説明

プリンター

【課題】記録紙の搬送の不具合なく、良好に記録紙へ印刷を行うことが可能なプリンターを提供する。
【解決手段】プリンターは、ロール状の記録紙を収容するロール紙収容部を有し、ロール紙収容部の底面から所定の高さの側面に記録紙の巻芯部に差し込み可能にロール紙収容部内に突出した状態で配置された検出レバー63を含むニアエンド検出部24を備え、検出レバー63をロール紙収容部内に突出しない退避位置Bに移動可能な構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、ロール状の記録紙に印刷するプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
POS(Point−Of−Sale)システムなどでは、ロール状の記録紙に印刷を施すレシートプリンター等のプリンターが用いられている。
この種のプリンターとしては、記録紙の使用によりロール径が小さくなり、ロール状の記録紙の側面に当接している検出子が、ロールの巻芯部の空間部へ検出子が入ることにより、記録紙の残量が一定量以下になったことを検出(ニアエンド検出)する紙残量検出手段を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この検出により、オペレータが記録紙の交換時期が近づいたことがわかり、作業が一段落したときに記録紙を交換しておくことができる。レシートの印刷途中で突然紙が無くなり、顧客を待たせて記録紙を交換することを避けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−295436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プリンターによってラベルに印刷処理を行う場合、裏面側に粘着剤が塗布されたラベルを剥離紙に貼り付けたラベル用の記録紙を用いることがあるが、このラベル用の記録紙は、そのロール状に巻回した側面にも粘着剤が付着することによって粘着性を有していることがある。
したがって、このようなラベル用の記録紙を用いる場合、記録紙の残量が十分な状態では、紙残量検出手段の検出子が、粘着性を有するロール状の記録紙の側面に付着してしまい、記録紙の搬送に不具合が生じるおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、記録紙の搬送の不具合なく、良好に記録紙へ印刷を行うことが可能なプリンターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することのできる本発明のプリンターは、ロール状の記録紙を収容する記録紙収容部を有し、前記記録紙収容部の底面から所定の高さの側面に前記記録紙の巻芯部に差し込み可能に前記記録紙収容部内に突出した状態で配置された検出レバーを含む残量検出部を備えたプリンターであって、
前記検出レバーを前記記録紙収容部内に突出しない退避位置に移動可能な構造とすることを特徴とする。
【0007】
この構成のプリンターによれば、裏面側に粘着剤が塗布されたシール紙を剥離紙に貼り付けたラベル用の記録紙などを用いる場合に、残量検出部(ニアエンド検出部)の検出レバーを退避位置に配置することにより、この残量検出部による記録紙の残量検出(ニアエンド検出)を行わないようにすることができる。これにより、検出レバーに記録紙の粘着剤が付着することによって生じるおそれがある搬送不良を未然に防止することができる。
ラベル用の記録紙を用いる場合、ラベルが高価であり最後まで使い切りたいことやレシートのように顧客を待たせて記録紙交換することがないため、使用途中で記録紙の残量が少なくなっても、ラベルが無くなるまで印刷することが多い。したがって、この場合、検出レバーを退避し残量検出しないようにしてもよい。検出レバーが記録紙の側面に付着することによる残量の誤検出も防ぐことができる。
【0008】
また、本発明のプリンターは、前記記録紙収容部の底面が水平方向となる横置き及び前記記録紙収容部の底面が垂直方向となる縦置きの2つの姿勢で使用可能な構造であって、
縦置き及び横置きの何れの状態でも、前記記録紙収容部の下面から所定の高さの前記側面において、前記巻芯部に差し込み可能に前記記録紙収容部内に突出した第1の残量検出位置及び第2の残量検出位置に切換可能に構成された検出レバーを含むニアエンド検出部を備え、
前記検出レバーを前記第1の残量検出位置及び第2の残量検出位置の何れとも異なる前記退避位置に移動可能な構造とすることが好ましい。
【0009】
