説明

プリンター用音声出力ユニット、音声出力プリンター、その印字方法およびその印字コマンド入力方法

【課題】プリンター本体2には大きな設計変更を行わずに音声出力機能を付与するとともに、作業現場、あるいは作業者の年齢や熟練度に関係なく、入力ミスや誤印字を防止することが可能なプリンター用音声出力ユニット、音声出力プリンター、その印字方法およびその印字コマンド入力方法を提供すること。
【解決手段】プリンター本体2とは別にプリンター用音声出力ユニット3をプリンター本体2に接続すること、および印字データの少なくとも一部を音声出力することに着目したもので、印字データを含む印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断可能な音声出力制御部16と、音声出力制御部16による音声出力内容を音声として出力可能な音声出力部19と、を有し、音声出力内容は、これを印字データの少なくとも一部とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンター用音声出力ユニット、音声出力プリンター、その印字方法およびその印字コマンド入力方法にかかるもので、とくに印字内容について音声出力を行うことができるようにしたプリンター用音声出力ユニット、音声出力プリンター、その印字方法およびその印字コマンド入力方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の音声出力プリンターでは、そのプリンターの動作状態を音声出力して、作業者に対し作業補助を行うものであった。たとえば、「印字を開始します。」、「印字を完了しました。」、「印字用紙がありません。印字用紙を補充してください。」などを音声で出力していた。
しかしながら、このような音声出力プリンターでは、プリンター本体に音声出力装置を組み込む必要があり、プリンター本体について専用の設計を行う必要がある。
すなわち、音声出力装置を組み込むためには、その都度プリンターを新たに設計する必要があるとともに、音声出力装置の設置スペースを確保する必要があるという問題がある。
また、多種類のプリンターに対応したい場合には、それぞれのプリンターについて音声出力装置を組み込む設計を行う必要があるという問題がある。
【0003】
さらに、上述のようにプリンターの動作状態のみを音声出力するだけでは、入力ミスや誤印字を防止することは困難であるという問題がある。
たとえば作業現場が照明環境が比較的良好ではないバックヤードであったり、作業者が、年寄りあるいは作業自体に不慣れな方である場合、さらには目の不自由な方の場合には、入力ミスなどにより作業者が意図した印字内容をプリンターが印字発行していないことが事後に判明することはもとより、印字発行した印字用紙の印字内容を確認するために手間がかかるなどの諸問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−110214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、プリンター本体には大きな設計変更を行わずに音声出力機能を付与することができるプリンター用音声出力ユニット、音声出力プリンター、その印字方法およびその印字コマンド入力方法を提供することを課題とする。
【0006】
また本発明は、プリンター本体とは別にプリンター用音声出力ユニットをプリンター本体に接続可能とするプリンター用音声出力ユニット、音声出力プリンター、その印字方法およびその印字コマンド入力方法を提供することを課題とする。
【0007】
また本発明は、作業現場、あるいは作業者の年齢や熟練度に関係なく、入力ミスや誤印字を防止することが可能なプリンター用音声出力ユニット、音声出力プリンター、その印字方法およびその印字コマンド入力方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、プリンター本体とは別にプリンター用音声出力ユニットをプリンター本体に接続すること、および印字データの少なくとも一部を音声出力することに着目したもので、第一の発明は、印字コマンドにもとづいて所定の印字データを印字用紙に印字するプリンター本体に接続可能なプリンター用音声出力ユニットであって、上記印字データを含む上記印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断可能な音声出力制御部と、この音声出力制御部によるこの音声出力内容を音声として出力可能な音声出力部と、を有し、上記音声出力内容は、これを上記印字データの少なくとも一部とすることを特徴とするプリンター用音声出力ユニットである。
