説明

プリンターおよびそのサプライ品残量管理方法

【課題】印字用紙(ラベル連続体2)あるいはインキリボン(熱転写リボン7)などのサプライ品についてあと何枚分印字することができるか、あるいは初期枚数全体の何割が残っているのか、を表示可能とし、サプライ品の交換ないしは補充をスムーズに行うことができるプリンターおよびそのサプライ品残量管理方法を提供すること。
【解決手段】その残存枚数がより少ない印字用紙2あるいはインキリボン7について残量管理を行なうことに着目し、印字用紙2の単葉のピッチ寸法にもとづき、インキリボン7の全長からその残存枚数を演算するとともに、サプライ品2、7の移送操作ごとに、印字用紙2およびインキリボン7の残存枚数についてそれぞれ一枚づつ減算する制御部11と、サプライ品2、7のうち、より少ない残存枚数を有するサプライ品2、7について、その残量を表示する残量表示部12と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンターおよびそのサプライ品残量管理方法にかかるもので、とくにラベルやタグなどによる値札や各種の情報表示片に所定内容を印字するためのプリンターおよびそのサプライ品残量管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンターのうち、とくにラベルやタグなどの印字用紙に熱転写リボンその他のインキリボンを用いて印字する方式のプリンターにおいては、そのサプライ品(消耗品)として装填する印字用紙およびインキリボンの残量を表示するものがある(たとえば特許文献1)。
【0003】
上記印字用紙は、一般的には帯状であり、これをロール状に巻回してプリンターに装填するもので、一ロール当たりの(その初期装填時の)単葉のラベルあるいはタグの総枚数はあらかじめ決まっており、その枚数に関する表示方式としては、指定された印字発行枚数や、印字指定した枚数のうちの残存枚数を表示することが一般的である。
また、上記印字用紙に上記インキリボンを加えた上記サプライ品としては、その最後まで使用された段階で、たとえばそれらの巻き管からサプライ品が剥がれた時点を検知して、「紙なし」、「リボンなし」、あるいはエラーとして「ペーパーエンド」などの表示を行なっていた。
【0004】
しかしながら、印字操作に不可欠なサプライ品として印字用紙およびインキリボンについてともに、その使用可能な残量がどのぐらいかを表示するものがなく、とくにインキリボンについては、印字用紙のように残存枚数を把握する手段がないために、これを使用しきってから(サプライ品がなくなってから)、その交換ないし補充のタイミングが判明することになり、この判明後に新しいサプライ品を準備することは、作業の円滑性を欠くという問題がある。
しかも、一般的には、印字用紙およびインキリボンについてその使い終わりのタイミングが一致することはまれであり、いずれかのサプライ品が早く消耗しきることになって、どちらのサプライ品を予備的に準備すればよいのかの判断を簡単に行なうことが困難であるという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−293314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、ラベルプリンターやタグプリンターで使用している印字用紙あるいはインキリボンについてあと何枚分印字することができるか、あるいは初期枚数全体の何割が残っているのか、を表示可能なプリンターおよびそのサプライ品残量管理方法を提供することを課題とする。
【0007】
また本発明は、印字用紙やインキリボンなどのサプライ品の交換ないしは補充をスムーズに行うことができるプリンターおよびそのサプライ品残量管理方法を提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、サプライ品の在庫管理にも役立ち、利便性を図ることができるプリンターおよびそのサプライ品残量管理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、サプライ品について、印字用紙あるいはインキリボンのそれぞれ残存枚数を比較して、その残存枚数がより少ないサプライ品についてその残量管理を行なうことに着目したもので、第一の発明は、サプライ品として印字用紙およびインキリボンを装填するとともに、その印字部においてこのインキリボンを用いてこの印字用紙に印字を行うプリンターであって、上記印字用紙の単葉のピッチ寸法にもとづき、上記インキリボンについて、その全長からその残存枚数を演算するとともに、当該プリンターにおける上記サプライ品の移送操作ごとに、上記印字用紙および上記インキリボンの上記残存枚数についてそれぞれ一枚づつ減算する制御部と、この制御部による制御によって、上記サプライ品のうち、より少ない上記残存枚数を有する上記サプライ品について、その残量を表示する残量表示部と、を有することを特徴とするプリンターである。
