記構成において、前記境界線データは、切取り線の印刷データ又は1点残しカットの用紙カットコマンドである構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記付加印刷データ生成ステップは、前記アプリケーションソフトからの印刷命令に含まれる付加情報を前記付加印刷データとして生成する構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記付加印刷データ生成ステップは、記憶領域に予め記憶された文字列を前記付加印刷データとして生成する構成とすることができる。この構成によれば、付加印刷データを自由に設定することができる。
【0016】
本発明は、用紙のサイズを可変にして印刷可能なプリンタに対し、アプリケーションソフトからの印刷命令に応じて印刷処理を制御する印刷制御装置であって、前記アプリケーションソフトからの印刷命令に基づいて主印刷データを生成する主印刷データ生成部と、前記主印刷データとは別に、付加情報を含む付加印刷データを生成する付加印刷データ生成部と、前記主印刷データと前記付加印刷データとをそれぞれ別の印刷データとして前記プリンタに転送する転送部と、を有することを特徴とする印刷制御装置である。本発明によれば、主印刷データと付加印刷データとをそれぞれ別の印刷データとしてプリンタに転送することで、付加情報を印刷する場合でも、アプリケーションソフトで作成した際のイメージサイズと実際の印刷結果のサイズとを一致させることができる。
【0017】
本発明は、用紙のサイズを可変にして印刷可能なプリンタと、前記プリンタに対してアプリケーションソフトからの印刷命令に応じて印刷処理を制御する印刷制御装置と、を備えた印刷システムであって、前記印刷制御装置は、前記アプリケーションソフトからの印刷命令に基づいて主印刷データを生成する主印刷データ生成部と、前記主印刷データとは別に、付加情報を含む付加印刷データを生成する付加印刷データ生成部と、前記主印刷データと前記付加印刷データとをそれぞれ別の印刷データとして前記プリンタに転送する転送部と、を有することを特徴とする印刷システムである。本発明によれば、主印刷データと付加印刷データとをそれぞれ別の印刷データとしてプリンタに転送することで、付加情報を印刷する場合でも、アプリケーションソフトで作成した際のイメージサイズと実際の印刷結果のサイズとを一致させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、文章等の主印刷データと付加情報の付加印刷データとをそれぞれ別の印刷データとしてプリンタに転送することで、付加情報を印刷する場合でも、アプリケーションソフトで作成した際のイメージサイズと実際の印刷結果のサイズとを一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、アプリケーションソフトで作成した際のイメージと実際の印刷結果とを説明する図の例である。
【図2】図2は、実施例1に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図の例である。
【図3】図3は、実施例1に係る印刷システムの機能ブロック図の例である。
【図4】図4は、プリンタドライバで生成される印刷データについて説明する図の例である。
【図5】図5は、付加印刷データ生成部による付加印刷データの生成について説明するフローチャートの例である。
【図6】図6は、印刷順序決定部による印刷順序の決定について説明するフローチャートの例である。
【図7】図7は、主印刷データに対する付加印刷データの印刷順序を説明する図の例である。
【図8】図8は、境界線データ生成部による境界線データの生成について説明するフローチャートの例である。
【図9】図9は、アプリケーションソフトで作成した際のイメージと実際の印刷結果とを説明する図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず初めに、図1を用いて、本発明が解決しようとする課題について詳しく説明する。図1は、アプリケーションソフトで作成した際のイメージと実際の印刷結果とを説明する図の例である。図1のように、アプリケーションソフトにより文章([あ〜の])を作成した場合、アプリケーションソフト上では左図のように表示される。この文章に付加情報(例えばページ番号)を含めて印刷すると、付加情報を印刷するスペースを確保するために文章を縮小して印刷する。このため、右図のような印刷結果となる。このように、アプリケーションソフトで作成した際の文章のイメージサイズに対して、実際の印刷結果における文章のサイズは縮小されてしまう。
【0021】