【0009】
第二の発明は、印字コマンドにもとづいて所定の印字データを印字用紙に印字するとともに音声出力可能な音声出力プリンターであって、上記印字データを含む上記印字コマンドを入力可能なプリンター本体と、このプリンター本体に接続しているとともに、上記印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断し、この音声出力内容を音声として出力可能な音声出力ユニットと、を有し、上記音声出力内容は、これを上記印字データの少なくとも一部とすることを特徴とする音声出力プリンターである。
【0010】
第三の発明は、印字コマンドにもとづいて所定の印字データを印字用紙に印字するとともに音声出力可能な音声出力プリンターの印字方法であって、上記印字データを含む上記印字コマンドをプリンター本体に入力し、このプリンター本体に接続している音声出力ユニットにおいて、上記印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断して、この音声出力内容を音声として出力可能とし、上記音声出力内容を音声出力したのちに、上記プリンター本体による上記印字データの印字を行うことを特徴とする音声出力プリンターの印字方法である。
【0011】
第四の発明は、印字データを含む印字コマンドにもとづいてこの印字データを印字用紙に印字するとともに音声出力可能な音声出力プリンターの印字コマンド入力方法であって、上記印字コマンドにおける個々の上記印字データを入力するたびに上記印字データを音声出力するか否かを確認した上でプリンター本体に入力し、このプリンター本体に接続している音声出力ユニットにおいて、上記印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断して、この音声出力内容を音声として出力可能とし、上記音声出力内容を音声出力したのちに、上記プリンター本体による上記印字データの印字を行うことを特徴とする音声出力プリンターの印字コマンド入力方法である。
【0012】
第五の発明は、印字データを含む印字コマンドにもとづいてこの印字データを印字用紙に印字するとともに音声出力可能な音声出力プリンターの印字コマンド入力方法であって、上記印字コマンドにおける個々の上記印字データについて、その可変データのみを音声出力するようにプリンター本体に入力し、このプリンター本体に接続している音声出力ユニットにおいて、上記印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断して、この音声出力内容を音声として出力可能とし、上記音声出力内容を音声出力したのちに、上記プリンター本体による上記印字データの印字を行うことを特徴とする音声出力プリンターの印字コマンド入力方法である。
【0013】
上記音声出力制御部は、上記プリンター本体から受信した上記印字コマンドを解析して、上記音声出力内容を決定することができる。
【0014】
上記音声出力部が音声出力する上記音声出力内容と、上記印字データにもとづく上記印字用紙への印字内容と、を比較する作業者が操作可能な印字適正スイッチを有し、この印字適正スイッチからのスイッチ信号により上記プリンター本体の印字動作を制御することができる。
【0015】
上記音声出力制御部は、上記音声出力部が上記音声出力内容を音声出力後、上記音声出力内容と、上記印字データにもとづく上記印字用紙への印字内容と、の比較が可能な時間間隔をおいて、音声出力完了信号を上記プリンター本体側に出力することができる。
【0016】
上記音声出力部は、上記音声の音声信号を増幅する増幅器と、この増幅器に接続する拡声器と、を有することができる。
【0017】
上記印字データのうち上記音声出力内容として選択的に音声出力するように上記印字データを入力可能とする入力部を設けていることができる。
【0018】
上記音声出力内容を音声出力したのちに、上記音声出力内容と、上記印字データにもとづく上記印字用紙への印字内容と、の比較を作業者が行った上で、上記プリンター本体による上記印字データの印字を行うことができる。
【0019】
