説明

プリンタ制御用双方向通信装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ制御用双方向通信装置に係り、特に、上位装置とプリンタとの通信に関してシリアル方式による通信速度を可変としたプリンタ制御用双方向通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のプリンタ制御装置においては、一般に上位装置とプリンタとの間の通信速度は、上位装置とプリンタそれぞれの通信速度の遅い方の速度を互いの通信速度に設定し通信を行っていた。この場合、例えば上位装置にプリンタの通信条件を予め記録しておき、通信開始に際しては、接続されたプリンタに合った通信条件を選択して通信を行うという手法が採られていた。
【0003】又、特開平02−059925号公報では、プリンタがいくつかの通信条件に適応できる場合は、プリンタが受信データを解析して、プリンタ側で通信条件を設定するという手法が採られていた。
【0004】一方、近時にあっては、シリアル方式通信のクロックパルス信号の高速化が進み、通信条件は不変ながらも通信速度のみが大幅向上するなど、上位装置あるいはプリンタが個別に性能の向上がみられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術にあっては、上位装置が複数のプリンタに接続するに際しては個々の接続に関して通信速度を使用者がその都度設定しなければならないという不都合が生じていた。
【0006】
【発明の目的】本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、とくに上位装置に性能の異なるプリンタが接続されても常に最高の通信速度で通信することを可能とし、これによって印刷速度の向上を図ったプリンタ制御用双方向通信装置を提供することを、その目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、上位装置側に、通信クロック信号を可変出力するクロック発信回路と、このクロック発信回路の動作を制御する主制御部と、所定のデータ信号を送受信する送受信手段とを設け、この送受信手段を介して上位装置とプリンタとが双方向通信可能に構成されたプリンタ制御用双方向通信装置において、前述した主制御部が、上位装置からのデータ信号に対するプリンタからの応答信号を認識すると共に,当該上位装置が双通信可能な最高速度の通信クロック信号を設定する通信クロック速度設定機能を備えている、という構成を採っている。これに加え、プリンタが、クロック発信回路からの通信クロック信号のタイミングで動作するプリンタ側送受信手段と、このプリンタ側送受信手段を含むプリンタ全体の動作を制御するプリンタ側制御部とを備えている。そして、このプリンタ側制御部が、上位装置側の主制御部で設定された通信クロック信号のタイミングを学習し記憶する機能を備えている。
【0008】このため、上記請求項1記載の発明にあっては、上位装置が、通信速度の異なる複数のプリンタに対し、個別に当該各プリンタとの間で共通の最高速度で双方向通信をなし得る。即ち、主制御部は、プリンタ側の通信速度よりも早い通信速度で応答可能な場合には当該プリンタの通信速度に合わせて所定の最高通信速度で双方向通信をなし得る。しかも、上位装置で設定した双方向通信時の最高通信速度を記憶すると共に、この上位装置に連結された場合でも、同様に双方向通信時の最高通信速度を模索しこれに対応することが可能となっている。
【0009】
【0010】
【0011】請求項記載の発明では、前述した主制御部が、プリンタ毎に異なる通信クロック信号のタイミングを学習し記憶する機能を備えている、という構成を採っている。
【0012】このようにしても、前述した請求項1記載の発明と同等に機能するほか、各プリンタ毎に双方向通信時の最高通信速度を記憶していることから、再接続に際しては学習時間を必要とすることなく直ちに当該プリンタの双方向通信時の最高通信速度を設定し作動することができ、このため双方向通信時の能率向上を図ることができる。
【0013】このように、本発明にかかる通信方式にあっては、上位装置にプリンタからの応答信号を認識する回路とプリンタに対する通信ロクックパルス信号出力とその通信クロックパルス信号を設定する設定回路を備え、プリンタに上位装置から出力される通信クロックパルス信号を使用してデータ信号入力および応答信号出力の各回路を備え、上位装置がプリンタの通信可能な通信速度の最速値を学習する処理を行う。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図1乃至図2に基づいて説明する。この図1乃至図2において、符号1は上位装置を示し、符号2はプリンタを示す。このプリンタ2は、実際には複数のプリンタが並列に切り換え接続されるようになっている。
【0015】上位装置1には、通信クロック信号を可変出力するクロック発信回路11と、このクロック発信回路11の動作を制御する主制御部12と、所定のデータ信号を送受信する送受信手段13とを備えている。この送受信手段13は、送信回路13Aと受信回路13Bとにより構成されている。そして、この送受信手段13を介して上位装置とプリンタとが、双方向通信可能に構成されている。
【0016】ここで、前述した主制御部12は、上位装置1からのデータ信号に対するプリンタからの応答信号を認識すると共に当該上位装置が双通信可能な最高速度の通信クロック信号を設定する通信クロック速度設定機能を備えている。
【0017】又、前述したプリンタ2は、上位装置1のクロック発信回路11からの通信クロック信号のタイミングで動作するプリンタ側送受信手段23と、このプリンタ側送受信手段23を含むプリンタ全体の動作を制御するプリンタ側制御部22とを備えている。プリンタ側送受信手段23は、プリンタ側送信回路23Aとプリンタ側受信回路23Bとにより構成されている。