アプリケーションソフトで作成した際のイメージサイズと実際の印刷結果のサイズとを一致させるために、付加情報を印刷しないという方法が取り得る。しかしながら、付加情報を印刷しないと、印刷が複数ページに跨る場合等に、印刷された順番が判別し難くなってしまう。そこで、このような課題に鑑み、付加情報を印刷する場合でも、アプリケーションソフトで作成した際のイメージサイズと実際の印刷結果のサイズとを一致させることが可能な実施例について以下に説明する。
【実施例1】
【0022】
図2は、実施例1に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図の例である。図2のように、実施例1に係る印刷システム100は、印刷データを送信する例えばPC等の印刷制御装置10と、印刷データを受信して画像を印刷するプリンタ60と、を備えている。プリンタ60は、例えばロール紙等の長尺用紙であって用紙サイズが可変となる用紙に印刷することが可能なプリンタである。印刷制御装置10とプリンタ60とは、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル80により接続され、印刷データの送受信が可能となっている。なお、印刷制御装置10とプリンタ60とを接続するインタフェースは、例えばUSBやRS−232C等の有線インタフェース、例えば無線LAN等の無線インタフェース、ネットワーク接続のいずれの場合であってもよい。
【0023】
印刷制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)12、ROM(Read Only Memory)14、RAM(Random Access Memory)16、ハードディスクドライブ(HDD)18、操作部20、表示部22、及びインタフェース(I/F)24を有する。これらCPU12、ROM14、RAM16、HDD18、操作部20、表示部22、及びI/F24は、互いにバス26を介して電気的に接続し、互いにデータのやりとりを行うことができる。CPU12は、ROM14やHDD18に予め記憶されたプログラムに従い、RAM16をワークメモリとして用いて、印刷制御装置10全体を制御する。
【0024】
HDD18には、オペレーティングシステム(OS)や、印刷用のデータを作成可能なアプリケーションソフト、プリンタ60を制御するためのプリンタドライバ等の各種プログラムが記憶されている。操作部20は、例えばキーボードやマウス等である。表示部22は、例えば液晶ディスプレイである。I/F24は、プリンタ60との間でデータの通信を行うインタフェースである。
【0025】
プリンタ60は、CPU62、ROM64、RAM66、操作部68、表示部70、印刷部72、及びI/F74を有する。これらCPU62、ROM64、RAM66、操作部68、表示部70、印刷部72、及びI/F74は、互いにバス76を介して電気的に接続し、互いにデータのやりとりを行うことができる。CPU62は、ROM64に記憶された制御プログラムに従い、RAM66をワークメモリとして用いて、プリンタ60全体を制御する。
【0026】
操作部68は、例えばタッチパネルや釦からなり、ユーザによって各種の入力操作が可能である。表示部70は、例えば液晶ディスプレイやランプ等であり、各種の設定画面や動作状態を表示することが可能である。印刷部72は、印刷制御装置10から送信される印刷データを基に画像を用紙に印刷する。印刷部72は、例えばロール紙等の長尺用紙を使用し、用紙のサイズを可変にして印刷することができる。I/F74は、印刷制御装置10との間でデータの通信を行うインタフェースである。
【0027】
図3は、実施例1に係る印刷システム100の機能ブロック図の例である。図3のように、印刷制御装置10には、ソフトウエアとして、アプリケーションソフト28及びプリンタドライバ30がインストールされている。これらソフトウエアとCPU12等のハードウエアとの協働によって後述する機能が実現される。また、記憶領域32を有する。記憶領域32は、例えばHDD18の所定領域であって、プリンタドライバ30による印刷処理に関してユーザが設定したファイルが予め記憶されている。
【0028】
アプリケーションソフト28は、例えば文章作成ソフトウエアや表計算ソフトウエア、画像作成ソフトウエア等である。プリンタドライバ30は、プリンタ60で印刷される印刷データを生成し、USBケーブル80を介して印刷データをプリンタ60に転送する。
【0029】
プリンタドライバ30は、主印刷データ生成部34、付加印刷データ生成部36、境界線データ生成部38、印刷順序決定部40、及び転送部42を有する。図4を併用して、それぞれの機能について説明する。図4は、プリンタドライバ30で生成される印刷データについて説明する図である。
【0030】
主印刷データ生成部34は、アプリケーションソフト28から文章等の印刷データ44とページ数や用紙サイズ等の印刷設定46とを含む印刷命令が通知されると、印刷設定46に含まれるページ数や用紙サイズ等の値に基づいて印刷データ44を変換して、プリンタ60で印刷可能な主印刷データ48を生成する。
【0031】