上記プリンター本体としては、パソコンなどに接続してデータ入力可能とするタイプはもちろん、スタンドアローンタイプなど、任意のプリンターを採用可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるプリンター用音声出力ユニット、音声出力プリンター、その印字方法およびその印字コマンド入力方法においては、印字データを含む印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断するとともに、この音声出力内容を印字データの少なくとも一部とするようにしたので、音声出力内容を印字内容と比較確認したのちに、プリンター本体による印字データの印字を実行することとなり、入力ミスないし誤印字を回避可能であるとともに、作業現場が比較的暗かったり、あるいは作業者が比較的高年齢であったり、熟練度が比較的低くても、能率よく適正な印字を行うことができる。
【0021】
とくに第一の発明のプリンター用音声出力ユニットによれば、印字データを含む印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断可能な音声出力制御部と、この音声出力制御部によるこの音声出力内容を音声として出力可能な音声出力部と、を有するようにしたので、任意のプリンターに接続して、その音声出力機能を追加付与することができ、プリンター本体の大きな設計変更を必要としない。
【0022】
とくに第二の発明の音声出力プリンターによれば、印字データを含む印字コマンドを入力可能とするプリンター本体と、このプリンター本体に接続しているとともに、印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断し、この音声出力内容を音声として出力可能な音声出力ユニットと、を有し、音声出力内容は、これを印字データの少なくとも一部とするようにしたので、プリンター本体の大きな設計変更を必要とせず、印字内容について音声による確認ののちに印字用紙の印字発行を行うことができ、印字データの入力ミスなどを印字発行の前に発見することができる。
【0023】
とくに第三の発明の音声出力プリンターの印字方法によれば、印字データを含む印字コマンドをプリンター本体に入力し、このプリンター本体に接続している音声出力ユニットにおいて、印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断し、この音声出力内容を音声として出力可能とし、音声出力内容を音声出力したのちに、プリンター本体による印字データの印字を行うようにしたので、音声により印字内容についての確認を行ったのちに実際の印字発行を行って、印字発行のミスを事前に防止可能である。
【0024】
とくに第四の発明の音声出力プリンターの印字コマンド入力方法によれば、印字コマンドにおける個々の印字データを入力するたびに印字データを音声出力するか否かを確認した上でプリンター本体に入力するようにしたので、音声出力すべき印字データを再確認しながらデータ入力することができ、必要と思われる印字データについて音声出力内容として音声出力したのちに、プリンター本体による印字データの印字を行うことができる。
【0025】
とくに第五の発明の音声出力プリンターの印字コマンド入力方法によれば、印字コマンドにおける個々の印字データについて、たとえば、価格、消費期限あるいは印字枚数その他印字用紙ごとに変わる可能性がある可変データのみを音声出力するようにプリンター本体に入力するようにしたので、比較的簡便に印字データの入力操作が可能であって、音声出力内容として音声出力したのちに、プリンター本体による印字データの印字を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例による音声出力プリンター1およびプリンター用音声出力ユニット3の概略ブロック図である。
【図2】同、プリンター本体2の印字部12により印字する印字用紙(たとえば、ラベル15)の平面図である。
【図3】同、ラベル15に印字する印字データを含む印字コマンドを、パソコン5のパソコン側入力部25(あるいは必要に応じてプリンター本体2のプリンター側入力部10)において作成する場合の一例を示す説明図である。
【図4】同、音声出力プリンター1におけるプリンター本体2側およびプリンター用音声出力ユニット3側の動作を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、印字データを含む印字コマンドから音声として出力する音声出力内容をプリンター用音声出力ユニットにおいて判断するとともに、この音声出力内容を印字データの少なくとも一部とするようにしたので、入力した印字内容を音声で確認したのち、実際の印字動作にかかることができ、プリンター本体の大幅な設計変更を必要としないとともに、入力ミスなどを事前に防止可能なプリンター用音声出力ユニット、音声出力プリンター、その印字方法およびその印字コマンド入力方法を実現した。