この構成のプリンターによれば、裏面側に粘着剤が塗布されたラベルを剥離紙に貼り付けたラベル用の記録紙などを用いる場合に、第1の残量検出位置(第1のニアエンド検出位置)及び第2の残量検出位置(第2のニアエンド検出位置)の何れとも異なる退避位置に残量検出部(ニアエンド検出部)の検出レバーを配置することにより、この残量検出部による記録紙の残量検出を行わないようにすることができる。これにより、検出レバーに記録紙の粘着剤が付着することによって生じるおそれがある搬送不良を未然に防止することができる。
【0010】
また、本発明のプリンターにおいて、前記退避位置には、前記検出レバーが前記記録紙収容部内に突出させないための係合部が配置されていることが好ましい。
【0011】
この構成のプリンターによれば、残量検出部による記録紙の残量検出を止める際に、残量検出部を確実に退避位置に配置させた状態に維持させることができる。
【0012】
また、本発明のプリンターにおいて、前記検出レバーが何れの位置に配置されているかを外部から確認できる検出レバー位置確認手段が設けられていることが好ましい。
【0013】
この構成のプリンターによれば、検出レバー位置確認手段にて検出レバーの位置を容易に確認することができる。これにより、記録紙に応じた的確な位置に検出レバーを配置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る一実施形態であるプリンターを示す斜視図である。
【図2】図1のプリンターのカバーを開いた状態の斜視図である。
【図3】図1のプリンター機構の構造を示す斜視図である。
【図4】図1のプリンター機構の構造を示す断面図である。
【図5】残量検出部の構成を示す正面図である。
【図6】残量検出部の本体フレームへの固定部分を示す拡大正面図である。
【図7】残量検出部の構成を示す側面図である。
【図8】残量検出部を本体フレームに取り付けた状態を示す本体フレームの側面図であり、(a)は本体フレームの底面及びその傾斜部を下にしてプリンターを設置する場合を示し、(b)は本体フレームの背面を下にしてプリンターを設置する場合を示す。
【図9】残量検出部の動作を示す説明図であり、(a)は残量検出部がオフの状態、(b)は残量検出部がオンの状態を示す。
【図10】退避位置に配置した残量検出部を示す本体フレームの側面図である。
【図11】退避位置に配置した残量検出部を示す本体フレームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るプリンターの実施形態の例について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る実施形態の例であるプリンターの斜視図、図2はプリンターのカバーを開いた状態の斜視図、図3はプリンター機構の構造を示す斜視図、図4はプリンター機構の構造を示す断面図である。
【0016】
図1から図4に示すように、プリンター1は、例えば、記録媒体の一例であるロール状の記録紙Sに対して感熱方式のサーマルヘッド2により印刷を行うものであり、例えば、POSシステム等に用いられるレシートプリンターである。また、このプリンター1は、本体フレーム13の底面28がほぼ水平方向の横置き、及び、本体フレーム13の底面28がほぼ垂直方向の縦置きの2つの姿勢となる状態で使用可能とされている。
【0017】
プリンター1は、そのプリンター機構3が、樹脂からなるケース本体4によって覆われており、プリンター機構3に設けられたロール紙収容部(記録紙収容部)5に記録紙Sが収容可能とされている。
ケース本体4の上部は、上部カバー6及び前方カバー7によって覆われており、上部カバー6は、プリンター機構3を構成するカバーフレーム10に取り付けられ、プリンター1の後方側における水平軸線を中心として回動可能とされている。そして、この上部カバー6を回動させることにより、ロール紙収容部5が開閉される。
上部カバー6及び前方カバー7の間には、排紙口8が設けられており、この排紙口8から、印刷された記録紙Sが排出される。
【0018】
プリンター1の上部における一側部側には、オープンボタン9が設けられており、このオープンボタン9を押下すると、上部カバー6が取り付けられたカバーフレーム10をロックしているロック機構(図示省略)によるロックが解除され、上部カバー6を開いてロール紙収容部5を露出させることができるようになっている。また、プリンター1の上部における一側部側には、動作状況などを表示するLED等の表示ランプを有するインジケータ部12が設けられている。
【0019】
プリンター機構3は、本体フレーム13を備えており、この本体フレーム13に、カバーフレーム10が回動可能に連結されている。この本体フレーム13の前方側には、記録紙Sを切断するオートカッター11が設けられており、前方カバー7によって覆われている。
【0020】