付加印刷データ生成部36は、アプリケーションソフト28から印刷命令が通知されると、記憶領域32に予め記憶された設定に基づいて、印刷設定46に含まれるページ番号やドキュメント名、記憶領域32に予め記憶された任意の文字列(例えばユーザ名や会社名等)等の付加情報を付加印刷データ50として生成する。
【0032】
境界線データ生成部38は、アプリケーションソフト28から印刷命令が通知されると、記憶領域32に予め記憶された設定に基づいて、切取り線の印刷データ又は1点残しカット等の用紙カットコマンドを境界線データ52として生成する。そして、生成した境界線データ52を、後述の印刷順序決定部40で印刷順序が決定された主印刷データ48と付加印刷データ50との間に挿入する。
【0033】
印刷順序決定部40は、アプリケーションソフト28から印刷命令が通知されると、記憶領域32に予め記憶された設定に基づいて、主印刷データ生成部34で生成した主印刷データ48と、付加印刷データ生成部36で生成した付加印刷データ50と、の印刷順序を決定する。
【0034】
転送部42は、印刷順序決定部40により決定された印刷順序にて、主印刷データ48、付加印刷データ50、及び境界線データ52をプリンタ60に転送する。これにより、例えば主印刷データ48、境界線データ52、付加印刷データ50の印刷順序にて転送された場合、プリンタ60による印刷の結果は、例えば出力結果54のようになる。
【0035】
次に、付加印刷データ50の生成方法についてより詳細に説明する。図5は、付加印刷データ生成部36による付加印刷データ50の生成について説明するフローチャートの例である。ここでは、付加情報としてページ番号とドキュメント名とを使用する場合を例に説明する。
【0036】
図5のように、付加印刷データ生成部36は、アプリケーションソフト28から印刷命令が通知されると、記憶領域32に予め記憶されたユーザ設定ファイルから設定を取得する(ステップS10)。次いで、付加印刷データ生成部36は、ステップS10で取得した設定が、ページ番号を付加する設定となっているかを判定する(ステップS12)。ページ番号を付加する設定となっている場合(Yesの場合)はステップS14へ進み、ページ番号を付加しない設定となっている場合(Noの場合)はステップS18へ進む。ここでは、付加情報としてページ番号を使用するのでステップS14に進む。
【0037】
付加印刷データ生成部36は、アプリケーションソフト28から通知された印刷命令に含まれる印刷設定46からページ番号に関する情報を取得する(ステップS14)。そして、付加印刷データ生成部36は、ステップS14で取得したページ番号に関する情報を付加情報に追加する(ステップS16)。
【0038】
次いで、付加印刷データ生成部36は、ステップS10で取得した設定が、ドキュメント名を付加する設定となっているかを判定する(ステップS18)。ドキュメント名を付加する設定となっている場合(Yesの場合)はステップS20へ進み、ドキュメント名を付加しない設定となっている場合(Noの場合)はステップS24へ進む。ここでは、付加情報としてドキュメント名を使用するのでステップS20に進む。
【0039】
付加印刷データ生成部36は、アプリケーションソフト28から通知された印刷命令に含まれる印刷設定46からドキュメント名に関する情報を取得する(ステップS20)。そして、付加印刷データ生成部36は、ステップS20で取得したドキュメント名に関する情報を付加情報に追加する(ステップS22)。
【0040】
次いで、付加印刷データ生成部36は、ステップS10で取得した設定が、記憶領域32に予め記憶された文字列(例えばユーザ名や会社名等)を付加する設定となっているかを判定する(ステップS24)。文字列を付加する設定となっている場合(Yesの場合)はステップS26へ進み、文字列を付加しない設定となっている場合(Noの場合)はステップS30へ進む。ここでは、付加情報として記憶領域32に予め記憶された文字列は使用しないのでステップS30に進む。なお、付加情報として文字列を使用する場合は、付加印刷データ生成部36は、記憶領域32から文字列に関する情報を取得し(ステップS26)、文字列に関する情報を付加情報に追加する(ステップS28)。
【0041】
次いで、付加印刷データ生成部36は、追加した付加情報(ここでは、ページ番号とドキュメント名)から付加印刷データ50を生成する(ステップS30)。以上の方法により、付加印刷データ50が生成される。
【0042】
次に、主印刷データ生成部34で生成された主印刷データ48と、付加印刷データ生成部36で生成された付加印刷データ50と、の印刷順序の決定方法についてより詳細に説明する。図6は、印刷順序決定部40による印刷順序の決定について説明するフローチャートの例である。図7は、主印刷データ48に対する付加印刷データ50の印刷順序を説明する図の例である。ここでは、ページ毎又はドキュメント毎に、ページ又はドキュメントの上部又は下部に付加印刷データ50を印刷する場合を例に説明する。