【実施例】
【0028】
つぎに本発明の実施例によるプリンター用音声出力ユニット、音声出力プリンター、その印字方法およびその印字コマンド入力方法を図1ないし図4にもとづき説明する。
図1は、音声出力プリンター1の概略ブロック図であって、音声出力プリンター1は、印字コマンドにもとづいて所定の印字データを印字用紙(たとえばラベル15、図2にもとづき後述)に印字するとともに音声出力可能な音声出力プリンターであって、プリンター本体2と、プリンター用音声出力ユニット3と、を有する。
【0029】
プリンター本体2は、パソコンケーブル4によりこれをパソコン5に接続し、パソコン5から任意の印字コマンド(印字データを含む)を受信可能であるとともに、ユニットケーブル6によりプリンター用音声出力ユニット3を接続し、音声出力が可能である。なおプリンター本体2としては、パソコン5などに接続せず、いわゆるスタンドアローンタイプのものであってもよい。
プリンター本体2は、プリンター制御部(CPU)7と、ROM8と、RAM9と、キーボードやタッチパネルなどによるプリンター側入力部10と、液晶ディスプレイなどによるプリンター側表示部11と、印字部12と、インターフェース部13と、を有し、それぞれをデータバス14によりプリンター制御部7に接続してある。
なお、プリンター本体2は、印字データを含む印字コマンドをパソコン5から受信するが、必要に応じてプリンター側入力部10により印字データや印字コマンドを入力可能とし、プリンター側表示部11に表示可能としている。
【0030】
ROM8は、プリンター本体2における必要なプログラムを保存している。
RAM9は、プリンター本体2における印字コマンドにもとづく印字内容の編集その他必要なデータ処理を行う領域を確保している。
【0031】
印字部12は、ラベルやタグその他の印字用紙(たとえばラベル15、図2)にサーマル印字方式その他任意の方式で必要な印字内容を印字可能とする。
インターフェース部13は、プリンター本体2とプリンター用音声出力ユニット3およびパソコン5との間のデータ交信を可能とする。
【0032】
プリンター用音声出力ユニット3は、上述のようにユニットケーブル6を介してプリンター本体2に接続しているとともに、印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断し、この音声出力内容を音声として出力可能であって、音声出力制御部(CPU)16と、プリンター用音声出力ユニット3における必要なプログラムを保存しているROM17と、プリンター用音声出力ユニット3における必要なデータ処理を行う領域を確保しているRAM18と、を有しているとともに、さらに、音声出力部19と、印字適正スイッチ20と、インターフェース部21と、を有し、それぞれをデータバス22により接続してある。
【0033】
音声出力制御部16は、プリンター本体2から受信することになる印字データを含む印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断する。
音声出力部19は、音声出力制御部16による音声出力内容を音声として出力するもので、音声の音声信号を増幅する増幅器23と、この増幅器23に接続する拡声器24と、を有する。
ただし、後述するように、音声出力内容は、これを印字データの少なくとも一部としている。
【0034】
印字適正スイッチ20は、音声出力部19が音声出力する音声出力内容と、入力された印字データにもとづく印字用紙への印字内容と、を比較する作業者が当該音声出力を聴いた上で操作するものであって、図4にもとづき後述するように、この印字適正スイッチ20からのスイッチ信号によりプリンター本体2の実際の印字動作を制御する。
【0035】
パソコン5は、制御部(CPU)およびその他必要な回路構成(図示せず)と、プリンター本体2に送信する印字コマンド(印字データを含む)を入力するキーボードやタッチパネルなどによるパソコン側入力部25と、液晶ディスプレイなどによるパソコン側表示部26と、を有する。
【0036】
図2は、プリンター本体2の印字部12により印字する印字用紙(たとえば、ラベル15)の平面図であって、ラベル15は、その裏面側に粘着剤層27を有し、ラベル15を任意の物品に貼り付け可能としているとともに、その表面側に所定の印字コマンドにもとづいて所定の印字データを印字可能とする。