カバーフレーム10の先端には、上部カバー6を閉じた状態でサーマルヘッド2と対向するプラテンローラー18が設けられており、このプラテンローラー18は、駆動機構(図示省略)によって回転する。そして、このプラテンローラー18が回転すると、記録紙Sは、プラテンローラー18とサーマルヘッド2とに挟持されて紙送りされ、排紙口8から排出される。
【0021】
オートカッター11は、カバーフレーム22の先端に設けられた固定刃33と、本体フレーム21側に設けられた可動刃34とを備えており、これらの固定刃33及び可動刃34は、その刃筋方向がプリンター1の幅方向に沿うように配置されている。可動刃34は、駆動機構35によって、固定刃33との間に所定の隙間をあけた待機位置と、固定刃33に重なる切断終了位置との間で移動される。
そして、サーマルヘッド2による印刷処理位置を通過した記録紙Sは、待機位置から切断終了位置へ可動刃34が移動されることにより、固定刃33と可動刃34とによって切断される。
【0022】
カバーフレーム10を開いた内部には、ロール紙収容部5の下方側を形成する樹脂製のロール紙ホルダー17が設けられている。ロール紙ホルダー17には本体フレーム13の左右の側面板と係合するスリット溝27が設けられており、スリット溝27が本体フレーム13の左右の側面部の凸部と係合すると、ロール紙ホルダー17の幅方向が規制される為、記録紙Sに対してロール紙収容部5の内側は適正な幅が維持される。
【0023】
また、本体フレーム13の左側面には、記録紙Sの紙の残量が少なくなってきたことを検出するためのニアエンド検出部24(残量検出部)が支軸であるボルト25を中心として回動可能に取り付けられている。これは、本プリンター1の設置角度を変える場合、それに合わせて、ニアエンド検出部24を最適位置にするためのものである。例えば、図3に示すように、本体フレーム13の底面28を下にして設置する場合、ニアエンド検出部24の検出レバー63は本体フレーム13に設けられた孔32aと対向する位置に固定される。一方、本体フレーム13の背面29を下にして設置する場合、検出レバー63は孔32bと対向する位置に固定される。
【0024】
ここで、図4においては、交換された直後の記録紙Sや、使用初期の外径が大きい大径の記録紙Sが収容された状態を示しており、紙送りされて、記録紙Sの外径が小さくなっていくと記録紙Sは案内部38に落ち込むようになる。そして、前述したニアエンド検出部24によって、記録紙Sの外径が検出すべき小径になったことが検出される。すなわち、記録紙Sの所定の外径の検出により、残りの長さがわかる。
【0025】
なお、本体フレーム13の底面28の後方側には、プリンター1を若干傾けて設置するための傾斜部28aが設けられている。また、本体フレーム13の後部には、本体フレーム13の背面29を下にしてプリンター1を設置する場合に記録紙Sを保持するための案内部60が設けられている。
【0026】
次に、ニアエンド検出部24の構造について説明する。
図5〜図7は、本実施の形態におけるニアエンド検出部24を示すものであり、図5は正面図、図6は本体フレームへの固定部分の拡大正面図、図7は側面図である。
図5に示すように、本実施の形態のニアエンド検出部24は、概ね、ともに長尺の部材からなる検出フレーム62と検出レバー63とから構成される。検出フレーム62と検出レバー63は、ともにアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール(POM)等の樹脂材料からなる。そして、検出レバー63の基端部に対称に2つの支軸63a,63bが設けられ、図7に示すように、これらの支軸63a,63bを中心にして検出レバー63が検出フレーム62に回動自在に係止されている。
【0027】
検出レバー63の先端部には、記録紙Sの側端面と当接する検出子64が設けられている。この検出子64は、例えば樹脂材料からなるが、検出レバー63に一体的に形成するようにしてもよい。また、検出子64は、検出レバー63の長手方向と直交する方向に延びるように形成される。検出子64は、記録紙Sの巻芯部75の空間76内に入り込みやすいように先が細くなるように形成されている。
【0028】
また、図7に示すように、検出レバー63の中央部分には、突起65が設けられている。この突起65は、例えば樹脂製の板状の部材からなり、検出子64と同様に、検出レバー63の長手方向と直交する方向に延びるように形成される。この場合、突起65の長さは検出子64の長さより若干短く形成される。なお、突起65は、検出レバー63と一体的に形成することもできる。
さらに、突起65の検出子64と対向する側、すなわち、記録紙Sの半径方向外方側には傾斜面65aが形成され、突起65の先端部分は先に向かって次第に細くなるように形成されている。
【0029】