【0043】
図6のように、印刷順序決定部40は、アプリケーションソフト28から印刷命令が通知されると、記憶領域32に予め記憶されたユーザ設定ファイルから設定を取得する(ステップS40)。次いで、印刷順序決定部40は、ステップS40で取得した設定に基づいて、付加印刷データ50の印刷の有無を判定する(ステップS42)。付加印刷データ50を印刷しない場合(Noの場合)は、印刷順序決定部40は、印刷順序を図7に示す印刷順序Aに決定して(ステップS44)、ステップS60へ進む。
【0044】
付加印刷データ50を印刷する場合(Yesの場合)、印刷順序決定部40は、ステップS40で取得した設定に基づいて、ページ毎に付加印刷データ50を印刷するか否か判定する(ステップS46)。ページ毎に付加印刷データ50を印刷する場合(Yesの場合)、印刷順序決定部40は、ステップS40で取得した設定に基づいて、各ページの下部に付加印刷データ50を印刷するか否か判定する(ステップS48)。各ページの下部に付加印刷データ50を印刷する場合(Yesの場合)、印刷順序決定部40は、印刷順序を図7に示す印刷順序Bに決定して(ステップS50)、ステップS60へ進む。各ページの下部に付加印刷データ50を印刷せずに、各ページの上部に付加印刷データ50を印刷する場合(Noの場合)は、印刷順序決定部40は、印刷順序を図7に示す印刷順序Cに決定して(ステップS52)、ステップS60へ進む。
【0045】
ステップS46でページ毎に付加印刷データ50を印刷しない場合(Noの場合)、印刷順序決定部40は、ステップS40で取得した設定に基づいて、ドキュメント毎に各ドキュメントの下部に付加印刷データ50を印刷するか否かを判定する(ステップS54)。ドキュメント毎に各ドキュメントの下部に付加印刷データ50を印刷する場合(Yesの場合)、印刷順序決定部40は、印刷順序を図7に示す印刷順序Dに決定して(ステップS56)、ステップS60へ進む。ドキュメント毎に各ドキュメントの下部に付加印刷データ50を印刷せずに、各ドキュメントの上部に付加印刷データ50を印刷する場合(Noの場合)は、印刷順序決定部40は、印刷順序を図7に示す印刷順序Eに決定して(ステップS58)、ステップS60に進む。
【0046】
そして、転送部42は、印刷順序決定部40により決定された印刷順序にて、主印刷データ48及び付加印刷データ50を、それぞれ別の印刷データとしてプリンタ60に転送する(ステップS60)。また、後述する境界線データ生成部38により境界線データ52が生成され、主印刷データ48と付加印刷データ50との間に挿入されている場合は、転送部42は、主印刷データ48、付加印刷データ50、及び境界線データ52を、それぞれ別の印刷データとしてプリンタ60に転送する。
【0047】
次に、境界線データ52の生成方法についてより詳細に説明する。図8は、境界線データ生成部38による境界線データ52の生成について説明するフローチャートの例である。ここでは、切取り線の印刷データ又は1点残しカットの用紙カットコマンドのいずれかを境界線データ52として用いる場合を例に説明する。
【0048】
図8のように、境界線データ生成部38は、アプリケーションソフト28から印刷命令が通知されると、記憶領域32に予め記憶されたユーザ設定ファイルから設定を取得する(ステップS70)。次いで、境界線データ生成部38は、ステップS70で取得した設定が、境界線データ52を生成する設定となっているかを判定する(ステップS72)。境界線データ52を生成する設定になっている場合(Yesの場合)はステップS74へ進み、境界線データ52を生成する設定になっていない場合(Noの場合)は境界線データ52を生成せずに終了する。
【0049】
境界線データ52を生成する設定になっている場合(Yesの場合)は、境界線データ生成部38は、ステップS70で取得した設定が、1点残しカットの用紙カットコマンドを生成する設定か否かを判定する(ステップS74)。用紙カットコマンドを生成する設定の場合(Yesの場合)、境界線データ生成部38は、1点残しカットの用紙カットコマンドを境界線データ52として生成する(ステップS76)。
【0050】
ステップS74で用紙カットコマンドを生成しない設定の場合(Noの場合)、境界線データ生成部38は、切取り線の印刷データを境界線データ52として生成する(ステップS78)。そして、境界線データ生成部38は、印刷順序決定部40で決定された主印刷データ48と付加印刷データ50との印刷順序の間に境界線データ52を挿入する(ステップS80)。以上の方法により、境界線データ52が生成される。
【0051】