たとえば、プリンター本体2内におけるラベル15の移送方向(矢印方向)の図2中、上方左端部をラベル15における印字レイアウトの基準点Q(X0,Y0)とし、第1の印字内容PRT1(たとえば、「○○弁当」)およびその第1の印字開始位置P1(X1,Y1)と、第2の印字内容PRT2(たとえば、「価格¥△□○」)およびその第2の印字開始位置P2(X2,Y2)と、第3の印字内容PRT3(たとえば、「消費期限○○年××月△△日」)およびその第3の印字開始位置P3(X3,Y3)と、第4の印字内容PRT4(たとえば、「製造者△△△社」)およびその第4の印字開始位置P4(X4,Y4)と、をパソコン5のパソコン側入力部25からそれぞれ入力し、プリンター本体2に送信するとともに、プリンター本体2において図2に示すような印字内容として印字する。
【0037】
図3は、ラベル15に印字する印字データを含む印字コマンドを、パソコン5のパソコン側入力部25(あるいは必要に応じてプリンター本体2のプリンター側入力部10)において作成する場合の一例を示す説明図であって、印字内容とともに音声出力内容を設定するようにその印字コマンドを入力する。
具体的には、データスタートコードおよびデータエンドコードの間に印字内容および音声出力内容、さらには印字枚数などを入力する。
すなわち、データスタートコードにつづいて、第1の印字内容PRT1の第1の印字開始位置P1(X1,Y1)および第1の印字内容PRT1を入力して、第1の印字開始位置P1(X1,Y1)からたとえば「○○弁当」という第1の印字内容PRT1を印字する指令(印字コマンド)とする(この第1の印字内容PRT1については、音声出力しない)。
つぎに、第2の印字内容PRT2の第2の印字開始位置P2(X2,Y2)および第2の印字内容PRT2、および「,」(カンマ)につづいて同じく第2の印字内容PRT2のデータを入力して、第2の印字開始位置P2(X2,Y2)からたとえば「価格¥△□○」という第2の印字内容PRT2を印字するとともに、この第2の印字内容PRT2を音声出力内容として音声出力するような指令(印字コマンド)とする。
すなわち、一種のコマンド本体としての「,」(カンマ)のあとにつづく印字内容を音声出力内容とすることを指令するものである。
ただし、図4のフローチャート図にもとづき後述するように、実際の動作としては、まず音声出力内容「価格¥△□○」(および音声出力が必要な他の音声出力内容)を音声出力後、それぞれの音声出力内容と印字しようとして入力した印字内容とが正しく一致していることを作業者が音声として聴いて確認ののち、ラベル15上に印字内容の印字を実行することになる。
【0038】
以下同様にして、第3の印字内容PRT3の第3の印字開始位置P3(X3,Y3)および第3の印字内容PRT3、および「,」につづいて同じく第3の印字内容PRT3のデータを入力して、第3の印字開始位置P3(X3,Y3)からたとえば「消費期限○○年××月△△日」という第3の印字内容PRT3を印字するとともに、この第3の印字内容PRT3を音声出力内容として音声出力するような指令(印字コマンド)とする。
さらに、第4の印字内容PRT4の第4の印字開始位置P4(X4,Y4)および第4の印字内容PRT4を入力して、第4の印字開始位置P4(X4,Y4)からたとえば「製造者△△△社」という第4の印字内容PRT4を印字する指令(印字コマンド)とする(この第4の印字内容PRT4については、音声出力しない)。
【0039】
かくして、図3に示す印字コマンド(印字データを含む)の例では、第1の印字内容PRT1(「○○弁当」)および第4の印字内容PRT4(「製造者△△△社」)を印字するとともに、第2の印字内容PRT2(「価格¥△□○」)および第3の印字内容PRT3(「消費期限○○年××月△△日」)については、これを印字するとともに音声出力することを指令している。
すなわち、プリンター本体2は、印字データのうち音声出力内容として選択的に音声出力するように印字データを入力可能とする入力部(プリンター側入力部10あるいはパソコン5のパソコン側入力部25)を設けているとともに、プリンター用音声出力ユニット3の音声出力制御部16は、プリンター本体2から受信した印字コマンドを解析して、音声出力内容を決定することになる。
【0040】
図4は、音声出力プリンター1におけるプリンター本体2側およびプリンター用音声出力ユニット3側の動作を説明するフローチャート図であって、まずプリンター本体2側において、印字データを含む印字コマンドをパソコン5から受信し、イメージ展開して編集するとともに(ステップS1)、ステップS2において音声出力モードであるか否かを判断する。