【0018】そして、このプリンタ側制御部22は、前述した上位装置1側の主制御部12で設定された通信クロック信号のタイミングを学習し記憶する学習記憶機能を備えている。
【0019】また、前述した主制御部12は、複数のプリンタ2に対して当該プリンタ2毎に異なる通信クロック信号のタイミングを学習し記憶する機能を備えている。このため、上位装置1は、通信速度の異なる複数のプリンタ2に対し、個別に当該各プリンタ2との間で共通の最高速度で双方向通信をなし得るようになっている。即ち、主制御部12は、プリンタ2側の通信速度よりも早い通信速度で応答可能な場合には当該プリンタ2の最高通信速度に合わせて所定の通信速度で双方向通信をなし得るようになっている。
【0020】ここで、主制御部12は、図1で明らかのようにCPU12Aとメモリ12Bとにより構成されている。又、プリンタ側制御部22も、CPU22Aとメモリ22Bとにより構成されている。
【0021】また、記号S12は上位装置1からプリンタ2へのデータ信号を示し、記号PCは上位装置1とプリンタ2との動作のタイミングを設定するクロックパルス信号を示し、記号S21はプリンタ2から上位装置1への応答信号を示す。
【0022】そして、上位装置1のクロックパルス発振回路11で生成されるクロックパルスPCは、上位装置1の送信回路13A,上位装置1の受信回路13B,プリンタ2の受信回路23B,プリンタ2の送信回路23Aの各基準クロックとして、上位装置1のCPU12Aで、まず設定される。これにより、上位装置1からプリンタ2へのデータ信号S12およびプリンタ2から上位装置1への応答信号S21の通信速度が、上位装置1のCPU12Aで決定されることとなる。
【0023】図2は、上位装置がプリンタの通信可能な通信速度の最速値を学習する処理ステップを示すフローチャートを示す。
【0024】この図2において、主制御部12は、まず、暫定通信速度を設定して(ステップS1)、一定長のデータを送信する(ステップS2)。次に、プリンタ1からの応答を受信して(ステップS3)、その応答を評価する(ステップS4)。応答に異常がある場合は通信速度を変更し(ステップS5)、上述したステップS2からの処理を繰り返して、正常な応答を得たときのその通信速度を、以降の通信速度として学習する(ステップS6)。
【0025】このように、上位装置1がプリンタ2との最速通信速度を学習することにより、双方向通信の通信速度の向上を図ることが可能となる。
【0026】
【発明の効果】本発明は以上のように構成され機能するので、これによると、最速通信速度を学習する手段と、通信速度設定手段を上位装置とプリンタに備えた構成としたので、上位装置或いはプリンタが個々に性能向上した場合でも、また上位装置に性能の異なる複数のプリンタが接続された場合でも、常にその接続における最速通信速度で通信することが可能となり、通信速度向上により印刷速度を向上することができるという従来にない優れたプリンタ制御用双方向通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプリンタ制御用双方向通信装置にかかる一実施形態例を示すブロック図である。
【図2】図1に開示した上位装置が実行する最速通信速度学習処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 上位装置
2 プリンタ
11 クロックパルス発信回路
12 主制御部
12A 上位装置のCPU
12B 上位装置のメモリ
13 送受信手段
13A 送信回路
13B 受信回路
22 プリンタ側制御部
22A プリンタ側のCPU
22B プリンタ側のメモリ
23 プリンタ側送受信手段
23A プリンタ側送信回路
23B プリンタ側受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 上位装置側に、通信クロック信号を可変出力するクロック発信回路と、このクロック発信回路の動作を制御する主制御部と、所定のデータ信号を送受信する送受信手段とを設け、この送受信手段を介して上位装置とプリンタとが双方向通信可能に構成されたプリンタ制御用双方向通信装置において、前記主制御部が、前記上位装置から出力されるデータ信号に対するプリンタからの応答信号を認識すると共に当該上位装置が双通信可能な最高速度の通信クロック信号を設定する通信クロック速度設定機能を備え前記プリンタが、前記クロック発信回路からの通信クロック信号のタイミングで動作するプリンタ側送受信手段と、このプリンタ側送受信手段を含むプリンタ全体の動作を制御するプリンタ側制御部とを備え、このプリンタ側制御部が、前記上位装置側の主制御部で設定された通信クロック信号のタイミングを学習し記憶する機能を備えていることを特徴としたプリンタ制御用双方向通信装置。
【請求項2】 前記主制御部が、プリンタ毎に異なる通信クロック信号のタイミングを学習し記憶する機能を備えていることを特徴とした請求項1記載のプリンタ制御用双方向通信装置。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】第2773713号
【登録日】平成10年(1998)4月24日
【発行日】平成10年(1998)7月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−299600
【出願日】平成7年(1995)11月17日
【公開番号】特開平9−146724
【公開日】平成9年(1997)6月6日
【審査請求日】平成7年(1995)11月17日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【参考文献】
【文献】特開 平7−64734(JP,A)