以上説明してきたように、実施例1に係る印刷システム100は、用紙サイズを可変にして印刷可能なプリンタ60と、プリンタ60に対してアプリケーションソフト28からの印刷命令に応じて印刷処理を制御する印刷制御装置10と、を備える。印刷制御装置10は、アプリケーションソフト28からの印刷命令に基づき、印刷命令に含まれる印刷データ44と印刷設定46とからプリンタ60で印刷可能な主印刷データ48を生成すると共に、主印刷データ48とは別に、ページ番号等の付加情報を含む付加印刷データ50を生成し、主印刷データ48と付加印刷データ50とをそれぞれ別の印刷データとしてプリンタ60に転送するプリンタドライバプログラムを備える。このように、主印刷データ48と付加印刷データ50とをそれぞれ別の印刷データとしてプリンタ60に転送することで、図9に示すように、付加情報を印刷する場合でも、アプリケーションソフトで作成した際のイメージサイズと実際の印刷結果のサイズとを一致させることができる。つまり、印刷対象となるイメージサイズを変更せずともページ番号等の判別を可能にさせることができる。
【0052】
また、印刷制御装置10に備わるプリンタドライバプログラムは、記憶領域32に予め記憶されたユーザ設定ファイルの設定に基づき、主印刷データ48に対して所定のタイミングで付加印刷データ50が印刷されるように主印刷データ48と付加印刷データ50との印刷順序を決定し、決定された印刷順序に従って主印刷データ48と付加印刷データ50とをプリンタ60に転送する場合が好ましい。ユーザ設定ファイルはユーザが自由に変更することができるため、主印刷データ48に対して付加印刷データ50を印刷するタイミングをユーザが自由に決めることが可能となる。
【0053】
具体的には、図7に示すように、主印刷データ48に対して、例えばページ毎又はドキュメント毎に付加印刷データ50が印刷されるように、主印刷データ48と付加印刷データ50との印刷順序を決定する場合が好ましい。なお、ページ毎又はドキュメント毎に付加印刷データ50が印刷される場合に限られず、例えば数ページ毎等、その他のタイミングで付加印刷データ50が印刷されるように、主印刷データ48と付加印刷データ50との印刷順序を決定する場合でもよい。
【0054】
また、印刷制御装置10に備わるプリンタドライバプログラムは、記憶領域32に予め記憶されたユーザ設定ファイルの設定に基づき、主印刷データ48に対して所定の位置に付加印刷データ50が印刷されるように主印刷データ48と付加印刷データ50との印刷順序を決定し、決定された印刷順序に従って主印刷データ48と付加印刷データ50とをプリンタ60に転送する場合が好ましい。これにより、主印刷データ48に対して付加印刷データ50を印刷する位置をユーザが自由に決めることが可能となる。
【0055】
具体的には、図7に示すように、各ページ又は各ドキュメントの上部又は下部に付加印刷データ50が印刷されるように、主印刷データ48と付加印刷データ50との印刷順序を決定する場合が好ましい。なお、各ページ又は各ドキュメントの上部又は下部に付加印刷データ50が印刷される場合に限られず、例えば各ページ又は各ドキュメントの上部及び下部の両方に付加印刷データ50が印刷される場合等、その他の位置に付加印刷データ50が印刷されるように、主印刷データ48と付加印刷データ50との印刷順序を決定する場合でもよい。
【0056】
また、印刷制御装置10に備わるプリンタドライバプログラムは、例えば切取り線の印刷データ又は1点残しカットの用紙カットコマンドを境界線データ52として生成し、印刷順序決定部40で決定された主印刷データ48と付加印刷データ50との間に境界線データ52を挿入する場合が好ましい。これにより、付加印刷データ50が印刷された部分が不要になった場合等に、付加印刷データ50が印刷された部分を容易に除去することが可能となる。
【0057】
なお、境界線データ52は、切取り線の印刷データ又は1点残しカットの用紙カットコマンドの場合に限られる訳ではない。1点残しカット以外でも、3点残しカットや5点残しカット等の残しカットの用紙カットコマンドの場合でもよい。また、境界線データ52を生成しない場合でもよい。
【0058】
また、印刷制御装置10に備わるプリンタドライバプログラムは、付加印刷データ50を生成するにあたり、アプリケーションソフト28からの印刷命令に含まれる付加情報を付加印刷データ50として生成する場合が好ましい。具体的には、アプリケーションソフト28からの印刷命令に含まれる印刷設定46のページ番号やドキュメント名等の付加情報を付加印刷データ50として生成する場合が好ましい。また、付加印刷データ50を自由に設定できるようにするために、記憶領域32に予め記憶された文字列(例えば、ユーザ名や会社名)を付加印刷データ50として生成する場合でもよい。
【0059】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 印刷制御装置
28 アプリケーションソフト
30 プリンタドライバ
32 記憶領域
34 主印刷データ生成部
36 付加印刷データ生成部
38 境界線データ生成部
40 印刷順序決定部
42 転送部
44 印刷データ
46 印刷設定