すなわち、プリンター用音声出力ユニット3がユニットケーブル6を介してプリンター本体2に接続されている通常のモードでは音声出力モードであると判断して、印字コマンドをプリンター用音声出力ユニット3側に送信する(ステップS3)。もちろん、プリンター本体2あるいはプリンター用音声出力ユニット3にモード確認用スイッチ(図示せず)を設けるように構成することもできる。
プリンター本体2からユニットケーブル6を取り外してプリンター用音声出力ユニット3がプリンター本体2に接続されていない状態すなわち、音声出力モードではない場合には、音声出力を行うことなく、ステップS4においてプリンター本体2の印字部12がラベル15に所定の印字データを印字する。
【0041】
プリンター用音声出力ユニット3側においては、ステップS5においてプリンター本体2側からの印字コマンドの受信を行い、ついでステップS6において印字コマンドを解析する。
具体的には、図2および図3にもとづいて説明したように、音声出力ユニット3において、音声出力制御部16が印字内容(印字データ)および音声出力内容を識別判断し、印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断、決定し、この音声出力内容のデータのみを音声出力部19に転送して、これを音声として出力可能とし、ステップS7において音声出力部19が音声出力内容を音声出力する。
【0042】
作業者は、プリンター本体2からのラベル15の印字発行の前にこの音声出力内容を聴くことができる。
すなわち、音声出力内容を音声出力したのちに、印字内容との一致あるいは不一致を判断した上で印字適正スイッチ20を操作することにより(ステップS8)、プリンター本体2におけるラベル15への印字動作を制御することができる。
具体的には、音声出力内容を音声出力したのちに、音声出力内容と、印字データにもとづく印字用紙への印字内容と、の比較を音声を聴いた作業者が行った上で、印字適正スイッチ20を操作してプリンター本体2による印字データの印字を行う。
【0043】
印字適正スイッチ20の構成は任意であるが、たとえば「YES」および「NO」の二種類のスイッチを有し、作業者が、今聴いた音声出力内容と、自分が入力して印字するはずの印字データにもとづくラベル15への印字内容と、を比較し、一致すれば「YES」のスイッチを押すことにより、ステップS9において音声出力完了信号(スイッチ信号)として音声正常信号をプリンター本体2側に出力し、ステップS4に移行して、所期の印字内容をプリンター本体2により印字する。
また、音声出力内容と印字するはずの印字内容とが一致していなければ、何らかの入力ミスがあったものとして、「NO」のスイッチを押すことにより、ステップS10において音声非正常信号(スイッチ信号)をプリンター本体2側に出力し、ステップS4における印字動作を行うことなくこのフローを出て、印字データ(印字コマンド)の入力内容を正しいものに修正する。
【0044】
なお、印字適正スイッチ20の構成として単一のスイッチのみを備えて、これを作業者が押したときのみ、ステップS9において上記音声正常信号(スイッチ信号)をプリンター本体2側に出力するように構成するとともに、このスイッチが押されずに設定待機時間の経過ののちに、ステップS10において音声非正常信号をプリンター本体2側に出力するか、エラー信号を出すかして、プリンター本体2による印字動作を行わないように制御することもできる。
【0045】
また、本発明においては、印字適正スイッチ20を設けずに、音声出力制御部16は、音声出力部19が音声出力内容を音声出力後、音声出力内容と、印字データにもとづく印字用紙への印字内容と、の比較が可能な時間間隔をおいて、音声出力完了信号(音声正常信号)をプリンター本体2側に出力し、ラベル15への印字を実行することもできる。
【0046】
かくして、作業者は音声出力内容を音声として直接聴くことができ、印字内容ないし印字データの真正を確認することができる。
とくに、小売店のバックヤードなど、照明環境が比較的良好ではない場所では、目視確認ミスを防止することができる。
【0047】
本発明においては、図2および図3において説明した、印字内容および音声出力内容についての印字コマンド入力方法以外にも各種のものを採用することができる。
たとえば、プリンター本体2のプリンター側入力部10あるいはパソコン5におけるパソコン側入力部25の印字コマンドの印字データは、すべてこれを音声出力するように音声出力制御部16において設定しておくことができる。