【0010】
第二の発明は、サプライ品として印字用紙およびインキリボンを装填するとともに、その印字部においてこのインキリボンを用いてこの印字用紙に印字を行うためのプリンターのサプライ品残量管理方法であって、上記印字用紙の単葉のピッチ寸法にもとづき、上記インキリボンについて、その全長からその残存枚数を演算し、当該プリンターにおける上記サプライ品の移送操作ごとに、上記印字用紙および上記インキリボンの上記残存枚数についてそれぞれ一枚づつ減算し、上記サプライ品のうち、より少ない上記残存枚数を有する上記サプライ品について、その残量を表示するように制御することを特徴とするプリンターのサプライ品残量管理方法である。
【0011】
上記サプライ品の移送操作は、上記印字用紙への印字、上記印字用紙の上記印字部における印字開始可能な位置への頭出し操作、あるいは、上記インキリボンの移送操作、の少なくともひとつの操作であることができる。
【0012】
上記残量表示部は、上記残量が所定値以下になったとき、その残量を有する上記サプライ品について、その上記残存枚数ないしその当初の枚数に対する残存割合を点滅表示することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるプリンターおよびそのサプライ品残量管理方法においては、サプライ品のうち、より少ない残存枚数を有するサプライ品について、その残存枚数が所定の残量に達したときに、その残量を表示する残量表示部を有するので、プリンターで使用している印字用紙およびインキリボンの残量を的確かつタイミングよく正確に把握することができ、サプライ品の交換および補充などの作業を円滑に行なうことができる。
とくに、印字用紙あるいはインキリボンのいずれか一方のサプライ品がなくなるとともに、いずれか他方のサプライ品の残量が少ないときには、両方のサプライ品を補充するきっかけ情報を得ることができて、サプライ品のセット交換作業を省力化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、サプライ品について、印字用紙あるいはインキリボンのそれぞれ残存枚数を比較して、その残存枚数がより少ないサプライ品についてその残量管理を行なうようにしたので、使用し切ったいずれかのサプライ品について的確な交換ないし補充作業をタイミングよく行うことができるプリンターおよびそのサプライ品残量管理方法を実現した。
【実施例】
【0015】
つぎに本発明の実施例によるプリンター1およびそのサプライ品残量管理方法を図1ないし図4にもとづき説明する。
図1は、プリンター1の概略側面図であって、プリンター1は、印字用紙(図示の例ではたとえばラベル連続体2)のラベル供給部3および台紙巻取り部4と、ラベル位置検出部5と、印字部6と、インキリボン(図示の例ではたとえば熱転写リボン7)のリボン供給部8およびリボン巻取り部9と、剥離部10と、制御部11と、残量表示部12と、を有する。
【0016】
図2は、ラベル連続体2の平面図であって、ラベル連続体2は、帯状の台紙2Aに複数枚のラベル片2Bを仮着したもので、台紙2Aの裏面に位置検出用マーク2Cをあらかじめ印刷してある。
なお、ラベル連続体2(ラベル片2B)の単葉状態のピッチ寸法Pは、ラベル片2Bのピッチ長さに、隣り合うラベル片2Bの間のギャップ長さを加算したものである。
【0017】
ラベル供給部3は、帯状のラベル連続体2をロール状に巻いた状態で保持するもので、ラベル位置検出部5および印字部6に向かって帯状にラベル連続体2を繰出し可能とする。
台紙巻取り部4は、剥離部10の転向板13において台紙2Aのみを転向することにより、台紙2Aからラベル片2Bを剥離し、台紙2Aを巻き取る。
【0018】
ラベル位置検出部5は、マークセンサー14を有し、ラベル連続体2の位置検出用マーク2Cを検出して、その信号を制御部11に出力し、印字部6に対するラベル連続体2の位置を検出可能とする。
【0019】
印字部6は、サーマルヘッド15およびプラテンローラー16を有し、熱転写リボン7とともにラベル連続体2を挟持して、プラテンローラー16の回転駆動により熱転写リボン7およびラベル連続体2を移送し、熱転写リボン7を用いてラベル連続体2のラベル片2Bに所定情報を印字可能である。
【0020】
熱転写リボン7は、そのリボン供給部8にロール状にこれを巻回して保持し、印字部6に帯状に供給されるとともに、印字部6における印字操作とともにリボン巻取り部9にロール状に巻き取られる。
【0021】
制御部11は、プリンター1全体の制御を行なうとともに、とくに残量表示部12にラベル連続体2あるいは熱転写リボン7の残量を表示制御する。
なお、制御部11は、後述するサプライ品の残量を保存可能な不揮発性メモリーなどによるメモリー部11Aを有する。
【0022】