48 主印刷データ
50 付加印刷データ
52 境界線データ
54 出力結果
60 プリンタ
80 USBケーブル
100 印刷システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙のサイズを可変にして印刷可能なプリンタに対し、アプリケーションソフトからの印刷命令に応じて印刷処理を制御する印刷制御装置に、
前記アプリケーションソフトからの印刷命令に基づいて主印刷データを生成する主印刷データ生成ステップと、
前記主印刷データとは別に、付加情報を含む付加印刷データを生成する付加印刷データ生成ステップと、
前記主印刷データと前記付加印刷データとをそれぞれ別の印刷データとして前記プリンタに転送する転送ステップと、
を実行させることを特徴とするプリンタドライバプログラム。
【請求項2】
記憶領域に予め記憶された設定に基づき、前記主印刷データに対して所定のタイミングで前記付加印刷データが印刷されるように、前記主印刷データと前記付加印刷データとの印刷順序を決定する印刷順序決定ステップを有し、
前記転送ステップは、前記印刷順序決定ステップで決定された印刷順序に従って前記主印刷データと前記付加印刷データとを前記プリンタに転送することを特徴とする請求項1記載のプリンタドライバプログラム。
【請求項3】
前記所定のタイミングは、ページ毎又はドキュメント毎であることを特徴とする請求項2記載のプリンタドライバプログラム。
【請求項4】
前記印刷順序決定ステップは、記憶領域に予め記憶された設定に基づき、前記主印刷データに対して所定の位置に前記付加印刷データが印刷されるように、前記主印刷データと前記付加印刷データとの印刷順序を決定することを特徴とする請求項2又は3記載のプリンタドライバプログラム。
【請求項5】
前記所定のタイミングは、ページ毎又はドキュメント毎であり、
前記所定の位置は、ページ又はドキュメントの上部又は下部の少なくとも一方であることを特徴とする請求項4記載のプリンタドライバプログラム。
【請求項6】
境界線データを生成し、前記主印刷データと前記付加印刷データとの間に前記境界線データを挿入する境界線データ生成ステップを有し、
前記転送ステップは、前記主印刷データ、前記付加印刷データ、前記境界線データをそれぞれ別の印刷データとして前記プリンタに転送することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のプリンタドライバプログラム。
【請求項7】
前記境界線データは、切取り線の印刷データ又は1点残しカットの用紙カットコマンドであることを特徴とする請求項6記載のプリンタドライバプログラム。
【請求項8】
前記付加印刷データ生成ステップは、前記アプリケーションソフトからの印刷命令に含まれる付加情報を前記付加印刷データとして生成することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載のプリンタドライバプログラム。
【請求項9】
前記付加印刷データ生成ステップは、記憶領域に予め記憶された文字列を前記付加印刷データとして生成することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載のプリンタドライバプログラム。
【請求項10】
用紙のサイズを可変にして印刷可能なプリンタに対し、アプリケーションソフトからの印刷命令に応じて印刷処理を制御する印刷制御装置であって、
前記アプリケーションソフトからの印刷命令に基づいて主印刷データを生成する主印刷データ生成部と、
前記主印刷データとは別に、付加情報を含む付加印刷データを生成する付加印刷データ生成部と、
前記主印刷データと前記付加印刷データとをそれぞれ別の印刷データとして前記プリンタに転送する転送部と、
を有することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項11】
用紙のサイズを可変にして印刷可能なプリンタと、前記プリンタに対してアプリケーションソフトからの印刷命令に応じて印刷処理を制御する印刷制御装置と、を備えた印刷システムであって、
前記印刷制御装置は、
前記アプリケーションソフトからの印刷命令に基づいて主印刷データを生成する主印刷データ生成部と、
前記主印刷データとは別に、付加情報を含む付加印刷データを生成する付加印刷データ生成部と、
前記主印刷データと前記付加印刷データとをそれぞれ別の印刷データとして前記プリンタに転送する転送部と、
を有することを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−185747(P2012−185747A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49602(P2011−49602)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】