一方、図5および図7に示すように、検出フレーム62には、検出レバー63の突起65を逃がすための窓部62aが形成されている。また、検出フレーム62のほぼ中央部には支持部66が形成され、この支持部66上にリミットスイッチ67が設けられている。そして、検出レバー63の回動によってこのリミットスイッチ67がオン,オフするように構成される。なお、本実施の形態においては、リミットスイッチ67内のバネによるスイッチピン68の押圧力により検出レバー63が検出フレーム62に押し付けられるように構成される。リミットスイッチ67内のバネの代わりに、他の付勢部材を設けてもよい。
【0030】
図5に示すように、検出フレーム62の検出レバー63が設けられていない側の端部には、ニアエンド検出部24を回動させるための把持部69が一体的に形成されている。この把持部69は、板状の基部に3つの凸部(検出レバー位置確認手段)69a〜69cが形成されて構成される。
【0031】
図5及び図8に示すように、3つの凸部69a〜69cの曲率中心付近には支軸としてのボルト25を通すための長孔72が形成されており、この長孔72は、そのほぼ中央部分が狭くなるように膨出部73が形成されている。その周囲には、ナット70を回転不可とするように環状のリブ71が形成されている。
【0032】
なお、本実施の形態においては、検出フレーム62は樹脂からなり、しかも、金属製のボルト25は、その頭部が直接本体フレーム13に接触するように構成されている。したがって、ボルト25は電気的に本体フレーム13と接続されているから、静電気はボルト25に帯電することがなく、ニアエンド検出部24のリミットスイッチ67は静電気による不具合が防がれる。このボルト25は、その頭部がロール紙収容部5側に配置されており、ロール紙収容部5側から操作可能とされている。
【0033】
図8は、本実施の形態におけるニアエンド検出部24を本体フレーム13に取り付けた状態を示すものであり、図8(a)は、本体フレーム13の底面28及びその傾斜部28aを下にしてプリンター1を設置する場合を示し、図8(b)は、本体フレーム13の背面29を下にしてプリンター1を設置する場合を示す。
【0034】
上述したように、ニアエンド検出部24は、支軸であるボルト25を中心にして本体フレーム13に回動自在に取り付けられ、検出レバー63の検出子64が本体フレーム13に設けられた孔32a及び孔32bに入り込むように構成される。すなわち、孔32a及び孔32bは、支軸から等距離の位置に設けられている。この場合、孔32a及び孔32bは、支軸であるボルト25を中心として、例えば90°の角度をなして設けられる。
【0035】
そして、孔32a,孔32bは、上述したロール紙ホルダー17の案内部38,60の近傍に設けられている。したがって、案内部38及び案内部60についても、支軸であるボルト25を中心として、例えば90°の角度をなして設けられている。一方、孔32a及び孔32bは、それぞれニアエンド検出部24の長手方向に扁平する略楕円の形状に形成されている。
【0036】
さらに、孔32a及び孔32bの近傍には検出レバー63の突起65を通すための四角形状の孔74a,74bが形成されている。なお、図3に示すように、把持部69の凸部69a〜69cはロール紙ホルダー17に形成したスリット状の案内孔170内に挿入されており、上部カバー6を開いた状態で目視でき、また、把持可能とされている。
【0037】
一方、本体フレーム13の左側面には、ニアエンド検出部24と係合する係合部である曲げ起こし部80〜83がニアエンド検出部24側に向かって形成されている。これらは、検出フレーム62の平行に形成されている両側62b,62cと当接し、ニアエンド検出部24の位置を定めるものである。
【0038】
従って、ニアエンド検出部24を曲げ起こし部80,81の間に配置すると、検出レバー63の検出子64は記録紙Sが小径になったとき保持される案内部38と対応する。そして、このときのニアエンド検出部24の位置が、第1のニアエンド検出位置A1とされている。
【0039】
そして、プリンター1の設置角度を変える場合には、ロール紙収容部5側からボルト25を緩めてニアエンド検出部24を回動可能な状態にし、把持部69をつまんで時計方向又は反時計方向に回転させ、曲げ起こし部82,83の間にニアエンド検出部24を配置する。検出レバー63の検出子64は記録紙Sが小径になったとき保持される案内部60と対応する孔32bに、突起部65は孔74bに挿入される。そして、このときのニアエンド検出部24の位置が、第2のニアエンド検出位置A2とされている。
【0040】
また、市販されている記録紙には、巻芯の外径が18mmと22mmの2種類があり、本実施の形態では、記録紙の巻芯の種類に対応可能となっている。すなわち、巻芯の外径が大きい場合は、検出レバー63の検出子64が案内部の底部から離れるようにあるいは、巻芯の外径が小さい場合は、近づくようにニアエンド検出部24をボルト25に対して調整する。