【0048】
さらに、プリンター本体2のプリンター側入力部10あるいはパソコン5におけるパソコン側入力部25において印字コマンドにおける個々の印字データを入力するたびに、それぞれのプリンター側表示部11あるいはパソコン側表示部26において、音声出力するか否かを確認しながら入力する方法を採用することもできる。
たとえば、図1に示したパソコン側表示部26のデータ入力画面26Aにおいて、第2の印字内容PRT2を「価格¥△□○」とデータ入力したときに、たとえばその下段側に「音声出力?」のように音声出力するか否かの問い合わせをするコマンド指示要請28を表示し、音声出力指示スイッチ29により「YES」あるいは「NO」を入力するように構成することができる。
かくして、音声出力内容としての印字データを再確認しながら入力操作を行うことができる。
【0049】
また、図2に示した例でいえば、音声出力プリンター1を利用する作業者が実際の作業ではあまり変更することがない、第1の印字内容PRT1(たとえば、「○○弁当」)および第4の印字内容PRT4(たとえば、「製造者△△△社」)を固定データと認識して、これらのついては音声出力を行わないとともに、作業日時や状況に応じて変更することが多い、第2の印字内容PRT2(たとえば、「価格¥△□○」)および第3の印字内容PRT3(たとえば、「消費期限○○年××月△△日」)ならびに印字枚数などについては、これらを可変データと認識して音声出力すると音声出力制御部16においてあらかじめ設定しておくこともできる。
かくして、印字データを含む印字コマンドの入力操作を比較的簡便に実行することができる。
【0050】
もちろん、上述の各種印字コマンド入力方法について、必要に応じて切替え方式とすることもできる。
なお、音声出力プリンター1の販売促進用のサンプル機として、音声出力後ただちに印字するような構成や、音声出力内容は、これを印字データと無関係な異なるデータとすることもできる。
【符号の説明】
【0051】
1 音声出力プリンター(実施例、図1)
2 プリンター本体
3 プリンター用音声出力ユニット(実施例、図1)
4 パソコンケーブル
5 パソコン
6 ユニットケーブル
7 プリンター制御部
8 ROM
9 RAM
10 プリンター側入力部(入力部)
11 プリンター側表示部(表示部)
12 印字部
13 インターフェース部
14 データバス
15 ラベル(印字用紙、図2)
16 音声出力制御部
17 ROM
18 RAM
19 音声出力部
20 印字適正スイッチ
21 インターフェース部
22 データバス
23 増幅器
24 拡声器
25 パソコン側入力部(入力部)
26 パソコン側表示部(表示部)
26A パソコン側表示部26のデータ入力画面(図1)
27 ラベル15の粘着剤層(図2)
28 コマンド指示要請(「音声出力?」)(図1)
29 音声出力指示スイッチ(「YES」、「NO」)
Q ラベル15における印字レイアウトの基準点(図2)
PRT1 第1の印字内容(たとえば、「○○弁当」、図2、図3)
P1(X1,Y1) 第1の印字内容PRT1の第1の印字開始位置
PRT2 第2の印字内容(たとえば、「価格¥△□○」)
P2(X2,Y2) 第2の印字内容PRT2の第2の印字開始位置
PRT3 第3の印字内容(たとえば、「消費期限○○年××月△△日」)
P3(X3,Y3) 第3の印字内容PRT3の第3の印字開始位置
PRT4 第4の印字内容(たとえば、「製造者△△△社」)
P4(X4,Y4) 第4の印字内容PRT4の第4の印字開始位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字コマンドにもとづいて所定の印字データを印字用紙に印字するプリンター本体に接続可能なプリンター用音声出力ユニットであって、
前記印字データを含む前記印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断可能な音声出力制御部と、
この音声出力制御部によるこの音声出力内容を音声として出力可能な音声出力部と、
を有し、
前記音声出力内容は、これを前記印字データの少なくとも一部とすることを特徴とするプリンター用音声出力ユニット。
【請求項2】
前記音声出力制御部は、前記プリンター本体から受信した前記印字コマンドを解析して、前記音声出力内容を決定することを特徴とする請求項1記載のプリンター用音声出力ユニット。
【請求項3】
前記音声出力部が音声出力する前記音声出力内容と、前記印字データにもとづく前記印字用紙への印字内容と、を比較する作業者が操作可能な印字適正スイッチを有し、