残量表示部12は、液晶ディスプレイなどによりこれを構成するとともに、ラベル連続体2あるいは熱転写リボン7を表示するサプライ品表示窓12Aと、その残量をたとえば百分率(%)で示す残量表示窓12Bと、を有する。
【0023】
なお、本発明において印字用紙としては、ラベル連続体2以外にもタグなどを用いることができる。
たとえば図3は、タグ17の平面図であって、タグ17は、所定の境界線(図中仮想線)でカッター(図示せず)などにより切断可能、あるいはこの境界線にミシン目を形成しておいて切り取り可能としてあるとともに、ラベル連続体2と同様にその裏面に位置検出用マーク2Cを形成してある。
【0024】
図4は、プリンター1におけるサプライ品残量管理方法の手順を示すフローチャート図であって、ステップS1において、サプライ品残量を演算する。
既述のようにラベル連続体2については、その一ロール当たりのラベル片2Bの枚数(残存枚数)は既知であり、プリンター1の制御部11にあらかじめ設定するか、あるいは外部機器のパソコンなどからそのデータを供給する。
熱転写リボン7については、熱転写リボン7の全長をラベル連続体2のピッチ寸法Pで除すことにより、その残存枚数を演算し、その全長を残存枚数に換算する。
【0025】
ステップS2において、ラベル連続体2の残量(ラベル残量)と熱転写リボン7の残量(リボン残量)との比較を行なう。すなわち、ラベル連続体2の残存枚数が熱転写リボン7の残存枚数より大きいか否かを判断し、より少ない残存枚数について残量表示部12にその残量を表示する。
なお、ここで残量とは、具体的な残存枚数である場合と、当初の初期枚数に対する残存枚数の残存割合である場合と、のいずれであってもよいが、以下の説明では残存割合の場合を例にとって説明する。
【0026】
すなわち、ステップS2においてリボン残量がラベル残量より小さければ、残量表示部12に熱転写リボン7の残量について表示する。
具体的には、ステップS3において点滅フラグが「1」か否かを判断し、「1」でなければ、ステップS4において残量表示部12のサプライ品表示窓12Aに「リボン」(あるいは「R」)と表示するとともに、残量表示窓12Bにリボン残量をたとえば%単位で表示する。なお、初期セットの状態では残量は100%であり、任意の段階をもってたとえば10%刻みで表示する(たとえば残り56%であれば、四捨五入して60%とする)。
点滅フラグが「1」であれば、残量が10%以下(ステップS11、S13を参照)として、ステップS5において残量表示部12での表示を点滅することにより操作者の注意を喚起する。
点滅フラグは、サプライ品の残量が10%以下でセット値「1」であり、残量が10%をこえる場合がセット値「0」である。
【0027】
ステップS2においてリボン残量がラベル残量より大きければ、残量表示部12にラベル連続体2の残量について表示する。
具体的には、ステップS6において点滅フラグが「1」か否かを判断し、「1」でなければ、ステップS7において残量表示部12のサプライ品表示窓12Aに「ラベル」(あるいは「L」)と表示するとともに、残量表示窓12Bにラベル残量をたとえば%単位で表示する。
点滅フラグが「1」であれば、残量が10%以下として、ステップS8において残量表示部12での表示を点滅する。
【0028】
つぎにステップS9において、プリンター1におけるサプライ品(ラベル連続体2および熱転写リボン7)の移送操作を行なったかを判断し、移送操作があれば、制御部11によりラベル連続体2および熱転写リボン7の残存枚数についてそれぞれ一枚づつ減算する(ステップS10)とともに、その残量をメモリー部11Aに更新可能に保存する。
ここで、移送操作とは、ラベル連続体2への印字、印字部6におけるラベル連続体2の印字開始可能な位置への頭出し操作、あるいは、熱転写リボン7の移送操作、の少なくともひとつの操作である。
【0029】
ステップS11において、サプライ品の残量がたとえば10%以下になったかを判断する。この残量の最低設定値については、任意にこれを設定可能である。
すなわち、サプライ品のうち、より少ない残存枚数を有するサプライ品について、その残存枚数が所定の枚数ないし残量に達したときに、その残量を表示することとする。
また、残量が10%に達していなければステップS2に戻り、10%であれば、ステップS12においてエラー発生かを判断する。
【0030】
このエラー発生とは、プリンター1において印字操作を行うことができなくなった状態が発生したことを意味し、たとえばラベル連続体2あるいは熱転写リボン7の交換ないし補充のためにサーマルヘッド15をプラテンローラー16から離間させるヘッドオープンの状態、あるいはラベル連続体2もしくは熱転写リボン7の終端を検出した場合、あるいは印字部6への信号の伝送エラーなどがある。
ステップS12においてエラー発生でなければステップS13で、点滅フラグを「1」にセットし、ステップS2に戻る。
エラー発生となれば、ステップS14において残量表示部12にエラー表示し、ステップS15においてこのエラーが解除されたかを判断する。