【0041】
本実施の形態においては、ボルト25を通すための調整用の長孔72が形成され、しかも、この長孔72は、そのほぼ中央部分がくびれるように膨出部73が形成されていることから、クリック感をもって検出レバー63を最適位置に移動させることができる。
【0042】
図9は、本実施の形態におけるニアエンド検出部24の動作を示すものであり、図9(a)は、ニアエンド検出部24がオフの場合、図9(b)はニアエンド検出部24がオンの状態を示すものである。
図9(a)に示すように、記録紙Sの残量が多い状態においては、検出レバー63の検出子64又は突起65が記録紙Sの側面に突き当たるため、検出レバー63が押し戻され、リミットスイッチ67はオフの状態に保たれる。
【0043】
ここで、記録紙Sは、ロール紙収容部5内にてある程度揺動可能に収容されているが、この記録紙Sがロール紙収容部5内にて揺動した場合であっても、検出レバー63の検出子64又は突起65の何れか一方が記録紙Sの側面に突き当たるため、検出レバー63は常に押し戻され、リミットスイッチ67はオフの状態に保たれる。
【0044】
そして、図9(b)に示すように、記録紙Sの残量がごくわずかになった場合には、記録紙Sが移動して検出レバー63の検出子64が巻芯部75の空間76内に入り込むため、リミットスイッチ67がオンの状態になり、その旨の信号がFFC等によって接続された本プリンターを制御する主回路基板(図示せず)に送信される。
【0045】
また、図10に示すように、本体フレーム13の左側面には、ニアエンド検出部24と係合する係合部である曲げ起こし部84,85がニアエンド検出部24側に向かって形成されている。これらも、曲げ起こし部80〜83と同様に、検出フレーム62の平行に形成されている両側62b、62cと当接し、ニアエンド検出部24の位置を定めるものである。
【0046】
従って、ニアエンド検出部24を曲げ起こし部84,85の間に配置すると、検出レバー63の検出子64は、孔32a,32b,74a,74bのない本体フレーム13に対向した位置に配置される。そして、このときのニアエンド検出部24の位置が退避位置Bとされている。
【0047】
この退避位置Bは、第1のニアエンド検出位置A1及び第2のニアエンド検出位置A2の何れの検出可能位置からも外れた位置であり、この退避位置Bにおいては、図11に示すように、ニアエンド検出部24の検出レバー63の検出子64及び突起部65が本体フレーム13に対向され、検出レバー63の検出子64及び突起部65のロール紙収容部5内への突出が遮られた状態となる。
【0048】
なお、ニアエンド検出部24を、この退避位置Bに配置させるには、ボルト25を緩めてニアエンド検出部24を回動可能な状態にし、把持部69をつまんで時計方向又は反時計方向に回転させ、曲げ起こし部84,85の間に配置し、再びボルト25を締めれば良い。
【0049】
また、把持部69の各凸部69a〜69cには、上部カバー6を開いた状態で、ユーザーによって目視可能な表示が施されている。具体的には、凸部69a,69cには、ニアエンド検出部24でのニアエンド検出が可能な第1のニアエンド検出位置A1あるいは第2のニアエンド検出位置A2であることを示す、例えば、「A1」,「A2」からなるマークが付され、凸部69bには、ニアエンド検出部24でのニアエンド検出が行われない退避位置Bであることを示す、例えば、「B」からなるマークが付されている。
【0050】
ここで、プリンター1によってラベルに印刷処理を施す場合、裏面側に粘着剤が塗布されたラベルを剥離紙に貼り付けたラベル用の記録紙Sを用いるが、このラベル用の記録紙Sは、そのロール状に巻回した側面も粘着剤が付着していることがあり、粘着性を有している。
【0051】
このため、このようなラベル用の記録紙Sを用いる場合、ニアエンド検出部24を検出可能位置A1,A2に配置させておくと、ニアエンド検出部24の検出レバー63の検出子64や突起部65が粘着性を有する記録紙Sの側面に付着してしまい、ニアエンド検出部24での誤検出や記録紙Sの搬送に不具合が生じてしまう。また、その後、通常の記録紙Sを印刷する場合にも、粘着剤が付着した検出子64や突起部65が記録紙Sに付着し、ニアエンド検出部24での誤検出や記録紙Sの搬送不良を引き起こすおそれもある。
【0052】
したがって、ラベル用の記録紙Sに印刷を行う場合は、把持部69の各凸部69a〜69cを確認しながらニアエンド検出部24を退避位置Bに配置させ、このニアエンド検出部24による記録紙Sのニアエンド検出を行わせない。これにより、ラベル用の記録紙Sへの印刷時及びその後の通常の記録紙Sでの印刷時における誤検出や搬送不良が未然に防止される。