この印字適正スイッチからのスイッチ信号により前記プリンター本体の印字動作を制御することを特徴とする請求項1または2記載のプリンター用音声出力ユニット。
【請求項4】
前記音声出力制御部は、前記音声出力部が前記音声出力内容を音声出力後、前記音声出力内容と、前記印字データにもとづく前記印字用紙への印字内容と、の比較が可能な時間間隔をおいて、音声出力完了信号を前記プリンター本体側に出力することを特徴とする請求項1または2記載のプリンター用音声出力ユニット。
【請求項5】
前記音声出力部は、前記音声の音声信号を増幅する増幅器と、この増幅器に接続する拡声器と、を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のプリンター用音声出力ユニット。
【請求項6】
印字コマンドにもとづいて所定の印字データを印字用紙に印字するとともに音声出力可能な音声出力プリンターであって、
前記印字データを含む前記印字コマンドを入力可能なプリンター本体と、
このプリンター本体に接続しているとともに、前記印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断し、この音声出力内容を音声として出力可能な音声出力ユニットと、
を有し、
前記音声出力内容は、これを前記印字データの少なくとも一部とすることを特徴とする音声出力プリンター。
【請求項7】
前記印字データのうち前記音声出力内容として選択的に音声出力するように前記印字データを入力可能とする入力部を設けていることを特徴とする請求項6記載の音声出力プリンター。
【請求項8】
印字コマンドにもとづいて所定の印字データを印字用紙に印字するとともに音声出力可能な音声出力プリンターの印字方法であって、
前記印字データを含む前記印字コマンドをプリンター本体に入力し、
このプリンター本体に接続している音声出力ユニットにおいて、前記印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断して、この音声出力内容を音声として出力可能とし、
前記音声出力内容を音声出力したのちに、前記プリンター本体による前記印字データの印字を行うことを特徴とする音声出力プリンターの印字方法。
【請求項9】
前記音声出力内容を音声出力したのちに、前記音声出力内容と、前記印字データにもとづく前記印字用紙への印字内容と、の比較を作業者が行った上で、前記プリンター本体による前記印字データの印字を行うことを特徴とする請求項8記載の音声出力プリンターの印字方法。
【請求項10】
印字データを含む印字コマンドにもとづいてこの印字データを印字用紙に印字するとともに音声出力可能な音声出力プリンターの印字コマンド入力方法であって、
前記印字コマンドにおける個々の前記印字データを入力するたびに前記印字データを音声出力するか否かを確認した上でプリンター本体に入力し、
このプリンター本体に接続している音声出力ユニットにおいて、前記印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断して、この音声出力内容を音声として出力可能とし、
前記音声出力内容を音声出力したのちに、前記プリンター本体による前記印字データの印字を行うことを特徴とする音声出力プリンターの印字コマンド入力方法。
【請求項11】
印字データを含む印字コマンドにもとづいてこの印字データを印字用紙に印字するとともに音声出力可能な音声出力プリンターの印字コマンド入力方法であって、
前記印字コマンドにおける個々の前記印字データについて、その可変データのみを音声出力するようにプリンター本体に入力し、
このプリンター本体に接続している音声出力ユニットにおいて、前記印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断して、この音声出力内容を音声として出力可能とし、
前記音声出力内容を音声出力したのちに、前記プリンター本体による前記印字データの印字を行うことを特徴とする音声出力プリンターの印字コマンド入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−51147(P2012−51147A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193663(P2010−193663)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】