このエラー解除は、具体的には、ラベル連続体2あるいは熱転写リボン7の交換ないし補充作業が行われて、新しいロール状のラベル連続体2あるいは熱転写リボン7がそれぞれのラベル供給部3あるいはリボン供給部8にセットされることを意味する。
【0031】
ステップS15でエラーが解除されれば、交換ないし補充したサプライ品についての条件をステップS16において初期化するとともに、ステップS1に戻る。
この条件の初期化とは、サプライ品の残量を100%に再セットするとともに、点滅フラグを「0」にリセットする処理である。
【0032】
かくして、より少ない残存枚数を有するサプライ品(ラベル連続体2あるいは熱転写リボン7)について、その残量を表示するように制御するようにしたので、サプライ品の残量を的確かつ正確に把握し、その交換ないし補充を円滑に実行可能であるとともに、残量表示部12も小さなスペースですみ、従来使用していた「紙なし」あるいは「リボンなし」などの表示を行うための表示部が不要となる。
さらに、サプライ品の残量をホストコンピューター(図示せず)などに転送すれば、プリンター1の状態を克明に把握可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例によるプリンター1の概略側面図である。
【図2】同、ラベル連続体2(印字用紙)の平面図である。
【図3】同、タグ17(印字用紙)の平面図である。
【図4】同、プリンター1におけるサプライ品残量管理方法の手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0034】
1 プリンター(実施例、図1)
2 ラベル連続体(印字用紙、サプライ品、図2)
2A ラベル連続体2の台紙
2B ラベル連続体2のラベル片
2C ラベル連続体2の位置検出用マーク
3 ラベル供給部
4 台紙巻取り部
5 ラベル位置検出部
6 印字部
7 熱転写リボン(サプライ品)
8 リボン供給部
9 リボン巻取り部
10 剥離部
11 制御部
11A 制御部11のメモリー部
12 残量表示部
12A 残量表示部12のサプライ品表示窓
12B 残量表示部12の残量表示窓
13 転向板
14 マークセンサー
15 サーマルヘッド
16 プラテンローラー
17 タグ(印字用紙、サプライ品、図3)
P 印字用紙(ラベル連続体2、タグ17)のピッチ寸法(図2、図3)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サプライ品として印字用紙およびインキリボンを装填するとともに、その印字部においてこのインキリボンを用いてこの印字用紙に印字を行うプリンターであって、
前記印字用紙の単葉のピッチ寸法にもとづき、前記インキリボンについて、その全長からその残存枚数を演算するとともに、当該プリンターにおける前記サプライ品の移送操作ごとに、前記印字用紙および前記インキリボンの前記残存枚数についてそれぞれ一枚づつ減算する制御部と、
この制御部による制御によって、前記サプライ品のうち、より少ない前記残存枚数を有する前記サプライ品について、その残量を表示する残量表示部と、
を有することを特徴とするプリンター。
【請求項2】
前記サプライ品の移送操作は、
前記印字用紙への印字、
前記印字用紙の前記印字部における印字開始可能な位置への頭出し操作、あるいは、
前記インキリボンの移送操作、の少なくともひとつの操作であることを特徴とする請求項1記載のプリンター。
【請求項3】
前記残量表示部は、
前記残量が所定値以下になったとき、その残量を有する前記サプライ品について、その前記残存枚数ないしその当初の枚数に対する残存割合を点滅表示することを特徴とする請求項1記載のプリンター。
【請求項4】
サプライ品として印字用紙およびインキリボンを装填するとともに、その印字部においてこのインキリボンを用いてこの印字用紙に印字を行うためのプリンターのサプライ品残量管理方法であって、
前記印字用紙の単葉のピッチ寸法にもとづき、前記インキリボンについて、その全長からその残存枚数を演算し、
当該プリンターにおける前記サプライ品の移送操作ごとに、前記印字用紙および前記インキリボンの前記残存枚数についてそれぞれ一枚づつ減算し、
前記サプライ品のうち、より少ない前記残存枚数を有する前記サプライ品について、その残量を表示するように制御することを特徴とするプリンターのサプライ品残量管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−290432(P2008−290432A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141004(P2007−141004)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【Fターム(参考)】