【0053】
このように、上記実施形態に係るプリンター1によれば、例えば、裏面側に粘着剤が塗布されたシール紙を剥離紙に貼り付けたラベル用の記録紙Sなどを用いる場合に、第1のニアエンド検出位置A1及び第2のニアエンド検出位置A2の何れとも異なる退避位置Bにニアエンド検出部24の検出レバー63を配置することにより、このニアエンド検出部24による記録紙Sのニアエンド検出を行わないようにすることができる。これにより、検出レバー63に記録紙Sの粘着剤が付着することによって生じるおそれがある誤検出や搬送不良を未然に防止することができ、記録紙Sへ良好に印刷を行うことができる。また、記録紙Sのニアエンド検出が不要の場合にも対応が可能である。
【0054】
また、曲げ起こし部84,85からなる係合部に係合させてニアエンド検出部24を固定することにより、ニアエンド検出部24による記録紙Sのニアエンド検出を止めさせる際に、ニアエンド検出部24を確実に退避位置Bに配置させた状態に維持させることができる。
【0055】
また、上部カバー6を開いた状態で外部から目視可能な把持部69の各凸部69a〜69cが、表示を施すことによってニアエンド検出部24の検出レバー63の位置確認手段とされているので、この把持部69の各凸部69a〜69cから検出レバー63の位置を容易に確認することができる。これにより、記録紙Sに応じた的確な位置に検出レバー63を配置させることができる。
【0056】
なお、把持部69の各凸部69a〜69cに付す表示としては、文字だけでなく記号でも良い。また、各凸部69a〜69cを色分けして区別しても良い。
また、上記実施形態では、サーマルヘッドによって印刷を行うサーマルプリンターを例示して説明したが、プリンターとしては、ヘッドからインク滴を吐出して印刷を行うインクジェットプリンターや、熱転写プリンター、インパクトドットプリンターなどでも良い。
また、上述の例では、ニアエンド検出部24に検出レバー63とリミットスイッチ67を用いたが、その代替として、検出レバー63に光センサを備え、記録紙Sの巻芯部75の空間76を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1:プリンター、5:ロール紙収容部(記録紙収容部)、24:ニアエンド検出部、63:検出レバー、69a〜69c:凸部(検出レバー位置確認手段)、75:巻芯部、84,85:曲げ起こし部(係合部)、A1:第1のニアエンド検出位置、A2:第2のニアエンド検出位置、B:退避位置、S:記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の記録紙を収容する記録紙収容部を有し、前記記録紙収容部の底面から所定の高さの側面に前記記録紙の巻芯部に差し込み可能に前記記録紙収容部内に突出した状態で配置された検出レバーを含む残量検出部を備えたプリンターであって、
前記検出レバーを前記記録紙収容部内に突出しない退避位置に移動可能な構造とすることを特徴とするプリンター。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンターであって、
前記プリンターは、前記記録紙収容部の底面が水平方向となる横置き及び前記記録紙収容部の底面が垂直方向となる縦置きの2つの姿勢で使用可能な構造であり、
縦置き及び横置きの何れの状態でも、前記記録紙収容部の下面から所定の高さの前記側面において、前記巻芯部に差し込み可能に前記記録紙収容部内に突出した第1の残量検出位置及び第2の残量検出位置に切換可能に構成された検出レバーを含む残量検出部を備え、
前記検出レバーを前記第1の残量検出位置及び第2の残量検出位置の何れとも異なる前記退避位置に移動可能な構造とすることを特徴とするプリンター。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプリンターであって、
前記退避位置には、前記検出レバーが前記記録紙収容部内に突出させないための係合部が配置されていることを特徴とするプリンター。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のプリンターであって、
前記検出レバーが何れの位置に配置されているかを外部から確認できる検出レバー位置確認手段が設けられていることを特徴とするプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−42484(P2011−42484A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192847(P2009−192847)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】